文化委員会 第4号
- 発言数
- 64 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1947/08/07
会議録
○福田委員長 これより會議を開きます。前會に引續きまして、國立公園竝びに觀光事業を議題といたしまして、繼續したいと思います。一松厚生大臣より發言を求められておりますので、これを許します。一松厚生大臣。
○一松國務大臣 終戰後、わが國における諸般の事柄は、ただ眉をひそめるという事業のみが多いようでありまして、何らか國民をして明朗なる希望をもつような生活を營むように仕向けるということは、この時局に對しましては、やはり政府として考えなければならぬことであると私は確信をいたしておつたのであります。過般、關西に旅行いたしますときに、いろいろ汽車の中で考えました結果、實は貿易もいよいよ八月十五日から再開をせられる。平和条約の締結も、あまり遠くないというようなときにおいては、わが國に旅行せられる外客の數は、よほど殖えてまいるであろうと私は考えたのであります。と同時に、私が先年歐米を視察いたしましたときに、スイスの國内にはいりまして、山水の風光の美ということに、われわれは眩惑せられた次第であります。御承知の通り到るところ非常に掃除が行き屆いておりまして、山岳湖沼等が風致に富んでおりますために、歐州に遊びました外國の人々が、好んでスイスに滯在するというようなことのために、あすこにたくさん外貨が落ちる。それがためにスイスの一箇年の財政は、外客が落とすところの金によつて賄うというようなことを私は向うで聞いたことを思い出しましたのであります。こういうように貿易も再開せられ、講和条約も締結が目睫の間に迫つておるというときにおいて、しかも國民に何らか明朗なる考えをもたせ、しかして、一面においては、外國の人と日本との間の親善關係を緊密ならしめ、一面においては外貨の獲得をやり、そうして窮乏せる國家財政の一端を擔うことができるということになれば、これはたいへんよいことである。かように考えまして、私の所管になつております國立公園というものを整備強化して、外客を誘致し、國際親善に資し、國費の收入をはかるということはもつとも機宜に的したる處置であらうと、かように實は考えたのであります。それから著々とそういう方面の調査をいたしまして、時あたかも陛下より御陪食を仰せつけられました、その席上におきまして、私がその考えを陛下に實は上奏いたしたのであります。陛下もたいへんお喜びになりました。これは全閣僚の意のあるところで閣僚諸君も非常に喜ばれたという事實があるのでございます。 それから私は熱心にこれらの點についていろいろな案を練つてまいりました。そうして豫算も大藏省の方に、最初は七千八百満圓ほどの豫算を要求いたしたのでありますが、今突如としてそういう大きい豫算でそれらに著手しなくても、まず厚生省の考えておることを實現する準備、調査、檢討というような程度にしてはどうだろうというようなことで、樽俎折衝を重ねました結果、どうかこうか、五百五十萬圓くらいの程度ならば、承認を得そうな状況に立至つておることが今日の現状でございます。 そうして、この問題に關しましては、御承知のごとく、運輸省におきましては、もと観光局というものがありまして、外客を誘致するという輸送の機關、竝びにこれらの方が宿泊することのできるホテルの經營というようなものが戰前に考えられ、かつ實施せられつつあつたのが、ちようど戰のために今ではそれが停止せられておつた。観光局というものも、官制で廢止せられたようであります。しかしながら、やはり國立公園を整備強化して、私が今申し上げたような目的を達成いたしまするのには、やはりこの運輸省の輸送、ホテルの經營などと相まつて、これらの事業を振興せしむるということでなければ、十分の目的を達しない。かように私も考えておりまするし、また一面文部省の方におきましても、史跡の調査研究というようなことは、御承知のごとく文部省の所管になつておるのでありまするから、こういう方面とも連絡をとつて、互いに相克摩擦することなく、目的を一にしておる立場から、互いに提携してこの事業の運營をやつていくということであれば、今私の考えておりまする事柄も難事ではない。かように私は考えておりまするから、ただいま、それらの計畫を著々進めておりまするし、いずれこういう方面に對しても、法律案も提出し、豫算等の御審議も願うことになろうと思いまするが一應私の考えだけを申し述べて皆様からの御意見の御發表を承り、また皆様からいろいろな御注意等もおありのことであらうと思いまするから、そういうことを遠慮なく話していただいて、私をしてそれらの點について是正すべきことは是正し、進めなければならぬことは進めるようにして、この目的の達成に寄與したいと考えていることだけを皆様に申し上げて、皆様の御檢討をお願いいたしたいと考えております。
○福田委員長 委員諸君において、ただいまの一松厚生大臣の御所見に對する御質問があればお申し出を願いたいと思います。
○一松國務大臣 今申し上げたうちで、これは私のごくあらましの調査でありますが、戰前外客が日本にまいつたようなことを前提として調査していきますると、一年に少くとも、十萬人の外客を誘致できる。そうして觀光消費、すなわち日本に一年に七十億圓ぐらいの金が落ちる、こういう見込みを今立てております。これを御参考のために申し上げます。
○佐藤(觀)委員 厚生大臣に質問いたします。現在これほど重大な觀光事業をやるのに、もつと大規模な政府の統一機關とか、あるいは文化省のようなものを設ける意思はあるかどうか。
○一松國務大臣 佐藤委員からの御質問は、ごもつともでありまして、わたしもできまするならば、そういう大きい機構をもつてやりたいと考えているのでありますが、御承知の通りに今までこういう事業がごく閉塞した形にあつたので、にわかに今ここによみがえられしめて、この事業に着手しようという第一歩であるがゆえに、初めからそういう大きい規模ではおもしろくないと、注意してくれる人があつたので、實は厚生省のうちで、國立公園局というものを設けてやろうと思つたのでありますが、それではということで、今國立公園というものを公衆保健局の中に設けまして、五百五十萬圓ぐらいの豫算で課を二課か三課ぐらいにして、そういう準備に著手しようという計畫を立てておるのであります。豫算その他において、今あなたの仰せになつたように、でき得べくんば大きいのを希望いたすのでありますが、何分今囘の豫算は御案内の通りに七百萬圓という追加豫算を出すことでさえも、政府は健全財政をどこまでも維持するという建前から、思うように金のはいる途がない。今のところでは五百五十萬圓くらいで、そういう指導、宣傳、調査、企畫というような仕事をしておいて、いずれ通常議會には、もう少したくさん豫算を組んでいただきたいと、そのようなことを考えております。
○佐藤(觀)委員 第一次歐州大戰後に、イタリー及びスイスが非常にこの觀光事業に力を入れたのですが、その點について、厚生大臣の御所見を承りたいと思います。
○一松國務大臣 今お話のごとく、第一次歐州大戰直後におきまして、スイス及びイタリーが觀光事業に力を入れて、外客を誘致し、非常な功績をあげ、財政もゆたかになつたというようなことは、私も聞いてよく承知しておるのでありますが、私ちようど先刻申し上げましたように、日本國民も、もう少しゆとりのある生活をしよう。そうして保健衞生という點に對しても、もう少し關心をもつてもらいたい。その上に外客を誘致して、日本と外國との親善關係を密にし、一面には外貨の獲得をやろう。保健衞生思想については國民に十分の關心をもつてもらうということが、最も機宜に適したことであり、第一次歐州大戰直後におけるスイス、イタリー等のやり方もこうであつたというようなことから、實はこれに力を入れて、私の働けるだけ働いてみたい。こういうことから、私はこの點に大いに關心をもつにいたつたのであります。今あなたの仰せになつた御趣旨と同じような考えから、ここに發足をいたしたのであります、
○福田委員長 山名君。
○山名委員 私も佐藤委員と大體同じようなことで、厚生大臣の意向を聽きたかつたわけでありますが、今その話が出ましたので……。
○福田委員長 佐々木君。
○佐々木(盛)委員 觀光事業というのは、この間から伺つておりますと、これに關係する各省は、非常に多岐にわたつておりまして、今厚生大臣がおつしやるように、たとえば、國立公園關係の者は厚生省、運輸関係の者は運輸省、あるいは國寶美術は、文部省だというように、非常に多岐にわたつておるのでありますが、そういう觀光事業の總合的計畫をやるためには、どうしてもここに總合的なものを設置された方がよくはないか。單に經費の厖大にかかるものをつくるとかいうようなことをするよりも、今の運營を一元化する意味において、各關係省を集めた一つの觀光の參謀本部といつたようなものをつくることが、今の乏しい豫算の上から割り出しても、また將來日本の外貨獲得というような大がかりな觀光事業を今後展開する上においても、必要ではなかろうかと考えるのであります。さいわい大臣としてこの委員会に御出席になつたのは、今囘一松さんだけだと考えますので、大臣の口から、そういうことに關する御意見を承りたいと思います。
○一松國務大臣 すべてのことを企畫して、そうしてそれを大發展せしめて、國家のために寄與しようということにつきましては、今、佐々木委員のお話になつたように、專門的な機構を大きくして目的を達する事が一番よい施策であるということは、私はあなたとまつたく同意見であります。ところがそれは結局豫算が伴わなければならぬというようなことが、一番たいせつなことでありまして、豫算が伴わないで、ただ機構を擴げちらすというようなことではできませんので、豫算を十分にとることができるようになりましたならば、文化省とか、あるいはその他何々省とか、そういうことに專門的に力を打込んでやる省をこしらえようということは、理想であつてむずかしいと思います。しかし今日の豫算では、私はそこまではどうしても豫算をとることはできない、豫算をとることができなかつたならば、そういうような大規模な仕事のできるような素因をつくつていくことが、必要ではなかろうかということから、小規模ながら、こういうことを私は考えておる次第でありまして、御趣旨としては、私はあなたとまつたく同感であります。
○福田委員長 田口君。
○田口委員 大體厚生大臣の觀光事業その他文化事業に對する熱意の點は、よく了承しましたが、まだ私は相當熱意が足らないのではないかと考えられます。なお現時局下におきまして健全財政の建前から、豫算が國立公園について五百萬圓というような少額もやむを得ないというようにお考えになつておりますが、健全財政とは收支のバランスがとれるということであります。少くとも現在、先ほど大臣が言明されました通り、約十萬人、七十億くらいの外貨が獲得の見込みがある。しかしこちらの受入れ態勢が惡いならば、その十萬人の外國のお客さんは一日も早く引揚げてしまう、あるいは將來日本へ行つてみても非常にひどいというようなことで來なくなれば、その七十億がうんと減るかもわからないし、またあらゆる設備が完備しておるならば、十萬人が二十萬人になり、三十萬人になつて、厖大なる外貨獲得になると思います。戰前ヨーロツパにおいては、あれほど惨憺たる敗戰を喫した國においても、これに重點をおいて、海外收支バランスの第一位は外客の落す金であるという點までいつた國もたくさんあります。日本におきましても、戰前昭和十二年ごろまでは、外客の落す金は貿易外收入の大部分を占めておりまして、外貨の中の第四位であるといわれております。今後は、生絲の賣上げについても相當悲觀する材料があるし、あるいは綿布、雜貨についても、資材その他の手當の關係上、非常に悲觀すべきものがあるのであつて、ひとり日本の風光明媚その他を百パーセント活用するならば、第一位の外貨獲得になり得るのだと私は考えておりますが、大臣はそういう考えをもつておるかどうかをお伺いしたい。またもし第一位にもなれるのだという考えがあるならば——かりに外國から何十億も一年にはいる、あるいはそれを百四十億にするというような熱意があつてやるならば、相當金を使つても、決してインフレ促進にならずして、かえつてインフレを防禦する。財政の面から見ても收入が多くなつて、使う金が少い。あるいは七十億、あるいは百四十億の厖大なる金で、外國から物資を引取るということになれば、日本の物資が豊富になり、從つてインフレ防禦になるという、文化面を離れた財政面から見ても、これは相當に熱を入れてやることが、かえつて健全財政を維持するところがあると私は考えるのでありまするが、大臣はこれに對してどう考えられるか、御説明願いたいと思います。
○一松國務大臣 今、田口委員の御意見、ごもつともであります。私はもうあなたとまつたく同じ考えをもつて、日本の今日の窮乏したる財政を救うのには、この政策が一番よろしい。日本にある天然の風光を外國に紹介して、外人を誘致する、外人は喜んで日本に續續旅行を企てる、到るところ外人をもつて充たされておるというようなことになれば、これはもう外貨の獲得にはもちろんであるし、外國との國際親善もよくなるし、クレジツトの設定等も容易なことであろうと考えて、こういうことを思つたのでありますが、ものにはすべて順序があることは、私が言うまでもありません。今にわかに、一擧にして理想を實現しようというようなことはかえつて事をし損ずるゆえんであろうかと思いまするから、まず一歩一歩堅實に手をつけて、そうして十分に準備をして、外人が日本に足を踏み入れたときに、なるほど日本は天然の風光が他の諸外國にまさつておる、あれならば、われわれも旅行して結構であつた、もう一遍日本に行つてみたい、家族も連れて行つてみたいと言われるようにするのには、いわゆる設備が十分であつて、氣持よく旅行することができ、氣持よく公園を見て歩くことができるというようにしなければならぬ。それが十分ににできなくて、今あなたのお話のように、歩いてはみたけれども、どうも設備が惡い、あんなことではどうも人情風俗というものは非常に外人をばかにしている、あんな所へはもう行く必要はないということで、かえつて惡宣傳をされて、惡結果を招來するということになれば、まことに素志と違うような結果を見るということになりましようから、そういうことのないように今あなたの仰せられたような目的を達成するために、まず一歩々々手をつけていこう。こう實は考えておるのでありますが、理想といたしましては、あなたと同じ考えをもつております。行く行くはそこまで行きたい、かように考えておる。のみならず、文化委員の諸君はこういう點に對しては、他の何人よりもすぐれたる御感想をもつておられる方でありますから、私がただちよつと申し上げれば御共鳴を賜つて、むしろ御激勵していただくということは非常にありがたいことでありますが、人によりますと、なあに、そこらあたりは燒け野原ではないか、食うに食えないで困つているではないか、そういう場合に、遊び場所をこしらえて何事であるかという人もあります。しかしそういう場合にも、私がそういうことをいろいろ話してあげると、なるほどそれもそうだ、それも手をつけなければならぬ、しかし一どきに局だとか省だとかということは行き過ぎるから、まず課でやるのならば、局と課の間の部ぐらいでやつていつたらばどうだということで、落ちついておるわけであります。さよう御了承を願いたいと思います。
○榊原(千)委員 一松厚生大臣のお話は、よく了承いたしましたけれども、そういうふうに設備を促進いたします意味において、どうも一松大臣は、國立公園は御自分の所管でいらつしやいますから、國立公園に非常に熱意をもつてくださいますけれども、観光一般の問題になりますと、文部省が管轄しておりますところの國寶の問題、また運輸省の鐵道の問題も、すでにお話のあつた通りでございますし、さらにいろいろレクリエーシヨンの問題とか、史跡の問題とか、そういうものもいろいろ選べば、長く外人を留めおくことができるのであります。たとえばヨネ・ノグチの生家などというのは、ほんとうにみすぼらしいものでありますけれども、私どもは世界を旅行して歩きまして、そうしてベートーヴエンの家だとか、あるいはダンテの遺跡だとかというようなところをほんとうに興味深く歩いたものでございまして、帝室のいろいろな御物にいたしましても、必ずしも國立博物館にもつてこないで、ドイツあたりで城跡にそのまま御物が陳列されて、そのお城自身がかつての王室の非常に興味深い遺跡となつて、そういうものが觀覽されているというわけで、いろいろなことを總合いたしまして、どうしても一つの機關をおいて、そうしてそれが各省にわたつて交渉した方が、各省いろいろばらばらに計畫をして連絡をとるということよりも、設備を促進させる上において有力ではないかと私は思うのです。そうして觀光のようなものは、貿易外の收入として非常に重大な財源となるものでありますから、健全財政の建前から申しましても、使わないことが健全財政ではなくて、むしろ多く生産することが健全財政であるという建前からいつても、豫算をもつととることに熱意をおもちくださいまして、そうして一つの統一した機関を置いて、各省へはその統一した機關による人々が、あるいは參與の形なり、何かそういう形をなして各省へはいつていつて、しかもその人たちが繼子扱いをされるのでなく、そこの有力な發言者となつていくようにしていただきたいと思うのでありますが、いかがでありますか。
○一松國務大臣 まつたくあなたと考えは同じであります。しかしそれが、今さつきから何度も申し上げるように、一足飛びにすぐに、あそこがあるからといつて飛び上がることはできないから、徐々にそこの高いめやすに向かつて進むべく著手しよう。こういうのですから、あなたのおつしやる通りに私も考えておりまして、しかもあまりそう金を使わずして收入は非常に多く、しかも外國人との交渉も非常によくなるし、國民も愉快に遊べるし、殊にまた私は、これ以上にもつとくだいて申しますればたとえば、國立公園に附隨して、その地方の温泉場というようなものもこれを取入れ、國民が皆健康にして文化的な生活をするためには、今までのような、温泉場とは、金持でなければ行くことができなかつたというような弊風を改め、どういう勤勞者であつてもある與えられた日時には自分から進んで、あまり費用をたくさん使わずしてそういうところへ行つて一日二日の静養をして、氣分を入れかえて業務にいそしむことができるようにまでもつていきたいと考えているので、こういうことをほそほそながら手をつけてやつて、これをあなた方の御要求になりますように、豫算をたくさん出して、大きい機構をこしらえて、官吏ばかりでなく、民間人でもこういう方面の知識のおありになる方を、今あなたのおつしやるように參與とか顧問とかそういうことではいつていただく。そうしてこれを向上發展せしめて國家のために寄與したい、こう考えておるのですが、ただいまただちにこれをそこまでやるのはできぬから、まずその目的を達成する第一歩であるということに御了承を賜りまして、これからひとつ皆様のお力によつてはぐんでいだたき、大きくしていただいて、今皆さんの理想としているところまで到達するように御協力を賜ることをお願いしてやまないのであります。
○高橋(長)委員 先ほど厚生大臣のお話の中にありましたが、この點について厚生大臣が御配慮くださつていることは信じておりますけれども、外國人を招致する上において最も考慮すべき問題は、國内における公衆衞生の健全化であると私は思うのであります。戰前には、各町、部落に衞生組合の制度がありまして、相當衞生施設としては行き届いたと考えておりましたが、戰爭によりましてこれが廢止されて町内會となり、あるいは部落會となり、終戦後にはこれが解散せしめられまして、町あるいは部落は、何らの機動力をもたない民生委員の制度に相なつたのであります。はたしてこの状態で、しかも敗戰後というものは、防疫上における藥品のごときもきわめて不足していると信じております。こういう状態で、公衆衞生については私どもは非常に低下していると思うのでありますが、こういう點についてご自身がおありでありますかどうか、ひとつ厚生大臣の御意見を伺つておきたいと思います。
○一松國務大臣 仰せのごとく、外客を日本に誘致することについては、日本の衞生思想が十分に發達していなければならぬことは、いうまでもないことであります。まだ外國の方が多く日本にはいつておらない今日におきましても、これがしきりに問題になつておりまして、進駐軍の方面からも、日本人の保健衞生の知識の低下しているということ、竝びに醫術の向上というものが、歐米各國に比較して非常に劣つている、こういう點について大いに力を注がなければならぬ。殊に世界到るところにあります例の花柳病とかいうような病氣の撲滅だとか、治療だとかという點については、よほど日本はだめだ。これを急に整備して、そういう病氣をこの地上から根絶しなければならぬということについて熱意を入れられて、私どもは今激勵をされております。そういうときでありますから、観光客を日本に誘致するということについては、保健衞生上最も注意すべきことは、あなたの御説の通りであります。 そこで、しからば今わが國の状態は公衆衞生化の建前からすれば、衞生組合だとかいうものがは廢止され、町内會、部落會というものが、きよう敗戰國家として、そういうものの存置することはおもしろくないということで、これが解體せられたというときにおいて、どういう機關においてこの保健衞生を健全化するかということについては、もちろんその點は考えなければなりませんが、とりあえず保健所の創設ということで、これをこの國會に提案をいたしまして御協贊を得るために努力いたしまして、實は十四億という豫算を計上して、保健衞生等の健全化をはかるために大藏省と折衝いたしましたが、今申し上げまする健全財政ということのために、しかもなるべく國民からたくさんの税金をとらぬようにすることのために、いろいろ大藏省が絞つて、その結果が七、八億圓にも達しない追加豫算をだすということにも難色があるときであります。十四億の豫算に對してわずか一億圓だけ査定をしてまいりました。そういうことでは保健衞生の強化ということにならぬじやないかということで、私大分大蔵大臣に懇情いたしました結果、どうかこうか五億圓程度のものが認められそうになつておりますから、それだけのものがいよいよ認められることになりますれば、保健所というものをたくさん數多く設けまして、それに一々保健醫もしくは保健婦とかいうような人々をたくさんに配置いたしまして、今あなたのお指摘に相なりました民生委員にこれと協力せしめまして、そういう方面を手落ちなくやりたい。そして思想を普及徹底せしめ、外國人をして、日本に行つても心配することはないというような程度にまで進めたい。これについては、醫者とか保健婦とかいうものばかりでなく藥品にも、力を入れなければなりませんから、そういうことにも、今よほど考えをもつて、著々その方に著手しつつあるのであります。
○原田委員 ただいまサンフランシスコから横濱までの船賃は五百ドルだろうと思います。これを邦貨のやみ値に換算すると、十萬圓以上になるのではないかと思います。そういふときであるから、外貨の獲得ということは、非常に重大なことであつて、觀光事業が、將來日本の産業の中で重要な部門を占めてくることは、相當常識のある人なら、考えておるところである。ただいま厚生大臣の言われるところでは、燒野原のこのときに遊びごとであるかとかいうようなことを言う人があるということでありますが、私はもつてのほかであると思う。そういう考えを拂拭して、日本の觀光事業を大いに高めて、外貨の獲得に努めなければならぬのであります。厚生大臣は、今豫算がないと言われましたが、もちろん今は豫算がない。しかし厚生省では今五百五十萬圓ですか、言われましたが、運輸省にもいくらかある。この少い金でも、集めれば相當な額になつてくる。この間加賀山さんがここで佐藤さんの質問に對して、觀光會社が今たくさんできておりますが、これに對して補助をやつていくというようなお答えでありましたが、私は重點的にやつていく。統計を見ますと、東京を中心にした富士・箱根、それから日光等が、過去の實績を見るときに、観光客が一番ずば抜けて多いのであります。今までは、日本へ來て富士山と藝者というようなことを言われましたが、そんな意味じやなしに、富士・箱根、さらに奥多摩・秩父というような所を中心に重點をおいて、ここに設備を設け、日本へ來て、大體富士方面を見たら、日本を見て來たのだというようなことに重點をおいてやつていくときには、私は案外少い金で目的が達せられじやないかと思う。それからそれこそ徐々に全日本的に觀光客を誘致する設備を進めていくべきであると私は考えるのであります。これに對する厚生大臣の御意見を伺いたい。 それから將來の問題でありますが、私はこの風光明媚な日本の國に、風光明媚を對象として外人を呼び、外貨を獲得するということだけでなしに、今東北地方では雨のために水害がはなはだしい。その原因は、多くは森林を伐つたために川が氾濫しておる。このためにダムを設置して水害を防止することは、刻下考えなければならない事業の一つであります。これは内務省國土局に屬することでありますけれども、鐵道は電化をしていくというようなことで、今後大きなダムを建設していく。これは失業對策にもなるのであります。そういうことをやつていくときに、大自然の中に、今かりに天龍川が流れておる。ここへダムをつくれというと、反對する人があるかも知れないが、大きなダムをつくることにより、そこに新しい自然と人工の文化との結合した、大きな觀光的な風景というものが出てくる、私はそれが世界へ日本の文化を示すものになつてくると思う。そういうようにして、ぜひとも觀光については各省がまちまちでなく、日本の將來の觀光事業ということについて、一つのまとまつた、先ほど文化省という問題が出ておつたようでありますが、そういうものをこしらへていくのが、妥當ではないかと思うのであります。これも大臣に御所見を伺いたい。
○一松國務大臣 今あなたの言うように、文化省というようなものをこしらえて、一元的にこれを進めていくことがいいのではないかということは、先ほど申し上げたとおり、私全然賛成で、その通りであると思うが、それが今健全財政の建前から、豫算がそれだけとれないということを申し上げたのです。健全財政というのは、何も要る金を使わぬというのではない、收支のバランスが合えばいいではないかということは、言うのはやさしいことでありますが、御承知の通り、今あなた方の御協贊を得まして、今年から實施しなければならなかつた六・三・三の問題でも、わずか四、五十億圓の金があれば、文部省の豫期しておるような仕事ができようというときに大藏省はどうしても五億圓しか出さぬという。文部大臣が非常に樽俎折衝を重ねて三十億圓の金が出るということになつて、どうかこうかへの字なりに六・三制を實施しようということになつたことは御承知の通りです。こういうようなわけでありますから、豫算がたくさんとれれば、もちろんとりますけれども、とれないがために、まず下ごしらえということで、最小限のこの程度に手を著けなければならないような、やむを得ざる實情であつたということは、先刻來何囘も申し上げて、皆様の御了解を得たことと思ひますが、今あなたのようなお考えは、決して私がこれを忘れておることでも何でもなく、その通り考えて、その通りひとつ進めてみたいと思います。私が長い間厚生大臣でおるかおらぬかはわからないけれども、私がやめたならば、次の第二、第三、第四の厚生大臣の方が、私の考えておることを引續いでやつていただくことができましたならば、皆様の思つていらつしやるその目的の點にまで到達するであろう。こういうことを私は樂しみにして、今これだけの基礎をここに提案をして皆さんの御協贊を得たい、かように考えておることを御了承を賜りたいのであります。 それから觀光事業が非常に大切なことであるということについては、厚生省とか、運輸省とか、文部省とかいうことでわけていくよりは、私先ほど申し上げましたように、一元化することが一番いいけれども、今では、とりあえず運輸省の方では觀光事業とかいうことでしきりに活躍をしておるようでありますし、從つて豫算も相當なものをとつておるでしよう。こういうような豫算を集めれば大きくなるといつて、全部集めたつて七百萬圓に足りないから、そうたくさんではありません。わずかばかりの豫算も寄せ集めて、運輸大臣も文部大臣も手を握つて、お互いに仲良く豫算を出し合つてやるということであれば、あなたがお考えのように理想に近い運營ができようと思つておるのであります。總花式に云々ということは、私知らないのであります。私の考えでは、すべて任せられた仕事に對して、はたしてどういうようにこの金を使わなければならぬかということは、總花式だとか何とかいうことでなくて、私の理想としては、いずれが國家民衆のために利益であることを個個に檢討して原案を出して、出たらば、それを目標として、これを物ざしにしてすべての政治の運營をやつていこう。こういうように考えているのでありますから、總花的に何でも御機嫌をとればいいというようなことで豫算を使わずして國家民衆のために必要だということであれば、私の方のことよりも、運輸省のすることの方が國家民衆のために必要だと思えば、私の方でとつている豫算はいつでもあげる。同じように、これは厚生省にやつてもらつた方がいいというものならば厚生省の方において仕事をしていくということが、正しい政府のしかたである、かように考えておりますから、そういう意味で進めたいと私は考えております。 それから今あなたの仰せになつた山を切り崩してダムをこしらえるというようなことについても、このダムをこしらえることによつて風光を大分毀損するなと思つても、風光を毀損するよりも、ダムをこしらえた方が國家のためによろしいということであれば、ダムを建設するために風光の損傷を來たすこともやむを得ない。こういうような建前で仕事をすれば、案外大過なく國立公園の擴大強化もでき、國民の意思に反するようなことなく圓滿に進捗することができるのではなかろうか、實はかように考えて、そういう方針で進むつもりでおります。
○鈴木(里)委員 觀光事業の目的の中の文化の稱揚という面について文部當局に質問いたします……。
○一松國務大臣 今衆議院の厚生委員會の方から、私の出席を要求されましたが、もし皆様が私に對して御質問があれば、先にしていただきたいと思います。
○福田委員長 今厚生大臣が申されたような状態ですが、委員諸君いかがしますか。
○榊原(千)委員 ちよつと一つ。先ほど厚生大臣は、私の申し上げたことと御自分のおつしやつたこととはほとんど同じだとおつしやいましたけれども、私は正反対だと思つているのでございます。この間からも、觀光事業を論じますときに、この委員會でも幾たびか問題になつているのですけれども、どうしても一つの統一した機關がいるという結論に達しているわけで、それは大臣もお認めになりましたけれども、これをほんとうによくやろうとすれば、各省オンパレードでやらなくてはならないと思います。ただいまのダムの問題、あるいは森林の問題、洪水の問題になると、国土計畫の委員會にもつていかなくてはならなくなつたり、内務省なり農林省なり、あるいは運輸省というふうに、いろいろな省に關係しているのですが、統一した機關がございますと、必ずしも豫算がなくても、そこへ行つてぜひやつてもらいたいということを豫算なしに申すことができるのでありますし、また豫算がどうしてもないということであれば、この間も私は申し上げたのですが、郵便スタンプなどというものは、これは世界的に興味をもたれるものでございますから、こういうものを非常に文化的に考案して賣り出すとか、あるいは版畫というようなものも、高度のものをつくつて賣つて利益を多くするとか、いろいろなくふうがそこから生まれて來るだろうと思いますが、厚生大臣はその邊の熱意のほどはどうか、もう少し腹を大きくしてくださつて、國立公園というようなものの計畫も、何か一つ統一した機關へとだんだんに讓つていただきたいということを、私はお伺いしているのであります。
○一松國務大臣 あなたのおつしやつたことと、何も違いません。そこまでもつていくのです。いくのだが、いますぐに一足飛ではいけない。それは豫算がなかなかとれませんから豫算をとらなければ、機構の改革はできません。今日は、金がなくては働くということはできません。すべて働こうと言えば、金がすぐに伴う。でありますから、豫算が今日のような貧弱なところでは、そこまではいけないから、後日そこへいくだけの準備をこしらえておいて、豫算がとれたときに、いつでもあなたの思うておられる以上に進めたい。かような考えをもつておるのでありますから、あなたの御意見にも反對どころではない、全然一致するのです。ただ悲しいことには、今までそこまでいけませんから、そこへいく階程をつくるべく、今これを皆様にお願い申し上げておることがあなたの御意見に反しておつたならば、そういう意味に御了承願いたいのであります。 それからスタンプとか、外客誘致の問題につきましても、調査研究を進めるために、五百五十萬圓ぐらいの豫算をもつて、今あなたのおつしやる通りスタンプもあろうし、温泉場もあろうし、その他いろいろな歡樂境設置もあろう、そういうことはみな調査研究をすることになるのでありますが、あしからず御了承願いたいのであります。
○馬場委員 觀光事業に關しましては、數囘の委員會において全面的に文化國家の建設上重大であるという意見は、一致したと思うのであります。ただいま厚生大臣のお話を伺つておると、このことも同一だ、ただ實行の問題である。私は厚生大臣が口を開くと金がない金がないと言われますが、金がないと言いながら、やつておられることは、金持のようなことをやつておられるじやないか。金がないときにこそ、われわれはここにがつちりと方向をきめなければならぬ。殊に厚生大臣は、親心から先ほどのお話の中で、相剋摩擦を除くというようなことを言われましたが事務關係の人の話を聞けば、今までの日本の觀光事業の事務を扱つている人が、お互いに内輪の仕事でありながら、摩擦が多くてやりくかつたという現實にぶつかつておつたのであります。從つて厚生大臣は、なるたけ摩擦を避けると言いながら、厚生省では課を部にし、運輸省では部を局にしていくということでいくならば、はたして將來大臣がお考えになつているように、摩擦を避けるために行わんとすることが、將來の摩擦の基礎になるというふうに考えられるのでありますが、この點ひとつお考え願いたいと思います。
○一松國務大臣 口を開けば金がないと言つても、實際金がないのだから、口を開かぬでも同じことなのであります。なぜもつと豫算をとらなかつたと言うが、金がない。金をとろうとすれば、國民からたくさんの重税を取立てていくことになるから、それは困る。國民から重税はとれない。少しでも税金をとろうとすると、これからとつてはいかぬ。あれからとれ、これからとつてはいかぬといつて、いろいろ論議されておりますから、政府はなるたけ負擔の衡平をはかつて國民にあまり迷惑にならぬようにしたい。それかといつて仕事をせぬのではいかぬから、仕事はしなければならぬ。どの程度に金をとつたらよからうかと考えました結果、タバコの値段を上げるとか、三本ほしいところを一本とするとか、實に私どもをして言わしむれば、泣きたいようなことをして、税金を集めるというようなことが、今日の實状であることは、御承知の通りであります。でありますから、私も税金をとれるのにとらないで、ただ泣き言ばかり言うておるのでないことは、ひとつ御了承願いたいのであります。 それから摩擦云々ですが、それは國家の大事であれば、お互いに摩擦して結構ですけれども、つまらぬ摩擦はしない方がよかろう。ただ觀光事業をするについて、運輸省と文部省とが、お互いがなわ張り爭いをして摩擦するということはよくないから、お互いが仲よく、目的は同じですから、そういう方針にいくように、一緒に手を握つて進んでいこう。そういうことをするについては、こういう方針でしたがよかろう。なお課を部にし、部を局にするということが、必ずしも摩擦を起すということではなく、要はお互いの氣持によつて、ひとつ國家のためにほんとうにやろうということになりますと、意見の對立はありましても、それがために仲違いということはない。結局まとまるところに行けばまとまる。こういうような考えを申し上げたのでありますから、その點は、誤解のないように、御了承願いたいと思うのであります。
○田口委員 商工大臣にお尋ねいたします。觀光事業が、日本の文化を世界に宣傳し、また日本の眞のあり方、日本人の考え方、日本の文化ともうものを海外に知つていただく、日本と諸外國との親善に資せられることは、商工大臣もよく御了承くださつていることと思います。また觀光事業が文化面ばかりでなく、外貨獲得上重要なる一部門を擔任しているということも、御承認になつておられることと思います。特にこれからの大きい收入よりも、こうした當面の收入の方が、はるかに重要度があるということも、御認識になつておらるることと思います。そこで先ほど厚生大臣もるる説明されましたように、國家の豫算が足らないために、こうした事業を國家の力でやることは困難だというように申されておりますが、もちろん國家としても、何も税金をとらなくても、公債もありますし、あるいは債券というようなものもありまして、いろいろ方法はあると思いますが、一應國家としては、困難と見まして、それでは民間團體とか、民間人にさせるということが、文化のためにも、相當必要であろうと私は考えます。特に厚生大臣の見込みで言えば、一年十萬人として七十億圓の收入がある。しかも將來どんどん上がる見込みだ。あるいは運輸省の見解では、三十萬人ぐらいはあるのだ。從つて二百十億圓くらいは可能だというようなことも言つております。この大きな問題をとらえるということは、日本のインフレ克服、ひいては民心安定のためにも、最も重要であると思います。國内産業の面から見れば、石炭が一番重要かもしれませんがこれを對外的に見れば、私は貿易の輸出による收入よりも、外客の落とす金の方が、現段階における日本としては、最も重要であり、第一に位するものではないかという考えさえもつておるのであります。そこで民間事業として、これをどう扱うかということが問題になると思います。さいわい一昨日運輸省の方の委員から承れば、澎湃として民間事業の機運が上がつておる。しかしそのためには資材でぶつかり、資金でぶつかるというような點を申しておりました。これは商工大臣としても、貿易外收入として重要な部門であるという觀點に立たれましたならば、おそらく資金とか資材というものは、相當優先的にまわしてくれるものと考えますが、一體どのくらいの資金の額を、来年度あるいは今年度に入れる見込みか。資材の配給は第何位くらいの位置に置いて、これを投入する考えであるかということを御説明願えれば幸いだと思います。
○水谷國務大臣 ただいま御質問者の御意見のように自然に惠まれましたわが國といたしまして、觀光事業というものがきわめて重要であることは、申すまでもございません。從つて商工省といたしましても、觀光客によりまするわが國産業の世界への紹介いうようなことも、大いに力を入れなくてはならないことであるというぐあいに考えておる次第でございまして、このたびの民間貿易使節團の來朝を迎えまして、商工省としては、打つべき手を十分に打ちたいと思つておるような次第でございます。ただいま、觀光事業のためにどのくらいの資金、資材をば當てこんでおるかというようなことは、これは一般的な觀光事業全般というものに關して、商工省としてはお答えするわけにはまいりませんが、このたびの民間貿易使節團の來朝に對しましては、大體八億から九億程度の豫算を得まして、いろいろ萬遺憾なきようにしたいと考えております。 それから貿易外の收入で、特に必要な觀光事業として、豫算上どのくらいの豫定を組まれるかということについても聽きたいと思うのです。 それから今までの状況を聽きますと、ホテルが非常にぐあいが惡い。こういうことは大體わかつておりますが、ホテルがなければ、今までの日本の旅館を何とか改造して、急場に間に合わしたらどうかというような問題も考えられるのでありますが、そういう點についてどういう施策があるかということを御返答願いたいと思います。
○水谷國務大臣 ホテルの問題に對しましては、ただいまのところ、民間貿易使節團を迎えるに十分なる設備は、八月十五日までには完成する手はずになつております。從つてそういう宿泊というために、ホテル以外の、これまでのいろいろの旅館であるとか、あるいはその他の施設を使う考えはもつておりませんが、ただそのホテルだけではなしに、民間の人同士がいろいろ商取引、あるいは談合をするという場合においては、ホテルのような場所よりも、やはり日本の趣味を持つた別の建物が必要であるということは考えておりますので、その方面においても、いろいろ手を打ちたいと思つております。もちろん、この問題に關連いたしまして、最近休業をしていただきました業者の方面におきましても、いろいろそういうようなものに使つてくれという申出でがありますが、それはわれわれといたしましても、ある程度必要を認めるものでございます。從來のような因縁情実を廢しまして、委員會なら委員會というところの決定によりまして、そういうようなものの一部を使うということは考えておりますが、宿泊のためのホテルの設備は、御心配無用でございまして、十分手はずは整うておるというような御了承願いたいと思います。なおそのためにどのくらいの金が落ちるかどうかというような數字の點に關しましては、政府委員から御答辯されます。
○佐藤(觀)委員 私の言うのは、今度の貿易再開のために來るのではなくして、將來觀光事業の外客のためにホテルがありませんから、日本の民間の旅館を改造するのに必要な材料を與えたらどうかという點であります。
○水谷國務大臣 將來のことに關しましては、單に今度の買付使節團の商談その他の結果によりまして、どのくらいの設備が要るかということはきまるであろうと思います。そういうめやすをおきまして、適當に處理したいと考えております。もしその場合に、このたび設備いたしましたホテルだけでは足らないという點に關しましては、御説の通り十分な措置をしたいと考えております。
○並木委員 政府御當局は、觀光事業について、また國立公園などに非常に有意義であり、重要な事業であると口には稱しておりますが、實際にこの聲を眞に受けて、民間の方では開發會社とか觀光協会とかいうものを興して、地方の開發をやるよう申請し、またその申請がさいわいにパスして、今度は資材の配給を受けるというようなところにいくと、ぴたりぴたり難關に逢著するのであります、資材でも何でも自由に手にはいる時代には、大いにそういう民間の聲を盛り上がらせて、民間の事業として發達させるという育成方針もよいでございましようが、政府が眞にその重要性を認識しているならば、そうしてその重要であるということは、しばしばこの委員會でも各委員から發言せられている通りでありますから、ちようど水谷商工大臣が石炭の方の國家管理を提唱されていると同じように、この際觀光事業、國立公園というものに對して、國家が温かい手によつて育成していく。そうしてある程度それが成功しました場合には、漸次民間の手にこれを讓り渡して行くという方針をとつていただきたいのであります。特にこの觀光事業や國立公園の場合に豫算がとりにくいのは、あたかもこれが不生産事業のように、すぐそろばん玉に黒字になつて返つてこないという弱味をもつているからであります。そこで國家が、これを事業として收入が伴うという現實的な官業にスタートするならば、おそらく豫算なども非常にとりやすいのじやないかと思いますが、この點について御意見を伺うと同時にぜひ御畫力を願いたいと思うのであります。
○福田委員長 それは並木君の御希望ですか、あるいは質問ですか。
○並木委員 今後の方針に對する質問です。
○水谷國務大臣 商工大臣といたしまして、そういうような觀光事業一般の問題に對してお答えするというようなことは、現在觀光事業をやつておられる各省に對しても差障りのあることでございますので、そういう大きな質問に對しての御答辯は許していただきますが、先ほど申しましたように、貿易に關する、すなわちわが國の産業を世界に紹介し、また貿易に關連する、その限度における觀光事業というものに關しましては、商工省といたしましては、できるだけのことをさせていただきたい。從つてこのたび民間貿易使節團を迎えるに際しましても、普通ならば商工省でやらなくてもいい仕事でございますが、そういう貿易に關係のある程度における觀光事業というものを、臨時に商工省ですることを許していただこうというような關係におかれておりますので、そういう一般的な問題に關しては私から御答辯することを許していただきたいと思つております。
○福田委員長 前囘から保留になつておりますことで、できれば商工大臣にお答え願いたいと思いますが、觀光事業會社に對する商工大臣としての認可の基準について、おわかりでしたら、大臣もしくは政府委員からお答え願いたいと思います。
○越智説明員 ただいまの御質問の點でありますが、商工省といたしましては觀光事業に對しますいわゆる事業の認可權と申しますか、そういうものは、建前上はないのでありまして、現實の問題としましては、種々の觀光事業をやつております會社の理事長、多少何らかの關係で使う場合がある、こういうことであると思いますが、觀光事業そのものを認可するという關係は、われわれの関係ではたしかないようになつておりますので、御了承願います。
○福田委員長 商工大臣に對する御質問はございませんか。
○田口委員 この前、貿易廳次長から説明があつたのですが、よくわかりませんでしたが、今度の實業視察團に對する觀待方法という場合に日本は非常に汚い。少くとも視察團の來られる附近及び觀光地帶に行かれるであろうから、そういう地帶における國民的、民衆的觀待方法を指導されたらどうか。それからまた清掃運動を展開して、いかに負けたといえども、日本人は清潔なんだという觀念を與えることが必要だから、どうか國民的、民衆的、清掃運動を全國的にやりたいが、できなければ、局部的にも運動をやつたらよかろうということを言いましたのですが、その答辯が曖昧としてわからない。あるいは個人的にラジオや新聞を通じてやろうという程度でありましたが、その後のラジオ、新聞等でそういう運動を展開しておるとか、あるいは國民に協力を求めておる、あるいは各戸で庭先をきれいにしてくれというようなことも全然見受けられぬのであります。商工省もこの視察團に對して、感じよき日本を海外に紹介してもらうために、乏しいなら乏しいだけに、特に觀待方法なり、あるいは清掃運動というようなものを展開することを希望したいのでありますが、商工省ではそれに對してどういうふうに思いますか。やる意思があるかどうか。やるとすれば、早急にどういうふうにやるということは、もう決定されておると思いますから、大臣から御答辯願いたいと思います。
○水谷國務大臣 ただいまの御質問ですが、直接の御答辯になるかどうかはわかりませんですが、このたび民間貿易使節團を迎えるにあたりまして商工省では貿易代表團應接委員會というものを設立いたしました。その設立においては、どういうことをやるかと申しますと、大體貿易代表團の來朝に際しまして、國内各方面のなすべき接待については、中央における貿易代表團應接委員會の立案いたしまする次のような統一方針のもとに、秩序と氣品のある應接をしたい、このように考えております。一々申し上げますと、たとえば、日本の現状に即應した、じみで誠實なる歡迎をするというようなことを第一にうたつております。ただいま御質問者の申されましたように、日本の現状の許す範囲におきまして、じみであるが、誠實なる歡迎をするというようなことを第一にうたつておるのであります。從つてただいまのような御指摘の部分に關しましては、できるだけその趣旨に副うてやりたいと思つておるのでございます。ただこのいわゆる貿易代表團應接指導方針によりますると、ただいまの御指摘のようなことは直接にはうたつておらないのでございまするが、ただいま申しましたような秩序と氣品のある應接をする、日本の現状に即應したじみで、誠實なる歡迎をするという線に沿いまして、できるだけご趣旨に副いたい、このように考えております。
○田口委員 大體了承いたしましたが、最後に、ただ從來の接伴方法というものは、特權階級がやるような感じで、一部の人たちがやつて、國民全體が歡迎するという感じでない。私は國民全體がその重要性と重大なる使命をねぎらうという考え方に導くように、民衆運動としてやつてほしいという希望でありますから、何とぞわれわれの意思をくみまして、その線に沿つてやつていただきたいと希望しておきます。
○水谷國務大臣 ただいまの御趣旨は、こちらの方としても考えておりまして、その貿易代表團の應接委員會は、單に役所だけではないのでございまして、新聞關係あるいは放送関係、その他民間團體の方もみなはいつていただきまして、商工省の原案といたしますところはできれば國會議員の方もそれにはいつていただくという原案をもつたのですが、こういうような委員會に國會議員が入ることが非常にむずかしくなつておりますので、その點はただいま考慮をしておるような次第でありまして、そういう新聞、ラジオ、映畫、その他いろいろの應援を得まして、このたびの貿易再開にあたるところの視察團の應接というものは、國民的規模にやりたい、このように考えております。
○福田委員長 鈴木君。
○鈴木(里)委員 觀光事業の最も大切な文化の紹介でありますが、この文化の中の美術の面であります。觀光者がまず第一につえをひきたいところは、博物館、美術館であります。わが國には、さいわいにして古美術の陳列をしておる、博物館は、國立博物館と奈良の博物館がございますけれども、近代美術館に至つては、悲しいかな、一つもないというような現状であります。世界の文化國と稱せられる國家で、近代美術館をもつておらない國は一つもないように私は考えております。この意味におきましても、近代美術館の建設は急務中の急務であると考えまして、先だつてもちよつと發言申し上げましたが、そのときにおける文部省のお答えは、文部省でも全然同感であるけれども、現在としては豫算と容れ物がない。資材の關係でちよつと實行不可能であるという御答辯であつたのであります。その後、私はこれに關心をもちまして、いろいろの方面と折衝をして、みましたところ、十年ばかり前に、皇太子殿下誕生記念事業として、すでに東京都で近代美術館建設のことに著眼いたしまして、これが資金を募集しておりまして、現在聞くところに寄りますと、二百萬圓の金がそのまま殘つておるのであります。かようなことで、中へ陳列する品物は、美術者たちが競つて寄付するでありましようし、またコレクター——蒐集家も、自分のもつておるものを、美術館ができますれば、そこへ預かつて保護を願うでありましようし、また文部省あるいは宮中、宮内省、こういつたような方面の、今までに買い上げたりつぱな美術品も多多あることでございますから、文部省の熱意さえありますれば、これは實現可能でありましよう。想像されますように、外客が講和条約後にはいつてくるといたしますならば、少くとも今から著手して、その基本的小規模のものでも、ただちに著手しなければならぬと思いますが、これに對する文部省の御見解を承りたいのであります。
○永江政府委員 ただいまの御質問につきましたは、事務當局から御答辯申し上げましたように、文部省といたしましては、今、御質問の御趣旨の線に沿うては、全面的に同感の意をもつております。これを實現いたしますための點については、今、一例として東京都の例をお示しになりましたが、そういう面におきまして、國家豫算以外に美術館として適當なる建物を建て得る、あるいは既存の建物を美術館になし得るという點がありますれば、これはもちろん全力をあげてそれの實現を期したいと思います。先ほど來いろいろ御意見がありましたように、觀光施設の線に沿うても、やはり日本の文化、藝術の面におきます施設を完備したいという熱意を十分にもつております。これは時を逐うて現在の文部省の熱意が具體化していくものと、かように御了承願つておきたいと思います。
○竹尾委員 本會議のベルも鳴つておりますので、ごく簡單に、私おそらく最後のお尋ねかもしれせまんが申し上げます。これは永江文部政務次官にお尋ねすることになると思いますが、ここに一通の墨鮮やかなる趣意書があります。これは今の鈴木委員のお尋ねにちよつと関連するのですけれども、この趣意書は、現在帝國藝術院會員である尾上柴舟さんと、同じく日本書道美術院の總代である豐道春海さん、この方が主として率いておる書道の團體から趣意書であります。それは、將來日本の美術を紹介する上に、書道を——具體的には現在行われておる文部省主催の展覽會の中に、一部書道の部を加えていただけないか、こういう質問でございます。それはひいて日本の文化を世界に紹介するという意味においても、非常に關連がございますのでお尋ね申し上げますが、この趣意書を見ますと、これはおそらく尾上さんがお書きになつたのか、みずくきのあときわめて鮮やかで、この中を見ますと、今や書道はりつぱな藝術性を獲得している、ぜひこれを美術展覧会の中に加えていただきたい。しかも、現在美術展覧会の費用が餘つておるそうでございますので、ぜひそういうぐあいに取計らい願いたい。これは片山總理も、大贊成である、こういうことでございます。尾上さんは御承知のように短歌の大家でありますが、帝國藝術院會員としては、書道の權威として藝術院會員に上がつておる方でございます。そういう趣意書でございますから、どうぞよろしくお願いいたします。
○永江政府委員 ただいま御質問の御趣旨にありますように、書道を日本有數な藝術の一つとして認めていく點については、文部省は同感でありまして、來年度から展覽会の中に書道をいれるという方針でありますので、これは必ず來年度から實行されるものと、さように御了承願います。
○竹尾委員 この件について皆様にお諮りを願いたい。一度關係者をお呼び願いまして趣旨をお聽きしたい、こういうことであります。
○福田委員長 わかりました。いずれ後ほど理事會を開いて、次囘にでも取してやりたいと思います。
○受田委員 委員長にお尋ねしますが、先般お尋ねいたしました皇宮警察と内務警察との關連事項について、御答辯を得たいのでありますが、内務省當局はお見えになつておられますか。
○福田委員長 實は委員長から答辯いたそうと、受田委員の出席を待つておつたわけです。後ほど御答辯いたします。 文部政務次官に御答辯願いたいのですが、前囘受田委員、なお一、二の委員からの御質問があつたのですが、時節柄、宮廷品と申しますか、重要美術品あるいは國寶、こういうものが散逸して、ともすれば新圓階級者の手にはいり、あるいはそれが海外に流出するおそれがある。こういつた嘆かわしい時代になつておるのですが、こういうものに對して、文部當局としてこれを防止するところの対策があるかどうか。こういう質問でございますが、御答辯願いたいと存じます。
○永江政府委員 ただいま御質問のありました點については、文部省も重大な關心をもつておりまして、できるだけ早く法的措置によつて、これらのものを防止することができるならば、それを具體化したいと考えておるのであります。特に重要美術品等の保存に關する法律案と、それから國寶保存法との二つの關連性におきましては、これはやはり一本の法律として新たに改正をして、この間に不備なものを充足して法的措置を講ずる方がいいか、あるいは國寶保存法竝びに重要美術品等の保存に關する法律とのそれぞれを適當に修正して、この間の不備を補つていくがいいかということにつきましては、せつかく考慮中でありますので、適当な時期に皆さんにお諮りすることができると考えております。
○福田委員長 ここで受田君にちよつとお答えしますが、過日の委員会の受田委員の質問において、内務省の方に照會したのでありますが、内務省の政府委員といたしましては、實は内務省の警察關係で監督はしているが、いわゆる臨檢している程度であつて、古物業者の自主的に任してある。犯罪が起こつた場合にはこれは格別であるが、それ以上のことは目下のところやつておりません、こういう答辯でした。いきおいただいまの文部政務次官の答辯と併せて適當に御伴斷願いたいと思います。
○鈴木(里)委員 古美術、國寶竝びに重要美術の海外流出防止の點につきまして、ただいま文部政務次官から、法律を改正するとかいうようなお話があつて、これも結構なことと存じますが、私はいかに法律を改正いたしましても、海外流出というようなことは、法律によつては防止できないと考えるのであります。手つとり早い話が、今日戰災あるいは凋落した所有者、あるいは財産税によつてこれを納めた品物というようなものを保護するためには、政府がある基金をもつて買い上げるよりほかに、絶對途はないと考えるものであります。そこであるいは先ほども申されたように骨董屋の店に出ているようなものがありましたならば、これをただちに買い上げる、その資金が最も大切じやないか。これについて文部省が豫算を計上してしかるべきと考えますが、この點について、文部政務次官の意見を伺いたい。
○永江政府委員 ただいまのお尋ねに關する點につきましては、ごくわずかでありますが、博物館關係に約五百萬圓ほどの豫算は計上しております。それから今お話のように、重要美術が海外流出ないしは新圓階級の心なき者に渡るということを防止するのは、當然十分できないと思つております。しかし、これも先ほど來しばしば御議論のありましたように、豫算の關係がありますので、だんだんと——先ほどお示しのように財産税あるいは今日の經濟上の激變の結果、かなり重要なものが市場に出てくることは必然だと思います。これに對しましても、文部省としては今申しました五百萬圓の豫算を滿足な豫算とせずして、これを適當な時期において増額するように努めてみたい、かように考えております。
○山名委員 この委員會の運營について委員長に希望したいのですが、實はこうして何囘もこの事業の點について説明があり、あるいは御答辯を願つたのですが、この程度で大體諸君の御意向もわかりましたから、委員會の意向を一本におまとめになつた何か法案なり決議案を、早急にこの邊で御説明願うようにしていただきたいと思います。
○福田委員長 よくわかりました、昨日の理事會の打合せもあるので間もなくそのことを委員長から申し上げようと思つておつたのです。 ここで大藏省の東條政府委員にお答え願いたいのでありますが、過日の委員會で委員の諸君から、美術品の買上げ資金が非常に不足いたしておるので、今後こういつた意味合いで非常にまずいのじやないか。現在いくらくらいの資金があつて、どうしているかということを聽きたいという質問があつたのですが、御答辯願いたいと思います。
○東條政府委員 正確な計數を持ち合わせておりませんので、たいへん恐縮に存じますが、ただいま文部政務次官から御答辯のありました國立博物館の所管に上がつておりまするところの買上げの費用が大きなものといたしましては、全部でなかつただろうかと、かように存じておる次第でございます。
○福田委員長 わかりました。 —————————————
○福田委員長 国立公園及び觀光事業に關しては、今後は小委員會を設けて調査を繼續いたしたいと思います。 なおこれは國政調査の承認を得ておきたいと考えますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福田委員長 御異議がなければ、さように決します。 それでは小委員を御指名いたします。 榊原 千代君 馬場 秀夫君 高橋 長治君 並木 芳雄君 鈴木理一郎君 多口助太郎君 受田 新吉君 以上七名の御方にお願いいたします。 本日はこれをもつて散會いたします。 午後二時五十二分散會