農林委員会 第20号
- 発言数
- 62 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1947/09/17
会議録
○野溝委員長 會議を開きます。 會議に付する議案の審議にはいる前に、御了承を得ておきたいと思います。昨十六日本委員會において協議いたしました、利根川堤防決壊に關し、その流域及び農作物の被害状況實地調査のため、委員派遣につきましては、一應本委員會において決定し、議長に要請をしたのでありますが、右は各種委員とも關係のある問題も多々あるために、その調査の要請もありますので、これを總合して調査をするの必要がある、かように議會運營委員會の方において意見がありまして、よつて實地調査に派遣されることにつきましては、明日の本會においてこれを決定したいということになりましたので、さよう御了承願いたいと思います。通告の順位に從いまして留保しておきました寺本君。
○寺本委員 私の質問はあとにしてください。
○野溝委員長 それでは岩本委員。
○岩本委員 二つばかりお尋ねをいたします。農業協同組合法によりまして、今まで農會のやつておりましたころ、實際の活動は農事實行組合、養蠶實行組合、そうした組合、團體において農業生産の眞の活動は運營されておりましたが、今囘の農業協同組合法によりまして、その附属としてそうした團體が解消せらるるのでありますが、この協同組合法は一町村一單位の組合を目標とせらるるのであろうと思います。もちろん十五人以上で設立できますから、多くの組合が一町村にできる場合もありますが、理想としてはそうなろうと存じます。そういう場合において、今の農事實行組合、養蠶實行組合等に代るべき意味合いの構想はどういうふうになつておるか、この點がまず一つ。 その次は、今問題になつておりまする、第九條の薪炭生産の業務關係者を農業とみなすという問題でありますが、木材の重要性、薪炭の窮迫せる重要性、こういう點から考えまして、薪炭の生産地、木材の生産地、こうした地帶は、大體において一年に八割あるいは九割というようなものを、そうした方面に主力を注いでいるという地帶が相當多い場合において、私どもの考えているところでは、森林法の活用によつて、現在全國に六千組合もある森林組合、これを活發に活用することにおいて、木材の生産、薪炭の増産をはかる、こういう意味から考えると、この第九條の三項というものに削除した方が適當であり、同時に國家のためにむしろその方がためになる。こういうふうに考えておりますが、この點に對する當局のお考えはどうか。この二點をお尋ね申し上げます。
○平野國務大臣 御指摘のように一町村一單位組合を理想とする、これは大體の構想であります。その場合において、從來の農事實行組合すなわち部落單位の組合がなくなるのであるが、そういう業務を何によつてやるか、こういう御質問でありますが、これは必ずしも農事實行組合というものがなくても、一町村一單位組合の下に、そういうような部落的なる一つの形態をなしたおのずから行動がとれる、かように思うのであります。また考えようによりますならば、その部落々々に協同組合をつくるということも考えられますので、これはその村の事情その他によって、相當現實に即して協同組合を運用していくことができる、かように考えておるのであります。また繰返して申しますならば、一町村一單位ということは大體理想であつて、必ずしも一町村一單位でなければならぬ、こう規定いたしておるものではないのでありますから、これらの點はそういうことにとらわれず、各村の實情によつて自由にものを考えていきたい。かように思うのであります。 それから第九條の問題についての御指摘は、薪炭というものを切り離した方がよいのではないか、こういう御議論であろうと思うのであります。この點についてはつきり申し上げたいと思うことは、なるほど薪炭、こういう物の面からのみ考えますならば、あなたの御指摘のように相なるかと思うのであります。しかしこの法律は農民という人間を中心として考えていくものでありまして、農業者として農業を一方にやり、なおかつ薪炭というものをやつておる者を農民とみなす。こういう人間を中心として規定しておるところの法律でありますので、この農業者がやつておるところの薪炭というものは、やはりこれを農業とみなす。こういう人間を中心として考えてまいります上におきましては、この法律に薪炭を入れておるということは當然である。こういう意味において御了承を願いたいと思います。そこで申し上げたいと思うことは、實際の運用の途上において、この農業協同組合が薪炭を扱うということから起る諸般の副作用と申しまするか、このことから起る實際上の衝突などについては、この法律と別個な觀點から考えまして、木炭及び薪炭等がこれによつて弊害の起らないように善處していく。その善處の仕方についてはいろいろわれわれは考えておるのであります。このことの不便から、この法律の中から薪炭を削つてしまうということには、今日考えてはおらぬ。さよう御承知願いたい。
○岩本委員 一段歩以上畑をつくつているものを、あるいはその他の條件もありますが、農民とみなす。みなすことは適宜でありますか、主として薪炭の生産をやるというこの者については、森林法によるところの森林組合の方へ重點をおいて、これを指導育成していくということに運用される方がよろしい。こういう考え方であつて、ただいま大臣の運用の面において考えるということは、そういうことにお考えがあることと私は想像いたしまして、この質問を一まず閉じておきます。 しかしてこの農業協同組合法の問題でありますが、村の實情に應じて適當にやられるからいいということでありますが、しかしそういたしますと、一つの標準というものがつかめないのでありまして、一體政府の方としては一町村一單位というものを理想とするというただの言葉だけでなく、かなりの理想、極力それに導くということか、あるいはまた農事實行組合に準じたようなものができるからいいということであるか、その限界はほんとうの自然に任しておく指導なのであるかどうか。この點を再びお尋ねしておきます。
○平野國務大臣 これはあくまで農民の自主的な立場から、一町村一單位になるということを望んでおるのでありまして、われわれどうしても一町村一單位にしなくてはならぬという一つの規定をはめて指導するということは、必ずしも穏當ではない。かように考えておるのであります。從いまして實際問題といたしましては、町村にいくつかの問題ができて、やつてみた結果が一町村一單位になるという場合も想像されるのであります。しかし私といたしましては、しばしば申し上げますように、この協同組合法の大體の方針としては、一町村一單位において形成されることが望ましい。こういう言論はしばしば用いておる。こういうところに現在の状況があると御解釋を願いたいと思います。 それから部落單位にあつた從來の農事實行組合がなくなつたからというて、一町村一單位組合をつくつて、從來の農事實行組合のやりましたことに不便を生じないように運用する方法は、他にあろうと、かように思つておるのであります。
○野溝委員長 中垣委員。
○中垣委員 ただいまの御質問と關連しておる問題でありますが、たとえばこの農業協同組合というものが一町村にいくつかできましたときに、今日の農業會が運營しておりますところの事業部面というような點の引繼ぎにも困難を想像されますし、そこで村そのものに農業協同組合の連合會というものをつくるのか、その點が明瞭でないようであります。もう一つは、農業協同組合連合會が事業をやることができるかどうか。この點について御説明を願いたいのであります。
○平野國務大臣 御指摘のようにいくつかに分散した場合においては、利用事業をやるとか、共同事業をやる場合に不便になるから、おのずから一町村一單位になるだろう。こう解釋するのでありまして、その點は言い現わし方が違うのであつて、あなたのお考えと同じであります。それから事業の點についても、この協同組合は法律に規定されておる通りの事業をすべて行うことができるのであります。
○中垣委員 ただいまの御答辯でよくわかりましたが、連合會というものは事業を營むことができるのでありますか。
○平野國務大臣 ちよつと申し落しましたが、部落々々に協同組合ができて村の組合が連合會になるという場合は、むろんこれはいけないということにはなりません。それから村と村の協同組合が連合して郡の連合會、縣の連合會、こういうことももとよりこれは當然あり得ることでありまして、その連合會が事業を行えるかどうかという問題については、もとよりこれは行えるのであります。どういう事業を行うかということは、その連合會の性質によつて決定するのであつて、抽象的には事業はすべて行える、こういう法律の規定であります。
○中垣委員 それからこの農業協同組合法の第二章の事業というところでありますが、第六項第七項のいわゆる加工、貯藏、もう一つ農村工業、その點についてお尋ねしてみたいと思うのであります。農村工業ということは、先般大臣の御答辯の中にもありましたように、農村における工業、こういうことであるということは私も同感であります。しかしながら私がこれから説明いたします農村工業は、農産物を原料とする加工業、そういう狹い意味に申し上げたいのでありますが、この農村工業を實際やろうといたします場合に、既存法に相當觸れる點があるようであります。そういう場合に政府としましてはこれを改廢する意思があるかどうか。もう一つは農村工業というものを實際やらんとする場合、これを保護する意思があるかどうかということが考えられるのであります。それからもう一つは、農村工業の意義でありますが、現在のところ食糧問題の解決に寄與するということが一つと、農産物を加工して輸出商品を生産する。こういうことにならなければならぬと思うのでありますが、それに對しまして農産物の種類等において、政府の方では、こういうものを農村工業化したいというような御計畫があるかどうかということについてお尋ねしてみたいと思います。
○平野國務大臣 農村工業の範圍、考え方についてはこの前申し上げましたので省略いたしますが、御指摘の點は農村工業を推進する上において、既存法と衝突をした場合にどうするかというお問いでありますが、今個々にどの既存法とこの農村工業とが衝突するかという明確なる材料を所有しておらぬのでありますが、お問いの點を想像いたしますのに、たとえば農村工業と言うことを得ない。農民の經營しておらないある工業があつて、その工業がそこの農村の原料品を扱つておる。こういうようなものが將來協同組合の方へ順次移行していくようになるのかどうかというお問いではなかろうかと想像するのでありますが、私の考えとしては、現在各地に、たとえばある澱粉工場なら澱粉工場というものがあつて、農民が利用しておるところの協同組合的な工場もあり、しからざる單なる個人企業に屬するところの澱粉工場もあるのでありましよう。しかしこれを一遍に協同組合に吸収するのだということでやることによりまして、現在當面せる澱粉事業なら澱粉事業というものにただちに影響して、その業務がうまくいかぬというような場合には、これは相當考えなければならぬと思うのであります。しかし將來においては、順次この協同組合が農民の利益を擁護する建前から、農村におけるかような工業はほとんど農協協同組合の手において行われる。從つて農民の利益にすべてこれは吸収されるということになるのが、大體將來の農業形態として當然の歸結であろう、かように私は考えておるのであります。こういう意味において、既存法とこのわれわれの考えとに一つの矛盾がある場合におきましては、むろん既存法の改廢を行うつもりであります。それから御指摘になりました加工すべき範圍の農作物、また指導すべき加工の状況というようなものについては、今ここで一々申し上げる用意がないのでありますが、これは順次われわれの方におきましても、かような計畫を進めていきたい。同時にこのことは、政府がこういう問題をきめるばかりでなく、實際協同組合自體が、自治的にその地方その地方において御決定をなさつていくということが、組合の精神に副うものである。かように考えます。
○大島(義)委員 今の農林大臣の御答辯中に、たとえば澱粉工場のごときは一概に協同組合に全部やることがよいか惡いかということは考えなければならないということであつたのでありますが、少くとも今の澱粉工場は農業會の經營に屬しているものであります。そこで農業會が解散するにあたつて農林大臣が考えるという意味は、依然として農業會の所有を許されるのでありますか。その場合政府はこれを考えるというのか、どういうのかその取扱いに對してお伺いしたいと思います。
○平野國務大臣 私が今申し上げましたのは、農民が協同組合的に經營しているところの工場、これは大體農業會がやつているものと想像いたします。それから農民の資本ではない、ある個人の澱粉工場、こういう二つの問題を想像いたしまして、むろん農民が主體となつてやつているものは、協同組合ができればこれは當然協同組合に移行する。そうでないものも順次協同組合に吸収したいのであるが、協同組合をつくつたらこれを一遍にすぐ吸収するということについては、そのことによつてすぐ澱粉工場がうまくいかないという場合においては、現在の食糧問題に當面影響するから、これらは相當時間的に考えなければならない。こう申したのであります。しかもこれをやる上には、既存の法律があつていかないという場合は、順次既存の法律の改廢を行うべきものである、こういう答辯をいたしたのであります。
○中村(元)委員 私は要點だけ一、二お尋ねしたいと思ひます。農業協同組合法案の制定の精神に對しましては、全面的に贊成するものでありまして、現在日本の農村のおかれておる經濟的立場からこれを見ますと、一日も早く制定せられんことを希望するものであることはもちろんでありますが、しかしその法案の條項について二、三の意見はあるのであります。それは第六條におきまして、「組合は、その行う事業によつてその組合員及び會員(以下組合員と總稱する。)のために最大の奉仕をすることを目的とし、營利を目的としてその事業を行つてはならない。」こういうふうに明らかに制限せられておるのでありますから、おそらく間違いはないと思うのでありますが、今日の農業會の實情を見て判然とするのであります。今日の農業會の運行は、おそらく政府の方も御承知だと思うのであります。農業會ももちろんこういう精神でなされたものだと私らは考えておるのでありますが、現在農業會のやつております仕事が今度定められようとする目的とは大分異なつておるということを参考までに申し上げたい。現在國家は生活物資においてあらゆる面から統制を強化せられつつあるのでありますが、農業會は農業會という名において、しかもあらゆる物資を購入して、その購入せられたものを組合員に配給せられておることは當然でありますが、この配給せられておる價格の面において、決してマル公の範圍内において配給をなされておられない。組合員自體ももちろんやみ價格よりも安く買受けられるものだと喜んでおつたところが、それに反してその價格においては相當大きな開きがあり、中には使用にたえない、食するにたえないようなものまでも、組合という名において配給せられておつた大きな弊害があるのであります。かようなことの裏面をよく伺つてみますと、それほどの暴利をとりながら、ほとんどこれは現在赤字を出しております。これはいかなるところに原因するかということを考えてみますと、やはり組合内におけるところのボスがほとんどこれを左右して、善良なる組合員を一つの材料に用いて、かかることをあえてしておる現状からみまして、今度生れるところのこの組合法は、十分それを取締つてもらわなければならないと思います。しかるに本組合法の第十條の三において、「組合員の事業又は生活に必要な物資の供給又は共同利用施設の設置」、それから第六におきまして「組合員の生産する物資の運搬、加工、貯蓄又は販賣」というこの二つの點を考えますと、法の精神を誤解して現農業會のごとき行為をたまたま生むおそれが多分にあるように思われるのであります。かようなことになりますと、中小工業者が非常に恐慌を來し、ますます窮地に陷れられるような結果となるおそれが多分にあるように私は考えるのであります。これに對して政府の考え方はいかような御所見をおもちであるかということをお尋ねしたいのと、なお農業協同組合法では、第四條において第十三條第一項の規定により出資をさせる組合——出資組合には所得税及び法人税を課さない。地方公共團體は、組合に對して營業税を課することができない。かういうふうに定めておりますので、もちろんこれは奉仕を目的とし、營利を目的としない組合でありますがゆえに、當然課税されないものでありますが、これがたまたま誤まられて、今後中小の商工業者におきまして消費組合とかあるいは協同組合とかいう名において、かような組合を組織いたしました場合、これらに向つて課税をなされるかどうかということであります。これらが農業協同組合法を同じく課税されないということに相なりますれば、現在の日本の經濟はいかにしてこれを保つていくか、全面的國家經濟の見地からながめまして、課税の上に大なる支障ありと考えましたときに、相當考慮の餘地があるのではないかと考えるのでありまして、この點についての大臣の所感をお伺いしたい。
○平野國務大臣 從來の農業會の運營が、最初の産業組合等の創立當時の目的を逸脱して、一種の會社、大きな連合會になりますと、やや株式會社の重役にも相當するような程度に移行していつたということは、實際において農業會自體のためによろしくないことであつたと考えておるのであります。今度の農業協同組合はこの點においてはつきり農業會のさような弊害を除去いたしまして、いわゆる營利を目的とするものではなく、こういう點においてその組合の活動の基本を決定し、かつねらいは單に物を安く買うとか安く賣るとかいうような流通面のことのみならず、しばしば申し上げますように、協同精神によつて農業生産力を増強することによつて組合の本然の目的を果すという點に非常な重點がありますので、ただいま御指摘のような點につきましては、大體において御心配がない、かように考えるのであります。從つて第十條の組合の事業の中に、たとえば必要な物資の供給であるとか、あるいは輸送、こういうような面をいれておるのでありますが、これらは當然許されておりまするところの協同組合の事業であるから、これをいれておるのでありまして、このことは當然なんです。しかしこのことから起る他のいろいろな業者を壓迫するとか、他の業者を奪い取つてやるとかいうような趣意のものではなく、これはあくまで農業協同組合本然の目的を達する意味で必要なる供給であるとか、また必要なる輸送なり、加工なり、あるいは貯藏である、こういうふうに御解釋願いたいと思うのであります。 それから第四條の、いわゆる所得税その他法人税等を課さない點は、このことは生活協同組合におきましても大體さような趣意に相なると思うのであります。ただ商工組合におきましてはその問題はいくらか違う點があつて、税の問題につきましては農業協同組合とは多少差異がある、かように考えているのであります。
○中村(元)委員 ただいまの御説明はよくわかるのでありますが、現農業會もおそらく大臣が仰せになつた趣旨によつて生れたものだと私らは考えているのであります。大臣のごとき常識的に、また法規的に解釋をなさる人ばかりでありました場合には、これで十分徹底せられることと思うのでありますが、地方へ出ますと、一つの組合というものに與えられた權限は、ややともすると絶對のものなりという誤解があるのであります。また人間の常といたしまして、今日ほど生活必需物資の不自由なときはないのでありまして、このときにおいて、自分の手許に潤澤にあります物資は、自然的に横流しが生れてくるということは、これはおそらく論をまたない人情であります。かような點が生れてくることを私は相當に恐れるのでありまして、必然的に生れてくるこうしたものに對する、十分の間違いのない方法をおそらく考えていなければならない。ただ一片の法文によつてのみそれが徹底すべきものであるとは私は考えられない。法文によつてすべてが完全無缺であるならばおそらく今日の社會にいまわしい犯罪が生れてこないと思う。卑近な例でありまするが、腹を抱えて今にも死せんとする目の前に、相當な物資が積まれておりまするならば、必然的にこれに手が出るということは人情であります。かようなことをあえてなしておいて、よつてなした犯罪が今日はどんどん罰せられているという状態でありまして、この點は相當政府としても考慮を必要とするのではないかと思います。ただ私はよつて生ずる最惡の場合を恐れるのでありまして、決してこの法に拘泥するのではないのであります。しかし人間の常としまして、物をもつた者は、いかに使用するかということの考え方が生れてきて、自然そうしたことになりやすいということを私は申し上げるのであります。その點に流れないように、十分なる御配慮を願いたいと思います。 もつ一つは今の第四條の點でありますが、なるほど營利を目的とする商工業の組合は、税を負擔することは當然の義務でありますが、この協同組合法と同じように、生活必需物資の協同組合とかあるいは消費組合とかいうような名においてなされた場合においては、これに向つて課税をするかどうか、現在のままであればそれでいいのでありますが、この協同組合法を一つの手本として、業者がかかる行為をなしました場合を恐れるがゆえにお尋ねするのであります。大臣の御説明は、當然商工業の組合とは趣を異にしているのだから、間違いがないという御説明でありますが、現在の商工業組合が今申し上げたように看板の塗り替をした場合に、その協同組合と同じ法を適用せられるとするならば、當然免税になるべきものであります。そうした場合を恐れまして、その點についてお伺いするのであります。
○平野國務大臣 第一點の御指摘は、政府が價格を統制いたしましたり、あるいは御承知の通りの統制經濟、こういうものをやつておる面においては、御指摘のような場面はしばしばあるのでありますが、そのこととこの農業協同組合とは趣きを異にするのでありまして、農業協同組合はあくまで最初申し上げておるような精神から協同組合を運營する。從つてさような間違いは起こさないように十分できる。こういう考えで進むよりいたし方がないのであります。またそうするつもりであります。それから御指摘の商工組合も協同組合も、大體農業協同組合と同じようにやれば税金をかけないか、こういう點でありますが、生活協同組合は、先刻申し上げた通り農業協同組合とまつたく同じであります。商工協同組合については營業税を課せないのでありまして、その他の税につきましてはこれは課するのであります。從つて農業協同組合と商工協同組合は税の問題については同一ではない。かように先刻申し上げたのであります。
○田口委員 今の大臣の御答辯に關連して、協同組合はもちろん營利團體ではないので、營利行為はしないのでありますが、現在肥料配給公團令によつて農業會は全國的には六割以上が指定商ということにされて指定を受けておりますが、今後農業會が廢止されて協同組合になつた場合には、協同組合は指定商として指定を受ける資格をもつておるかどうか、もしかりにやはり農業會と同じように、肥料を配給する面においては指定商という資格があるとするならば、一般商人と協同組合との歩合、手數料については同じようにするのか、それとも輕減するのか承りたいと思います。
○平野國務大臣 當然指定されるのであります。手數料等については大體のところ同じであります。
○田口委員 大體指定商とそれから協同組合とは、同じように配給業者としての指定を受ける資格をもつておる。しかも手數料が同じだということになりますと、この指定商の方は營業税、所得税、その他の税金を全部かけられる。この組合はかけられないということになれば、結局この組合は營利行為を目的とする組合であると言つて何ら差支えないし、一般指定商人より以上の營利行為をやることになると思うのですが、その點どうお考えになるか承りたいと思います。
○平野國務大臣 ごもつともなお問いでありますが、その協同組合が指定せられて肥料その他の配給の任に當るということ自體は、これはあくまで營利を目的とするのではないのであります。從いましてその點は何ら先刻來の税金の問題については關係はない。かように解釋いたします。その他の團體の點については、もとよりそのこと自體は協同組合と同じでありましても、それはその指定をされておりまするところの團體なり、商店なりが協同組合とは違うのでありますから、その面については別個の協同組合の處置をとらなけらればならぬ、かように御解釋を願いたいと思います。
○田口委員 關連質問ですから……。
○野溝委員長 重大な質問と委員長は認めますので、もうあと一囘許します。
○田口委員 今の大臣の御答辯はどうも納得できないのでありますが、私のお聽きしたのは、協同組合が指定商人と同じような手數料をとるということは營利行為ではないか、また一般の商人ならば同じ手數料をもらつて、しかもその中から税金を拂う。片方は同じような手數料をもらつて、税金を拂わないというのでありますから、當然營利行為を目的としない組合ならば、税金に相當するものは安くし、手數料を少くしてもいいし、あるいは全然手數料をとらずに農民に安くしてやるのがもつと徹底すると思うのに、商人と同じように手數料をとる。これは肥料公團とかいろいろの面でこういうことがあるのでありまして、そういう點を認めると、やはり農業協同組合は營利行為に惰するおそれが十分ありますので、私は普通商人と同じように取扱わない方が一番いいのである。もし農業者の全體の利益のためであるならば、それでやらなければならぬという必要があるならば、手數料は普通の商人より輕減するかあるいはなくするようにしなければならぬと考えますが、もし同じように手數料をとるならば、商人に任した方が、國家的にみて税金のプラスがあるだけ結構であると思いますので、もう一遍、大臣のお答えと私の聽いておるところと食違つておるようでありますから、御説明を願いたい。
○平野國務大臣 ごもつともなお問いでありますが、協同組合の方を特に安くする、商人の方を高くするという方法をとることがよいか惡いかということは相當檢討を加える餘地があります。そこでそういうことは、配給上において同じようにやる方がいいという考え方から申し上げておるのでありますが、さてそこでそれではあなたの御質問のように、協同組合は營利を目的とすると同じことになるから、從つて税金を課すべきものである。課しないならば協同組合は除外するという議論になるのでありますが、これは法案の各所にあるのでありますが、その一例から申しますならば、第五十二條における規定によつて協同組合は剰餘金の配當をしてはならない。こういう一箇條があつて、これを制限しておるのであります。從いましてこの點は他の商人機構とは全然違うのであります。かような點において協同組合は商人機構とは違う。これは法案の各條を調べればこういうところがたくさんあるのであります。こういう點において、同じような手數料をとつても、この點は協同組合の性質は違う。こういうことで御了承を願いたい。
○成瀬委員 この際大臣にお尋ね申し上げたいのは、協同組合の本質が、農民開放につながつておる。土地の面に對するところの農民開放と、また經濟活動の面における農民開放がすなわちこの農業協同組合に大いに期待するものがある。かように存ずるのであります、しかしこの法案は過日來檢討してみましても、いろいろの質疑應答を通じて考えてみる場合においても、この農業會の現在の資産がいかに取扱われるかということは、これは地方民の間における重大な問題でありまして、さいぜん以來の質疑應答における、いわゆる實行組が出資組合としての出資ができるがごとき御答辯でありましたが、先般來の政府委員、農政局長の答辯によるといわゆる實行組は非出資組合といたしまして、現在の運營を農業協同組合のもとにやつていこう、そうして出資組合はこれは農村單位においてやつていくことを理想とする、そういうようにありたい。かような意見でありまして、そこに若干食違いが存しておるように考えられる。從つてこの農業會の現在の資産なるものは、いかにして一町村一單位に自由なる形において指導するかということは、これは十分政府においても、また法の立案者におきましても考えられなければ、そのままにいきましたならば、農村において混亂が巻起るのではなかろうかというような懸念もあるのであります。從つて今日におけるところの農地開放をめぐりましても、依然として舊勢力と新興勢力との壓力がどれほど農地開放、日本の民主化、いわゆる農村の民主化を阻害しておるということは、大臣もよく御承知であります。經濟面からするところのこの農村開放、農村の民主化に對しましては、熾烈なるところの相剋磨擦がここにも生じてくるというふうに考えられますので、これらに對するところの一應の打つべき手を一つお考えにならなくちやならない。もちろん過般における大臣の答辯によりますと、この法案が成立いたしましたならば、別途に民主的な何かの機關を設けまして、強力にその目的のために指導するかのごとき御意見でありましたけれども、しかし具體的にもつと掘下げての御答辯を煩わしたい。從つてこの農業會の資産なるものを、いかにして相剋磨擦を避けつつ、一つ農村民主化のためにやつていくかということの御意見を承りたい。 なお次には技術員の問題でありますが、これもやはり農業資産の關係につながつておりまするが、もしさいぜんからの御答辯のごとく、村に四つ、五つ、あるいは二つ以上の農業協同組合が成立いたしたとすれば、一體この農業技術員をそれらの個々別々の、二つなり三つなりに所屬せしめて、農村指導に當らしむるか。または別途に技術員というものを獨立せしめた機關によつてその村の技術指導に當らしむるか。かような點においてももつと明確なる御意見を承りたい。 次に役員の問題でありますが、いわゆる清算人は設立委員と相兼ることができるや否や。あるいはそれができないものであるか。これらはもつぱら疑問とされております。もし清算人が設立委員としての職を兼ねることができないとか、あるいは清算期間中におきまして農業協同組合を設立するという場合におきましては、新しい農業協同組合の役員として選擧されない。今手もとに配付されておるところの、役員に對するところの案につきましても、十二條の六におきまして、「現に役員の職にある者で二箇月以内に任期が到來しない者の氏名を記載したもの」については無效だとされております。從つてかようなことにつきましては、今日すでに農村が民主化されまして、そうして農業會の役職員になつておる者が相當數あるのでありますが、かような人たちが清算人になり、そうして新しいところの協同組合の役員になれないということになつたならば、人物難にあえぐところの農村におきまして、ほんとうの農村の民主化を阻害するのではなかろうかというふうな懸念もあるのでありますが、こういう點と、もう一つは古き殻を破りまして、まつたく生れ變るところの農業協同組合の指導方針でなくちやならない。かような考えから、殊に農民以外の指導をわれわれは排撃してまいつたのであります。今囘におけるところの改正におきましても、そういつた意向のもとに農民の農業協同組合が生れなくてはならないにもかかわらず、準備委員が役員として選擧されたもの、ここにこういう規定があるのでありますが、理事の四分の三は正規組合員、四分の一はいわゆる農民にあらざるものが理事になる。この執行部におけるところの四分の一の理事の力というものはずいぶん大きく、農村の民主化を阻害するものである。かように考えておるのでありまして、これはもちろん本委員會におきまして、獨自の立場から後日、あるいは適當なときに質疑應答を打切りましたならば、この點に對するところの本委員會における適切なる、立法の精神を活かしていきたい。かように考えますけれども、大臣としてのこれらに對する御見解を承りたい。 以上三つの點とさらに附加えて申し上げまするが、この農業協同組合は今日農村の民主化というような、今まで申し上げた點のみならず、巷間傳うるところの貿易再開、いろいろの關係からいたしまして、農業恐慌に備える。あるいは國内的に農業恐慌に突入いたしておる。從つて新しい農村形成のために、農業協同組合に對して期待するところたるやきわめて大きいのでありまして、これは農村自身においてもその通りである。また司令部においてもその通りである。農村の民主化が成るか成らぬかは、一にかかつて農業協同組合の設立いかんにあるということは、大臣よく御承知のところと思います。かような點を豫想し、そうして新しい農村民主化のために、これらの法案の中にこれらの點まで含めて立案される氣持があるかないか、これを参考に承りたい。
○平野國務大臣 農業會の資産の引繼ぎについて、相當混亂が起るのではないかという御指摘の點については、御同様非常に心配をいたしておるのでありますが、しかしこの點についてはしばしば申し上げましたように、農業會自體の資産を處分するには行政官廳の許可を要するということになつておりますので、現在すでにこの資産の處分問題については、われわれはでき得るだけの手配をいたしておりますので、この點はある點までは御安心を願いたい、かように思うのであります。なおこの資産をどう處分するという問題につきましては、單に行政官廳の許可を得るということ以外に、委員會を設けまして、その委員會に諮つてやるというような準備もいたしておりますので、併せてこの際申し上げておきたいと思います。それから新しい協同組合ができますならば、その協同組合員自體が、おのおの古い農業會においてもつております資産というものは、明確に規定されるのでありますから、その大部分を新しい協同組合へ移轉する、引繼ぐということは、これまたきわめて簡單にできると思うのであります。この點は成瀬君の御心配のごとき點はなかろうと思つております。 次に技術員が、村に協同組合が三つも四つもできたときに、その歸屬が非常に困るのではないかという御指摘でありますが、私は大體村にたくさん協同組合ができるということは、やや例外的な事項ではなかろうか。大體はそんなに村にたくさんできるものではないのであつて、村にたくさんできる場合には、その村の特殊の事情でできますので、その點においては、村の技術員がその村の協同組合に對して歸屬に迷うというような場面は、例外的な事項であるということで大體は樂觀しております。 それから第三の御質問は役員の問題でありますが、古い農業會の役員が新しい協同組合の役員になることがよいか惡いか。こういう問題については、抽象的には新しい協同組合は新しい職員をもつてやりたいというのが大體の理想であります。從つてこの法律の中には、舊農業會の者がなつてはいけないとかどうとかいうことを規定することは、やはりこの法律の自由の原則に反すると思うので、そういうことは明記する必要はなかろう。ただ問題といたしましては、しばしば申し上げるのでありますが、農業會の幹部で、たとえば地主であつたという人が、土地を所有するという優越な地位によつてある地位をもつておつた。この人はむろん土地開放ということから脱落するであろうが、土地はなくても一個の農民として、あくまで村の指導者としての權威と智能をもつという場合には、舊農業會の人であつても、新しい協同組合の役員になることは自然であつて、こういう點は協同組合の自然の發達に任すことが本案の精神に副うものだ。かように私どもは彈力性をもつて考えておるのであります。もとより今度の協同組合は、農業會の焼直しであるという意味から、古い農業會の役員が今から準備行動をやつておることは、おもしろからざる現象であるということでありますが、これについては輿論の相當の制裁があると思いますので、この點も相當私は樂觀しておるのであります。それから準組合員が四分の一もあつて、この協同組合の精神が没却されるのではないかという點は、私は組合員が四分の三を占めておつて、その四分の三が投票の權利をもつておるから、その點については毛頭心配はない、かように考えておるのであります。 最後に農業恐慌と農業協同組合の點でありますが、これは私は將來豫想さるべき農業恐慌に對しては、あくまで今囘われわれが意圖いたしておりますところの農業協同組合の精神によつて、新たなる角度から農業生産性というものを向上し、しかして新しい農業形態というものを多角形的に、有畜化的に行うことによつて、農業恐慌を乗り切るということになりますので、これはしばしば私が申し上げておりますように、この農業協同組合は、この點において土地改革とともに車の兩輪のごとく、日本農業の前途においてはきわめて重大なる意義をもつものである。しかしてわれわれはあらゆる農業政策に優先いたしまして、この土地改革と農業協同組合については、眞に全力をあげてこれが徹底を農村にはかるということは、しばしば言明いたす通りであります。
○成瀬委員 大臣は資産管理につきまして、技術員の關係につきまして、きわめて樂觀的な御意見でありましたが、しかし過去におけるところの農會と産業組合とが統合になりましたあの際におきまして、強制的な方法をもつて、從來村によつて二つあるいは三つあつたものを一つの農業會にまとめるためには、相當の紛糾もありましたが、かろうじてそれができて今日に至つておるのでありますが、かような點が、地域的に考えてまた逆もどりをするということが豫想されます。またもう一つは、舊勢力と新興勢力の立場からいたしまして、われわれは三つなり四つなりそうたくさんな協同組合ができようということは豫想しておりませんけれども、しかしながら從來村におきまして一つとしての農業會の活動があつたが、今囘におきましては、これは少くとも二つはできるものである。かようなふうにも考えられるのでありますが、そういう場合において、帳簿價格によるところのこれらの農業會の現資産を、いかにしてこれを分配なさしめるか、施設が一箇所に縮まつて、そしてまつたく思想も異なる、いわゆる舊勢力、新興勢力の二つの面において相争う間におきましては、いかにしてこれが調停の勞をとるか。これは委員會においてなすというような御意見でありましたが、その委員會はどういうような構成によつてなされるかというような點もお尋ね申し上げたい。また今役員の點につきましては、これは見解の相違でありまして、四分の一といえどもこれは非常な強い力をもつというふうに私ども考えておりますが、あえてそれ以上質問いたしません。ただ農業會の清算人が、これが清算中において新しいところの協同組合の役員に選擧されることは差支えないか、という點については、末端におけるところの、縣のこれらの關係者もいまだにその點が明確にいたしておりません。さいわい今日これを明確にいたしまして、そしてそれらの疑惑をもつ點を一般の縣に知らしめたい。かようにも考えておりますので、この點につきましてさらに御答辯を願いたい。
○平野國務大臣 率直に申しますならば、この資産の引繼ぎは、私は樂觀的に申したのでありますが、もとよりいろいろな複雑なことがあるということは想像いたしております。しかしこれは見ようによりますならば、農村におきますところの大きなる革命といいますか、無血的に行われておるところの變革であるのであつて、かような變革の途上においては、ある程度の副作用が起るということは覺悟しなければなりません。ただわれわれは、從來農業會のもつておりました資産等が、農業方面以外のことに流れるというようなことは、日本の農業の再編成の上において遺憾なことでありますから、かりにトラック一臺といえども、これはやはり次の農業生産に利用せられるように善處したい。この點において行政官廳は、特に農業會の資産處分については嚴重なる態度をとつている、かように申し上げているのでございます。 なお先刻申し上げました委員會の構成については、目下これは立案中であります。どういう形の委員會にいたすことが最も適當であるかということについては、目下その檢討中でありますので、近く本委員會の終了ごろに申し上げたい。この委員會をつくるということだけについては今日言明いたしておきたいと思います。 それから再度御質問でありますが、清算委員と設立委員、別の言葉で申しますと、舊農業會の役員が新しい協同組合の役員たることができるかどうか、これが地方において疑問であるので、この際明確にしておきたい。こういうお問いでありますが、これは原則としては、古い農業會の役員たちがそのまま新しい協同組合の役員たることは欲しない。またさようにならないだろう、かように考える。しかしながら古い農業會の役員であるから、新しい協同組合の役員たることを得ない。こういうことを法律で規定することはこれまた穏當でない。ここは農村の實情に即して相當に彈力性をもつことの方が、協同組合の精神に副うものである。もつと具體的に申しますならば、新しいところの協同組合は、土地改革が行われたその基礎の上に立つところの新しい建築物でありますから、その土地改革の行われた上に起るところの指導者というものは、おのずからこれは勤勞耕作農民であるということは斷言し得るのでありますから、この點において協同組合の主たる役員は、あくまでも農民的な役員、從來の非農民的な役員というものは、法律の制定をまたずしてこれが相當に清算せられるというところに、協同組合の妙味と希望があるということを一言申し上げておきます。
○佐竹(新)委員 ただいま成瀬委員から農林大臣に質問されて、多少重複する點があるかしれませんが、私の見解と異にしておりますので、もう一度重ねて質問申し上げたいと思います。第一番目にお尋ねしたい點は、この組合法の實施にあたりまして、舊農業會は解散されることになるのでありますが、この解散される精神はどういうことで解散されるのであるか、何ゆえに解散されるのであるか。私の見解によりますなれば、少くとも過去において農村の専制支配の手先として、軍閥官僚の手足となつて働いたのは農業會である。その一つの現われといたしましては、昨年實施されました農地改革によりましても、今日農地委員が選ばれてはおりますけれども、實際にあらゆる手段を畫してこの農地改革の妨害をしておりますのは、主として農業會の役員のものであります。これははつきりしております。おそらく長い間農民運動の指導者として實踐的に働かれた大臣は、この點について——大臣になられてからはどうかしりませんが、少くとも農民運動をせられた當時においては、この感を深く認識されているに違いないと私は考えるのであります。從つてこの農業協同組合法が實施されますなれば、農業會は解散される。解散されるその精神というものから考えてみますと、どうしても農業會の役員であつた者が再びこの農業協同組合の役員になれるということは、さつきも成瀬委員の質問に對しまして、おそらく農民はそうしないであらう、こういうような御答辯のように考えておりますが、農村の封建的な、いわゆる泣く子と地頭には勝たれぬ、長いものには捲かれよという、理論を超越しまして、實際問題としてはこの點が一番重大な點ではないかと思います。われわれが長い間農民運動をやりまして、農村の實踐指導をいたしまして、農民運動の組織の擴大に對して一番妨害をしている者は、農業會の幹部、これはもう農民運動を實際に村にはいつて指導している者は、たれでもわかつている點であろうと思います。從つて全國農民組合の諸君にいたしましても、またわれわれ日本農民組合の者にいたしましても、農業會の幹部が再びこの農業協同組合の中にはいつてくることは、これはもう相當に反對をしていると思うのであります。過日私の縣におきましても、擴大執行委員會を開きまして、集まる執行委員三百有餘名の者が決議をいたしました。ここにその決議文があります。簡單でありますから朗讀してみます。 決議文 再建平和日本の農業發展のため農村民主化をはかるとともに獨占資本、官僚、商工業者、配給業者等の非農民的支配を排除してここに働く農民の創意に基く自主的農業協同組合が組織されなければならないとき今議會に上程せられるべき農業協同組合法案の内容を檢討するにまことに働く農民として双手をあげ贊同しておるものであるが未だ戰争指導者封建勢力の強い今日現在の法案において民主日本建設に働く農民としての精神を蹂躙さるる恐れが多分にあるので左記條文を法案中に必ず押入されたい 右決議す 左記 一、日支事變當初より大東惡戰爭終了の間町村農業會(縣農業會)竝びに各種配給統制團體の役員竝びに町村長の職にあつた者は農業協同組合(農業協同組合連合會)の理事監事になることはできない 以上 こういう決議をしたのであります。御承知のように農地改正法によりまして、町村長は實際上は追放者でありまして、この農地改正法によりますなれば、農地委員というものになることはできないことになつておりますか、今日實際の農地委員會におきまして、農地委員會を牛耳つておる者は追放された舊町村長の諸君であります。また配給關係にいたしてもそうであります。これらの者がほとんど牛耳つておる。村におきますところの供出の調整委員にいたしましても、先般本議場におきまして大島委員が質問されましたように、まことに末端においては政府の方針がゆがめられておる。この法案の全體としましては、おそらくそういうことはあるまい。この性格、精神から言いますと、そういうことはあるまいということを大臣はるる申されましたが、これは村の末端にはいつてみると、おそらく村を今日まで支配し、また今後においても支配し續けようとして、すでに農業協同組合法が實施されるというので、今まではかつて農民組合に對して何ら協力的な申込をしなかつた。何のことにいたしましても、農民組合を壊滅するために一生懸命に協力したこれら農業會の役員というものが、今日におきましては、農業協同組合が實施されるならば、農民組合はこの中に強い勢力をもつであろうことを察知いたしまして、農業協同組合推進協議會というものをもつて働きかけてみたり、あらゆることをもつて働きかけておるということは何を意味するかというと、これらがあくまでも農民の支配勢力として、農村民主化の妨害をする。一口に言えば、農村民主化に、自分たちがあくまでもこの農村の指導的地位を捨てない。こういうことに考えがあるわけであります。從つてこの點から考えてみまするときに、われわれはどうしても少くとも支那事變から大東惡戰爭終了までの農業會の舊役員は、この新しき農業協同組合の役員となることはできないという條文を、はつきりとこの中に織りこんでこそ、農村の末端の農業會の役員がその氣持をなげてしまうのであります。これはおもしろい問題であります。私農村におりまして實際の農村の實情をよく知つておるのでありますが、もはや法律できまつたということになるなれば、もうあの人たちはさじを投げて觀念してしまうのであります。ところが、法文のうちへ織りこんでおりませんで、法律の中では明文化されていないということになりますと、法を運用にて、どこまでもそれらの勢力を盛りこもうとするこの力には、農民組織はまだまだ——多年鬪つたところの農民組織の強いところではそれに鬪う力がありましようが、まだ弱い、終戰後においてできたところの農民組合は、まだそれだけの鬪爭の經驗、あるいはいろいろな經驗をもつておりません。どうしてもそういう人々が中心になれば巻きこまれるをそれが多分にある。そういう點からこの新しい農業協同組合に對しては、舊農業會の役員はこれの役員たることができないということを、この法文の中に明確に入れるべきではないかと思いますが、大臣はどうお考えになるか。この點をお尋ね申し上げたい。 それから第二の點は、この農業會が解散されて、協同組合ができ上りますその間における供出の問題は、いずれが取扱うのであるか。こういう點をお尋ねしてみたい。それから協同組合が組織された場合に、供出配給あるいは金融關係はいずれによつて取扱うのであるか。こういう點も合わせて質問してみたいと思います。一番重點は今の最初に申し上げた點でありますが、大臣の自信のある御答辯をお願いしたい。
○平野國務大臣 佐竹君のお述べになりました要點である、舊農業會の役員は新しい協同組合の役員となることを得ずという一箇條を法文の中に挿入するべしという御意見でありまするが、抽象的なる佐竹君の考え方としては私も同感であります。しかしそのことを法律に明記する必要があるかないかという點については、この際そういう法律をここに修正する必要はない、かように考えておるものであります。と申しますのは、抽象的に農業會の役員、こういうことは非常に廣汎なるものでありまして、こういうことを法律に明記した場合に、かえつてどの人が農業會の、殊に戰時中——支那事變以來の戰時中ということになり、非常に長いのでありますが、こういう複雑なることを、しかも法律の中に明記するという場合から起る複雑性、そのためにかえつて次の協同組合を設立する上において何かの不便を生ずる、かように考えますので、この點は挿入する必要はない。かように考えております。考え方といたしましては、先刻來しばしば申し上げるように、新しい協同組合はあくまで耕作勤勞農民の自主的なる立場から起ち上るところの協同組合でありますので、これは古い農業會の指導者はその中にはいらぬであらう。また農民はそういう人のはいることを自主的に排除するであろうというように私は考えておるのであります。この際一言申し上げておきたいと思うことは、具體的には、もし實際やつてみた上において、たとえば協同組合がほとんど各村において舊農業會の幹部によつてまつたく占められる。こういう事實があつた場合、これはその時考えらるべき問題だろうと思う。私はあなたが考えられておるようには考えておらぬ。おそらく各村における大體の協同組合の指導者はやはり大半は耕作勤勞農民が指導者になる。一遍にはもとより——残存的な勢力があつても、それは順次土地改革の推進とともに、漸進的にその改革は行われていくのであつて、ここに日本のいわゆる無血革命、いわゆる漸進的なるところの民主主義の發展があるのであつて、現段階においては、私はこの程度の範圍において農村の民主化が十分行われる。私の解釋する民主主義というものは、やはり相當に納得と理解とそうしてお互に村の了解ということによつて進展することの方がよいのではないか、急激に法律をつくつて、舊農業會の役員は新協同組合役員たることを得ずというようなことによつてこれを推進するということ自體、日本の民主主義の段階としてむしろ行き過ぎではないか。これらの點は長年村において、いわゆる農民運動なり、あるいは協同組合精神をもつてきたところの指導者の今後の努力によつて、十分達成されると思うのでありまして、佐竹君の考え方としては私は十分了承するのでありますが、この法案にそういうことを明記して修正するという意思は、現在はもつておらぬのであります。繰返して申しますると、やつた結果においてあなたのおつしやるように、あらゆる協同組合が全部舊農業會の役員でありし場合等においては、これまたおのずからここにある程度の行政上の處置が考えられる問題であつて、現段階においては私は考えておらぬ。かように申し上げておきたいと思います。 第二の問題でありますところの供出問題でありますが、これは農業會が存續いたしております間は、農業會が一應從來の仕事を繼續いたします。解散をされるとともに、供出問題は今囘皆さんに御協議を願うところの農業生産調整令によりまして、大體町村が扱うというようなことに移行する。かように考えておる次第であります。
○佐竹(新)委員 關連して、…。私の考えておる點と大臣の御答辯とはかなりな懸隔があると思うのであります。これは見解の相違でありますけれども、實際に言論界の追放であるとか、あるいはいろいろな政治團體の追放であるとかいうことよりも、農村におけるところの農業會の連中は、これは物と結びついておる。今日までの農業會が農村によつて、いわゆる農民の上に君臨しましてやりましたところの、もろもろの經濟問題と結びついておる。そこに村の役員であつてもあるいは縣役員であつても、離れがたい考えをもつておるから、一生懸命に農業協同組合を農業會の看板に塗りかえそうともがいておるわけであります。私が一番最初に質問いたしました農業協同組合法が實施されますときにあたりまして、農業會が解散されるというこの理由、農業協同組合はもとよりこの法案の中に盛り込まれてありますように、いわゆる農民の自主的な運營でなければならぬ。また農村はそうなくてはいけない。こういうことはわかつておりますが、實際問題としまして農民の考え方というものは非常に古いのであります。その古い考え方はただ一片の理窟で片付かないものがある。農村を民主化していくという考えがあるなれば、そういうような法律をまずこういう過渡期といたしましては一應こしらえて、そしてこれを農村の協同組合の運營にもつていくということが一番いいのではないか。私はかように考えます。これは實際にそうでありまして、いろいろ縣下の各地の農民運動の指導者に尋ねてみますと、この點を一番問題にしておる。この協同組合法はいろいろあります。いろいろありますから、これを實際に末端まで、農民が民主的に運營するには人の問題であります。農地改革がいろいろ言われておりますが、今度の土地の取上げの問題、あるいは不在地主の問題に對してあれだけ強力になつていても、なおかつ土地の取上げの問題なんかに對しましては、相當うるさい問題が末端においては起きておる。これは何といいましても殘存的な農村におけるところの一つの封建勢力が、あくまでも自分の立場を保とう。こういう力が強いのであります。これは大臣の答辯は必要ありませんが、少くともほんとうに農村の民主化をやろう。そして農民の經濟的な解放をやろうということになりますと、これらの舊勢力を拂拭しない限り、斷じて私は農村の理想的な協同組合にはなれない。こういうように考えております。この點は大臣と私の見解の相違でありますが、ただ一點、大臣は、この農業會を解散して農業協同組合をつくらなければならない。こういう考え方がどこにあるか。この點が私はこういう一切の問題につながつていきはしないかと思います。大臣の御答辯を伺います。
○平野國務大臣 農業會の解散をして協同組合をつくることについての理由は、これを列擧いたしますならばたくさんありますが、一番大きな眼目は、今度の協同組合によつて農民の自由を保障する。これが大きな眼目であります。從つて協同組合法の精神は何ぞやと言われれば、農民の自由である。こういうところに私は大きなねらいがあると思います。もとより具體的な問題にはいれば、組合員の資格等がこの協同組合法によつては眞に農業者である。從來の農業會においては非農民的なる勢力が強かつた。こういうような點において農業會を解散して協同組合をつくるということになる、しかしここにあなたにひとつ具體的に御理解をいただきたいと思うことは、農業會の中におる農民、今度協同組合に加入する農民、これは農民たる點においては變りはありません。從つてもつと具體的に言うならば、農業會の役員と申しましても、その役員にも相當な段階があるのでありまして、たとえばもつと具體的に言えば、農民組合の幹部であつて、當然今後農業協同組合の村の指導者になるべき人が、農業會の役員——これは主たる役員ではないかもしらんが、單にあなたのおつしやるような役員だけの規定ならば、相當に役員たる者があるということになるのでありますから、たとえば町村長は明らかに戰時中の翼贊會等においてバージされておる。これは明確になるのでありますが、單に漠然たる農業會の役員は協同組合の役員たることを得ずというように、法律をあいまいにここに修正するということは、むしろ考えようによると自縄自縛になる。かように考えて私は同意できないのであります。この點は一つ具體的によく頭においていただきたい。私は考え方といたしまして、古い農業會の幹部を何ら擁護する意思をもつて答辯をしているものではない。もとよりこれは生れかわりであり、革命でありますから、新しい耕作者が中心となつて、農民の眞に自主的なる立場から指導者が變る。これを欲する。欲するけれども、あなたのように舊農業會の役員たるものは農業協同組合の役員たることを得ずというようなことを法律に明記する必要はない。これは日本の民主革命というものは、漸進的に、しかも農民の自主的な自由性によつて發展することが、現段階において正しいと考えるのでありまして、あなたの考え方と私が對立したり、反對であるというような趣意ではない。考え方の大本においては私もまつたく同感である。かように考えます。
○野溝委員長 佐竹委員に委員長から一言申し上げてみたいと思いますが、佐竹委員の舊役員というものは戰時中の農業會の役員を指稱されることに私は了承しておりますが、さような意味でございますか。
○佐竹(新)委員 その通りであります。
○野溝委員長 では大臣、さよう了承願います。
○平野國務大臣 それは戰時中——支那事變から大東惡戰争終了までということであつてわかつております。しかし私の言うのは、その戰時中の農業會の役員という言葉は、非常に廣範圍なものであつて、中には農民組合のものも農民組合のものも農業會の役員たるものが多いのであつて、これらを佐竹君の御所論の通り法案を修正されるならば、むしろ自縄自縛になるのではないか。ゆえに修正の處要なし、こういうことが私の答辯であります。
○野溝委員長 本日の本法案に對する質問はこの程度にして、なお大島委員から綜合食糧施策に對する緊急質問、中垣委員から食糧増産に對する緊急質問、この二つの緊急質問が出ています。これを許すことにいたします。大島君。
○大島(義)委員 協同組合法に關連する事項も私終つたわけではないのであります。他の機會に讓ることにして御遠慮申し上げているのであります。この點は了解を得たい。特にこの機會に明確にしておきたいと思いますのでお尋ね申し上げたいのは、種馬鈴薯の問題であります。種馬鈴薯は昨年の北海道から内地への移入が二百三十萬俵ありました。ところが本年はその數量が二百萬俵に減つているのであります。さらに本州内の標高七百メートル以上の地方の原種をつくるところの地帶は、馬鈴薯の發育盛りにあの長い間の降雨がありまして、ほとんどベト病にかかつております。特に私の方の縣におきましては、その収穫が五割にも達しないというような状態であり、品質が非常に劣つているような状態であります。こういうような種芋の不足の折りに、一體この種芋の處理をどうするか。もつと率直に申し上げるなれば、北海道からの移入をできるだけ確保して、來年度の種芋の問題を處理すべきであろうと考えておりますのに、かえつて昨年よりも三十萬俵少い。こういうゆき方はわれわれには納得しがたいものがあるのであります。これによつてある一部の人にお尋ね申し上げましたところが、種芋の不足は作付統制令によつて大小麥の割當等によつて補うから、その御懸念はないというようなお答えを得たのでありますが、これなどは實にばかばかしいテーブル上の立案と言わなければならぬのであります。馬鈴薯をつくつて増産できるようなところは、必ず珪藻土地帶であるとか特殊の地帶でありまして、大小麥を割當てて完全にとれるならば、もう今までにとつておるはずであります。しかるにそういう作付ではとうていとれませんので、主として馬鈴薯をつくる。しかもこの馬鈴薯が端境期に相當重要な役割を務めておるということは、農林當局も御承知のはずであります。こういうような重大な種馬鈴薯の問題に對しまして、二百萬俵しかはいらないからこれで間に合わせろというような考え方に對しましては、私どもは納得しがたいのでありまして、この點に對する對策をまず第一番にお伺いいたしたいと思うのであります。 その次は今一番適期にはいつておりますところの種鶏の問題であります。この卵の公定價格が二圓五十五錢であることはだれも周知の事實でありますが、種卵に限りまして例外價格が六圓に認められておつたのであります。しかしそれは本年の四月をもつてその期日が切れたのでありまして、今日におきましては例外價格というものは一應ありません。ところがたまたまこの種卵をつくりますのには、雄を飼わなければならぬとか、あるいは雌を非常に選擇しなければならぬというような、いろいろむずかしい條件がありますのに、露店で賣られる卵がずいぶん高い正机をつけて賣つておるにもかかわらず、種卵として取引される場合に普通卵の價格でやられるということは、とうてい種鶏としての事業は成り立ちませんし、こういうようなことを進めてまいりますと、種卵の全滅を來すというようなことも考えられるのでありまして、これに對しまして例外價格を本年四月當時にさかのぼつておさだめになる意向があるかどうか、なおまた物價もその後非常に騰貴いたしておりますので、これに對してはこの六圓をすえおくのか、あるいはもう少し上まわらせるお考えがあるかどうか、この點をお伺いしたいと思うのであります。
○平野國務大臣 種卵の例外價格の點につきましては一つ考慮したいと思いますが、馬鈴薯の問題に對しましては食糧管理局の事務官から答辯いたします。
○郷説明員 種馬鈴薯の點につきましてちよつとお答えいたしたいと思います。北海道産の種馬鈴薯につきましては、御質問の通り本年は二百萬俵ということにいたしております。これは大體昨年程度、二百三十萬俵程度は北海道からもつてくるということで、北海道内における種芋の生産についても準備を進めておつたのでありまするが、やはり東北における水害に引續いて、道南一帶の種馬鈴薯地帶にもやはり雨のために馬鈴薯の疫病が相當發生いたしまして、その結果やはり内地同様北海道における種馬鈴薯も減産のやむを得ない結果になつたのでありまして、その結果が二百萬俵ということに北海道と一應打合せ決定いたしておる次第であります。なおそれではどうしても足りませんので、この際何とかしたいということで万策も進めておるのでありますが、その一つといたしましては、北海道の食用の馬鈴薯を一部もつてきたい。これはもちろん北海道の種馬鈴薯ほど種としての效果を期待することはできません。しかしながら急向け等の關係からして、内地の食用の馬鈴薯をそのまま種に使用するよりもはるかに有效であるので、北海道の馬鈴薯をもつてきたい。しかしながらそれに對しましては北海道の食糧をそれだけ割くことになりますので、内地からそれに相應するところの食糧を送らなければならないのでありますが、その送る食糧といたしまして、さつまいもを見返りとして大體二百五十萬貫程度のものを送ろうということを計畫をいたしております。なおさつまいもの出荷の問題につきましては、これから具體的に關係縣とそれぞれ打合わせることになつておりますので、その分が確定しなければ、なお北海道から追加してもつてくる分の數量は確定する見込がない次第でございます。
○大島(義)委員 たいへん意外の御説明を承つたのであります。私が最初農林省に参りまして説明を伺つたときには、北海道においては種芋は餘つている。仕方がなくてこれを澱粉にする計畫を農林省でも立つている。ただ輸送の面においてどうにもならぬからできないのだ、ということを伺つておつたのであります。ただいまのお答えによりますと、種芋がない、種芋が不足だということでありますが、これはきように限りませんから、もう少しよくあなたの方の方でお打合わせの上で、明確なお答えを願いたいと思います。なおまた輸送の面で行き結まつているということをそのとき伺つたのでありますが、今海上トラックというものは相當日本にはあるはずであります。この海上トラックの動員をいたしますならば、三十萬や五十萬の種芋のはいらぬということはないのであります。現にわれわれの手もとまでも海上トラックの申込が來ております。もう少し當局も親切にそういう間違いのないようにお答えを願いたいと思います。前の藷類課長さんのお答えは、種芋が餘つて、輸送の面だけで行き結まつて、仕方がないから、これを澱粉にしてしまうという答えを得ております。どうぞもう少し打合わせて、ほんとうのことをお答え願いたいと思います。
○野溝委員長 中垣委員。
○中垣委員 日程外の問題でありますが、食糧の増産に肥料の必要なことは論ずるまでもないことであります。かねて販賣禁止となつておりました太陽菌が、肥料といたしまして農作物に對して相當效果があることは、すでに確認されておることであります。大臣はこの問題につきまして善處中なるがごとく承つておるのでありますが、近い將來にこの太陽菌の販賣がどうなるかということについてその御計畫があれば、それをお聽きしたいのであります。
○平野國務大臣 現在私の手もとえいろいろ議題となつておりまするものとしては、いわゆる酵素肥料、あるいはイー・ピー肥料、あるいは太陽菌、バクテリヤ肥料、こういう同じような系統に屬する、抽象的に言う酵素肥料と申しますか、バクテリヤ肥料、こう名づくべきものが四件ほど、しかも具體的にその能率を示されまして、これに對する許可を申請されておることは事實であります。私といたしましては、現在の食糧増産の重大性に鑑みまして、眞に必要なる肥料についてはこれを許可するのは當然であると考えるのでありますが、しかし政府が許可をするということになるについては、それ相當のやはり具體的な順序を要するのであります。これが許可制度でなければさようなことはありませんが、許可を嚴重にいたしておるときに許可をするということになりますと、その許可というものが、言いかえると政府の保證、政府が裏書をしておる、こういうように當然相なりますので、そこで實際はもう少しゆるやかに許可をいたすべきものであろうと考えますが、事實上許可をするには相當のここにある程度の手續を踏まなければならない。從つて私は以上指摘いたしました四つの肥料については、實地試験を行いまして、實地試験の結果、明らかに農林大臣みずからいい、こういう認識を得ました場合においては、具體的な許可の方針に向つて相當に考えたい。かように考えておるのであります。なおその餘の細かい具體的なる内容についての御質疑でありますならば、農政局長より答辯いたさせます。
○森(幸)委員 この機會に一應承つておきたいことがあるのであります。すでに早場米も調整が進んでおる地方もあるのであります。食糧事情から申しましても、一日も早く早場米の供出をしてもらうように政府としても望んでおられます。われわれ國民の一員といたしましても、ぜひ早場米の食糧救援の努力を要請いたしたいと思うのであります。それについてわれわれの食糧對策議員連盟といたしまして、近く早場米の地方へ出向いて御相談をいたしたいと考えておるのでありますが、この新米に對する價格が一向にきまつておらないのでありまして、非常に農村にはいつてみますると、いろいろ不安な氣持ちが醸されておる。この間井上次官が關西の方で話されたのでは麥、馬鈴薯の今囘の値上げに比例して、パリテー計算であれば千三百九十圓に米がなるというふうにお話になつたように新聞に出ておる。平野農相は二千圓ぐらいにはいたしたいと思うが、しかしこれもいろいろ事情があるからはつきりこれはきめることができないというようなこともお話になつております。また安本長官といたしましては、ちようど井上君の意見の出た同じ日の新聞に、米價は最も重大なものであるから、さような簡單にはきめることはでき得ないと發表されているのであります。ああいう新聞記事を見ますと、生産者の立場としては、非常に新米に對し不安に思つておるのであります。政府は速やかに大體の價格をきめて、千五十圓を前渡しいたして、決定の上においては追加支拂をするというようなことも發表されておるのでありますが、昨年の例から見ましても、大體の米價をおきめになる時期ではないかと思います。平野農林大臣として、どういうふうに米價に對するお考えをもつておられるかということを、この際至急に世間に知らせてもらいたいと思います。 それから馬鈴薯、麥の超過供出報奨に對して、二倍あるいは三倍というような話も一時政府の方針として發表されたのであります。しかし豫算等の事情によつてこれは中止されたのでありますが、これまた今度の肥料の報奨によつて、麥一俵に窒素肥料四貫目ということにこれをかえたという發表があつたのであります。はたしてそういうふうなことに變更されたのでありますか。そうしまして二十二年度の後期の肥料生産でありますが、前期の肥料はすでに七月で生産が終つておりますし、また八月以後の後期は中途にありますから、どれだけの肥料が確保されるかはまだ未知數でありますが、大體前半期の七月までの能力によつて推算すれば、後期の生産量もほぼわかると思うのでありますが、麥の供出に對して四貫目の報奨肥料をやるというようなことを發表されましたが、一體農林省といたしましては、どれだけの窒素肥料を確保する確信をもつておられるのかということであります。申し上げるまでもなく肥料は商工省の生産責任になつておりますので、農林省といたしましては報奨物資にも欲しい、あるいは段當り基準としての肥料も確保いたしたい。なるべくなら二百二十萬トンの窒素肥料は確保いたしたいというお考えがあることはもちろんでありますが、今日商工省の所管しております製造工場の能率では、その二百二十萬トンはとうていでき得ないのであります。從つてわれわれもこの報奨用に肥料を使われることは困る。これは全然やめて、肥料は土地によつて配給するのだ、理想通りに肥料が生産されない今日、乏しい肥料であるから報奨用にまわさずして、これを段別によつて割當てるようにしてもらいたいという各委員の御希望もあるわけでありますが、しかるに今麥の報奨用として肥料をまわされることになりますと、製造の能力をはつきりおつかまえになつての上のお考えであるか、この點をはつきり伺つておきたい。そうしないと、また農村が、報奨にやるやると言われた肥料がこなくて、だまされたような氣持になつては氣の毒でありますから、この報奨用に使われる肥料がはつきりと農林省として確保されておるかという、この二つの點を承りたい。
○平野國務大臣 米價の問題のことでありますが、これは新聞によつて各角度から數字まであげて、報道せられておることが、農村において種々な影響があるという點については、御指摘の通りであると考えております。しかしこの問題はわれわれとしてはそのときその場合においていろいろ意見を述べなければならないので、また逆に言えば、相手の方から具體的數字をあげて、千八百圓ではどうか、二千圓ではどうか、二千六百圓ではどうか、こういうような數字をあげての御質問等については、またそれぞれのお答えをしなければならぬと思います。それが新聞にいろいろ報道せられておりますので、この點はいろいろな立場を御了承願いたいと思います。 そこで、一體いついかなる米價をきめるかという點については、私としてはなるべく早く決定をいたしたい。これは農林大臣として當然であります。しかし森君もよく御承知の通りに、米價の決定は毎年いろいろ複雑な事情があつて、決定するときめてからそこになお相當に日時を要するのであります。實際上の米價の決定は物價廰にありますので、農林大臣としてはこの點について物價廰と結論がつかない限りにおいては、何日ということを申し上げるわけにまいらないのは遺憾であります。ただ現在の見透しを申し上げますならば、大體今月いつぱいには新米價を決定いたしたい。内閣におきましても大體さような方針で現在進んでおる。こう申し上げてよろしいと思います。 それから米價については大藏省及び物價廰等においては、それぞれその立場から、米價をある程度まで安くきめる——特に安くきめるという意味ではないが、米價を高くすればすべての物價が高くなるという意味から、米價については相當に消極的であるという點、またその立場において了承をしなければならない點もありますが、農林大臣といたしましては、現在の農村の供出意欲を冷却するような米價を決定いたしたくない。少くとも供出が完遂せられて、配給がうまくいく。配給がうまくいくことによつて國民生活は安定する。國民生活が安定することによつて物價も安定する。そういうように考えております私としては、農民の生産意欲を冷却するような米價にはいたしたくない。これは私の信條といたしまして、相當に畫力をいたしておるのであります。このことは見ようによれば、農林大臣は相當高米價を主張しておるということにもなりましよう。私はもとより高米價々々々といつて、むやみに農民に迎合して高い米價をもつて足れりとするものではありません。供出を完遂する上において、農民が相當に了承せられる程度の米價を農林大臣は主張し、しかしてその線に沿うように努力するということは、供出の任に當つておるところの所管大臣としては當然の義務であると考えまして、米價については、私といたしましてはさような趣意のもとに現在考えておるということを申し上げておきます。具體的な金額につきましては、現在は價格決定のほとんど前夜にあるくらいでありますので、この際數字を言うことは、いろいろな意味において誤解を受けますので、これは避けることといたしたい、かよう考えます。 第二點は麥の報奨物資として肥料を四貫目出す、こういうことはあてがあつてやつておるのかどうか、こういう點でありますが、これはもちろんあてがあつてやつておるのでありまして、盲めつぽうにあるかないかわからぬのに四貫出すということをきめたのではない。從つて麥につきまして、當然現在約束しておりまするところの報奨物資については、完全にこれを實行するだけの用意があるのであります。 さて來年度の肥料問題でありますが、本日實はここに肥料の數字をもつておりませんで恐縮でありますが、大體水田について五貫五百、こういう數字を目標として聲明いたしておりますることは、これまた生産目標といたしましては相當にあてがあるのであります。最近の數字によりますれば、六月という月において、月産約七萬トンの生産をもつておるというこの事實は、大體において年産百萬トン近いところの生産に到達し得る硫安製造の大體の目標を明らかにしている。またあらゆる生産の中において、今硫安の工場だけはとにかく上まわつておる。この上まわつておることについては、あらゆる資材を優先して肥料工場に重點的に配給をなしておるとともに、肥料製造工場の勞務者に對しては、その勞務加配を政府直配において眞先に斷行いたしました。この點については十分對策を立ててあるので、硫安の製造については相當に上まわつておることを、今日われわれは喜んでおる。その他の重要化學肥料につきましては、今日具體的な數字はもつておりませんが、石灰窒素、燐酸カリ等につきましても上乗の上まわりをしておるのでありまして、來肥料年度については、相當期待に副い得るようにいたす自信をもつて具體的計畫を立てております。肥料の報奨政第についてはあてがないわけではないということをこの際明言しておきます。
○森(幸)委員 肥料の確保について明かに聲明せられましたことを實に力強く感ずる次第でございますが、早場米につきましては、九月中の供出は四百圓であるが、十月十日までが三百圓、二十日までが二百圓というようなことが一時關西の新聞に載つた事實があります。そこで早場米供出に對し、特別なある價格の報償ということを多少とも考えておられるかどうか、この點ひとつ承りたいと思います。 なお井上君のお話のあつた千三百九十圓、これらは一つの荒唐無稽なことでありますか、お答えを願いたいと思います。
○井上政府委員 私が大阪で新聞記者の質問に對してお話しをいたしたことがはからずも新聞の一部に載りまして、非常に各方面にいろいろな問題を起しておるのでありますが、私はかような數字を新聞記者に正式に發表したことはありません。ただ現在の米價をどういう方式によつて政府はきめようとするのかという質問がありましたので、それは他の一般物價と同じように、昭和九年から昭和十一年にかけての平均指數を出して、本年の春麥、馬鈴薯の生産者價格を大體決定をしたというこの方式に則つて、新米價というものも算定されるのじやないか。ただそのときの事情とこの十一月のでき秋という事情とは、いろいろな關係において違うのであるから、今日米價を何ぼにきめるかということを、ただちに具體化するということは、農家の立場からもまた消費者の立場からもきわめて愼重を要する問題である。私はこういう話をしたのであります。從つてそのときの話は、いわゆる當時の米價がこれこれで、それから米價がかりに四十八倍なら四十八倍値上りしたという算定をするならば、大體これこれになるという話だがという質問がありましたから、それはあなた方御随意の計算で、私自身としては政府の責任者でありますから、具體的な數字をこの際申し上げるわけにはまいりません。こういうことで會見を終つたのでありまして、私自身が數字を正確にこうだとか、また物價廰はこういう方式で計算を發表したのだというようなことを、私が公式に發表したものでありません。ただ米價算定の基礎的な調査についての話をいたしたので、それに新聞社が自分の考え方を多分に織まぜて米價の決定數字を發表しておる。こういうことになつているのでありまして、その點は誤解のないように願いたいと思います。
○平野國務大臣 實は早場米の問題については、本日この委員會終了後、委員長の許可を得まして本日決定をいたしました早場米の奨勵金の内容を本委員會を通じて發表いたしたい。こう思つておつたのでありますが、ただいまちようど御質問もありましたこの機會に、一つ發表することをお許しを願いたいと思います。 これは本日決定をいたした早場米奨勵金の數字であります。九月十日まで一石の奨勵金が五百圓、十月十日まで一石四百五十圓、十月二十日まで一石三百圓。十月末日まで一石二百圓、こういうことを本日決定をいたしました。なおこれについて少し御説明いたしたいと思いますが、この五百圓、四百五十圓、三百圓、二百圓という數字は現在奨勵金として決定したのでありますが、とりあえず今供出をせられた人に對して渡します金は、九月末日までについて三百圓、十月十日までについて二百七十五圓、十月二十日までについて二百圓、十月末日までについて百圓、かような内拂いをいたしまして、この内拂いとともに暫定米價と稱しますところの假拂いである千五十圓を加えて早場米のとりあえずの奨勵金として出すのであります。從つて百パーセントに達しましたときに、前段にあげます五百圓、四百五十圓、三百圓、二百圓、こういう數字に到達する。かような二段拂いになりますので、この點についてはいろいろ御議論のあることと思いますが、早場米の奨勵金を五百圓、四百五十圓、三百圓、二百圓と決定することについては、この段階を履まなければならなかつた事情について一つ御了承願いたい。 甘藷につきましては、九月二十五日まで十貫當り五十圓、十月五日まで三十圓、十月二十日まで十圓、甘藷の方は内拂いはありません。結論として申し上げますと、この奨勵金を交付すべき早場米といたしましては四百萬石を想定いたし、甘藷は一億五千萬貫、この所要經費といたしまして負擔いたすべき金額は約十四億圓、かように想定いたしておるのであります。これは本日決定をいたしまして公表いたしたものでありますが、ただいまの森君への御答辯に代えましてこの機會にこれを發表いたしたいと思います。
○森(幸)委員 そうしますと、百パーセント出た場合に五百圓というのでありますね。なお井上政務次官に私申し上げたいと思いますのは、誤解しないようにと仰しやつたただいまの御心情はよくわかりました。わかりましたけれども、新聞を見ますと、はつきりとあなたがお話になつたように載つております。それですから非常に生産者は、安いことを政府委員が話したというので、たちまち非常に心配いたして、ばかにするな、物を上げておいて千三百九十圓とは何を言つておるのだと、非常に不滿の聲がある。もしあなたが今お話のようなことであるといたしますならば、まだ關西におられたのであるから、ただちに相當の手配を新聞社になさることがよかつた。どうかひとつ責任のある位置の方として、愼重にすべての行動をお願いしたいと思います。
○野溝委員長 成瀬君。供出に關する緊急質問を簡單に許します。
○成瀬委員 供出意欲を冷却するというような大臣のお話が今ありましたが、過般來地方に歸りまして徳島縣の養蠶農家に會つたところ、これはあるいは全國百五十萬養蠶農家に關係することであるから、その間の研究はできておりませんけれども、春繭が未だに清算せられていない。これに對して農民、養蠶農家が非常に不滿の意を表わしておつたのであります。それから上京の途中、縣の農業會の養蠶課長と會いましてその點を研究してみますと、漸く農林省の方できまつて、今支拂を開始いたしておるということでありますので、多分今明日ころは各養蠶家の手もとに春繭の代金が支拂われておるかのように考えるのであります。しかしながら春繭を供出した場合と今日におけるところの貨幣價値の開き、それらの不利益に對して、農林省はいかにしてこの養蠶農家にこたえるところの誠意があるかという點を、重ねて附け加えて質問いたします。 さらに麥の供出に對するところの特例として、報奨物資として木綿を交付するということが、農民に對して一段と供出意欲を高揚せしめております。ところが最近になりますと、もう木綿がないから前だれとかあるいは軍手とかいうようなもので事足らしてもらいたい。まつたく農民をばかにしたようなこれらの發表を見て、相當徳島縣において憤慨いたしております。こういうようなことは、徳島縣のみならず他府縣にもあるように聞いておりますが、かようなことでは、やはり舊態依然として正直者がばかをみる。農民をまつたくばかにしたところの扱い方であります。こういうことが現平野農林大臣のもとで行われるということは、絶對に何かの間違いであるとわれわれは強く否認してきたのであります。しかし現實の問題としては未だ手に渡つておらず、そういつた不渡手形の發行を今まさにせんといたしております。こういうことが農民に對してどれほど惡影響を與えておるかということは、長年の農民運動においてよく御認識のことと思いますから、かようなことのないようにお手配を願いたい。以上附け加えておきます。
○平野國務大臣 養蠶農家に對する未拂金の問題については御指摘の通りでありまして、この點はまことに遺憾千萬と思つております。從つてこれは大體において現在對策を立てまして、今後かようなことのないようにするよう十分手配いたしたいと思います。 第二の麥の供出についての報奨物資を、木綿をやるといつて軍手にかえた、そういうことは絶對にありません。私は自分が麥、馬鈴薯の供出の任に當るようになつて以來、いやしくも報奨物資を發表する場合に、農林省自身が完全に手持でないものを言つてはいかぬ、これははつきりしておるのであります。もとより酒、タバコのように大藏省のあるものについては、こちらが買わなくてもはつきり大藏當局と約束がついて大丈夫である。こういうものでなければ報奨物資としては扱わない。とにかくよそにあるようなものならば、農林省が食糧特別會計で買つてきて、農林省の所有になつてからでなければ言わぬ。もし商工省にあるとか、どつかに何かあるということを引當てにして、いわゆる數字の上で謄寫版に刷るようなことは絶對にいかぬ。これを嚴守いたしておりますから、成瀬君御指摘のようなことはないはずであります。ただ、しいてあなたがそういうことをお聽きになるといたしますれば、それは地方の縣において、從來から殘つてゐる報奨物資等の問題について、さようなことをふれて歩いたかもしれないのでありますが、この點については、もとより私は責任ないとは申しませんが、今度は十分よく注意いたしていきます。麥、馬鈴薯に關する新しい供出制度については、さような誤りは斷じてない。かように言明いたします。
○野溝委員長 この際委員長から政府當局にお伺いしておきたいと思いますことは、利根川水域の水害に對し、關係縣民は相當の被害をこうむつたやに聞き及んでおります。これに關じまして政府當局に相當資料も蒐集されたことと思いますので、この機會に骨子だけでもよろしゆうございますから御發表を願いたいと思います。
○平野國務大臣 本日水害地には農林次官が見舞にまいつておるのでありますが、水害の正確なる數字の發表は明日の本會議において發表するようにと、こういうことがありましたので、現在この際發表すべき資料はまだ十分用意しておりませんので、これはむしろ明日の午後一時の本會議に十分調査をいたしまして發表をさしていただきたいかように思います。もとより何か具體的な質問がありますれば、知つている部分だけはお答えしてよろしいのでありますが農林省として正確にまだ發表すべき用意をしておりません。 〔速記中止〕
○野溝委員長 井上政務次官からこの際埼玉、群馬等利根川沿岸流域の被害のわかつている程度のことを報告されるそうでありますから、これを聽くことにいたします。
○井上政府委員 本日政務次官會議で内閣から發表されました今囘の水害の十一時現在の被害状況について、關東地方の群馬、栃木、茨城、埼玉、これらの状況の報告を申し上げます。この報告は内務省に集まりました各縣からの報告を基礎にした報告であるそうであります。 その概要を申し上げますと、人畜の被害のうち人については、死傷者總計千七百八十五名、うち死亡四百四十九名であります。これを各縣別にいたしますと、群馬三百五十八名、栃木千三百八十二名、茨城十七名、埼玉十三名、うち死亡者が群馬二百七十七名、栃木九十一名、茨城四十名、埼玉十七名であります。家屋倒壊は群馬八百六戸、栃木三百六十戸、茨城九十戸、埼玉千二百二十戸であります。流失は群馬千二百八戸、栃木六百十六戸、茨城百七十三戸、埼玉十二戸であります。田畑の被害は、群馬五萬三千七百二十九町歩、栃木二萬七千二百四十町歩、茨城一萬四百七十八町歩、埼玉三萬六千六百四十六町歩という状況であります。なお山梨、福島、北海道その他各地に被害はわたつているそうであります。なお鐵道の状況は、東京から水戸まで十八日中に開通、水戸以遠は十九日開通、東北本線開通不明、中央線二十日開通、上越線は二十二日開通、八高線は本日開通、以上のような状況であります。なお關東地方を襲いました水害の結果、本日葛飾の一部が決壊いたしまして、江戸川區地域に浸水を始めておるそうであります。 なおこの水害のために東京都の食糧の事情に重大な影響をもつてまいることになりまして、御存じの通り東京都の食糧は外國食糧を主として現在配給いたしておる關係上、これらの食糧が群馬、栃木、埼玉、茨城等の製粉工場において加工いたしております關係上、これらの製粉工場の被害、それから東京都への輸送の關係等が重大な支障を來しまして、東京都の食糧配給の上に非常に大きな支障を來すことになりますので、政府といたしましてはさしあたり東京都の食糧の確保に對して萬金の手を打つ準備を一方進めておることを御了承いただきたいと思います。
○野溝委員長 本日はこれで散會します。なお明日は午前十時から開會いたします。 午後三時五十二分散會