通信委員会 第21号
- 発言数
- 113 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1947/11/20
会議録
○岡田委員長 會議を開きます。 これより去る十一月十四日豫備審査のため郵便貯金法案が本委員會に付託になりましたので、これを議題としてまず政府より本案の提案の趣旨の説明を聴衆いたします。三木逓信大臣。 —————————————
○三木國務大臣 ただいま議題となりました郵便貯金法案の提案理由を御説明申し上げます。 現行郵便貯金法は明治三十七年に制定されたものでありますが、その後の四十餘年間におきましては、貯金總額の制限額に關する數次の改正と、昭和十七年に新たに實施されました郵便貯金切手制度に關する改正のほかは、何らの改正もなく今日に及んでおります。このことは、主として現行法が制度の抽象的な根幹のみを最小限度に規定するにすぎなかつたためでありますが、この間の社會情勢及び利用の實情の變化に伴いまして、制度の實體は大きな發達を遂げており、これがため現行法の規定中には、不備不適のものも若干生ずるに至り、早晩その改正が必要となつてまいりました。特に先般日本國憲法が制定されるに及びまして、國民の權利の尊重及び官業の民主化が強く要請され、しかも法律用語の平易化及び明確化が率先されましたのに鑑み、これを根本的に改正すべき必要が生じてまいりました。そこでこの際、新憲法の精神に副つて再險討を加えまして、從来の法體系を根本的に改め、利用者の權利義務に關する基本的事項をすべて法定するとともに、不備不適の規定を除き’さらに當面の經濟情勢に適應させ、なかんずく貯蓄の増強とはかるための制度の改正をも盛り合わせまして、ここに新たに郵便貯金法の制度を行わんとする次第であります。 今この法案の内容が現行法と異なる要點を申し述べますと、まづ第一に、郵便振替貯金に關する規定を郵便貯金法から除いたことであります。郵便振替貯金の制度は、現行法において「振替計算ノ為ニスル預入金」として規金され、郵便貯金に一業態として運用されてきたのでありますが、その制度は、送金並びに貸借決濟の手段として提出され、かつ利用されるものでありまして、貯蓄手段たる本來の郵便貯金の制度とは、目的及び内容において、著しい差があり、これを郵便貯金法に規定することは、法律の内容を複雑にすることとなつて適當でないと考えられますので、その規定を郵便貯金法から分離させ、別に郵便振替貯金法として規定することとし、その法案につきましても、近く提案することといたしたいと存じます。 第二、この法案におきましては、從來の法體系を改めまして、制度の實體に關する規定はすべて明確に法定することといたしました。すなわち現行法は、わずか十八箇條から成り、制度の實體は、ほとんど省令に規定されているのでありますが、郵便貯金は、國民の福祉に關する制度でありまして、少くともその事業及び契約の内容は、これを法定することが、新憲法の要請する官業の民主化に副うゆえんであると考える次第であります。從いましてこの法案では、用語に平易な口語體を採用し、また各條に頭註を設けまして、法文の明確化をはかりましたことはもとより、法律の目的を第一條に掲げまして、法律制定の精神を明示する一面、事業運營の指針及び事業國營の根據を明示し、さらに事業の管理者たる逓信大臣の職責を列擧するほか、貯金の種類、利率利子の計算、各種請求權、特別郵便貯金の條件等、從來省令の規定に委ねられておりました制度の實體をすべて法定いたしまして、事業の本質に關する管理者側の自由裁量の餘地も最大限度まで圧縮いたしまして、もつて郵便貯金を眞に民主的な制度として、利用の普遍及公平を期したわけであります。 第三に、この法案では、郵便貯金の總額制限額を、從來の一萬圓から三萬圓に引上げました。郵便貯金の總額制限は、昨年八月從前の五千圓から一萬圓に引上げられたばかりでありますが、その後通貨の膨張は依然として續き、國民所得額も相當増加しているので、この經濟事情の變化に對應するためにも、またインフレ防止策の一環としての貯蓄増強に資すべく、いわゆる新興所得階層の貯蓄を受け入れるためにも、この一萬圓の制限額は、なお低すぎる憾こがありますので、これを相當程度引上げることが必要であります。しかもその引上げの程度は、郵便貯金制度が一般大衆の此較的零細な貯蓄を對象とし、從つて所得税、印紙税免除等の特權を有し、かつ全國一萬數千に及ぶ郵便局において均一的及び畫一的に取扱われる本質に鑑み、また一面一般金融機關に業務に對する影響をも考慮にたしまして、これを國民貯蓄組合による預金利子に關する所得税免税點たる三萬圓とすることが、最も適當であると考えたわけであります。 第四に、今囘新たに割増金附郵便貯金の制度を創設いたしました。現在の社會情勢におきまして、貯蓄の吸収、殊に比較的大口の貯蓄を集めますためには、貯蓄手段に魅力を添えることが必要であると考えられますが、これがためには、國民の射倖心を利用することも一方法と考えられますので、民間金融機關においてはすでに實施し、相當の効果をあげております割増金附貯金の制度を創設することが適當であると思います。これは現在あります定額郵便貯金制度の一態様といたしまして、一年または二年の据置期間中も無利子とし、その代りくじ引によつて割増金をつける制度でありますが、さいわいにこの法案が國會を通過することとなりますれば、來る十二月からただちにこの取扱いを實施し、本年度中に二十五億圓ないし三十億圓程度の貯蓄をこの貯金により獲得したいと存じております。 第五に、この法案では、無能力者の行為擬制に關する規定を削除いたしました。現行法におきましては、郵便貯金に關し無能力者が郵便官署に對してした行為は、能力者がしたものとみなす旨規定され、民法の規定が排除されておりますが、國民個人の權利を一層尊重いたして、無能力者保護の一般私法に從うこととしたわけであります。 第六に、郵便貯金に關する債務の履行遲滞による利用者の損害は、原則としてこれを賠償することといたしました。すなわち現行法におきましては、郵便貯金に關する取扱いの遲延により生じた損害については、逓信官署はその賠償の責任を負わない旨規定し、債務の履行遲滯に關する民法の規定が排除されておりまして、これは郵便貯金事業の公共性に基く保護特權として認められてきたものでありますが、新憲法のもとにおいて、このように損害の賠償責任を無制限に免除されることは適當でないと考えられますので、この法案では、郵便貯金に關する取扱いの遲延による損害賠償については、原則として民法の規定に從うこととし、ただ不可抗力その他事業の性質上萬やむを得ない場合に限り、責任を免れることに改めた次第であります。 第七に、各種の料金は、これを法律に明定するか、またはその決定の基準を法定することといたしました。貯金通帳、拂戻證書等を亡失した場合等における通帳、拂戻證書等の再交付を請求するとき、または證券の購入、保管もしくは賣却を請求するときは、現在省令の定めるところにより、料金を徴收しておりますが、官業民主化の徹底を期する見地から、これらの料金は、これを法律に明定することが適當と考えられ、また種々の事情で法定することが適當でない料金につきましては、その基準を法律に定めることが適當であると考える次第であります。 この法律の施行によりまして、郵便貯金制度は一層その機能を發揮することとなり、法案第一條が所期いたしますところの、最も普遍的でかつ簡易確實な貯蓄手段として、國民生活の安定に寄與するところが少くないと確信いたしておりますが、以上御説明申し上げました點を御了承の上、何とぞ十分御審議せられんことを切望する次第であります。 —————————————
○岡田委員長 次に全國逓信從業員組合要求問題に關して、中央勞働委員會調停案に關する件につき林百郎郡より發言を求められておりますので、これを許します、林百郎委員。
○林(百)委員 全逓の中央勞働委員會の裁定の問題は、これが全逓の從業員をきつかけとして全公官の勞働者の待遇問題に及ぼすことだと思います。それから一方勞働者の側においても、非常に重要な關心をもつております。官側においても眞劍にこの問題は考慮されておると思います。そこで國會においても國民の審議機關としてこの問題を看過することができないと思います。三木逓相としては閣内の事情やいろいろあると思いますが、でき得る限り懇切にこの問題についての説明を聽かしていただきたいと思います。そこでまず第一にお聽きしたいことは中勞委の裁定が去る十四日にあつたと思いますが、その後中勞委の裁定の問題について十七日には閣議も開いておるはずだと思います。そこでその後この問題について、官側としては大體どういう方針でいくかということの御説明を、でき得る限りしていただきたいと思います。
○三木國務大臣 現在官公吏の諸君が非常に生活の上において困難な事情にあることは、これは申すまでもないのでありまして、でき得る限りこの待遇を改善していきたいということが一つと、またこれは中央勞働委員會の調停案が出る、出ないにかかわらず、さような見地から檢討を加えておつたわけでありますが、今囘中勞委の調停案が出ましたので、政府はでき得る限り勞働問題の處理を平和的にしていきたいという考え方から、中勞委の調停案はこれを尊重してこの線に沿うて檢討をしていきたい、こういう方針でこの調停案に臨んでおる次第であります。
○林(百)委員 この調停案については二つの問題が出ておるのであります。一つは全逓の從業員に對しての給與制度を根本的に再檢討するというために、臨時給與委員會を設けて新たな給與案、それからとりあえず生活補給金を中勞委の裁定としますれば五千六十二圓ですが、生活補給金として一月から十二月の赤字の補填として五千六十二圓を支拂うこと、この二つの調停案が出ておると思います。これに對して本日の朝日新聞にもありますが、臨時給與委員會については諮問機關としてこれを尊重したいというような意思があるようであります。それから五千六十二圓の生活補給金の問題については、額の點で大分問題があるようでありますが、官側としては生活補給金を出す意思があるかどうか。それからこれは越冬資金とは別に、從來の赤字補填の意味で出すかどうかという問題ですが、この二點について御説明願いたい。
○三木國務大臣 從來の生計費の赤字補給を政府がするという原則については、いろいろ議論があろうと思います。從つて政府が赤字補給金として出すかどうかということについては、未だ決定を見ておりません。けれども何らかの形で年末には資金を出すような努力を現在しておることは事實であります。日本の財政の現状ともにらみ合わせて何らかの形において年末に出そうという方向において努力をいたしておる次第であります。生活の赤字補給としてこういう金を考えるかどうかということは、相當檢討を要する問題であると考えます。
○林(百)委員 そうすると、從來官側の意見として、とにかくこの年末にあたつて官公の勞働者—三木逓相としては逓信從業員であります。逓信從業員を中心とし、この問題をきつかけとして、政府は官公勞働者に對してある一定の金を支拂うと言つておるのでありますが、その金の性質については私としては三つの問題が考えられるのであります。これについてどういう性質の金かということをお尋ねしたいのでありますが、まず一つは普通のボーナス、越冬資金という形のものであるかどうか。あるいは赤字補填のために生活補給金というものであるかどうか。今三木逓相の話によれば、生活補給金という、いわゆる赤字補填の金は出す意思がないというように言われておるようだが、これをはつきりそうお聽きしていいかどうか。もう一つは千八百圓と千六百圓の差額、これは當然ベースが上つたのでありますから、支拂うべき金であるが、これでいわゆる生活補給金を切りかえる。はつきり言えばこれですりかえてしまう。そういう意味の金を拂うのか。もう一つはこれも官側で、また三木逓相あたりもよく言つておつたのでありますが、勤勞所得税の基礎控除を上げて、これを七月までさかのぼらして、そこから浮いてくる金を拂うというようなことを言つております。この四つの金の支拂のことが考えられるのでありますが、このいずれの金を支拂う意思かということをお尋ねしたい。
○三木國務大臣 先ほど申しましたごとく、過去の生活の赤字を政府が補給するという原則を立てることについては、これはいろいろの議論の餘地があつて、決定に至つていない。從つて年末に何とかいたしたいとして政府が考えておるのは、こういう名目はともかくとして、むろん生活が非常に苦しいのであるから、生活の困難を緩和するために、財政の許す限り何とかしたいと考えておるので、それは赤字補給という原則の上に立つておる。どういう形で出すかというその名目については、未だ檢討中でありまして、ここに申し上げるわけにはいかないのでありますが、何かの方法を講じたい。こういうことで苦心をしておるのであるといふ點で御了承を願いたいと思います。 次に千八百圓と千六百圓の差額につきましては、これはただいま議會に提出をされて御審議を願つておるので、今囘のいわゆる調停案とは全然別個のものであります。また勤勞所得税の控除額に對しての返還問題は、これまた豫算案として國會の御審議を願つている次第であります。これは衆議院の方は審議がほとんで終つたようでありますが、これから参議院の方にまわつてまいりましようから、おそらく相當な期間がかかるのと、またこの勤勞所得税を七月にさかのぼつて返還するという一つの手續については、財務當局の方でいろいろ手續上の問題で困難もあるようでありますが、逓信大臣としてはそういうことができれば返還をしたい。こういう考え方で大藏省とも折衝いたしているのでありますが、そういう技術的な困難、さらに根本的な問題は國會の未だ審議の途中にある。こういうことから、現實の問題とは相なつていないのであります。
○林(百)委員 そうすると、大體從來官公廳の從業員諸君には越冬資金、いわゆるボーナスというものが出ておつたのでありますが、このほかに政府としては何とかして—從來の赤字があるということはおそらく三木逓相もこれは認めるのではないかと思うのですが、このボーナスのほかに、今年度の生活が非常に赤字から赤字を重ねておるから、赤字補填、あるいは生活補給金という、いずれの名前を使う使わないかにかかわらず、通常な、越冬資金、いわゆるボーナスのほかに、何か給與をするつもりなのか。あるいは通例のボーナスだけで事を收めるのかどうか、この點をお聽きいたしたい。
○三木國務大臣 大分古い御記憶から林委員は言われるのであろうと思うが、官廳のボーナスという制度は廢止になつて、今ないのであります。從つていつもボーナスが出るものとは限つておりませんので、あなたのお話がボーナスが出るものだという前提に立たれるなら、そういう制度はなくなつておる。しかもボーナスを出して何かの補給を出すという、何重にも出すという考え方で檢討しておるのでない。何か十二月にはいたしたいということですが、これに對しては今後非常な影響をもつ問題でありますから、その名目あるいは金額については、財政上の檢討、國會の御承認も得なければならぬ。いろいろな手續がありますので、各方面の經濟事情等も考慮して、政府は非常に苦心をし、檢討をしておる最中である。こういう點で御了承を願つておきたいと思います。
○林(百)委員 どうもはつきりしないのですが、そうするとある金を暮に出すことは出すのだが、それはこの暮に必ず出すかどうかという點、あなたの答えがぬらりくらりとして、つかみようがないのでしかたがないが、暮に出すかどうかということと、それが中勞委が裁定で言つておる五千六十二圓と比較して、多いか少いかという程度でも結構です。その程度の大體出るか出ないか、それをお聽きしたい。もう一つは臨時給與委員會の制度、これについてどういうことを政府としては考えているか。この問題をお聽きしたいと思う。
○三木國務大臣 暮に出るか出ないかという問題でありますが、逓信大臣としては暮に出したい。こういう考えで努力をいたしておるのでありますが、御承知のように、やはりこれは最後においては國會の御承認を得なければなりません。私が私の責任において出すという言明をいたしかねることは、林委員御承知の通りと思います。その金額等についても、これは政府としてもただいま出そうという努力はいたしておりますけれども、どの程度にするかということは、今決定もいたしておりませんし、申し上げる段階ではないのであります。 次にお尋ねの臨時給與委員會でありますが、これは政府も、こういう給與委員會で、何らか—一月からは勞働基準法等にもよつて、給與制度というものを檢討しなければならぬ時期になつておりまして、政府も今まで事務的には檢討いたしておつたのでありますが、こういう制度をできる限りつくつて、給與制度というものを技術的に檢討したい。大體こういう方向で考えております。
○林(百)委員 いくら聽いても、これはどうも出そうであるようで出ないようであるし、たいへんわからない答えでしかたがないのでありますが、そうすると、全逓の從業員としても、とにかく中勞委の裁定の五千六十二圓ですら、彼らの計算で言う赤字の三分の一にも達しておらないということを言つておるわけであります。ところが三木逓相の話を聽くと、五千六十二圓にもとうてい達しそうもない。またそれも出るか出ないかもはつきりしない。責任は國會にあるというように、國會に責任を轉嫁して逃れるような響きの答えまでされておるのでありますが、そういたしますと、暮を控えてすでに全逓を初めとして、大藏省從業員、あるいは全財の從業員とかが生活の苦しさのために、いろいろな生活苦の現われとして、仕事の上に支障を來す。場合によつては不測の事態が發生するような状態にも達しておるのだが、ただ財源に糊塗して、こうした從業員の生活苦に對して、もう少し眞險な具體的な對策を講じなくて、發生する不慮の事態に對して、三木逓相としてはどういう責任を負われるかということをお聽きしたい。
○三木國務大臣 不慮の事態というのは、どういう事態を林委員はお考えになつておるのか存じませんが、林委員もいろいろ御關係があるようでありますから、できるだけこういう事態の起らないように御協力願いたいと思うのであります。ただどうなるかわからないという問題でありますが、調停案には御承知のように期限もついておるのであります。この中勞委の調停案は十五日でありますが、十日間の囘答期限もついている。この間全逓の方が二十七、八、九日に中央委員會を招集しておるが、おそらくこの問題を中心にしてでしようから、全逓の囘答は十日間より遅れると思います。ちようどあの調停案を受取つたときに私も申したのですが、できるだけ十日間という期限を守りたいが、政府としてもいろいろな手續上の問題もあるから、多少遅れる場合もあるという留保をつけておきました。そういう申出がありましたので、おそらく全逓本部の方としても、そういう會合を催しておる關係から言つて、多少遅れてくると思います。遅れると申しましても、無制限に遅れるのではないので、政府は近い機會において、この調停案に對して囘答をしなければならぬのであります。從つて暮まで非常に不安だという状態ではない。その間從業員がどういうことになるかということにつきましては、その囘答を通じて生活にもいろいろな計畫が立つてまいると思いますから、そう非常にあてのない事態でないことを御承知願いたいと思います。
○岡田委員長 この問題に關連しまして成田知巳君から發言を求められておりますから、これを許します。
○成田委員 ただいまの林委員の御質問の、全逓の提訴問題に關する中勞委の裁定問題について二、三お伺いしてみたいと思います。生活補給金の問題につきましては、これが赤字資金であるか、あるいは越年資金であるかという性質の問題は別といたしまして、ただいま三木逓相からも、何とかして逓信從業員の生活苦を緩和したい、そういう手段をとりたいというような御意見を承つたのでありますが、出るか出ないかという點も、ただいま林委員との間に相當問題になつたのであります。私たちが新聞紙上で承知いたしておるところでは、大體一箇月分の生活補給金を出すというような西尾國務相の御言明もありまして、私たちはそういうふうに了解しておるのであります。ところがある新聞紙上で、この一箇月の問題については、安本、大藏省は一箇月を主張しておる、鐵道、逓信、勞働各大臣は一箇月以上を希望しておるようだという報道が見受けられたのでありますが、その點について三木逓信大臣は大體どの程度のものをお出しになりたい意向をもつておられるか、お伺いいたしたいと思います。
○三木國務大臣 その一箇月という新聞記事は、西尾長官の口から出た記事ではないと思います。私もそういう記事は記憶にありません。新聞社の推察によるものではないかと思います。と申しますのは、まだ政府といたしましては、各目はともあれ、どの程度そういう金が出せるかということについて結論に達していないのです。そこで官房長官も一箇月というようなことを言明される事情には立ち至つていないので、さようなことはない思います。私自身というお尋ねでありましたが、御承知のように、この問題は非常に微な關係にありますので、私といたしましては、國の財政の許す限り、最大限度のことをしてもらいたいという考えをもつておるのでありますけれども、具體的にいくらという私の考えを申し上げることもいかがかと思います。
○成田委員 次にその生活補給金の問題に關連して、政府の方では行政整理をやらなければいけない、大體一割程度の行政整理をやらなければいけないというお考えをもつておるように新聞紙上で見受けておるのでありますが、そうしますと、逓信從業員約四十二萬の一割を、逓信省自體においても行政整理をされる御意向をもつておられるのかどうか。仕事の繁忙の程度も各部門によつて違つておるだろうと思いまするので、でき得るならば、配置轉換によつて行政整理を行わないで濟ましたいという氣持をもつておられるでありましようが、配置轉換だけでこの問題は片づくものかどうか。その點について逓信大臣の見透しをお聽きしたいと思います。
○三木國務大臣 行政整理ということは將來の大きな課題になつてくると思います。ところが今現實に御指摘になつたような具體的な問題については、これは將來檢討していかなければならぬ問題で、ただちに各省皆同じに一割整理をするのだというようなことは輕々しく言えない點があるだろうと思います。 〔委員長退席、重井委員長代理著席〕 逓信省といたしましては、ただいまのところでは新規の採用を抑制して、配置轉換等によつて、できる限り能率を上げていきたいという方針で、やつている次第であります。
○成田委員 最後に一つお聽きいたします。今度の全逓の調停案に、一月から新給與體制をつくることを勧告しているわけでありますが、逓信、鐵道等の現業官聽の官吏の給與體制を、一般行政官吏と同じ給與體制のわくの中に入れておくというところに、事業の性質からいつて相當無理があるのではないかと考えるのであります。鐵道だとか、逓信事業は、考えてみますると、これは國家が投資した大きな企業體、事業體である。株式會社という言葉は變ですが、大きな事業體と考えていいと思います。そうすると給與體制についても、一般行政官吏と異なつた給與體制を、現業部門についておつくりになる必要があると思います。その點についての逓信大臣のお考えを伺いたいと思います。
○三木國務大臣 確かにお説の通り普通の行政官聽と、現業官聽が同じような給與體系にあるということは、實際の點で非常な不便がある。たとえば現業官聽においては、能率というものが非常に尊ばれなければならない。また技能と申しますか、こういう面も、よほど普通の行政官聽とは違つた意味における特殊技能をもつておるのであります。それで將來の給與體系の上においては、基礎的なものは一つの同じ基礎に立つても、現業官聽には技能、能率というものを加味した一つの給與の方式をもちたいという意見で、私どももそれを實現せしめたいと思つて、努力いたしている次第であります。
○林(百)委員 この前これは私的に三木逓相にお願いして話をしてあつたので、私は問題がないと思つておつたのでありますが、本日の逓相の話によると、逓相の考えは變つたように思われるのであります。一つは逓信從業員の俸給のベースと、民間企業の俸給のベースとの間には相當の開きがある。少くとも本年七月以降には相當の開きがあると認められる。私は三木逓相から私的ではあつたが御返事を受けていたはずであるが、この點についてその後變りがないかどうか。從つて從業員の生活についても、額のいかんは問わず、とにかく赤字の生じておるという事實もこれを認める。しかしその赤字の額の算定については、各角度から見て問題はあるだろうが、この二點は認められるというように、私は私的ではあるが、三木逓相の所信を聽いておつたのでありますが、その點についてその後變りがあるのかどうか、この點をお聽きしたいと思います。
○三木國務大臣 逓信從業員と他の民間企業の問題でありますが、御承知のように鐵道にような場合は私鐵等があつて、比較するのに非常に簡單ですが、逓信の場合はちよつと比較する同種企業の適當なものがなかなか見あたりません。大體最近民間の企業の給與が上つてまいりましたために、政府の從業員と民間企業の間には、少し民間企業の方が高くなつておるという事實は、私もそう思います。それから赤字の點でありますが、經濟安定本部の計算の中にもやはり赤字がああいうふうに出ておつたので、これは個々によつていろいろ特殊事情がありましようが、全般に多少の赤字があることは事實でありましよう。これは何も變つておりません。 —————————————
○重井委員長代理 それでは前會において、多田委員より通信特別會計追加豫算案と郵便料金の關係についての質疑に對する政府側の答辯の留保がありましたので、この際逓信大臣の説明を聽取いたします。
○三木國務大臣 郵便料金の問題でございますが、御承知のように現行の通信料金は今年の四月に値上げをいたしたのであります。その値上げの基準になつておるものは、物件費から申しますと昨年九月の物件費であります。人件費から申しますと、千二百圓ベースの上に立つておる人件費であります。その後物價も上つてまいりましたし、給與の面でも千八百圓ベースになつてまいつて、四月に値上げをしたこの今日の料金というものは、そういう物價とそういう人件費の基礎の上に立つておる料金であるわけであります。その後物價あるいは人件費等の値上りがありました今日では、その料金は實際に現行の物價事情からするとマッチをいたしてない、こういう事情にあるので、事務的に申せば、この際郵便料金の値上げをしていただかなかればならない次第であるのでありますが、諸般の經濟情勢等もにらみ合わせまして、この際はそういう大きな意味の考慮から、この議會に郵便料金の値上げの問題を提出いたさなかつたのであります。いろいろ經營の面の節約、あるいは増收ということも一方において積極的にいたしてまいりますが、何と申しましても、今年度においても四十三億圓の赤字を生じておる通信特別會計のことでもありますので、時期の問題は問題でありましようけりども、遲くとも二十三年度の豫算には郵便料金の値上げをいたさなければならない、こういう事情にあることを御承知を願いたい思います。
○林(百)委員 三木逓相の御囘答のうちで、逓信事業から四十三億の赤字が出ている。これが逓信從業員の生活の問題や、あるいは郵便料金の問題に非常に影響してくるのでありますが、これはまた後刻あらためて逓信事業の獨立採算制の問題について御質問をしたいと思います。大體私たちの調査によりますと、戦爭中十二億五千萬圓ほどの金が常に逓信事業の方から一般會計の方に貢がれていると思うのです。こういうように十億圓くらいの利益なのに、十二億五千萬圓づつ毎年戦爭中注ぎこんでいたわけです。これを累計しますと、戦爭がたとえば六年なら六年續いたとすれば、百億近くの金が逓信事業の方から貢がれていると思う。ところが今逓信事業がなぜ赤字になつたかと言えば、戦爭によるいろいろな通信施設の破壊とか、そういうことが非常に大きい。これを修理しなければいけない。そういう面に多額の費用が使われる。そこでやむを得ず赤字になる。施設が完全に行われて、利益が上つているときには、その利益を全部大藏省の特別預金に入れておきながら、今度はその施設が戦爭によつて破壊されて赤字が出る場合には、なぜ赤字を出すのだ、獨立採算制だから、なるべく赤字を出さないように逓信事業内部でこれを扱つていけという政府のやり方、いわゆる獨立採算制については私どもは大きな矛盾を感じている。ですから逓信事業の赤字の問題、逓信事業の獨立採算制の問題については、この戦爭中毎年行われた十二億五千萬圓づつの大藏省の特別預金への繰入れ、この額を今日三木逓相としては相當主張されるかどうか。また主張されることによつて、將來郵便料金の値上げ、あるいは逓信從業員の待遇問題についての壓迫を取除くべきだというように考えられるが、この點について逓相のお考えをお聽きしたいと思います。
○三木國務大臣 通信特別會計に非常に同情のある林君のお言葉でありますが、この一般會計への繰り入れの問題については、會計上はこの問題の處理が一應できた形になつておるのであります。この問題は今囘二十五億の一般會計からの繰入れ等もあつた問題で、これは將來償還するという形になつておるのでありますから、この前の問題の處理等についてはこれは相當考慮をいたしたい。一般會計に通信會計から繰入れたこの問題については、今後考慮していきたい、こういう考えをもつております。
○森(直)委員 多田委員の質問の要旨は、豫算委員會で和田安本長官が値上げを二月ごろからやるというようなお花があつたので、實は質問したわけですが、今の大臣の御説明では、二十三年度の豫算からというようなお話でありますけれども、その點はどうか、承りたい。
○三木國務大臣 私もいろいろな場合を考えて、遅くともという言葉を使つたのでございまして、今のところは二月からという考えはもつておりませんのですが、いろいろな今後の特別會計の處理上、必ず二十三年度からでなければやらぬかということの御質問ならば、その點については多少彈力性をもたして考えておる次第でございまして、そういう意味から、遅くとも、こういう言葉で、場合によればそういうこともあり得る場合があるということを頭に置きつつお答えをいたしたのであります。 —————————————
○重井委員長代理 これより請願の審査にはいりますが、その議決は後日に讓ります。議事進行上随時日程と順序を變更いたしまして、まず日程第二、會津高田驛前に郵便局設置の請願を議題といたしまして、紹介議員原孝吉君よりその説明を聽取いたします。
○原孝吉君 福島縣の會津高田町に人口がますます増加いたしてまいりますのに、郵便局は停車場前から約一キロ半に及ぶ所にありまして、はなはだ不便を感ずる次第でありますがゆえに、高田町の驛前に郵便局を設置してもらいたいというのが請願の理由であります。そこにできますと、近村の者も非常に便利がよくなつて助かりますので、各位におかれましては御採擇あらんことをお願いする次第であります。
○重井委員長代理 次いで本請願に對する政府側の意見を聽取いたします。荒巻説明員。
○荒巻説明員 高田の驛前及びその一圓の發展状況に徴しまして、驛前に窓口機關を設置いたしますことはたいへん適切と考えられておるのでありますが、何分にも窓口機關の御要望の數が非常に多うございますので、他との振合いその他豫算の關係から考えまして、本年度の實行は困難と思われますが來年度以降におきまして施設方を考慮してまいりたい。かように考えております。
○重井委員長代理 本請願に對する質疑はございませんか……。 —————————————
○重井委員長代理 次に日程第一、西志布志村崎田に郵便局設置の請願、これを議題に供します。請願紹介議員的場金右衞門君の御説明を聽取いたします。
○的場金右衞門君 鹿児島縣西志布志村伊崎田に郵便局を設置していただきたいという請願でありますが、この西志布志村大字伊崎田というのは、西志布志村の役場から約一里半隔たる大字でありまして、集團しております人口が約四千一戸數八百戸、二郡にまたがる地域の中心の農村部落であります。この伊崎田には農業會の支所があり、十二学級の新制中学もあります。從來この地方の八百戸の中心になる所に郵便局の設置方を請願しておつたのでありますが、今日に至たるも未だその設置がなく、隣村の松山村に郵便局がありまして、そこまでの距離は約二里あります。志布志町の方にもありますが、そこべは二里半距離があります。岩川町へ行きますとそれは三里あります。この二里あるいは三里の間に郵便局がありますがいずれも汽車がありますので、鐵道を利用してこの郵便局との間の用事を村人は濟ませております。自村の西志布志村の役場の所までは、一里半ありまして、ここは徒歩以外にないのでありますから、自分の村の役場の近くの郵便局よりも、二里あるいは三里あつても、鐡道の便による他村の郵便局で用を足すというのがこの伊崎田の實情であります。かようなことから、ぜひ伊崎田の、この山ノ口という國民学校のあります所へ、郵便局を設置していただきたいというのが村人たちの多年のお願いでもあります。なるべく速やかにこれが設置を實現させていただきますようにお願いをする次第であります。
○重井委員長代理 ついては本請願に對する政府側の意見を聽取いたします。
○小笠原政府委員 西布志村伊崎田に郵便局設置の請願につきましては、この大字伊崎田字山ノ口すなわち小学校がございますが附近を設置豫定地として調査いたしてみたのでございます。ここの地形を考えます場合には、もよりの西志布志郵便局へは六キロも離れているような状況でございまして、また利用戸數も相當數に達しますので、ここに無集配局を設置いたしますことは適當であると考えますが、今年度は何分にも通信財政の状況から困難であると存じます。他との振合いを見ました上で、次年度以降におきまして、この設置方を考慮いたしたいと存じます。
○重井委員長代理 本請願に對する質疑はございませんか……。 —————————————
○重井委員長代理 次に日程第七、豊田村に無集配郵便局設置の請願を議題といたしまして紹介議員より説明をいたします。紹介議員は私であります。 これは岡山縣勝田郡豊田村大字豊澤に郵便局を設置してもらいたいという請願であります。ここは廣戸郵便局と行方郵便局との中間に位し、勝田郡北部の要地でございまして、なお交通上の要衝であり、農工商の中心で物資の集産地であります。かつ最近京阪神に出入する人が増加しつつある現状であります。ついては該地區に無集配郵便局を設置されたいと請願するものであります。本請願に對する政府側の意見を聽取いたします。
○小笠原政府委員 岡山縣勝田郡豊田村大字豊澤に無集配郵便局を設置いたします御請願につきまして、檢討いたしました結果、豊田村大字豊澤字四ツ道を設置豫定地といたしまして考えてみますると、既設の郵便局との間の距離から考えましても、またその新しい郵便局を御利用になるでありましよう戸數から考えましても、置局の標準に達しておりますので、他との振合いを見まして、次年度以降に無集配郵便局設置方を考慮いたしたいと存じます。
○重井委員長代理 本請願に對する質疑はございませんか。——なければ他の請願は紹介議員がお見えになつておりませんので、本日の散會まで一應留保いたすことにいたします。 —————————————
○重井委員長代理 次に十一月十日本委員會に陳情書一件が付託になつておりますので、その趣旨をごく簡單に御説明申し上げます。特定郵便局に關する陳情、陳者千葉縣野田町高木虎尾、數千戸を有する相當な町でも郵便局以外に郵便切手賣さばき所がない所があるが、地方民は非常に不便であるから、郵便局において執務時間以外でも宿直員に責らせるようにして利便をはかられたいとの陳情であります。 ただいまの陳情に對する政府側の意見を求めます。
○小笠原政府委員 郵便切手賣さばき所は郵便箱、すなわちポストのございます近傍には必ずこれを設置することを原則としておるのでございます。またポストは人口でありますとか、戸數でありますとか、そういうようなものを基礎といたしましたいわゆる通信力を考慮いたしまして、利用上便宜な所に設置することになつておりますから、一般的に數千戸を有する相當の市街、部落というような所に郵便切手の賣さばき所がないということはないはずなのでございまして、また野田郵便局の區域内には十五箇所の郵便切手類の賣さばき所が設けられておるのでございます。もつとも最近郵便切手類の賣さばき所は、その賣さばきにつきまして官から支給を受けますところの歩合が、ほかの品物を賣るに比べまして比較的低いということ、また戰時中郵便切手類が不足いたしましたために、實際上切手類の賣さばきをしなかつた惰性等もございまして、實際上切手類の賣さばきをしていないものもございますので、逓信省では一般的な賣さばき所をしてその本來の機能を果させるように、目下對策を考究中でございます。野田町の實情につきましては、ただいま申し上げましたように野田郵便局の區内には十五箇所の切手類賣さばき所があるわけなのでございます。それが實際どういうふうに活動しておるか、その邊の實情につきましては至急調査いたしまして、具體的の對策を講ずるようにいたしたいと考えます。 —————————————
○重井委員長代理 それではこれより郵便法案を議題としてその質疑を続行いたします。では第七章罰則に對する政府側の説明を聽取いたします。
○小笠原政府委員 第七十六條は、國營事業であるところのこの郵便事業の獨占を亂す罪を規定いたしたのでございます。これは現行法の四十一條に照應するものでございますが、現行法におきましては刑といたしまして「三年以下ノ懲役及千圓以下ノ罰金」ということになつております。新して法案におきましては一般の刑罰規定の例にならいまして「三年以下の懲役又は一萬圓以下の罰金」ということにいたしたのでございます。それから特に新しい法案におきましては、第三項にいわゆる法人に關する兩罰規定を設けることにいたしました。一般の經濟關係の法令でありますとか、あるいは最近の例で申しますれば勞働基準法でありますとか、そういうような法令の例とも同じわけでございますが、特に事業の獨占を亂すという重要な犯罪につきまして兩罰規定を設けたのでございます。 第七十七條は郵便物を開く等の罪でございます。これは現行法の五十二條と同様の趣旨でございます。 第七十八條は郵便用物件を損傷する等の罪でございます。これは現行法の五十四條に照應するものでございます。 第七十九條は郵便物の取扱いをしない等の罪でございます。これは現行法の五十三條に對應するものでございます。 第八十條は信書の祕密を侵す罪を規定いたしたのでございます。現行法におきましては郵便法四十四條におきまして、その第三項で「本條ノ罪ハ告訴ヲ待テ之ヲ論ズ」すなわちいわゆる親告罪の規定になつておるのでございますが、新しい法案におきましては、この親告罪ではないことにいたしたのでございます。すなわち一つは新しい憲法におきまして信書の祕密を特に強調いたしております點を考え、また二つには郵便事業の信用を保護いたします見地から、郵便事業の信用保護という公益を特に重んずることにいたしまして、親告をまたないで處罰できることにいたしたのでございます。また第三點といたしまして、この種の場合におきましては、被害者が往々にして知らない場合がありますから、親告罪にいたしますことはこの處罰の機會を失するおそれもございますので、これを削除いたしたのでございます。 第八十一條は郵便禁制品を差出す罪でございます。これは表現は變つておりますが、現行郵便法第四十六條と同様の趣旨でございます。 第八十二條は、第三種郵便物の認可をいつわる罪、すなわち第三種郵便物の認可のない定期刊行物に、第三種郵便物の認可があることを表わす文字を掲げるものでございますが、これは現行法におきましては、逓信省令の郵便規則第五十一條に「發行人ヲ百圓以下ノ罰金ニ處ス」ということに規定されております。新して法案におきましては、もちろんこの種の罰則は法律事項でございますので、法律にいたしますと同時に、その次の八十三條の料金を免れる罪に關する規定との實質的な權衡を考慮いたしまして、罰金額を三千圓以下に改めたのでございます。 第八十三條は料金を免れる罪、第八十四條は切手類を偽造する等の罪、第八十五條は未遂罪及び豫備罪に關することでございますが、これはいずれも現行郵便法の四十七條、四十八條及び第五十五條に照應するもので、大體その内容は同様でございます。なお現行郵便法の罰則におきましては、第四十二條に、郵便の運送營業者が郵便官署の要求がある場合におきまして、郵便物の運送を拒むというような場合における處罰規定がございます。この規定は新しい郵便法案におきましては、これをとりあえず削除したのでございます。その理由は、新しい郵便法案の第十條で營業者の運送の義務を規定いたしておるのでございますが、この第十條の規定は、法案の八十六條の規定によりまして、さしむき施行を延期されることを豫定いたしております。それは先日御説明申し上げましたように、第十條の内容となるべき郵便物の運送に關する法律を次の國會に提出いたす豫定でございます。第十條の規定は、その法律ができるまでは實際に運用することができませんので、從つてそれに對應するところの罰則も、今囘のこの郵便法案の中には、さしあたりこれを規定いたさなかつたのでございます。その意味におきまして、この現行郵便法第四十二條のこの罰則に該當するものは、新しい法案においてはこれを規定いたさなかつたのでございます。それから現行郵便法の第四十三條の罰則は、これはその内容になるベき事柄が新しい法案におきましては、すべて削除されましたので、自然この罰則は新法案においては要らないことになつた次第でございます。
○重井委員長代理 本章に對する質疑を許します。
○林(百)委員 七十九條ですが、この郵便の取扱いをしないということについて、これを見ますと「ことさらに郵便の取扱をせず、又はこれを遲延させたときは、これを一年以下の懲役又は二千圓以下の罰金に處する。」とあります。たとえば團體交渉などしまして爭議になつて、爭議の一手段として業務管理、あるいはストライキいとうような事態に組合がはいることがある。そういうような場合、組合法なり、あるいは憲法によつて保障されている團體交渉の行為としてなした場合に、この罰則との關係はどうなりますか、お尋ねしたい。
○小笠原政府委員 ただいま御質問の團體交渉その他の行為によりまして、その結果が郵便の取扱いとせず、またはこれを遲延させるという場合におきましては、その團體交渉その他の行為が、勞働組合法第一條第二項に規定されておりますように正當なものであります場合には、刑法第三十五條の規定の適用がありますので、從つて違法性が阻却され、刑罰規定の適用はないことになるわけでございます。要するに正當な爭議行為の場合には、勞働組合法第一條の第二項の規定によつて、罰則の適用はないということになるわけであります。
○林(百)委員 すると、その正當性の有無についての認定はだれがなすべきでありますか。勞働關係調整法によりますと、勞働委員會の認定ということが問題になつていますが、今度のたとえば山猫爭議だとか山犬爭議の正當性がないということは、一方の官側が認定して、これは正當性がないということを言つている。この正當性の有無の認定權はどこにあるかということです。
○小笠原政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。ただいまお述べになりましたような場合におきましては、一應勞働委員會において正當なりや否やを認定して告發するわけでございますが、終局的にそれが正當であるかどうかということを判定するのは、もとより裁判所によつてこれがなされるわけでございます。
○林(百)委員 そうすると、念のためにお尋ねしておくのですが、この前の山猫爭議や山犬爭議などは、官側が正當行為でないということを頭からきめてしまつて、賃金なんか差引いているのですが、將來はこうした方法をとらなくて、かりに爭議行為として認定した場合に、爭議行為の正當性の認定については、勞働委員會の裁定によつて伴斷するという方向へ官側が進んでもらいたいと思うのです。これについて官側のお考えはどうですか、お尋ねしたいと思います。今囘の具體的な場合は、官側が一方的に不届きだと認定して、實は給料までも差引いているのですが、將來はこういうことを改めて、やはり正當性の有無ということは、勞働委員會なり、場合によつては裁判所まで行つて、第三者の冷靜な伴斷に基いてやつてもらいたいと思うのです。
○小笠原政府委員 爭議行為が正當であるかどうかということの伴定につきましては、政府は勞働委員會の意向を聽いた上でやるべきではないかという御意見を承りましたが、この點につきましては、政府は政府として一應正當なりや否やを考えるということは、先般のいわゆる山猫争議の場合においても現にあつたわけであります。ただいまの御意見につきまして御意見とし拜聽いたします。
○梶川委員 第八十四條第二項の「前項の規定は、何人でも國外でその罪を犯した者に、これを適用する。」というのを新しく加えられた意味をお伺いしたい。
○小笠原政府委員 これは實ははなはだ恐縮ですが、郵便法案の條文の新舊對照が印刷の手落で漏れましたのでありまして、現行郵便法の五十五條の二というのに、「第四十八條ハ何人ヲ問ハス帝國外ニ於テ其ノ罪ヲ犯シタル者ニ之ヲ適用ス」という條文があるのでございます。實は今の八十四條の第二項の下の欄にこれに該當する條文があるわけですが、印刷で漏らした次第でございます。
○梶川委員 それでは第十三條の「郵便に關し條約に別段の定ある場合には」云々という規定、つまり國際條約による場合の適用との關係をお伺いいたします。
○小笠原政府委員 第十三條はいわゆる外國郵便に關する規定でございまして、「郵便に關し別段の定ある場合」というのは、原則として日本と各國との間に郵便に關じて締結される條約ということを意味しておるのであります。その條文と八十四條の第二項の問題とはまつたく關係がございません。
○梶川委員 そうすると、この場合には國外で犯した罪に對して國内法によつて罰則を適用するというわけになるのでありますか。
○小笠原政府委員 お話の通り、これは國外でこの罪を犯した者にこの國内法を適用するわけでございます。もとより外國に現にその犯人がいる場合において、外國でこれを逮捕することはできないわけでありますから、その犯人が日本へ歸つてきた場合において、現實にこの罰則を適用して刑に處するという考えをもつているわけでございます。
○梶川委員 その場合にはもちろん人事上の管轄が問題になつてくると思うのでありますが、これは當然に日本人であるという建前においてやられておる意味でありますか。
○小笠原政府委員 八十四條の第二項に、罪を犯した者は何人でもとございますので、外國人にも適用されるわけでございますけれども、もちろん今日の連合軍の占領下におきましては、連合國人に對しましては日本はその權限をもつておりませんので、連合國人は除外されるわけであります。
○梶川委員 この郵便法というものは、これは日本がその管理から離れた場合を豫想しての法律だと考えますので、その場合において、何人でもというのを、國籍のいかんを問わずというふうに解釋するならば、今までの國際條約の慣例の場合との關係が、ちよつと一致しなくなるのじやないかと思いますが、どうですか。
○小笠原政府委員 ただいまの御質問は、將來今日の占領治下という状態が解消した場合を前提にしての御質問のように了解いたしましたが、その場合は、もちろん國籍のいかんを問わず何人でも八十四條の對象になるわけであります。その場合に、外國人につきましては、犯罪人引渡に關する條約によりまして、相亙に犯罪人を逮捕するということに協力するという條約がございます。その條約によるわけでありますが、先ほど申し上げました郵便法の十三條の條約は、これはさような刑事問題に關する條約の趣旨ではないのでありまして、純粋に郵便事業に關する條約を意味するのであります。
○林(百)委員 七十九條の途中で八十四條へ行つたのですが、七十九條の場合、小笠原政府委員の答辯によりますと、勞働委員會の裁定によつて爭議為の正當性のいかんが決定されるというのだが、官側によつて一方的に認定し得る場合もあるというのですか。それとも爭議のは、常に勞働委員會の裁定によつて決定されるのだから、將來七十九條を適用して、ことさらに郵便の取扱いをせぬということの認定については—やはり勞働爭議の正當性の有無の認定については、常に將來は勞働委員會の裁定を考慮して七十九條を適用するというふうに解釋していいかどうか。さつきの御答えではつきりしなかつた。
○小笠原政府委員 先ほど私が申し上げました趣旨は、勞働關係の犯罪について勞働委員會が告發によつて處罰するかしないかということを裁判所が判定するわけですが、その際にその爭西行為が正當かどうか刑法のあるいはこの罰則の適用を受けるかどうかということは、裁判所が終局的に認定するというように考えるということを實は申し上げたのであります。
○林(百)委員 そうすると、七十九條についての告訴告發をするのは、これは勞働委員會がされるという意味ですか。これは官側がやるんだと私は解釋するのですか。
○小笠原政府委員 司法省の高橋事務官から御答辯申し上げたいと存じます。
○高橋説明員 勞働者の行為によつて爭議にはいつたかどうか、この第一段の認定は事業主にあるのではないかと思います。そうして、事業主が、これが爭議にはいつた、こういうような場合にはこれが勞働委員會に通告されることになりますので、從つてそこに各種の調停行為が行われる。またこれが初めから不當だと考えられるような場合には、その行為が犯罪を成立するかしないかということについて告發する權利は、もちろん事業主にあるものと思います。そうして勞働委員會においてそれらを審議し、先ほど申し上げましたように告發の手段をとつた場合、あるいは事業主の側において告發した場合、そうして檢察廳においてこれを取上げ、正式に起訴した場合においては、結局最終の判斷は裁判所がこれをなすものと思います。
○林(百)委員 そうすると、かりに官側が告訴告發をする場合に、これは勞働組合法第一條による違法性の阻却であるかないかという認定は、中央勞働委員會の裁定だとか、そういうものは斟酌することなくして、權限があるからどんどんやるということになるのです。そう解釋していいかどうか。官側に權限があるか。
○高橋説明員 これは實際、問題があります事項でありますから、愼重に考慮いたしまして、次會にお答えいたしたいと思います。
○林(百)委員 もう一つ、これは條文は別ですが、政府委員にお聽きしたいのは、郵便を受取らない場合の罰則があるのかないのか。これを見るとないようですが、理由なくして郵便を受取らないことに對する措置というものがあるのかないのかということであります。
○小笠原政府委員 今度の郵便法案におきましては、料金完納の郵便物を受取る義務、またその還付を受けた場合に差出人がそれを受取る義務は規定しないことにしました。
○林(百)委員 そうすると、實際の取扱いですが、たとえば今農村で土地の買収計畫がありまして、知事の買収令畫が郵便によつて送達されて、それを受取つたときには所有權が國家に移るわけです。そういうわけで、縣權が發行した買収令書を受取るか、受取らないかということは非常に大きな問題になるのです。地主で自分の土地を買収されることを好まない人は故意に郵便物を受取らないのですが、そういう場合には、法文としては、公害によつて同じ處置をするというようなこともありますけれども、何とか郵便を受取らせる方法があるかということを参考までにお聽きしておきたい。
○小笠原政府委員 今度の法案におきまして、結果において受取る義務があるのと同様の結果を來たしますのは、第六十六條の特別送達の規定でございます。つまり民事訴訟法第百六十九條、第百七十一條及び第百七十七條に掲げる方法により送達する場合、これは結果において受取る義務があるのと同様に、あて所にさしおいてくるということができることになつております。それからまたもちろん訴訟關係の書類については、民事訴訟法の規定によりまして、一般の送達により得ない場合は、書留郵便として差出すということが規定されておりまして、その場合には差出した瞬間に送達があつたものとみなすという特別規定がありますから、結局受取る義務があるのと同じ結果になるのでありまして、それ以外の場合におきましては、それぞれ所要の法律におきまして、受取る義務を規定する必要があれば、その法律に規定する建前をとつたわけであります。
○重井委員長代理 質疑はありませんか。—ありませんければ、續いて附則についての政府側の説明を聽取いたします。
○小笠原政府委員 附則の第八十六條は、第一項は特に御説明するまでもないのであります。この法律案が成立いたしますれば、明年の一月一日からこれを施行することを規定いたしたのでございます。ただこの法案の第十條の規定に關しましては、過日來御説明申し上げましたように、その内容となるベき郵便物の運送に關する法律案を次の國會に提出する豫定でございますので、さしむき第十條の規定は實質的にこれが活動できないわけでございますから、第十條の規定に限りその施行期日を延期することにいたしました。その期日は政令でこれを定める。但しその期日は昭和二十三年四月一日以前でなければならないという期限を法律で明示したのでございます。 第八十七條は現行郵便法を廃止する規定であります。 第八十八條及び八十九條は、一般の例によります經過規定でございます。 第九十條は、この法律案の第十條の、ただいま申しました運送業者の郵便物運送の義務に關する規定が、その施行を延期いたされますのと表裏いたしまして、現行郵便法の第三條の規定、すなわち「運送業者は郵便官署ノ要求アルトキハ其ノ運送方法ニ依リ郵便物ノ運送ヲ拒ムユトヲ得ス」という規定を、新しい法案の第十條の規定が施行されるまでは効力を延長する趣旨の規定でございます。 第九十一條は、現在認可を受けて郵便切手類を賣りさばいております賣さばき人を、この郵便法案の第三十三條に規定する法律の定むる賣さばき人とみなすという規定であります。この郵便法案第三十三條の規定いたします賣さばきに關する法律は、これまた次の國會に提出する豫定でございます。 第九十二條は、罰則についての經過規定でございますが、特にただいまの運送義務の規定に關しましては、現行郵便法第三條が効力を存續しております期間におきましては、その第三條に對應する現行郵便法の第四十二條の罰則はその努力を存續するという趣旨が、この第九十二條の括弧を書いた趣旨でございます。
○重井委員長代理 附則に對する質疑を許します。質疑はございませんか……。 それではこれをもつて本案に對する逐條的な質疑を終つたのでありますが、これより總括的な質疑に入ります。なお會期も迫り、本委員會開會の機會もごく少くなつたので、本日をもつて郵便法案に對する質疑を終了いたしたいと思いますが、いかがでございましようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○重井委員長代理 それでは總括的な質問をお願いいたします。
○天野委員 ちよつとお尋ねいたします。舊法の第七條に「郵便專用ノ物件ハ何等ノ賦課ヲ受クルクトナシ」とあります。新法にはこれが盛られておりませんが、これは新憲法から申しまして、平等というような意味からこれを削除されたかとは思いますけれども、今後において郵便の用に供する自轉車あるいは建物その他の物件、今までこの第七條の適用を受けたものに對する租税その他については、どこでこれを扱うことになるか、またもしこれを削除した理由がありましたら、これを承つておきたいと思います。
○小笠原政府委員 現行郵便法第七條の「郵便專用ノ物件ハ何等ノ賦課ヲ受クルコトナシ」という規定を削除いたしました趣旨は、この規定の適用がありますのは、大體國の所有に属しない物件についてだけでございます。從いまして、要するに私人所有の物件をもつぱら郵便の用に供している場合においても、現行法においては一切の賦課を免れるという結果になるわけでございまして、その結果といたしまして、結局法のもとにおいて平等である私人相互間において、もつぱら郵便の用に供している場合には特別の保護を受けるという結果になりますので、憲法の精神から考えまして、これを存置することは適當でないと考えて、これを削除いたしたのでございます。從いましてこれを削除いたします結果は、今日は課税されておらない個人所有の郵便專用物件に對して、新たに課税されるという結果になるわけでございます。例をあげますれば、特定郵便局の局舎とか、その他の物件といつたようなものがその例としてあげられると思います。あるいは郵便物を輸送しております郵便專用の赤自動車、ああいうものは、今度、この法の結果として課税されることになり得るわけであります。さような場合には、たとえば特定郵便局の局舎については、その局舎の報償として郵便局長に支給すベき金額の中に、税金の額に相當するものを見、また郵便物の運送にもつぱら從事している赤自動車に課税されるという場合は、もちろんその税金に相當するものが、その請負料の中に包含されるベき筋合ということになるわけであります。
○天野委員 今の御説明を聽くと、それでは税金はその所有権が納めるが、その税金相當額を逓信省から支出する、こういうふうに考えておれば差支えないのですか。
○小笠原政府委員 たとえば局舎について申しますれば、將來は特定郵便局舎はこれを借入れる豫定で進んでおりますが、そういう場合には一般の家賃に相當するものを支給する。もちろん一般の家賃の中には税金がはいつております。また郵便の輸送に當つております專用自動車については、一般の運送賃に相當するものを出すということにいたしますれば、これまた一般の運送業者がもちろん税金を負擔しているわけでございまして、自然包含されるということになります。
○天野委員 これは實は大臣にお伺いいたしたいと考えておつたのですが、大臣がおいでになりませんので、政府委員にお答え願えれば結構だと思います。もし何でしたら、大臣から伺いたい。郵便法は大體質疑を終りましたのでこれから施行されると思います。そこでまず第一條を見ますと、郵便物はなるベく安い料金で、あまねく、公平に社會公共のためにやるのだ、こういうことはまことに結構なことであります。しかして現在の状況におきまして、この安い料金という目的をもつて料金を安くいたして、そうして從事員を待遇いたす。こういうことになつてまいりますれば非常に結構でありますが、今日の事態におきまして、はたしてそれがなし得るかどうか。こういうことは相當疑わなければなりません。しかして先般も山猫爭議というようなものが行われましたために、一般の公衆は非常なる迷惑をこうむつております。わずかなあの事態ですから、あの被害をこうむつております。今後におきまして、從事員の待遇その他の點につきまして、現在の赤字をいかに克服するか。それからまた郵便の公共性が高度なることを考えて、これに對して逓信省は、かような事態が起らざるように何かお考えか、御處置かをもつておられるかどうか。これを伺いたいと思います。
○小笠原政府委員 ただいまの御質問に對しましては、大臣から答えするのが適當かと存じますが、日ごろ私どもが大臣から拜聽いたしておりますところの考え方によりまして、私から一應お答えいたしたいと思います。第一條の郵便料金をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供するという趣旨は、もちろん合理的な範圍において、なるべく安い料金で運營するという趣旨でございます。もとより郵便事業の經營をもつて、そこに特別の利益を得ることを目的にするわれではないのでありまして、反面郵便事業の經營をできるだけ合理化いたしまして、冗賞冗員をなくして、合理的な經營をやることはもとよりでありますが、しかしながら合理的な從業員の待遇は當然事業の經營費としてこれを盛りこまなければならない趣旨でございます。そういうようなら範圍において、なるべく安い料金で郵便のサービスを提供するという趣旨でございます。もとより逓信省といたしましては、何といいましてもできるだけの從業員の生活を安定させることが事業の經營の基本的な問題でございますので、それに對しましては、逓信大臣以下できるだけの努力をいたしておる次第でございます。
○天野委員 ただいまお答え願いましたが、郵便物の貴重なることは、ただいま申し上げました通りでありまして、一日もゆるがせにできないことであります。そこで第七十九條の、先ほどの林委員と政府との應答を聽きまするに、やはり勞働爭議が起きた場合にはいかんともいたしがたい。こういうような結果になりはしないかと考えております。爭議が起るということはどういうことかと申しますと、大體において、從業員の待遇問題が主たるものである。こう考えます。そこで今の逓信省の待遇は、あまり今日の物價に比較してよいとは申されぬと思います。いわゆる郵便事務は全國津々浦々まで普遍いたして、おりまして同じ從業員でありましても、東京の中央におられる從業員と田舎の僻村におる無集配局の從業員とについては、業務の上において相當なる相違がある。しかもなお中央の電信局、郵便局等を見ますると、非常に劇務に當つておる。またその技術等において、も短時日において習得でき得ない技術をもつておる。こういうようなことも見なければならぬ。この點等につきましては、當局はそれぞれ御承知だと存じますが、こういう面についても相當の考慮を當局はめぐらして、そうして運營をいたさなければならぬ、こう考えております。現在におきまして、田舎のひまな局とそれから事務繁多な中央の局との、その待遇方法の比較についてはどんな程度になつておりますか。一應承つておきたいと思う次第であります。
○小笠原政府委員 實はただいま御質問の待遇に關する具體的の資料をもち合わせておりませんので、お差支えがなければ、この次の機會に關係の政府委員から御答辯申し上げることにいたしたいと存じますが、もちろん從業員の待遇、處遇と申しましても、金錢的な待遇の面、それから仕事の勞務の負擔の方の問題と、わけて考えることができるのでございます。この勞務の負擔の方の點につきまして、もちろん東京中郵のような常時非常に繁忙の郵便局、それから田舎の比較的閑散な特定郵便局というようなところは、當然その仕事の質竝びに量が違いますので、定員の配置にあたりましてはこの仕事の量竝びに質の面から考えて、勤務時間につきましても、私どもといたしましては、その間にある程度の差があることは當然のことであると考えておるのでございますが、能率につきましては、その量竝びに質を考えを考慮いたしまして、それぞれ適當な段階によつて合理的な定員の配置を企圖いたしておる次第でございます。待遇の面につきましても、御承知のように給與のほかに特別な、先ほど御指摘のたとえば電信の仕事といつたような——これは最も顯著な例でございますけれども、そういつたような特殊の技能を要する仕事につきましては、また特別の手當を支給するというような方法を今日とつておる次第でございます。なお具體的の數字はただいま手もとにございません。この次の機會、または別の機會に關係の政府委員からお答え申し上げるようにしてはいかがかと思います。
○天野委員 そのお答えは後日お調べになつてからで結構であります。そこで私らが心配いたしますことは、今中央における過激な業務に携わつておる人は、八時間制ではつきりとその時間を勤めていかなければならぬ。田舎のひまな局におきましては、居殘り制とかいう、つまりほとんど局に寝ておつてもその人はよけいな金をもらつておる。こういうようなことがあるかのように聞き及んでおりますが、これは今政府委員の言われる通り、特別なる手當をされておるならば結構だと思います。もしかような特別な手當でもないということで、田舎のひまな局では居殘てよけいな給料をもらつて、中央のせわしい局の人たちは劇務なるがゆえにきつかり八時間で退廳しなければならぬ。從つて規定の給料だけしか貰わなかつた。こういうような矛盾がもしありとしますならば、これは相當考えなければならぬことでありとともに、私は當局に要望いたしたいことは、この物價の趨勢がこれで停止しているならばそれは何とも心配はないのでありますが、この物價の趨勢は決してこれで停止するとは言えません。郵便物は一日たりとも停止することはでき得ない。いわゆる社會の公共のために一刻たりとも休むことはできない。こういう重要なる任務をもつたことの逓信省の事業は、これは私は相當當局としてお考えを願つて、やがてこの物價の愛動はかなくあるであろう。また物價が高くなつた以上は、從業員の生活の費用はこんなふうになるであろう。しからばこれに對して對處することはどういうふうにしていかなければならぬ。こういうような二月、三月、あるいは半年先の豫想されたいと考えております。今の逓信省のみではありません。政府當局のこの俸給問題等に對する對逓は、まことにどろぼうを見てなわをなうというより、まだ遅れたものではないか。いわゆる賃金は安く、物價は高くなつて、俸給生活者が食べられなくなつて騒ぎ出して、そのときに交渉を始めて、それから上げようとか、上げまいとかいうことになつておる。從つてそれが争議のもになつてまいります。他の事業ならば半月、一月あるいは争議を続けてもいいでありましようが、この郵便物だけはたとえ一日たりともこれを休むことはできない、一般國民に對し、また文化的生活をいたし、文化に寄與せんとするこの國民の生活上にとつて、決して休むことはでき得ないのであります。かようなことで重要な逓信事業でありますので、どうか政府當局といたしましては、その點に思いをいたして、そして逓信に限つては、爭議等が必ず發生いたさないとの確信のもとに行政を行われんことを切望いたすとともに、その腹案がおありでしたならば、承つておりきますと幸だと存じます。この答辯は後日でも結構でございます。
○小笠原政府委員 先ほど私がお答え申し上げました點が、少し言葉が足らなかつたように思われますので、さらに補足いたしたいと思うのでございます。先ほど一例を電信の事業についてあげまして、そういう特別の技術を有する者に對しては、特別の手當を支給しておるということを申し上げましたが、それは必ずしも東京の中で行われておるところの電信事務員にのみ出しておるという趣意ではないのであります。そういつた特殊の事務に對しては、もちろん全國どこでも特別な手當を出しておるわけでございます。ただ從業員の負擔の點につきましては、先ほど申し上げましたように、仕事の量、並びに質から考えまして、できるだけ負擔の公平を期し、またその適正を期するようにいたしたい。かように考えておる次第でございます。それが具體的に現われてきますのは、一つは勤務時間、すなわち役所に出て来て帰るまでの時間の問題でございます。その點につきましては、非常に忙しい局は原則としてもとより八時間勤務を前提として考えております。しかし田舎の非常に閑散な郵便局の場合には、かりに八時間といたしますと、實働時間がきわめて短かいということになります。大局における八時間勤務の實體が六時間もしくは六時間半の實働になるという事實と權衡を考えまする場合、一例をあげれば田舎の閑散な局においては、九時間あるいは十時間の勤務をしてもらつても決してそれは必ずしも過當ではない。大體において權衡が保てるのではないか。かように考えているのでございますが、この問題につきましては、まだ全逓との間に意見の一致を見ておりません。今日中央労働委員會に全逓側から提訴されているところの問題に一つになつております。いずれ何らかのかつこうにおいてこれが圓満に解決されることを私どもは希望いたしている次第でございます。かような次第で負擔の均衡という點は、十分私の方といたしましてははかりたい。かように考えている次第でございます。なお逓信從業員の待遇の問題につきましては、まことにただいま貴重な御意見を拝聽いたしましたが、歸りまして大臣によく報告いたすことにいたしたいと存じます。なお腹案等についての御質問でございますが、これはただいま私は具體的の資料をもつておりませんので、後日にお答え申し上げることをお許し願いたいと思います。 —————————————
○重井委員長代理 この際ちよつとお諮りいたします。情願の紹介議員がお見えになつておりますので、この際本件に對する質疑を一應中止しておいて請願を續行いたしたいと存じますが、いかがでございますか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○重井委員長代理 それでは日程第五、宮本村大字横川に郵便局設置の請願を議題といたします。紹介議員山下春江君より説明を聽取いたします。
○山下春江君 福島縣の東白河郡宮本村大字横川に郵便局を設置することを許可されたいという請願でございます。この村は木材とか木炭とかいうものは郡下第一の生産地であり、そのほかのめんようとか、そのほか牧畜業の盛んな所であります。戸數は一千三百ばかりしかない所でございますけれども、村が非常に大きくございまして、そういつた事業を行つております村民といたしましては、この大きな村に郵便局がないということのために、非常に不便をいたしているのであります。長さがすみからすみまで五里ぐらいある村でございまして、一つの郵便物を出しますために、隣りの村まで辯當を背負つて歩いていくというような、少くとも村民が二日を費さなければならないような地域もあるのであります。先ごろ逓信局の業務部の實地調査の係の方へお願いいたしまして、御調査を願いましたところが、郵便局を設置する村に該當しているというお答えをいただいているのであります。そこでこの郵便局を設置するにあたりましては、村會の決議をもちまして、設置費は全部村において負擔するということを決議いたして請願いたしているのであります。そこでこういう村の農村文化の發達の意味から言いましても、農村の福利増進の意味から言いましても、ぜひとも郵便局を設置することに本委員會におかれまして御審議をいただきまして、なるべく早い期間に御設置をいただきたいと念願する次第であります。
○重井委員長代理 本請願に對する政府側の意見を聴取いたします。
○小笠原政府委員 ただいまお話の福島縣東白川郡宮本村大字横川に郵便局を設置いたします問題につきまして、研究いたしてみたのでございますが、宮本村はただいまお話のようにまことに地域が廣大でありまして、しかもまだ郵便局が設置されないというために、通信機關の利用上相當御不便であることは、重々お察し申し上げるのでございます。ただいまの御請願にあるところの字横川においてはどうかということでございますが、字横川は受持の郵便局である竹貫郵便局というのがすぐ近くにございまして、わずかに一・六キロしか離れておらないのみならず、この横川は御承知のように宮本村といたしましては、あまりにも西のはしに偏し過ぎておるようなきらいがございますので、横川に置くことが、はたして適當であるかどうか、非常に疑問があり、困難ではないかと思うのでございます。むしろ郵便局を置く位置としては、宮本村の中心地である大字大原、小學校の附近が適當ではないかと一應考えられる次第でございます。將來ここに設置することにつきまして、今後他との振合いを考えまして、考慮いたしたいと存ずる次第であります
○重井委員長代理 本請願に對する質疑はございませんか…。 —————————————
○重井委員長代理 ございませんければ、續いて日程第四、特定郵便局制度存續の請願、庄司一郎君の御説明を聽取いたします。
○庄司一郎君 本請願は本國會において、すでに前後二囘、まつたく内容において同一趣旨の請願を紹介議員として申し上げたのでございます。ただいま議題としていただきました第一一〇一號請願は愛媛縣喜多郡大瀬村村長城戸好君ほか七十三名、その大部分は町村會議員あるいは小學校長、初級中學校長、地方の重立つた公職、名譽職についておられる七十三名の連名の請願であります。私が申し上げた通り本請願の趣旨は、七十年という長い歴史あり、制度化しております地方町村の小さな特定郵便局、昔の三等郵便局と言われた特定郵便局には、多くの地方的な利益もあり、その運營の面においては伸縮性あり、彈力性あり、かような局長諸君が地方において一つの迫力をもつて局長の仕事をやつてこられた過去七十年の歴史に徴しても、この特定郵便局制度を將來とも存續してほしいという請願の結論でございます。反面において特定郵便局廢止の請願というものも過般一囘出ておりますが、それとはまつたく反對に、この制度を將來に存續を願いたいという請願の趣旨であります。もとより現在の特定郵便局の制度にも、時代の進運に伴うて改善の餘地あるものも多々あると思います。そういう點は請願者等において極力改善し、國の大きな文化のために、將來ともこの制度のわく内において時々刻刻、日進月歩の改善を施して、國家のために、國民のために御奉公したいという趣旨であります。前二囘紹介議員が申し上げた通りの内容でございます。かような關係上、本國會も餘日もいくばくもございません。またさらに議會の延長等も新聞報道等にございますが、延べにしておそらく何千人という存續關係の請願であります。本委員會におかれましては、適當な時期に速やかにこの趣旨のあるところを御付度くださいまして、また現に逓信政府委員は、現在の特定郵便局制度をにわかに撤廢する意思等はない。つまり存續の方針であるというような意味の御意思の廢表も過般あつたのであります。さような意味において、今囘は同一趣旨の請願の三囘目であります。よろしく本委員會において御採擇あらんことをお願いいたす次第であります。
○重井委員長代理 本請願に對する政府側の意見を聽取いたします。
○小笠原政府委員 ただいま御提案になりました特定郵便局制度存續の御請願につきましては、ただいまもお話にございましたように、先般來兩三囘にわたりまして同様のお趣旨の請願に對しまして政府の意見を申し述べましたので、重複を避けて簡單に申し上げたいと存じます。政府といたしまては、特定郵便局制度そのものは、御承知のようにその地方の事情に即した人材を廣く逓信部内外から起用するという、特別な自由任用製を中心といたしまして、できるだけ簡易かつ具體的な運營の方法をとることをその特色といたしておりまして、小規模な通信機關の運營に方法としては適當なものと考えておりますので、特定郵便局制度そのものの基本は、これを維持したいと考えておるのでございますが、ただいまもお話にございましたように、特定郵便局制度の今日の運用の實體そのものには、若干新しい時代に即應いない點もございますので、先般來逐次改善を加えておりますけれども、今後も必要な改善を加えまして、新時代に即應した小規模通信機關といたしまして、そのいいところを活かし、悪いところを排除して、國民の御期待に副うようにしてまいりたいと考える次第でございます。
○重井委員長代理 本請願に對する質疑はございませんか……。 —————————————
○重井委員長代理 ございませねば、續いて郵便法案に對する總體質問を續行いたします。
○片島委員 私は通信事業、特に郵便事業の獨立採算制についてちよつとお尋ねしてみたいと思います。一般の民間の企業でありましたならば、現在すでに千八百圓ベースを上まわつて給與をしている。これは企業の經營状態がよければ一向に差支えないし、また政府の方でも決して千八百圓ベースでくぎづけると言つておらない。能率が上つて經營の状態がよくなれば、すなわち採算がよくとれれば、上げてもよろしいということであります。民間の企業の經營状態がよろしいというのは、いろいろやりくりして損にならないような方法で經營をいたしておるのであります。ところが通信事業の場合には、郵便法第一條に明記してありますように、これは明らかに公益事業でありまして、採算がとれなくても、やはりやらなければならないことがいくらでも起きてくるわけであります。現に今度の追加豫算において、二十五億圓も一般會計から借入れをしながら、なお今年度の豫算の中に、當然採算のとれないような、たとえば小さい郵便局を新たに設置するといつたようなことなども、公益性の立場から今年度の豫算に盛られておるということがあるのであります。今日のように非常に人件費が高くなつておりますときにおきましては、この獨立採算制というものと、公益性というものとの限界をどこかに置かなければ、現在政府が唱えておるところの獨立採算制というものを官業に適用するということは、非常に困難なのではないかと私は考えておるのであります。もしこれが民間の企業でありましたならば、おそらく一日にいくらも收入のない山の中あたりに通信施設を新設していくというようなことはやらないのでありましようが、逓信事業の場合には、やはりその目的からいつてこれをやつておるというような状態であります。この點について、すなわち獨立採算制というものと、公益性というものとの調整について、どういうふうにお考えになつておるかということを第一にお尋ねしてたいと思います。 第二番目は、同じ逓信事業のに中におきましても、電話事業などのように、機械的な作業をやるところにおきましては、人件費が比較的少くて、機械が働いてくれるというようなことが多いのでありますが、郵便事業は、機械を使わないで徹頭徹尾人力によつてこれを處理していく。從つて同じ通信事業特別會計の中においても、電話と郵便などにおいては、おそらくこの採算という點について、大きな開きがあるのではないかと私は考えておるのであります。聞くところによりますと、同じ逓信部内の事業のおいても、各事業別に、すなわち電信、電話、保険、貯金というような事業別に經理を明らかにして、それぞれで獨立經理をやつていくというようなことを聞き及んでおるのでありますが、こうした場合には、各事業ごとに、政府が今言つております能率さえあがれば給與を上げてよろしい、すなわち黒字がうんと出れば待遇はよくしてよろしいのだというようなことは、同じ會計部内においても矛盾を來すことになるのではないかと思うのであります。この各事業間における調節をどういうふうにお考えになつておられるかということを第二番目にお伺いしたいと思うのであります。 それから獨立採算制をとります上において、これは當然獨立採算制でありますならば、すなわち讀んで字のごとく、特別會計において、收入によつて支出を賄つていくというのが建前でありますが、しかし現在までの状況を見ておりますと、特別會計についても、大藏省において一般會計との調節をはかるために、非常に大きな制約を受けておるように考えるのであります。特別會計で獨立採算制をやつていく上において、どの程度この特別會計は自主性をもつておるものであるか、あるいはどの程度の制約を受けておるものであるかという點を、第三點としてお伺いしていと考えます。
○小笠原政府委員 ただいま御質問の問題につきましては、私からお答え申し上げるのがはたして適當であるかどうか、多少疑問があるのでございますが、第一點は獨立採算制と公益性とどういうふうに調和するかという御趣旨のように伺いました。もとより郵便事業におきましては、事業の性質上ただいまお話の通り公益事業でございますから、たとえ個々の施設については採算のとれないような施設も、またこれをやらなければ事業本來の目的を達成し得ないのであります。あるいは通信力が非常に低くて、收入に比較して支出の多いようなものにも、通信機關の郵便局の設置をいたしまして、事業の使命を達成する上において、あまねく郵便の設備を提供するようにする必要があることと考えるのでございます。反面通信事業ないし郵便事業の財政の合理的運營という點から考えますれば、もちろんいわゆる獨立採算制というようなことが問題になつてくるわけでございますが、この獨立採算制と公益性というものは、必ずしも相反する性質と考えないでもいいのではないか、かように考えます。 第二點は、各郵便事業、通信事業、電話事業等との間の權衡調整の御質問の趣旨と承りましたが、郵便事業におきましては、今日非常に赤字なのでございます。電話事業のごときは、比較的これは黒字を期待し得る事業であります。また電信事業はこれまた採算上から申しますれば、今日は非常に苦しい方の事業であるわけでございます。もちろんその獨立採算性、すなわち事業の財政的な合理的運營という點から考えますれば、理想といたしましては、各事業ごとにはつきり獨立採算ができるようにすることが、その點からいえば理想であるとは思いますけれども、今後當分の間においては、事業別にはつきり獨立採算を完遂するということは、事實上困難であろうかと考えます。通信事業の間である程度相互に調整していくということは、實際問題としてやむを得ない必要に基くものであると考えるのでございます。 第三の點につきましては十分研究いたしました上でお答え申し上げたいと存じます。
○片島委員 一番最初の答辯がはつきりいたさなかつたのでありますが、公益性と獨立採算性というものが相反しないというのは、獨立採算のとれる範圍内において公益性を十分に發揮していこうという意味であろうと思います。そうしますと、今年度あるいは當分赤字財政が續とような状態ならば、赤字の出るような新規施設は當分認めない御方針であるか。また場合によつては、非常に採算のとれないようなものでも整理をしていくというようなことも考えているのであるか。この點を前の殘りとしてお尋ねしたいと思うのであります。 次にこの前にもちよつとお尋ねしたのでありますが、國民に犠牲を強いないことを非常に尊重して、今度の郵便法は立案せられているということでありますけれども、私は賠償の範圍がきわめて制限をせられているように思います。あるいは書留、あるいは保險扱、あるいは代金引換の代金をもらわないで交付した場合とかいうように非常に局限しております。たとえば速達でやつたのにかかわらず、普通の郵便物よりも遅れた。これも天災地變で遅れたのならばよい。たとえば勞働組合の正當な爭議によつて遅れたというようなこともありましよう。あるいは速達でなく、書留が一箇月あるいはその上もつと遅れるということもありましようが、ただなくなつたたときばかり損害を賠償して非常に長期間遅れたことについては賠償の規定が全然ないようであります。 〔重井委員長代理退席、委員長著席〕 どうして賠償の對象にせられなかつたのか。この點をお尋ねしておきます。
○小笠原政府委員 初めての御質問は、今日の状況において通信事業が非常に赤字のときに、獨立採算制を堅持するならば採算はとれないから、當分中止せよという御質問のように承りました。獨立採算制は一年々々の財政が收支償うということがもちろん理想的であると思いますが、實際京問題として郵便事業のごとき公益事業においては—たとえば二十二年度において收支が償う程度の施設しかしないということにいたしますと、はなはだしく公益性を阻害いたしますので、獨立採算ということを多少長い目で見て、五箇年あるいは七箇年というような長期の計畫において獨立採算がとれる、最後にはちやんとバランスがとれるようにしていくような範圍むを得ない施設については、たとえその施設そのものは採算はとれなくても、公益上ぜひ必要なものはこれを施行していく。もちろん今日の情勢においては、採算のとれない施設を大幅にやることは考えなければならないわけでありまして、事業の合理的な經營、すなわち事業をできるだけ冗費、冗員を節し合理的に經營いたしていきますと同時に、このような施設についても眞に一般の今日の情勢から見て、ぜひ必要である限度にこれを制限していくべきことは當然であると考えますが、必ずしも獨立採算をある一年度だけに限定して考えない。多少それを延ばして考える。そしてこの公益性の要請をその間に入れていくことによつて、調整していくことができるのではないかと考えます。 それから第二點の郵便の遅延による損害賠償の問題でございますが、これは何分にも非常に多數の郵便物を扱いますので、この取扱いの遅延によつて生ずる損害を賠償することになりますと、非常に複雜ます。殊に遅延による損害と賠償の限度ですが、いかなる損害を賠償するか、また賠償する場合にどの程度にするかという問題は、いろいろな場合が起きてくるであろうと思うのであります。從いまして、もしあらゆる因果關係のある範圍において損害を一切賠償する建前をとる場合には、事業運營の經費において相當厖大なる膨張は免れないものと考えるでありまして、かくては結局一般の郵便事業利用者の負擔の増嵩ということになつてくるわけであります。それではなるべく安い料金で利便を提供するという趣旨から見まして必ずしも適當でないという點もございます。また個々の郵便についてはたしてそれが遅れたのか遅れないのか—非常に長期間かかつた場合は明瞭ですが、そうでない場合は、認定の問題が非常に複雑になるわけでございます。これではいたずらに問題を煩雜ならしめるおそれもあり、本郵便法においては、そういつたようないろいろの損害は、第六章の損害賠償の規定の關係上包されておらない、なすわち損害を賠償しないという建前にいたしておるのでございます。
○片島委員 非常に小さいことでありますが、郵便局と通信官署においていろいろな事故があつた場合、あるいはこれを申告する場合、從來は無料郵便で出しておつたのが、今度の郵便法によつて有料になつたようであります。これはおそらく郵便局側に非偉があつた場合、事故の申告を國民の側からやるのでありますが、こういう場合においては、受付しないでそのままもどすのでありますか。あるいは一囘受付けて料金先拂いにすれば、郵便局自體が支拂わなければならないが、先拂いにしてきたときには、受取り拒絶をやつて差出人にもどして、その郵便料金を追徴するという方法をとるのであるか。この取扱方について態度がきまつておりますならば、ひとつお聽きしておきたいと思います。
○小笠原政府委員 ただいまの御質問は無料郵便が使えなくなつたにもかかわらず、かりに無料で出した場合にどうするかという御質問のように了解いたします。その場合は第五十二條の第二項の規定によりまして、差出人に還付することになるわけであります。
○森(直)委員 一言希望でありますが、政府委員の方に申し上げます。郵便事業が日常生活と不可分の關係にあることは申までもありませんが、過日の集團缺勤、安全通信あたりが、どれほど一般の人に迷惑をかけているかということは、十分御承知のことと思います。これに對しまして、政府の方では損害賠償、あるいは從業員の處罰等、いろいろ御處置もありましたけれども、なおこれからこうむる被害に關しまして、さらに一層の御配慮をお願いいたします。 それからもう一つは、今後のいろいろの運動というものが非常に複雜になつてきまして、國際性を帶びると思います。特に悪質なる運動形態をたどると思いますが、この郵便事業の日常生活と不可分の關係にあることをよく御考慮くださいまして、この點も特にひとつ御考慮をお願いいたします。 それから事業官廳としての從業員の待遇、この點はほかの官廳と比較して相當特殊性があるということ、また私は佐賀縣でありますけれども、佐賀は佐賀としての農産縣としての特殊性がありますので、待遇の點などもそういう點を考えていただいて、十分働き得るような給與改善策を御考慮していただきますように、この點も特にお願い申し上げておきます。以上であります。
○小笠原政府委員 ただいまお話のございました郵便事業のごとき、國民の日常生活にまことに不可缺な關係のある事業において、爭議その法の問題によつて取扱いが多少でも中斷されるようなことのないように十分努力するようにというお話につきましては、まことにごもつともなことでございまして、われわれといたしましても、一般の事故、犯罪はもちろんのこと、爭議等のことにつきましても、そういう事態が初めから起らないように、できるだけ善處することにいたしたいと考えておる次第でございます。給與改善の點につきましても、お話の點は歸りまして大臣に御報告いたしまして、善處いたしたいと存じます。
○岡田委員長 私から政府委員に若干お尋ねいたしたいのですが、小包郵便物の料金につきまして、この法律案では均一料金制をとつておられます。均一料金制は、利用する方の側、取扱いをする方の側、双方に簡易で利便であるという長所はありますが、鐵道小荷物が距離制をとつております結果、郵便小包に遠距離の經費を要するものが比較的多く集中されるおそれがあると思います。郵便料金増收策の一つとして、郵便小包料金についても距離制をとるという意思はないかどうかということであります。 それから第二の點は、郵便貯金法案第三十一條には、天災その法非常災害の際、罹災者の利便をはかつて、料金の免除その他の便宜の取扱いをすることができるという規定がありますが、郵便の場合でも同様の措置をとる意思はないかということであります。
○小笠原政府委員 郵便の小包料金につきましては、御指摘のように、近い所は、あるいは鐵道の小荷物等に吸收されて、むしろ遠い所のものが郵便の方に來るのではないかというお話でありますが、鐵道の小荷物料金の方で安いものにつきましては、それの實施地域においては、鐵道の方に吸收されるであろうと考えられますことはまことに御同感であります。小包料金を距離制にしてはどうかというお話もありました。現在の小包郵便料金は原則といたしまして、均一料金制をとつており、いかに山間僻地に住んでおいでになる方でも、いわゆる均一料金で、遠い所から來る小包を受取ることができることが、この郵便事業の一つの特色であると考えるのでございます。もちろんそういうような均一制をやめて、距離制にする、あるいはまたいわゆる帶域制—ゾーンシステムにするということも考えられるのであります。その點につきましては、今後そういう方法にもつていつた方がいいかどうかということは、研究いたしたいと思いますが、今回提案いたしました小包料金の中の、いわゆる市内小包制度というのは、いわば一つの距離制の料金のごときものでありまして、都の區相互間、あるいは同一市町村内相互間に發著する小包については、特に料金を一般小包料金の半額までは、これを逓信大臣において低減し得るという規定を設けたのであります。すなわちさような場合は、きわめて近距離間の小包の役務を提供することになりまして、非常に安い料金でこれを實施し得る案と考えるのであります。この點はある意味におきまして、ただいまお話の距離制の一つの現れであると考えることもできるかと存じます。いずれにいたしましても、一般的に距離制ないしは帶域制度をとるかという問題につきましては、少くとも現在の小包料金收入を悪るようなことがありましては、今日の通信會計の状況から見まして困るわけでありますので、そういう點になりますと、實際今日取扱われておる小包がはたしてどういう距離のものかということにつきまして、具體的な資料をまず把握することが前提になるわけであります。これらの點につきましても、帶域制をとることの可否、またその具體的の資料等については、今後十分研究してまいりたいと存じます。 それから第二點の、貯金法の第三十一條のいわゆる非常取扱いに關する制度、すなわち「天災その法非常の災害があつた場合において、その災害を受けた預金者の緊急な需要を滿たすため必要があるときは、省令の定めるところにより、郵便局を指定し、且つ、期間を定めて、郵便貯金に關し、」無料で取扱いまたは便宜の取扱いをすることができるという、いわゆる非常取扱いの制度を、郵便事業に考えていないかどうかという御質問でございますが、この點につきましては郵便法案におきましては、料金を無料にすることは無料郵便に關する二十條の規定のほかは考えておらないのでございます。郵便貯金の場合におきましては、その預金者は通帳その他によつてきわめて明瞭に立證できますが、郵便の場合におきましては、その點は非常に困難でもございます。新しい法案におきましては、この非常災害による無料扱いということは考えておりません。
○岡田委員長 ほかにありませんか。——それではこれをもつて郵便法案に對する逐條的及び總括的質疑を終了するということに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○岡田委員長 では郵便法案に對する質疑はこれをもつて終ります。次會は公報をもつて御通知申し上げます。 本日はこれで散會いたします。 午後四時二十二分散會