司法委員会 第64号
- 発言数
- 35 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1947/11/28
会議録
○松永委員長 會議を開きます。 日程を變更し請願を會議に付したいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松永委員長 御異議なしと認めます。それでは請願の審査にはいります。伊東警察署警察官の職權濫用竝びに住居浸入に對し、公正なる司法權發動の請願、文書表第四五六號を議題といたします。紹介議員の紹介、説明を願います。明禮輝三郎君。
○明禮輝三郎君 静岡縣下における新憲法蹂躪に伴う同縣警察官吏の職權濫用竝びに住居侵入等不法行為に關する件であります。内容を申し上げてみますと、被害者は静岡縣伊東市玖須美區元和田三百九十二番地、不二食品工業株式會社、右代表取締役原信吉、加害者は静岡縣伊東市伊東警察署署長、静岡縣警部角ヶ谷敏郎、同署勤務同縣巡査、元經濟防犯係主任、巡査部長三枝寛司、同署勤務同縣巡査、經濟防犯係刑事巡査、平野才市、同署勤務、同縣巡査、經濟防犯係刑事巡査、塚本繁、同署勤務、同縣巡査、經濟防犯係刑事巡査、湯山貞治、この人々に對する被害者不二食品工業株式會社からの問題であります。事實を申し述べてみます。 第一被害事實、被害者不二食品工業株式會社は、資本金十八萬圓で本店と工場を静岡縣伊東市玖須美區元和田三百九十二番地にもつて、主たる營業種目は受託製麺包と受託粉食加工であります。會社の代表取締役は同市岡千百五十五番地原信吉であつて、同人が會社の營業と工場の管理を總括主宰しておるのであります。なお代表取締役原信吉のもとには、事務員として原一、長谷秋雄、工員前島四郎作、同町田勝、この四名が働いております。加害者角ヶ谷敏郎は静岡縣警部で、同縣伊東警察署の署長の職にあつて、同署管轄區域内の司法警察、行政警察全般にわたる事務を統括處理し、かつ自己の部下として、加害者三枝寛司、同平野才市、同塚本繁及び同湯山貞治を指揮監督して、經濟違反の檢擧取締べなど、經濟防犯係の事務を處理さしている。加害者三枝寛司は静岡縣巡査で、同縣伊東警察署經濟防犯係主任の職にあつて、角ヶ谷署長の指揮監督のもとに、加害者平野才市、同塚本繁及び湯山貞治に補佐せられながら、經濟違反の檢擧取締等の經濟防犯係主任の職務を担任處理している者であります。加害者平野才市、塚本繁、湯山貞治は、いずれも静岡縣巡査で同縣伊東警察署經濟防犯係刑事の職にあつて、角ヶ谷署長の指揮監督のもとに、三枝部長を補佐し、經濟違反の檢擧取締などの經濟防犯係の職務を担當處理しているものであります。三枝部長、平野巡査及び湯山巡査の三名は、昭和二十二年五月五日午前十一時ごろ、會社の事務室東出入口から、まつたく突然にはいつてくるや否や、居合わした會社代表取締役原信吉や會社員に何らの挨拶もせず、何らの理由も話さず、裁判官の發した押収及び捜査の令状も示さず、また右原信吉その他會社員に對して押収及び捜査に關する諾否を認めることもしないで、まつたく會社側の意思を無視して、湯山巡査は會社の事務室に居残つて監視の役を勤め、三枝部長と平野巡査は、事務室とその南側に隣接する工場との出入口の右側に「無断出入を禁ず」と大きく書いたはり札がはつてあつたことにも構わず、その出口から無断かつ勝手に工場内に侵入して事檢捜査を初めたのであります。會社代表取締役原信吉始め他の會社員は三枝部長から何ごとも話されていなかつたのだから、同部長らが捜査しようとしている場所はどこか、押収しようといている物は何かについては、まつたく知るよしもなかつたのでありますが、三枝部長つのやつているのを見たところによると、三枝部長と平野巡査の二人は、工場内にはいつて、粉置場の袋入りの粉を調べたり、製パン所にあつた臺上ブリキカンの中味を調べたり、戸棚を開けて見たりして、手當次第に器物を點檢したのであつたが、結局押収すべき何物をも發見することができなかつた。それで今度は工場の西南隅の西側に隣接する會社工員前島四郎作の住宅に行つたのである。そのとき前島四郎作は、座敷の中央で晝食をとつていたのであつたが、同人にもやはり挨拶した様子もなく、同人方臺所にあつた桶の中を調べたり、鍋釜の中を調べたり、やはり器物を手當たり次第に取調べ、さらに押入の中まで調べて、残る隈なく點檢捜査した。しかし結局押収すべき何物も發見できませんでした。それから三枝部長と平野巡査は、工場に引返してきて、會社の工員に命じて近所から臺秤を借りてもつてこさせ、工場にあつたメリケン粉の重量を計つて、粉の現在量を調べ、會社がお客から受取つた原料粉の總重量等を會社の帳簿によつて取調べた上、平野巡査から五十七貫三百二十匁は餘剰の粉と認めるから、警察から何分の命令があるまで、動かしてはならぬという命令が下された。すなわち三枝部長と平野巡査は、會社の所持していた粉の中から、五十七貫三百二十匁を、會社の承諾を得ず、また裁判官の令状なくして押収したのであります。そうして、會社の事務室で終始監視の役目をしていた湯山巡査とともに引揚げて帰つたのであります。五月八日午前九時、伊東警察署經濟防犯係官に會社の代表取締役原信吉を呼び出して、平野巡査は三枝部長、立會のもとに、原信吉の取調べを始めたのでありましたが、この取調べをなすに至つて事情は全然告げませんでした。ただ會社の事務員が違反をしたのだが、會社の代表者として責任上どう考えるかと聽きただしたにすぎなかつたのであります。それから會社には五十七貫三百二十匁の餘剰粉があるから、食糧營團にそれを供出しろと命じて、原信吉から委託者から預かつておるのもので、會社の所有するに帰するか否かは後日精算するまで判然しないという理由で、供出を拒絶されたにもかからわず、これをしりぞけて食糧不足の際ゆえ食糧營團に供出しろと命じ、結局原信吉をして義務がないところの供出を承諾するのやむなきに至らしめたのであります。この結果、八日夕方静岡縣食糧營團伊東出張所員は、伊東警察署の命令なりと稱して會社から五十七貫參百二十匁の粉をもち去つたのであります。角ヶ谷署長は以上の五ないし七の實行に參加していなかつたが、そのことを理由として責任を免れることはできないと考える。というのは、角ヶ谷署長は、その指揮監督する參枝部長、平野巡査及び湯山巡査をして、以上の五ないし七のことを實行さしたものであるからであります。なお押収捜査押収物の處分など監督官たる警察署長の決裁に基き行われるものであつて、部下の警察官の獨斷で行われることはないのである。從つて以上の五ないし七のことも參枝部長等の監督官たる角ヶ谷署長の決裁ないし命令に基いて行われたものと言わざるを得ないのであります。角ヶ谷署長以下五名の警察官を告訴するに至つた事情、及びその經過。 こういうことでこの事件は起こつておるのでありまして、告訴いたしましたのでありますが、その告訴をして、どの程度取調べられておるかということが問題だということであります。要するに、この犯罪調査押収というのは憲法の保障に基いてやらなければならぬのであるが、その適法なる手續きをとらないでやつて、しかも物を押収して行たということがいかぬのだ。それは警察側から言いますと、承諾のもとにやつたのだと言うておる。ところがこの請願人の方から言いますと、その承諾はなにもしないのだ、黙つて方々掻きまわして調べていつたのだからいけないのだということのようであります。要するに、この場合に一應了解を得て、こういう手續きを警察官がやられましたが、何らその點についての十分な承諾もないのに、いわゆる今までやつておりました警察の慣習というか、やり方がここに現われていたのではないかということであります。かような意味で、この警察の人を告訴してあるが、その告訴の取調べ經過、あるいはどういう方法によつて後始末ができておるかということが伺えれば結構だと存ずるのであります。なおまたこれについて、今後の問題もございますので、將來これがまだ處分していないといういことでありますならば、どういうふう處理されるかということをお伺いしたいというのが請願の趣旨であります。
○佐藤(藤)政府委員 ただいま伊東警察署警察官吏の不法な處分行為に對する請願の御趣旨を拝承いたしたのでありますが、まだ本省の方のこの事件について經過の報告がございませんので、詳細は存じませんが、ただいま拝承いたしましたところでも、もしさような不祥なことができたといたしますれば、告訴もあることでありますから、現地の檢察廳において、慎重にこれを扱うことと存じておるのであります。檢察廳の方で取調べた結果、事實が判明いたしますれば、その處分をする前に、必ず本省の方に打合せがあることになつておりますので、報告を受けましたならば、本省といたしましても、十分慎重な態度でこれを處理いたしたいと考えておるのであります。なおかような事件は、檢察廳の指揮命令のもとに行われたものではないだろうと思いますが、今後も警察官が檢察廳に連絡なく、かような犯罪捜査に名をかりて、不法行為をいたすことのないように、十分に徹底するように注意いたしたいと考えております。
○安田委員 私は實質についてではありませんが、この際この請願に關連いたしまして、一言いたしたいのであります。私はたただいまの請願の御趣旨を承りまして、これがはたして請願に適する事案であるかどうかということに疑問をもつているのであります。國會に對してなされる請願は、國會の何らかの處置を要望するのが請願でなければならぬと思います。ただいま承りますところによると、告訴に對しての檢察廳の處置がわからないから、その點についての政府の説明を求めるという御趣旨である。これは私は請願に適しないものだと思います。かようなことを取立ててやかましく申し上げるのもいかがかと思いますが、もしかようなことが請願として國會において取上げられるという慣例がつくられますならば、私は將來司法委員會においては、何百、何千というこれと同種の請願がなされるということになるのじやないかと思います。本件についてとやかく申し上げるのではありませんが、かような意味におきまして、先例としてこの請願についてはお互い委員が考えておく必要があるのではないかということを意見として申し上げておきます。
○明禮委員 今申し上げましたいのは事實を申し上げたのでありまして、なるほど檢察當局のそれに對してとやかくここで言うよりも、政府當局におきまして、こういうような事案に對していかなる取扱い、最も公正なる憲法に適したところの取扱いをお願いいたしたいという趣旨でやつておるのでありまして、檢察當局が警察のその問題を、かような具體的な事實をあげて、公正なる取扱いを將來憲法保障のもとにできるようにという請願であるので、ほかに他意はないつもりであります。
○安田委員 ただいまのご説明に、私理論上異つた意見があるのでありますが、それを申し上げますのは、不必要に時間をとりますから、申し上げることを遠慮いたしますが、すべて請願は國會の行動、あるいは國會が政府に對して何らかの命令あるいは要望をなすといういことを要求する抽象的な問題でなければならないと考えるのであります。具體的な箇々の司法事件についての請願ということについては、將來取扱う場合には考慮すべきものであろうというように考えております。
○松永委員長 それでは本件についての一應の審査を終了いたしました。なお盡しません點は、適當の機會に取上げることにいたします。 —————————————
○松永委員長 次に最高法務廳設置法案について審議を進めます——鍛冶良作君
○鍛冶委員 御多用中わざわざ大臣に出てもらつて恐縮ですが、辯護士をやつておいでになつた大臣として、特にお願いしたいわけであります。ご了承を願いたいと思います。 檢察事務の取扱いについては、本法によつて行われるものと考えますが、檢察官の補佐として司法警察官をお使いになるものと心得ますが、その點についての明文を缺いているいようでありますが、もしお使いになるとするならば、この法律によつて、どういうことでやるという規定があるか。その點を伺います。
○鈴木國務大臣 それは最も大切な問題でありますが、法案の問題としては適當でないと思いまして、他の法律に譲つたわけであります。殊に檢察の方は、檢察廳法という別な法律がありまして、その方でやつております。これはただ内局たる刑事局が檢察局に代るといういだけで、一般刑事政策の監督、檢察事務、檢察廳の組織をどうするかということを調査研究している部局でございますから、さよう御承知願いたいと思います。そこで、司法警察官を使うかという問題につきましては、もちろん使うのであります。それで警察法を制定いたしますときに問題になつたのでありますが、檢事が警察官を使うということが、警察法の中に規定してあるのも、少し體裁上ぐあいが悪いというので、刑事訴訟法の方で規定するといういことにいたしました。檢事は司法警察官を指揮命令することができる。そうして警察法の方には、就職の際宣誓を命ずる。一切の法律命令に忠實に服して勤務する。もしその宣誓に背いた場合には、制裁を受け、懲戒を受け、免官されることを覚悟する。こいうことになつております。そうしてこれは刑事訴訟法の中に改正案として御審議を煩わすつもりでおりますが、その言うことを聞かない警察官に對しては、檢事は、檢事總長からするか、あるいは檢事正からするか、この點はまだ未定でありますが、公安委員會に向かつて懲戒權の發動を要求することができる。また要求に應じなければならないというようにいたす予定であります。そのほか御承知のゆに、檢察事務官というものを一人の檢事に三人ぐらいの割合でおきまして、これは司法警察官でなお足りない、あるいは實際警察官などを使うに不適當であるような事件について、獨立に捜査と逮捕とに任ぜしめる、こういう豫定になつておりますから、ほぼ檢察活動は遺憾なきを期し得ると存ずるのであります。
○鍛冶委員 そこで承りたいのは、その司法警察官なるものは、官廳のいずれに属するものでありましようか。
○鈴木國務大臣 通常いうところの警察官は、自治體警察の警察官は自治體に属し、國家司法警察の警察官は國家公案廳の管轉に属するものであります。それから司法檢察事務官としての司法警察權を有する事務官は、檢事總長のもとにあり、法務總裁のもとにある警察官であります。
○鍛冶委員 してみれば、本法における法務廳のもとにある檢察廳に属しておらぬ警察官を借りて使うということになるわけだが、そこでわれわれ多年の經験で見ておりまする問題は、仕事をする上において、監督權はあるかしらぬが、これに關する任免權、あるいは平素における監督權はないわけになるだろうと思います。そこで起る問題は、警察官が行過ぎをやつたり、今請願にあつたような事實がありましても、前もつてそういうことのないようにこれを制御し、または不都合のあつた場合に、人權を握つて左右することがなされないことでありますから、この點において非常な不便及び不都合なる事實が起こるだろうと考えますが、これに對して司法大臣はいかにお考えになりますか。
○鈴木國務大臣 仰せの通りでありまして、その點は制度の改革に際しまして十分考慮いたしたのでありますが、遺憾ながらわれわれの要求する司法警察官を、全般に檢察官の指揮のもとに置く、身分權ももつということは、いろいろな事情で成功しなかつたのであります。そこでい妥協的な案として、ただいま申し上げたようなところに落ちついたのであります。檢察の方面としては、できるだけ多く檢察事務官を採用することにして、警察等の仕事に經験のある者を檢察事務官に採用することによりまして、自分の自由に使うことのできる獨立の警察官をもつということで補充していきたいと考えております。その人員は、ただいまのところ三千人を豫定しておりまするが、三千人で足りなければ、さらに増加することが可能であると考えます。
○鍛冶委員 檢察補佐官の點は、まことに結構だと思いまするが、實際に當つては、補佐官だけでできるものでなかろうと思います。どうしてもそのほかの警察官を使わなければならぬと考えるものであります。ただいま努力したいとおつしやいますから、その點に關しては敬意を拂いますがこれは特に私は鈴木司法大臣に申し上げたいと思います點で、この主張をいたしますのは、私も辯護士をやりましてかれこれ二十七、八年になりますが、その以前にもう二十年も前から、先輩方がぜひとも司法警察官は行政警察官から離して使わなければならぬという問題が起つてきておるのでありまして、ここ二十年來というものは、おそらく司法畑における世論であると斷言してはばからぬと思うのであります。殊に辯護士出身の鈴木さんが司法大臣になられる以上は、この警察法の改正竝びに法務廳のできるとき、このときこそ私は千載一遇の機會だと思うのであります。どのような御協力をせられたかは知らぬが、ぜひともここでこの點を實現しなければならぬという御熱意があるかどうか、またこれに御贊成でありましようが、もし司法省で足らないならば、他の方面においても助力を求めるところもなきにしもあらずと思いますが、この點に對する大臣のお考えを承りたいと思います。
○鈴木國務大臣 その點については、詳細に申し上げることを差控えますが、まず私は就任の第一聲において、刑事警察と行政警察と分離し、行政警察を檢察陣のもとにもつてくるということを宣言したくらいでありまして、最大限度の努力を拂つた。しかし遺憾ながら諸種の事情から、その目的を全般に完遂することができなかつた。こういうふに御了承を願いたいと思います。 〔速記中止〕
○松永委員長 速記を始めて。
○鍛冶委員 お言葉の點、察知はいたしまするが、これは昨年日本辯護士協會が主催して、全國辯護士大會を開きましたる際にも、同様の議論が出ました。それは主として共産黨系の諸君から、そういう議論が出たのであります。集中してはおもしろくなかろうというようなこと、しかし警察官すべてを司法檢察廳の部下にするというならば、こらはそういうことも考えられまするが、われわれが考えまするのは、現在實際問題から言うと、下部警察署における司法主任竝びに刑事、あの程度のものなんです。そのほかの行政をやつておるものは、これは手を借りる特別のものを設けてもよいが、あれだけのものをぜひとも檢察廳の下におくべきものだ。こういうのでありまして、そんなに考えられるほどのものではないと考えます。これがまあ反對に對する辯駁だありますが、實際問題として、この前神奈川縣における選擧違反の大人權蹂躙のあつたとき、檢察當局で言われたことは、われわれが指揮監督をしたというので、われわれに責任があると言われるが、こつちに任免權がないじやないか。罷免權もないじやないか。その罷免權をもたないものが、部下がやつたということに對して責任をとるということは、條理に合わぬではないか。檢察當局がやかましく言われた點を記憶しておるのであります。これらの點から考えまして、全警察官を司法警察官にするというのではないから、何とかしてここで改めることに——司法當局として盡されたというならば、議會人であるわれわれも全力を盡してやるべきものではなかろうか。その點に對して、今まではその機會がなかつたかは知らぬが、この機會において、政府としての力の足りないことでも議會のを借りることを、私は進んで司法當局がおつしやつていただいてもよいではないかと思つております。これは答辯できないことであればいたし方ないが、差支えない限りで、その點について御答辯を願います。
○鈴木國務大臣 お説はごもつともでありまして、私としては最大限の努力をしたつもりであります。ゆえに政府としては、これ以上努力はいたしてもちよつと見込みがないという形になつておりますから、國會の方で、ひとつ新たなる意気込みをもつて御努力くださるということであれば、もとより結構な次第で、私としてもお願いたしたいぐらいであります。それだけお答え申し上げます。
○鍛冶委員 さらに承りたいのは、ただいま地方自治體の警察もしくは中央警察廳というお言葉を聽きましたが、なるほど議案はわれわれの手もとへ來ておるかはしれませんが内容は存じません。これはおそらく治安及び地方委員會にかかつておるであろうと思います。ところが檢察廳の補助機關という、檢察事務を取扱わせるという任務をもつていう重大なる法案であります。これはその點から考えますれば、司法委員會へ當然かかるべきものだと考えるものでありますが、一體どこへ行つておるのか。そうして司法委員會にその審議を委ねぬでいいものかどうか。これは大臣としてはおかしいが、この點にといて、どなたでもよろしゆうございますから、お答え願いたい。
○鈴木國務大臣 これはどうも議會の方の問題で、政府の問題じやないのですが、議案をどこへやる、どの委員會で審議させるということは、議長の方へひとつお問いを願いたいと思うのであります。できれば合同委員會ででもやつていただければよかつたように思います。今のところ、治安及び地方制度委員會の方でやつておられますので、御承知を願います。
○鍛冶委員 大體わかりましたが、それでは司法委員會で審議すべき事項があるとお認めになりますかどうか、その點を伺いたい。
○鈴木國務大臣 特に司法委員會でやらなければならないとは私、考えません。結局皆さんも國會議員として、本會議員において審議に參加されるわけでありますから、必要があれば地方委員會に出ていつて質疑もできるのですから、その一點のために警察法全部をこつちにもつてくる必要はない。警察法は、何といつても治安及び地方委員會の審議に付するに適當な案だと思う、あたかも法務廳案がこの委員會に託するに適するごとくに。ですから、これについても、ほかの方に關係があるのもたくさんありますが、それはほかの議員諸君がここへ來て質問してくださればいいわけであります。必ずしもここにかけなければならぬとは考えないわけであります。
○鍛冶委員 ここはかけろ、ここへもつてこいというのではない。ここで審議するのが順序ではないか。ここへもつてこいというのではない。この委員會でも、相當檢察廳に關する問題だから——向うが適當だろうと思いますが、とにかくこの委員會でもその點を審議することが適當ではないか。こういうことなんです。ぜひとも向うをやめて、ここへもつてこいという意味ではありません。私の質問はこれでよろしゆうございます。
○松永委員長 それでは懇談に入ります。 ————◇————— 〔午後四時十七分懇談會に入る〕 〔午後四時四十二分懇談會を終る〕 ————◇—————
○松永委員長 速記を始めてください。この最高法務廳設置法案に對し、鍛冶良作君より修正案が提出されておりますので、鍛冶君の説明を求めます。鍛冶良作君
○鍛冶委員 まだ刷つていないので、便宜私の案を讀上げます。 最高法務廳設置法案中次のように修正する。 一、「最高法務廳設置法」を「法務廳設置法」と改める。 二、本法中「最高法務廳」を「法務廳」と、「最高法務總廳」を「法務總裁」と改める。 三、第一條第二項を次のように改める。「法務總裁は、法律問題に關し、内閣並びに對し、意見を述べ、勧告を為し、又はその諮問に答える。」 四、第三條及び第五條中「法務調査意見長官」を「法務調査長官」と改める。 五、第十條第二項第一號中「収集」の項に「竝びに檢察局の活動を促す事に關する事項」を加える。以上であります。 それでは本修正案の理由を説明いたします。本案の名題は、最高法務廳設置法案と出ておりますが、およそ最高という言葉のつくのは下級のものがあつて、それがだんだん上へ上つてきて、これが最後だというときに、最高という言葉を使うものでありまして、下級のものがないのに、最高という言葉を使うものは、わが日本の國ではありません。おそらくいろいろの事情もありましようが、説明の足りないところ、もしくは日本語のよく了解できぬところから、こういうものが出たのだと思いますから、われわれは國會の名誉にかけて、また最高の立法府といたしましいて、かような法案をつくることは最も不名誉なことと思いますから、最善を盡してこの案の修正をしなければならぬものと考えます。 なお次に、本條へはいりまして、同じく「最高法務廳」または「最高法務總裁」とありますが、最高法務廳と言う「最高」が要いなければ、最高法務總裁という「最高」も同様の理由で要らないものと斷ぜざるを得ませんから、この「最高法務廳」及び「最高法務總裁」は、いずれも「法務廳」及び「法務總裁」と改むべき物と考えるのであります、 次に、第一條第二項の原案を見ますと、「最高法務總裁は、法律問題に關する政府の最高顧問として、内閣竝びに内閣總理大臣および各省大臣に對し、意見を述べ、又は勧告する。」とあります。この「最高顧問」でありますが、「最高」ということは、先ほどの説明でわかりますが、この「顧問」という言葉は、わが日本では法律上におそらく使われておるところはありません。枢密顧問官などという顧問があつたことを覚えています。これからはわが日本語の用語からいたしまして顧問というのは相の手方から問題を受けて、そ相談に應じて答える。換言すれば、消極的の任務をやるものをもつて顧問としておるのであります。そして積極的に仕事をする者は顧問とは使つておりません。しかるに本法を見ますと、積極的に意見を延べ、又は勧告することと、この顧問という意味に各省及び内閣から相談を受けたときに、その相談に應じていわゆる諮問に答えるという消極的の任務もはいつておる、兩方はいつておるということが、昨日來の質問應答によつて明白になつたのであります。從いまして、消極のみという観念をもたせるこの「顧問」という字は、かえつて將來において本法解釋の上に疑義をもたせ惑わせるものでありますから、この最高顧問というのを除きまして、そして「法律問題に關して内閣總理大臣及び各省大臣に對し、意見を述べ、勧告をし、又はその諮問に答える。」こうすれば最も明白に出るものと考えるので、ぜひともかように改むべきものだと考えます。 その次は第三條及び第五條にあります法務調査意見長官という言葉であります。まことにわれわれ未だかつて聽いたことのない名前だありまして、これもおそらく日本語のよく徹底せないところから現われてきた文字であろうと考えますので、日本語の内容をよく説明し、しこうして、この任務の内容を説明するならば、かようなわれわれの常識に反したる言葉を使う必要はないものと考えるのであります。なお調査官とすれば、積極的の意見を述べる權限がないように考えるのじやないかという疑問はあるか知れませんが、およそ調査をするという以上は、調査をした結果、自分でその結果を握つておるというものはないのでありまして、調査の結果は必ずその報告をし、またその意見を述べることは當然であります。舊來においても各省に調査局というものがあり、または調査部というものはあるが、ただ調査をし放しで、そこに握つておるというものはありません。その調査の結果を報告し、それによつて意見を述べることが當然の任務でありますから、意見という言葉を使う必要は一つもないのでありますから、この點十分關係者に説明して、かような日本語に合わせない文字を削除することが最も適當であろうと考えるのであります。 次いで第五の修正點でありますが、第十條第二項人權擁護局における事務として、第一號には「人權侵犯事件の調査及び情報の収集に關する事項」となつております。これはまことにわれわれとしては、殊に私が辯護士といたしましては、双手をあげて歓迎すべき條文でありまして、今まではかような機關がなかつたがために、民間における人權擁護機關として日本辯護士協會なるものが設立せられ、ここに六十年の歴史をもつて、この任務に活躍してきたのでありますが、いかんせん、この人權蹂躙ということは、この蹂躙事件をみずから調査し起訴するところのその任務に當る者が犯す問題であります。從いまして、みずからの犯したことをみずからがやらなければならぬものだから、これは容易に活動できない。日本辯護士協會が六十年に餘る歴史をもつておりましたが、その間私が覚えておりますのは二つあるだけであります。そのほかかような事實を摘出し、調査し、いわゆるここに調査をし情報の収集をいたして、進んで檢察當局に活動を促したことは、枚擧にいとまないほど多いのでありあますが、取上げておりません。たつた二つのわれわれは見ております。かような事から考えまして、せつかくかくのごときよいものが法律に現われましたる以上過去における弊害を根こそぎなくして、多年のわれわれの希望を達成するように、ぜひともここで實現せなければならぬと考えるのであります。しかるに第一號によりますと、人權侵犯事件の調査及び情報の収集に關する事項——調査をし情報を収集するというだけでありまして、この調査によつて人權蹂躙ありと確認したる以上、これによつて活動する機關に活動を促すということが缺けておるのであります。あるいはこれだけのものがあるということになれば、同じ官廳である最高法務廳においてやられたことであるから、當然その調査に基いて、この任に當るべく檢察局で活動するであろうというような議論もありました。一應その點は受取られるようでありまするが、先ほど申し上げたように、活動しようとする檢察當局もしくはその手下であつた、具體的に言えば指揮監督をしておる司法警察官のやつた人權蹂躙を取上げるのでありますから、単に調査をし収集しておるだけでは、その實績のあがらないことは、過去における經験において、われわれは明々白々だと思います。ここにおいて、あるいはなくてもよいかはしれぬが、これだけのことをやつた以上は、さらにこれだけの事實があるとすれば、檢察當局に活動を促すといういことも、ここでやらなければならぬということを、明記しておかなければ、せつかくこの條文を入れた効果がでれこないのであります。司法委員であられる皆さんは、ほとんど辯護士でありまして、過去の經験において、ずいぶんいやになるほど知つておられることだと思う。私一人が日本辯護士協會に關係してかようなことをやつておつたのじやありませんから、この點は十分おくみとりくださいまして、あるいは蛇足の感あるかはしれませんが、過去の實績及び檢察局の實情に鑑みまして、この點を明白にすることを、ぜひとも入れていただきたい。かように考えるものであります。 以上簡単でありますが、修正案に對する理由を申し述べます。
○松永委員長 本案に對する討論にはいります。石川金次郎君。
○石川委員 最高法務廳設置法案について、社會黨を代表して意見を申し上げます。鍛冶委員より提出せられました修正案につきましては、その提案の理由を承わりました。しかし見解を異にするものがございますので、修正案に贊成いたしねます。すなわち修正案に反對いたしまして、政府の提出いたしまいした原案に贊成するものであります。
○松永委員長 中村俊夫君。
○中村(俊)委員 私は民主黨を代表いたしまして、ただいまの修正になされました修正案に反對の意見を表し、原案に贊成をいたします。その理由は、宇旬の訂正につきましては、いろいろと議論もできるだろうと思いますけれども、提案の内容に、何ら影響もなく、また強いてこれを訂正しなければならぬという必要を認めないと考えております。内容の修正に關する點につきましても、原案の内容でその目的が遂げられることだけを考えます。從いまして、冒頭に述べたような意見で修正案に反對し、原案に贊成いたします。
○松永委員長 大島多藏君。
○大島(多)委員 私は國民協同黨を代表いたしまして、本案に對して意見を述べたいと思います。 本法案は、新憲法の施行に伴いまして、從來の司法省のあり方が、當然變革さるべき要請のもとに立案されたものでありまして、適當なるものと、私は考える次第であります。自由黨の修正案に對しましては、一應ごもつともな點もありますが、第五の修正點を除けば、他はほとんど単なる字句の修正でありまして、これはここに改めて修正を必要とするほどのこともないと思いますし、第五の修正點につきましては、從來の行き方からいたしますと、あるいは鍛冶君から御説明のあつたような心配もありますけれども、將來におきましては、ほとんどそういうい心配はないだろうと、私はこう考えまして、強いて修正を必要とするとまで思わない次第であります。以上の點からいたしまして修正案に反對いたし、原案を支持する次第であります。
○松永委員長 本日はこれにて散會いたします。明日は午後一時より開會いたします。 午後五時三分散會