農林委員会 第16号
- 発言数
- 110 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1947/08/27
会議録
○野溝委員長 會議を開きます。
○八木委員 本日の新聞を見ますとただいま審議中の法案と密接な關係のある重大問題が載つておりますから、この際緊急質問をいたしたいと思います。
○野溝委員長 本法案に關係のあるものと認めまして、發言を許します。
○八木委員 今朝の新聞に農業生産調整法及び主要食糧の供出割當に關する閣議決定という記事が出ております。これは農業協同組合法案とも非常なる關係があるばかりでなく、本委員會が取上げております供出の問題、その他との關係が甚大であると信じます。かかる問題は新聞に公表する前に、閣議の審査に付する前に、適當なる方法において協議あるいは打合せをなすべきが、順序であるように考えるのであります。農林委員會が常時ここに開會中のこの際、突如として新聞に發表をする前に、なぜ本委員會にこの内容についての打合せをしなかつたか。委員會の機能を無視するようなこの處置について、委員長はどうお考えになりますか。まず委員長の所見を伺い、政府に質したいと思います。
○野溝委員長 ただいま八木委員の御意見を對きましては、ごもつともだと思つております。よつて後刻農林大臣が見えた際に、私から農林大臣にその意圖を質することにいたしたいと思います。 順位によりまして質疑を繼續することにいたします。成瀬委員。
○成瀬委員 私の質問は農林大臣の出席を待ちまして質問したいと思うのでありますけれども、いろいろの情勢からいたしまして、政府委員にお尋ねしてみたい。
○野溝委員長 農林大臣はすぐに見えますから、大臣に關する質問はあとにされまして、その他の質問を先にお願いしたいと思います。
○成瀬委員 それでは大臣に對する質問は後囘しにいたしまして、法文に對する小さい點からお伺いいたしたいと思うのであります。まず第一にこの法案におきまして私のお尋ねしたいのは、第三條にありますところの農業協同組合は、また連合會は法人とする。これに對ましては、これらの役職員は公職である。公職に準ずるものであるというような一昨日の御答辯でありましたが、これらの影響するところは非常に大きいのでありまして、公職に準ずるというふうになりますなればこれに對するところの何か確認をすべき方途を講じなくてはならぬと考えるのでありまして、この點を再びお伺いいたしたい。 次にお問いしたいのは、第九條の農民と言い、農業というところの、この基本的な問題でありまして、この解繹をどの程度にするか。豚一匹飼つておりましても畜産であります。あるいはまた一段だけの菜園を營んでおりましても農民であるというふうにも解繹されるが、農業資産その他においては一段、曾ての農業園においては三段という解繹もあつたのでありますが、農民、農業の解繹の基準をどこにおくか、御答辯願いたい。 次に非出資組合はすなわち實行組合であるという解繹であるか。實行組合においても、近時肥料の共同購入、脱穀機の共同購入等の面において、出資を必要とする點が非常に多くなつておるが、そういう非出資組合をいま法律でこしれえるならば、非出資組合と出資組合との連合會なるもののあり方については、どこに目安をおくか。現在一町村を單位として農業團體法においてはやつておるが、一町村において連合會ができ、一郡であるいは縣で連合會ができるのでありまして、かような場合における大體の目安をどこにおくか。また非出資組合と出資組合の異なる連合會ができるとも考えられるのでありまして、かような點について御答辯願いたい。また金融の問題でありますが、指導、購買、販賣という曾ての農會、産業組合の二つの流れに分かれるのでありますが、この法案によればもつぱら金融面だけが分離されることになつておるが、これは町村において異なつた連合會、あるいは縣において異なつた金融連合會をもつということに考えられるのでありましようか、もしかようなことでありましたならば、金融方面における相當の經濟的影響を考えるときに、はたしてそれがうまくいくかどうか疑念をもつのでありまして、これらに對する連合會のあり方について御答辯願いたい。 次に第十三條の出資組合の出資一口以上有しなければならないといくことは、従前の産業組合と同じようないき方であるし、その場合においては、一口の出資というものは、あるいは十口、二十口ということによつて、これが營利を目的としない、最大の奉仕を目的とする組合においては、かような出資を多くもつことによつて、精神的、社會的に從來と同じような弊害を生ずるのではなかろうかと考えますが、これはいかなる觀點から、かようになされたのであるか、御伺いしたい。次に準組合ということであるが、これは隨所にありまして、準組合員は議決權及び選擧權を有しないとはつきりしておりますが、これはポツダム宣言の農民解放令の本旨に基いて立案されたものであるとわれわれは考えておるが、しかしながら準組合員が最も大切な執行機關における理事の席を四分の一占めるということは、その本來の目的に反するのでありますから、たとえ四分の一であつても、現在進行中の農地委員會における保守勢力の壓倒的であるということが各方面に見られる場合、準組合員の理事就任は四分の一殘すということは本精神を減却するのではなかろうかと考えます。その點に對する御答辯を願いたい。なお十七條において組合は、定款に定めるところにより、組合員に經費を負擔させることができるとあります。これは段別割、經營規模割等によりまして、農業團體におけるところの、これらの經費を負擔させるものであろうと考えるのでありまして、受益分量から考えますと、それは當然ないき方でありますが、はたして經營規模面積により、あるいは段別等についても、從來の方法によつてなされていくものであるかどうか、こういうことをお尋ね申し上げたい。また第十九條の「組合員が當該組合の施設の一部を專ら利用すべき旨の契約を組合員と締結することができる。」ということについても、何がゆえに組合員ということに極限されておるか、これは非組合員でありましても、米、麥、その他の保管の立場において、倉庫等の契約、賃借をしなければならない點も多くあると思ふのであつて、さような點をもう少し幅の廣い解釋にすべきものでなかろうかというふうな考えでおるのであります。この組合員に極限せられておるところの御意見をひとつ承りたい。それから第二十條の、「現在の組合員が加入の際に附されたよりも困難な條件を附してはならない。」それは文字の上におきましては非常に結構のようであるけれども、しかしながらせつかく粒々辛苦いたしまして相當の業績をあげておるところで、新規加入者は、俗に言うずるい人間がはいつて來た際に、他の團體におきましては加入金を徴収する。適當な加入金を徴収するということは、常識判斷上これは當然のことであると考えるのであるが、さようなことをなさしめないということは、あまりにも不合理ではなかろうか、かような點を考える場合においては、私どもはこれれの條項を削除する必要があるだろうと考えておるのであります。これに對する御意見を承りたい。それから第二十二條においては、「組合員は、左の事由に因つて脱退する。」ということがいろいろあるのでありますが、しかしこれらの中で第二項の第三において、「その他定款で定める行為をした組合員」これはどうも文字の解釋か、私の判斷しかねるのでありまして、その他定款で定める行為をした組合員がなぜいけないのか、これは私の字の解釋の間違いであるかもしれませんけれども、最初の一においては、「長間期にわたつて組合の施設を利用しない組合員」は除名するということになりますが、三においては、その他定款の定める行為をした組合員、定格の定めた行為、これを遵奉することは、これは組合員は當然なこと、これを守つた組合員も除名するということは、これはどうもはなはだ字句の解釋に苦しんでおるということになるのでありますが、この點の御説明を願いたい。それから第三十條の「四分の三は組合員でなければならない。」という點を明確にしていただきたい。それから第四十二條、これもやはり今の點に關連して參事及び會計主任の選任及び解任は理事の過半数によつてこれを決定する。これは理事が選擧權をもつという點について相當矛盾しておるように考えるが、これもお伺いしたい。第六十四條の五の「第一項の」という中にあります「農業協同組合連合會は、會員(准組合員を除く。)が一人になつたことに因つて解散する。」かような極端なことは私どもの常識におきましては知らないのでありまするが、かような一人になつてやるということは、私どもは連合會なるものであるがために、一組合員一組合である、一會員すなわち一組合であるというふうに解釋してよいと思うのでありますけれども、この文字の使い方が「會員」とあるしまたその次には「一人になつたことに因つて」ということになつておりますことは、組合を一人ということを對象をする場合におきましてはいざ知らず、文字の解釋におきましては非常に紛らわしいのでありまして、二以上のものが連合會をつくることが建前であるということになれば、連合會としての機能を發揮することができません。從つて當然解散することが必要でありますけれでも、これは文字の使い方がどうもはつきりいたしません。 第八十三條におきましては「出資第一囘の拂込のあつたことを證する書面」。これが從來の株式における扱いにおきましても紛らわしいのでありまして、實際上の金額を拂込まなくとも、單に書類によつてのみそういつたことの登記を進めることができるということに相なるのでありまして、この點につきましてどの程度のお氣持ちをもつてきめておられるか。それは他の民間諸會社のこれまでの弊害をよく考えてみる場合におきましても、もう小し強き方途を講ずべきものではなかろうかと考えるのであります。以上私は大體各逐條にわたりましての質問をいたしまして、後で農林大臣に對しての質問をいたしたいと思うのであります。以上政府委員の方からの御答辯をお願いしたしたいと思います。
○山添政府委員 第一點は協同組合の役員が公職になるかどうかという問題であります。これは公職になりません。準ずる措置をすると言いましたのも、そういうふうには言わないのでありまして、準じて扱われると言いますか、世間で扱われるのが好ましいのではないか。從つて役員になろうとする人竝びに役員を選擧する組合員も、そういうふうな趣旨で對處してもらいたい。そういう意味で申し述べたのであります。 次に農民の範圍でありまするが、この法律におきましては農民の定義を書いてあります。それは土地の面積等に何ら制限はございません。しかしながら實際問題としてどこで區切りをつけるかということにつきましては、定款の記載事項として、定款にその組合毎に規定をしてもらう。從つてある組合では一段とするところもありましよう。あるいはまた山村地方で非常に耕地の小いようなところでは五畝というようなところもあるかと思いますが、定款で範圍を明確にするという仕組になております。 非出資組合の點でございまするが、なるほど實行組合等につきましても出資をするものが出てこようと思います。しかし全體の組合構成といたしましては、もちろん法律上何らの制限はございませんけれども、實際の要求、合理的な判斷に從つて考えますならば、まず市町村單位に經濟行為等をやります出資組合ができ、都道府縣の單位においてその連合會ができ、しこうして實行組合であるとか、あるいは特殊事業を目的とする組合におきまして、非出資の組合が成立する。かように考えているのでありまして、法文上制限はございませんけれども、事柄の自然と合理性に從つて組合が組織され、またその連合體が形成をされるものと思います。 金融業につきましては、單位組合においては兼營をすることができるようになつております。また事實兼營をした方がよろしいと思い、そうなるであろうと思います。連合會の段階、すなわち私どもの豫想しまする府縣の連合會の段階におきましては、分離をするということになつているのであります。これはなるほど想像しますれば、いろいろな形の組合ないしその連合體が考えられまするけれども、事實問題としては、合理的な組合形成がなされるというふうに期待をいたし、また關係の方々のそういう御指導をお願いしたいと思うのであります。 それから出資口數でありますが、一人が少なくとも一口以上はもたなければならぬ。これはこの協同組合の本質上當然でありまするが、しからば一人がいくらたくさんもつても差支えないかという點につきましては、定款で制限をすることになつておりますので、定款の記載事項として組合員の意思によつて何口までという限度を設けるわけであります。 それから役員になります者は四分の一以内か準組合員等からなつてよろしいという規定を設けておりますのは、四分の一は必ず準組合員等から役員になる、あるいはなるべしという意味ではないのでありまして、必要があればそういうことでもよろしい。しこうして、農民たる組合員以外の人が役員に選任されます場合には、全體の役員の四分の一を超えてはならない、こういう意味でありますから御了解を願います。 それから經費賦課の點でありますが、これはもとより經費というものは、組合の事業を利用する程度というものに均衡をとることが必要でございますので、おそらく實際經費を賦課します場合におきましては、質問の場合にお述べになりましたようなことになる場合が通常であろうと考えます。 そらから組合員との取引に關する關係、十九條に關する御質問でございますが、この點はよく讀んでみますと、組合員との間に自由な契約によつて組合の施設だけを利用する。すなわち專屬取引の契約を結ぶことができる。これは法律から申せばくだらないことが書いてあるのでありまして、反面解釋としては、強制的にそういう契約を結んではいかぬ。こういうことが書いてあるのがほんとうの意味なわけであります。從つて組合員以外の者に設備の利用をさせるということは、これは事業項目の所に別の施設利用の規定が設けてあります。 それから第二十條に關しての御質問は、特別に困難なる條件をつけてはいけない、こういう意味でありまして、お述べになりましたような、組合の資産が貯まつておる、從つて持分が殖えておる。こういうような場合にはそれ相應するところの加入金をとることは妥當であると思います。從つてそれは困難なる條件を付するということに該當しない。かように解釋をいたします。 それから第二十二條第三項第三號の「定款で定める行為をした組合員」、行為ということはなるほど定款にいろいろ定めてありましようけれども、ここに言う「定款で定るる行為」というのは、こういうことをすれば除名をするということを定めるのであります。そういうふうに解釋しております。 それから連合體が解散する場合に、一會員を一人と稱するのは言葉かおかしいではないか。これは言葉の感じでありますから、特に私から申し上げることは避けたいと思います。 その次に四十二條の「參事及び會計主任の選任及び解任は、理事の過半數によりこれを決する。」これは理事が仕事を行います場合には、純えず過半數によつて決していく、これが原則であります。參事竝びに會計主任を設置するということを書きましたので、その選任、解任について規定を置いたというだけでありまして、特別の意味はございませんが、これについての御質問の趣旨はよくわかりませんでしたので、私のお答え申し上げておることも、あるいは的をはずれておるかと思います。 それから第八十三條に、登記をいたしますときには、定款竝びに出資の總口數及び出資第一囘の拂込のあつたことを證する書面を添附する。これは銀行預金等の證明書をもつていくわけでありまして、その勘定が合つておればいいというふうに考えます。何か現在登記所等で扱つております事柄に缺陷がございますれば、お示しいただきますれば、また對處するような處置をとりたいと思います。
○成瀬委員 大體政府の御説明に對して了承いたしたのでありますが、まだ一、二の點について、お伺いいたしたいのは、五十二條において「組合員の事業の利用分量の割合に應じてこれをしなければならない。」この場合の組合員ということは、いわゆる準組合員を指しておるかのごとく考えておるのでありますが、これは準組合員でなくて、正組合員のみに對してやられるのであるか。この點をはつきりお示し願いたい。またその次に、二十八條の一番末尾に、「行政應は、模範定款例を定めることができる。」ということは、もつぱら施行の面においてなされるものでありまして、そういうことをことさらにここにもつてきておるということは、いかなる意圖を含んでおるかというふうに考えて、この點について追加質問いたすのであります。
○山添政府委員 第五十二條の第二項の組合員の中には、準組合員を含みます。準組合員がほんとうの組合員らしいのは五十二條の第二項だけでありまして、準組合員を含むわけであります。それから第二十八條の末項に「模範定款をつくることができる」と書いてありますのは、これは今まで何も書いてございません場合におきましても、今までつくつて配布いたしておりました。法律を書きましたのは特別の意味があつたり、含みがあつたりしたわけではございません。
○成瀬委員 この際大臣も出席されておりますので、農林大臣にお伺いいたします。農林協同組合法は昭和二十年十二月九日、同二十一年三月十五日のマッカーサー司令部のポツダム宣言に基く農民解放令、これらの趣旨に基いて立案されたものと私どもは考えておるのであります。かような解釋に基きまして、この法案がかつて戰時中においてやつてまいりました農業團體法のこれらの缺點を拂拭いたしまして、眞に農村民主化のために立案しなくちやなりません。同時に農業協同組合がポツダム宣言の趣旨に基きまして、各町村にまで普遍的に實施しなくちやならないことは言うまでもないのでありますが、しかしながらこういつた協同組合法がはたしてスムースに末端の町村に至るまで行われるのであるかどうか、私ども大きな疑義をもつているのでありまして、封建的地主制度と言いましようか、封建的なこれらの町村の社會制度の確保のためには、從來村における支配層は土地を資本といたしまして、その上に町村役場、また農業團體、これらの實權を握ることによつて長年の間農村を指導してきたものでありまして、かようなことがどれだけの弊害を日本農村に與えたいるかということは、今さら喋々と申し上げるまでもありません。しかしながらこういつた弊害をわれわれはよく認識いたしまして、この農業協同組合法はこのままに農村へ實施する面において、はたして所期の目的を達するかどうかについては、大きな危惧の念を抱いているのであります。從つてこの法律の實施に對して必要なる準備を、いかようなる點においてもつておられるかという點につきまして、政府の御所見を承りたい。聞くところによりますと、農業協同組合の設立につきましては、舊態依然として農村におけるボス連中がこの農業協同組合の實權を握ることによつて、封建的農村の維持に暗躍しているということを聞くのでありますが、かような點を考えてみる場合におきましては、十分ひとつ民主的に農村民主化のためにこれを行うだけの、適切なる御用意の必要があるのであります。またこういつた面からいたしまして、相當農村においては混亂が豫想されるのであります。地主的な農業協同組合、あるいはほんとうの農民的な農業協同組合というものが随所に起こりまして、從來における農業組合の資産をめぐりまして、不祥事さえも起こらないとは限らないのでありまして、かような點を政府も豫想されませて、これらの農業團體における資産に對しては、政府の出している法律案が別途に提出されておりまして、これらの内容はまだ十分に研究しておりませんけれども、この農業團體の整理等に關する法律案が出るころには、すでに町村におきましてはある程度の工作をいたしまして、帳簿價格によつてそれらのすべての資産をいろいろな合法的な方法をもつて横に流すとか、いろいろなことが豫想されるのであります。かような點を考えてみますと、今こそ適切なる方法を迅速に行わなくてはならない。從つてかような意味から、この農業協同組合法の制定に伴う農業團體の整理等に關する法律案の第二條におきましては、それらの點に對する合理的な措置がいたされたおりますけれども、まだまだ不徹底である。これはある程度の日限を遡及して決定する必要がこの際にあろうかと思うのでありまして、金融の面、あるいはその他の面につきまして、資産をめぐるところの適切なる方法を講じていただきたい。またさいぜん政府委員より答辯のありました中に、公職に準ずべきものではない。それでこういつたことを民主的の方法によつてやつてもらうことが好ましいという御意見であつたと思います。從つて元來農村を指導する面において、最も魅力を持つ農業協同組合の役員の爭奪が相當深刻に行われるものであると考える場合におきましては、公職の追放等のこれらの重要な點を、もつともつと強くこの法文の上に明記する必要があろうと考えております。これらに對するところの大臣の御所見はいかがでありましようか、お尋ね申し上げます。
○平野國務大臣 農業協同組合法が農地改革の精神と竝んで、日本農村の民主化を徹底するという趣旨から出ておるという點については、ご指摘の通りであります。このことはしびしば私が申し上げたところでございます。そこでさような重大なる思想をもつておるこの法案が、農村のすみずみにまでよく透徹しておらぬではないか、こういう點でありますが、これはもとより現在農業協同組合法のもつておるこの精神が農村の末端にまで透徹しておると考え得られない點が種々あります。しかしこれはこの法案をいよいよ國會において通過を願うとともに、この法案の實施に從いながら、農村の民主化ということを順次行つていこう。こういう趣意でありますので、現在それが透徹しておらない部分はあるといたしましても、これはやむを得ないことであると思うのです。しかしてこの法案を行う途上においていろいろ混亂があるのではないかという點でありますが、これはもとより農地改革の線におきましても、いろいろ混亂がありまして、種種困難が横つておることは當然であります、いやしくも農地改革が議會において決定せられました以上は、政府といたしましてはあらゆる困難を克服して、豫算が足らなければ豫算をとり、またその他の面においていろいろ足らない點がありましたならば、なお法律の改正を行つて順次農地改革の點を實行に移つておるのでありますから、この農業協同組合法も議會を通過いたしましたならば、十分われわれはこの法の精神に向つて、農村民主化を徹底するだけの態度と用意をもつておるつもりであります。民主主義はもとより言うまでもなく、一日にして或るものではないのでありまして、相當の困難や相當の障害を押し切つて進むところに、初めて民主主義のほんとうの價値もあるのでありますから、現在この法案を行う途上において幾多の困難はありましようけれども、われわれはあくまで農地制度改革の法案と、この農業協同組合法の二つの法案を車の兩輪のごとく推進して、農村民主化を斷行いたしたい。かように思つておる次第であります。 次に御指摘になりました農業會解散等の問題に絡んで、いろいろ農村に混亂が起こつておる、政府はこの法案を施行する前に、相當打つべき手を打つたらどうか、こういう點でありまするが、農業會解散に關する問題として御指摘になりました、この施行法に關する第二條の問題等については、もとより法律は通つておらぬのでありますが、できるだけの行政上の措置はこの八月一日ごろから順次とつておるのでありまして、農業會の資産等において、今後協同組合に移行せられる途上に、およそ豫想せられますとことのいろいろな間違いや不正なことについては、われわれとしましてはできるだけの手續をとつておるのであります。 なお農業協同組合法の將來の役員等の問題について御指摘になりました從來の公職問題、これらの點については、われわれとしましては最も順序に適つた方法によりまして、農村の民主化をいやしくも阻害するような事態については、斷固相當な方法をとつて進んでまいりたい、かように思つております。
○成瀬委員 大體御答辯によりまして了承いたしたのでありますが、もう一つその點につきましお伺いいたしたいのは、憲法實施にあたりましては、憲法普及會であるとか、あるいは農地改革につきましては、農地制度協議會であるとか、農地調整指導員であるとか、こういつた民官一致したるところの方法をもちましてその進行をはかつておる。從つてこららの組合の末端にそういつた何かの機關をもちまして強力に推進する必要があると思うのでありますが、この點に對するところのお考えはどうでありますか。
○平野國務大臣 もとよりこの法案は、現在國會において審議中でありますが、大體皆さんの審議を終えまして、いよいよこの案が、國會を通過する。こういうことになりまするころにおいては、ただいま御指摘になりましたような、どういう方法をもつてやるかということはひとつ御相談をいたしたいと思つておりますが、農業協同組合法の精神の徹底するために、あるいは衆議院あるいは參議院等の諸君にお願いをして、この精神を普及する會、こういうものについては、私といたしましては相當いろいろ考えを今日もてております。
○野溝委員長 委員長から農林大臣に一言申し上げます。本日の委員會の劈頭におきまして、八木委員から委員長を通して農林大臣への申し入れがあつたのであります。その内容は、本法案を審議していく上におきまして、農業生産調整法案との關連は重要性をもつておる。しかるにかかわらず農業生産調整法案が未だに本委員會において何ら懇談をも重ねないうちに、それが閣議において決定されたということを聞いておる。しかしそれは本委員會を輕視するものではないか、よつてその意圖がいずれにありやを委員長から農林大臣に聽いてもらいたい。こういう意見でございます。これに對して農林大臣はいかなる考えをもつて閣議に臨まれたか、その内容についてあらかじめ御報告願いたいと思います。
○平野國務大臣 農業生産調整法ばかりでありません。政府が閣議決定によつて正規に國會に提案いたしまするところの法律案そのものは、閣議決定をまつて正規に國會に提出し、正規に國會に提出いたしましたものを正規なる國會の委員會、本會議において御審議を願つてこれが法律となる、これは憲法の上において明記せられておる通り、政府の行うことと國會の行うこととの分限は明らかにいたしていきたい。かように思いますので、農業生産調整法なる法律をこの委員會に事前に審議をしなかつたということについては、何ら手續上の間違いはないと思います。ただ問題といたしますことは、この農業生産調整法の中味に盛つてあるところの一番基本的な問題は供出制度、こういうような問題でありますので、供出制度というような法律ではない、現在政府の行わんといたしますところの重要なる一つの施策、こういう問題につきましては、しばしば委員會において供出制度の中に皆さんの御意見を承つておるのでありまして、御協力を願い、事前に打合わすべきそのものについての手續は、かようにいたしておるのでありますが、農業生産調整法なる法律自體をこの委員會にかけなかつたということは、政府といたしましては何ら手落ではない。かように考えております。
○野溝委員長 ただいまの意見に對する質問はございませんか。
○八木委員 私は本日眞直ぐにこちらに登院いたしたのでありますが、途中この新聞の記事をめぐつて、ただいま上程審議中の協同組合との關連において、私に質問の矢を向けた方が今數えてみると十一名にあたるのであります。事柄はかくのごとく今日農村、農民、農業者の間には、協同組合と土地制度の問題をめぐりまして、非常に眞劍であるということを思うのであります。そこで御質問申し上げておるのでありますが、なるほど立法の發案權、政府は議案として發案する權利を憲法上有しておる。その議案の中に法律をも當然含むという解釋を廣くいたして、今大臣の御答辯のような趣旨もあるのでありますが、法律學者の中には、議案の中に立法の發案權が含むと解することはむりである。國權の最高機關である立法府においてのみ立案すべきであるとさへ言われておるほどの問題であるのであります。從つて今日農林常任委員會が開會中であり、ただいま申しましたように、ここにマイクはありません。アンテナも張つてありませんが、全國津々浦々の國民の半數の農民諸君は、土地問題と協同組合のこの二つの問題をめぐりまして、車の兩輪がなぜ一年も遲れて上程になつたのか。今度の内容はどうなつておるのか。土地問題に關してはわがの黨の寺島君からも劈頭に御質問申し上げましたように、第二次、第三次の土地改革が引續き、あるいは土地國有にまで發展するのかとさへ、杞憂する分野があるのであります。かかる重要な案件であるのを、いや、立法府のこの常任委員會を無視しておるのじやない。當然の發案權があるのだから、當然の仕事をしたのだ、供出の方法についてこそ打合せをしたのだというようなお話でありますが、私は考察いたしまして、この點については遺憾の意を表さざるを得ないのであります。また供出についても、先ころ來次官を通じて再々、なるほど非公式にお打合せはありました。しかしその打合せられる政府のお考えと、われわれ議員同僚間の質疑を通して抱懐いたしておりまする國民の氣持ちとの間には、かなりの開きがあります。この開きをなんとか合致させようとする政府側の努力の見るべきものは一つもありません。ただ形式的に一應お目にかけておくという程度であつて、決して一つの案件も、國民の氣持、農民の感情に合致するような方向へ、供出制度要綱をかえていこうという誠意のほどを、私は見届けることができなかつたので、その點は審議中にも遺憾の意を表しておる。ただいまその點は打合わせしてあるということでありますけれども、一應目にかけたに過ぎないというような感じでありまして、特に東北に大臣の行かれた際新聞に、われわれの要求し、政府の意見と一致しなかつた問題に、明快な囘答を紙上を通じて與えておる。たとえば肥料を報奬物資としないといつたような點、あれらについても、この委員會の審議權について、大臣の誠意のほどを思わざるを得ないのでありまして、先會來農林の常任委員會の諸君から、大臣のこの席に出てくることが少い。大臣はまもとに冷膽じやないかという聲も再々あつて、今日に及んでおります。どうかせつかくありまするこの權威ある、名譽ある農林専屬の委員會のために、深い理解と熱意をもたれんことを要望してやみません。
○平野國務大臣 もし私の憲法及び法律案の扱い方についての解釋が違つておれば、なお法制局等とも相談して申し上げますが、私の考えとしては、決して普通の言葉でいう議會答辯、詭辯ではありませんが、法律案というものは政府が閣議決定をして、國會に出しておる。そこで國會で審議をして、修正をすべきところは修正をする權利がある。また否定するなら否定する權利もある。そこに國會の意味がある。かようなことになりますので、法律案を閣議決定する前に、この委員會の了承を得なかつたということは、何ら違法ではない。こう思います。從つて正面上あなたの御質問に對しては、私の手續は違つておらぬとはつきり申し上げておきたい。ただ問題は供出制度であるとか、あるいは先ほどおつしやつた肥料を報奬のリンクにしないとかいう諸問題については、なるべく委員會等の御意見も聽きながら、現在われわれがやる。これは政府、國會という問題とは多少離れて、さような處置をとることが現段階において好ましいということから出ると思うのでありまして、でき得る限りわれわれはこの委員會の御意見を徴しておる。かように思うのであります。ただいま肥料の點を御指摘になりましたが、私は成瀬委員の質問に對して、肥料を報奬物資として扱うことは、原則としていたしたくない。こういうことをはつきり言うておる。あなた方に前に申し上げたこと、車中談等で言うたことについて、何ら間違つておらぬ。ただ新聞の扱い方が、その時その場合において、扱い方によつて印象が違うことは、これは私の罪ではなく、新聞の扱い方によるのであると思います。これらの點は決してここで言うことと屋外で言うことと、二つには答辯をしておらぬつもりでありますので、併せて御了承願います。この委員會に御相談をすべき範圍と、政府自體が法律なら法律として閣議決定を經て、國會に出すべきものとの區別は、おのずから明らかにすることの方が、問題を混淆しない。かように考えておるのでありまして、この點あくまで私は誠意はもつておるのであります。御了解願いたいと思います。
○的場委員 協同組合法について二、三農林大臣にお尋ねいたします。このたびきわめて民主的な農業協同組合法が提案されたのでありますが、この農業協同組合法に基いて組合ができて、この組合によつて農業者たちはおのれの權益を擁護し、また國家に對しておのれの責任を完全に果すことのできるようにしなければならぬだろうとおもいます。ところでわが國の今日までの長い期間は、何によつて今この協同組合法でなさんとすることをなして來たのであるかというと、これは多年産業ま合法による産業組合、農會法に基く農會、後これらが集まつた農業會が、今日まで日本の農業というものをここまで進展せしめて來た功績というものは、きわめて偉大なものがあつたと思うのであります。しかも明治初年におきましては、官憲の力をもつて歐米諸國の農業を、そのまま模倣せんとしたのでありますが、それはことごとく失敗でありました。後、農業會というような民間團體ができまして、この民間の力によつて、農業者自體の結束の力によつて、だんだん日本の農業というものを、ただ歐米模倣でなしに、日本には日本の農業を築き上げて來た今日までの系統農會、あるいは系統産業組合のその功績というものは、決して無視すべきものではないと私どもは考えております。現在においてもこの食糧危機のときに、食料の増産なり、食料の供出について、彼らが働いておりますその努力、その功績というものは、政府は十分認めるし、感謝すべきものであると思います。今日世間では農業會というものが何か非常な不都合をして、日本農業に非常に阻害をしたかのごとき口吻をもつて今日生まれんとする協同組合を讃美して、今まであつた農業會というものが、國家のために非常な害惡を流したがごとき説をなす者が世の中にありますけれども、私たちは決してそうではなかつたということを考える者であります。これらについて農林大臣はいかなるお考えをおもちであるのか。 第二には、今まで農村を指導し、農民たちの生活文化を今日まで引上げてき、そうして日本農業に貢獻をいたし組みした、それだけの努力をし、それだけの陣容を整えておる農業會が、このたび解散して姿を消すのであります。そして新たに今誕生せんとする雛、生まれんとしておる協同組合、これはきわめて力の弱い、指導力のない貧弱なものであります。この力のない貧弱な、今生まれんとする協同組合に切り變ります數箇月、あるいは一、二年の間は非常に指導力が低下いたしまして、日本農業の進展の上に阻害をするおそれがあるのでありますが、それをいかにして償わんとするか。この點をお伺いいたしたいのであります。もう一遍申し上げますと、今まで非常に指導力の旺盛なる農業會の力によつて生産、供出、その他農村文化が指導されておる。それがこのたび解散をいたしまして、まつたく赤ん坊である協同組合が今生れても、ここ數箇月なり數箇年の間は、力なくして日本農村をうまく指導していく實力がない。その實力のない間、ここにわが國の農業というものが頓挫を來し、生産なり供出に支障を來すというようなおそれのないようにするには、どういう考えを農相はもつておられるのであるか。まず最初にこの二點についてお伺いいたします。
○平野國務大臣 産業組合なり農會、最後には農業會、これらの農業團體が過去において農村の利益を代表し、種種事業等の面において相當の功績があつたということを、私は否定するものではないのであります。しかしながらここにはつきり申し上げたいと思うことは、今日日本の農村に要求されておる問題は、農村の民主化ということのきわめて純眞なるスタートを切る。こういうことが今日日本農村に課せられておる最も大きな問題だと思います。この點から考えますと、從來の農業會が農民の利益團體として、また農村における種々なる功績があつても、農村の完全なる民主化のスタートを切る、こういう場合においては、潔く農業會を解散して、新たなる農業協同組合ができるということは、これは決して間違つたことではない。むしろ從來の功績があるからという理由のもとに、農業會の解散を不徹底なことに終らしめたり、未練がましくいたしておるということは、かえつて農業會自體のためにもとらざるところである。結局日本に課せられておるところの農村民主化という問題と、新しい一つの生産階梯において日本の農業が生れ變る點においては、ここに農業協同組合というものが新しい芽生えをなすことが正しい結論から、ここに農業協同組合法をつくつたのであります。この點は十分御了承願います。 さて第二の質問でありますが、かような急激な變化を起こした場合、具體的には、從來政府が政府の代行機關として委任をいたしておつた農業會に對する事業などが、さしあたりうまくいかないことになつて、たとえば供出の面、配給の面等において非常に不都合はないか。こういうことについては相當に考えらるるのでありますが、しかしこれまた現在の考えようによれば、ある部分におきましては新しい協同組合がすぐそのあとを代つてやれる部分もありましよう。また政府みずからが、從來農業會のやつてまいりました事業を公團等の形式においてやる部面もありましよう。また中には現在の町村會等を通じて、これらの機關を吸收することもできるのでありまして、具體的な諸問題に關しましては、農業會が解散されて農業協同組合になることによつて、あなたの御心配になるような點はきわめて少くやつていける。ほとんどそういうことがないようにやつていきたい。それについてはそれぞれの考え方をもつておるのでありますから、この點は御安心を願いたいと思うのであります。
○的場委員 大臣は私の質問を少し誤解されたようでありますが、現在あります農業會なり、前からの産業組合なりで、多年にわたり非常に功績を殘しておるということによつて、功績があつたからこれが解散に未練を殘すというような氣持でお話申し上げておるのではありません。この際はそういうことがどうあろうとも、これはきれいに解散をいたしまして、りつぱな協同組合という赤ん坊が安産をし、すくすくと言つていくことを念願するのであります。その點は大臣と私との氣持ちは違つていない。しかるに現在まだあります農業會が、何か罪惡を重ねておるかのように、世間で惡罵をあびせる連中が多いこのときに、從來における農業會の功績を大いに認めてやり、これに感謝の意を大臣が表してやることこそ、今度新たなる協同組合という赤ん坊が安産をし、よりよく育つていくためにも私はよいことであると思うのであります。そういう意味において私は質問をしたのであります。ことに新しい協同組合ができたばかりで、まだ實力のない數箇月、あるいは數年の間において、農村の進歩が一時頓挫するようなことのないように、十分の御注意をお願いしたい。かように考えておるのであります。 次にお伺いいたしたいのは、今まで農村は、地方末端に至るまで官僚陣營によつて指導されてきたのであるが、それがあまりよい結果を得なかつたので、民間團體の指導者たちがほんとうにわが子のごとく農民をいたわり、指導し、農民たちもまたその指導者を信頼し、指導者の言うことをよく聽いて日本の農村は進歩してきたのであります。そういう團體のない以前においては、官吏たちが壓迫的に西洋模倣の農業を強いたのでありますけれども、それはことごとく失敗しております。歴史がはつきりしておるのであります。そういう歴史をもつておるのであるから、この際、農業會がなくなつて協同組合になるこの變り目のときにも、官僚獨善的な指導では農民たちは納得をしないから、そこに今大臣が考えておられるようなことを、もう少し民主的な方法によつて、その間の指導力の不足を補うようなことを考えていただきたい。そのためには從來民間團體におつて農村を指導し來つた指導たちを保護し、また今度できる協同組合にそういう指導者たちをおく能力がなかつたら、それをおく能力のない小さな弱い團體に對しては、國家がこれを保護獎勵して金を出してやつて、そういう指導者をおかせて、官吏の力でなしに、民間人の力によつて農村を守り、農村を育てていくことに努力をさたれいという私の考えなのでありますが、この點について大臣の御所見をお伺いいたします。
○平野國務大臣 農業會の不當に誹諮するようなことはむろん避けていきたいと思います。先般申し上げたように、農業協同組合法はあくまで日本民主化の基本的方針としてこれが出發するのであるという前提のもとに、農業會が自然と解散されていくのだ、こういうことを固く私は信じていきたいと思います。なお新しい協同組合がその發展の途上においては、幾多の注意をしなければならぬという點もまつたく同感でありますから、これらについては十分なる注意をいたしていきたいと思います。 最後に御指摘になつた問題は、非常に重大であると考えるのでありますが、農業協同組合をつくつて、これからの農村の指導を農林省がやる場合において、從來のいわゆる監督あるいは官僚的指導、ある特定のわくをつくつてそれに農村をはめこむというような形は、農業協同組合法の精神と反するものでありまして、あくまで農業協同組合は農民の自由なしかも自主的なる協同の精神から盛り上がる生産力の高揚、農民生活の向上、こういうものになるのでありますから、かような從來とつたいわゆる監督的、干渉的なる弊は、この際一掃していきたいと思います。しかしながらここになお申し上げたいと思うことは、しからばというて何ら指導的方針をとらず、無方針でただ農民の自由意思であるということだけでは、十分協同組合が發展するとは考えられぬのでありまして、この點においては諸官省である農林省では、たとえばの農村の機械化、農村の工業化、こういう問題についてはそれぞれの試験場において、またそれぞれの調査機關、それぞれの研究機關を設け、十分なる檢討を現在加えつつあります。また肥料の施し方等に對する新しい方法についても、あらゆる技術を動員して、われわれがよく檢討いたしますることは當然であり、また農村の電化、家畜の導入、あるいは土地改良、こういう技術面においても、農林省としてはいろいろな方面において研究調査を遂げて、これを農業協同組合法が百パーセントに吸收し得るの途を講ずることは、當然の處置であると思いまして、これらの點については、われわれは十分に研究いたしております。なお農村のいわゆる指導技術者の問題については、現在農業會が解散せられまして、從來農業會の中におつた技術者もあれば、あるいは民間において用いられずして不遇の地位におつた技術者等についても、これが眞に協同組合等において吸收せられて、これらの人々が農民の自由なる、自主的な立場から、新しい眞の日本の農業の建設というものが技術面においても吸收されていきますことは、これは協同組合法の施行とともに、われわれ大いに歡迎するところでありまして、御指摘のような單なる干渉、監督というようなことに重點をおく指導はなくして、あくまで盛り上る農民の意見であつて、しかもそれには政府が指導いたしまする研究調査等は、十分にそれらが吸收される態度をわれわれはとつていきたい。かように御了解を願いたいと思います。
○的場委員 次にこれはこの前の質問者からの質問された一つの問題でありますが、大臣がおられなかつたので滿足な答辯がなかつたようですからお伺いいたします。この協同組合法の中には、到るところに農業者を表現するのに農民という言葉を使つております。これは農業以外の場合何民というような字を使つておりません。この農民という表現はいかにも農業者を侮辱するように聞こえてならないから、これは農業者とでも改めてしかるべきものであろうと私どもは考えておるのであります。ところがこの前の政府委員の答辯では、農業經營者もあるし、農業從事者もあつて農民という表現をしたというお話でありますが、農業從事者はとりもなおさず農業者である。これをことさらに農業に從事する者、農業を經營する者に限つて農民と言うことは、地方の農村に對し非常に感情を惡くするのであります。これは何か適當は表現によつて改められたいとわれわれは考えておるのでありますが、常に農民農民といつて農民をばかにして、農業者を侮辱する言葉でしかないのでありますから、この際はそういう表現ではなしに、この法律の中の農民という表現は、これを改めたいとわれわれは考えておりますが、これについて農相はいかなる感じをもつておられますか。
○平野國務大臣 私は農民という言葉の中に、あなたの御指摘になるような意義を感じないのであります。農民というものはあくまで農民でありまして、われわれはこの法律に明記いたしておるところの、むしろ農民たるの誇りをもつていく。かような意味でありまして、現在この字句を訂正する意思はありません。
○的場委員 これは少し別な問題でありますが、食糧管理局長官なり農林大臣は農村における生産物は中味取引をする。從つて空俵、空かますのごとき包裝用品はこれを無償で農業者に返還して、もしそれができなかつた場合には農相は八圓を返すということを言明しておられるのでありますが、今日に至るもこれが實施されないのであります。これはどういう理由でありますか。私どもは農林大臣の言われることには腑に落ちないことが多いのであります。秋田縣の横手町では米價は二千圓にするということをすでに發表しておられるということが新聞に出ておりますし、前の質問者によつて話されたようなことも、これらはすでにきめておいて、あとから委員會などに相談をなさるのですか。
○野溝委員長 的場委員に申し上げます。これについてはあとで供出の問題がでてまいりますので、議題外の質問だと思います。それで緊急的の問題とすれば後刻これを取上げてやりたいと思いますので、この際一應議題の問題を先にお進め願いたいと思います
○的場委員 關連しますから簡單に……。
○野溝委員長 關連しても委員長はそう認めません。他の質問を續けてください。
○的場委員 それでは別の問題にはいります。この協同組合を組織するのには相當莫大な資材が要る。それには最も大事なものは紙であると思いますが、そういうものについては農林省としては用意があるのでありますか、どうでありますか。今まで何かやると裏紙を使つて、切つたり張つたり何かして地方では苦勞しておりますが、今度また農業會が解散をしてこれにも相當な資材が必要とする。なお新たなる協同組合組織についても相當なものが必要なのですが、それらについては用意がありますか。
○平野國務大臣 無論土地改革及び農業協同組合法を徹底するということは、現在の日本としてきわめて重大なる仕事でありますので、これらに必要なる所要經費、所要物資等については、相當優先的に手配をいたすことは當然でありますが、今ここにどれだけの紙の用意があるということは明言できませんけれども、必要なる分量については無論用意をいたす決心であります。
○的場委員 別の問題でありますが、四十八條でしたか、總代の數がきめてあるのですが、千人以上の場合には總代でよろしい。その場合に總代の數を二百名以上にするということが規定されておりますが、それではあまりに總代の數が多過ぎて困るだろうと思います。千人以上の會員があるならば總代を認めるが、二百人以上の總代でなければならぬというのはあまりに總代が多過ぎはしないかと思います。二百人以上ときめられた根據をお知らせ願いたい。
○山添政府委員 元來協同組合といたしましては、直接組合員が出かけて行つて、相談をしてものをきめるという本質に基いて總代會を置かないのが本來の原則であります。特に千人以上にもなるというような場合には、なかなか集會もできないという關係上、總代會を開くことといたしました。そういう趣旨からやはり總代の數もあまり少いということであれば、これはただいま申し上げましたような趣旨に合致しないということから、總代を置くということにいたしたのであります。
○的場委員 連合會はいくつ重なつて連合會ができても差支えないというお考えでありますか。この協同組合法によつて小さな部落で協同組合ができますし、それが村で連合會をつくり、さらに郡で連合會ができ、縣ででき、また全國で連合會ができるというふうに、非常に多くの段階において連合會ができることは、支障がないとお考えになつておるのでありますか。その點をお伺いしたいのであります。また町村區域と行政區域を一緒にして協同組合ができた方が、私どもは指導獎勵の上に、また政府當局とのつながりの上にも非常に便利であると思いますが、やはり民主的で、皆の自由意思ということで、それらの點に關しては發言もせず、意思表示もせず、指導もせずに、ただじつと政府は見ておるお考えなのか、またこうすることが便利であり、發展する上にも都合がいいと政府の考えるところは、十分指導するつもりなのか、その邊のことをお聽かせ願いたい。
○平野國務大臣 建前といたしましては、町村にいくつもの協同組合ができることは法律が認めておるわけであります。從つて連合會等も非常に複雑に形成せられることも妨げないことに法律はなつております。農民の自由意思を尊重する建前から法律がかようであることは當然であると思うのであります。しかし御指摘のように政府としましては、それらの問題についてただ自由であるからというので何ら方針を示さないかという御指摘であるとしますれば、われわれの理想とするところは、大體一町村一組合、しこうしてその上に連合會が形成されていくことが望ましいと考えるのであります。しかしながらその町村内において特殊なる業種別に種々なる組合ができることは當然でありまして、これらの點はその地方その所において相當なる自由性を尊重いたしますことが法律の建前であります。從つて私どもとしては一村一單位組合が理想であるというような言論はときどき用いるつもりであります。しかしそうでなくてはならないというようなことを、あまり強硬に言うことはこの法の精神に反するのでありまして、大體においてわれわれの意のあるところはその通りに發表いたしますが、それによつて拘束せられることのないのはこれまた當然であると思います。
○的場委員 登録税千分の四というのが規定せられておりますが、こういう場合の登録税は免税されてもいいのではないかと思いますが、やはり登録税をとらなければならないものでありますか。
○山添政府委員 これは從來の立法令にならつておるのであります。
○野溝委員長 的場君に申し上げますが、大臣に質問される方が相當多數ありますので、こまかいことはあとで御質問願うことにして、大臣に對する質問を先に願います。
○的場委員 大臣に對する質問はこれで打切ります。
○野溝委員長 細野君
○細野委員 提案趣旨の説明が本會議の提案説明の程度でありまして、あとでこまかい逐條的な説明があるものと思つておりましたが、それがございません。私の質問したいことは、總括的な問題もありますし、またこまかい問題もありますが、まず總括的なことをお尋ねして、こまかい點は後に質問することを留保しておきます。 前の質問者のいろいろの御質問によりまして、わかつた點もありますが、わからない點もあります。まずこの協同組合の役職員が公職でないということが私にはわからないのであります。これは從來の農業會、特に戰時中の農業會の役職員には、ときどき不正行為があるようなことをしばしば聽いておるのであります。公職にあらずという意味は、刑法の免職罪の場合の公務員にあらずという意味なのかどうかということであります。これはあるいは司法大臣にお尋ねする趣旨のものであるかもしれませんが、お伺いいたします。 それからいわゆる公職追放令における意味においての公職にあらずという意味がおそらく本旨であろうと思いますが、しからば將來これを公職追放令のうちの公職に指定するというお考えがあるのかないのかという點をまず第一にお尋ねしたいのであります。というのは今まですでに追放されました公職該當者が、今度の追放によりまして、農村において相當勢力を失墜しておる。それが今度農業協同組合ができます機會に、自分たちの失墜した勢力を挽囘したいという運動がぼつぼつ見えておるので、私は農村における公職追放の徹底ということをやつてもらいたいのでありますが、そういう意味において農林大臣はどういうお考えをもつておられるのかということをまず第一にお伺いしたいのであります。
○平野國務大臣 協同組合はあくまで農民の下から盛上る自由意思によつて出来る團體であつて、その團體から選ばれておる役員は、いわゆる通俗的に從來考えられておる公職追放等の公職ではない。こういう趣旨であります。しかし御指摘になりました農村の追放問題を徹底的にやる。こういうことについては、いやしくも農村の民主化を阻害するところの條件がありますならば、それは相當に考うべきである。かように私は考えておるのであります。
○細野委員 提案の御説明によると、この農業協同組合には自由の原則ということが非常に徹底されておるということを言われております、そうかと思いますと一面において組合の自主性、從つて設立の場合においても、ほとんど行政官廳というものは認可をすることになつておるけれども、それはただ届出受理程度の寛大な意味の認可である。こういうことを述べられております。しかもいろいろ前から質問者が指摘されましたように、最低限度十五人の組合員で組合が成立し得るのでありますから、結局これはたくさんの組合が濫立するということが豫想される。そうしてそのたくさんの組合の間の優勝劣敗というか、弱肉強食というか、自然淘汰に任せしておくということになる。自然淘汰によつて最後に勝殘つた組合が、これはおそらくどういたしましても、提案の理由においても述べられましたように生産過程の合理化ということが趣旨になつておりますから、生産條件がほぼ同じ地域において一組合をつくるということにならなければ、理想的な協同組合というものはできない。そこで農林大臣はおそらく一町村單位というくらいのことを豫想されたおりましようが、もしそうだとするならば、結局優勝劣敗によつて最後に勝殘る一つの協同組合というものには、ある條件があるはずである。從いまして初めから最後に一つの殘るということを豫想するならば、この自然的の淘汰に任せないで、その最後に殘るというものを初めから明示したならばどうかということを考える。もし一町村單位がいいというならば、町村ということに地域の限定をされたならばどうか、そういうことをしないで、全部自然淘汰、優勝劣敗に任すということが、はたしてこの農業協同組合の發達のために親切なるゆえんであるかどうかということを伺いたいのであります。おそらくこの場合自由の原則がやかましく言われておりますから、出資の制限もありません。從つてある組合では非常にたくさんの資金を擁してそこにはおそらく富農階級の人たちだけが集まつて組合をつくる。一方には貧農だけが集まて貧弱な組合をつくる。こういうことになりまして、結局從來の農村における反動勢力が一つの富農の方の組合に加擔をいたしまして、現在すでにそういう傾向もぽつぽつ現われておりますが、そういうことによつて從來の保守的、反動的勢力が再び農村において擡頭するということも考えられるのであります。從いまして自由の原則ということも、これはやはり程度問題でありまして、區域、人員、資金等について、ある程度制限を加える必要があるのではないか。この點をまずお尋ねいたします。
○平野國務大臣 初めから一町村一組合ということを法律に制定することは、私としてはやはりいけないと思います。この點はあくまで法の建前は、いくつかの組合をつくることは自由である。こういう建前が正當であると考えておるのであります。しかしいろいろ競争した結果、當然一つになるならば、初めから一つにしたらいいじやないかという御議論は、一應の御議論のようでありますが、そのいずれが一番農民の自由意思を尊重したる、生産力の高度なる協同組合であるかといいうことは、やつてみてきまるのであつて、あらかじめ初めから政府といたしまして、たれそれを會長とし、たれそれを役員として、それが一つであるということを認定すること自體が、この法の精神に反するのでありまして、あくまで法の建前はここに規定しておるようなことが正しい。かように思つております。 それからしばしばこの法案に對して御質問があつたのでありますが、富農貧農という二つの問題があつて、依然として富農階級が農業協同組合の指導權を握るのではないか、これではせつかくの農業協同組合が意味をなさぬという御議論でありますが、これは土地改革というものを行わないで考えられた農業協同組合であるならば、むろん御指摘の通りであります。しかし政府としてはあくまで土地改革は既定の方針に從つてぐんぐんこれは推進するのであります。從つて土地を所有しておるということの優越感から村を指導するという觀念は、土地改革の推進とともになくなるのであります。現在まだそういう考え方があるというのは、古い惰性でありまして、土地改革が徹底的に行われた瞬間においては、地主であるがゆえに村の指導者であるという考え方は覆える、もしそうでなくて依然として古い型の人であつても、その人が指導者である場合は、地主なるがゆえの指導者ではなくして、その人が個人としてもつておる識見、人格、あるいはその人特有の農業上における技能なり、その人の徳望というものからくる指導者なのであつて、これはむげに排斥すべき性質のものではないと考えます。從いまして細野君御心配のような富農貧農の協同組合における影響というものは、土地改革の進むに從つて、漸次これは解消するものなりという考え方のもとに、農業協同組合法を施行せんとしておるのであります。
○細野委員 次にお尋ねいたしたいことは、組合組合の事業であります。ここに第十條にいろいろな事業が掲げられておりますが、おそらく貧弱な十五人ぐらいの組合は、實際問題として十五人ぐらいな組合はできないでありましようが、貧弱な組合でここに掲げられておりますような仕事をほんとうに有効になさるのには、これはただ組合の力だけではいかぬと思う。どうしても一方において、政府は組合の自主性というものを尊重される建前になつておりますが、ここに掲げてあるような、たとえば農村工業に關する施設といつたようなことに關しては、どういたしましても政府の指導が必要であると思うのであります。それに先だちまして、まず農村工業ということについて政府はどういうふうに考えられておるか。ちよつと昨日でありましたか、一昨日でありましたか、山添局長の答辯は、加工というものの程度を越えたのが農村工業であるという答辯でありましたが、そういう狭いものではないと思うのであります。農村工業ということが從來都會から農村に工場をもつていく、そうして都會の資本家が農村の勞力を安く使用するといつたようなことすらも、農村工業という意味に使われておる、あるいはまた農村の加工業の程度の越えたものというような意味に使われておる場合もあります。あるいはまた農村が純粹の工業、たとえば農民に時計をつくらせるということが農村工業だという意味に使われておることもありますが、政府はこの農村工業ということについてどういうふうに考えておられるか。
○平野國務大臣 農村工業という言葉に明確なる定義をくだして、これが農村工業であるということは現在においてなかなかむずかしいのであります。しかし想像さるべき農村工業は、まず第一に農民が生産をしたる生産品を加工し、その加工の段階の上において順次高度なる加工を加えていく、こういうふうに指導いたすことが、一つの農村の工業化であることはもとよりでありますが、同時にまた單に農業の生産品ではなくても、農村そのものの中に工業を誘導いたしまして、かりに勞働力が餘つているといたしますならば、この勞働力をフリーに用いることによつて、農村經濟を充實するというような考え方から、農村に工事を導入するということも、これまた農村工業でありまして、將來農業協同組合が、これらの面においてどの點まで農村の工業を行うがよいかということは、今日ここに斷定することは困難でありますが、私の見解といたしましては、相當廣い意味における農村の工業、かように解釋してゆきたいと思います。
○細野委員 私は特に單作地帶における農村工業につきましては、どの村にはどういう農村工業がいいかということについて、政府に總合的な調査を願つて、そして指導していただきたいということを希望として申し上げておきます。 なお政府は昨年から電化農村をやつておられるようでありますが、それに關する資料がありましたならば、その實績をひとつお知らせを願いたいと思います。今ただちにでなくてもよろしゆうございます。 さてその次に私は農業會が本法實施とともに廢止せられる場合のことについて、若干お尋ねしたいのであります。農業團體の資産處分につきましては、この八月一日の省令で禁止されていることを昨日拜承いたしました。しかしながらこれは前の質問者が言われましたように、はたしてあの省令一本で實效があがるかどうかは相當疑わしいと思う、ともかく農業會と新しくできる農業協同組合との關係を一應きつぱり切れということが、この法律の趣旨らしいのでありますが、かようにいたしますと、從來もつていた農業會の資産というものが、どういたしましても分割されなければならぬ。從來の農業會の所屬會員が、全部こぞつて新しい農業協同組合の組合員になり得る場合というものは、おそらくないだろうと思いますから、從つて新しい農業協同組合の組合員たる資格をもつていない部分に對しては、どうしても持分の分割拂渡しをしなければならぬ。その資産分割によつてどういたしましても價格の減耗すると思うのでありますが、その價格の減耗を防止するということにつきましては、どういうふうな方法をおとりになるのか、すべてただ兩方の當事者の協議に任すといつたことで、うつちやらかしておくのかどうか、この點を第一點として伺います。
○平野國務大臣 單作地帶の工業については、たとえば搾油工業などの問題は、すでに相當具體化しておりまして、これらの點については十分ひとつ檢討を加えてゆきたいと思います。 農村電化の問題につきましては、全國三箇所ぐらいに電化の政策を進めておりますが、今日はここに十分なる用意をもつておりませんので、適當な機會にこの電化關係の結果を、この委員會で發表いたしたいと思います。 最後に農業會と協同組合との財産の引繼ぎの問題でありますが、これは協同組合が新しくできて、前の財産を引繼ぐ場合は、ある程度の減耗、あるいは分散ということは當然覺悟しなければならぬと思うのであります。そのことによつて失うことより、新しくできるところの農業協同組合が、新しい角度から農民の自然の意思でできるというところに、この組合の相當の魅力があるのでありますから、前にもつておりました農業會の財産等が相當分割されてゆくということは、これまた協同組合法をつくる精神といたしましてはやむを得ない、むしろ當然であると考えております。ただ政府といたしましては、そういうことではなく、この農業會のもつております財産が、次の農業の生産等に流導されることなくして、それを別途の方面に處分せられたり、あるいは不正にこれらのものが處分せらるる等のことについては十分監督する義務があると思うのでありまして、これについてはすでに特に十分なる用意をして、萬般の準備をいたしておりますから、この點についてはどうぞ御安心を願いたいと思います。
○細野委員 話がちよつと細かくなるかもしれませんが、農業會と新しい協同組合とが、共同財産について協議をしまする場合に、その資産の評價方法はどういう方法によつてやるのでありますか。
○山添政府委員 原則といたしまして企業再建整備法または金融機關再建整備法等で定めております基準によることにいたしております。これは原則でございます。なおまた資産の分割等にあたりまして協議が整わないという場合におきましては、行政廰で裁定をいたすことになつております。
○細野委員 なお農業協同組合法制定に伴う農業團體の整理につきまして、從來の法律にまつたく見なかつたような新しい一つの例、すなわち第一條の末項に「主務大臣は、第六項の規定による解散の議決及び第三項、第四項又は第六項の規定による解散に因る精算の結了を農業團體に速やかにさせること關し責任があるものとする。」という字句は、はなはだ珍しいものと思うのでありますが、これは一體どういう責任をおとりになるのでありかすか。
○山添政府委員 これは主務大臣が金融機關再建整備法による最終處理を終らない團體、すなわち存續を認められております團體は、存續は認められておりますが、事業はしてはいけない。事實上は解散と同じ態にはいるのでありますが、その結末を早くつけるような手段をとるということについて、責任をもつて實行をするということを明確にいたしたのであります。公團法等從來の立法例よりもかわつた例がいろいろ出たくるわけであります。
○細野委員 最後に大臣にお尋ねしておきたいのは、この法律の實施についての監督權が、協同組合の地域が都道府縣もしくは特別市の區域、またその區域を超える區域を地域とする組合は主務大臣に監督權があつて、あとは地方長官あるいは特別市の市長というようになつております。しかも主務大臣の權限の一部は都道府縣の知事に委任することができるというようになつておりまして、結局大多數の組合に對する監督權というものは地方長官と見なければなりません。私のお尋ねしたいのは、この場合の、主務大臣の權限の一部は都道府縣知事に委任することができるという、その一部の權限の範圍内容をお伺いしたいのであります。
○山添政府委員 大體縣團體以上を農林大臣とし、縣内の小さいものは知事がそれぞれ監督官廳となるわけであります。どの程度のものを委任するかということにつきましては、これはある場合における檢査事務というようなことは、知事の方においてもなし得るというようなことを豫想しております。
○細野委員 農林大臣に對する質問は一應終わりましたが、なお質問があるんです。
○野溝委員長 先に大臣に對する質問を繼續することにいたしますから、あとの問題は留保することに願います。
○小林委員 前者の質問に對します農林大臣の御答辯の中に、了解に苦しむところが二、三ありますので、この點をあらためてお伺いいたしたいと思うのであります。 この農業協同組合は、大臣がしばしば言明されますように、農民の自主性を強調されておりますが、こういつた協同組合が農民の自由勝手に結成され、連合會等の結成されてまいるのでありますが、この協同組合ができまして、今後起るべき——あるいは起こらないかも知れませんが、われわれ考えましても相當大きな農業恐慌が來るのではないかと思いますが、政府が農業恐慌に對するいろいろの對策等を講ずる際に、こういう組合を通じてやりますかどうか。これについてどういつた指導を行うか。統制の方法等が行われるのじやないかと思いますが、そういうことをおやりになりますかどうか、その邊を明らかにしていただきたいと思います。
○平野國務大臣 私は將來の、かりに豫想せらるべき世界農業恐慌に對する日本農業、こういうものの立場における現在ここに制定せんとする農業協同組合は、すこぶる重大なる意義をもつておると考えておるのであります。從いまして、この農業協同組合が生産面において相當高度に發達することを希望し、かつまた發達するものなりと私は信じております。從いまして、御指摘のような農業恐慌等に備える場合におきましては、あくまで政府といたしましては、この農業協同組合を中心として諸般の施策を行うということは當然であると考えております。
○小林委員 そういたしますと、先ほど會議の劈頭に同僚八木委員からの質問にございまして、農業生産調整法というものを御考慮になり、すでに閣議で決定されておりますが、そういう觀點からいたしまして、ただいまの大臣のお考えと、この農業生産調整法との關係は、どんなふうになりますか、お伺いしたいのです。
○平野國務大臣 ちよつと御質問が抽象的であるので、あるいはあなたのお問いになつておる焦點にお答えできるかどうかわからぬのでありますが、農業協同組合法というものは、あくまで農民が自由的な立場から生産力を高揚する、こういう點から出發するのであります。農業生産調整法というものは、現段階における非常に困難なる食糧事情のもとにおいて、政府がその供出、またその農業生産の統計を把握する。こういう意味から出發するものでありますので、その出發の觀點が違つておるのであります。從つてこれがきわめて密接に密著しておるとは考えられぬ。しかし現在農業協同組合と農業生産調整法と兩者併せて行つていきます途上においては、あらゆる點において矛盾が起こらないように、私どもといたしましてはよく調整を保つていきたい。かように考えております。
○小林委員 ただいまの大臣のお話によりますと、農作物の割當であるとか、あるいは供出であるとかいうことを、この農業協同組合を對象として今後おやりになりますかどうか。
○平野國務大臣 協同組合を中心として割當をするということは現在いたしません。しかし遠い將來、協同組合が相當發展を遂げて、日本の生産というものについて協同組合のもつ立場が高度に發展した場合には、生産調整法と協同組合との關係はまたおのずから變化を生ずる、かように考えております。
○小林委員 なおこの點につきましては、あらためて御質問申し上げたいと思いますが、一應この程度に止めます。 次に、大臣からしばしばお話がありまして、農業協同組合は、どこまでも自主的に農民の自由意思によつて設立をしていくというお考えのようであります。しかるに、先般ラヂオ放送において、農林省の事務官がこの協同組合の設立に關して、その人の見解を述べておりました。これは先ほども大臣からお話がありましたように、言論は自由だからやつても差支えないというお話でありましたが、ここは非常にデリケートな關係にあります。こういう際に農林省の役人が、こういうふうにやてていきたいと言うことは、政府の役人としての責任ある言葉だろうと私は考えるのでありますが、この點について、たとえば今後協同組合は總合的な單一組合をつくつていつた方がいいという言論は、これがはたして政府のほんとうの腹でありますかどうか。それをまずお聽きいたしたいと思います。
○平野國務大臣 繰返して申しますように、われわれが理想として描いておりますのは、大體一町村一組合が理想である。もとより業種別による特殊組合は別であります。言いかえますならば、いかに自由の原則であるといつても、亂雜に協同組合ができ、亂雜に行われることを欲しないということは、われわれは結論してはしばしば繰返す。しかしこれは農民の自由意思を曲げたり、あるいはむりにわれわれが型をつくつてはめこもうという趣意からする結論ではない。かように御了承願います。
○小林委員 ただいま大臣は、一町村に單一の組合を獎勵的にやりたい、ただし業種別は差支えない、こう言つておられますが、先般のラジオの放送はそうでなくて、業種別も町村においては一つの組合にした方がいいという言論があつたのであります。それから、これは私も地方において事實體驗したのでありますが、地方の縣の役人が、今までの農業會の幹部等と相談をして、そういつたふうに指導的にやつておることがしばしば見られるのであります。これに對して農林大臣はこういうふうにお考えになつておりますか。ただいまのお話では、業種別にはどんなふうに立つてもいい。こういうふうにおつしやられておりますが、事實はそれと反しているのであります。その邊どういうふうにお考えになりますか。
○平野國務大臣 いわゆる協同組合としての單位は町村に一つできる。こういいうことを理想だと考えたい。しかし業種別によつてできる問題は、その業種別によつて別個にできることは當然である。かように考えております。
○小林委員 その邊がちよつと大臣の言われるのと、私の質問と………。
○野溝委員長 小林委員に申し上げます。大體はつきりしていると思いますが、いかがでございますか。
○小林委員 僕はどうも大臣の言われることと話がちよつと違うように思いますが、大臣が私の見解の通りに御了解になつているなら結構であります。たとえば畜産であるとか、養蠶であるとかいつた業種別の協同組合が町村に別々にできる。こういうことは望ましいことである、こういうふうに大臣がお考えになるならそれでよろしうございますが、最近のラヂオの放送であるとか、あるいは現在縣廳等においてそういうことに反對しているような向きがありますようですが、そうでなければさいわいですので、大臣がそうおつしやればそのように私たちは考えておきたいと思います。次に先ほどちよつとその問題について觸れたのでありますが、今後協同組合が農業恐慌等に際しまして、指導的な立場に立つて強力な指導を行うべき時期がくる。こんなふうにお話がありましたが、私は蠶絲業の問題に關しまして、先般この委員會におきまして、すでに政府は蠶絲業の復興五箇年計畫を樹立いたしまして、その後著々その線に向つておられることと思いますが、これに關しまして先般責任あるお答えをいただくようにお願いしておつたのですが、今もつてその問題については政府の御答辯がないのでありますが、こういつた蠶絲業の五箇年計畫であるとか、あるいはいろいろ農林省におきまして、農業の生産等の問題につきまして今後計畫があると信ずるのでありますが、こういう點に關しまして、この協同組合を中心といたしまして、そういつた政府の重大なる計畫を、いつごろから、どんなふうな形でおやりになるのか、蠶絲業の五箇年計畫の改訂をすべきかどうか、この點につきましていろいろ御都合もあるでしようが、もしそういう必要があつて、そういうことをおやりになるお考えならば、この際あらためてお聽きいたしまして、その協同組合との關連等をあらためて伺いたいと思います。
○平野國務大臣 もう一囘はつきり申し上げておきたい思いますが、一町村、一協同組合であるということが大體においてこれは望ましい。しかしこの組合法の精神から、各村々に特殊の業種別の協同組合ができることは當然である、これはつくれとか、つからぬとかいうのではなく、それができてくることは當然豫想さるべきことである。かように御答辯はいたしたのであります。この點は協同組合法の精神から、政府がこうしなければならぬ、こうやれということを嚴密に規定して、それにはめこむことはこの法案の精神に反するというのでありますから、この邊は誤解のないように、私の答辯のところは御了承願いたいと思います。蠶絲業に關する問題は先般答辯を留保いたしまして、まことは恐縮をいたしておりますが、ただいま蠶絲局長がまいつておりますので、この點に關して蠶絲局長から十分御答辯をいたしたいと思います。
○平田政府委員 蠶絲業の五箇年計畫は昨年の八月、當時のアメリカの情勢等をくみとりまして立案されたものであります。そうしてその後一箇年間の實施の推移につきましては、先般の農林委員會において大體の模樣をお話申し上げたのでありましたが、初年度の計畫は約一萬町歩に擴張し五箇年間に十萬町歩に擴大する案であつたのが、この一箇年間の實績を見ますと、昨年九月約十七萬五千四百町歩ありました桑園が、擴張されました部面において四五千町歩、一方また食糧事情の逼迫等のために刈取られました面積において同じく四、五千町歩ありまして、總體の面積においては、大體において増減なしというのが現状であります。ところで先般の司令部發表によりますと、七月三十一日の發表でございましたが、現在の生絲の需要状況をもつてすれば、當分この桑園の増段ということはさし控えるべきではないかという意向が發表せられたのでありましたが、その意圖せられるところは月々約一萬俵國内に放出するという輸出生絲の状況をもつてするならば、今のところは桑園の増団に努力を傾倒するということはいかがなものか、こうした考えに基いているようであります。ところでただいま申しましたように、五箇年計畫第一年の實績がプラスマイナス差引大した相違がない。擴張を目指したのであつたが、結論においては蠶絲業は現状を維持して第一年は終つたという状況でありまして、そうした結論は司令部においてあえてなんらこれに修正を施こそうとする意圖をもつておらないのであります。從いまして、本年は約一萬一千町歩を増加する豫定でありましたが、いろいろと他の方面の事情等もありまして、はたしてそれだけ計畫通りに達成し得るや否やということは、この擴張の方法が強制の方法を伴つておりませんために、もつぱら教育的に指導するという見地を建前としたがために、農民の自主的の自覺にまちました關係上、はたしてどの程度にまいるかということは、今後の情勢によるところも少なくないのでありますし、食糧事情の昨今の樣相をもつてしますならば、またある程度桑園がもぎ取られるということも考えられるのであります。さよういたしますれば司令部の憂慮されたように、現在の需要の状況をもつてむやみと桑園を擴張するのは困るという考え方と、われわれがこの食糧事情の窮迫せるもとに蠶絲業を維持しよう、できれば擴張したいけれども少くとも維持しようと努めてまいつております今日までの努力と、さらに今後の努力との考え方において、大した相違がないということがだんだん話合いの上はつきりわかつてまいつたのであります。ところでさらに七月三十一日にああした發表がなされ、おそらく海外までも傳えられたことと思うのでありますが、その後二週間にして自由貿易が開催され、今日までいろいろと日本の輸出に關する問題が各地に行われつつあるのでありますが、海外よりの情報を司令部について伺いますと、アメリカその他各國より日本の絹に對する需要は相當廣汎に復興しつつあるように考えられるのであります。すなわち羽二重を主とするサテンとかクレープとか、その他いろいろの織物類について廣汎な需要がありますほか、生絲それ自體に對しましても、アメリカにおいてももちろんでありますが、そのほかフランスへの商談も成立いたしましたし、またインドよりも熱心なる要求がまいつておるようなふうで、自由貿易の再開をひとつの轉機といたしまして、海外の日本蠶絲業に對します需要の樣相は一種の樣變りの様相を呈しつつあるということが言えるように見受けられるのであります。從いましてあの發表それ自體も、さてわれわれが長期計畫をいかに變更すべきかという點になつてまいりますと、本年の問題はさしあたり今のようで司令部との話いも濟んでおることでありますし、明年以降さてどうするかということになりますれば、時日も一年餘り先のことでありますし、生絲の需要自體もあの發表がありまして一月經たない間に、自由貿易開始後二週間經たない間に、世界各國からの注文が殺到しておるというようなこともありますので、それやこれや考え合せまして長期計畫の實情に即した決定ということにつきましては、さらに愼重に政府とも打合わせの上、決定いたしたいと思つております。ただ何と申しても、現在面積が當初計畫よりも一萬町歩も減つておりますし、さらに抜取り面積もある程度考慮に入れなければならぬとか、さらに施肥料につきましても、どうも豫定しました數字と、現在安定本部において立案中の數字との間に若干の食違い等もございますので、それらの點はよく實情に即するように實施計畫を立てたいと考えております。いろいろと内外の事情等につきましては、時々變轉することもあるのでございますから、こうした實情にあることを申し上げて御諒解を願いたい、かように考えておる次第であります。
○小林委員 蠶絲局長より蠶絲業の見透しにつきまして非常に朗らかなお話を承りまして、われわれ非常に希望をもつのでありまして、政府ががつちり考え、いろいろの方面とのにらみ合わせをいたして、今後の蠶絲業の計畫を立てる上に非常にいい情報と私は考えておりますが、この件に關しては農林大臣におかれても、また政府當局におかれても十分蠶絲業の重要性を認識されまして、萬遺憾なきを期していただきたいと思うのであります。 次に特に大臣に御質問申し上げるのですが、蠶絲業の技術員の問題であります。今後農業協同組合におきまして技術員をいかようにお取扱いになりますか。現在蠶絲業の技術員の給料等は、繭代金の中から生産者の方で一部、またいわゆる繭の掛目の上の方にいくらか、下の方にいくらかという方法で、あつちこつちから集めまして技術員を待遇しておりますが、こういう重要な産業に携わります技術員の待遇をすべき經費を、あつちこつちから引つぱつておるような状態であります。これでは技術員がほんとうに本腰を入れて技術指導をやることが非常に困難なことと思いますが、こういう技術員の經費は國が當然支辧してしかるべきと思いますが、こういう問題につきまして、農林大臣はどういうお考えをもつておりますか。もう一つは、從來繭の供出に關して地盤割當が農林省において行われつつありますが、この地盤割當は製絲業者と養蠶家との間に非常に重要な問題でありまして、また今後いろいろの取引の問題につきましても、自由取引ということが起りますと、なかなかめんどうな問題になると思いますが、こういう點に關して農林大臣はどういうお考えをもつておりますか、伺いたいのであります。
○平野國務大臣 技術員の問題は單に蠶絲業のみならず、農業全般にわたりまして、將來日本農業を考えます場合、きわめて、重大なことであります。これらの人々の生活安定を得せしむることは、國家といたしまして當然のことであると考えます。今農業協同組合法に吸收され、あるいは農業協同組合法に基いて個々に行われる技術員の待遇等については、即答いたしかねるのでありますが、御趣意の技術員の優遇問題に關しては、別個の觀點に立ちまして、私としては相當考えるべき餘地がある。また考えたいと思つております。 繭の地盤割當の問題でありますが、これは具體的な問題は蠶絲局長から答辯を願いたいと思いますが、大體これは實情に即して、相當に無理のないようにいたしたいと思つております。何分にも養蠶業そのものに對する根本的な見透しが種々きまらない當時においては、これれの點についても相當遺憾な點があつたろうと思います。しかし今後ようやく蠶絲業に關する目標が明らかとなり、將來わが國の蠶絲業の向うべき所が相當に明確になれば、これらの點に關してももつと整頓いたしまして、十分養蠶業者及び製絲業者それらの間において不合理のないように、また不滿のないように考慮いたしてしていきたい、かように思てております。
○北(二)委員 まず私は發言の件に關して委員長に申し上げたいと思います。これは非常に不公平でありますから、きわめて民主的にやつていただきたいと思うのであります。
○野溝委員長 北君に申し上げますが、普通ならば理事會の申し合せによりまして、通告の順位がきまつております。通告のある場合は順位は社、民、自、社、民、自、それから共、第一、こういうことになつております。しかし通告がない場合は、なるべく寛容な態度をもつて發言者を許すということになつておりますので、むしろ寛容な態度をもつて臨んでいる次第でございます。もしあなたが御異議があれば、發言の順位によつてやりますから、本日はあなたの質問は許しません。その點差支えありませんか。
○北(二)委員 差支えありません。私は農業協同組合法についてお尋ねいたしますが、これは團體交渉權の點であります。實は農林大臣はきわめて自由な立場において設立されるのであるから、これは何でもないというようなことを言われておりますが、どうしてこの法律案に憲法第二十八條に基くところの團體交渉權を明示されておらないかということを、まずお聽きいたしたいのであります。
○平野國務大臣 當然團體交渉權はあるのでありまして、特に憲法の第二十八條の關係をこの法文の中に明記しないからといつて、これが團體交渉權が薄弱であるという理由はないと思います。
○北(二)委員 それでは第一の目的に、憲法第二十八條に基くところの團體交渉權、たとえば農産價格に對しての團體交渉權、そういうものをうたつておきたいと思うのですが、いかがでございますか。
○平野國務大臣 法律の建前から申しまして、さような字句を用いるのは要はないと考えたのであります。從つてあなたの御心配になる農業協同組合は、率直な意味において當然團體交渉權はあるのでありますから、この點はこの法文の精神において御了承願いたいと思います。
○北(二)委員 なんぼあると言われても、法律に書かれていないかつたら、これはないものと當然私は思います。これはどういうわけになりますか。
○平野國務大臣 それはこの農業協同組合法の精神が、農民の自主的に結成せられるところの團體であつて、その精神に基いて、でき上る團體についても當然團體交渉權というものはあり得るのでありまして、この點はその限度内においてわれわれは正當であると考えております。
○北(二)委員 その限度というのはどういう限度ですか、お知らせを願いたいと思います。
○平野國務大臣 今あなたの御指摘になつたように、この團體で價格をきめる、たとえば農産物價はかようになければならぬというようなことを、農業團體がきめて交渉してくるというようなことは、この法の精神から申しましても、それは逸脱せる行為であります。この法律といたしましては、おのずからその法律に從うところの團體權というものは明確になつておるのであります。
○北(二)委員 今農林大臣が逸脱したと言われた根本を教えていただきたいと思います。
○平野國務大臣 農業協同組合法に基く團體は營利を對象とするところの事業、あるいは政府運動とというものは認めておらぬのであります。從つてたとえば御指摘になつた點が私もよくわからないのでありますが、たとえば農産物をかようようにしようということが、ある限度を越えてこの農業協同組合法の運動となる場合においては一種の政治運動であります。そういう限度における團體交渉權というものは、これは法の精神において大體においてないわけであります。しかしあなたが農業者として要求されるところの、いわゆる農業團體がもつところの團體交渉權というものは當然あるのであります。この點を申し上げたのであります。
○北(二)委員 それでは百姓の一番大事な農産物の價格に對しては、官僚が獨善できめるというわけですか。
○平野國務大臣 農産物の價格をきめる機關はこれは政府に別個の機關があつて、その機關が、農民の經濟上の地位というものをあるゆる角度から尊重いたしまして、またあらゆる他の物價とにらみ合わせましてそこに適當なる價格を形成する。こういうことは當然行われるのでありまして、この農業協同組合法というものからできる農業團體が、自分の値段を自分できめて、これでなければならぬとか、これはこうということはこの法の精神から逸脱するということになるのであります。
○北(二)委員 それでは農民には價格に對しては全部官僚のやることに從えということですね。そこをお聽きしたいのです。
○野溝委員長 北委員にちよつと申し上げます。もちろん價格の問題も協同組合法案と關連はあると思いますので、委員長もこれを許容しておりますが、こう部分的でなくてもう少し關連をして御質疑を願いたい。かように思います。
○平野國務大臣 これは農民ばかりでなく、現時の統制經濟が行われておる場合におきましては、やはりあらゆる物價の價格決定というものが政府の別個の機關においてつくられている。これは當然でありまして、農民にのみ獨善的な價格を押しつけるという考え方は毛頭もつておらぬのであります。ただきめられましたものが、ときに不公平であつたというようなことはこれは考えらえられるのありますけれども、そのことをもつてして、農民に價格を官僚が獨善的に押しつけるのだということを、ひとつ誤解ないようにお願いいたしたいと思います。
○北(二)委員 それでは次に進みます。第二にこの農業協同組合の設立につきましては、これはすべて行政廳の認可とか許可が必要でありますが、これは協同組合の原則というものは、あくまでも自發と合意によつてやるものでありまして、これはあくまでも屆出主義でなければならないと思いますが、農林大臣はその觀點をどうお考えになりますか。
○平野國務大臣 この法案は提案の理由でも申し上げましたように、大體屆出主義である。また屆出主義くらい認可といいうものが相當にゆるいということは先般申し上げた通りであります。しかし法律の建前といたしましては、やはり大體において認可をするというくらいの建前であることが、また組合を總合いたしまして助長發展をする上において適當である、かように考えたのであります。
○北(二)委員 これは行政廳の認可ということはやはり官僚が頭をもち上げてくる一つのすきといいますか、そういうすきを官僚に與えるということになると思われるのでありますが、この點展農林大臣はいかがですか。
○平野國務大臣 御心配になるような點は絶對にないと思います。多少許可というような字句が使つてありましても、逆の方面から申しますれば、それでは農民はただ自由に團結さえすれば生産力が發展するというものではないのでありまして、先般も申し上げた通り、技術の指導とか、農業の機械化であるとか、肥料の問題であるとか、土地改良であるとか、あるいは有畜農業の家畜の導入であるとかいうような萬般の問題については、政府の施策また協同組合に對して相當大きな影響力をもつのでありますから、あなたのおつしやるように、この法文に多少の許可權を政府がもつておるからといつて、それがすぐ農民の自主的な立場を壓迫するというようなお考え方は、少し行き過ぎたお考えであると考えられるのであります。われわれはあくまでさような心配のないようにこの法案を運用していきたいと思います。
○北(二)委員 次の問題に移ります。農業協同組合の連合會から金融機關を取上げるとのこの法文にありますが、これは協同組合が將來發展する上におきまして非常に阻害になると思うのですが、これはどういう理由で金融機關を省かれたか、御説明願いたいと思います。
○平野國務大臣 この法案をつくる場合に、生産事業を行う團體と金融機關というものとは切離すことが當然である、こういう見解が非常に強かつたのであります。つまり生産事業と金融面というものは分離する。こういう原則が相當強くこの法案をつくる場合に唱えられたのでありますが、われわれといたしましては、單位組合は生産面と金融面とを密著させるということが、農村の現在において必要であり、また過去の産業組合等の場合を考えてみましても、單位組合には金融面を兼營するということによつて、むしろ單位組合には金融面を密著さした、かような趣旨から出ましたので、從つて連合會が金融面をやるということは、すなわち資金の運用面においてもある程度の危險が伴い、また資金の融通等におきましても、運營の點において多少の危うさもあるというようなことから、連合會においては金融面を削除し、單位組合においては金融面を兼營するということにいたしたのが、これをつくる場合における内容であつたと御了承願いたいと思います。
○北(二)委員 次に役員の任期を一年とした理由を御説明願います。
○平野國務大臣 これは特別に一年とした法的根據ということになりますと、一年が正しいのか、二年がよいのかという問題について相當議論があると思いますが、とにかく民主的になる團體でありますから、大體徳望あり、またその組合の役員として適當なる人は當然再選される。從つてつまり選擧の囘數が一年々々とあることがむしろ役員が民主化されるというような趣意において一年としたのでありまして、これには特に一年としたいう意味は、さような意味より深いものはないのであります。
○北(二)委員 これで大體の私の質問を終わりますが、今一番先に質問した團體交渉權のことについては、なお私黨に歸つて、黨の人々といろいろ懇談してこの次の機會に御質問申し上げたいと思いますので、さよう御了承願いたいと思います。 それから、さつき的場さんに言われた農産物の中味取引の問題に關して緊急質問を許していただきたいと思います。
○野溝委員長 お諮りします。的場、北兩委員から農産物中味取引に關する緊急質問をしたいというのですが、これを許すに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野溝委員長 それではこの緊急質問を許します。北君
○北(二)委員 現在酒、タバコ、肥料、油、油脂、すべてこれは中味取引でありますが、農村物におきましても、これはぜひ中味取引にしていただきたいと思うのであります。それで今まではかようなことも申し上げてなかつたのでありますが、今農林大臣がきめようとしておるところの米價は非常に安い。安いからどうしてもこれは俵やかますなどにおいて、少しでも農村に價格の補助をしてやりたいという話でありますが、農林大臣はこの點いかがお考えですか。
○平野國務大臣 御指摘のように最近におけるあらゆる品物が中味と器を區別されて取引されている、たとえば酒においては一升の瓶が非常に高價に賣買せられている。かような現實の上に立つてみるときに、農民の生産品である米、麥などの器、すなわち俵というものも、これは相當高價な代價を拂つてこれを農民がつくつておるのでありますから、この面につきまして相當考慮するということは當然である、かように考えているのであります。從いまして米價を決定する等の場合におきましても、こられの問題を相當考慮に入れて農林大臣としては考えたい。かように思つておるのであります。ただこの際一言申し上げておきたいと思うことは、わが國の現段階における米、麥等の、いわゆる農産物價の價格決定は、農林大臣一存ではまいらぬのでありまして、これは御承知の通りあくまで物價廳にあるのであります。この點を一つよく御了承願つておきたいと思うのであつて、農林大臣がいかように考えましても、價格の決定は農林大臣一存でいくものではない。ここに一つとくと御了解を得ておきたいと思う點があるのであります。
○北(二)委員 農林大臣は容器を無償で返そうということを言われておりますが、これは無償で返すのですか、ちよつとお伺いします。
○平野國務大臣 ただいま無償で返すという言葉は用いておりません。他のいろいろな品物の場合においても、中味と容器というものは區別をされて取引をされている、こういう現實をわれわれはよく知つている。從つて農民の生産品についても、たとえば米、麥等の俵、かますというようなものについても、相當考えなければならない、かような表現をしたのであります。しかし農産物價の價格決定というものは、農林大臣一存ではまいらぬのでありまして、最後決定は物價廳においてこれは決定される。このこともまた十分御考慮願いたい。かように御答辯申し上げたのであります。
○的場委員 今の質問に關連はしますけれども、私一つ農林大臣にお尋ねしたい。これは二十一年であつたと思いますが、福岡において農民達が奮起いたしまして、農青連という旗印のもとに、中味取引でなければ米を渡さないというので、營團も相當慌てましたが、ついに福岡においては解決ができずに、農林省の食糧管理局で、長官以下農林省のそれぞれの人達と、これらの關係者が立曾つて約束があつたのであります。そのときに中味取引をする、中味と包装とは別に値立をするという約束であつたのであります。ところがその後この問題はそのまま實行されなかつた。これは二十二年一月二十七日であります。このことが實行されなかつたので、さらに七月二十六日に寺崎、中村兩代議士も加わつて、これら農青連の人達が全國的に手をつないで、全國農青連の責任者がこれに加わつてさらに相談をしたときに、平野農林大臣ははつきりと容器を無償で返そう、しかし現品で返せない分は金で一枚八圓保證するとはつきりとお引受になつたのであります。それが今日に至るも品物でもお返しはなく、八圓どこか一圓もお返しはない。こういつたようなことは一體どういう經緯でこういうことになつたのか。私どもはもちろん農林省だけで農産物價が決定するものとは思つておりませんけれども、一應責任大臣がこういうことを發表なさつた以上は、それができなければできない理由を、はつきりとこれらの約束をなさつた方面へ發表なさつて、御了解を得られなければならぬものではないか。ただ一方的に約束をしておいて、あとはできなかつたときに默つておるというような理窟は成り立たぬと私は思うのであります。この間も東北水害地において米の値段を發表なさつておりますが、やはり同じようなことであるのならば、どうも權威のないことになるのではないか。こう考えまして、この容器の問題、中味取引の問題については、ふたりの代議士までも加わつて相談があつた事項でありますから、責任ある御答辯を願いたいと思うのであります。
○平野國務大臣 誤解のないようにはつきり申し上げておきます。私は八圓というような金額を限つて返そうというようなことは言うたことはありません。これは當時陳情なすつた方が、あるいは八圓なり何がしということをおつしやつたことは耳にいたしておりますが、私はかように申し上げたと思うのであります。全部無償で返したいといつても、それは俵を返せない場合には金でこれを換算する場合が考えられる。しかしこのことは私一存でいかないが、農林大臣としてあなた方の御希望に從うような方法をとつていきたい。こう申したので、そのとき私の一存で俵は返すとか、八圓でやるということが言えるはずがない。私はあなた方の御意見には賛成であるから、かような方向になるべくもてていきたい。そういうことをお約束したのであります。そこで私の意見を申し上げますが、麥は現在において供出の途上にあるときに、かようなことを發表いたしますことは、また現實に實行いたしますことは、相當に諸般の影響があるのでありまして、私はこの問題を決定してこの結末をつけるのには一定の時期があろう、かように考えるのであります。また農林省におきましては、私ばかりでなく係官がこの問題については相當眞劍に考えておるのでありまして、これをあまり政治問題的にお取扱いを願つて、むしろ混亂を惹起しないようにお願いいたしたい。われわれはあくまでも容器とそれから中味の問題については、他の取引がかようになつた今日においては、農民の生産品についても相當これを考慮する要ありということは固く信じておるのでございます。その點誤解のないように願いたい。 それから第二の點でありますが、東北水害の見 に行つて私が米價の問題を言うた、こういう記事がしばしば新聞に載るのでありますが、これはあえて東北水害の見舞に行つたときばかりでなく、あらゆる機會におけるところの問題として米價問題が出ますが、私はいまだかつて米價を何圓にするというような大それた答辯をしたことはないのであります。たとえば二千圓であるとか、あるいは千八百圓というような値段は、農林大臣一存できまらないということは、あまりもよく知つておる私が、そうすると言うたことはないと思います。ただ先方の方で千八百圓か二千圓か、こう問われるので、私はなるべくあなた方の御要求に從いたい。農林大臣といたしましては生産農民の利益を代表する點においては斷じてやぶさかでない。こう私が言うたのでありまして、これを聽いていた人が平野は二千圓、あるいは千八百圓と言つたと言われるが、これは今後しばしばあることでありますから、誤解のないように願いたい。農林大臣の方に値段をぶつけておいて、私が善處するといふことを言つたことをもつて、平野は二千圓と言つた、千八百圓と言つたということになれば、農林大臣としては答辯のしようがなくなる。農民の立場を擁護するということにおいては、農民自身の諸君に劣らない立場をもつて善處いたしますが、どうか價格を何圓と農林大臣が言つたということを、こういう委員會で言つてお責めになることはお許しを願いたいと思います。
○的場委員 お話でよくわかりましたが、今の中味取引の問題について、大臣は誠意をもつておやりくださるように受取れますのでこれ以上は申しませんが、今の陳情したりあるいは相談をいたした人たちの話が、ちぐはぐになつて齟齬した點もあるいはあるかもしれないけれども、まつたくないことを申し上げるわけではないのでありまして、そういう誤解の起こりやすいようなことは、今後誤解の起こらぬように、親切に指導せられながらお話を願いたいのであります。なお米價の問題についても、われわれ以上に眞險にひとつ農家の立場になつて考えてやるという話で、本日の質問に對する答辯は私大變滿足に思う次第であります。どうぞこれらの諸點については、さらにお骨折りをお願いしまして質問を終わります。
○野溝委員長 本日はこれにて散會いたします。明日は午前十時から本議案の審議を續けます。 午後四時三十一分散會