司法委員会 第53号
- 発言数
- 48 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1947/11/07
会議録
○荊木委員長代理 會議を開きます。 昭和十九年法律第四號經濟關係罰則の整備に關する法律の一部を改正する法律案について審議を進めます。本案に對する質疑にはいります。中村又一君
○中村(又)委員 簡單に四、五點お尋ね申し上げて見たいと思います。逐條の質問に入るに先だちまして、次の點を伺つておきたいと存じます。經濟統制が國家總動員法を中心といたしまして、戰時統制から戰後の經濟安定のための税制に移りました今日、本法律の改正が行われますことは當然でありますが、本法がいやしくも經濟關係罰則の整備に關する法律と名をかぶせる趣旨に鑑みまして、今囘の提案のごとき一部の改正では、はなはだ物足りないような感がいたすのでございます。殊に戰後におきます經濟關係法令を見渡してみますと、その罰則が、はなはだ統一を缺いておりまして、かつ均衡を失しておるものが多いのでございます。この現状に鑑みまして、何らかの措置を講ずべき必要があるのではないか。またひとり涜職罪、祕密漏泄罪に限つたことでないのではないかと思うのでありますが、この點に關します政府の御所見を伺つてみたいと存じます。
○國宗政府委員 お答えいたします。まことにごもつともな御質問でありますが、お説明の通りに、戰後制定されました多くの經濟統制法令につきましては、極力統一をはかつておるつもりでありますけれども、何分にも短時日の間に、早急に制定されたものが多くありますし、また現在の各統制法令の立案の過程は、御承知の通りに、いろいろな複雑な過程をたどつておりまして、罰則におきましても、統一を期したいとは思いながらも、遺憾ながら、不統一、不均衡と思われるものが、現實に現われております。これらのものを整理統一するということは、私どもといたしましても、その必要を痛感しておる次第でございます。しかしこれを整理統一いたすにいたしましても、現在これらの法令が、なお頻繁に改廢されつつある状況からいたしまして、竝びに内容も常に動いておりますし、これを現在の状態におきまして、一つの法令に統一するということは、非常に困難が伴うのでありまして、今後改廢せられる間に、法令の間におきまして、でき得る限り統一をはかる目的ではおりますけれども、全面的にこれを整理統一することは、今日非常に困難を感ずる次第であります。しかしながら、ただいま上程になつております昭和十九年の法律第四號の經濟關係罰則の整備に關する法律は、御承知の通りに、統制の方式も變りまして、ただいま御説の通りの目的によつて經濟統制が行われておりますが、その必要な最小限度におきまして、法律を改正いたしまして、そうして一應の整備をはかりたいと、かように考えていたしたのでございます。もちろん今後におきましては、經濟統制法令の罰則の整理統一をはかり、その量刑のみならず、罰則の運用の範圍におきましても、いろいろと考えねばならない問題が多いと思いますので、今後におきまして、十分に本法全體についての檢討を加えまして、統一あるものをつくりたいと考えております。
○中村(又)委員 まず第一條についてお尋ねいたしますが、本條を見ますと、營團、金庫などの役職員は、ただちに本法の適用を受けるわけではなく、別表に掲げられております團體等の役職員のみが、公務員と同じ罰則の適用を受けるものと解すべきではないかと思いますが、政府の御見解はいかがなものであるか。
○國宗政府委員 お説の通りと考えております。
○中村(又)委員 交易營團、住宅營團が、別表乙號に掲げられておりますが、これらは閉鎖機關ともなつておりますがゆえに、規定の必要はないのではないかと思われます。さらに地方食糧營團は、解散する團體でありますから、規定の必要はないと思いますが……。
○國宗政府委員 御質問の通り、交易營團、住宅營團は、現在閉鎖機關として指定されておりますけれども、交易營團につきましては、そのうちのいわゆる需品局が特別調達廳の關係の仕事を現在なおいたしております。さらに住宅營團も、閉鎖機關に指定されておりますけれども、住宅の管理とか建築資材の管理等は、現實に取扱つておるのでありまして、これらの關係におきましては、なお本法のうちに存置いたしまして、本法の適用を受けさせる方がよろしいと考えましたので、これは規定した次第であります。それから地方食糧營團は、食糧公團が成立すれば、同時に解散することになつておるのでございます。それまでには、なお若干の日數を要するものと考えましたので、その間だけでも、本法に規定しておいた方がよろしい、かように考えて規定した次第であります。
○中村(又)委員 第二條についてお伺いいたしますが、本法と獨占禁止法との關係は、どうなるのでありましようか。
○國宗政府委員 獨占禁止法は、その第二十一條におきまして、「鐵道事業、電氣事業、瓦斯事業その他その性質上當然に獨占となる事業を營む者の行う生産、販賣又は供給に關する行為であつてその事業に固有のものについては、」その適用を除外いたしておるのであります。このような事業を營むものは、その性質上公益性が非常に強いので、獨占的行為を是認しておる次第でありますが、その反面公益事業を營むものにおきまして、獨占の特權を濫用することが豫想されますので、本法の第二條にこれを規定しまして、獨占事業を營む會社の役職員に瀆職罪の成立を認めることといたした次第であります。すなわち獨占禁止法の適用を除外されているものにつきまして、特に本法の適用を認めんとする趣旨であります。大體かような趣旨で、第二條に特に自然に獨占の形になる事業を規定しておる次第であります。
○中村(又)委員 「統制ニ關スル業務」とありますが、その意味はどういうものでありますか。これはすこぶる廣範なる意味を含むものと思いますが、別表乙號について言いますと、どれとどれがこの場合に該當するのでありますか。
○國宗政府委員 「統制ニ關スル業務」と言いますと、廣い範圍になるのでありますが、これは統制または統制のためにする業務と、統制の補助業務とを含む趣旨でありまして、その業務と相竝びまして、統制に關しないところの自己獨自の業務をなしておることも、相妨げないと考えておるのであります。現在におきまして、この範圍にはいりますものは、統制會社として、經過的に存在するものとか、あるいは一手買取、一手販賣をなす統制のための經營會社、竝びに統制の補助業務として、割當とか配給計畫案の作成を委託された會社などを含んでおるのであります。それでこれを別表について見ますと、乙號の十一「森林法ニ依ル森林組合及森林組合聯合會」以下、十八「貸家組合法ニ依ル貸家組合、貸家組合聯合會、貸室組合及貸室組合聯合會」これらが全部十一ないし十八、それからしばらく飛びまして、二十六「別表甲號及前各號ニ掲グルモノヲ途クノ外金融緊急措置令ニ規定スル金融機關」以下二十八までが、それに該當するものと考えております。その中の十一ないし十八が組合であります。二十六ないし二十八は、ともに統制に關する業務を行うものでありますが、會社、組合及びこれに準ずるものの双方を含むことになつております。
○中村(又)委員 別表乙號のうち十五「貿易組合法ニ依ル貿易組合及貿易組合聯合會、十六「百貨店法ニ依ル百貨店組合」が掲げられておりますが、貿易組合法も百貨店法も廢止せられた以上、もはや指定の必要はない思われますが、いかがなものでありますか。
○國宗政府委員 御質問の通り、貿易組合法の廢止法律、百貨店法の廢止法律、ともにすでに國會を通過成立しておるのでありますが、本法案作成の當時におきましては、兩法律ともに未提出でありまして、その廢止がいつになるかわかりませんでしたので、本法より削除することなく規定いたした次第でありますが、すでにこれらのものは廢止になつておりますので、當然本法から削除すべきものと考えております。 (速記中止)
○中村(又)委員 さらに別表乙號中の二十七において鮮魚介の公認出荷機關及び公認荷受機關が指定されており、趣旨は了承できますが、同様の趣旨において、加工水産物配給規則及び青果物及び漬物配給規則による公認の出荷機關及び荷受機關を、ここに指定する意思はありませんか。業務内容を比較いたしますと、これらを指定していないのは、はなはだ均衡を失するものと考えられますが、いかがですか。
○國宗政府委員 これもまことにごもつともな御質問で、この點につきましては、本法の立案中に、加工水産物配給規則、竝びに青果物及び漬物配給規則によるところの公認出荷機關、公認荷受機關ができたのでありますが、前に申し上げましたと同じような理由によりまして、本法にこれを載せることができなかつたのであります。關係方面の承認さえ得れば、私どもとしては、ここに載せたいと考えております。もちろん業務内容におきましても、まつたく鮮魚介の公認出荷機關、あるいは公認荷受機關と同様に考えてよろしいと考えますから、均衡上落しますことは、はなはだおもしろくないと考えております。
○荊木委員長代理 ちよつと私から伺いますが、それは委員會の修正をお待ちになるおつもりですか。
○中村(又)委員 少しく漠然といたしますが、第六條の改正を必要とする趣旨をお尋ねしてみたいと思います。
○國宗政府委員 第六條は秘密漏泄罪に關する規定でありまして、從來祕密漏泄罪の規定の適用を受ける經濟團體は、勅令をもつて指定することとなつておりましたが、事實上祕密をもつていない團體については、祕密漏泄罪が成立しないことは、もちろんでありますとともに、特に勅令をもつて指定することにいたしますと、同じ性質の祕密をもつておりながら、あるいは指定を受け、あるいは指定を受けないものが生ずるような不合理な結果を招かないとも限りませんので、今囘はこの勅令で指定する部分を削つて、團體の指定による制限を設けないことにいたしました。祕密のない團體においては、この規定の適用はもちろんございません。ただ祕密を保護すべき團體のみに、この六條の規定は適用される。從いまして、この改正によつて、一應別表によつて指定されたものは、全部適用があるということにはなるのでありますが、この中には、現在の状況においては、祕密漏泄罪の適用を必要とするようなものは、ほとんど少いのであります。ただ今日の事態において重要な機密を有する團體として考えられますのは、復興金融金庫等でありまして、これらは融通計畫をいたしますので、その點だけについては、一應重要なる機密と考えております。ほかにはほとんど重要なる機密として考えられますものは現實としてはないと思います。
○中村(又)委員 質問がこまかくなりましたが、最後に附則についてお伺いいたします。すなわち附則第二項の括弧書をおいております意味を、具體的に示してもらいたいと存じます。
○國宗政府委員 括弧内の「國家總動員法第十八條第一項又は第三項の規定により設立された團體については、同法のなお效力を有する期間の經過前」というのは、國家總動員法第十八條第一項または第三項の規定によつて設立された統制竝びに統制のためにする團體が、今日なお一つ繼續しておるものがあるのでございます。それは船舶運營會でありますが、これが戰時海運管理令に基きまして設立され、運用されているのであります。戰時海運管理令につきましては、明年の三月三十一日まで效力を有するものとされておるわけであります。その關係におきまして、國家總動員法が、なおこの關係だけにつきまして生きておる。こういう趣旨を、ここに表わすために、非常にわかりにくい規定でありますけれども規定しておりまして、從つて船舶運營會は別表に規定してありませんけれども、この附則によつて從前の適用があるということに規定してある次第であります。
○安田委員 私は第一條の第二項、第二條の第二項について憲法上の疑義をもつておりますから、一應政府委員の所見をお伺いしたいと思います。すなわち第一條には「別表甲號ニ掲ゲザル營團、金庫又ハ此等ニ準ズルモノニシテ前項ノ規定ヲ適用スベキ公益上ノ必要アルモノハ法令ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外政令ヲ以テ之ヲ同表ニ掲グルコトヲ得」第二條の第二項も、同様趣旨の規定を設けておるようであります。規定は表から申しますと、ただ技術的に法の中に入れて、新しい營團、金庫またはこれに準ずるものを追加することができるという技術的のことを行うようになつておるのでありますが、その實質を考えて見ますと、これを追加することによつて、新たにできます營團、金庫に準ずるものの役職員に本法を適用するかどうかを決定することになるのであります。すなわち新しい團體の職員に罰則を適用する新たな刑罰規定を設けることになるものであると、私は考えるのであります。この規定は舊法の第一條の二項、第二條の二項に、「前項ノ團體竝ニ營團、金庫及此等ニ準ズルモノハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム」という「勅令」をそのまま「政令」にかえ、形式を「同表ニ掲グルコトヲ得」というふうにおかえになつたものであると想像するのでありますが、舊憲法のもとにおきましても、刑罰の規定は法律で定めなければならなかつたのであります。ところが戰時中政府が、國會で法律をもつて刑罰を定めることがめんどうであり、かつそれでは政府の思う通りができないから、憲法に違反して、形式的に法律によつて定めた形をとるために、包括的な規定を設けて、その内容を勅令に委任するという形をとる。さような法律が非常にたくさんできたのであります。この舊法の第一條第二項、第二條第二項も、この風潮に從つてできたものでありまして、私どもは舊憲法のもとにおきましても、刑罰法規を適用するか否かということを、包括的に法律で勅令に委任することを、憲法違反であると考えたものであります。舊憲法のことはさておきまして、新憲法におきましての政令は、私が申すまでもなく勅令とは性格が違うのであります。刑罰を課するには、必ず法律が必要でありまして、政令は御承知のごとく、その法律を實施するために必要な施行規則に該當するものを政令をもつて定むべきでありまして、ある團體、ある場合に刑罰を適用するか否かということを政令で定めるということは、政令の性質に反するものであると、私は考えるのであります。これからできます營團、金庫その他これに準ずるものについて、前項、つまり第一條の規定を適用すべき公益上の必要があるか否かということは、國會において判定し、國會においてこれを適用するか否かということを、法律をもつて定むべきものである。公益上の必要あるか否かということを政府が判斷し、政令をもつて刑罰をこの表に追加するということは、政令の本質に反し、憲法に違反するものであるというふうに考えるのでありますが、この點に對する政府委員の御所見を伺いたいのであります。
○國宗政府委員 お答えいたします。この第一條の第二項、竝びに第二條の第二項でありますが、政令でもつて營團、金庫またはこれらに準ずるもの、あるいは法令により設立せられた會社その他の獨占事業その他のものを、政令でこれを規定いたしまして、別表に掲げることができることといたしましたことにつきましての御質問でありますが、私ども政府といたしましては、本法におきまして、いかなるものが營團、金庫またはこれらに準ずるものであるかを明らかにいたしておりまして、しかも刑罰はこの本法自體においてこれを規定いたしております。犯罪の構成要件は、法律によつてすでに規定されたものと、かように考えておりまして、ただその對象となるものを、政令に委ねておるというにすぎないものと考えておりますので、別に新しく政令によつて處罰の規定を設けるというふうには考えておりませんので、憲法違反とは考えておりません。
○安田委員 ただいまのお答えは、十分了承ができないのであります。犯罪の構成要件は法律で定めておつて、それを適用する對象のみを定めるのであるから、法律による必要がないと、かようにお答えになつたのでありますが、しからば第一條の「營團、金庫又ハ此等ニ準ズルモノニシテ別表甲號ニ掲グルモノノ役員其ノ他ノ職員ハ罰則ノ適用ニ付テハ之ヲ法令ニ依リ公務ニ從事スル職員ト看做ス」これも同様である。ただいまのお答えで憲法違反にならないならば、この第一條第一項も法律による必要がないということになりはしないかと思うのであります。第一條の第一項が、もし法律によつて定めなければならないということになるならば、第二項も同じく法律をもつて直接定むべきものであつて、政令をもつてこれを追加することを許すべきものではないと考えるのであります。法律の構成要件というものの考え方が、十分納得ができないのであります。ある特定の資格をもつものに特定の刑罰が課せられる場合に、その課せられたる資格をあるものがもつか否かということは、私は構成要件の一つになる、かように考えるのであります。かかる意味におきまして、第一條の第一項が法律によつて定められなければならないと思うのであります。もしそうであるならば、第二項によつて第一條と同様の營團、金庫またはこれに準ずるものを第一條の甲號に追加することが、政令によつて許されるということは、どう考えても憲法に牴觸するものと考えるものであります。今一度對象という意味をはつきりしていただきたい。
○國宗政府委員 先ほど申し上げました點で、多少不十分な點がございましたが、政令にこれを讓りますのは、追加をする場合は法律の定めるところにより委任に從つてやるのでありますし、またこの一般的な犯罪の構成要件につきましては、本法に規定されることになりますので、政府といたしましては、特にこれは憲法違反と考えてはいないのであります。
○荊木委員長代理 鍛冶良作君。
○鍛冶委員 私はこの改正案を讀んで第一に頭に來たことは、このようにたくさんの團體を罰するということになれば、今日なお統制が強化せられて、このような團體がずいぶん殖えてくる傾向がある場合に、まことに世の中は殺伐になるという考えを、まず直感いたしました。それで政府としては、なるほどこういう法律ができる以上は、罰せなければならぬということも考えておられるであろうし、われわれも考えておりますが、このようなものをどこまでも罰して、社會秩序が保てるという自信があるでしようか、まずこの點から聽いてかかりたいと思います。
○國宗政府委員 たいへんむつかしい御質問でございますが、しかしかように統制經濟を與かつておりまするものは、やはりこれは法的な色彩の非常に強いものでありますし、同時に國民の日常生活にも非常な影響をもつておりますから、これらの行動自體が公正に行われなければならないことは、私どもとしては當然のことと考えておりまして、これらのものに對しまして、十分な責任をもたして、その代りにそれらの不正な行為に對しては處罰を免れないのだということが必要だろうと考えております。しかしこれを洗いざらい全部やるということに對しましては、取締の手の問題もございます。しかしながら、これを統計的に見ますと、經濟罰則の政府に關する從來の法律違反の人員竝びに事件と申しますものは、お手もとに資料を配布してありますけれども、相當多いのでございます。これにおきまして、ある程度この法律の目的とするところを達成しておると確信しておる次第であります。
○鍛冶委員 こういう統制法令がある以上は、その役員、業務をとるものに特別の權力が加わる、それを罰せなければならぬということは私も認めておる。しかし今言われた、現在までも十分これによつて目的を達しておると言われるその點を、われわれは憂えるのですが、今日は役得ということは世間一般です。よく言われる例ですが、配給機關の家族は少くともその配給しておる物に困らぬ、これは一般世間に言い觸らされております。さらにその親戚の者も困つておらぬ、ひいてはその友人も困つておらぬ、そうしてあとの者は皆困つておる、これは一般常識になつております。かくのごときことは、法律をつくらなければならぬという一面においても、かえつて社會に對して疑惧の念を與えるものではないかと思う。だから法律が必要であるというならば問わないが、はたして現在の機構で取締りができるという自信があるかどうかということを聽くのです。
○國宗政府委員 非常にそれもむずかしい御質問でございまして、實情から申して、ただいま鍛冶委員からお述べになりましたように、役得の風潮というものはたくさん出ております。またそれに對しまして、取締當局は全力を盡しておりますけれども、國民の滿足のいくような取締りのできていないことも、私は事實と考えております。しかしこの法律の趣旨といたしますところは、やはり必要と確信しておりますので、ただいま鍛冶委員の言われましたように、この法律を實施いたします上におきましては、十分その取締目的を達成するように、私どもとしては努力をするつもりであります。
○鍛冶委員 御精神のほどはよくわかりますが、法律はつくるが、その實際の效力を表わすことが困難だということになりますと、當つた者が貧乏籤に當つたということになつて、一般の者が敬服しなくなります。あえて法律だけではありませんが、あなた方はこういう法律をつくられる上においては、それらの點にまで頭を用いて考えていただけるかどうかということをまず聽きたい。いわゆる呑舟の魚を逃して、雑魚ばかりをつかんでいる。つかまれた者こそ貧乏籤を引いているというのが實際です。これに對してどこまでも勵行できるのか、もし今の機構で勵行できないというならば、もつと法律家として考えるべき重大な問題がなかろうか。この點を私は聽きたいのです。
○國宗政府委員 お答えいたします。取締りの重點は、御承知の通りに呑舟の魚を逃さないことにあるのでありまして、これに對しましては、今後十分にそれを取締り、またそれを是正していくところの自信と申しますか、確信と申しますか、努力と申しますか、これらのものは政府としてもつておるつもりでおります。
○鍛冶委員 おもちでなかつたら大變だし、おもちのことはわかるのだが、實際になかなか容易でないとお考えになりはせぬかということを聽いているのです。容易だとおつしやるならば、それは議論のわかれるところですが、私はなかなかそうはいかぬと思う。また實際に上げておられるこういう法律をつくるときに、法に權威あらしめるというならば、相當考慮すべき餘地がありはせぬかと思うから私は言うのです。それだけです。
○國宗政府委員 もちろんその點については考慮して法律を制定している次第であります。
○鍛冶委員 そこでこの内容にはいりますが、第一條に「營團、金庫」と書いてありますが、現在できつつある公團は、これは入れぬでよろしいのですか、それともまた別のものがあるのですか。
○國宗政府委員 公團は、別に公團法自體に政府職員になつております。當然に刑法の規定が適用になると思います。
○鍛冶委員 それから今安田さんから聽かれた政令の點でありますが、これはどうも先ほどからの説明では、われわれは納得はいきません。同じ内容のもので適用する範圍だけをきめるものは政令ではいかぬのだということは、これはもうこの間からやられているのです。今現にこれからやるという罹災都市借地借家臨時處理法の二十五條の二は、これは同じ法律をただどの都市にやるかというこの範圍をきめるだけだが、いかぬというので、きようこの委員會で、これを擴張することをわざわざ法律でやろうとしておりますが、これとどういう區別がありますか、これはよほど重大に考えてもらわなければならぬと思います。
○荊木委員長代理 速記を止めてください。 (速記中止)
○荊木委員長代理 速記をお願いします。
○鍛冶委員 第二條の「役員其ノ他ノ職員」ということになつていることと、別表乙號の二十九以下三十一までのところの「業ヲ營ム者」ということの關係はどういうのでしよう。第二條は團體の役員及び職員という意味だとそう解釋しておりますが、しかしこの二十九以下は「營ム者」と書いてありまして、團體とせられない理由はどこにあるのですか、ちくはぐになつておりますが……。
○國宗政府委員 これはやはり團體の趣旨でございます。なお申し上げますが、これは法律の言葉をそのままもつてきたのであります。
○鍛冶委員 これでわかればいいのですが、どうもおかしいように思うのです。片方では「團體」という言葉を使い、また「組合」という言葉を使い、「會社」という言葉を使つてあるのですが、何だかいかにもほかのことと違うもののように考えるのですが……。
○國宗政府委員 これは法律にあげてある字句をそのままもつてまいつたのでございまして、ただ第二條には「統制ニ關スル業務ヲ為ス會社若ハ組合又ハ此等ニ準ズルモノ」とありまして、個人を指しているものではないという趣旨であります。
○荊木委員長代理 ほかに御質疑はありませんか。
○石井委員 第一條の罰則は刑法の瀆職罪による罰則を適用するものと思いますが、第二條においては特別に罰則をきめておる。こういう相違はどういうわけですか。
○國宗政府委員 第一條に規定する營團、金庫、これらに準ずるものは、非常に公的な性質の強い關係から、それを刑法の刑罰によつておりますし、第二條はそれよりも多少公的色彩が強くない。從いましてこれらに對しましては、刑法の刑をそのまま適用するということは苛酷ではないかというので、時別に第二條にその刑を設けた次第であります。
○石井委員 第二條でこの鐵道事業、電氣事業、ガス事業、それらについては、いろいろ請託關係があろうと思いますが、刑法の規定によると、請託關係のある場合においては、刑が重くなつておる。第二條のような電氣事業、あるいはガス事業というようなものについては、請託關係が非常に發生するのであります。これについての科罰を重くするという規定が抜けておつて、さような點が防止できるかどうかをお伺いしたいのであります。
○國宗政府委員 その點につきましては、特に請託を受けた場合を區別いたしませずに、この規定一本で處罰しようというふうに考えておるのでありまするが、いずれにいたしましても、御趣旨のような點は、この二條に規定してあります會社とか、あるいは組合とか、これらに準ずるものは、その公益的な性質から言いまして、公務員とまつたく同じような刑法の所定の刑罰を科する必要はない。十分御質問のような趣旨はこの法の上において處罰が可能であり、また十分效果をあげ得るのではないかと、かように考えましたので、特別にその點についての區別を設けなかつたのであります。
○荊木委員長代理 ほかに御質疑はありませんか。 それでは本日はこれにて散會いたします。明日は午後一時から開會いたします。 午後四時二十七分散會