治安及び地方制度委員会 第7号
- 発言数
- 46 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1947/08/04
会議録
○坂東委員 これより治安及び地方制度の常任委員會を開會いたします。本日の日程は、警察制度に關しまして、政府當局の意見を聽き、またこれに対して各員より各種の御意見を伺い、そうして審議を進めたいと思います。ご存じの通り現在日本は警察制度の根本を改革しますので、マつカーサー司令部の方面の意見も聽き、また政府當局の意見も聽き、また我々の意見も出しまして、完全なる警察制度を建てたいと思うのであります。先に内務省の警保局の企畫課長の加藤君から説明を聽取することにいたします。加藤君。
○加藤説明員 ただいま内務省の方で考えております、警察制度の改革の方針及び要領に尽きまして、一言説明させていただきたいと思います。御承知の通り今回の終戦によりまして、わが国は軍隊を持つことを禁止せられまして、国内の治安はひとえに警察の責任に歸せられたわけであります。從いまして治安維持の警察の機能を非常に強化したいということを考えます一面、また国内民主化の要請に從いまして、その警察の運營及び制度については、極力民主主義的な、アイデイアを取入れなければならないということを考えているのでございます。そこでわれわれが考えておりますのは、この機能の強化ということと民主化というこの二つを重要なる目標といたしまして、しかもその改革の實施は、現在のような經濟状態でございますので、漸を追いまして社會の秩序をいささかたりとも混迷させようなことのないように、状況や環境を考え、漸を追つて無理のないように實施してまいりたい、かように考えおるのでございます。 今申しましたような方針に基きまして、まず第一に警察の職務を從來のような、なんでもかんでも警察へ取込んでやるというようなことでなしに、純粹の治安の維持、生命財産の保護、犯罪の豫防檢擧というものに、専念するようにしたいということを考えております。從いまして、現在やつております、警察の仕事の中で、今申し上げましたような事項に該當いたさないものは、ほかの官廳なりあるいは地方自治團體の方に、これを委譲してまいるというように考えているのでございます。これは今までもすでにある部分は、やつてまいつたのでございまして、建築行政、衛生行政、勤労行政なども、それぞれ警察の手から離れております。しかしまだ若干殘つております分もございますので、これは出來る限り速やかに他の官廳、及び地方公共團體に移すことを考えたい、こう考えております。 第二は警察の運營の近代化及び民主化を図るということでございまして、このためにまず第一に警察の施設を充實し、技術を改善することを考えております。御承知の通り日本国憲法の實施に伴いまして、人権尊重の建前よりいたしまして、警察の活動は從前に比べますと、相當制限いたされました。この制限された權限を持つて治安維持を實施していき、人心の不安をなからしめるというためには、警察の機械力を充實しその操作技術及び警備技術というものを改善してまいりたいと考えているのでございます。 その次は警察官の犯罪捜査の權限、及び限界を明らかにするということでございます。從前から問題になつており、また現在も問題になつております事柄といたしまして、司法警察、行政警察の分離論というものがございます。この分離論の論據といたしましてはいろいろございますが、そのうちの一つは、行政警察と司法警察とを一緒にやつていると、警察官が犯罪捜査に行政警察の權限であるところの檢束などを濫用することがあるのでございます。これは確かに過去においてはさような事實があつたように、遺憾ながら私どもは認めざるを得ないのであります。これは警察官がさような權限を濫用しないでも、もし世の中に悪くが行われたならば、これを完全に剔抉できるというだけの權限を法律をもつて正當にきめていただきたいと、かように考えているのでございます。 それからその運營の近代化を及び、民主化の第三の點といたしましては、警察官の素質を向上し、近代的民主主義的技術を及び方法を會得させるということでございます。警察官の素質も逐次向上してまいつておりますけれども、またわれわれの理想としておりますところには到達しておりません。なるべく早い機會にこの素質を向上いたしまして、世の中の人から尊敬され、信頼されるような警察官をつくり上げたい、こういうことを念願しておるのであります。 これに關連いたしまして第三といたしまして、警察官の待遇を改善するとともに、身分を安定して、その行政に政派的影響を與えないようにすることを考えております。この事柄の前段につきましては、御説明するまでもないと思いますが、現在のような警察官の待遇でございますと、なかなか安定いたしません。近ごろ忌まわしい巷間の噂が警察官に關して縷々傳えられておるのを聞きますと、われわれは實際責任の重大なることを痛感いたすのでございまして、警察官の待遇を改善いたしまして、警察官がそういうふうな疑惑をもつて見られることのないように、生活環境を改善してやりたいと思つておるのでございます。 その次は身分の安定の問題でございます。今後わが國の政治は政黨によつて運營されることになります。政黨はもとより主義政策によつて時の政権を争うものでございますので、政權の推移に伴いまして警察官が身分に不安動揺を來すということになりますと、適切なる行政執行はとうてい期し得ないと思います。そこでこれをいかなる限度に保障するかということは、ほかの関係もございまして、なかなかむずかしい重要な問題であると思われますけれども、ある程度の身分の安定をはかりまして、行政から政派的影響を排除したいと考えております。 その次には、警察の地方分權の問題でございます。警察の行政は、特に國家に留保いたしますものを除きまして、原則として地方公共團體に行わせますが、中央政府においてその組織運營等について必要な基準を定め、その活動の統一をはかるとともに、必要な指導を行うようにいたしたい。またその次といたしましては、重大な犯罪、重要な警備等國家的利害関係のある事項や國家的機務を有する事項を主管し、併せて地方公共團體の警察官との總合連絡調整をはかることを目的とする國家警察を創設したいと考えております。國家警察は中央本部の方から全國必要な地區に地區本部を設け、その長の身分を安定しまして、内閣と運命をともにせず、その活動に政派的色彩を持たせないような措置を講じたいと考えております。そこでわれわれが國家警察を考えております理由につきまして、若干詳しく説明を附加えさせていただきたいと思います。 われわれが國家警察を希望いたします第一の理由は、警察の事務の重要性でございます。申すまでもなく、先ほども申しました通り、わが國は今後軍隊を持たれないのでございまして、もつぱら警察によつて國内の治安を維持しなければなりません。しかも現在及び豫測されます將來の社會、經濟状態を考えますと、この治安の維持ということはなかなか容易でないと思うのであります。今までの過去におきまして、御承知の通りあるいは二・二六事件、あるいは五・一五事件、あるいは虎ノ門事件、あるいは大正七年の米騒動、あるいはロシアの皇太子を傷害いたしました大津事件というふうな、大きな治安上の問題が起こつております。將來においてさような事件が起こらないということは、われわれは確信をもつて言い得ないのであります。しかもこのような事件が一たび起こりましたならば、好むと好まざるとにかかわらず、これは中央政府が責任をとらなければならないことは明らかであります。あるいは政府が更迭をしなければならなくなることもございましよう。あるいは政府が國際的に責任をとらされこともございましよう。いずれにいたしましても、かような問題が一たび起こりましたならば、それは中央政府が責任をとらなければならない。もし中央政府が責任をとるものであるならば、必要なる權限を中央政府に留保しておかなければいけないじやないかということが第一點であります。 それから第二點は、講和條約が締結されまして、進駐軍が撤退するような事態になりますと、左右兩方面よりいたしまして、現在の健全なる民主主義政治に對して大なる攻撃の起こることが豫想されるのであります。この新憲法の精神に即しまして、日本を健全なる民主主義政體につくり上げるということは、私は國憲の最高機関である國會の重要なる任務であらうと思うのであります。もし完全に警察を地方分權にいたしますならば、治安の維持は府縣知事、市長、あるいは府縣會の責任でありまして、國會はこれを論議することができなくなるのではないかと思うのであります。さようなことが許されるかどうか、また許されるとしても適當であるかどうかということに非常に疑問をもつのであります。これは必ず國會がこの常任委員會を通じて、國會において選出されました中央政府の警察責任者を鞭撻し、これを監督し、厳重なる關心をもつて過ちなきを期するように運營をしていただきたいのでございます。また國會と警察との結びつきにつきまして、從來警察の専横化、獨善化ということがたびたび言われました。これは人民を代表いたします國會のほかに、より權威あるものがありまして、この權威あるもののために、力ある警察が利用されておつたということが一番大きな原因であることは明瞭であらうと思うのであります。その意味から申しましても、今後は國會が嚴重に警察を把握していただきたいと思うのでございます。 國家警察を希望いたします第二の理由は、その事柄の性質でございます。どういうことかと申しますと、實際警察というものは實力行動でありまして、ほかの行政處分とは異なります。ほかの産業經濟等の事項でございますならば、地方に委譲いたしましても、もし知事なり市長なりのやり方が悪かつたような場合には、大臣がこれを取消して元に返すことができます。しかし警察の行動は待つたなしでありまして、ひとたびどこかに起こりました暴動なり擾亂なりというものは、大正七年の米騒動の例で見るごとく、直ちに全國に波及するのであります。あとから取消しのきかない仕事であることなども考えられるのであります。それから警察の仕事の中には國家的な仕事があるということを考えるものであります。たとえば外國の使臣の警護、あるいは政府の高官の警護、あるいは皇室の警護というふうなものを自治體の警察に任せて、はたして十分なる安全が期し得るかどうか。先ほども申しました通り、もし自治體の警察に任した場合にも、こういう事件が起こりましたならば、中央政府がその責任を負わなければならないと存じます。また現在西部地方におきまして密入國が多分にございます。この密入國の取締りにつきましては、その縣から申しますと、自分の縣にはあまり関係ないことであります。たとえば山口縣なり佐賀縣の海岸に上陸いたしましても、大多數の者はその縣に留まらないで東京とか大阪に來るのであります。そういうような重要なる仕事を自治體の警察に任せておいてよいであろうかということが考えられるのであります。さらにまた御承知のごとく警察の活動は生命を賭する仕事でございます。年々六百人から七百人くらいの死傷者を警察官は出しておるのであります。こういう命をかけて動く仕事を、もし完全に地方分權にいたしましたならば、地方自治體の警察官は、自治體のために命をかけて働くであろうかどうかということにつきましても、多大の疑問をもつておるのであります。 さらに第三の論據といたしましては機能の上からでありまして、御承知のごとく日本の全土は北米合衆國の一州にも比し得られる程度の地域であります。犯罪はきわめて完備した交通通信機関を利用いたしまして、廣い範囲にわたつて行われております。もしこれを完全に地方分權にいたしますならば、各地方自治體の間の横の連絡というものは現在ほど圓滑にいかないであろう。犯人はこのような地方自治體の境界にかまわずに各地方團體の、區域をまたにかけて歩く。警察の活動の方はそのおのおのの自治體に一應限局されて、自分の自治體に直接関係のない仕事については、さほど熱心さを示すかどうか疑われるということを懸念するわけでありまして、かような機能の上からもどうしてもある程度の國家警察は必要であると思うのでございます。さらに、これは過渡的なことであるかと思いますけれども、現在の統制經濟をやらなければならない事態のもとにおきまして、警察を地方分權にいたしますならば、はたして統制經濟の圓滑なる實施ができるであろうかということについても疑問をもつのであります。私どもの見るところによりますと、現在生産地、消費地でそれぞれ事情がありまして、地方的には警察上の行動についてある程度寛嚴の差を設けたいような氣分が多分に見えるのであります。ただこれを中央からの強力なる命令によつて辛うじて今の程度に支えているのが實情ではないかと思うのでありまして、もしこれを中央との線を完全に切り離しますならば、消費地、生産地の間の警察行動の手加減というものは、相當大きな問題となつて現れてくるのではないか、かように考えております。また國際的に考えてみましても、いかなる大きな國を見ても、しかも民主主義の國を見ましても、何らかの形において國家警察をもつていないところはないのであります。かような點から考えまして、私どもは少くとも今述べましたような形の國家警察をもつことをぜひ希望するのであります。 さらに國家警察の性格でございますが、これには二つの問題が考えられます。一つは犯罪捜査を中心にして考える國家警察の性格であります。これはもちろん大事でございますが、しかしわれわれは、犯罪捜査する以上に治安の維持、すなわち秩序が亂れる前にこれを防ぐということに國家警察の重點を置いて考えたいのであります。密入國の場合などにおきましても、事前に完全なる警備配置をいたしますと、そこにあがろうと思つた船があがらずに、よそにまわるということがあるのでございまして、暴動などの起こらんとする場合にも、あらかじめ十分なる警備配置を考えますならば、暴動に至らないですむことが多々あるだろうと思うのであります。殊に軍隊のないわが國においては、一旦起こりました秩序の紊亂を警察力をもつて抑えることは將來は相當困難であります。なんといたしましても、これは起る前に十分に抑えたいということを念願するのであります。從つてこの國家警察は、犯罪の捜査のみならず、犯罪の豫防、治安の維持ということに重點を置いて考えたい、かように思つているのであります。 以上申しましたような見地に基いて、ただいま申しました通り、原則として警察行政は地方公共團體に任せますけれども、その總合連絡調整及び重要は犯罪、重要な警備、國家的な意義のある事項は、國家警察においてみずからこれを所管したいと考えております。また現在は占領軍の駐在しております関係上、九萬三千の警察官の定員で不十分ながらやつておりますが、將來どうしてもある程度警察官の増員を考えてみたい、かように思つているのであります。 きわめて大雜把でございますが、骨組だけを申し上げますと以上のような状況でございます。
○坂東委員長 御質問なり御意見の發表は御自由ですから、皆さんの御發言を希望いたします。
○門司委員 警察制度の問題は、いわれることがいつも大體きまつているのでありますが、今度新しくされようとする國家警察と地方警察の関係その他についても、もう少し詳しく御説明を承らぬとよくわからぬと思いますが、問題は警察官の、最後に述べております素質の向上の問題であります。これも十年一日のごとく、どこの會議に行つても言われたことでありますが、一向實現されないという現状であります。これについてほんとうの突進んだお考えがあるかどうか、一例を申し上げますと、現在警察官の俸給が、はたして一家を形成して、そうして警察官としての體面を保ち得るだけの待遇が行われていないのじやないか。さらにそれに對しまする身分の保障といいますか、これらのものも十分ではないということ、それから警察制度の上における警察官の十分活動し得る範圍というものが、いたつて國民との間に明確されてないのじやないか。これが往往にいたしまして、警察官と民衆との間をどんなに民主化するといいましても、警察というものは人を縛るものという観念しかもつていない。これが今日の警察制度の上にきわめて大きな障害になつておる。こういう面において今までも問題にされておりますが、ただ型にはまつた議論だけでは、こういう問題は解決しないと思います。先ほどのお話のように、將來軍隊をもたない日本におきまして、相當な増員が行われるとしても、民衆との密接な結びつきがない限りは、治安の保持はなかなか困難だと思いますが、この委員會で、特にこの問題を審議しております會でありますので、腹藏ない御意見を承はれば非常に結構だと思います。
○加藤説明員 國家警察と地方警察との関係をもう少し述べるようにというお話でございましたが、これはただいま私ども相談しなければならない方面との交渉において、實は非常にむずかしい問題が起こつておるのでありまして、たとえば地方公共團體に警察を認めるとしました場合に、それを府縣に認めるか、あるいは都市に認めるか、まずこれが大きなひつかかりでありまして、われわれといたしまして一つの案をもつておりますが、これを申し上げますと、道府縣及び人口の多い都市に委譲したいと考えておりますが、道府縣に警察を認めることについては、かならずしもはつきりとそういうようになるということができるかどうか、疑問のような状態であるのでありまして、委譲いたしまする主體の異なるによつて、國家警察と地方警察との仕事の分配、その調整、やり方というものも、おのずから違つてくるような面があるのであります。この點は研究しておりますけれども、もう少し考えたいと思つておりますから、御了承願います。 素質の向上につきましては、何よりも待遇の改善からであります。御承知の通り警察官、消防官は勞働組合を結成することを禁止せられ、ストライキをすることももちろん認められておりません。他の官廳の職員が團體交渉等によりまして、著々と待遇を向上しておるにかかわらず、警察官だけ取殘されることがあつてはいけないというので、われわれもこの點は非常に心配いたしております。豫算上の折衝を關係當局とするのでございますが、問題は警察官だけの問題でなく、絶えず引合いに出されますのは學校教員、あるいは下級官吏というものであります。私どもはこういうふうなきまりきつた考えでなしに、待遇の施策の向上については、秩序を再建するという意味からは、別途な意味で政治的考慮が沸われていいのではないかと考へるのでございます。ただいまはそういうところまで進んでいないのであります。腹案はございますけれども、今言つたような状態でなかなかこれは實現できない。國會の方からも推進していただけますならば、非常にありがたいのではないかと考えます。素質の向上は待遇の向上が先決問題であると考えておるのであります。 警察と民衆のつながりは、まことにごもつともでありまして、いかに警察を充實いたしましても、民心から遊離いたしました警察では、治安の維持はできるものではございません。この點は將來大いに國家警察を展開しなければいけない。制度の上で國家警察を殘すならば、殘すだけの運用の展開をしなければいけない。それには警察官の素質の向上、待遇改善等が絡むのでありまして、素質のいいのをとつて、十分な民主主義的知識、教養をたたきこむこと、これは一番遲いような方法ではございますが、一番確かな方法だと私どもは考えておるのでございます。
○佐藤(通)委員 將來の日本の警察のあり方というものについて、内務省が眞檢に御檢討くださつておることに對しましては、深甚の謝意を表したいと思うのでありますが、なおこういう點についていかにお考えになるかという點を、二、三私の頭に浮かんだのでありますが、お尋ねをしたいと思うのであります。今國家警察と地方警察を分離して、今後の日本の警察をうまく運用していこうというお話であつたのでありますが、これは新しい意味の國家警察であるかどうか。いわゆる地方警察であるかどうか。言いかえてみれば、從來においては訴願法あたりにも地方警察に關する事項ということが、はつきり結びついてありまして、そういうことから考えてまいりますと、地方警察ということが規則に現れておる以上は、やはり地方に對する國家という意味であつたのではないかと私は思う。そういうことの精神をさらに敷衍する意味においての國家警察、地方警察というものであるかどうか。あるいは軍隊がなくなつたあと、日本の警察制度に對しては最も新しい意味の制度が今後研究され、研究されていかなければならぬという意味で、この際新しい制度としてお考えになつたのであるか。この點をお尋ねしたいと思うのであります。 なおまた行政警察と司法警察の分離という問題でありますが、これは私どもも多少警察に關係をもち、現在そうした方面への仕事に關係をもつておりますので、よく行政警察と司法警察地を分離しようという問題があるのでありますが、これはなかなかむづかしい問題のようにも思うのであります。そこでこの行政警察と司法警察と分離した方がいいかどうか。もつと根本的な點については内務省でも御檢討されておるかどうか。これは私の試案でありますが、本來から申しますと、警察が職權を濫用して、無享の民衆に無益な犠牲を強いたという根本の原因はどこにあつたかというと、司法警察權の濫用であつたのであります。こういうような點から考えてみるならば、日本の警察を純然たる民主主義的な警察に仕上げていくためには、司法警察官というものを警察から離して、ここに行政警察と司法警察の權限を明確に區畫いたしまして、再び過去に侵されたような弊害のないような制度を、われわれは希望したいと思う。これに對しまして内務省はどういうようなお考えで今後案をお練りになるのか。それから鐵道警察など、こういうような特殊な立場において、特殊な立場から要求される警察の問題でありますが、これを今後どういうふうに運用されていくか。現在鐵道官の中から警察官をとつて、それが鐵道警察というような名稱かどうかしりませんが、そういう方面に専門的に活動させるようなお話も新聞に載つておりましたが、これに對して一元的に警察組織の中に繰込んで、國家の方で統制運用していくお考えがあるかどうかという點。將來軍隊がない場合、いろいろな例を述べられまして、將來いろいろな不祥事が發生した場合に、どうしても國家警察の發動が必要になつてくるというお話がありましたが、されば今後の警察官の装備の問題をどうするかという問題が出てくることと思います。この装備の問題については、どういうふうにお考えになつておるか。これは私は今ここではつきり申し上げる自由をもちませんけれども、軍隊なきあとの國家警察の創設という問題を考えていくならば、これは最も眞劍に考えていくことが最も肝要な問題ではないかと思う。それから警察官の教養の問題でありますが、國家警察は國家の手によつて教養をし、なおまた地方警察は地方自治體の手によつて教養をするということになれば、同じ警察の仕事に從事するこの人たちが一元的な教養を受けないがために、ここに幾多職務の上においても、その權限行使の上においても、毛色の變つたものが實現されるようなおそれがありはしないかという懸念をもつのでありますが、この點について内務省側の御意見をお聽きしたいと思います。
○加藤説明員 ただいまお尋ねになりました第一の問題、地方警察と國家警察の問題でありますが、その前の訴願法にありました地方警察は、私思いますのに、明治二十二年の市町村制の中には、市町村が警察をやるというように書いてあつたのであります。結局これは實現しませんで終りましたけれども、それが當時訴願法の方にそれと對應して書かれたものであつたのであろうと想像しております。實際行われました日本の警察制度というものは、全部今までは内務大臣の指令のもとに、全國津々浦々まで動いておつたのでありまして、これは國家警察であつた。あの意味の地方警察というものは、市町村制の方で規定しましたものに對應して書かれましたけれども、實際には行われなかつたと考えるのであります。われわれの考えておりますのは、今後ほんとうに地方自治體の警察をつくり出そうというのでありますから、今までとは變つたものだというふうに考えたい。國家警察は、現在の體制は國家警察でありますが、これは組織を變えまして、今までの制度を殘したいということを考えておるのであります。地方警察は地方自治體の警察を新しくつくり出す。國家警察は今のものを形を變えて殘す。こういうふうに考えております。 それから鐵道警察、森林警察などの問題でありますが、私はほんとうに今後國民の信頼にこたえ得る警察官は教養ある者であり、相當専門の仕事について知識をもつておるでなければならないと思います。鑛山でありますとか、森林でありますとか、そういうふうな特殊なものの警察事務につきましては、一般の警察官にこれを負擔させますと、あるいは荷が重くなるのではないかと考えるのでありまして、そこのところは、警察の最高首腦部の方でお考えになりまして、これは特殊の警察をおいた方がよいと思うものは、やはり今後とも殘していかなければならないと考えます。しかしこれも通常の一般の警察と緊密なる連絡をもたなければならないことは當然であると思います。 それから國家警察隊の装備の問題についてお尋ねがありましたが、これはまことにごもつともな御心配でありまして、われわれも一番心配しております。少なくとも今後できまする國家警察には、許されますならば、銃、機關銃くらいの装備は持たしたい。しかしこれはまだわれわれの腹づもりでありまして、正式にはもち出してはおりません。しかし少くともそれくらいのものは持たすことを認めていただきたいと考えます。 教養の問題は御心配の點はごもつともでありまして、われわれといたしましても、たとえ地方自治體の警察を認めました場合におきましても、教養は全國的に今のような制度でやつていきたい。これは警察の權力權限のことに關連するものではありませんので可能であろう。國家警察と地方警察の區別を超越して、權威あるものを創設していくことは可能であろうと考えております。 次に一番重要な問題は、司法警察と行政警察の問題についての内務省側の考えをお尋ねになつたことであると思います。行政警察と司法警察との區別ということは、われわれが關係の方々と寄つてお話をしてみますと、どうもこの観念に食違いがある場合もたまにあるのであります。それはどういうところからくるかと申しますと、廣い意味での行政警察と申しますと、これは警察の一切の活動のうちから、司法警察と稱せられておりまする犯罪の捜査、犯人の逮捕を除きました一切の警察活動であります。ところがこの警察活動の中で、さらに學者によりますと保安警察と行政警察にわけまして、お手もとに差上げてあると思いますが、他の行政と關連なく獨立に行われるかどうかということで、保安警察と行政警察とにわかち、そして純粹の意味での治安維持の保安警察の中で、産業上交通上等のことを主管する廣い意味での警察、生命財産の保護、治安を維持するという廣い意味での警察が行政警察であるといつているのであります。問題になりますのは、もとよりこの廣い意味の行政警察と司法警察との區分であります。これは二十數年來の懸案でありまして、これを主張されます根據というものは多々ございます。まずわれわれの承知しております範圍におきましては、現在の法制の建前においては、公訴の提起と犯罪の捜査は檢事の職制になつている。しかるに檢事が指揮して使う警察官というものは、内務省の警察官である。そこで檢事の方に直局の犯罪捜査、犯人逮捕専門の警察官をおかなければ捜査かうまくいかぬということが第一であります。 第二は營業の許可認可等のごとき、いわゆる行政警察事務をやつているものが、同時に犯罪の捜査をやりますと、業者との間に特別の結びつきができているので、司法警察事務の執行の公正を期しがたいということもいわれております。 さらに第三には、警察官には檢事ほどの強い身分保障がない。從つて政黨の影響を受けやすい。殊に警察が地方分權化されまして、知事や副知事のもとにくつつくことになりますと、一體選擧の取締などは公正にできるかどうかという問題があります。 第四は警察官の素養が低いので、捜査や取締に無理をしたり、人權蹂躙問題を起こしやすいから、これは檢事の方にくつつけた方がよいということもいわれるのであります。 第五は、行政警察と一緒にやりますと、行政執行法の檢束の規定を濫用しやすい。從つて人權の保護に十分でないということもいわれています。それからさたに實際的の見地からの話といたしましては、司法警察をやつている警察官の異動がきわめて頻繁であつて、實力と經驗に富む者が落ちついて司法警察の仕事に専念しがたい。從つて能率があがらないということがこの論據であります。これに對してわれわれの考えているところは、警察官の異動の問題は、なるほど從來はその弊害あるいはあつたかと思うのでありますが、將來は刑事關係の警察官は別の形なり何なりをつくるようにしてでも、落ちついて刑事警察に専念し得るような制度を考えでみたいと思つております。 それから行政執行法を濫用するというようなことは、これは日本國憲法が實施されました以上、とうてい行われないことでありまして、現在におきましてはこれは議論の餘地はないのであります。しかしこの點につきましても、最初にお話し申し上げました通り、われわれは正當なる警察官の犯罪の捜査、犯人の逮捕に關する權限を、法律をもつて明確にきめていただきたいと思つておるのでありまして、これは現在われわれのうちうちでも研究をしているところであります。 それから警察官の素養が低いというようなことは、これは一般的な問題でありまして、もし司法警察官を獨立させましても、現在の檢事の定員は六百人か七百人でありましようが、この六百人か七百人の者は大學を出た相當教養のある者をとれましようが、しかし八萬、九萬というふうな多人數になりますと、これは檢事ほどのレベルの警察官を司法警察官としてつくりました場合においても、とり得るかどうか疑問だろうと思います。これは今の警察官の素養を向上することによつて、この問題の解決はできるのではないかと考えます。身分保障の問題につきましては、われわれも同感でありまして、これは先ほども申し上げました通り、われわれの方でも委員會の督勵によつて、適切なる身分保障の制度を樹立することに努力したいとかんがえております。 許可、認可等の仕事は逐次整理してまいつておりまして、現在警察に殘つておりますものはほんのわずかであります。質屋・古物商の許可でありますとか、あるいは特殊飲食店の許可でありますとか、治安維持の上から特に犯人がまぎれこんだり、あるいは盗品がそこに流れこんだり、どうしても刑事警察上密接な關係をもつていなければならないようなものに限り現在殘つておるような状況であります。この點につきましては、從前のような廣い行政權限をもつておつた時代ならばいざ知らず、現在はあまり問題はないのではないか、こう思うのであります。最後の、捜査の權限をもつ者が指揮しなければうまくいかぬという點は、これはわれわれから言いますと水かけ論になるのでありまして、われわれも見るところによりますと、警察官はむしろ積極的に檢事の方に連絡をとつておる。なぜかと申しますと、警察で檢學をいたしましても、檢事の方で起訴してくれませんければ警察官の黒星になるのでありますから、檢事の命令はもちろん嚴格に執行しておると思います。しかしこの點につきまして、新しい制度の根本について御研究を煩わしたいことがあるのであります。何かと申しますと、現在アメリカ及びイギリスにおきましては、日本もそうでございますが、檢事は裁判所に公訴を提起いたしまして、法廷において公訴を維持するということが主たる任務でありまして、犯罪の捜査はその公訴を維持し、提起する便宜からもともと認められたものでございます。アメリカにおきましては、犯罪の捜査權は原則として檢事はもつておりません。初めから情報を集めてから豫防し、豫防の措置が成功いたしませんで犯罪が起こつた場合檢擧するというところまでは、もともと警察の固有の職務でございます。そしてそれを檢事に送る。檢事が公訴を提起する。こういうことになつておるのであります。これは向うの人の説明を聽きますと、このことが人權の擁護の上にいいのだ。もしも檢事なり警察官なり、いずれにいたしましても、一人が犯罪の捜査權をもち、公訴の提起權をもつておると、どんなことでもできる。これはと思うと權限をもつて引張つてくる。公訴を提起することは可能ではないか。これは人權の擁護に十分でない。むしろアメリカの制度のように、犯罪の捜査は警察が保有し、公訴提起は檢事に保有させると、お互いの間にチェつク・アンド・バランスが行われ、警察官においては、むりなことをすると檢事が受付けてくれないということになり、檢事の方は公訴の提起權をもつておりますが、みずから提起できない、捜査は警察の方に頼んでやらなければならないという點においても無理ができない。これは人權の擁護の上にいいのだ、こういうことをいうております。これが一點。 第二點といたしまして、日本帝國憲法におきましては、人身の保護に關する司法官憲の權限が嚴格に規定されましたことは、御承知の通りでありまして、今まで檢事が判事と警察官との中間に立ちましてもつておりましたような權限は、刑事訴訟法の應急措置法の制定によりまして重要なるものはなくなつておるのであります。たとえば刑事訴訟法百二十三條によりますと、從來急を要します事件については、檢事が判事の承諾を得ずして勾引状を發することができておつたのであります。また刑事訴訟法百二十九條でも、檢事が自分の權限をもつて發することができておつたのであります。これは警察官にはなかつたのであります。しかし今囘は應急措置法によりまして、かような檢事の權限は制限されたのであります。從つて檢事は公訴の提起以後の場面におきましては、もとより廣い權限はもつておりますけれども、犯罪の捜査に關する限りは警察官と似たりよつたりのような状況に近くなつておりまして、ますますこの傾向は今後促進されていかれるのではないかと思うのであります。もともと檢事というものは法律家でありまして、犯罪の捜査の専門家ではないと私は思うのであります。檢事が犯罪の捜査上警察官を指揮しなければならないという理由は、理論上からはあまりないのではないか。ただおそれられますところは、檢事が指揮をするならば、警察官のいわゆる人權蹂躙のような無理なことが行われなくて濟むのではないかという、一つの實際上の理由であろうと思います。しかしこれはすでに日本國憲法の制定によりまして、その根源を斷たれたと思います。また今後警察官の捜査態度に對する正當なる權限を法律をもつて規定していただきますれば、檢事の指揮によろうとよるまいと、この點については心配のないものになるのでしようし、またしなければならないと思うのであります。結局私は、司法警察、行政警察の區別は古くフランスの制度に淵源するのでありますから、今日におきましては再檢討を煩わしたい。犯罪の捜査、豫防は、警察固有の權限として、區別することなく一括して警察官に認めていただきたい、かように考えておるのでございます。
○坂東委員長 ただいまここには久山警保局長がおられます。また政務次官の長野君もおられますから、御自由に御質問を願います。なお私の聞く範圍内では、將來日本の警察官の數は大體十二萬五千くらいである、またその中において、ただいま加藤君の説明の國家警察の方の數は三萬内外。また防備の點についてはむづかしいので、私の想像では、これは講和會議においてきめなければ、國家警察の特殊な防備というものはむづかしいのではないかと考えられますが、それは衆議院の意見によつて、あるいは多少變るかもしれませんけど、私の聞く範圍ではそういうことになつております。
○川橋委員 國家警察は中央本部が、全部必要の地に地區本部を設けるという御方針のようでありますが、今後内務省が廃止になりまして、國家警察が置かれましたときに、中央本部への隷屬關係はどうなりますか、お伺いいたしたい。 それから地方の自治體に委譲をされます問題でありますが、それは大體人口どのくらいの都市に置かれますか、そういう點も伺いたい。
○久山政府委員 國家警察の將來の隷屬關係と申しますのは、あるいは御質問の御趣旨が、公安應の方に所屬することになるのか、あるいはそれとは別個の、たとえば司法省というふうな方にいくのか、そういうことでありますか。
○川橋委員 さようであります。あるいは獨立機關になるか…。
○久山政府委員 それはいろいろ御質問がありまして、企畫課長からいただいまお話をいたしたいと思うのでありますが、私どもの現在考えております限りにおきましては、警察というものは作用の方面からはこれを司法警察とか、行政警察とかわけられますけれども、實際の執行といたしましては、一人の人間と申しますか、同じ警察官が依然として兩方の作用を包括して維持したいし、いきたい。この警察を二つに分けまして、司法警察を専門に行う警察官と、それ以外の豫防的な、いわゆる行政警察というふうに、二分をいたす考えはもつておらぬのでありまして、作用としては兩面がありますけれども、警察の活動自體はあくまでも一つの警察というもので、同じ人間によつて行われるということろに犯罪の豫防も、捜査も、すべてがうまくいくというふうに考えておるのでありまして、そこにはいろいろ警察制度の改革につきまして異論があるところでありましようけれども、私どもは現在の公安應といつたような役所ができます場合におきましては、警察というものは一體としてやはりその方の隷屬關係、その方の線でやつていきたい。かように考えておるわけであります。 それから都市に警察權を委譲いたします場合に、どれくらいの都市が標準になるかということでありますけれども、人口の點ははつきりしていないのですけれども、要するにその自治體が固有のそれ自身の警察をもつて、それを財政的にも十分維持するだけの力があり、またその自治體自體の職員なり、自治能力が相當高度に發達して、治安維持の上に能率的にも支障のない程度の警察力を維持する力のある都市ということになりますと、實はこれがどの程度の大きさの都市になるかということは、人口によつてのみこれが果して決定できるものか、あるいはその都市のその他のいろいろの状況を判斷して最後の決定になるものか、そこらのところはなお詳細に具體体的に檢討を要するところでありますが、まず大體人口五萬というなことが普通にいわれておるのでありまして、人口五萬程度の都市であれば、今言つたような條件が一應具えられておるのではないかと、一般的にいわれておるのでありますが、はたして具體的に人口五萬という都市が、すべてそういう條件に適つて、立派な満足すべき都市警察がもてるかということになると、なおいろいろ條件はあろうかと思いますが、一應人口五萬というところを考えたらどうかと考えておるわけであります。
○川橋委員 現在の市制では人口三萬以上が市としての資格があることになつておりますが、大體市には交通、衛生等の機關がありまして、やはり行政警察は市の機構のあるところに必要であると考える。但し財政の負擔能力によつて決する問題である。大體市制には人口三萬とありますから、三萬以上の都市では必要ではなかろうかと考えます。それから先刻必要な地に地區本部をつくるということでしたが、その數はどの程度にお考えでしようか。
○久山政府委員 これはいわゆる行政ブロつク、行政協議會の中心と申しますか、大體北海道、東北、關東北陸、東海、近畿、中國、四國、九州の八つばかりあるのですが、そういうところを標準にしたい。必ずしもその通りの數を置くか、あるいはそれを減らして六つくらいにいたしますか、それはまだきまつておりませんが、大體地方の行政區畫的なものが標準になろうかと考えます。それから人口三萬ぐらいを標準にして、いろいろな條件が合つた場合には、市制を布くという扱いになつておりますが、そういう市ということになりましても、大體警察官の數が、これも今言つたように、全般的に人口に對する警察官の比例というようなものも考え直さなければいけませんが、三萬くらいで三、四十人程度の警察官、一般的の人口の比例から言いますとそういうふうになりますが、そういうようなものをかりにもつておりますと、それに對していろいろ外からの作用で制限せられまして、まづ一通りのことは、完全にその自治體が治安維持の能力があるということになりますと、あまりに小さい都市で非常に小さい警察力を維持しておるというだけの都市がある場合にはやはり委譲いたす趣旨からしても、それ自體一應普通のちよつとした事件についても、大體自治的に完全に處理できるというところの警察力を維持する力というものが、どうも三萬であつて、いろいろ無理をして市になつたというようなところでは、ちよつと無理ではないかと考えられますので、必ずしも市という自治體の意味と、警察力を獨立にもたなければならぬ、またもたしても差支えないというのとは一致しないのではないかと考えられるのであります。
○川橋委員 大體國家警察の地區本部は、日本には昔から五畿八道があり、畿と道があります。そういう點で地區本部を設置せられるのが至當ではないかと考えます。それから現在の施設の問題でありますが、經濟防犯課というものが現在各府縣の問題になつております。隱退藏物資の問題、これは各府縣の經濟防犯課で扱つております。これにいろいろの風評が飛んでおる。こういうことが地方でもいろいろ問題になつておりますが、この警察の民主化ということは考えなければならぬ。つまり經濟防犯課が、隱退藏物資をもつておる連中といろいろ連絡をとつて、そこにいろいろの問題が惹起されておるように考えておりますから、こ經濟防犯課の民主化が焦眉の急務だと考えます。この點につきまして何かお考えがありましたら伺いたい。ちよつと無理な質問かも知れませんが、この問題についてはわれわれ國民はこう考えております。それは經濟防犯課を監察するという制度であります。簡単に言うと、一般警察の民主化を行う前に、さらに早く、今申しましたような經濟防犯課の民主化、これを行う必要がなかろうかと考えます。それは現在の隱退藏物資でありますが、それ以外に經濟統制問題、これに關連してもこの經濟防犯課の強化が一番必要かと思います。これは民衆とともにやることで、そういう警察官の明朗化が考えられますが、この點につきまして相當御考慮を願いたいので、そのことを申し上げます。
○久山政府委員 經濟統制を行いますに伴つて、いわゆる經濟警察というものが、今お話の警察といたしましては、いろいろ問題の起る面からみますと、たしかに一つのやつかいな問題でありまして、經濟警察というものができましたときにも、私もそういう意味合において、こういうことを警察の部面に取入れて、經濟面に警察がタッチするということは、警察が腐敗するというような面から非常に反對をしたというか、そういうことはできるだけこれをやりたくないという考えを實はもつておつたのであります。現在においても、もしいろいろの條件が許すならば、警察がそういうことから離れたいという氣持があるのでありますけれども、實際の問題としましては經濟係、これは數はわずかでありますけれども、結局いろいろの取締りをやる場合には、警察官が一齊にこれにタッチすることになるのでありまして、どうも普通の犯罪と違いまして、いろいろな誘惑も多いことでありまするし、こういうような社會状勢におきましては警察としての一つの弱點を形成するということにつきましては、私どもかねがね注意をいたしておるわけであります。從いまして隱退物資の摘發という面から考えてみましても、やはりこれは明確に犯罪という點から、私どもはこれにタッチいたしておるのでありまして、一般的な經濟統制、隱退藏物資そのものを正規のルートに流すというふうな一般的な行為につきましては、警察はむしろ直接の責任をもつておらず、また權限上も、そういつたようなものを臨檢檢査いたして、これを摘發するということもできないのでありまして、あくまでも具體的な犯罪という點においてこれにタッチしておるというようなわけで從いまして今度安定本部を中心にしてできましたいわゆる行政監査と申しますか、在庫調査といつたようなこと、さらに近く正式に設置せられると思いますが、内閣にできまするいわゆる遊休物資の活用をはかるといつたような面から、隱退藏物資の活用という面の本筋を政府としては進んでいただくことを希望いたすのでありまして、あくまでも犯罪というような面から警察がこれにタッチすることになるべく限定をいたして、漠然たる經濟統制そのものを、なにか警察が一手に引受けてやつておるような現實からは、できるだけ早く本來の警察の職務に還りたいということは、平素から念願いたしておるわけであります。從いましてこういつた面から起こりますいろいろの弊害につきましては、府縣にはそれぞれそういう面も絶えず監察いたしまする監察官というものが常置せられております。さらに各府縣のそういつた状況を時々監察いたします制度を内務省自體にももつておるのでありまして、これらがたえずそういう系統に所属して監察を行つて非違を剔抉いたしておるわけでありますが、一般的な問題として、特に經濟警察の方だけに特殊の施設方法をもつて民主化をはかるということもどうかと思いますが、要するに一般的な警察の運營の上におきまする民主化というものは、制度の改革と關連いたしまして、具體的に近く全般的な行政監察の制度もできることになつたわけでありますので、そういうものと警察との關係につきましても、ただいまのお話をよく拜承いたしまして、善處いたしてまいりたいと考えております。
○佐藤(通)委員 先ほど企畫課長からいろいろお話がございまして、私もそれに對する意見を二、三述べたのでありますが、國家警察と地方警察とどういう點でこれをはつきり分類するかという問題で、職務權限の行使の範圍の問題でこれをきめるかどうか。豫算の問題できめるかどうか。あるいは所属人事の問題でこれをきめるかというような問題があるのでありますが、先ほどからお話を聽きますと、一地方を超越して國家的に警察權を行使しなければならない場合があるから、そのために國家警察が必要だということでありますが、そうすると國家的に警察權の行使を必要とするような場合には、地方的にもまた必要な場合があるのであります。たとえば、隱退藏物資の問題を例に引くのは皮肉なことでありますが、私自身が鹿兒島縣人でありますので、鹿兒島縣の例を申しますが、鹿兒島縣に隱退藏物資の事件が起つた。これを地方警察で取扱つてみた。ところが、その事件を次々に調べていくと、これが熊本縣に波及し、神戸、大阪の方にも關係者がおるということになつた。そうすると鹿兒島縣における警察權の發動は、いきおい熊本竝びに關西方面に波及していかなければならぬと思う。これは地方警察の事件として取扱うべきか。あるいは國家警察の事件として取扱うべきか。もしここに明確な權限というものがあつて、その權限を逸脱してはならないというような則鐡であるとすれば、地方警察と國家警察との間に權限の相違というか、忌まわしい事實をそこに出現するようなことがないとも保證できぬのではないかと思います。そういうふうな面から申しますと、ことさらに國家警察というような名稱をここに採用する必要はないのではないか。もし先ほどお話がありましたように、刑事その他において國家の警察權を國家的に行使する必要があるのだという必要上から國家警察ということを考えますならば、むしろ國家の刑事警察というような名稱において、それは純然たる狹い意味における保安警察という意味においてのみ警察權の行使をするのだというふうに制度化する方が、かえつて公正ではないかと思いますが。これはどんなものでありましようか。それについての御意見を承りたい。
○加藤説明員 ただいまお尋ねの件でありますが、これもまだ權限をはつきりと、こういうふうにしたらよいというところまでつきつめておりませんけれども、今のような事件はその地方の社会の安寧秩序の問題になると思いますので、地方警察の權限に従うのがいいのではないかと思います。もしこれが他の縣に波及いたしますならば、あるいは相互に連絡をはかり、国家警察の出店ごとき連絡をとりまして、鹿兒縣の事件が熊本に波及いたしましたならば熊本の警察がやる、こういうふうになるのではないかと思います。 それから国家警察と地方警察の観念の問題でありますが、權力の源がどこにあるかということを實はわれわれは考えておるのであります。国家警察ということになりますと、これは中央政府が權限をもち責任をもつておるのでありまして、その指令のもとに動くものが国家警察で、地方警察と申しますと、その自治體の首長が權限をもち責任をもつておる。人事につきましても、ある程度の制限はあるいは例外的に認められるかもしれませんけれども、原則としてその自治體の首長が權力をもつている。その權力の源泉がその自治體にある。こういうことになると考えておるのであります。
○佐藤(通)委員 そうすると、人事の交流あるいは職務權限の行使の連絡については中央の方でお考えになるわけですか。
○加藤説明員 ある程度のことは、權力的に命令するのではなく、お世話するのであれば、そういう機關を中央につくりましても、地方警察の本質に背くものではないだらうと考えております。鑑識の問題なり指紋なりを國家の方に集めておいて地方警察の便利に供する等、權力的な行為でなければ中央にいかなる施設をつくりましても、地方警察の本旨に反するものではないと思います。
○千賀委員 やはり世耕事件を引合いに出しますので、私もちよつと氣がさすのでございますが、世耕事件に關しまして、私は主観的に世耕氏が、官憲が悪いということを盛んに力説されることに對しまして、非常に不満であり、また義憤を感じておつたのであります。愛知縣に永く公職に就いておりました際も、できるだけ警察制度というものをピユアーに保つて、ほんとうに民衆が信頼するものにしたいということに關しましては、私どもは率先して努力を續けてきたのでございましたけれども、そうした潜在的な感情があることに對しましても、いたずらに世耕氏の言説をもつて、他を誣うるものだというような感じをもつておつたのでございますが、最近なかば東京都の人となりまして、あちらにもこちらにも知人や友達ができたりいたしまして、民間の實業に關している者、あるいはもつと末端の方に生活をしている者などの意見を聽いてみますと、まことに私は自分の主観が、市民の感じるとは大きな隔りをもつていることを知つて、驚いたのであります。むしろ東京都民の多くの人は、この事件が次々と放送せられたり、新聞に書かれたりするのを見まして、警察關係の人々の腐敗のために當然である。もつと同情的な人は、われわれもやみをしなければ食つていけないから、こうしてやみの生活をしておるが、警察官といへども、現在の給與では、どうしたつて妻子の生活まで責任をもつて負擔することができないのだ、彼らも少しぐらい悪いことをしなければ食つていけないのだから、この世耕事件のようなことが起るのは當然だというような、あきらめ的な感じでこの問題を見ているという事實を知りまして、實に私は唖然とし、また自分の主観的た考えが正しくなかつたのだということにも驚いたのでございます。しかしそういうことをい言う人々に、それならばその實跡をもつてこい、おれは直ちに中央の問題にして、すつかりきたないものは洗つてみせようと申しましても、なかなか口で言うだけで、その實跡は、しからばいつのいつかにだれがどうしたということは、はつきりしたものはもつていないようではございますが、しかしほとんどこの問題について、萬人が萬人、口を開く都民が、むしろ喧嘩兩成敗と申しまするが、警察官がさように世耕氏に言われることも當然だというような感じをもたせるまでに至つたことには、相當ここには官憲側の反省すべきとことも多いのだろうと思うのであります。しかしながら、さらにこれを同情的に見ますれば、なんと申しましても、都民がよく喝破しておりますように、生活が現在の給料では立ちいかないということが、一番の根本ではないでしようか。かつてはわが同胞の青少年の優秀なる者は、ほとんど海軍兵學校にいき、陸軍士官學校にいつた。日本の第一流の青少年はこちらに吸収をし盡されたというような形があつたのでございますが、今がそれらはすべてむなしくなつた今日、この國家治安を維持する警察官の待遇をこれに追随するまで、あるいはこれを超過しても結構でありますが、この重要な警察官の収入を飛躍的によく改善いたしましたならば、將來あるいは現在、國民の子弟中優秀なるものこそ、われを争つて就職を希望し、またこちらに重大な關心をもつていき、どうにか國民の最上層の青年をもつて組織されることになると思います。そうなれば、今までの國民の番太屋敷的な感じが、一朝にして尊敬の念となり、あるいは羨望の念となり、青年たちのほんとうの翹望の的になつてくると思つてくると思うのであります。そうなれば、警察官が非常に純潔になりまして、しかも國民愛護のうちに、わが治安維持を徹底していくことは易々たるものであると思うのであります。要するに、これは待遇の飛躍的な改善がやはりすべての根源になると思います。いたずらに機構いじり、あるいは作文的な美辞麗句を、こうした末端の仕事に携わる人たちに送るだけでは、國民感情まで直していつて、それらの人の志操を高めることはむずかしいだろうと思います。さいわい現在機構の大變更の直前にあたりまして、内務大臣も御出席でございますが、私の今感じておるような點をどうお考えになりますか、伺いたいと思います。
○木村國務大臣 千賀さんのお説でございますが、私もあなたのお説の通り同じ感じをもつており、御同感でございまして、できるならば警察官の現今の待遇を飛躍的に改善向上いたさせまして、警察權の威力のみならず、また警察權が徹底するように、また國民の信頼に副うようにいたさせたいという希望をもつておるのであります。ただ御承知のごとく、ただいまの國家財政のもとでは、日本のこの内閣は、まず表看板が財政の危機突破に直面しておるとの大使命をもつておりますので、そういうこととにらみ合わせまして、國家の財政の面からできかねておるのであります。お説のごとく、最近に内務省の機構の改革に伴いまして、新たに總理大臣直轄の公安應というものができまして、これによつて改革を企圖します際に、一般の考慮が拂われるのではないかと私ども考えております。簡単に御答辯いたします。
○笠原委員 ちよつと私は、先ほどの警保局長さんでかの説明について一、二點伺いたいと思います。大體内務省の方の意向では、司法警察と行政警察は區別しないで、やはり同一機關をもつて二つの作用を行わせるというように聽いたのですが、そういうことになりますと、從來と同じような弊害がやはり生じてくるのでありますが、そうしたあらゆる弊害はどういうふうな方法をもつて除去していくかということの不安をもつておりますので、この點をお尋ねしておきたいと思います。 それからなお地方警察と國家警察の問題でございますが、こういうふうに地方警察と國家警察とわけた場合におきまして、地方警察も、先刻來申しますように、司法警察の作用をやはり行わせるようになるのでございましようか。その點をひとつお尋ねしたい。 それから地方自治體の警察の方は、監督が地方自治體にあるようになりますから、結局内務省の期待するような警察作用のほかに、なおあるいは地方自治體によりましては、税金とか出納とかいうことの仕事も、警察に行わせる方が適當と認めるようなことがあるかもしれませんが、そうすると職務權限が地方によりまして、まちまちになるわけでありますが、そういう場合におきまして、地方においては地方警察法というような法律をもちまして、大體警察の機構というものを縛つていく考えであるかどうかという點をお尋ねしたいと思います。それから先ほど警察機構の改革の點について機構の強化と民主化の二重點によつて、改革していくということを申されたのでありますが、警察制度のいわゆの民主化をどういう方法でやるか、具體的な方法がありましたならば、その點を併せてお尋ねしたいと思います。
○久山政府委員 司法警察と行政警察を分離せずに、一體として警察がこれを運營していくという方法で私どもはいきたいと、かように考えているのでありますが、私どもはそれを一體的にもつがゆえに起こる弊害というもの、あるいはそれを分離すれば起らない弊害ということを、分離すれば弊害がなくて、一體にやつておるから起こる弊害ということを、それほど明瞭には認識していないのでありまして、もつておろうがおるまいが、本來起るべき弊害、缺陷が、いろいろ警察の運營の上にあり得るわけでございまして、殊にそれを司法警察と行政警察という観點から眺めました場合に、ただいまも企畫課長がお話いたしましたように、一人の専門家の刑事警察に専從する者が、一般的な異動に伴つてそのほかの部面に送つていくというふうなことなどにつきましては、異動のやり方と申しまするか、方針の上で、警察の方と協議してやることもありましようし、いろいろそれを防ぐ方法はあると思いますが、しかし根本において犯罪の摘發におきましては、むしろ刑事専從者がそればかりをやつておりますけれども、犯罪の大きな部分、七〇何%から八〇%というものは、一般の外勤の警察官と申しますか、派出所なり駐在所なり、その他全國津々浦々に、犯罪の豫防のために行政警察の第一線としております警察官が、それをあげておるというふうなことが、實情であつたようなこともあるわけでありまして、司法警察と行政警察の兩作用を、一つの警察が握つておることから起る司法警察という面からみた場合の不十分なことは、これは運營の方でいくらでも協議の上に適當にやつていけるかと考えておるのであります。 それから地方に委譲いたします場合におきましては、もちろんその警察が一體としていくわけでありまして、その警察の作用として行政警察、司法警察、兩方を地方警察として委譲された自治體が責任をもつてやることになるものと考えます。もちろんそういつた場合には、全般に通じます基本的な法律は、司法警察官法と申しますか、全體に通ずる警察の機構につきましては、ほかの法律でこれを制定することになろうと思います。しかる上にその地方ごとに地方自治體の法規をもちまして、ある種の執行を警察にやらせるということはあつてもいいと思いますが、大體観念といたしましては、事務に關係すればするほど、警察の純粋性と申しまするか、それが潰れてくるのでありまして、本來の警察と申しますか、最小限度の治安の維持ということに、できるだけ限定して、警察にこれを執行させる。警察にやらせることが便利だ、効果があるからというので、税金をとつたりその他のものを収めたりすることは、私どもはできるだけそういうことでなくいきたいと考えておるわけであります。警察全體の民主化ということにつきましては、實はまだはつきりした具體的な案を持つておらぬのでありまして、内務部にもちろん採用なり教養の上におきましても、できる限りの力を注いでおりますので、運榮の際における民主化ということにつきましては、具體的な案をもつておらぬのであります。行政刷新、行政運榮の監察指導というような制度と關連いたしまして、執行につきましても適當な方法がありますれば、それを取入れるにやぶさかでありませんが現在どういう方法を運榮の上に取入れれば、警察の執行が民主化されるかという點については、まだ具體的な結論を得ておらぬのであります。
○松谷委員 今回の地方制度改正に伴いまして起つてまいります中央の施策と、地方自治體との關連に對する質問でございますが、具體的な問題が大分縣に起つておりますので、これについて具體的問題を申し上げ、そうして具體的なお答えを伺いながら、進めてまいりたいと考えております。殊に内務大臣が御出席いただけましたので、根本的な内閣としての御方針等については、内務大臣から御眞意を承りたいと思います。具體的な問題ともうしますのは、去る七月の五日に料理飲食店の榮業停止令という政令が發令されたのでありますが、これに伴いまして、全國一斉に料理飲食店が閉店された中において、大分縣の別府は、七月五日の大分縣の合同新聞の記事によりますと、副知事を委員長といたしまして飲食榮業對策委員會というものを設けまして、殊に各警察ごとに地方委員會が制定されたとなつておりますが、ここにおいて藝妓の失業對策という名目のもとにおきまして、藝妓榮業取締規則を中止いたしまして、従来禁止となつていた宿屋その他への出張サービスを認めるということに知事、警察部長が打合せいたしまして、この七・五禁止令によりまして禁止を受けたところの料理飲食店の中から旅館えの轉業を許可し、そうしてこれを旅館に甲種と乙種との二種類をつけまして、新規榮業を開始いたしました旅館のみには轉業の出入りを許可するということになつたのでありますが、この事實をみますと、結局この事實は料理飲食店榮業停止令の政令に對する脱法行為ではないかと考えられるのでありまして、今日この問題が各地方におきまして大きな一つの問題となつておるのでありますが、脱法行為なりや否やの點を承りたいと思います。 それから第二點は、警察部長及び知事以下の官僚が、いわゆる業者と結託する情宣措置としての官紀の肅正が、厳しく要求されなければならないと考えるのでありますが、いろいろと事實の調査によりますと、ちようど七月五日の一週間くらい前からは、その料理飲食店においては、警察関係者の者が大騒ぎをやつておつたという實情調査もできておるのであります。また本件は藝妓の失業對策として許可されたものであるとは申しておりますが、藝妓というのはわずか50名くらいであり、約その十數倍以上に上ります仲居とか使用人とか女中その他が関係しておる。この事實は旅館、飲食店關係に對する何らの措置が講じられておらないということから考えても、そこに大きな情實關係があるのではないかというこが、土地の各方面からあげられておるのでございます。なおこの問題につきまして、七月十五日の毎日新聞は警警視廳の意見を發表いたしておりますが、大分縣においては轉業した旅館に藝妓の出入を許可しておるが、今度の料理飲食店榮業禁止取締令が、旅館に藝妓を招いて客の接待をすることを、待合い同様禁止しておるので、警視廳は許可はしないということを、警視廳の意見として發表されておられるようでございますが、旅館で遊興的な飲食は許されておらないといわれわれも考えております。よしんばそれが持込みの材料であるといたしましても、それはやはり取締りを受けなければならないはずであると私どもは解釋をいたしておるのでありますが、これについても當局のお考えを伺いたいと思います。なおこの問題は、中央政府の施策と地方團對との意思の食違い、あるいは首腦部に對するところの意識的な反抗、あるいはサボタージュということが豫想されておりまする今日、非常に大きな問題であり、また最初の一つの現象として取上げなければならない課題であると考えるのでございます。なお先ほども觸れましたが、官紀の肅正という點につきまして、新内閣が發足するにあたつて、官紀の肅正には一つの大きな新しき手を打つというその現内閣の性格からまいりましても、ゆるがせに放置することのできない問題ではないかと考えるのでございます。これに對しまする御意見を伺いたいと思います。あるいはこれに對して何らかの措置を當局で早やおとりになつておられるかどうか、また今後おとりになる意思があるかどうかということをお伺いいたします。
○木村國務大臣 松谷さんの御質問で、私は今初めて大分縣の別府の問題を承知いたしたようなことでありまして、私の手もとへはまだそういう報告には接しておりませんけれども、警保局といたしましては多分この報告は受けておることと思います。ただいま初めて承りましたので、その點を質してみる時間を今ここにもつておらぬのでありますが、大體今回の料理屋、飲食店の取締の政令を發令いいたしましたその問題の根本は、食料問題に基因したことでありまして、農林省の管轄の面からこれが批評されて、安本の手でつくられたものでありまして、内務省といたしましてはこの取締りの任にあたりましたようなところから、この政令は三大臣が連名で發令を致しました。今度の飲食店料理屋取締令の政令の意味は、そういう意味で發令いたされたものであります。従いましてこの取締の目標となりますものは、おもに飲食であります。藝妓の營業ということについては、飲食が伴わなければ藝妓という職業に對して、何らこれを、取締まるというようなことにまでこれは觸れておりません。藝妓も一つの營業であります限りは、正当な行為によつて正当な營業する、いわゆる飲食を伴わない營業をいたしまするにおいては内務省といたしましては何らこれを取締るところの方法がないのであります。けれどもただいまのお話のごとく、別府において盛んに出入したことを認めたということ、これはどうも私はへんだと思います。觀光地であろうが、温泉地であろうが、全國すべて旅館に藝妓の出入することは、えて好ましからざる行為をそこにかもし出しますところの弊害がありますので、旅館には正當な營業でありましても、またこのたびのような料理屋飲食業に對する取締政令があるなしにかかわらず、大對藝妓の出入ということは從來禁止してありますから、今回いかなる場合があつても、そういうことを警察だけの權限でもつて、これを許すというようなことがもしありといたしますれば、はなはだおもしろからぬことであると私は考えております。なおこの政令の趣旨の線に背いて、地方警察においてこれを無視するがごとき權限があるとは私は思いませんから、そういうことが事實がありといたしましたならば十分に取締らなければ、國家權力の上から申しましても、はなはだよろしくないと考えております。なお今公安第二課長を呼びにやりましたから、この公安第二課長の手もとでは何かそういう報告ば入つておりはせぬかと思いますが、なお警保局長も來ておりますから、警保局長からもあるいは御答辯をいたすかも知れません。私の責任といたしましてこれだけ御答辯申し上げます。
○久山政府委員 大分に今お讀みになりましたようなことがあつたと私ども聞いておらぬのでありまして、むしろ營業が出來なくなりました料理屋を、宿屋に轉業させたということは當然の措置でありますけれども、そこへ藝妓の出入りを認めたということは、それはそうではなかつたというふうに、私ども聞いておりますが、なお詳細な報告は公安二課長が参りましたら、あるいは私が歸りましたら取調べまして、……、現在のところではそういうことはないように聞いております。宿屋に轉業は認めております。しかしそこへ藝妓を自由に出入りさせることは、そうではないというふうに聞いております。
○松谷委員 ただいま警保局長のお話では、そういう事実はないと聞いているというお話でござまいましたが、これは大分におきますところの新聞にも、日にちを念のために申し上げますと、七月九日及び七月十八日、それから7月一九日の社説にも、これがはつきりとでている事実でございます。この新聞は大分の合同新聞でございます。 それから先ほど内務大臣の大體のご意見は了とすることができましたが、なおその中で、藝妓というものが飲食と伴わない場合には、この取締りによつては取締ることもできないし、處罰する何らのものもないというお話でございましたが、もちろんこの政令によりますれば飲食店に對する営業の停止でございますから、藝妓等はそこに直接の関連はございませんけれども、しかし宿屋に藝妓の出入りを許す、あるいは料理飲食店より轉業した宿屋にのみ出入りを許すというところに、私どもは藝妓というものはえて遊興的なものであると考えますので、そこに飲食というものが伴わないときの藝妓というのは考えられるのでございます。そういう點につきましても、なお一歩進んでの解釋、一歩進んでの御調査というものを、私は徹底的にしていただきたいと考えるものでございます。なおこうした事件が事實であるという點がはつきりといたしました場合において大臣は、大臣のお考えといたしましてで結構でございますが、大分縣の縣知事及び警察部長を出頭させる意思がおありになるかどうか、これはなおその事實眞偽を確かめる前においても出頭させて、その眞偽を質すだけの熱意がおありになるかどうか。 それから第二の點は直ちにこれを撤囘せいむるとともに、その責任者の處罰を厳重に實行なさる御意志があるかどうか。今後の地方自治と中央の政界實施に關しまして嚴然たる態度を全國的にひとつ表明をしてくださる意思があるか。この三點について御意思を伺いたいと思います。
○木村國務大臣 先ほど申上げたことく、料理屋が宿屋に轉業をいたしたといたしましても、すでにそれは旅館でありますから、旅館に藝妓が出入りするということはできないことであります。なお御説のごとく、料理屋であつても藝妓が出入りすれば、えてこれは遊蕩的なものであるからして面白くないじやないかというような御説のようでありますけれども、御見解の見方によればその通りであります。今回の政令の取締は先ほど詳しく申し上げましたように、食料對策の表てから出發した取締であります。そういう方面に及ぶような政令の見解をもつておりませんのでありますから、藝妓といえども一種の國民のもつておるところの權利、一つの營業であります。これを全部料理屋へもどこへも出さず、藝妓の營業を停止するということをいたしますれば、根本的に藝妓營業を許可せぬということになつてきます。そうなつてくるとここに、一面にはいわゆる何十萬という失業對策を、いかにしてこれを補償するかというような問題も起こつてきますので、まず今日のこの議案の御質問對しましては、藝妓の營業權のいかんということには觸れたくありませんが、宿屋に出入するということを縣で特定的にきめたということでありますれば、先ほど申しましたように、よく調査して、事實がありますれば相當な處分をいたしたいと思つております。ただここで申し上げたいことは、知事、警察部長を召喚するかどうか、こういうお話でありましたが、地方自治制が改革になりました今日、知事が公選なつております以上は、内務大臣の權限で自由に知事を中央へ召喚するということはできないことであります。警察部長は召喚することはできると思います。これは一通り調べました上で、事實のいかんによつて取るべき處置についてお答えいたしたいと思います。要はこの實実いかんであります。しばらくお待ちくださるようお願いいたします。
○中島(守)委員 ごく簡単なことでございますが、一、二お伺いしたいと思います。警察法はいつごろできますかということをまず伺いたい。
○久山政府委員 政府としても、この警察の組織のあり方についての意思を決定いたしまして。それに基づいて警察法をなるべく早くというのでありますけれども、ちよつと速記をとめて……。
○坂東委員長 速記を止めて……。 〔速記中止〕
○大石(ヨ)委員 警保局長にちよつとお尋ねいたします。現在日本の國に婦人警官が何人いるか、その人数をお聴かせ願いたい。それから將來婦人警察官というものは、男子の警察官と同じような待遇を受けるか、その他の點について詳細お聴きしたいと思います。
○久山政府委員 ただいまお尋ねの婦人警官は、ちよつと今全體の数を覚えておりませんが、あとで直ぐ調べまして御返事申し上げたいと思います。大分多数の府縣で、婦人警官を採用しておるのであります。その婦人警官もほんとうの警察官として採用しているところと、一般的には婦人警察官といつておりますけれども、ほんとうの警察官でなくて、警察の事務の補助というふうな立場で使つておるところもあるようでありまして、各府縣によりましてこれに對する扱いなり、従つて婦人警官がもつておりまする警察官としての權限の内容につきましても、多少違いがあるようであります。 將來これをどういう風に警察の中で取り扱つていくか。これは非常にうまくいつているところと、どうも期待したいほどうまくいつていないところとありますが、これは採用した人の質にもよりましようし、その府縣の事情によろうと思いますが、成功、失敗、いろいろ批判もあるようでありますけれども、將來の方針として、婦人警察官をどのように警察の中へ取入れていくかということも、實はまだ最終的な意見を決定しておらぬのでありますが、だんだんと各府縣の警察の、これに對する採用後の状況についての見解も伺つておりますので、近くこういつた點につきましても、内務省としての考え方もきめたいと思つておりますが、現在はそういうような状況でございまして、一つその籔字なり、どういう地位、待遇にあるか、權限はどうかということは、後刻報告書類で御報告申し上げます。
○松谷委員 先ほどの具体的な問題は、直接係りの方の御出席を待つて續けたいと思いますが、尚各方面に警察部の情實措置によるところの問題が惹起いたしました場合、また現在惹起しつつある場合において、當局は官紀肅正の面において、徹底的にこれを肅正なさる御意思がおありになるかどうかということを、一應伺わさせていただきたいと思います。
○木村國務大臣 十分に取締まります。官紀肅正の面からそういうことがかりにありましたら、再びあつてはいけないし、將來の面につきましても、同様に官紀肅正の面からも取締ます。
○松谷委員 この問題とはちよつと離れるのでありますが、警保局長にでも、あるいはその他の係の方にでもお伺いしたいのですが、やはり食糧問題に關連してのことでございます。最近幽靈人口の點につきまして、先般來都市におけるところの幽靈人口、あるいは飯場における幽靈人口等については、相當これが徹底的に扱われておつたと考えるのでございますが、實は農林におけるところの幽靈人口についての措置を、當局は考えておられるかどうか。今日聞くところによりますと、農村の子弟において、各都市に學生として出てまいり、あるいは職場に出てまいつている者が、保有量確保というその時期にだけ急遽歸省して保有米を獲得して、また出てくるという状態が、多方面に繰返されており、これが大體百萬石近くにも上るであろうという推測でございます。こうしたところからこの二重配給を摘發するならば、約二百萬石近くのものが出るのではなかろうかということも考えられておるのでございますが、この幽靈人口に對しての取締については、現在いかにお考えでございましようか。
○久山政府委員 幽靈人の問題は警察が今までやつておりましたことは、たとえば今お話なりましたように、飯場であるとか、比較的範圍が限られ、しかもそこに明らかに配給を受けているという疑いがある場合には調査もしたと考えられるのでありまして、それ以外に一般的にたとえば今お話のように、農村についてこれを警察がどういう方法でやるか、ちよつとこれはやる方法もないのではないかと思います。従いまして、一般的な幽靈人口の調査、これは不正の配給で犯罪になりますけれども、ただ漠然と一般的にこういうことをやるということは、實はやつておらぬのでありまして、ある程度そこに犯罪の容疑があるとかいつたような場合にのみ警察がやつておりますから、お話のようにある限定された職場というふうなところにのみやつているわけでありまして、農村全般というようなことになりますと、これは警察だけではどういう權限でこれを扱うかということもありまするので、そういう日本全國的にわたりまする二重人口の調査ということになりますと、これは私の方だけでやるということはできませんので、また安定本部等が中心になりまして、一つの經濟施策の適切なる運営に關する問題として取上げて研究していただく。さようにお願いしたらと思います。
○松谷委員 この問題について御當局では、現在までまだ具體的には考えなかつた承つたのであります。私どももこれはただ單に、安定本部あるいは御當局だけでできる問題とも考えておりませんので、民間側においてもできる限り、われわれが組合等を通して、こういう問題について一々正當な方向にもつていくように努力を進めたいと考えております。殊に農村における幽靈人口——またすぐ新年度の保有米の確定時期がまいりますが、その際においては、ひとつできる限り御當局においても、十分の御措置をおとりいただくことをお願いしておきます。
○坂東委員長 お諮りいたします。治安に關する問題は重大でありますから、この委員會はしばしが開きますが、本日はこの程度でいかがでしようか。
○久保田委員 私ちよつと一言委員長に希望かあるのです。世耕事件、いわゆる隱退藏物資の問題に關連いたしまして、治安及び地方委員會においてもこれに關係しておる問題があると思います。このために、目白の警察署の署長、警視廳の役人、大阪、茨城の警察の主任、部長、各警察官の名前まであげられまして、いろいろと特別委員會においては問題にされておるのであります。われわれはこの意味から考えなければならぬと思うのであります。そのために隱退藏物資特別委員會において出されております書類を、委員長の方から本委員會にもまとめて出していただけるようにお願いしたいと思います。
○坂東委員長 その點は承知いたしました。と同時に、隱退藏物資にかんしましては、この委員會の立場もありますから、隱退藏物資の特別委員會の審議の方法とは、違うわけでもありますので、その點につきましては、追つてまた随時會を開きまして、その取扱いの方針は決定いたします。さりながら今久保田さんの御要求の書類の方は、こちらにも配布されるようにいたします。
○松谷委員 先ほど申し上げました大分縣の問題についての具體的な責任をおもちになる方が、ここに出席なさるという國務大臣のお話であつたのですが、その方がまだお見えになりませんが、これは次會に繼續させていただいて差支えございませんでしようか。
○坂東委員長 よろしゆうございます。
○松谷委員 それから警保局長にお願いしたいのですが、實はたれも御存じなかつたということを承つたのですが、これは大きな問題だと思います。これは地方自治體に今後しばしば生じてくるだろうところの現象と見たいのでございますが、こういう問題について内務大臣が知らなかつたなどということは、私は非常に心淋しく思います。また不満でございます。こういうことについてできるだけ内務大臣にも地方局長からお連絡をいただき、そしてこの問題については後日當局の御態度を説明していただきたいと思います。またその事實が具體的にあるかということは、次回の委員會に續いて伺いたいと思います。
○坂東委員長 本日はこれにて散會いたします。 午後零時三十五分散會