農林委員会 第14号
- 発言数
- 41 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1947/08/22
会議録
○野溝委員長 これより開會いたします。 茨城縣の旱害問題に關しまして、この際政府當局に緊急質問をいたしたいそうでありますからその發言を許します。菊地君。
○菊池重作君 御承知の通りこの旱天續きのために、茨城縣におきましては非常な旱害を受けておるのであります。特に茨城縣におきますところの南部の豊沃な地帶、結城、筑波、稲敷、新治、鹿島、この方面の旱害が特にひどいのであります。茨城縣は關東におけるところの穀倉でありまして、特にこの地帶が最も豊沃な地帶でありまして、この方面の収穫がとれるととれないとによつて非常な影響をもたらすということは、私が申すまでもないことであります。現在この地方におけるところの揚水場の田畑におきましては、比較的収穫はとれる見込みでありますけれども、しかしながらこれに要するところの揚水費の増加というものは収支償わない状態になると思うのであります。今日の農業というものは單なる資本主義的な企業ではなくして、國家、民族的な立場から、われわれは利潤のいかんにかかわらず推進いたしまして、増産をしなければならない立場にあるのであります。從つて現在茨城縣のこれらの地方におけるところの農民諸君が、米を取るためにそろばんを度外視いたしまして、揚水のために非常な努力をしておるということを認めてもらわなければならないのであります。從つてきよう私は農林大臣に質問いたしたいことは、かような建前から収穫を得たところの農作物に對して、普通の供出の割當というようなことによつて供出をさせられるということになりますと、非常な損害がいくのであります。農民の生産意欲を増大し、そうして國家に協力させるためには、やはりそうした利潤を度外視したところのこれらの生産に對しましては、特別の手當をしていただきたいと思うのであります。この點が一つであります。 次に來るべき供出に對しましては、雜穀類にも非常に影響がありますので、この點も考慮していただきたいと思います。これらに對する供出割當の點と、それからたとえばさつまいもにいたしましても、苗を植えただけではほとんど大きくならない。從つてさつまいももとれないのでありますが、結局費用をかけただけで収穫がないということになりますれば、これは供出ができないのみならず、非常な損害を農民が受けるのでありますから、これらに對する損害の補填を當局として考慮しておるかどうか。なお今後におけるところの旱害地帶に對して、恒久的な設備をしなければならないのでありますが、これらに對しての補助金の支出を考慮しておるか。この點を質問いたしたいと思います。以上であります。
○平野國務大臣 茨城縣の南部一帶にわたり、七月五日以來ほとんど雨が降らないのでありまして、約九萬町歩にわたりまして大旱魃が起つておるということは、大體承知いたしておるのであります。從いましてこれに對する救濟方法といたしましては、水害地と同じように相當に考えなければならぬと思つております。そこで御指摘になりましたか、かような旱魃のところにおける供出の問題をどう考えるかということでありますが、供出問題と。旱害の問題とを今ここで明確に御答辯をいたすことはできないと思うのであります。と申しますのは、非常に旱魃になつていろいろな苦心をして水をかけた、その結果段當りの米の生産費というものが非常に高くなつておる。從つてこの供出に關して特別の問題を考えよという意見があるのでありますが、こういう議論の建前から申しますと、非常に供出問題が複雑になつてまいりますので、この方面から問題を考えるのではなくして、たとえば九萬町歩災害になつた。この災害をいかに救濟するかという災害方面から、たとえば豫備金中から災害の應急費用をとる。たとえば災害地帶におきまして低利資金を融通するとか、あるいは水害地帶において、肥料、農機具等の購入金を補助する。こういう建前に從つて、旱魃地帶にも特別なる災害の應急施設をする。こういうことについては當然考えたいと思つております。私どもの方で要求されております金額は、大體九萬町歩に對してとりあえず一千万圓ほどの補助をなすべきであるという要求が出ておりますので、この金額について今ここで何とも申し上げるわけにはまいりませんが、大體この災害地帶に對して、どの程度の災害救助金が出せるかということは、檢討を加えた上でひとつ成案を得たいと思つております。 第二の御質問でありますところの恒久の問題として、將來かような旱魃が起らないように、用水の問題であるとか、井戸の問題であるとか、あるいはその他の施設を考えろということにつきましては、これは開拓局におきましていわゆる開拓事業と併立をして、現在政府のもつております費用からこれらの點を考えまして、恒久的なる施設を考慮したいと思つております。茨城縣からこの恒久的施設として要求されておる金額が一億五千万圓ほどになつておりますが、今その金額もここで即答するわけにもまいらぬのでありますが、農林省がもつておりまする開拓豫算中から、これらの恒久費用についても當然考えてみたいと思います。何分茨城縣における旱魃のひどいということは聞いたのでありまするが、具體的なす數字についてのお答えができないのでありまするけれども、御趣意の點は十分了承いたしまして善處いたしたいと思います。
○菊池重作君 さつきの答辯でちよつと足りない部分についてもう一つ……。
○野溝委員長 簡單ならば許します。では簡單に……。
○菊池重作君 あと質問したいのは、おかぼとかさつまいもとかいうものにたくさんの投資をしてひとつもとれない。こういうことも、農民は國家的な立場から非常な費用をかけてつくつているのでありますから、このおかぼ、さつまいもその他の雜穀類についても、その損害に對して農林省は考慮しておるか。この點であります。
○平野國務大臣 たとえば群馬縣のひよう害等の場合におきましては、實際上ひよう害によつてこうなりました収穫皆無のところは、これはもとより供出はないのであります。また収穫の減収によつて割當量を減額することも當然でありまして、これは旱害であろうと、ひようがいであろうと、水害であろうと同一であります。ただかような農作物がとれなくなつたそのことについて補助をするかどうか。これは農業保險というものがありまして、實は農業保險の分野になるのでありまするが、現在の農業保險は問題になりませんので、事實上は救濟されないことになりますが、しかし私はそのとれない作物そのものへ政府がすぐ補助する。こういう制度は保險制度によつて成り立つのであつて、政府の豫備金というものは、そのことにすぐ出すわけではないのであります。從つてあくまでこれは全體の通觀いたしました災害費というものを見積つて、これを茨城縣の方へ提供いたしまして、その中からそれがいかように使われるかということによつて、災害救濟と考えていただきたい。かように思うのであります。
○野溝委員長 委員長から申し上げますが、旱害も水害問題と同様に、農業經營上に重大な問題でありますがゆえに、特に農林當局におきましては水害旱害同一の建前において善處され、即刻に措置されんことを特に要望しておくものでございます。 —————————————
○野溝委員長 では付託された議案、農業協同組合法案及び農業協同組合法の制定に伴う農業團體の整理等に關する法案、右二案を一括して政府當局の御説明を願うことにいたします。平野農林大臣。
○平野國務大臣 農業協同組合法案及び農業協同組合法の制定に伴う農業團體の整理等に關する法案につきましてその提案の理由を御説明申し上げたいと思います 農村の民主化と農業生産力の發展を期しますために、農業團體制度を根本的に刷新し、農民の自主的な協同組織の確立助長をはかりますことは、農地改革と竝んで、農業及び農村に對する基本政策といたすものであります。 農地改革は、申すまでもなく、わが國農業をして低位な生産の段階に止まらしめ、その近代化への道を妨げていた土地制度を根本的に改革し、農地の所有、分配、利用の關係を合理化することによつて、農業の近代化、その社會的生産力の發展の道を開こうとするものでありまして、著實に進行をみている次第であります。しかしながら、この農地改革の實施をもつてただちに農業の近代化を來し、農村の民主化成れりとすることは決してできないのであります。このためには、耕作する農民の利益が民主的に正當に代表されるとともに、農業經營の實際におきまして、わが國農業の零細經營からくる不利益を補い、協同の力によつて、經營の合理化、生産性の向上をはかつてまいることが緊要であります。貿易再開後においてわが國の農業は、海外から少からざる影響を受け、また依然として農業の生産性が低位なままに止まりますならば、農産物の相體的高價によつて經濟全般を支持する上に困難を來すことが豫想せられるのであります。もちろん私は一部に唱えられておりますように、いわゆる農業恐慌なるものがただちに農村を襲い、昭和の初年にありました如き状況を再び惹起するであろうということにつきましては、異なつた見解を持つておるものでありますが、しかしながら農業が國土の資源を最高度に使つて、國民扶養力を増大しまするとともに、優れた外國農業との競争關係におきましても、強く伸びていきますために、萬般にわたつて努力をいたさなければならぬと存ずるのであります。かかる意味におきまして協同組合は農業經營のあらゆる分野につきまして刷新改善をはかり、資材等窮屈な事情にありますけれども、新たなる農民の熱と努力によつて、新生面を開いていかなければならぬと信ずるものであります。以下兩方案の主要なる内容につきましてその概略を御説明申し上げます。 まず農業協同組合法案について申し上げますと、第一は自由の原則であります、農業協同組合の設立、地區及び組合員の加入、脱退等は自由であります。これは從來の農業團體がややもすれば政府の農業に對する統制政策によりましてその自主性が妨げられ、組合員の意思による組合の自由なる發展に遺憾がありましたのと異り、農民自身の立場に立つて、その正當なる發展を期待することといたしたのであります。 第二は農民の團體として、組合における農民の主體性の確立であります。すなわち從來の農村におきましては、實際に耕作をしている農民以外の勢力が支配的でありましたがゆえに農業團體の事業におきましても非農民的利益によつて指導せられ、從つて農民團體の中心課題であるべき生産過程の協同というような仕事の進まなかつた理由の一半も、これに基くと考えられるのであります。かかる意味におきまして、本法案におきましては、組合員の資格を農民に限つたのでありますが、反面農村の生活分野をも蔽う性質のものでありますので、農民以外の者の加入も認めておる次第であります。 第三は組合が農業生産協同體であるという趣旨に基いて、生産に關する事業の強化をはかつた點であります。從來生産關係の事業は、流通部面に比べまするととかく閑却せられた傾きがありますが、今後の要請といたしましては、生産過程の合理化によつて、生産力の増進をはかることはきわめて重要でありまして、これを行うことなくしては組合活動も効果的でなく、新たなる協同運動の目的を達成することもできないものと思うのであります。かかる意味におきまして、本法案におきましては、土地の開發、水利の管理、農作業の協同化に關する施設、農村工業等が組合事業の對策であることを明記することといたしたのであります。もとよりこのことは、法律の上に規定を設けるということだけで目的を達するわけのものではありませんが、ここに導き、これを助長することは農村對策として努むべき重要な方策と考えている次第であります。 第四は組合の自主性尊重の建前から、組合に對する行政廳の監督權を一定範圍に制限した點であります。本案におきましては、組合設立に對する認可は、これを形式的審査をなすに止め、いやしくも法規に適合し、かつ正規の手續を經て結成せられた組合は、行政廳においてすべて認可をしなければならぬことといたしたのであります。この點は從來と全然異なつておりまして、農民の自由なる意思と判斷にゆだねられることとなしましたと同時に、結果もまた農民自身の責任に歸する次第でありまして、農民諸君の深い自覺を切望いたすのであります。次に農業協同組合法の施行に伴う農業團體の整理等に關する法律案につきまして、その大體を御説明致します。 この法律案は農業協同組合法の施行に伴いまして、從來の農業會、農業實行組合、養蠶實行組合等の團體の圓滑かつすみやかな解置を行い、新たなる農業協同組合の健全なる發展を期するための措置に關するものでありますが、その要點を御説明致しますと、まず第一は既存の既存の農業會は協同組合法施行後八箇月内に解散せねばならぬことであります。 これは比較的短期間でありますので、農業會におきましては事務の處理上やや困難を伴うものと考えられるのでありますが、自由なる協同組織に對して、高まつております農村の意氣込みに顧み、また現下の環境において農業會を長く存續致させますことは、種々の關係から好ましくありませんので、その速やかな解散の措置をとつた次第であります。 第二は農業會の財産を協同組合に引繼ぐ措置をとつた點であります。農業會が何らかの方法によりましてそのまま農業共協同組合となることは、新しい協同組合の精神を没却することとなりますので、これを認めぬことといたした次第でありますが、多年にわたる組合運動の結果として蓄積せられている農業會の財産を、農業協同組合に引繼がしめることは當然必要でありますので、これに對する措置を講じた次第であります。すなわち農業會の財産は、各會員に對し公平に分配せらるわけでありますが、現農業會の會員は多くは新しい協同組合の構成員となるのでありますから、協同組合はその組合員が舊農業會に對して有して居りますところの權利の割合に應じて、農業會の財産の引繼を要求できるようにいたしたのであります。 以上が兩方案の主要な内容でありますが、何卒愼重御審議の上速やかに御協賛あらんことを切望する次第であります。
○野溝委員長 お諮りいたします。先般の理事會の申合せによりまして、政府の説明に對する質疑を許すことにいたします。
○大島(義)委員 議事進行に關して……。ちようど農林大臣もお見えでありますから、お尋ね申し上げたいと思いますが、それは過ぐる委員會においても私質問しておいたのであります。なおまた昨日の委員會においても御質問申し上げておいてのでありますが、いまだ答辯がないのであります。それは農産物の値上り差益金はどう處分されておるか、どう扱われておるかということであつたのであります。米だけでも、昨年度の米の値上り差益金は少くとも一億數千萬圓に達しておるはずであります。その他の雜穀あるいは繭等を合しますならば、實に莫大なる金額になるのであります。これらの詳細なる内容を伺いませんと、今現に公團法その他の農業關係の重大法案が提出されておりまするが、私どもはこの法案の審議に際しましても、これらの内容を詳細にする必要があるのでありまして、適當の機會にこの内容をお示し願いたい。もしこのままお示しなくしてお進みになるとそれは議事の進行に非常に障害を來すということを一言申し添えて御答辯願いたいと思うのであります。特に昨日大藏大臣は、大藏省としてはその差益金に對しては一銭も入手しておらぬし、それに關係をもたぬということがはつきり本席で答辯されておりますが、私どもの知る範圍におきましては非常な食い違いがあるのであります。これも併せて適當な機會に御答辯願いたいと思います。
○野溝委員長 順位によつて發言を許します。なお農林大臣は三時ならGHQの方へ行かなければならぬ關係もありますので、農林大臣に對する質問は三時までに願いたいと思います。もし通告がなければ發言したものに許します。
○北(二)委員 從來農業と漁業とを各別にわかれさしておつたようでありますが、組織運營は大體同じであり、食糧需給調整の上からみまして、單一方法を必要とすると思うのであります。それでこの農業協同組合法案を農漁業協同組合法案とするお考えはないかどうかお伺いいたします。
○平野國務大臣 漁業に關しましては漁業協同組合法案なるものが今研究されつつあるのでありまして、これは農業協同組合とはつきり區別しているように思います。
○北(二)委員 次に、農林大臣は劈頭におきまして、わが農民黨の質問に對して、憲法第二十八條に基いて、農民の團結する權利と團體交渉權につきまして、農業協同組合を通じてやるというようなことを言われましたが、この法案に基きましては非常に範圍が狹いように思うのでありますので、いかなる範圍で行われるのか、これをお聽きしたいと思います。
○平野國務大臣 この法律によります範圍と言いまするか、法案の精神というものは、先刻も申し上げた通りに、非常に農民緒自由性ということを基本的に考えておるのでありまして、この點におきましてはかなり廣範なるものであります。また今申し上げましたような趣意でありますので、その團體としての活動も相當に自由であります。從いまして協同組合法といたしましては、農民が自主的に起ち上ることについてはほとんど上から干渉などをしない。眞に農民の自發的な立場から日本農村の民主化をはかる、こういう精神がこの法案に固く盛られている、かように御了承を願いたいと思います。
○田口委員 從來の農業會その他の農業團體は天降り的な農業團體であつて、これを排除して民主的な自由な組合にするという趣意については同感でありますが、同時にまたそのために相當の弊害も考えられると思います。日本の農業團體の發展史を見れば、ほとんど政府の助成によつて今日まで來た面も非常に多いと思います。農民の自由あるいは自主だけで現在までに發表したのではないのでありますが、今後ただ放任ではなくして、自由を百パーセント取り入れながら、國家がこれに對して相當育成する方針をとらなければ非常に困難になつていくだろう。一つの村においても、いくつもの農業協同組合ができて零細化していく場合において特にそういう感が深いのであります。それに對して政府は多少危險性のあるこの團體をいかにして育成助長していくか、これに對する方策をおもちであるかどうかをお伺いしたいと思います。 もう一つは、農業團體が非常に細分化されていく結果、政黨に指導されるような組合が一つの村にいくつもでき、あるいは連合體がいくつもできて、階級闘争とかあるいは政争の具に供されて、平和な農村を混乱せしめる危險性もあるかと思うのでありますが、これに對して政府の所見をお伺いしたいと思います。同時にもしそういう危險性があるとかりに政府が見るならば、いかにそういう面を除去していく方策を考えておられるかも御説明願いたいと思います。
○平野國務大臣 御指摘の點はごもつともでありまして、この農業協同組合法に對する一般的な疑義は、ただいま田口君からおつしやつた點に歸すると思つておりますが、この法案は言うまでもなく、農地制度改革と竝んで日本農村民主化をはかる基本法と言うても差支えないと思います。從いましてこの法律に盛られているのは、まつたく農民の自由意思ということを必要以上に強調している指導精神である。もしそれ日本の農民がかような自由な立場に解放せられました結果、その自主的なる立場から協同組合として農民の健全なる發達をはかり得ないということであるといたしますならば、これは日本農民がせつかく與えられた農民の自由性をみづから没却するということになりまするので、あくまでこの法律を貫いておりますいわゆる農民の自由的自由性をわれわれとしては最高度に尊重していきたいと思うのであります。ただ御指摘になりましたように、しからばというて何ら指導もせずして無方針のままに放任するのかといえば、それは決してそうではないのでありまして、組合には一定のある程度の制限がありまして、何でもやると申しましても、たとえば組合をいわゆる政治運動に利用するとか、組合によつて單なる古い時代の營利的名仕事を行うとか、こういうことは組合自體ももとより自粛して行わないようにすべき點は多々あるのでありますので、われわれは一應さような心配に關しては、施行の最中において種々適當な措置をとるつもりでありますが、その措置をとります結果が、あくまで農民の自由性を没却するということにはならないように、その範圍もきわめて微妙でありますけれども、われわれとしては十分考えて本案の施行に當りたい、かように考えております。
○小林(運)委員 ただいま大臣のお話の中に、先ほど大臣が本案の説明にあたりました際と多少食い違つたような點があるのでありますが、この法案につきましての全般的な質問は後にいたしまして、ただいまの大臣のお話の中のちよつと了解に苦しむについて伺いたいと思います。それは先ほど農業協同組合法の制定に伴う農業團體の整理に關する法律案の御説明の中に農業團體が八箇月内に改組する、こういうような御説明がありましたのですが、現在全國農業會系統の農業團體がありますが、ああいう團體を改組して、すなわち考え方によりますと、看板を塗り変えて依然としてそういつたような團體を残しておく、こういうふうにもとれるのでありますし、それからただいまのお話の中にも、そういつたことが連想されるようにも聽えるのであります。それからもう一つの觀點といたしまして、一昨日でありましたかラジオの放送の中に、農林省のどなたでしたか、事務官が農業協同組合に關しまして放送をいたしておるのを聽きますと、ただいま大臣がお話になりましたように、農業團體の自主性を認めて、自由につくらせる、こういうようなお考えであるようでありますが、一昨日のラジオの放送を聽いてみますと、たとえば今後の農業團體が畜産であるとか、あるいは養蠶であるとか、普通の一般の農事であるとか、そういうものが箇々自由にいろいろの團體をつくつていくようにできておるように思われますが、そういうものに對して農林省の事務官はこういうものは一本にしていつた方がいい、こういうようなお話が、放送の中に聞こえたようでありますが、そういう點に關しまして、大臣が言われる農業團體の自主性というものと、今そういうような事柄からわれわれが連想いたしますと、農林省が、あるいは農林大臣がそういつた方向にもつていくのじやないか、こういうふうに考えるのでありますが、その點に關しまして農林大臣の一般的なお考えをお聽きしたいのであります。
○平野國務大臣 この法律はあくまで、繰返して申しまするが、農民の自主的な立場から協同組合をつくらせるという主義でありまするから、監督とか、あるいは指導という面が強すぎて、農民の自主性を没却するということはないようにしていきたい。これはもう原則であります。今のラジオ放送の件は私はよく知らぬのでありますが、農林當局に間に、農業協同組合がこうありたい、こうすべきたというような言論が行われるということは、それは一つのこれまた自由でありまして、たとえば自主性を尊重するからと申しまして、各箇にいろいろなものがめちやくちやにできることがよいか惡いかということは、それはなるべく自然に統一されるといことがよいのであつて、これらの言論はわれわれがかようなことを申しましても決して矛盾するものではない、かように考えておる次第であります。
○永井委員 農林大臣の説明にありました、この自由の原則と組合における農民の主體性とこの二つの原則に立つた協同組合の設立及び今後の運營におきまして、法文の上にうたわれておるこの原則と、農林省當局がこの立法にあたりまして、ほんとうにこの原則を貫くために、この法文を成文化したというよりは、現在の日本の農村に對して、そのような自由の原則と農民の主體性には任しておけない。當局の方で相當行政的な措置でひつぱつていかなければ、自由に任しておけば何をしでかすかわからぬというような、潜在意識が相當に強いものをもつていて、そうして最初の第九十議會からこの法案がさらしものになつていて、ついに今日まで提案が遅れたというその時間的經過の中には、そういう潜在意識と、そうして外から求められておる自由の原則と、農民の主體性というものの確立の内部的な調整が、この時間的經過をとつたのではないか、こう思うのであります。そこで法文の上にはこういう原則を認めておりながら、實際の上にいうては、指導の面においてある程度一つの模範的な型というようなものを設けて、そうしてできるだけその構想しておる方向にもつていこうとする努力が、農林省の官僚において今後行われるのではないか。またそういう官僚の力と、それから今まで農業會その他に蟠居して農村をひつぱつてきた、そういう古い農業會のボスとの、その結びつきによつて、そういう方向が強く出てくるのではないかということを非常に心配するのでありまして法文の上に盛られた原則は、どこまでも原則としてこれを確定して、そうしてその指導とか、そういう面において一定の限界を超えてはならない。こういうことが私は非常に要請せられなければならぬと思うのでありまして、そうして眞にその農村の民主化をはかりますためには、最初は非常な行過ぎや、もの足りない點や、ごたごたはありましようけれども、結局は自由の原則と農民の主體性の確立によつて、みずからの責任においてこれを行つていくということになりますれば、すぐにそれを反省し、そうして運營を身につけまして、瞬間的に一つの時間をとつて見れば、これじや困るという時代はあるかもしれませんけれども、結局においては農村の民主化にはこのことが大きな力になる、こう思うのでありまして、今農林大臣のお話になりました、ある程度の指導はやむを得ないだろうといつた、その事柄が非常にこれは重大な方向をとるのではないかと思うのでありまして、これに對する農林大臣の明確な見解を承りたいと思うのであります。 それから、自由の原則と農民の主體性の確立というこの二つの事柄をりつぱになし遂げていきますためには、その基礎として、そうしても農村教育農民教育というものがその基盤になつていかなければならぬ。直接の指導というよりは、そういう教育の面において、徹底していくということがなければならぬと思うのでありますが、これに對する今後の農村教育農民教育に對してどのようなお考えをもつていられるか。 それから、この協同組合の經營において、今後技術指導の面をどういうふうにやつていくのか。技術者の問題ももちろんありましようし、いろいろ小さな協同組合が分立することも考えられるわけであります。またいろいろの業能別の協同組合ということも考えられるわけでありますが、そういうような場合に、農村一般としての技術指導をどういうふうに調整し、そういうものをどういうふうに考えられておるのか、協同組合に放任しておけばとてもこれはみずからの費用をもつては賄つていけないと思うのでありますが、そういう點に對する御見解を伺いたい。
○平野國務大臣 第一點の御質問に對しては、はつきりお答えをいたしておきたいと思います。今回の農業協同組合合法は先刻も申し上げましたように、農地制度改革と竝立しておりますところの、日本農業に對する、日本農村に對する基本的なるイデオロギーをもつたところの法案なのであります。と申しますのは、農地改革によつて日本の農村の封建性を打破する、これは農地改革の基本的なる原則に立つた、言いかえますれば、マッカーサー司令部より日本に一つの命令として發せられた基本的なる政策の一つであるのであります。同時にこの農業協同組合法は、農民のあくまで自主的な、そして農民の自由な原則による日本の農村の建設、封建性打破とともに、日本農民の自由なる意思による日本農村の建設ということが、この法案の中には盛られておるのであります。私は農林大臣といたしまして、この法案の將來の運用にあたりましては、いやしくもこの原則を誤るようなことは絶對しない。こういうことによつてこの法案を提案するところの決心をいたしておる次第でありますので、この點永井君の御心配のような點は萬々ないと思うのであります。ただ先刻申し上げましたように、そうではありまするけれども、實際上の行政官廳といたしましては、ある程度の農業協同組合法に對する希望なりあるいは考え方なりというものをときに發表し、またある程度かようなことをいたしますることは、これまた必要あるのでありまして、その必要の限度は、先刻申し上げました根本的なるイデオロギーを蹂躙するようなことや、それに對して反するようなことは、絶對ない範圍内において行う。こういう點を堅く申し上げておきたいと思うのであります。 次には技術指導の問題が述べられたのでありますが、もとより技術の問題は農業協同組合が當然取入れて行う問題でありまするから、この點は農業協同組合といたしましては、組合の中に技術指導者を入れて、日本農業の技術という問題については十分考えてまいりますることは、これは當然であると思うのであります。農村教育の問題はこれまた難しい問題でありまして、この法案を實行していく上において、もとより農民の指導ということは當然伴うのでありますが、農村の教育面に關しては、單にこの農業協同組合法以外の他の部面からも、新しい農業教育という別個の角度から、今後相當の施策が行われなければならぬ、かように考えております。
○佐竹(新)委員 ただいま農林大臣の御答辯でございましたが、地方における農業會、私は廣島縣でありますが、先般歸つてみましたところが、すでにこの農林常任委員會に出されます法案の寫しが各地方の農業會の會員に持込まれまして、暫定約款をつくつて、今日はもはやどうせ協同組合は時期の問題である。そこで農業會の解體に伴う對策といたしまして、すでに末端におきまして農業協同組合をつくる準備を進めて、暫定約款を出しておる。こういう點に對して農林大臣はどういう御見解をもつておられるか。これはただいま永井君が申されましたように、せつかくこうした農民の自主性をもつたところの協同組合が生れようとするときに、やはり依然として農村におけるボス勢力は、この農業協同組合を乗取つてしまうという結果になりはしないかということと、今一つの點は、この農業協同組合の單位組織は十五名ということになつておりますけれども、あなたが一番お嫌いになつて、かつて日農の中における共産黨のフラクシヨン活動に對して、日農は共産黨のフラクシヨン活動であるというところから、日農に對立する全國農民組合をおつくりになつたのはこの日農内における共産黨の存在であるということであります。いわゆる組合の黨の組織活動というそのものに對して、あなたは今の對立の考えをおもちになりましたが、現在この十五名という組織はたやすくできる。そこで共産黨は經濟と組合運動とを結びつける。そうして農村について強力な力をもつて、このフラクシヨン活動の實際面に乗出してをるのであります。こういう點に對して農林大臣はいかなる考えをおもちになつておるか。こういうことをひとつお尋ねいたしたい。
○平野國務大臣 この農業協同組合法ができるということから、地方において暫定的なる、新しい農業協同組合法の準備をして、古い農業會がここに焼直しをされつつある、こういうことをどう見るか、こういう見解については、それは固より從來農業會に關係しておつた人たちが、協同組合法ができたならば協同組合法の精神に從つて、いわゆる自由の原則から協同組合をつくる。これまた自由であります。あなたの御指摘のように、ボスに乗取られるとか、乗取られないとかいう點は、それはその地方における、その村における自主的な農民の自由意思によつてきまるのでありまして、この法律には、ボス的な組合をつくつていいとかいけないとかいうような規定をしておるのではないのであります。嚴密に申しますならば、これらの農民の自主的な一つの運動によつて、從來のようなボス的な農業組合をつくらないということが望ましいのであつて、現段階においていわゆる農業會をそのまま焼直したような場合ができる場合も、これまた當然想像しなければならぬ。從つてわれわれといたしましては、それが今どうである、こうであるということをここで言うことも、むしろこの協同組合法の精神に反する、かように思うのであります。それから十五人であれば、共産黨が農業協同組合をつくるのじやないかというような御指摘のように思いますが、これはやはり農業協同組合法と政黨の活動というものは、おのずから別個でありまして、農業協同組合はあくまで農民の自主的な團體を十五名以上の者がつくつて、これを届け出れば、先刻申し上げましたように、これはこれは認可するということになりますので、それは十五名の人が與えられたる法的根據によつて組合をおつくりになるならば、これは當然認可になる。この認可になることと、共産黨の問題をどう見るかということは、これはこの法案とは別個の問題でありまして、私は共産黨に對して政治的見解をもつておりますが、それはこの法案について特にここで申し上げる必要はないと考えております。
○佐竹(新)委員 それは單なる通り一遍の本案を中心としたあなたの理論でありまして、實際問題といたしましては、地方においてそういう事實があるわけであります。たとえて申し上げますならば、日農が現在決して共産黨の何ではない。しかしながらあなたの見解によれば、日農の中に共産黨がいるということにおいて反對されたわけであります。共産黨と組合活動の別であることは、これはおのずから違います。が實際問題として、あなた自身がそういう點を指摘されて、全國農業組合という反共的な立場をとるところの組合をつくられた。こういう事實は、やはりこの協同組合の中に、いわゆる共産黨のフラクシヨン活動が出てくることになる。そういうような場合には、あなたの御見解はどうであるかということを申し上げたのであります。
○平野國務大臣 私が政治家として一つの自分の見識から立つておりますところの政治上の見解と、この協同組合の精神はこうであるということとを、混同してお問いになりましては、まことに答辯しにくいのでありますが、この組合自體からいえば、それは社會黨であると共産黨であると何であると、農民であればこの協同組合をつくれる。これは自由の原則であります。私は日農の中に共産黨がいるから私は共産黨反對で、別個の農民組合をつくつたこと自體は、私の自由であつて、あるいは農林大臣がそうであるからといつて共産黨は協同組合はつくれぬということはないのでありますから、この點はひとつはつきり御了解を願いたいと思います。
○山口(武)委員 先ほどからの農林大臣の答辯によりますと、この農業協同組合は、自由の原則と農民の主體性の確立にあるという意味はよくわかります。從來の農業會のあり方を見まして、これを官僚性や封建性の中から解放しなければならぬという點はわかります。しかし、この農業協同組合法が農地改革法と竝んで、農村民主化の二つの重大な法律であるという點になつてきますならば、これは先ほどの農民の自由の問題と主體性の問題だけでは説明ができない點がでてくるのではないか。たとえば農村の民主化をはかり、農村の知識を向上させて、現在の農民を零細化から解放するためには、生産面における協同組合としての發展をはからなければならぬ。しかしこの法律全體を見てわれわれが豫測できるところは、そこまではいかないと思います。 それから先ほどの大臣の答辯を見ましても、そういう點には觸れていない生産面における協同組織の發展というものをどのように考えられるか、農林大臣はこの法案を通じてどのような見透しをもつておられるか、これを伺いたいと思います。
○平野國務大臣 ちよつと終いにおつしうあつたことはよくわからなかつたのでありますが、私はあくまでこの農業協同組合法案と、農地改革とは車の兩輪のことしと申しますか、日本野農村民主化には不可分な兩方案である。こういう見解のもとに立つております。從つてこの協同組合法を運用する上において、先刻來の御質問のように、頭の中には種々なる割り切れないものがおありになるようでありますが、それはあたかも土地改革をやる上においても、日本農村特有であるところの種々なる複雜性をもつておつたのでありまして、これらの點から土地改革についても種々なる論議があつた。しかして農業協同組合法においても、いろいろこういうことになるのではないかということでありましようが、長い遠い眼をもつて見ますならば、とにかく土地改革によつて封建的な農村の地主制が打破せられて、そうしてこの農業協同組合法によつて農民が自由に協同組合をつくつて生産を増強し、しかして日本の農業がこの協同組合法の精神によつて、はつきり眞の農村が建設できる。こういう理想はあくまでこれによつて私は實現できる。こう考えます。
○山口(武)委員 私の終りの質問が明瞭でありませんでしたのでもう一遍申し上げます。農村の民主化を進めていくためには、生産面における零細性が克服されなければ、生産面の協同組織の發達はなされないと思うのでありますが、今日の現實におきまして、この生産面における協同化の見透しが、確かであるとして見透せるかどうか、この點をお聽きしたい。
○平野國務大臣 よくわかりました。日本農業の將來について私はしばしば申し上げておりますが、やはり百五十萬町歩の開墾計畫というものが日本農業としては一つの課題になつておりますから、私は土地改革とともに耕地の開墾が行われ、しかして農業協同組合法が採用せられて、そこにあなたの御質問のような萬全を期するところの日本農村の民主化と日本農村の建設ができる、かように考えております。但し現在の農村と人口の關係から、かりに協同化いたしましても、耕地が足らないという點から開墾の問題を申し上げるのでありますから、かりに百歩讓つて開墾の問題が所期のごとくいかないといたしましても、とにかくも零細な農家が協同組合をつくつて協同の精神によつて、この組合法の精神から、農業生産を向上するということは十分考えられるので、あなたの御心配はないと思います。
○寺島委員 私は大臣にお尋ねいたしたいのであります。系統的に日本農政の全般を分類して、その中において本法案の占める地位竝びに本法案の中に檢討せらるべき多くの問題につきましては、別個の機會に讓るといたしまして、この際、ただいま大臣は、日本農村民主化の上において不可分の關係をもつと言われておるいわゆる土地改革の問題につきまして、就任早々にして第三次農地改革を斷行いたし、その内容は在村地主の一町歩の土地保有を認めない。かような意味の御所見を全國農民の前にお示しになられたのでございますが、これはいずれの時期に、またいかような内容をもつて、これを政治家として具現せられていくおつもりでありますか。お伺いいたしたい。これが第一點。 次にいわゆる在村地主の一町歩の土地保有を認めないという建前より日本の土地改革を行うといたしました場合において、大臣が今日考えられております日本土地問題の發展していく終局の段階は、いわゆる土地國有を指向するものなりや否や。あるいはまた從來われわれが農地調整法における指導精神として考えてまいりました自作農制度の強化、自作農創設の強化というお面に向かつて努力を沸うべき問題でありますか。この第二の問題はその二者うずれを大臣は考えられて、たとえば土地國有の前提としての第三次農地改革を施行せられるものなりや。さらにまたあくまでも日本農政は自作農の創設強化を目途とせらるものなりや。この點についてまずお伺いいたしたいのであります。
○平野國務大臣 私が第三次農地改革をやると言いましたのは、まず第二次農地改革を實行した後において第三次の問題を考える、こういうふうに現在申しておるのであります。それから第三次改革案と言います私の考え方は、一切の小作地というものをなくする。すなわち耕作する者がすべて自分の土地を所有する、こういう原則を考えておるのでありまして、言いかえますれば土地國有案ではありません。
○寺島委員 その問題に關します大臣の見解に對する質疑は、別途に本議會に農地調整法に關する改正法律案の審議いたされまするときにいたすといたしまして、この際もう一點だけ農業協同組合法に審議にあたりまして伺つておきたいのは、いわゆる農業の協同組合と農民組合との關係に關する政府としての御所見でございます。私どもの考えによりますれば、すでに農民組合がわが國耕作農民解放のために、血のにじむような努力の沸われましたるいわゆる土地制度の改革の問題、竝びに國體協約等の問題につきまして、前者においてはすでに農地調整法が施行せられ、第二次農地調整法の完了をまつて、日本に小作地をなからしめんとする自作農創設強化の途がただいま大臣より闡明せられたのでございまして、すでにその面よりする農民組合の過去における貴い歴史的役割は濟んでいるのではないかというような考えも、また所論として生れるのでございます。さらにまた國體協約の問題につきましては、この國體協約をこの農業協同組合の中に盛りきたることの可否については別に御質疑いたしますが、すでに法の明文としてとられておりますので、農業協同組合の歴史的な使命と申しますものは、今日におけるこの協同組合法案の圓滑なる發表を見ますならば、その役割は果されたということができるのであります。これを最近において日農の委員長でもありますところの、黒田氏の最近の農政評論上に發表せられました所論のごとくに、土地をもたない農村プロレタリアと土地をもつ耕作農民との間に起るべき相剋を想定いたして、ここに土地をもたざる農民の序列に立つて、いわゆる新たなる日本農政の農民運動の進路を求めるという所論は別といたしまして、從來われわれが考えておりました農民組合の歴史的な役割は、ある程度この協同組合竝びに農地調整法の兩案を強力推進いたします上において果されると想うのでありますが、この面に關連いたしまして、農業協同組合竝びに農民組合との關連をいかにお考えになりますか伺いたい。これが第一點。しからばこの農民組合に對する別途の、農民に關するなくてはならない當然の運動的役割をここに想定せらるといたしましたならば、在野以来農民運動の先覺者として、つとに今日全日農を背負い立たれる大臣といたしましては、在野當時社會黨が提出せられましたる農民組合法を今日臺閣に列せられまして何らかの方法によつて出す御意思ありや否や、この二點について御明快なる御答辯をお願いいたしたいのであります。
○平野國務大臣 農業協同組合と農民組合との見解をはつきりいたしてみたいと思うのであります。農民組合は經濟的なる部面とともに、政治的なる部面を相當にもつておるのであります。協同組合は營利活動と政治活動はできないのであります。ここに農民組合と協同組合との差異をはつきり御認識願いたいと思います。しかしながら農民組合もまた經濟活動をするとともに農業協同組合としての認可を受けてやるということは、これは當然自由の原則としてできるのでありますから、ここに農民組合が將來協同組合化するということも當然想像できると思います。ただ一點協同組合は政治活動はできないのでありますから、この點において農民組合とは嚴に違うのであります。 次に農業協同組合法も出せば、かつて社會黨の主張した農民組合法を出すかどうかという點でありまするが、これは今申し上げましたように、やはり農業協同組合法があつても、農民組合法が必要ではないという議論になりませんので、これは適當の機會においてあるいは出すかもしれません。しかしながら現在この議會に農民組合法を出すという豫定にはむろんなつておりません。
○寺島委員 しからば前二項目に關します質疑はその程度にいたしまして、いま一點私は本法案を他日克明詳細に取扱う基底として伺いたいのでございまするが、このたび平野農政は協同組合法案と關連して生産調整法を議會にお出しになつておられるのでございまするが、これと關連いたして農地改革をさらに鋭く推進せられんと考えておるのでございまするが、その際平野農相の所見として、日本農業の將來をいかように大體大づかみにお考えになつておられるか。質問きわめて抽象にわたりますので、さらに克明にやや分析いたしましてみまするならば、今日いわゆる日本農政にとつて最も大いなる關心事は、いわゆる世界農業恐慌の一環としてもたらされるべきところの、わが國農業恐慌の襲來がいかおうなる形において、たとえば現在の農村をコンポジシヨンいたしておりまするいずれの面に、どういう形のよつて襲來せらるというようなことを御想定になり、これが防波堤としてしからばどういうような農政の體系をお考えになり、その一環としてこれらの法案をお出しになられるものでありまするか、本法案提案理由の説明をさらに御敷衍くださる思召しをもちまして、他日われわれの審議に便ならしめるため、この點について御所見を伺いたいのであります。
○平野國務大臣 提案の理由のときにも申し上げましたように、農業協同組合法をつくりまして、日本農業の農業協同化をはかり、生産力を高揚いたしまして、將來外國の農産物が日本に對して相當安い價格のもとに襲い來る場合がありましても、日本農業がこれに對して十分對抗できるだけの基礎を確立したい。かように考えておるのでございます。このことはしばしば申し上げまするように、土地改革を完全に行つて、しかしてその上に經營の方面においても、多角經營的、立體的なる農業經營を採用いたしまして、いわゆる農業五箇年計畫と申しまするか、五箇年というのばかりに、今ここに申し上げたのでありまするが、一定年内におきまするところの基本的なる農業計畫を立てますならば、世界農業恐慌というのは、いま二年三年の間にすぐ來るのではないのでありますから、十分この間において日本農業を再編成して、日本野農産物價というものを安定の地位に維持することはできるであろう。こういう考え方を大體にもつておるのであります。なおこのことに關しましては、いずれこの委員會におきまして詳細に私の所見を申し上げる機會があろうと考えますが、今日は簡單でありまするけれどもこの程度において御了承願いたいと思います。
○野溝委員長 この際農林大臣は司令部へ呼ばれておりますので、中止することにいたします。 この際寺島委員に私から一言今後の審議の上に影響がある問題と思いますので所見を申し上げておきます。先ほど農政評論に出ました日農の代表者黒田君の論説のことでありますが、これは個人の論説でございまして、日農全體の所見ではありませんから、さよう御了承願いたい。
○寺島委員 わかりました。
○八木委員 議事進行に關連して申し上げます。だんだん質疑應答を重ねて進行していくことはまことに結構でありますが、今まで農林の問題に出ました法案審査の經過を顧みますと、各委員が必ずしも毎囘出られない。從つて同じ問題を重複する場合がかなりある。私はこれの煩を避けて、本法案のごとく二十年十二月九日のいはゆる連合軍の農民解放令に基いて、當然農地改革と一緒にやるべきものが片手落ちになつたこの法案、當然一諸に審議して片づけてしまうべき筋合のものを、一方は進め、一方は漸く今上程というような形においていつまでも置くことに忍びないのでありますから、できるだけ進行をはかつていただく意味において、問題になつてから今日まで、少くとも農地改革問題に着手してから今日まで、この組合法だけが棚上げになつておつたこの間に、問題點となつた事項は大體お互いにわかつておると思うのでありまして、ほとんど統一する事項ができると思う。私も時間をかりて整理して申せば、問題點だけは指摘できるとある程度信じております。これは政府側においても同様であろうと思うのであります。この問題點となつた事項を整理して、結局ここに至つたこの間には、特に連合軍との交渉經緯等の問題が重點になり、それに農民生産者方面の意見その他の意見があつてここに至つたのだということを整理して、くだいた説明を一度していただくことが議事上進行上同じ問題を繰返さずに都合が言いのじやないかということを思いますので、發案者かた今日提案に至るまでに、主として問題になつた點を指摘して、それに對する經緯と結果を一度一括して説明を願う、こういう運びに願つたらどうかと思いますから、お諮りの上御進行方をお願いいたします。
○野溝委員長 ただいま八木議員の議事進行に關する意見中、第一點の質疑の重複を避けるようにされたい、各委員が出席をされて、他の委員がいかなる質疑をされたかという點を十分聽いておられて、質疑の重複を避けるように努力されたいというこの點は、委員長としては同感でございます。各委員ともさように御了承願いたいと思います。 第二點におきましては、すでに農地改革の法案と竝行的に本法案は提出さるべきものであるにかかわらず遅れた。なお本案については大體了承しておると思うから、なるべく説明なども、政府がこの經緯等に對して具體的に話をされて、審議の上便宜をはかられるようにという御意見の内容と思います。この點は一應ごもつともには思いますが、しかし先ほど大臣も申されましたことく、またわれわれもそう考えておるのですが、土地改革と竝行いたしまして、本經濟立法、いわゆる組織法でございますが、この協同組合法は、日本再建の上における重大法案でありまするがゆえに、十分審議するところは審議する。しかし先ほど申しました通り、審議はするけれども、重複的な質疑はなるべく避けるようにしてもらいまして、その審議を有効にされたいと思うのであります。大體ただいまの御意見は、これをどうするかということでなくて、以上の點について、委員各位に御配慮を願いまして、進行されんことを特にお願しておきます。 本日はこれにて散會いたします。 午後二時五十一分散會