政党法及び選挙法に関する特別委員会 第7号
- 発言数
- 31 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1947/08/15
会議録
○淺沼委員長 それではこれより會議を開きます。 先日皆さんの御議論に從いまして衆議院の法制部において御議論の結果こういうところが問題になるであろうと思われるものを、政黨法立案に關する研究事項として皆さんのところに配付いたしました。さらに政黨法をかつて立案した内務事務當局より、政黨法に關する主要な論議の對象となる問題を、やはりプリントにして提出があつたのでありまして、皆さんのところに御配付申し上げたわけであります。先日はそれをよくごらんいただきまして、本日は御意見のある方は御意見を述べていただいて、さらに會議を進めていきたい、こういうような申合せになつておつたのでありまして、何か御意見をとりまとめておいでになりました方がありましたら、この際御發言を願いたいと思います。細川君。
○細川(隆)委員 私は第一、第二、第三、まずこの三つについて私の意見を述べて見たいと思うのであります。 第一の政黨と政治結社の區別をいかにするかということは、政黨法によつて認められた政治結社がすなわち政黨であります。法定政治結社がすなわち政黨となるわけであります。それから政黨法によつて認められないすなわち除外された政黨は政治結社として殘るわけであります。これは法律の用語でありまするので、實際問題として私は例を引きますが、一つの基準をおくために内務省の試案を例にとつてみますと、立憲養正會というものは、内務省の試案によれば、これは法定の政黨にはならないわけであります。從つて政治結社になるわけであります。ところがいわゆる憲法の政治結社の自由によりまして、選擧のときに立憲養正會が選擧活動をし、立憲養正會が候補を立てることは自由になるわけであります。但し立憲養正會がもしも政黨法に規定される標準にあてはまらないならば、政黨法の適用を受けないだけのことであります。もしもこの政黨法と關連して記號式の選擧方法がとられますならば、立憲養正會というものは今申し上げましたように、公認候補を立てて選擧活動をすることは自由であるが、その記號式の投票用紙の中に、立憲養正會という政黨の名前とその候補者の名前は出てこないということになるのであります。そこだけが政黨と政治結社の相違になるわけであります。 從つて、これをもう少し具體的に言いますと、政黨法によつて法定せられた政治結社は、政黨法による義務を負擔するわけであります。政黨黨費公開の義務、黨費資金の制限に關する義務、その他黨組織に關する義務という義務を負擔するだけでありまして、たとえば政黨法の適用を受けない立憲養正會は、そういう義務を一切受けないことになるわけであります。そこに政黨と政治結社の、政黨法という觀點からする相違があると思います。そういうふうに解釋しますと、私の見解をもつてすれば、第二の問題の憲法違反の問題は、いずこからも起きてこないということになるだろうと思います。 それから第三の政黨の範圍でありますが、これはここに書いてありますイ、ロ、ハ、ニを一括して政黨の範圍内の團體ということにするか、あるいは今日本國民の現在の政治知識の水準、あるいは訓練の程度におきましては、國會議員の選擧は、政黨活動に國民は習熟しておるが、新しく生まれました地方自治團體の選擧は、まだ公選においては、國民の習熟の程度が低いということは現實の事實であるから、まず私どもがこれを取上げる場合には、イ、ロの衆參兩院議員選擧に、この團體の活動の範圍を止めて、ハ、ニの地方團體の長の選擧においては、もう少し國民の政治的習熟をまつてこれを漸次含めていくということが、現状に適した方法ではないか。以上簡單でありますが、三點に對する私の意見であります。
○淺沼委員長 他に御意見ございませんか。
○綱島委員 ただいまの御意見でありますが、政黨法の適用を受ける政黨がいかなるものか、その内容によつて憲法違反もできれば、また内容がほんとうに憲法に副うものであれば憲法違反にならないのであつて、いやしくも政黨法というものの範圍にはいりさえすれば、いかなる場合でもそれは憲法違反にならぬものだということは私は言えないものであると思う。われわれのつくる政黨法は、それがいかなる觀點から見ても少しも憲法の條章に違反しない精神で、いわゆる言論、結社のほんとうの自由を充實する。その自由の内容がもつと社會的に廣汎に適するように整頓づけられるということについては贊成でありますけれども、それによつて制約され、また選擧場において不公平が起る。たとえば少數黨の側の印刷はしない。大政黨の側の印刷はするということは、結果の上に必ず不公平が起るのであります。そういうことはやはり私は結果の上において憲法違反の内容を形つくるものであると思う。つまりただ政黨法をつくつて、それに從う内容が何かということは、憲法違反になるかならないかを決定する重大問題だと思うのであります。いやしくも法というものはつくりさえすればよいというものではないと私は思います。從つて、われわれのこれに對するつくり方は、どこまでもその原則が憲法の、いわゆる言論結社の自由を保障する線に沿うた内容を有する政黨法をつくり上げなければならないと考えます。その點を至極明確にやつておいていただきたい。われわれが初め政黨をつくることに贊成であるということを申し上げたときも、そういう意味の政黨をつくることに贊成だと申し上げたのであります。その點もどうかお含みおき願いたいと思います。
○淺沼委員長 他に御意見ありませんか。——どうでしようか、憲法違反であるかないかということは一應議論がすんだのでありまして、内容によつては憲法違反であるかないかということが言われるということでありますから、それならばその問題の扱い方を、過日の議論では政黨の範圍をどうするとか、あるいは政黨の組織をどうするとか、政黨の合計についてどういう規定を設けるとか、選擧制度の方法についてどういうものを設けるかということが議論の中心であつたのでありますが、それを大體まとめ上げられたところが今手もとにあります政黨法立案に關する研究事項として、十二項のものが出ておるわけですが、これを縮めれば結局今申し上げましたような四項かに縮まつていくものだと思うのであります。それで今細川君は一、二、三の問題を取上げられて議論をされたのでありまして、さらにそれに對して綱島君は二の問題を取上げて、内容いかんによつては憲法違反になるのだという議論を行われたのでありますが、それならば一體政黨法をつくるとして政黨の範圍をどう規定するか、これに限つて議論を進めてみたらいかがでしようか。
○石原(登)委員 私はたびたび申し上げておるのでありますが、ここに言う意味の政黨法をつくる場合に、一番ポイントになるのは、選擧をする上においてハンデキヤツプをつくるのはどうかという點であります。綱島君の意見はハンデキヤツプをつくらない、細川君の意見によるとハンデキヤツプをつくる、こういうのでありますが、私はハンデキヤツプは絶對につけてはいけないと思うのであります。私はむしろわれわれが政黨法をつくることに對して一應贊成の意を表するということは、政黨の今日の地位に鑑みて、政黨がりつぱになるために、政黨自身の行動を規正する一つの規律を與える、こういう意味で贊成したのであつて、決して政黨がかくかくあらねばならないというような、國民の自由なる政治活動を抑壓するような結果をいささかも豫想して、政黨法をつくることに贊成したわけではないのであります。それでこれは私一人の考えでありますが、むろん私は政黨法というものは、その性格は代議士の政治活動を規定するものであると考えるのでありまして、從つて一の政黨と政治結社を區別することには贊成できません。しかしながらこういうことが考えられると思うのであります。たとえば十のところに「政黨費用の一部國庫負擔」こういうことがありまして、この中に「一定金額を選擧運動資金の補給として當該政黨に支給する制度を採用すること」とありますが、私はこれはむしろいわゆる國會に直接籍を有する、つまり國會議員に對して相當金額の政治活動の資金を支給する。しかしながら一人の力ではいかんともすることができないから、國會議員に限つては何人かのグループをつくり、その何人か以上のグループでなければこの活動資金は與えない、こういうようなものであるならばわかるのでありますが、はじめから選擧と結ばれて考えるということはこれから新しく出て來る考え方を完全に濾過するそういう意味で、私は第一の政黨と政治結社をわけて考える、このことには反對をいたしたいと存じます。 それから第二の憲法違反の問題については私は必ずしも憲法違反だと思いません、憲法の二十一條によりましてもこれは公共の福祉に反するその反するという事實があれば、もちろんいかなる規制でもできるのでありますが、私は今度の小政黨の集りが少しも公共の福祉に反しているとは思いません。これに對してもし福祉に反するという事實があるならばわれわれが納得するような説明を反對の意見をもつておられる方からお示しを願いたい。 第三の政黨の範圍については、細川君が先刻言われましたが、氣持では全部適用したいと思いますが、とりあえず衆參兩院に適用する、こういうことについては細川君と意見を同じうしております。以上三點について私の見解を申し上げておきます。
○淺沼委員長 ほかに御意見ありませんか。——この議事の進め方ですが、これは御意見なり批判のこともありますが、なるべく積極的にこうするということを述べていただくと、あとこちらの方で取りまとめのときにまとめやすいと思うのですが、何か案があつて案に對して批判していくのは割合に樂ですが、われわれの今この委員會に付託されていることは、全然形のないところから政黨法を生み出し、選擧法をいかにその中に織りこんで行くかということが問題になつておるわけでありますから、意見を開陳する際にそういう方向に向けて開陳願いたいと思います。 それで私は先ほどお諮りいたしました通りに政黨の範圍ということになれば、政治結社に一つの制限を加えて、政黨というものが生れるという結果になつてくると思いますが、そうだとすればそれがいいかわるいか、さらにもしそういうことをすれば、どういうような比率で政黨というものを認めていくか、こういうように話を進めていけば案外議論が進んでいくのではないかと思うが、そういう方向で御議論願えぬものでしようか。
○石原(登)委員 そういたしますと、政黨というものはそもそも間違つていやしないかと思う、政黨法でなしにいわゆる政治の活動法、直接國政を左右するこの國會の活動に歸一してくるのであります、從つて代議士と參議院議員の政治活動を一つの規則によつて國民が監視する、この精神でいけば私はいいと思う、これでなく逆に政黨からいくと何か國民から起つてこようとする意思のあり方というものが一定の數字に達しないと、それが國の意見としで取上げてくれない、そうではなく公黨として國民に約束したもの、あるいは選擧に望んだもの、そういう約束を守るか守らないかということを國民に監視させる、こういう意味での、政治活動法といいますか、そういう意味でのものでなくてはいかぬと思います。
○淺沼委員長 名稱の問題、つまり政黨法という名前をつけたがいいか、政治活動法という名前をつけたがいいかということは、大體本會議から委囑されたのは、政黨法という名前で、現在の政黨に對する一つの規律ある法案をつくれということを委任されておるわけでありますが、それは内容のきめ方で、政黨法という表現をした方がいいか、あるいは政治活動法という表現にした方がいいかということは、おのずから後の問題として議論の餘地があると思います。從つて政黨法といい、政治活動法といい、その内容をどういうように規定していくか、その内容を規定する反面において、政黨というか、政治活動を規定すべき對象となるものは自然政治結社ということになるのでしようから、政治結社ということになれば、その政治活動を規定すべき政治結社はいかなる範圍にこれを限るべきであるかということの議論になつてくると思います。
○石原(登)委員 そうなりますと、たとえば院外にあつていかなる思想のものが出てこようが、いかなる政治活動をしようが、これは絶對に自由である。ただしこれが憲法二十一條の公共の福祉に反するものであれば、それに對して一つの適切なる處置があるということについては異論はなく、またそれは當然のことであります。少くとも正しいと思われるような意見と活動が、いつどこでどのように行われようとも當然でありましよう。從つてそういうような活動をする人が選擧に臨むということも、これもいわゆる選擧權、被擧權の正しい行使の上に少しの弊害もあつてはならない、こうなると、そういうところから出た立候補者、大きな政黨から出た立候補者、それに區別をつけてはいけないのであります。ゆえに私どもこの國會に直接席をもつております代議士竝び參議院議員は、一應國民に自分達がやるということを約束しております。しかもその約束は今日まで、どちらかというとほごにした、その通り行われていない、これに對して國民は、ただ選擧の結果をもつてこれを批判するよりほかに方法がないのでありますが、これを選擧だけでなしに、この政黨のやつたことは、いわゆる政治活動法に違反したらこれは政黨とみなさないというくらいの規制があつていいと思います。そういう意味でのいわゆる政黨法であればいいのでありますが、新しい政治の活動とか、新しい思想の擡頭を何か抑壓しなくても、抑壓するような印象を與える、こういうことがあつてはいけないと思いますから、この問題は事前に院内の活動と院外の活動を別個に考えていくべき問題ではないかと私は考えます。
○淺沼委員長 ほかに御意見ございませんか。——委員長が私見を申し上げてはなはだ相すまぬような氣がするのですが、政黨と政治結社とはおのずから違つた點があろうと思うのでありまして、たとえば何々既成同盟會というようなものをつくつて活動をしている場合においては、政治結社であり得てもそれが政黨であり得ない場合があろうと思います。政黨である場合においては、その政黨の及ぼす影響は國民に對して何らかの作用がなければならぬと思いますし、國民に對して一つの作用をする、さらに議會を対象として院内の活動をする政黨、またもう一つは候補者の公認の活動をやる、こういうようなことが大體において現在もつている政黨の一つの性格でなかろうかと思います。しかし何々會という會があつて、その會は政治結社として屆出をやつているけれども、事實は民衆に對する作用はあつても議會に對しての行動はない、さらに選擧の活動はやらない、そういうようなものは政黨たり得ないと思うのであります。從つて政黨というものを一つのわくをこしらえて、それでこういうものに對して一つの規律を與えることがこの政黨法あるいは政治活動法の一つの根據であるということになれば、何もそのことが先ほどからいろいろ言われるような憲法の問題と云々というようなことは出てこないと思うんですがね。從つて、民衆にある作用をもち、議會を對象として院内活動をやる、さらに立候補者の推薦なり公認をする、こういうような政黨でも、ある程度の限界ができてくるという形になると思うんですね。從つてその限界をどこにおいたらいいかということが政黨の範圍になつて現われてきておるのじやないかと思うのですが、そういうぐあいに議論をしていけば、案外議論が進んでいくような氣がするのですが、そういうことで、私もまだまとめ上げてないのですから、ただ皆さんの御議論を聽いておりながら、こういうぐあいに議論を進めていけばそのまま議論が前進していくのじやないか、そういうふうに考えておるのですが、ほかに何か考えておる人はありませんか。
○織田委員 ただいまのお話で、政黨の範圍の問題がありますが、ここにも出ております例によりますと、現在の衆議院の選擧におけるパーセンテージとか、また選擧當時のその黨の得票數の比率とかまた議員の所屬數というようなものを範圍の一つの標準にとろうとしておるようでありますが、私現在の日本の情勢を考えてみたときに、まだ政黨が生れてから日が淺いし、國民に對してそう信用はない。また政黨自身でも、前にも述べたのでありますが、離合集散が行われておるし、新しく脱皮を行おうとしておるとき、その過程にある今日において、そういう現在の衆議院議員の選擧を一つの標準にとるというのは誤りであると思います。その結果、私としての建設的な意見は、衆議院及び參議院に代表を送らうとする意思のある團體は、國會なら國會の方へ屆け出ることによつて政黨として認める。そういうような屆出制によるのがいいのじやないかと思つております。
○細川(隆)委員 私先ほど述べましたように、政黨法によつて認められない政治結社でも、みずから政黨と稱して選擧擧活動をし、公認候補を立てることは自由なんです。ですから、その根本の、結社の自由、政黨活動の自由においては何等の相違はないわけであります。ただ私が、地方自治團體はしばらくおいて、そうして衆參兩議院の國會議員選擧にだけこの政黨法を當分の間適用した方がいいじやないかという所以のもう一つの理由は、やはり國會議員を選ぶということは、地域代表ではないのであつて、その地域を基礎として國民代表が出てくるわけであります。ですから大政黨と小政黨と形の上では何ら政黨法ができたからといつて區別はないのですけれども、しかし、それだけ大きな組織をもち、國民に廣く根を下しておる政黨と、そうでない政治結社の間には、投票の方法において多少の差がつくことはこれはやむを得ないことじやないか。そうして一日も早くその政党法に認められざる政治結社あるいはみずから稱して政黨と言うことも差支えないわけでありますから、その小さい政黨も、一日も早く廣く國民に根をおくような發展を遂げて、政黨法の適用を受ける政黨として成長することが望ましいのでありまして、從つてその現状において、やはり選擧の方法において多少のハンデキヤツプがつくことは、これは平等の精神に反しないと思います。必ずしも惡平等がいいということばかりには限らぬのでありますから、先ほど言いましたように、選擧活動はいかなる政治結社も自由であります。ただその選擧法において、記號式を用るとすれば、そこにより大きく國民的な政黨政策によつて結集されておる大政黨が——そのパーセンテージの問題は、これはお互いが議論をして、どのくらいのパーセンテージを置くことが一番現状の日本に適するであろうかということをお互いに協議し合つて、そのパーセンテージによつて投票の方法に對する多少のハンデキヤツプがつけられて、そうして國民にその一つの標準を示して、選擧活動を國民の方に目標を與えてやるというような、助長的な方法は私は何らこれは小政黨抑壓にはならないということを申すわけであります。
○石原(登)委員 私はいまの御意見とちよつと異にするのですが、今日の日本の政治は、たしかに大政黨でやつておるのはわれわれも認めております。われわれ小會派の意見が十二分に達せられないこともわかります。しかしながら國民の大多數は、必ずしもすべてが今の大政黨で滿足しておるかというと、滿足していない。滿足していないから、從つてそこに一つの勉強があり研究がある。この勉強と研究が次に生れてくる政黨を生み出してくる一つの根本の要素であります。今のお話によりますと、そういうものがどんどん出てきていわゆる政黨の體をなすのだからというお話ですが、そこが非常に問題である選擧には非常に今後の日本の思想の上に、あるいは政治の上において、たいへんな影響を來すものであります。われわれが特に主張しますのは、この政黨法に、規制の問題も、範圍の問題もそうでありますが、この範圍をつくることにおいて、今のような選擧法にハンデキヤツプをつける、これが一番われわれが心配する點であります。今でさえも困難であるにの、さらにその上に、一つの抑えつけがあると、なお困る。事實今度の選擧では、たれが言い出したかしらぬが、政黨に入れよ、人に入れるな、こういうことを言う。そうしても結局われわれ非常に苦しい戰いをやつて、出てきた者もきわめてわずかであります。われわれはこういう點から考えてみましても、そういうふうな選擧に對して一方的に有利な機會を與えるようなやり方は、今の政黨がまつたくりつぱなもので、しかも日本再建はこの政黨でなければ行われないと國民の全部が信じておるならば別ですけれども、そうでないのでありますから、しかもその時代々々の風潮によつて、政治に對する國民の考え方は變つてくる。現に大東亞戰爭中の國民の投票のやり方と今日の投票のやり方とは相當變つてきておる。それをさらにここ一年の間に、もし重大なる變化があつたとすれば、國民の考えはよほどまた變る。その變つた國民は、一つの制限されたわく内において選擧しなければならぬという不合理が出てくるわけであります。少くとも選擧については、絶對に、いつでも、いかなる場合でも、自由に自分の意思を表明されるような建前におくことが必要であるから、こういうことを私は希望したいと思います。
○淺沼委員長 他に御意見ございませんか。
○大原委員 ちよつと石原君にお尋ねするのですが、第一議員倶樂部は政黨と考えられておるのですか、おらないのですか。私の考えでは、これは政黨法という問題に對しても多少の意見をもつております。またこの政黨法をまとめ上ぐるということについては、先般來もいろいろ御意見があつたように、各黨においてこの政黨法をつくろうと思えばそれぞれでき上ると考えております。しかしながらこの政黨法なるものに反對する事柄の中には、政黨と現在認めるべきものと政黨と認めないものとの間に何らかの差異があるかないか、こういう問題であります。この點について、石原君の第一議員倶樂部は政黨であるかどうかということについて參考にお聽きしたいと思います。
○石原(登)委員 もちろん第一議員倶樂部は政黨でありません。第一議員倶樂部の中のたれでもそうでありますが、今日の政黨にあきたらない、いわゆる大多數の國民の支持を得てきた者がそれぞれの立場において多くの國民の意思を表示するために一生懸命努力をいたしております。
○大原委員 政黨でないと認められるならば、その間に政黨と差異のあるところをもちろん承知しておられると思うのでありますが、何故政黨でないと考えておられるのですか。これを參考のために伺います。
○石原(登)委員 われわれの一人々々はそれぞれ政黨をもつております。しかしながら第一議員倶樂部の今集まつております十數名というものは院内における政治活動を容易ならしめる便宜上の集まりでありまして、第一議員倶樂部の十數名に屬する者はそれぞれ同じ方向へ、また別個の異つたイデオロギーをもつておりますから、これは單なる院内における政治活動の團體であります。政黨でありません。ただし、一人々々はそれぞれ政黨をもつております。
○淺沼委員長 ほかに御意見ございませんか。
○石原(登)委員 細川さんにちよつと伺いますが、政黨法をつくつてどうしても選擧のハンデキヤツプを與えなくちやならぬという、たとえば記名連記、その理由はどういうことになりますか。
○淺沼委員長 ちよつと細川君の發言の前にお諮りしたいものですが、選擧の問題にはずつと順番がまわつてきたときに觸れて、なるべく選擧の問題に觸れずに政黨法が必要であるという結論に達するかもしれません、あるいは政黨法を制定すれば選擧法に觸れなければならぬという結論になるかもしれません。今の議論というものは大體においてその範圍ということに限つて、選擧の方法については觸れずに議論することにしたらどうでしようか。それでちよつと細川君が發言されたからそういうことになるわけですが、大體そういうふうに議論を進めていつたらどうでしようか。
○細川委員 私が先ほど政黨法ができて、政黨法の適用を受ける者も受けない者も候補者を立てて選擧活動をすることは、政黨法ができる、できぬに拘らず、一切自由であるということを申しました。しかし政黨法をつくるということわ選擧法の場合に、そういうことが記號式な投票方法が必要ではないかということを申し上げたわけで、これは選擧法のときに當然關連して起る問題でありますからそれを申し上げましたが、私の政黨に對する考え方というものは第一囘のときに申上げましたように、主義政策綱領を中心として集まるベきものである。從つて最近叫ばれておりますところの一人の政黨ということは、私は國民に對する正しい呼びかけの主張であると思つております。しかし、そういうものが今後の日本の再建にはたして千數百の政綱が、そんな違つたものがあるだろうか。千數百の日本再建の政綱があつて、そうして政黨ができたのか、あるいは政黨が先にできてしまつて、そうしてほかの派との違いをつける意味において、政綱政策ができたものかという順序は相當疑問だと思う。ですから政黨法というものによつて、政黨の政綱政策を中心とするところの活動運營を助長することが必要であろうというのが、私の根本の考え方であります。選擧法の問題は申し上げませんが、選擧法の審議される場合にはそういうことも考えられるのが當然の歸結ではないかということを申し上げているのであります。
○石原(登)委員 そういたしますると、實際問題といたしまして、昨年の選擧のときに千數百の政黨があつたのでありますが、事實こうして出たのはわずかの人間である。細川君は政黨法をつくつてそういうものは政黨と認めないようにするというのであるが、りつぱに出てくる者は出てくるのである。こういう事實に考えてみましても、私は政黨法というわくで規制する必要がないと思います。實際問題としては私はいわゆる今日の群小政黨の害惡、こういうものがほんとうにあるのかどうか、むしろこれをあると推斷してこういう政黨法をつくることにおいて、かえつて言論の自由を壓迫する、こういうような結果になりはしないかということをおそれるものであります。
○松原(一)委員 私は最初の日に政黨法に對する積極意見を申し上げてあるのですから、重ねて申し上げたくないのでありますが、石原君の御議論を聽いておりますると、どうもわれわれの腑に落ちないのであります。今日の政治の常識からいけば、議會政治をとる以上、大政黨によつて政治が運用せらるるということはこれは世界的の事實であります。また平和國家日本の歴史的運命を解決する上から言いましても、そんなにたくさんな政治理論及び主義主張の差があるはずはないと思う。一部には職能代表たるの政黨もないではありません。それも支持もせられるのでありましよう、しかしながら細川君がさつきも言つておられます通りに、大體衆議院は國民を代表して構成せらるべきものであり、參議院の一部に職能代表的のものがおのずから集まる構成はありまするけれども、世界的な議會制度の運用から見ましても、大きな政治の主張の差によつて、あるいは縦斷的のものかあるいは横斷的のものに落つくのであつて、左右、急進、保守の兩黨か、それに極左極右がつくかつかないか、あるいは中央黨的の存在が認められるが認められないかのところに落ちつくのであつて、昨年の選擧に比べて今年の選擧のバツクをなす政黨がぐつと減り無所屬もしくはそれに類する小政黨選出の方々が、現に今日のごとく小さくなつておる事實がこれを證明しておると思う。私も昨年は無所屬を標榜して出たものでありまするが、議會政治を是認する以上は、同士相集つて院内政黨をつくるべきものであると思いまして、私どもは院内政黨をつくつたのであります。石原君も私はその論には御異議はなかろうと思う。院内政黨でよろしい、院内政黨から出發しても、やがてそれから一つの塊が國民に認められて實績をあげれば、やがて一つの縦斷的なものあるいは横斷的なものに根據を据えることができると思うのであります。今囘の政治を動かす政黨は公黨であります。天下の公黨であつて、あらゆる研究と議論の上に根據を固めて、過たざる政治を行うべき政府の責任をとらなければならぬ。政治の責任が、今日はすべて政黨に歸しております。政治を重大に見れば見るほど政黨には理想がある。殊に國内に群小政黨があつて、議會政治に常に紛淆を生じ、政治の安定を得ないというようなことは、私はきわめて憂うべき現象だと思うのであります。かような意味から申しまして、政治常識論から申しましても、政黨の數はそんなにたくさんわかれるものじやない。大同について、不滿な者は内部にあつてこれを革正すればいいのであります。そういう意味におきまして、私は大體における合法政黨のわくをきめるということに贊成なのであります。しなければいけない。たといそれは困難であろうとも、理想的なわくをきめて、内部的な律を政黨みずから守つて、黨費においても、あるいはその負擔においても、あるいは主義政策の變更においても、あるいは一旦その黨を標傍して當選した以上は斷じてその次の選擧に臨むまでは離黨を許さぬ。それだけの操守、節度が黨員にはなくちやならぬ。朝に甲黨から出て、夕に乙黨にはしるがごとき政治的無節操漢を締め出さなければいかぬ。もしどうしてもおるべからざる理由があれば、脱黨と同時に私は議席を去るべしと常に思うのであります。こういう意味におきまして、政黨法は單なる一片の法律ではなく、政黨の道徳的自律までをも含めるという意味において、きわめて大まかなものであろうとも、一つの法をつくるべきだと私は信じているのであります。同時にこれが選擧に關連することは當然であります。ドイツのあの完全に拘束したるカード式の政黨選擧は、あらゆるものを屆出て、少しも小政黨を拒否しなかつたのであります。カードに記載する上においても拒否しなかつたのでありますが、その選擧の結果は非常な群小政黨割據の弊を生じ、それがやがてドイツの政局の不安定を招き、同時にナチス一黨專制の端を開いたという事實をも現にわれわれは目前に見ておるのであります。私は現下の日本の政局の安定を希望する上からも、それを擔當する政黨の淨化、向上の上からも、この際しかるべき政黨法のでき上ることを希望するものであります。
○淺沼委員長 いろいろ御議論があるようですが、政黨は今生れたばかりだからまだこれに制限を加えることはどうか。さらに政黨については國民の信頼がない、まだ脱皮が行われてない。從つて政黨法を設けることはいかがであろうかと思われるというような御議論もございました。さらに範圍の點については、參議院及び衆議院に代表者を送る團體として、その範圍を決定したらどうかという意見も出てまいりました。しかしいろいろ考えてみれば、こういうことになるのではないでしようか。個々の國民が團體を結成して、共同の力において國家民族の福利増進のために、綱領政策を掲げて戰うものが政黨であるということは間違いないと思うのであります。しかしその綱領政策を定めて戰う場合において、細川君も御議論があつたようでありますが、たとえば現在のような日本の經濟危機を前にして、それを乘切るにはいかなる政策が妥當であるかということについては、現在ある政黨は千六百と言われておるのでありますが、そういうような方策というものがあるわけではないので、方策というものは大體において四つか五つ、あるいは多くても十くらいのところには集約できるものではなかろうか、こう考えるのであります。 さらにもう一つは、多くの團體が分散してそれぞれの主張のもとに爭つておることは、日本の國における國民の政治的エネルギーを分散させる形になるから、自然それを集中させていかなければならぬという結果になるから、そこで政黨の範圍にある程度の制限を加えていくことは必要だ。こういうようなことに私は理論づけられていくのではなかろうかと思うのであります。 それで大體の御意見を伺つておると——内容についてはまだ御議論があるようであります。すなわち、投票數の總數の何パーセントとか、あるいはこの前の選擧の場合の有權者の何割以上の署名をとつたものとか、そういうようなことがいいか惡いかについてはいろいろの議論があり、さらには、參議院及び衆議院に代表者を送る團體というような工合に、非常に廣範圍に對象を求めたらどうかという議論もあります。しかしいずれにしても、範圍に制限を加えたらいいということには間違いないように私は思います。從つて議論を進める意味合において、政黨に一つの範圍を定めることはいい、こういうようなぐあいにきめて——もし決定することが惡ければ、かりにそういうような決定をして、次に、政黨の組織については一體どういうようなものがいいか、こういうぐあいにはいつていつたら議論が進むのではないかと思うのであります。政黨は生れたばかりで國民に信頼がない、脱皮が行われていない、こう言われますけれども、過去にあつた政黨のもつております惡いものに對しては、一つの制肘が——新しいものを助長發展させる意味において何かの規定が設けられてもいいわけであります。たとえば過去における、日本の憲政が布かれて以來發展してまいりました政黨が、いろいろの問題において批判さるべき點があれば、その批判の上に新たなる規定を設けて、非難のないように、國民の信頼を増すような方向に行く。たとえば、組織において民主的な組織をとるとか、あるいは會計の點について公明なる會計制度を確立して、公開制度をとるとか、こういうようなことは、現在ある政黨よりも、かつてあつた政黨の一つの批判の上に、これからあるべき政黨のあり方についての一つの方向を示していくものだと思いますから、そういうような議論から言つても、政黨法の内容にはいつていつて議論が全然できないわけではなかろうと私は思うのであります。從つて範圍の點についてはどうでしようか。そういうぐあいにして議論を進めていけば、案外前に進むような氣がするのです。内容についてはまだ議論が一致しないけれども、ある程度の範圍を設けるということについては大體意見の一致を見ておるというこの姿で、あとは、この次には、政黨の組織の問題について、それならばどういう政黨のあり方がいいかということについて議論をしてみる。その問題については一應この程度の議論にしておいて、先に進んでみたらどうでしようか。
○石原(登)委員 そこで、私はそんな範圍を設けようという人と議論をしてみたいのです。ただいま御意見を聽いておりますと、大體政黨に範圍を設けるということは、今日の千數百の小政黨が大政黨のエネルギーを消費させておる、あるいは害惡になつておるというような議論があるようですが、それは實際にどういうふうな害惡になつておると思つておるのですか。
○淺沼委員長 わかりました。それはたまたま私の發言が議論の種をまいたようですが、私が申し上げておるのは、政黨は個人を中心とした政黨でもなければ、また一階級を中心として階級のものでもない。すべて政黨の目標というものは國家、民族の福利増進を目標としたものであろうと思うのであります。しかし現われてくる形態としては、無産黨あるいは勞働黨というような形において、階級的な形態をもつて現われてくることは、これは見逃すことのできない事實であります。また社會黨あるいは民主黨といつたようなぐあいに、表現の點についてはそうでなく見られても、その内容にわたればやはり民主黨、自由黨という中には否定できない階級性というものがあろうと思います。また社會黨もそうだと思うのです。しかしそれらの階級的なものを超克して、國家民族の福利増進のために鬪うものであるということには私は間違いないと思います。從つてその政黨の發展のために、政治的エネルギーが消耗されるのではなくして、日本の國家民族の福利増進のために分散しておるという姿が、その政治的なエネルギーを分散させる形になるから、從つて黨派のために考えるのでなくして、日本の國の共同の目標に向つて進む場合において、政治的なエネルギーの分散をやる結果になりはしないかということを申し上げたのですから、その點御了承願いたいと思います。
○石原(登)委員 ただいまの委員長の言葉で了承しました。しかしながら政黨法によつて政黨を規正して新しい政黨の芽生えを抑える弊害と、それからこれをこのまま放つておくことにおいて國家がエネルギーを消耗することとどちらが大きいか。こういうことを私は一應考えていただきたいのであります。私は今日の現状から考えてみましても、これをもし指摘されるならば、どういう點で事實國家エネルギーを損耗しておるかということが私はちつともわらないのであります。そういうことだとむしろ政黨をつくつて、こういうものでなければ政黨でない——論議するなと言われたけれども——政黨でないものが、ただ投票によつて、いわゆる選擧において優位が確保されるということになりますと、實際問題としてすべての候補者がほとんど政黨にいこうとしません。そうしますと今日現存するところの政黨の温存策だと言つても私は過言でないと思うのであります。現に前囘の選擧と今囘の選擧において無所屬の當選者が少なかつたということは、これは一面から言えばむしろ政黨は何物だという理解ができたことにもなりましようが、その本質は選擧において優位が確保できなかつた。これが相當の原因になつております。現に候補者の數においてすでに統制されておる、候補者においても今囘の選擧と前の選擧とは違つているのであります。ゆえに私はこのわくをはめる場合については、あつた場合の弊害と、つくらない場合の弊害を十二分に論議檢討していただいて、それでもしもわれわれが納得できるならば、私ども決してそれを阻まうとするわけじやございませんが、私どもは遺憾ながらこの政黨法をつくらなくちやならないという弊害を今のところいささかも認めていないわけであります。
○淺沼委員長 それではお諮りいたしますが、この範圍の問題については相當議論も進められてきて、ある歸著點に達するところまで到達してきていると思うのですが、しかし今石原君の御議論もありまして、もう一遍この問題について議論をしようということでございますから、いかがでしよう、それもこの次に議論をすることにして、この次には政黨の組織の點について議論してみたらいかがでしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○淺沼委員長 それではそういうことにして、今日は今本會議が開會中でもありますし、これで散會したいと思います。 次會の開會は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散會いたします。 午後三時五分散會