司法委員会 第59号
- 発言数
- 94 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1947/11/22
会議録
○松永委員長 會議を開きます。 戸籍法を改正する法律案を議題といたします。石川金次郎君。
○石川委員 戸籍法の章別を追いまして御質問したいと存じます。現行戸籍法第一章は「戸籍事務ノ管掌」ということになつておりますが、本法におきましては、總則ということに改めておるのであります。しかして規定いたしました内容を見てみますると、現行戸籍法の規定するいわゆる戸籍法の事務に關する管掌を規定したものであるように見受けられるのでありますが、これを總則と名前を改めました理由を伺いたいのであります。何か學理的の理由に基くものであるか。あるいは實際的な必要に基いて改正したものであるかということをお伺いしておきたいと思います。
○奧野政府委員 實は初のやはり舊來通り戸籍事務の管掌ということにしようかと思つておつたのでありますが、大體現在の戸籍事務をとる方のうちわのいろいろなやり方につきましては、むしろできるだけ施行細則、そういうことに落すことにいたしまして、ただ事務の管掌に關する管轄のようなことを規定することになりますので、これはむしろ戸籍事務の管掌というよりも、總則ということにした方がよくはないかということで、その内部の事務の管掌に關することを非常に少くいたしましたので、これをあらためて總則ということにいたしたわけで、別に學問的な意味でも何でもなく、むしろ事務の管掌の事柄については、この法律に基く施行細則その他のことで詳しく規定する意味で、事務の管掌ということがあまり適切ではないというので、總則ということに改めたにすぎないわけであります。
○石川委員 現行戸籍法によりますと、戸籍吏なるものが存在いたしまして、戸籍事務を取扱うかのようにみえるのであります。本案におきましては、戸籍吏の規定が全然なくなつたようでありまして、第二條で、市町村長は戸籍事件については職務を行うことができないということになつておりますが、これははなはだ不便を感じないかどうかをお聴きしたいのであります。
○奧野政府委員 現行法でも戸籍吏という言葉はむろんないので、市町村長が戸籍を扱うことになつております。ただ實際の扱いとしては、市町村長みずからやるのではありませんが、責任者及び法律上は市町村長がすべて戸籍の事務を取扱うということで、現行法でもそういうことになつております。ほんとうの意味における戸籍吏という言葉は、民法その他で、本來もうなくなつておるわけであります。そういう意味で、市町村長というものを表に出したのであります。
○石川委員 現行法第七條を見てみますと「第二條及ヒ第四條ノ規定ハ戸籍事務ヲ管掌スル吏員ノ代理者ニ之ヲ準用ス」この吏員は現行法の市町村長を意味するものかはわかりませんが、しかしそうだといたしますと、代理者その者があるように思われます。新しい戸籍法にはこの規定がみえないのでありますが、これは必要とみなされないのですか。
○奧野政府委員 それは地方自治法百五十二條及び百五十五條あたりで代理のできることがきまつておりますので、當然不必要になつたのであります。
○石川委員 代理者吏員があるといたしましたならば、第二條の規定は、その代理すべき吏員には適用できないということになりますでしようか。その必要がないかどうかお伺いしたい。
○奧野政府委員 代理としてやる場合においては、當然二條がかぶつてまいるというふりに考えております。
○石川委員 現行戸籍法によりますと、その點は七條で明かにしておるかにみえますが、本案におきましては、明らかにしておるところがみえないのでありますが、その必要はないのであります。
○奧野政府委員 それは地方自治で、すべて代理する場合に、差支えがあれば他の代理ができることにもなつておりますので、大體地方自治法でその點は代理の規定によつて解決できるんじやないかと考えております。
○石川委員 市町村に戸籍事件の事務を行うところの代理を置きました場合でありましても、市町村長は第二條の適用を受けるかどうかをお伺いいたします。
○奧野政府委員 地方自治法第百五十二條により代理の順序がきめられております。それでそのものについて職務をとるに故障がある場合におきましては、その代理の順序に從いまして代理ができることになつておりますから、これによつて大體職務をとることができないときには、さらにその代理者の順序によつて職務を代行することになるわけであります。
○石川委員 その代理者によつて戸籍事件の職務を取扱うこととなりました場合におきましても、第二條に規定するように、「市町村長は、自己又はその配偶者、直系尊屬若しくは直系卑屬に關する戸籍事件については、その職務を行うことができない。」という規定が適用されるかどうかというのであります。
○奧野政府委員 やはり當然その場合には第二條が適用されるものであるというふうに考えております。
○石川委員 そういたしますと、第二條は市町村長も適用せられ、戸籍事務を取扱うところの代理者がありました場合には、それも適用せられる、このように理解してよいでしようか。
○奧野政府委員 その場合には市町村長の代理としてやつているのでありますから、やはり第二條が當然かぶつてくると考えております。
○石川委員 第二章についてお伺いしたいのでありますが、戸籍簿についてであります。戸籍簿は正本と副本と二通りあるようでありますが、この二通りを必要とする理由をまずお伺いしたいのであります。
○奧野政府委員 これは第八條の第二項によりまして、正本は市役所または町村役場に備えまして、副本はその監督を受けます司法事務局、從來は區裁判所でありまたが、これに送付して、そこで保管する。一方が滅失いたしましても他方が殘ることになつて、身分關係の登録の完璧を期するということになつているのであります。
○石川委員 さらに進んでお聽きしたいのでありますが、戸籍簿といいますときは、この正本のつづつたものも、副本のつづつたものも、兩方ともに戸籍簿というのでありましようか。
○奧野政府委員 それは双方とも戸籍簿というのであります。
○石川委員 そういたしますと、戸籍簿の正本、戸籍簿の副本というような名稱でありますが、お伺いいたします。
○奧野政府委員 そういうふうに呼んでおります。
○石川委員 今度は第三章でお伺いしたいのでありますが、第十三條中の第八號であります。「その他命令で定める事項」というのは、本法案におきましてところどころに出てくるのでありますが、この十三條第八號の場合の「その他命令で定める事項」というのは、いかなる事實を豫想せられますかをお伺いしたいのであります。
○奧野政府委員 それはたとえば子の認知があつた場合、認知の事柄でありますとか、相續人の廢除を受けます場合には、その廢除に關する事柄、あるいは親權の事柄、後見補佐、後見監督人の事柄、そういつたものを記載いたす考えであります。
○石川委員 同章の二十九條についてお伺いいたしますが二十九條によりますと、「届出人が、これに署名し、印をおさなければならない。」と規定してあるのでありますが、いわゆるサインとでも申しましようか、自分で署名したいという記號とでも申しましようか、サインすることによつて、署名の次の印ということを補うわけにはいかないでしようか、お伺いします。
○奧野政府委員 サインでもつてこれにかえることを、取扱い上は許しております。
○石川委員 さらにその章の三十條についてお伺いしたいのであります。これを婚姻届出の七十四條と關連して考えてみたいと存じます。まず、七十四條の婚姻の點からお尋ねしますと、届出に記載すべき事項が、七十四條に定める事項と、それから届出の一般に規定してあられます事項と、そのほかに三十條の場合を考えてまいりますと、まず例を申し上げますが、子供のありました女が婚姻をいたしますときには、その女は夫の戸籍にはいるということになりましよう。子供だけがそこに殘るのでありますが、はいつてまいりましたところの女は、筆頭に記載せられたる男と結婚せざる限り、新戸籍がやはり編製されるということになるかと思われます。そういたしますと、このときに書いてまいります届出事件に記載しなければならない事項は、三十條によりますと、まず自分がはいつて行くべきところの戸籍の表示と、從前の戸籍と、さらに新戸籍ができる上るのでありますから、その表示を三部ともしなければならぬということになるのでありましようか。
○奧野政府委員 大體さようでありまして、婚姻の七十四條の方は非常に簡單でありますが、すべて通則の方の第三十條がかぶつてまいりますので、もし女の方が男の姓を名乗る婚姻をする場合は、女の方は從前の戸籍から除かれて新戸籍にはいるわけでありますから、第三十條によりまして、それぞれ届出書に記載をいたさなければならないと思います。ただ子供につきましては、これは民法の七百九十一條によりまして、自分の母親が今度變つた氏に變更の家事審判所の許可を得まして、初めてその母親の氏へはいるのでありますから、第一次的には一應子供が殘るということになります。あらかじめの家事審判所の許可ということも考えられます。そういうことになれば、同時にはいることになりますが、そうでない限りは、さらに家事審判所の許可を得て、現在の連れ子のような必要のある場合は、民法七百九十一條において、さらに子供が親の籍にはいるということになるわけであります。
○石川委員 そこで戻つてお伺いするのでありますが、戸籍法第九條にまいりまして、「戸籍は、その筆頭に記載した者の氏名及び本籍でこれを表示する。」ということになりますが、ただいま御説明くださいましたような場合等もあるのでありますから、筆頭に記載した者によつて戸籍を表示してまいりますことが、必ずしも妥當でない場合もあり得ると存じます。それ以外に、何か戸籍を表示するの方法がなかつたでありましようか。お聽きしたいのであります。
○奧野政府委員 實はこの點は少しく十分でないのでありまして、戸籍の表示方法としては、どこどこ何番地というのと、何か人の名前で表示するよりほか現在のところはありませんので、あるいは一々そういうものについて別な番號でもつけるということも考えられるのでありますが、それもなかなか困難でありまして、結局だれか一番初めの人の名前と、その何番地という本籍とで表示する以外にいい方法がありません關係から、筆頭に記載したものと、本籍で表わすことにして、しかもその者が死亡したり、あるいは他の戸籍に移つても、なおかつ移つた者の氏名と本籍で表わすというまことに變なことになるわけでありますが、それ以外に適當な方法がないのでやむを得ず九條というものをつくつたわけであります。
○石川委員 よくわかりましたが、用語についてお伺いしたいのであります。第二十五條に「届出人の所在地」という文字を使います。これは現行の戸籍法と同じでありますが、二十九條にまいりまして、第四號でありますが、「出生の年月日、所在、」こういう文字が現われている。「所在」というのと「所在地」というのは、觀念は同じものであるかと存じますが、同一觀念のものでありますならば、この言葉を違えましたことが、何か理由がありますかをお聽きしたいと思います。法文の上において同一の概念の場合においては、同一の文字をもつて表現いたしますことが當然だと思いますが、あるいは所在と所在地とは別の觀念であるのか、それをお伺いしたい。
○奧野政府委員 大體法律で所在地という場合におきましては、最小の行政區畫を意味しておりまして、所在ということになりますと、その具體的な番地を意味するというふうな用例になつているわけであります。
○石川委員 第四十三條に「届出期間は、届出事件發生の日からこれを起算する。」とあつて、事實の發生の日からこれを起算している。ところで民法の百四十條かによると、「初日ハ之ヲ算入ゼス」となつておりましたが、届出の場合は、事件發生の日からやらなければならない事由が何かありますか。
○奧野政府委員 これは從來と同じような文句であつて、民法とは違いまして、その翌日からではなく、その日も入れてその日から起算するという從來からの慣例解釋になつておるわけでありまして、あるいは解釋上すべてやはりこういうものについても一般法である民法が適用があるというふうに解釋いたしますならば、この場合でも民法と同じく、初日はこれを起算しない、翌日から起算するというふうにも解釋できるのじやないかとも考えますが、從來戸籍法においては、こういう場合にその日も入れて計算をいたす解釋になつております。
○石川委員 第四十四條によると、「市町村長は、届出を怠つた者があることを知つたときは、相當の期間を定めて、届出義務者に對し、その期間内に届出をすべき旨を催告しなければならない。」とあつて、市町村長の事實を知つたことによる届出義務者に對する催告義務を認めたのでありますか、届出を怠つた者があることを知つたという點をひとつ明らかにしていただきたいと思う。たとえば隣りに子供が生れた、あるいは婚姻をした者があつたということを知つたような場合、それが戸籍擔當者といたしまして、當然届出あつたかなかつたかを調べなければならないわけであります。そういう場合をも届出を怠つた者があることを知つたということになりますかどうか。
○奧野政府委員 從來やはり六十四條がその規定でありますが、これは大體において職務上そういう事實を知つたというふうに取扱い竝びに解釋が一定しておるようでありまして、個人的に知つたというものを含めていないことになります。
○石川委員 現行六十四條にこれに相當する規定があるが、そこで一體現行法第六十四條は發動したことがあつたかをお聽きしたい。
○奧野政府委員 相當發動されておるようであります。
○石川委員 そうすると、たとえば職務上知らなければならなかつたというような場合でありますが、その事實をお知らせ願いたい。
○奧野政府委員 戸籍の届出等他の關係でそういうことがわかつてくる場合が相當あるのであります。
○石川委員 第四十四條は、文字の通り讀んでまいりますと、職務上知つたというような範圍に限らないように見られるのでありますが、四十四條の文章をこのままにしておいても、何の誤りも將來起さないでありましようか。從來の六十四條との關係から、經驗から、このままでおくことに何ら變更する必要がないということになりましようか。
○奧野政府委員 從來特に職務上ということがありませんでも、大體そういうふうに解釋されて實行されて、弊害がありません關係から、將來もこのままでも職務したとえば他の人の戸籍の届出等によつて、他の關係の戸籍の怠つた者があることがわかるような場合に、この規定によつて支障なくまいることと考えております。
○石川委員 四十四條でもう一點お聽きしたいのでありますが、市町村長が事實のあつたことを個人的に知つたというような場合なら、あとの四十四條の催告をなすべきでない、こういうことになりましようか。
○奧野政府委員 この文字の上からのみ言いますと、個人的に知つた場合も、當然適用があるように見えますが、これはやはり市町村長として知つた場合を考えておるのでありますので、單に個人的な理由から——市町村長としてではなく、個人として知つた場合はこれに含まないというふうに考えますので、職務上それがわかつた場合でない限りは、これを催告する必要がないものであるというふうに考えております。
○石川委員 くどいようでありますが、もう一點明らかにしておきたいのであります。たとえば國勢調査等がありまして、まだ出生届をしなかつた人が現われた、事實婚をやつておる人が現われた場合、國勢調査にかりに市町村長がその責任者をあてられたということになると、どうなりますか。その場合は市町村長の職務の執行ではなく、別の地位における職務の執行であるから知らなかつた、こういうことになるものでしようか。それをお伺いしたい。
○奧野政府委員 それはやはり市町村長が國勢調査に市町村長という關係から干興するということになりますので、國勢調査の結果出生届の怠つておることがわかれば、やはりこの適用があると考えます。ただ婚姻の點につきましては、これはたとえ事實婚があつても、婚姻届をしなければならない義務がありませんから、これを怠つた者が、あるということには何もありませんから、その場合は催告をすることができませんが、死亡であるとか、あるいは出生の場合は、この規定の適用があると思います。
○石川委員 くどくなりまして相濟みませんが、そういたしますと、國勢調査等によつて市町村長がその地位において死亡の事實、出生の事實がわかつたといたしますと、ただちに催告しなければ、——過料の關係であります。百二十二條に過料に處せられる規定がありまして、その五號に「その他戸籍事件について職務を怠つたとき。」という規定が現われてまいります。この場合は、ただいまのような場合も、やはり過料にならなければならぬということになるでしようか。
○奧野政府委員 やはりこれは織務上こういうことをしなければならない義務とされておりますので、正當の事由なく職務を怠つたならば、これに該當することになると考えます。
○石川委員 それではよくわかりましたから、五十條に進んでまいりたいと存じます。この五十條は非常にいい規定だとは思いますが、ここに常用平易な文字を名前には用いなければならないという規定がございます。そこで常用平易な文字は命令で定めるとなつておりますが、この命令は出ましたでしようか。また出なければ、いつどういう名前で出てまいりましようか。
○奧野政府委員 これはまだ出ておりませんが、大體戸籍法施行規則の中に、この五十條第二項の常用平易な文字は左の文字とするというふうなことで規定を置くことになつておりますが、現在はまだ出ておりません。
○石川委員 その施行規則が出てまいりますのは政令でありましよか。命令という語はこの法案中にありますが、この命令は一體どこから出るどういう命令を豫想しておるかをお聽きしたいのであります。
○奧野政府委員 從來それは省令で出しておりまして、結局五十條の第二項で命令でこれをきめることになつておりまして、その命令はあるいは政令、あるいは省令、どちらでもいいと考えます。場合によりましては、最高法務廳というものができますれば、あるいは法務廳令というようなものでやることになるかと考えております。
○石川委員 小さいことでありますが、第五條の手數料だけは、政令でおきめになることになつておるようでありますが、これは政令できめることが妥當でありましようか。法律によるべきものでありましようか。あるいは政令できめるといたしましても、全國平等にきまつていくものでしようかをお聽きしたい。
○奧野政府委員 これは從來勅令できまつておるわけでありますが、今後は政令によりまして全國一律にきめることになつておりまして、府縣で別々ではなく、一本の手數料の額になります。
○石川委員 五十二條についてお伺いします。これはきわめて簡單ですが、出生届の第一義務者を父といたし、その次に母といたしたのでありますが、なぜ、父を第一義務者としたのか、父と母と共同の連名の届をとらなかつた事由が何であつたか、また父でありましても母でありましても、戸籍の筆頭に記載された者によつてなさるべきだということはお考えにならなかつたか、お聽きしたいのであります。つまりこの場合のみ父といたしました理由をお聽きしたいのであります。
○奧野政府委員 これは嫡出の子については父に届出義務を課しまして、嫡出でない子だけについては、母が届出義務者ということにしております。もつとも子の出生前に離婚した場合には、母ということになるのでありますが、これは大體從來通りであります。これは共同で届出をするということが、一番兩性の平等の原則からいつて適當であるかもしれませんが、これは届出書には必ず父母の氏名を揚げなければならないことになつておりますので、これは便宜上どちらからでも、むしろいいのではないかという考えで、從來通り現行の七十二條の建前をとつたわけであります。
○石川委員 從來通りでありますと、なるほど七十二條の父の届出は當然でありますけれども、變つてまいりました現行民法からまいりますと、連名の父母の届出がかえつて苦情をなくする一つの方法であるとも思われるから、お尋ねした次第であります。 それから、三十七條についてお伺いいたします。この五十七條の規定は、捨子發見の場合における規定なのでありまして、この場合におきましては、第三項で調書をつくらなけらばならない。その調書ができ上がりましたときを届出とみなすとなつておりますが、この場合には新戸籍が編成されるであろうかということをお聽きしたいのであります。
○奧野政府委員 これはその調書が、十五條のいわゆる届出ということに該當して、これに基いて戸籍の編成をいたすわけであります。しかしながら、將來父または母ができますれば、その方に記入をいたすというのが五十九條でありますから、本來は父または母の戸籍に記入いたさなければならないのでありますが、それまでの間かりに新戸籍をつくるということになるわけであります。
○石川委員 そこで新戸籍ができ上つてきたといたしまして、その後に五十九條の父母が現われまして引取つてまいりました場合には、戸籍訂正の申請となつてくるようでありますが、そうなりますと、すでに作製せられたる新戸籍の運命はどうなつてまいりましようか。
○奧野政府委員 結局それを廢止してこの新しい父または母の方の戸籍に入れるということが訂正で、その訂正のうちには古いといいますか、調書に基く戸籍の廢止ということも含んでおるわけであります。
○石川委員 この場合においては除籍という關係は、そういたしますと現われないわけですね。
○奧野政府委員 實質は除籍になるわけであります。
○石川委員 そういたしますと、戸籍の記載があつた、父が現われてそれを引取つた、そうすると戸籍が除籍といたしましてまだ保存されるということになるのでありますか。
○奧野政府委員 さようであります。
○石川委員 そうなつてまいりますと、今度は訂正ということはどうなつてまいりましようか。除籍後に訂正という事實が加わつて、それが除籍にまわる、こういう記載方式になるのでありますか。
○奧野政府委員 普通の戸籍訂正と違いまして、結局片方に記入して片方を除籍するということが、普通にあるものを消して甲乙とかえるというのではなくて、一方に出生届によつて父または母の戸籍に記入し、他方において除籍をするという全體がここにいう訂正ということになつておるのであります。
○石川委員 そういたしますと、一旦記載せられました戸籍は、廢棄せられることは全然ないわけでありますね。いかなる場合を豫定してまいりましても、戸籍の廢棄ということはあり得るでしようか。
○奧野政府委員 それはないわけであります。
○石川委員 それでは今度は第三節の認知についてお伺いしたいのでありますが、この認知場合は、男である父の認知の場合の規定はありますが、これは母の認知がどういうふうになるかをお伺いしたいのであります。
○奧野政府委員 この點はやや民法と違うのでありますが、戸籍法の上におきましては、母の認知ということはなく、母の關係は分娩という事實によつてきまるというふうに考えておるわけであります。
○石川委員 母が、自分の胎内に子がおりましたときにのみ、生れ出でたときにのみ認知ということができませんでも、將來時間が經ちますると、母が捨子等の場合は認知という方法でもいける、戸籍訂正の方法でもいけるということになりますか。
○奧野政府委員 その場合はやはり出生届という形式に戸籍法の上においてはなるわけであります。
○石川委員 そうすると、この母の認知という規定が民法には規定せられたけれども、實際これを取扱う戸籍法においては、何ら規定する必要はなかつたのだということにお伺いしてよろしいですか。
○奧野政府委員 まつたくその通りであります。
○石川委員 今度は九節に移ります。現行の戸籍法によりますと、診斷書、檢案書、檢視調書の三つが上つております。私わかりませんでいろいろお伺いすることは恐縮でありますが、まずこの檢視調書というものが八十六條から除かれております。現行法百十六條には檢視調書という言葉が表われておりますが、八十六條からはこれを除いてありますが、特にお除きになりました理由をお伺いしたいのであります。
○奧野政府委員 これは死亡届出に關する様式が全部規定されました關係で、その必要がなくなつて、死亡届出の中にひな形で記入するということになつた關係上、それを落したわけでございます。
○石川委員 從來ありましたものでありますから、いまさらこの概念を明らかにお伺いする必要はないと思いますが、なお一層明らかにしておきたいと思います。檢案書というものと、檢視調書というものは、どういうものであるか。形式等を定めることが法律できまつておりません。そうしますと、命令で定めるのか、必要な事項として法務總裁がこれを規定していくのか。それをお聽きしておきたいと存じます。
○奧野政府委員 命令というのは、結局今後司法省令に代つて法務廳令ということになりますが、その届出書のひな形の中にその形式が定められるわけであります。
○石川委員 もう一つ八十七條の讀み方を聽きたいと思います。「左の者は、その順序に從つて、死亡の届出をしなければならない。」これはわかりますが、「但し、順序にかかわらず届出をすることができる。」この文句は現行戸籍法にもあります。そこでどうしてこれが重複しているのかをお聽きしたいのであります。
○奧野政府委員 一應は順序をきめて、まず同居人、同居の親族、あるいはその者がやらない場合においては、その他の同居者ということになりますが、これは結局全體的に見て、一種の届出義務があるわけでありますので、時宜によりこれらの者の中で、順序にかかわらず届出することができる。なるべく多く届出を勵行せしむるためというふうに考えます。
○石川委員 そうしますと、一段においては順序を定める。第二段においては順序はなくなるというわけですね。 今度は百二十條の過料の規定でありますが、五百圓以下の過料ということが出ております。この百二十條が適用される場合は、どういうことになつてまいりましようか。
○奧野政府委員 これは結局三者全部が届出義務者になつておるわけでありまして、もしこのうち一人でも届出があれば、その他の者は結局過料に處せられないということになるわけであります。
○石川委員 私の質問はこれで終ります。
○松永委員長 質疑はこれで終了いたしました。次いで本案に對する討論に移ります。石川金次郎君。
○石川委員 本案は民法改正に伴い當然制定しなければならぬ法律であります。その内容においても、新民法運營において必要であり、むしろよくできておると存じますので、私は社會黨を代表して、本案に贊成いたす次第であります。
○松永委員長 中村又一君。
○中村(又)委員 民主黨を代表いたしまして、戸籍法改正に關する原案は、改正民法の實體身分法の裏づけとして、當然適正なる法案として現われておる次第でありまして、このまま修正などの餘地のない完全な法案として贊成いたす次第であります。
○松永委員長 北浦圭太郎君。
○北浦委員 自由黨を代表いたしまして、全面的に贊成いたします。
○松永委員長 大島多藏君。
○大島(多)委員 私は國民協同黨を代表いたしまして、政府の原案に贊成いたします。
○松永委員長 これにて討論は終了いたしました。これより採決いたします。本案について原案に贊成の方の御起立を願います。 〔總員起立〕
○松永委員長 起立總員。よつて本案は全會一致原案の通り可決いたしました。 本日はこれにて散會いたします。 午後三時三十八分散會