農林委員会 第55号
- 発言数
- 15 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1947/11/29
会議録
○野溝委員長 會議を開きます。
○細野委員 昨日奥野民事局長を通じて刑事局の方へお尋ねしておきましたので、多分傳言があつたと思いますが、御答辯を承りたいのであります。簡單に質問の要旨をもう一遍繰返しますと、第一點は、地主の小作人の對する農地賃貸契約の解除、もしくは改約、その改約に中には合意約を含むということに今度改正せられたのでありますが、その場合には、その市町村の農地委員會の承認を得なければならぬ、これは罰則をもつて勵行せられることになつております。そうしてこの自作農創設が實行せられることになりましてから、地主の保有面積が一町歩に限定されることになりましたので、地主さんの中にはこの一町歩の殘された面積を自分が取上げて自作したい。食糧事情も窮屈でありますし、小作料も金納になり安くなつたので、そういう考え方をせられる方がたいへん多い。それでいろいろな手段をもつて土地を取上げて、結局承認を得なければならぬという、これに違反する事例が非常に多いのでありますが、これに對して、司法當局はその罰則の勵行をどの程度にやつておられるか。昨年の委員會でその點が問題になつたときには、今まで一件もなかつたということであります。そうしてそのとき政府は、この取締りの勵行については、これから大いにやるという御答辯であつたのでありますが、その後一年間における取締の實績を、檢擧の件數なり、起訴の件數なり、あるいは判決のあつた件數などについて、御答辯をお願いしたというのが第一點であります。
○國宗政府委員 お答えいたします。農地の取上げに關しまして、統計をとりだしましたのがはなはだ後れておりますので、昨年以來の統計につきまして、正確な點をお答えすることができないのでございますけれども、大體農地調整法違反の全般に關しましては、昨年の七月から今年の八月までの違反の受理人員は三千四百四人でございます。これはいわゆる農地の移動制限、あるいは農地の改廃の制度、あるいは農地の統制額の違反、あるいは農地の認可額の違反、あるいは農地の取上げ、小作料の金納化違反とか、あるいは小作料の引上げ停止違反とか、そのようなものを全部通じまして、ただいま申し上げた數になるのでございますが、現在のところ、ようやく私ども整理をいたしまして、今年の九月分と十月分の二月分にわたりましては、各違反に統計をとつて見たのでございます。これによりますと、御尋ねの農地の取上げに關しましては、全國で合計百六十九件ございます。そのうち略式請求をいたしましたのが十六件、公判請求をいたしましたのが一件、合わせて十七件でございます。それから起訴猶豫、いわゆる犯罪の成立を認めまして不起訴にいたしましたのものが三十一件、その他犯罪の嫌疑がなかつたとかいうような趣旨で不起訴にいたしましたのが十九件、結局不起訴が五十件ございます。さらに檢察廳の管轄別によりまして、他廳に移送いたしましたものが二十二件ございまして、まだこの統計をとるまで處分未濟になつておるものが八十件ございます。大體かような状況でございまして、昨年は一件もなかつたということでございましたが、本年になりましてから、これに農林省の方とも御連絡をとりまして、私どもの方から次官の名前をもちまして、農地調整法の違反事件に對しましては、十分に取締りをするようにという通牒を出しております。さらに本年の十月の二十三、四日に經濟檢事の會合をいたしまして、その席で、特に日本の農地の民主化という観點からいたしまして、この農地調整法の違反に對しては十分な査察の目を光らせてくれ、司法警察官その他を督勵していただきたいということを、私の方から指示いたしております。今後におきましては、十分この違反に對しまして適切な取締りができると考えております。
○細野委員 第二點といたしまして、金納の點につきまして、金納制度の違反をやはり昨日お尋ねしたのでありますが、今の御答辯によりますと、そういう件別についての御答辯がないようでありますから、金納の點も今の御答辯の中に含まれておるというふうに解釋してよいと思うのでありまして、この點については了承いたしました。次は、農地改革という仕事は、非常な大事業でありますから、農林省だけの仕事であるというふうにお考えにならずに、司法局も協力していただきたいことを、私は結論として申し上げたいのであります。それで、やはりそれに關連いたしまして、昨日第三點としてお尋ねいたしましたが、農地委員會がその職權によつてある地主を不在地主と認定する、これはこの村に家はあるにはあるし、妻もおる、具體的に事例を申し上げますと、妻子は村におる、しかし本人はほかに仕事をやつておつて、他町村に妾と一緒に住んでおる、實際上村にはいないのだ。そこで農地委員會は農地委員會獨自の判斷で、それを不在地主と認定して、不在地主としての扱いを買收計畫の中において立てた。ところが地主はそれに不滿で、これは農地委員會が事實を捏造して公文書を偽造したのだ、こういう理由で告訴した。そこでこの事案を警察署が取上げたということが、私は問題だと思うであります。これは市町村農地委員會が獨自の判斷で、自分の職權でやつたのでありまして、こういうことが公文偽造などということになろうはずはないのでありますが、そういうことを取上げたということ自體に私は問題があると思う。やはりこれは、そういう取締當局というものが、農地改革というものの趣旨をよく了解しておらぬために、かような間違つた扱いをするのだと思うのであります。その點について司法當局の御見解を伺いますとともに、もう少しこの農地改革の趣旨を十分に、そういう取締の末端にまで徹底するようにしていただきたいとことを私は申し上げたいのであります。
○國宗政府委員 お答えいたします。ただいまの御指摘の事件がどういうふうなものでありますが、私ども報告を受けておりませんのでよくわかりませんけれども、しかし、かりに犯罪でも何でもなくても、告訴がありますと、警察官の執務規範というものがありまして、一應告訴としては受理することになつております。あるいはその點で受理して取調べをしたのかもしれませんけれども、もちろん私どもの方といたしましては、農地調整法違反事件につきましては、十分な理解と、それからまたこれを徹底して、この法律の趣旨に合うように取締りを勵行するように指導いたしておるのであります。今後もなおその點につきましては、十分よく留意に副いたいと思つております。
○細野委員 第三に、これは刑事局長にお尋ねするのは少し筋違いかもしれきせんが、實はきのう聴けばよかつたのですが、けさ質問するようにといつて頼まれた問題であります。司法省では、この農地調整法を勵行するように各裁判所なり檢察廳なりに通牒を出されたということを承つております。農地調整法を勵行するために、農地調整法において取扱い得る事件は小作調停によらずにやれ、こういう趣旨の通牒を出されたということを聞いておりますが、實際においてはしかしながらなお、農地調整法あるいは農地委員會において處理し得べき事件であるにかかわらず、小作調停にまわされておる事例が多いのであります。この點は司法大臣の通牒がまだ未徹底であると考えるのでありますが、どういうふうにお考えなつております。
○國宗政府委員 私どもといたしましては、ただいま御指摘になりました趣旨で通牒いたしておるのでありますけれども、なおその趣旨が徹底しておりませんでしたならば、今後それを十分徹底さすようにいたしたいと存じております。
○野溝委員長 この際委員長から司法當局にお伺いをしておきたいと思います。ただいま細野委員の質問は、農村民主化の上に重大なる發言でありまして、特に私はそれに附加いたしまして一、二お聽きしておきたいと思います。土地取上げの問題に對しまして、農調法を適用してやるように努力するということは、すでに司法大臣も繰返し繰返し申されておつたのでございます。なお地方おきましては、舊法でありまする小作調停法を適用いたしまして、遂に地方におきましての農地の粉議を激發しておるような場所も相當多いのでありまして、これらに對してその疑義と、問題の紛糾を最少限度に抑えるために、司法大臣は農林大臣、内務大臣の三大臣会議の上に、三大臣連名をもつて各地方に通達するというお話でありました。由來その趣旨が徹底しておりませんので、本年六月だと思いますが、六、七月あらためて司法大臣に會見いたしまして、その徹底を要望いたしましたところ、新法は舊法の優るという考え方、竝びに農地改革の精神からしても、農調法を適用するのが妥當と認めるので、未だ三大臣の話合いはついておりませんが、それでし司法大臣と單獨に通牒を出すことにしようということで、お別れしたのであります。その通牒を出した日時がまだ明確になつておりませんが、この際通牒を出された日時をお知らせ願いたいということが一つ、なおこの上とも趣旨の徹底に當局が努力されるや杏やということについても、この際お伺いしておきたいのであります。
○國宗政府委員 ただいまの御質問にお答えいてします。司法大臣單獨の通牒は出しておりません。ただ先ほど申し上げたように、經濟檢事の會同を機といたしまして、大臣からも詳細な訓示を出しておりまするし、それからまた私からも指示をいたしております。なお小作調停の問題と農調法の違反の問題につきまして、實は私どもの方の、小作調停の方は裁判所の權限に属しておりまして、はなはだやりにくい點があるのでありますが、小作調停がありましても、農調法の違反の問題がありますれば、これは小作調停のいかんにかかわりませず、私どもはどんどん農調法の趣旨に徹した取締りを勵行したいと存じております。今後におきましても、十分農村民主化のために、この法律の正しい適用については、十分の努力をするつもりでおるわけであります。
○野溝委員長 なお一言お伺いしておきますが、それでは司法大臣で未だ通牒はしていないと申されるるのですね。
○國宗政府委員 さようでございます。
○野溝委員長 農調法の適用をされるべく、それぞれ檢察官に示達しているという御説でございますが、最近茨城縣における事件、あるいは三重縣における事件、各地における農地問題の事件の内容を見ますると、いずれも小作調停法を適用いたしまして、農調法に適用いたしておらないように見受けるのでございます。かような事件は、全國各地からその資料が蒐集されているのでありますが、今當局におかれましては、農調法を適用すべく巖重申し渡していると言われますが、その間の命令が徹底しておらないように思いますので、この際あらためて農地改革の精神からいいましても、農調法を適用するように巖重に示達願いたいと思います。
○國宗政府委員 ただいまの御説了承いたしました。
○細野委員 本日はこれで散會を願います。
○野溝委員長 本日はこれで散會いたします。 午後零時五分散會