司法委員会 第43号
- 発言数
- 3 件
- 登壇者
- 2 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1947/10/02
会議録
○松永委員長 会議を開きます。 これより予備審査のため送付されております裁判官及びその他の裁判所職員の分限に関する法律案を議題とし、まず政府の説明を願います。奧野政府委員。
○奧野政府委員 ただいま上程の裁判官及びその他の裁判所職員の分限に関する法律案について、提案理由を御説明いたします。 御承知の通り、日本國憲法においては、裁判官の身分の保障に関し、その第七十八條において裁判官が心身の故障のために職務をとることができない場合においても、裁判によつてその認定がなされなければ罷免ができない者、及び裁判官の懲戒処分は、行政機関がこれを行うことができない旨を規定しているのであります。従いまして、裁判官の分限及び懲戒に関して特別の立法をいたす必要があるのでありまして、改正前の憲法に基く従来の判事懲戒法は、さきに裁判所法の制定に際し、その附則において廃止されているのであります。 次に裁判官以外の裁判所の職員は、執行吏を除いてすべて官吏となつているのでありますが、日本國憲法は、裁判所の独立を著しく強固に規定いたしていますので、これに従い裁判所法においても、その任免は、一級のものについては、最高裁判所の申出により内閣が、二級以下のものについては、最高裁判所以下の各裁判所においてこれを行うこと、及び職員に対する身分上の監督権は、最高裁判所が最終的にこれを有することを規定しているのでありまして、裁判官以外の裁判所の職員分限及び懲戒についても、裁判所のその職員に対する以上の程度の自律権に即応するように、特別の立法をいたす必要があるのであります。 かような趣旨に基きまして、この法律案を提出いたしたのでありますが、その主なる内容といたしましては、第一に日本國憲法第七十八條においては、裁判官が心身の故障のために職務をとることができないときは、これを罷免することができる趣旨を規定しているのでありますが、その故障の程度については規定していませんので、これを回復の困難な故障とし、なお従来裁判官は、終身官でありましたので、本人が願い出た場合にも免官できなかつたのでありますが、新制度により、終身官ではなくなりましたので、本人が願い出た場合には、免官ができる旨を明瞭に規定いたしました。 第二に、裁判官の懲戒は、戒告及び一萬円以下の過料といたしました。改正前の憲法に基く判事懲戒法によれば、裁判官の懲戒は免職、停職、転所、減俸及び譴責の五種でありましたが、免職すなわち免官及び停職は、前述の日本國憲法第七十八條の規定に牴触いたし、転所についても、右同様の結果を生ずる疑があるのみならず、裁判官の地位に鑑み、罰則としては不適当であり、次に減俸も日本國憲法第七十九條第六項及び第八十條第二項に牴触いたしますので、いずれもこれを廃し、戒告及び過料といたし、過料の額は、裁判官の受ける報酬額に照し、最高一萬円を適当といたしたのであります。 第三に、裁判官に関する心身の故障のために職務をとることができないか否かの裁判及び懲戒の裁判については、裁判所の組織、管轄及び手続のうち、きわめて重要な事項のみを規定いたし、その他は原則的に最高裁判所の定める規定に委ねることといたしました。これは、この種の裁判は、裁判所の内部規律に関するものでありますので、なるべく裁判所の自律に任ずるのが適当と考えたからであります。 最後に、裁判官以外の職員については、その官吏たる性質より、官吏分限令、官吏懲戒令の適用を受けることは当然でありますが、前述の裁判所職員たる特殊性に鑑み、また裁判所の自律権を尊重いたしまして、懲戒委員会は、一般官吏の場合の例によることなく、最高裁判所の定めるところによつて、これを設けることといたし、その議決に基いて、懲戒及び心身の衰弱による免官は、一級の職員については最高裁判所の申出により内閣が、二級以下の職員については、最高裁判所以下の各裁判所においてこれを行うほか、減俸についても、各級別に従つて、最高裁判所以下の裁判所においてこれを行うことにいたしました。なお執行吏は、官吏ではなく、純粋に裁判所の職員でありますので、その懲戒については、最高裁判所の定めるところによることといたし、従来の執達吏懲戒令はこれを廃止することといたしたのであります。 以上この法律案の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことを御願いいたします。
○松永委員長 本案に対しては説明に止めます。 本日はこれにて散会いたします。明日は午前十時より開会いたします。 午後二時五十九分散会