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1回国会衆議院1947/09/22

農林委員会 第23号

発言数
24
登壇者
5
会派数
2
開催日
1947/09/22

会議録

野溝勝日本社会党

○野溝委員長 會議を開きます。  會議に付する議案の審議の前に委員長から報告を申し上げておきたいと思います。先般本委員會におきまして和歌山縣下の水害、旱害の視察に不肖私参りました。その報告を文書にまとめましたので、簡單に御報告申上げたいと思います。簡單ですから朗讀いたします。  今夏和歌山縣下のこうむりたる旱、水害の被害は甚大をきわめ言語に絶するものがあり、その範圍は旱害において紀北一帶、水害に於ては紀南全土に及ぶ廣汎な地域にわたるものであります。以下農林關係被害の概要はおよそつぎの如くであります。 一、旱害關係(紀北地帶)  枯死せる旱害耕地面積千二百二十九町歩に達し、この減收石數ざつと六萬四千石に及び、なお他に植付期旱害による植付不能に至るもの四百七町歩、この減收見込約九千石、ほかに旱魃被害五千四百五十町歩、この減収六萬三千六百石に達するのであります。さらに甘藷被害約五千町歩、この減收見込九百九十二萬三千餘貫となり、その他稲の病蟲害發生面積三千二百六十町歩、さらに増加を豫想せらるる面積五千三百町歩を加ふるならば、今後の減收量は半ば皆無の事情にあります。 二、水害關係(紀南地方)  田、畑、畦畔の流失千三百十九町、農道被害約三萬間、その被害の總額は約二億圓に達し、他に林業關係において流失素材二十六萬四千石、製材一萬石、その被害額は八千五百三十八萬石に及ぶのであります。流材防止施設の被害十八箇所、この被害額二千八百萬圓、林道被害路線數百二十五、この延長約十萬メートル、被害額千三百六十萬圓、荒廢林地被害面積百四十町歩、この被害額四千五百萬圓、その他農作物の減収三千萬圓、肥飼料農機具被害額二百萬圓に達する状況であります。  食糧被害としては、營團所有のもので浸水または流失を加え三千二百七十四石を數えその他消費者所有等があります。  以上旱、水害に伴う被害の概要を御報告申し上げたのでありますが、かかる災害の原因は主として氣象の異變に左右せらるるとはいえ、水利、治水事業の不備、開墾の無計畫などが災害の主因を助長しているのであります。  なお今囘和歌山縣下のこうむりたる旱、水害地は、和歌山縣下穀倉地帶にしてさきに南海震災地區だけに相次ぐ災害の打撃はきわめて深刻であり、耕作農民は文字通りぼう然自失の體の中にあるも食糧事情の重大性を自覺し、自主的にこれが再建に苦鬪を重ねあるも、環境はきわめて不利のため想像に絶する障害に逢著しているのであります。これが對策については時間的にもきわめて早急を要するとともに、これを恆久、當面の見地より對策を樹立し、もつて我國農政の完璧を期すべき要があります。以下對策二、三についてこれを申し上ぐれば 一、給食を徹底し速やかに再建の機會を與えること。 二、援護生活必需物資を放出する反面、寒冷期對策をも合わせ考慮すること。 三、農業再生産資材を應急に配給すること。 四、肥料、種苗等については速やかに手當てすること。 五、食糧供出に對しては早急にこれが割當調整をはかること。 六、各種課税は大幅減免または控除の道を講ずること。 七、農業保險制度を遡及して適用すること。 八、復興のため封鎖支拂の一部解除を行うとともに、農業再生産に必要なる助成金を至急交付すること。助成金または補助金額未定のため當面金融面に支障を來しているので暫定的措置として政府においては地方金融機關に對し保證の措置を講じ應急處置に對應すべきである。 九、住宅對策として早急にこれが措置を講じ、寒冷期をして遺漏なきを期すこと。 一〇、この際原因を探求し恆久對策樹立の要がある。 以上要約して御報告申し上げた次第であります。 —————————————————————

野溝勝日本社会党

○野溝委員長 次に會議に附する議案のうち農業生産調整法について政府の説明を聽くことにいたしたいと思います。

平野力三日本社会党農林大臣

○平野國務大臣 ただいま議題となりました臨時農業生産調整法に關する提案の理由を御説明申し上げたいと思います。  本案は、危機突破經濟緊急對策の第一に掲げられているところの農業生産と供出とを計畫的に連繋させまして、主要食糧の供出制度を根本的に改善する方策に基いて立案したものであります。今日食糧事情が深刻となつてまいりました原因は、朝鮮、滿州等からの輸入がなくなりましたことのほか、わが國内部における農業事情においても、戰争による主要食糧の不足を契機といたしまして、主要農産物の重點的生産の強行、主要食糧供出の強化に伴つて、かえつて行きづまりに逢著し、一方一般經濟の衰退による資材及び畜力の不足等によりまして、農業生産に脆弱化の一途をたどり、その上敗戰による經濟及び民心の變化によりまして、戰時中の矛盾が表面化し、今や何らかの根本的轉換を企圖せずして、このまま推移することを許さない重大なる危機に直面していることは御承知の通りであります。狭小な國土に多数の人口を養い、しかも日本經濟を再建するためには、何よりもまず主要食糧の確保が絶對に必要なことは申すまでもないことでありまして、これがためにはまずもつて供出制度を根本的に改善いたさなければならないと思うのであります。供出制度の根本的改善は、一方では農家に納得のいく合理的なものとするとともに、他面におきましては、農業の再生産を確保し、さらに農業經營の健全な發達を阻害しないようにすることが必要なのであります。すなわち農作物の價格、農家の生産資材、その他の必需物資の供給につき格別の努力を拂わなければならないことはもちろんでありますが、同時に公正かつ合理的な方法によつて計畫的に農業生産を行うこととし、主要食糧の供出は、その基礎の上に合理化することが必要なのであります。  さて本案の重要な點を述べますれば、まず第一に農業生産の割當制を實施いたしまして、同時に事前に供出の割當をも行いまして、農家の生産と供出の責任制を確立することにあるのでございます。すなわち米、麥、芋類にいて、あらかじめ農業計畫というもつのを定めるのでありますが、これはこれらの生産數量、作付面積、供出數量を割り當てて、農家の生産及び供出の責任を明らかにするとともに、それに對して肥料等の資材の配給の裏打ちを計畫的に行うのであります。しかして同時に農家の責任の限界をも明らかにする意味において、強制的な意味における追加割當は行わないのであります。  第二に、この割當の方法は、農林大臣が經濟安定本部總裁の定める方策に基き、中央農業調整委員會と知事の意見を聽き、都道府縣別に農業計畫を定めて、これを知事に指示するのであります。知事はその指示に從い市町村別に農業計畫を定め、これを市町村長に指示し、市町村長はその指示に從い農家別に農業計畫を定めて指示するのであります。しかして知事が指示する場合には、あらかじめ都道府縣農業調査委員會の議決を得ることを必要とし、市町村長が農家に指示するにはあらかじめ市町村農業調整委員會の議決を得ることを必要とするのであります。農家別の農業計畫はこれを公表し、農家に異議の申立を認めて、割當の公正を期し、農家の納得のいく生産と供出とを行つてもらおうとするのであります。  第三に、以上のようにして、あらかじめ生産と供出との責任數量を明確にするのでありますから、肥料はその生産の計畫と結びつけて割當を行い、肥料以外の農業用資材についても、可及的に生産計畫を参酌して配給することになるのであります。また指示通りに作付を行つても、災害その他やむを得ない事由で、計畫通り生産ができないときには、農家は、供出數量の變更を市町村長に對して請求することができることになつております。  第四に、以上のようにして民主的な、かつ合理的な方法と手續きによつて割當を行い、重要な農産物の生産と供出を確保するのでありますが、特に必要がありますれば、知事は、ある種の不急作物の作付を制限するために、その作付について市町村農業調整委員會の承認を受けさせるとか、また農業生産上の障害を排除し、または増進をはかるため、必要があれば市町村農業調整委員會に病蟲害の駆除豫防、水利の調整、農業用施設の共同利用等について、農家に對し必要な指示をする權限を與えておるのであります。  第五に、以上のような措置は、その實施機關が民主化されなければ從來と何ら變ることがなく、實效もまたあがらないわけでありますから、市町村及び都道府縣農業調整委員會を設置し、その委員は農民の間から公選することにし、他に學識經驗者若干名を加えることにしたのであります。さきにも述べましたように、生産及び供出割當は委員會の議決を必要とするのであります。末端においては、その計畫の樹立と實施の後に必要な専任職員を設置することになつておるのであります。また農林省には中央農業調整委員會を置いて、農業計畫の樹立と食糧管理の實施に關する重要事項を審議することにいたしております。  なお、本法案は當面の食糧危機を突破するための對策であり、主要食糧の生産と供出とを確保するためのものでありますから、その有效期間を一應昭和二十四年三月とした次第であります。  以上が臨時農業生産調整法の骨子となる點でありまして、要旨とするところは、農家の生産意欲を高揚して増産への努力を勵まし、食糧問題の根本からの解決をはかつていきたいと考えておるのであります。  以上臨時農業生産調整法案の提案の理由を申し上げた次第であります。何とぞ御審議の上、速やかに可決あらんことを希望する次第であります。 —————————————————————

野溝勝日本社会党

○野溝委員長 この際大臣の時間の關係もありますので、提案されました重要肥料業統制法等を廢止する法律案、及び農地開發營團の行う農地開發事業を政府において引繼いだ場合の措置に關する法律案、右二案を同時に説明願うことにいたします。農林大臣。

平野力三日本社会党農林大臣

○平野國務大臣 重要肥料業統制法及び日本輸出農産物株式會社法はこれを廢止する、この法律案に關しまして、提案の理由を申し上げます。  昭和二十二年法律第五十四號、私的獨占の禁止及び公正取引の確保に關する法律の制定の趣意に從いまして、重要肥料業統制法及び輸出農産物株式會社法を廢止することが適當と認められるのであります。これが本案を提出する理由であります。  以上簡單に提案の理由を申し述べた次第でありますが、これまた何とぞ速やかに御審議の上、可決あらんことを希望する次第であります。  次に、農地開發營團の行う農地開發事業を政府において引き繼いだ場合の措置に關する法律案につきまして、その提案理由の大體の御説明を申し上げたいと思います。  農地開發營團は、昭和十六年、當時における主要食糧農産物の需給の状況に鑑みまして、食糧自給の強化をはかるため、大規模な農地の造成及び改良事業を計畫的に遂行いたす目的をもちまして、農地開發法に基いて設立され、資本金三千萬圓、うち政府出資千五百萬圓の國家代行機關であります。  設立以來六箇年間における事業の實績を申し上げますと、まず農地開發法による事業につきましては、農地造成事業が、地區數二百四十七地區、造成面積田畑合計一萬七百八十六町歩、農業水利改良事業が、地區數二十四地區、受益總面積十五萬八千町歩になつております。  次に、緊急開拓事業につきましては、昭和二十年度から本年七月までの實績についてみますと、受託地區數五百四十五、造成豫定田畑面積は十三萬四千町歩で、造成した面積は、田畑合計二萬八千町歩に達するのでありまして、緊急開拓事業においてこの營團の占める地位はまことに重要なものがあるのであります。緊急開拓事業は發足以來すでに二箇年を經、相當の成績を收めてまいつたのでありますが、今日國土資源の合理的開發の立場に立ちまして、眞に恆久的な政策として開拓事業をみるときは、大規模な開拓事業は、その性質上やはり政府の責任において實施するの體制を徹底せしめることが妥當であると考えるのであります。地方におきまして、營團という特殊法人は逐次解散されまして、公園その他の形式に移行している現状にありますが、農地開發營團もまた關係方面の示唆もあり、こうした一般方針に則りまして、これを閉鎖機關に指定することにいたしたのであります。ここにおきまして、この營團の施行してまいりました農地開發事業及び緊急開拓事業は、ことごとくこれを政府において引繼いで行うことにいたしたわけであります。  御承知のように、政府の行う開拓事業に要する土地等の取得及び處分に關しましては、自作農創設特別措置法及び自作農創設特別措置特別會計法があるのであります。從いまして、今囘營團から引繼ぐ土地物件はあたかもこの措置法によつて買收したと同一の取扱いをするのが至當であると思うのであります。  次に農業水利改良事業につきましては、農地開發法の中に受益者負擔の制度がありますので、政府引繼ぎ後におきましても同様の制度を認める必要があると考えたので、營團の事業引繼ぎに伴いまして、以上の二點について規定を設ける必要を認めたのであります。  以上が本法案を提案いたしました理由の大要であります。何とぞ愼重審議の上御可決あらんことを切望する次第でございます。 —————————————————————

野溝勝日本社会党

○野溝委員長 お諮りします。ただいま政府より説明になりました以上三法律案に對する審議は次會に讓ることにいたしまして、本日は農業資産相續特例法案について御審議を願うことにいたします。農業資産相續特例法案に對する質疑の通告があります。これを許します。重富委員。

重富卓日本自由党

○重富委員 本案につきまして少しばかりお尋ねいたしたいと思います。今日の政治情勢や社會情勢等からいたしまして、農家がますます零細農と化しようといたしておりますときに、この法案を出されることにつきましては、心から敬意を拂うものであります。しかし前囘細野委員からも御指摘があつたように、この法案にはあまりにもむつかしい用語が使い過ぎております。これはなんとかしていただかなければならぬと思います。またせつかく農業資産を引繼いだ者が引き繼ぎはしたものの經營難に最初から陥つてしまいはしないかということ、また無用の相續争を起しはしないかというふうなおそれがあるのであります。先代まではうまく經營できたが、この引繼ぎの際から以後は、經營が非常に困難になつてくるというふうなおそれがありはしないかというような點があるのであります。これらの點につきまして少しばかりお尋ねしてみたいと思います。  その第一點は、農業資産が第十條第一項ないし第三項の規定いたします相續分に相當する財産の價額より超過するときは、他の共同相續人にその超過額に對する代金を支拂わねばならぬということになつておりますが、大體中小農のもちますところの財産というものは、そのほとんどが本法にいう農業資産であつて、おそらく八割ないし九割というものはそうであろう。これは私自身の經驗、私の家のことから見ましても、また私どもの周邊の、私どもの仲間のことを考えてみましても、そこらのところまでが農業資産であるというふうなことが思われるのであります。本法に言いますところの農業資産が農業者の全財産であると言つても過言ではないというふうに考えるのであります。大農とかあるいは兼業農家といつたような、専業農家以外でありますならば、この農業資産以外の資産というものも考えられますけれども、そうでなければほとんどがこの農業資産であるというふうに考えられるのでありますが、そうしたことは政府委員も御承知のことと私は思つております。その資産の過剰分に對して支拂いをしなければならないということになりますと、ちようどその時期には遺産相續税の支拂いというふうなこともありますので、かような形で引き繼いだのでは、農業の經營は最初の出發點から、はや借金をもつてやらなければならぬ、こういうふうな問題が起つてくると思われるのであります。農業經營の安定が最初から不安定な状態で出發するということになりますと、本法案の第一條に定めてありますところの、その目的にも反するようなことになるのではないかということが考えられるのであります。一體農家が一旦その經營上に傷をもちましたならば、その傷は容易に囘復しない。そして遂に没落してしまうということは、今まで自作農創設のやり方につきましてもあつたところであります。この點から考えましても、また今日インフレの最大の被害者である者はだれかということをお考え願いましても、こういうふうに最初から借金を負うて出なければならないような經營を農家に負わせるということでは、本案の目的にも反するものではないかと考えられるのであります。まつたくこういうふうな第十二條のあります關係上、第一條の農業經營の安定をはかるということは、空文に終るおそれがあると思うのであります。もし第一條の目的が果したいならば、農業資産だけは無條件でその相續人に繼承さすべきではないか。それでなければまつたく意義がないと私は思います。なぜ第十二條のようなものを設けなければならなかつたか。またこの場合七割五分と限定したのは一體どういう意味かということをお伺いいたしたいのであります。  それから第二點といたしましては、第六條の規定があるということはよいのでありますが、第四條で推定相續人となつたものがなお肉體とか意思力というものが未完成である。かような場合の保護規定というものがどういうふうになつておるかということであります。第六條がかえつてこの際惡用されるおそれがありはしないか、これに對しまするところの防護の方法はどういうふうにしておられるかをお尋ねいたしたいのであります。それからまた第十二第條の第一、第二項に「疑があるときは、」としてありますが、なぜこれを超過するときと明らかにすることができなかつたか、この點であります。第十六條による農業資産の算定方法は、先日も細野委員から御指摘がありましたように、きわめてあいまいなものでありますが、これをもつと具體的にして、第十二條の「疑があるときは、」という表現はかえた方がよいのではないか、以上の諸點は無用の係争を起すものと思われる點であります。かようなことにしなければならぬ積極的な理由がどこにあるかをお尋ねいたしたいのであります。  それから第三點としましては、第二條では「一時耕作の業務を營む」云々とありますが、第十四條では「農業を營むことを一時やめ」云々とあるのであります。すなわち一方では耕作云々とあつて、他方では耕作という言葉がないのでありますが、この使いわけはどういう意味をもつておるのか。全然意味がないのか、この點をお伺いいたしたいのであります。それから一時というのはどういう時日を指すのかを具體的に御説明願いたいのであります。  それから第四點といたしましては、第十五條のこまかい説明を具體的に例を擧げて御説明願いたいのであります。私の解釋いたしますところでは、これは多分遺産相續開始前の行為でもつて農業資産が處分され、また處分が條件附でされたというふうなときの救濟規定だと解しておりますが、もしそうであつたといたしましたならば、農業資産相續人に限つて起る現象ではなくして、それ以外の共同相續人ないしまた第三者にも起ることである。かように私は考えておるのであります。しかるに農業資産相續人に對してだけこの求償をしようというのは一體どういうわけか、他のものに對してはなぜ求償しないかということであります。本法が家産法でないということは前囘お話がありましたが、そういうわけでありますから、被相續人が遺産相續という事實の發生前に農業資産を處分するということはあり得ると思います。從つて農業資産相續人以外に對しましても、贈與あるいは遺贈ということは可能であると考えられます。これを本法以外の法律で禁じたというものがありますれば、それをお示し願いたいと考えます。もしそうでないといたしましたならば、他の共同相續人あるいは第三者に對して行われたときの農業資産相續人の求償權なり、現物の返還權といつたようなものを、本法で認めていないのは片手落ちではないかというふうに考えますが、そういうことが認めてありませんので、この點をお伺いいたしたいのであります。  それから第五點でありますが、第十九條で裁判所が裁判するときは農地委員會の委員の意見を聽かなければならないということになつておりますが、そのねらいとしておられるところは私も了解ができるのでありますが、農地委員會の委員の意見というのは、どういう意味かがはつきりいたさないのであります。一人または數人の意見を聽くというのか、あるいは農地委員會の決議に基くものを聽くというのか、その點が明瞭になつておりませんが、もし委員の意見を聽くというのでありましたならば、ただ農地委員の意見といえばいいし、また委員會の意見を聽くということであれば、農地委員會の意見を聽くというのでいい。委員會の委員の意見を聽くということになつておりますので、この點に疑義をもつのでありますが、この點はどういう意味かをお尋ねいたしたいのであります。また農地委員のみならず、他の人たちの意見も聽かなければならないことがこの法案には相當にあると思います。農地委員だけでは財産の査定とか、その他のことはわからない場合もあると思います。そうすれば農地委員だけを特にここに引き抜いたのは一體どういう意味か、その他のものもあげる必要はないかということであります。それから裁判所が農地委員の意見を聽きましたときに、その意見に對してどれだけの拘束をされるか、拘束をされないのか、こういう意味をお尋ねいたしたいのであります。  第六點は、山林が農業者に對しまして重要な資産であることは、前囘細野委員が御説明になつた通りと私も思うのでありますが、農業資産の中にこれが取入れてないのは一體どういうことかということであります。もつともこの際薪炭林の意味がどういうふうに解釋されるかでその點は相當緩和できると思ひますが、この薪炭林ということはどの程度にお考えになつておるか、これらの點をお尋ねいたしたいのです。もし薪炭林ということが非常に狭義の意味でありますと、やはり山林といつたようなものがこの中にはいらないと、農業といたしましても片手落ちの形になると考えられますので、この點についてお尋ねいたしたい。以上六點についてお尋ねいたします。

山添利作農林事務官

○山添政府委員 重富委員から非常に深くこの法律を研究されました上においての御質問がございました。一章ごとに御答辯申し上げたいと思います。  第一に特別相續分として全財産の二分の一ということを限度といたした、その結果現實の農家の資産の中で、農業資産が九割を占めているような場合が通常であるが、その場合に初めから農業を承繼したものが、たとえ兄弟であるにしても、若干の借金をしよつて出發することになるではないか、仰せの通りであります。しかしその割合はどの程度の負債になるかと申しますと、まず全體の五割は特別相續分として餘計にもらう、假に相續すべき兄弟が二人であるとすれば、農業資産相續人の相續分は七割五分になりますし、三人でわけるということであれば六割六分になり、四人でわけるということであれば六割二分五厘、こういうようなことになりまして、相當程度保護されておる。從つてかりに農業資産の額が全體の資産の中での八割乃至九割といたしましても、まず最大限全體の資産についての三割とか二割とかいう範圍に止まるわけでありまして、その程度のものでありますれば、それは償還ができることであろうと期待をいたしております。もとより農業を受け繼ぐ人だけの立場から申しますれば、重富委員御指摘のような事態よりも、さらに進んで農業資産の全部を特別相續分として受けるということが望ましいとは思いますけれども、それではまた新らしい憲法によりまして均分相續の制度をとつておるという原則に對して、あまりにも考慮を拂わぬということになるわけでありまして、從つて特別相続分として餘計に受けます限度を、民法にいうところの遺留分の範圍を害さない程度にとどめたのでありまして、すなわち全體の資産の二分の一の範圍ということにいたしたのでありまして、これは均分相續の原則をある程度考慮しつつ、農業を承繼する人の立場を擁護していこう。こういう點から出ているのでありまして、この邊が適當なところであり、かつまた妥當な點ではないか、かように存じておるのであります。なおまた將來状況によりましては、農業資産を受け繼ぎました人が、他に償還するところの負債等を容易ならしめるための金融の制度等は、併せて考究いたしていきたいというふうに考えておるのであります。  次に第六條の問題でありますが、指定相續人が農業を營む見込みがないことが明らかというようなときには排除されるという點について、争いをしげくするおそれはないかというお尋ねであります。これは見込みがないことが明らかなときというのでありまして、積極的に見込みがあるということを證明することは、非常にいろいろな場合にめんどうはございましよう。しかしこれは見込みがないことが明らかだという書き方でありまして、たとえば非常にまだ子供であるとか、體が成熟していないとか、なるほどそのときに、これは見込みがあると、こうがつちり言うことはまためんどうでありましようが、しかし見込みがないことが明らかであるということはなおさら言えない。ですからこれは濫用されるこ とはないと思うのでありまして、第六條は、保護される人はあくまでも農業を現實に承繼する人である、この法律の根本條件、根本の思想を表明するという意味におきまして必要であると思うのであります。しこうしてその條文の書き方等におきましても、濫用されないようなことになつているというふうに政府としては考えているのであります。  それから第十二條に、價格を超過する疑いがあるときはというアンキシヤスな字句を使つていることの理由でございますが、こういう從來あまりないような字が使つてあります理由は、幅をもたせるということでありまして、この法律そのものの全體ががつちりした權利義務というよりも、どうせ争いがあるというときが問題でありますけれども、家庭内の事情として、これは將來は家事審判所によつて、諸般の一切の事情を斟酌して物事をきまるというようなことで運用されていくのでありますが、そういう性質のものでありますので、この十二條に規定してあります農業資産相續人の償還義務につきましても、そこにゆとりをもたせる。こういう趣旨が潜んでいるのであります。その一例と申しますか、私どもが考えておりましたことを申しますれば、この前も申し上げましたように、隱居の制度がなくなつた、そうすると親父さんが七十にもなつている。子供も五十いくつにもなつている。そして實質的に申せばもう子供の代になつている。そのときにまた他の兄弟がおれによこせというようなことで、きちつと計算をするといいましても、實際の事情に合わないような場合がある。そういうような場合におきましては、これは當然五十近くにもなりました人が親父とともに働いておつたところの、その働きによつて得たところの農業資産の中の財産分というものを認めなければならないわけであります。ところが現實の場合に、西洋人のように親子の間で賃借をしているというような習慣は、當分は日本にはなかろうと思うのでありますが、そういうような漠然たることもありますので、そこはやはり一切の事情を斟酌して、こういう償還義務等もやはりきめなければならない。そして財産の價格を超過する立場とこうやつてしまわないで、そこにいくばくのゆとりがあるということが一つ理由であるとともに、この全體の法律の取扱いとしては、家事審判所で事情を斟酌してものを調整するというような建前で取扱つていくためには、また法律の字句として超過するときとやらないで、何らかそこにゆとりのある字句を使う必要が立法技術上あるというようなことから、ちよつと奇異な感じがいたしますけれども、こういう字句が使つてあるのであります。  それから第十四條の農業を營むことと書いてありますことと、第二條の一時耕作の業務をやめた場合とどう違うか。これは文字の表現してある通りに違うのでありまして、第二條の場合におきましては、問題は土地に關係をいたしておるのでありまして、元來小作地は農業資産を小作に出しておるのでありますから、農業資産の範圍にははいりません。しかしながら、耕作する人の家族に病人があつて勞働力が不足である、あるいは何らか職業の都合で外に出ておるために勞働力が不足である。そのために一時小作に出しておつた、こういう場合を考えておるのでありまして、これは今の農地改革の法令の中にも同じような規定、同じようなケースを規定しております。もとよりこの一時という期間は何箇月であるか何年であるかということはきつちりいたしておりません。これは常識的に考えて、ある程度長い期間にわたりましても一時であると思いまするが、ただ特別の事情がやみますればまたもと通り自作をする。そうすればこれは當然農業資産に本來屬すべきものであるから、一時小作に出しておつてもこれは農業資産に屬せしめるという趣意であります。しかるに十四條の方は、土地を對象といたしませんで、受け繼ぎました農業資産について農業を營むという意味でありまして、農業とは何ぞやといいますれば、第二條の末項に書いておる通りであります。  それから第十五條の非常にむずかしい御質問であります。これにはいろいろな場合があろうと思うのであります。これは非常にたくさんもらいすぎたという例があるわけであります。先ほど申しますように、本來特別相續人が二分の一と限定をしてある。そして兄弟が二人あれば七割五分しか受取れない。ところがおあげになりました例によれば、農業資産の價格は全體の七割に及ぶ、この場合にはとりすぎになつておるのでありますが、これを贈與または遺贈といたしますことは、建前上遺言等による處分は自由でございますために、尊重はされますけれども、餘計とりすぎがある。そうすれば他の兄弟の遺留分を害しておるという理由によりまして、十二條に書いておりますと同じような償還金、ここの言葉で言えば、遺贈とか贈與の場合は返濟するという問題が起るわけであります。その場合に、物によらないで價格によるということを十五條としては明らかにしたという意味でありまして、十五條がしばつておるのはそういう場合の相續人に對する贈與または遺贈のみであります。極端な例を引けば、これは赤の他人にやるというようなことを、何も制限してないのはおかしいではないかというお話であります。なるほどそういうことは法律上のつり合いから見ますとおかしいようでありまするけれども、この法律全體の構成といたしまして、農業資産を相續する人も保護いたしまするが、同時にまた遺言の自由ということは認めておるわけであります。第十條の第三項に民法千六條の適用を妨げないというような規定も引いております。これは特別相續分が二分の一であるのを、三分の一にしておけというような遺言もできるわけでありまして、遺言等の自由は制限をいたしていないという趣意であります。それでは實際の問題について見ればどうか。この法律の目的とするところは、相續ということによつて農業資産が當然に機械的に分散される。いわば均分相續をそのまま適用されることを防いでおるのでありまして、これが生前處分によつて今までいうところの分家をさす、その場合に土地をつけてやるということは、何ら禁止もしておりません。かようなことにつきましては、おのずから社會の状況、家庭事情によつて、生前に處分しておくこともございましようし、またこの法律の關係によつて、兄が一應農業の資産を全部受け繼いだ、しかし受け繼いだ後に弟にまた半分贈與しようということも制限しないのでありまして、これは家産法のように、あるかちつとしたものを考えて、これを繼續していこうということではなしに、農業資産が殖えたり分割されたりするようなことは、一應社會的な現象として認めつつ、相續によつてわかれるという問題を防ぐためにこの法律の適用がある。こういう趣旨であることを御承知願いたいと思います。  それから第十九條でございますが、委員等の意見と言いますのは、委員一人または數人、また委員會全體の意見でもよろしうございます。ただ委員會の決議をもつてしなければ答申ができないのだということがありますると、これは必ずしも適當ではないわけであります。こういうふうに制限いたしますれば、從つて委員會の決議として聽くという場合もありましよう。委員會のうちの數人の意見を聽くということもありましようが、それは運用に任されている。しかして委員が意見を申し出ました場合に、その意見に拘束されるやいなやということにつきましては、これは裁判所は拘束をされません。農地に關することでございますし、また農地委員は村の人でありまするので、農業を承繼するに最も適當なる人に農業資産を承繼せしめたいという趣旨からの第十九條の規定でありまして、それではその他萬般について、いわゆるもの知りと申しますか、常識のある、また世間の信望のある人の意見を聽くことが必要ではないかという點につきましては、家事審判法等が施行されますれば、この法律もまた改正されて、家事審判所でさばくということになつておりまするので、その場合にはまたお話のような點がそちらの方で行われる。かように存じておるのであります。  それから山林を除外しておるのは不備ではないかという點でありますが、自家用薪炭原木採取の目的に供される土地の所有權、すなわち農家の普通もつております山には、もとより用材をとることを目的とする山林と、自家用の薪炭、燃料をとる、また草を刈るというような、農業經營と密接不可分の關係にある山と二通りありますが、この場合には、農業經營と密接不可分の關係にある薪炭林を考えたのでありまして、もつぱら用材を目的とする山林についてはこの法律の對象としてはいないのであります。

重富卓日本自由党

○重富委員 大體御答辯で了解のできる點もありますが、私の質問の第一點について、新憲法あるいは民法等のことも考慮してこういうふうにしたというお話でありまするが、それからいきますと、第一條にある農業經營の安定をはかるという點が、相當ここで抹殺されてくるように思えるのです。實際今まででも、わずかな借錢をもつても農家はやつていけなかつたというのが事實であります。これは農林省の方でも御承知のことと思いますが、長い間自作農創設ということをもつぱらやられた、しかもそれが地主擁護だという非難まで浴びてきたところは、やはりそうしたわずかのきずをもつた農業でさえ、この經營が困難だという事實を明らかに示しておるものだと思います。從つてこの點に對して何らかの考慮が拂われない限りは、この農業資産を相續しましたものは實際は非常な困難に陥つてしまう。結局農業を放棄しなければならぬというふうなことが相當起つてくると思うのであります。と申しますのは、農業資産というものは大體が物でありまして、あるいは動産、不動産であつて、その中にはほとんど現金があり得ないというふうな状態のものがあります。從つてそこには運轉資金も初めからもつていない。こういうような状態で引き繼ぐのであります。これが超過しておるというときには、なおさら現金などの分配のあろうはずはない。また有價證券などの分配があろうはずがないのであります。從つてこれを相續した者がへそくり金でももつておればいざ知らずでありますが、そうでない限りはやはり非常な經營困難が伴つてくる。運轉資金は何もない。その上に借金を負うてくるというような結果をここに招來してくるということは、これを一つながめただけでもはつきりいたします。その上に、現在の状況は、インフレの關係上農業者がその最大の被害者となつております。この大荒波の中で、このことによつて保護しようといたしますならば、どうしてもこの點を考慮していただかなければほんものになつてこないというふうに考えますので、この點をお尋ねいたしたいのであります。  それから、第六條の規定は、明かなときは云々となつておるから濫用されないと言われますけれども、今まででも、家督相續という非常に嚴重な法律があつてさえ、この點を潜つていろいろと伯父や伯母その他のものが、その財産を横取りをしたという例はいくらでもあります。從いまして、こういうふうな事實が起るということを前提にしますときには、これでは濫用されないと決して安心はできないのであります。從つてこの點は、やはり未成年者あるいは後家さんなんかがこれを相續するというふうな場合につきましては、よほどこれを保護してやるという考え方をもつてやらなければ、これらの者はひどい目に遭うということが言われる、かように考えるのであります。濫用されないどころか、むしろこういう状況では濫用される方が一層大きい。これは過去の民法等の規定が相當嚴重なものであつても、こういうことが方々にあるのでありますので、この點を考えなければならぬのじやないか、こういう意味であるのであります。それから、今の幅の問題でありますが、疑いがあるときという問題につきましても、ちようど御説明のような意味のことは考えられますけれども、またそれは全然逆のことも考えられるのであります。從いまして、しかもこの中にはただ請求することができるとあるのでありますから、超過するときというふうに明瞭にしておきましても、強いてこれを請求しなければならない。また支拂わなければならないということにはなつていないのでありますから、疑いがあるときということよりか、むしろそうした方が紛争を招かないのじやないかというふうに考えられるのであります。それから今の裁判關係でありますが、裁判所が農地委員の意見を聽かないでやつたときには、この裁判はどうなるかということを一應お尋ねしておきたいのであります。

山添利作農林事務官

○山添政府委員 市町村農地委員會の意見を聽かなかつた場合といえども、裁判の效力には影響はないのであります。その他の點につきましては、第一條の目的を達するためということにつきましては、先ほど申しましたようなわけで、重富委員のお考えになつておりますところと、また私どもがこの法案の立案に當りましたところと、精神は同じくいたしておるわけでありまするけれども、全體の關連の上における調和點をどこに見出すかという意味におきまして、ここに到達したのであります。その意味を御了承願いたいと思います。  それから第六條の問題は、かような規定をそれぢやなしにすればどうかと言えば、結局農業を營まない人でも農業資産を受け繼いで、財産上の特別の保護を與えられるということになるので、どうしても特別相續人を認める場合にはみずから農業を營む人ということでなければならない。その趣旨を鮮明にしたのであります。その意味から申しますれば、どうしてもこういう規定は要るわけであります。しかしながら、先ほど申しますように、農業を營む見込みがないことが明らかだということは、よほどその人が白痴であるとか何とか言えば、これはしかたがないと思いますが、そうでなければよいわけであります。しかも相續に關する問題として、家族制度というものはもちろんないのでありまするけれども、家族生活というものはある。從つて足がびつこであつても、連れ合いが農業をやる氣がある場合には、やはりその人が農業をやるということになる。その人が農業をやらないことが明らかだという場合はないのであります。赤ん坊の場合は、農業を營む見込みがあるとは言えぬかもしれぬが、いわんや見込みがないということは言えぬわけであります。ですから、法律に書いてあります六條の精神をはつきりいたしますれば、自然これは明瞭になる問題であります。もつとも惡いやつがいろいろなことを惡用するであろうということは、これはあらゆる場合にあることで、やむをえないことと思います。

細野三千雄日本社会党

○細野委員 關連して伺いたい。この立案につきまして、民法等のことを相當考慮を拂われておるというのでありますが、民法の、今の司法委員會でやつておる法律中には、本法に載つておる裁判所という言葉に當る文字が、全部家事審判所という文字になつておる。昨日からの御説明によつても、家事審判所というようなことを御答辯になつておるのでありまして、從つて本法も民法と調和をとつて、裁判所とあるところは全部家事審判所にしたらどうかということ、これが第一點であります。  それから第二點といたしまして、第十九條の市町村農地委員會の意見を聽かなければならぬということ、これは裁判所はその意見に拘束されないというような御答辯であつたのでありますが、一應これだけ讀みますと、何らかの拘束力があるように見える。これは結局司法權の獨立ということに抵觸する一つの憲法違反の規定ではないかという疑いがある。この點の御見解を伺いたいと思う。  もう一つは、昨日も申し上げましたように、これは家産ではないけれども、しかしこの法律から受ける農民の感じというものは、家というものと農業というものは不可分に考えておりますから、結局一種の家産のような氣持で相續するのであります。從つて私は農家における先祖以來の位牌とかいうようなもの、これは民法の上では「系譜、祭具及び墳墓の所有權は、前條の規定にかかわらず、慣習に從つて祖先の祭祀を主宰すべき者がこれを承繼する。」ということになつておりまして、結局農業資産を相續する者が祖先の祭祀を主宰すべきものだと解釋すれば問題はない。だから私は、祖先からの位牌とか祭具とかいうようなものは農業資産と不可分で、農業資産を相續する者が先祖の位牌を相續する、こういうふうにした方がいいと思いますが、この點について御見解を承りたい。

山添利作農林事務官

○山添政府委員 新しい民法竝びに家事審判法が施行になりまして、その後でこの法律を出すということなら、ただいまお述べになりましたように、裁判所とありますのを家事審判所に直し、それから引用しております民法の條文も、新しい民法の番號を引くわけでありますが、現在はなお現行民法が施行されており、また家事審判所というものもできておりませんので、この法律は早く施行したい。新しい民法は一月一日からでありますが、この法律はできるだけ早く施行したいという意味合いから、現行の法律制度によつて立案をいたしまして、しこうして新しい民法、また家事審判所法が成立いたしますれば、次の議會の初めにまたこの法律を改正する。こういう手順を考えておるのであります。非常な手數をして、かえつてわかりにくいじやないかというような御意見もあるかと思いますけれども、この法律を早く施行いたしまするがために、そういう方法をとつておるのであります。  それから農地委員の意見を聽くことは、裁判の獨立を害するおそれがあるかどうかということであります。これはなるほど裁判をする人に對して、農地委員會の意見を聽くという義務をつけたわけでございまするが、この法律全體の取扱いが、家事審判所等で扱うところの、いわば一切の事情を考慮して適當なさばきをつけるというような、こういう協定的な性質をもつておるという意味合いからいたしましても、他の人の意見を聽くことは適切であると思うのでございます。もとよりこれは申すまでもありませんが、一般に調停法におきましては、借地借家の場合も、あるいは小作争議等の場合におきまして、いずれも調停委員の意見を聽く。それが調停である。これは裁判ではないかということは言われまするけれども、事案といたしまして、やはり同じようないろんな一切の事情を斟酌して、適當な解決をつけるという意味において、農地委員の意見を聽くことにいたしたのであります。もとよりその效果はなくても、裁判所の效力には影響はございませんが、そういう意味においてこういう第十九條を設けておるのでございまするから、憲法に違反をするということにはならないように考えております。  それから新しい民法によりまして、墳墓だとか、祭祀だとかいうようなものを受け繼ぐのは慣習による。慣習によると申しますのは結局長男ということであります。慣習が分明でなければ、裁判の決定にまとうということであります。なるほど農業資産を受け繼ぐ人は、長男である場合が多いとは思いまするけれども、そうとは限らないのであります。むしろ弟の方がずつと長く家におつて、兄さんの方は學校に出ておる。學校を出てどこかのサラリーマンになつておる。弟は家におつて百姓をやつておる。こういう場合は當然弟が農業資産を受け繼ぐことになる。しからばそういうときは祭祀はだれが受け繼ぐか。その場合は日本の現状として、その建物とともにその土地におります弟の農業資産の相續者が、受け繼ぐことになるのであります。ところがこの祭祀をこういう農業資産に結びつけるということがよいかどうか。なるほど事實は合致しておるような場合がありますが、これは新しいこういう事實、家督相續が廢止になつた結果として、むしろ細野委員が御指摘になりましたような慣習が、だんだんこれから出てくるのではないかというふうに考えるのでありまして、事柄はおのずから別個に處理しつつ事實は御指摘になつたようなことになつていくのではないかと、私はそういうふうな考えをいたしております。 —————————————————————

重富卓日本自由党

○重富委員 議事進行について發言いたしたいと思います。重要肥料業統制法等を廢止する法律案、農地開發營團の行う農地開發事業を政府において引き繼いだ場合の措置に關する法律案につきましては、質疑應答等を省略して、この際決議していただきたいと考えますので、ひとつ議題に供していただきたいと思います。

野溝勝日本社会党

○野溝委員長 ただいま重富委員から議事進行に關する動議が出ましたので、これを採決いたしたいと思います。なおその内容は重要肥料業統制法等を廢止する法律案、農地開發營團の行う農地開發事業を政府において引き繼いだ場合の措置に關する法律案、右二法律案は獨占禁止法に基き、當然なさなければならぬ法律案と見るがゆえに、質疑を省略して可決せられんことを望むという意味の動機がありました。これをお諮りいたします。ただいまの動機を採決するに御異議ありませんか。

細野三千雄日本社会党

○細野委員 ちよつと質問があります。

野溝勝日本社会党

○野溝委員長 では採決前に細野委員に發言を許します。

細野三千雄日本社会党

○細野委員 農地開發事業の法律案についてお尋ねしたいのは、「政令の定めるところにより」という文言が第二條に二箇所あります。さつき謄寫版でお配りになつたものを實はよく見ておらぬのでありますが、これは勞働省設置の問題に關連して政府にお伺いするのであります。この政令の内容というものが法律事項であるとしますれば、これはやはり参議院にいきましても、勞働省設置の場合と同じような問題になるのであります。この政令の内容はよく見ておりませんが、法律事項ではないのですか。

山添利作農林事務官

○山添政府委員 これは今までのやり方といたしまして、地元に四割負擔せしめるというようなことを農地開發營團と府縣との約束でずつとやつているわけであります。その内容そのままを受け繼ぐ、こういうことを政令に規定するわけであります。從つて法律で書かなければならないというようには思つておらないのであります。

細野三千雄日本社会党

○細野委員 内容は政令か何かでやり得る程度のものですか。

山添利作農林事務官

○山添政府委員 なるほど施行規則をもつているところの都道府縣に費用の一部を負擔されることができるというのであるから、いかにも費用を負擔せしめるが故に、非常に新しい負擔をかけるということであれば、これはむろん法律事項でなければならぬと思うのでありますが、この場合におきましては、現に農地開發營團が府縣等とそういう契約を結んで、他方が一部負擔するもとに事業を施行しておるのでありまして、それをそのまま踏襲するという意味でございますので、これは特に法律をもつて定めるというようなことは要らないので、ただ負擔させることの内容がどういう程度であるかということを、明瞭に政令で書くという程度であります。

細野三千雄日本社会党

○細野委員 今の質疑打切りの動議につきましては、私は重要肥料業統制法等を廢止する法律案につきましては贊成いたしますが、農地開發營團の行う農地開發事業を政府において引き繼いだ場合の措置に關する法律案につきましては、今の政令の問題の御答辯によつて私はまだ了解いたしませんから、質疑打切りには反對いたします。

野溝勝日本社会党

○野溝委員長 暫時休憩いたします。     午後二時五十二分休憩 —————————————————————     午後三時二分開議

野溝勝日本社会党

○野溝委員長 再開します。  ただいま重富委員から議事進行に關する動議が出ましたが、重要肥料業統制法等を廢止する法律案は、獨占禁止法に基いて當然廢止さるべきものであるがゆえに、質疑を省略して可決されんことを望むという意味の動議でございます。これを決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野溝勝日本社会党

○野溝委員長 それでは可決決定いたしました。  本日はこれにて散會いたします。    午後三時三分散會 —————————————————————

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