司法委員会 第23号
- 発言数
- 76 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1947/08/18
会議録
○松永委員長 會議を開きます。 民法の一部を改正する法律案に關する質疑を進めます。委員外の方から發言の申出があります。これを許します。加藤シヅエ君。
○加藤シヅエ君 今日は委員外の質問を許していただきました。もとよりどの法案も大切ではございますけれども、民法は國民全般の生活のあり方を規定するものでございますから、これは單に一部の法律の專門家の方が御審議をなさるだけでは十分ではなくて、私どもみたいに、法律ということに關してはまつたくの素人である者の意見も、十分に民法には反映されなくてはならないと存じます。殊に生活のあり方を規定するということになりますと、この民法の改正いかんによつて、將來の日本の婦人の解放ということに對して、非常に重大な影響がございますので、特に民法の改正にあたりましては、婦人の意見が十二分にここに尊重され、反映されて審議されなくてはならないということを、私は信じているのでございます。 先ごろの議會におきまして、新憲法に基きまして、新憲法の個人の尊嚴あるいは男女平等の規定に矛盾いたします條項を、民法から至急取除けなければならないという必要から、民法の應急措置法案が出ました。そしてそれが一應ただいま設定されており、さらにこまかく民法を改正するにつきましての民法改正要綱というようなものも世上に發表されておりました。それで私どもは、これを通じて新しく改正される民法法案の内容というものについて考えておつたのでございますが、改正要網を拜見いたしましたときには、非常に進歩的な民法法案が出るということが期待されまして、多くの婦人たちは非常に喜んでおつたのでございます。けれども民法の一部を改正する法律案の最後の取極めが非常に遅れておりまして、これが手にはいりましてから、一般の世間の婦人たちが、これを取上げてその内容を十分に檢討し、あるいはお互いの間で審議したり、公聽會を開いたりするような期間が與えられておらなくて、ただちに國會の方で委員會が開かれるというようになりましたために、あるいは世間一般の人たちの意見を反映する期間が十分でなかつたということが考えられるのではないかと存じます。もとより松永委員長は近く公聽會をお開きになりまして、十二分に國民の意見をここに反映させるいろいろの手續をおとりになるということを理解いたしておりますけれども、それでもこの廣汎な、しかも複雜をきわめておる民法の審議としては、二囘や三囘の公聽會だけでは決して十分ということが考えられないのでございます。それでこの民法の改正は、法律の原案が先ほど申し上げましたように改正要綱の程度でございましたならば、私どもはまだ納得ができたかもしれないのでございますが、いろいろこの法案を開いて見ましたときに、私どもが非常に驚きましたことは、この改正されるべき民法というのは、新憲法の精神によりまして、個人の尊嚴あるいは男女の平等という觀點からは兩立することのでき得ない日本の在來の古い家族制度、これを一掃するために民法が改正されなければならないと、私どもは理解しておるにもかかわらず、この改正の法案の中には、數々の家族制度的な存在をそのまま存置させようという條文がたくさんございますので、私はこういう條文をここに殘しておいて、一方に新憲法の精神に副つてあくまでも在來の家の觀念を排するとか、あるいは個人の尊嚴、自由を認めるとかいうことが、こういう民法の下に兩立し得るかどうかということについて、私は司法大臣の御意見を伺いたいと存じます。そこで私はこの條文を逐條的に取上げまして、家族制度的なものがここに温存されていると見られるところを、特に取上げまして司法大臣の御見解を承つてみたいと思います。 最初に七百二十五條に、「左に掲げる者は、これを親族とする。一 六親等内の血族 二 配偶者 三 三親等内の姻族」こういうことになつております。この親族に對する取りきめ方は、舊民法と同じ範圍に認めております。私の考えますところによりますと、こんなに廣い範圍に親族をきめるということは、何の必要があるのか、どういう理由があるのかということを承りたいのでございます。新しい民法が國民の生活のあり方を規定し、それはあくまでも個人の尊嚴あるいは自由を認めるということでございますならば、親族關係というものは、お互いが自由に徳義上自分の身近な者、血族の者に對しては、お互いが自然からあふれてくる愛情でもつて助け合うということは、これは法律がきめませんでも、お互いが十分にできることなのでございます。にもかかわらず、ここにこういうふうに廣汎な範圍の親族というものを規定するということは、あるいは家族の共同生活というものからこういうものを考えたというようなことを、一部の方は言われるかもしれません。けれども、家族の共同生活というようなものを、こういうように親族の範圍まできめて、これを法文化してきめるということは、その家族が封建的な家族制度によつて一つの共同な經濟的な利害關係から結ばれているときに初めて必要であつて、そういうようなその根據が全く失われてしまつた今日、しかも家族がこういうふうな法律によつて結ばれるということは、かえつてそこに非常に家庭生活に煩瑣なものをもち來らし、特に家庭内に多くの時間を費すところの婦人にとりましては、こういうような廣範圍な親族が決定されるということは、決して婦人の個人の自由というものを認めるという精神にはそぐわないものであるということを私は考えております。從つて私はこういうような廣範圍に親族を決定するということは、まつたく新憲法の精神に矛盾しており、これはもつともつと簡單なものに縮めなくてはならない。たとえば、直系血族と兄弟姉妹そのくらいの範圍にきめれば十分であつて、こんな廣い範圍にきめるということは、まつたく不必要である。新憲法の精神にもそぐわないということを考えますので、これに對して司法大臣がどういうふうな御見解をおもちになるか、聽かしていただきたい。
○鈴木國務大臣 ただいま非常に重大な御質問がありまして、その一部は提案の際お答えをいたしておいたつもりでありますが、問題が大切でありますから、重ねて申し上げることにいたしたいと思います。おそらく諸種の法律改正のうちで、民法の改正が最も重要な意味をもつておると申しても過言ではないと信ずるのであります。從いまして、民法改正の仕事は、非常に重大な關心をもちまして、できるだけ廣くあらゆる方面の輿論をとり、殊に人口の半分を占めております婦人の意向、輿論、希望、要求等を取入れまして、改正することが正しい態度であることは、加藤議員の仰せられる通りであります。政府といたしましても、十分にそういう氣持を持つておるのであります。御承知の通り、その仕事は根本的にやりますのには、あらゆる方面の御協力を得、かつ相當の時間を拜借して、愼重に審議しなければならないのでありまして、わずか二、三箇月の間にやつてしまう仕事というにはあまりにも大きいのであります。そこでこれは社會黨の一員としては、かねてから根本的な民法の改正意見というものをわれわれはもつておるのでありまして、今も決してそれを捨てないのであります。ただ現在の政府といたしましては、御承知のように昨年一年間だけ、今年の十二月三十一日まで暫定的に通用する民法の暫定的改正措置というものを議會の協贊を經ましていたしておるのであります。そこでどうしてもこの暫定法が十二月三十一日に效力を失いまするので、これに代るべき法律を出しておかなければならぬ。それを出しておいて、そうして民法全體の根本的な改正はひとつ一、二年の時間をかして十分にやろうじやないか、こういうことに相なつたのが、今囘提案いたしました民法の草案でありまして、ごらんのごとく第一條から第四編の前までは、ほんの數箇條削る加えるというような、今までの修正と同じ體裁でやつてまいつたわけであります。そこでこの第四編親族相續につきましても、同じ體裁で削る加えるでやつていくはずであつたのであります。そういう案ができたのであります。しかるに、どうも加える引くという改正を出しても、國民諸君は最も生活に直接しておる大切な親族相續の關係において、婦人子供までも讀まなければならぬものが、第何條の次に括弧して何を入れる、何を引く、削除するというようなきめ方をしたものを出すだけでは、あまりにも不深切ではないか。そこでそのごく應急的な改正點だけでありまするが、せめてそれを文章に直して口語體に改めて、そうして全體を讀めば一應今度の暫定措置法がどういうふうなものになつておるかということが、どなたにでもわかるようにして出すことが、せめてもの深切ではないか。こういうところから、ごらんのようなものができ上つたのであります。 そこでただいま御質問のありまするような七百二十五條の親族の範圍をいかにすべきかということは、あまりにも根本的な大問題でありまするから、今囘の修正ではふれておらない。ふれておるのは、この改正要綱に差示されました、また前に暫定措置として國會の承認を得ました部分をこの中に入れこんだ。でありますから一方でげたをはいて、他方でぞうりをはいておるという形をとつたことは、率直に政府として認めざるを得ないのであります。その點は幾多の根本的修正をこれから加えなければならぬと存じておるのでありまして、實はせめてもこの議會でなく、臨時議會がありまするならば、臨時議會に出すように、いま少しく手を加えたいという希望をもちましたが、萬一臨時議會がない場合は施行すべき民法がなき状態に陷るおそれがある。ともかく不完全ではあるが、暫定的措置でいこう。それでこの議會にぜひひとつ御審議を願つて、一應暫定措置を完了しておいて、そうして根本的な改正に移ることにしよう、こういう趣旨でありまするから、どうかこれが決して私どもがまことによい法律である、こう主張をいたして出しておるのではないのであります。さようお含みを願いたいと思います。それで新憲法施行に伴つてこれだけは少くとも文字の上だけでも改めておかなければ、憲法の精神に合わないという最小限度を改めたにすぎないのであります。こう御承知願いたいのであります。
○加藤シヅエ君 ただいまの司法大臣の御答辯を承りまして、非常に不備であると私どもが思つておりますところのただいま審議中のこの改正民法の法案は、暫定的なものであつて、將來はもつともつと完備したものを用意しなければならぬということを承りましたので、やや安心いたしたのでございますが、それでも一應どの程度にまで民法が民主化されるかということは、次にほんとうに十分に時間をとつて審議さるべき新しい民法が生まれるときの大きな要素になりますので、たとえこれが一時のものであつても、できる範圍において民主化するということはなさなくてはならないと存じます。そこでその前にたいへん民主的でないと思われます點を逐次あげて伺つてまいりたいと存じます。 七百三十條に「直系血族及び同居の親族は、互に扶け合わなければならない。」ということが書いてございます。それから、扶養の義務のところにも、やはりこれと同じようなことが出ております。八百七十七條に「直系血族及び兄弟姉妹、互に扶養をする義務がある。」片方は扶け合わなければならない。片方は扶養する義務があるので、多少違つてはおりますけれども、こういうような扶け合わなければならないというようなことは、法律できめるべきことではなくて、倫理、道徳に關係したことであると、私どもは見ております。こういうような條文を法律の條文として殘すというところに、すなわち今までの封建的な家族制度というものが一つの經濟に基盤をおいたところの制度であつたと同時に、そこに倫理觀というものを樹立して、その家族制度に基く倫理觀で家族の生活を支配しようという意圖があつた。それが今日またここに移されているというふうに見られますので、今後はこういうような「同居の親族は、互に扶け合わなければならない。」というような法文は、民主的な民法においてはまつたく不必要で、抹殺して差支えない法文であると考えるのでございますが、どういう御見解を司法大臣はおもちでございましようか。
○鈴木國務大臣 家族制度の存廢と絡みまして、この扶養家族の問題は非常に重大な問題であります。大體において加藤議員のお考えと同じような考えをもつておるのでありまするが、もちろん臨時法制調査會においても、このことが問題になりまして、いかにすべきかということが起りましたときに、扶養の範圍等をきめることは、次の立法に讓りまして、いきなりこれを廢止してしまうというのも行き過ぎだから、少くとも道徳的な要求として存置しようではないか、こういうことになりまして、法制調査會では、直系血族及び同居の親族は互いに協力扶助すべきものとすという決議になつておりまして、それは道徳的要求であつて、法律上の義務ではない、こういうふうに但書がついておるのであります。そういう意味において、これなども根本的には十分審議し直して改正しなければならない點でありますが、一應道徳的な要求として掲げておくならば、さしたる弊害もなかろう。臨時措置の間七百三十條竝びに八百七十七條の形において存置する。さらに根本的な修正は次の機會に讓る、こういうことにいたした次第でございます。
○加藤シヅエ君 今の司法大臣の御見解は、道徳的な要求をここにおいておいても差支えないだろうと申されましたが、私は道徳的な要求を法文化することは大いに差支えありと認めているのでございます。それはなぜかと申しますと、私ども日本人は長い間何でもお上の言うことが一番偉いのだ、法律に書いてあることがすなわち道徳であるというような物の考え方をして生活をしてきたのでございます。そういう物の考え方で生活をするということは、決して個人の自由、あるいは個人の尊嚴というものを認めるという精神とは一致しないものと存じます。從つて法律の中に道徳的な意義をもつものがいつまでも殘つていることは、たとえこれがかりのものであつても、こういうものは一日も早く取除けることが非常に必要であると私は考えております。 次にこの法案の中には、私が先ほどからたびたび繰返しているのでございますが、まつたく家族制度的なものを存置しようとする條文がたくさんございまして、その中の殊に顯著なものは氏というものを今度お用ひになつたことでございます。七百五十條の「夫婦は、婚姻の際に定めるところに從い、夫または妻の氏を稱する。」この氏という言葉は、私が説明するまでもなく、家族制度的な意味を多分に含んでいるところの言葉でございまして、今度は家というものを中心にするという考え方、あるいは生活の規定というものがなくなることになりますならば、特に氏という言葉を使うのははなはだ適當でない。姓というものが單なる一つの符號にすぎないということが考えられますので、氏という言葉に非常に絡んでまいりますことは、家族制度がなお殘るということになつて、非常に混亂を來しますので、氏という言葉を廢して、單なる姓という言葉にかえるのが適當ではないかと考えるのでございますが、この點はいかがでございましようか。司法大臣に承りたいと存じます。
○鈴木國務大臣 氏という言葉に對して、加藤議員が指摘せられるような一つのにおいと申しますか、傳統的なものがあつて、ちようどわれわれの名前を大臣と呼んでいるのが確かに封建的なにおいが強くておもしろくないという議論があるのはもつともだと思います。適當な言葉を發見するまで、しばらく借用しているわけであります。夫または妻の氏を稱するということを姓を稱するといたしてもよろしいわけでありますが、この點については、立案の際に加藤議員も仰せのごとく、この言葉によく反省をもたなかつたということを申し上げざるを得ないのであります。この議院の審議においてその方がよいということであれば、姓と直すことは少しも差支ないのであります。
○加藤シヅエ君 その次は、これは比較的輕い問題でございますが、ここに續いておりますので、ちよつと申し上げておきたいと存じます。七百五十一條に「夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができる。」ということが書いてございます。これは離婚の場合も婚姻前の氏あるいは姓にかえるということがあるのでございますが、これはたとえ氏が姓に變りましても、こういう問題は殘るわけでございます。ところでこれは離婚の場合、あるいは配偶者の片方が死んだ場合に、必ず婚姻前の姓に戻らなくてはならないということにきまつているのでございましようか。たとえば結婚していて女が男の姓を名乗つていた者が、離婚した場合に、その離婚後も引續きその男の方の姓を名乗る、永年名乗り續けていたから、都合で依然としてその男の方の姓を名乗つていてもよいという意味の條項を一つ加える必要があるのではないかということが考えられるのでございます。それは今までの日本の習慣として、今後は婚姻の場合にお互いに相談して勝手に好きな方の姓を名乗るということになつてはおりますけれども、多くの場合男子の方の姓を女が名乗るということになります。そこで離婚した場合に永年使いならした姓をもとの姓にかえるということに非常に不便が起つてまいります。それで離婚したからとかあるいは配偶者がなくなつたからということで姓が左右されないということになつておる方がよいのではないかというふうに考えられますが、司法大臣はいかがでございましようか。
○鈴木國務大臣 この點も御説ごもつともでありまして、十分考慮の餘地のある問題と信じますが、この立案の際の審議においては、少くとも離婚した場合には結婚前の姓に戻るということにすることがよかろう、それが普通の状態であります。それから死亡した場合には、配偶者の一方が死亡した場合、と言つても夫が死亡した場合が多く問題となるのでありますが、そのまま夫の姓を名乗つて生を終る人があり、あるいはさらに再婚をされる人もあり、あるいは實家に戻つて實家の姓を名乗る人がある。そこでこれは選擇の自由を認めておく方が便宜的であろう、そういう意味で、御承知のように七百五十一條の方は氏に復することができる、選擇の自由を示したのであつて、その人の意思でどちらにでもなるようになつております。ただ離婚の場合は離婚をしてもやはり夫の姓名を乗る、そうして世間から見ては離婚したのか離婚しないのかわからぬ、こういうことが起ると困りますから、一應復することにしたらどうかということでいたしたわけでありますが、さらに愼重に審議した結果、例外を開いておく方がよろしいということであれば、それは十分に考慮の餘地のある問題である。こう思つております。
○加藤シヅエ君 ただいま鈴木司法大臣の御答辯でよくわかりましたが、私としてはこの際特に申し上げておきたいのは、婦人がこれからいろいろ公の職につくということがだんだんに多くなるということが考えられますので、公の職につきましたる婦人が離婚したからといつて、その呼び名が變るということは非常に不便なものでございますから、そういうことも考慮していただきまして、離婚した婦人もその人の希望に應じては離婚前の夫のその姓を引續き名乗つていてもよいということまで、そこに考慮を附加えていただきたい。これは現に私どもの身近に起つておる問題でございまして、それは社會黨の議員でございますが、その方から特にこの希望意見をここに反映させてくれという御注文がございましたので、それを申し上げておく次第であります。 次に七百五十二條、「夫婦は同居し、互に協力し扶助しなければばならない。」ということがございます。これも先ほど問題になりました。これはまつたく道徳的なものではないかと思うのでございますが、道徳的なもの以外に、何かここに法律的に強要するというような意味も含まれておるのかどうか、司法大臣の御見解を聽かせていただきたいと存じます。
○鈴木國務大臣 この七百五十二條の方は、そう簡單に道徳的とだけ申し上げるわけにいかないのでありまして、御承知のように、同居せざる夫婦というものは夫婦たる第一の目的を達しないことに相なるのでありまして、法律上同居する義務があるのであります。それから協力することはもちろんであります。これは道徳的と解してよろしいのでありますが、これはほかの親族の場合と違つて、夫婦というものは、初めから互いに扶助し合うことを——病氣になつたら棄てるという約束のもとに結婚するものはないのでありますから、これだけは他のいかなる親族が扶養義務を免除する規定ができても、夫婦の間だけは免除するわけにはいかぬと思います。これは法律上の義務でありまして、そういう意味において、この規定は最小限度の義務を規定する法律上のものであつて、單なる道徳上のものでは、——もちろんこの背後に道徳上のものが嚴として存在することは申すまでもありませんが、それであるということを御承知を願いたいのであります。
○加藤シヅエ君 ただいま司法大臣から御説明を伺いましたが、これは道徳以上のものであるということであります。そういたしますと、夫婦生活というものに對して、夫婦の間でお互いに義務を履行していかなければならないという條文がここにあるということになりますならば、私どもは夫婦というものは、夫婦になつた以上は一夫一婦を原則的に守つていかなければならないということを考えるものでございます。從つてここにこういう條文が殘されますならば、夫婦は一夫一婦の生活を守らなければならないとういことも挿入してよいかどうかということついて、司法大臣の御言明を伺いたいと思います。
○鈴木國務大臣 それは挿入しても、念のため説明をする條文として差支えありませんが、御承知のごとく、この民法は一夫一婦を前提としてできておるのでありまして、實は規定するまでもないという考え方であります。またこれを犯す重婚ということについては、御承知のように刑法において罪として罰せられるのであります。そういうことはまず許されておらぬということも明らかでありますから、特に念のため、誰にでもわかるようにするためというならば別ですが、實は一夫一婦ということは當然この民法の大前提をなしておるものでありまして、規定するまでもないという考え方であるのであります。
○加藤シヅエ君 ただいまの司法大臣の御説明はどうも都合のいいことは條文にしておくけれども、餘り都合のよくないことは特にここに書かなくてもいいというふうにも受取れるので、私としては餘り滿足できないのでございます。 次に七百五十四條に移りまして「夫婦間で契約したときは、その契約は婚姻中、何時でも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。」ということがございます。「但し第三者の權利を害することができない。」これについて、こういうような契約というものをいたした以上は、たとえ夫婦の間であつても、これは守らなければならないのが原則であると存じます。從つて契約をしたものは守らなければならないというふふうにするか。もし夫婦のことであるから、これはあくまでもお互いの間でどうにでも變るものだというようなことが前提にされるならば、こういうようなことまでわざわざ書かない方がよいと存じます。そうでないと、夫婦の間は契約をしても破つてもよいということが、わざわざここに書かれておるようでございまして、夫婦の間の生活として、はなはだおもしろくないことだと存じますので、むしろこういうものは一掃してしまつた方がよいということを考えるのでございますが、司法大臣はぜひこういうものをおいておくという必要をどういうところにお認めになるだろうか伺いたいと思います。
○鈴木國務大臣 これもデリケートな問題でございまして、實はこれは改正を加えないことになつておつた條文になつておりますために、立案いたしますときに手を加えなかつた。文語體を口語體に直しただけでありますが、從つてあくまでこれは審議の對象となり修正の對象となる條文であるのであります。現行法の場合に、よく夫婦が婚姻中に契約をなした前に、ひとつ指輪を買つてやると言つたが、その後どうも都合が悪くて買つてやれない。あなたはあのときそういう約束をしたではありませんかというので、契約不履行の訴えを裁判所に起すということになつて、夫婦が法廷で互いに爭うというようなことはおもしろくないという考え方から、現行法におきまして今までの法律においてはこういう規定を設けてあつたのでありますが、將來婚姻の契約、冗談半分に申したことでも一旦約束した以上は守らなければいけない。こういう趣旨からこんな規定はおかない方がいいというお考えも十分理由あることであります。今囘は修正なり改正なりの對象にならなかつたために現文のまま存置いたしましたが、この次の改正の際には當然問題となるべきものとして御了解を願います。
○加藤シヅエ君 次に七百六十二條の「夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産とする。」という條項がございます。この條項の婚姻中自己の名で得た財産ということは、どういうふうにしておきめになるか。ただ形式だけが、自己の名前で得たものは自己のものであるということにきめられるということが規定されているのではないかと存じますけれども、夫婦生活はお亙いに共同で營んでおります以上は、その婚姻中に自己の名で得た財産というのは、やはり他の方の協力があつて初めて得られるものであるということを、考えますときに、特に自己の名で得たというふうにきめてしまうということには非常にむずかしいところがあるのではないかということが考えられます。特に婦人の立場からいたしますと、多くの場合夫は經濟的な方面に進出いたしまして、自己の名において形式的に財産を得る機會は多く、婦人の側におきましては、家にあつて家庭勞働に從事しておりますので、家庭勞働を、これは洗濯代、これはアイロンをかけた代、これは子供を守した代というようなことが、一々金錢に計算されるものではございませんで、そういうような家庭勞働の上に立つて、初めて男の人が形式的な名義の財産を得ることができるということを考えますので、この婚姻中自己の名で得た財産が、その特有財産になるというその規定の裏に、妻の家庭勞働というものに對しては、どういうようにこれを民法は見るかということについて、鈴木司法大臣の御見解を伺いたいと存じます。
○鈴木國務大臣 これは技術的なむずかしい問題がはいつておりますから、この審議會以来關與し立案に參與いたしました民事局長からお答えさせたいと思います。お許しを願います。
○奧野政府委員 それでは私から……。御説のように夫婦の財産というものは、結局双方の協力によつて得たものでありますので、夫の名前でもつておつた財産といえども、これは夫婦の協力によつて得た場合が多いといつていいかと思います。ただ夫婦がそのまま婚姻を繼續している間はそれが多く問題にならないのでありまして、結局それが問題になるというのは、夫婦わかれをするときにそれが問題になるのであります。そこでこの新改正法案には、そういう思想のもとに立ちまして、離婚をする場合には、相手方に對して財産の分與を請求することができるという七百六十八條の規定を設けました。これは裁判上の離婚にも事由があるわけであります。これによつて結局夫婦わかれのときに財産の分割というか、扶養料として、あるいは婚姻中に離婚の原因を與えられたものに對する一つの制裁の意味もあります。いろいろな實際の事情を斟酌して、分與すべきかどうかということが決定されるわけであります。この離婚の場合の財産分與ということを認めたのは、また夫婦の財産は夫婦の協力によつて築かれたものであるということを大きな前提としておるわけであります。
○加藤シヅエ君 それでは七百六十八條の「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に對して財産の分與を請求することができる。」この條項についてただいま御説明を伺つたのでありますが、この場合に、もしも相手方が特に分與すべきほどの財産をもたない場合には、そのときにはもつていないけれども、經濟的な能力があるから、將來何年間かにわたつて年金のような方法でこれを分與する能力はあるという場合には、年金のような方法でこれを分與することができるということを、ここにはつきり加えておく必要があるのではないかと存じますが、これについての御見解を伺いたいと思います。
○奧野政府委員 この條文の上から、ちよつといろいろ疑義があるかもしれませんが、われわれ立案當時の考え方としては、年金の形における財産分與も認めてしかるべきものであつて、從つて現在は財産がなくても、將來債務として分割分與ということも含んで解釋できるものというふうに考えておるわけであります。
○加藤シヅエ君 細かい點については多々疑義があるのでありますが、主な點はこれでひと通り伺いましたので、特に最初司法大臣から、これは決して滿足すべきものと思つて出しておるのではなく、將來はもつと完全なものをつくらなければならないという御意見を承りましたので、將來は、こういう民法の改正というところから、さらに發展いたしまして、新しい民主的な生活のあり方を規定する家族法といつたような單獨法として出發しなければならぬ。それまでのこれはひとつの過渡的なものがあるというふうに私は解釋いたしまして、大體において私の質問はこれで終りたいと存じます。くれぐれも先ほどから申し上げましたように、法案の中に多分に家族制度的なものが殘つておりますので、今後これは徹底的は家族制度的なものを排除するという方向に、この委員會で皆様が御審議を進めていただきたいと、私は委員外として特に、委員及び委員長にお願い申し上げたいのであります。また最初から申し上げましたように、封建的な家族制度の廢止ということが、婦人一般の強い輿論であるということも、特にこの委員會の皆様方は強く御記憶に止めていただきたいと存じます。それは單に抽象的に女の意見であるというばかりでなく、先般毎日新聞社が相當嚴密な方法に基きまして、輿論調査をいたしましたときにも、家を廢止するということに贊成した意見は壓倒的に多かつたのであります。特に壓倒的に多かつたばかりではなく、その家を廢止することに贊成という意見の中に、特にこれを男と女に區別いたしましたときに、男の方は、廢止に贊成の方が五五・八%反對は四一・九%わからないというのが二・四%となつていたにもかかわらず、女の方は家を廢止することに贊成という意見は六〇・一%という多數に上り、反對は三三・一%という少數であり、わからないというのが六・八%というような調査も出ております。なお民法がどういうふうな意義をもつかということが廣く婦人に徹底されましたときに、この家を廢するという婦人たちの要望は、いよいよ熾烈なものになるということを、どうか委員長及び委員の皆さん方は御銘記くださいまして、その方向に向つて、どうかよい民法をつくり上げるように御審議くださることを希望して、私の質問を終りたいと思います。 —————————————
○松永委員長 次いて皇族の身分を離れた者及び皇族となつた者の戸籍に關する法律案及び家事審判法案の兩案を一括議題とし、質疑にはいります。大島多藏君。
○大島(多)委員 私は家事審判法に關して二、三お尋ねしたいと思います。この家事審判法の提案理由の御説明があつたときに、私は出席していなかつたものですから、あるいは重複するかと思いますけれども、その點は御容赦願います。 第一番目に第三條の規定は、「審判は、一人の家事審判官が、參與員を立ち會わせ、又はその意見を聽いて、これを行う。調停は、家事審判官及び調停委員を以て組織する調停委員會がこれを行う。家事審判所は、相當と認めるときは、前二項の規定にかかわらず、一人の家事審判官だけで審判又は調停を行うことができる。」こういう規定になつておりますが、この一番最後のところの、家事審判官は相當と認めるときは一人で審判をやることもでき、調停も行うことができると規定してあります。このことは實際上またそういう必要があると私は認めるわけでありますが、ややもするとこの「相當と認めるとき」という言葉が漠然としているし、裁判官の方はりつぱな方ばかりとは私も思いますけれども、あるいは故意に、ほんとうは調停委員會あるいは參與の意見を聽かなくてはならぬような場合においてすらも、一人である事件を審判してしまう、あるいは調停を行うてしまうという危險がある程度私はあり得ると考えますが、その點に關しまして、立案者においてはどういうお考えでありましようか、お伺いいたします。
○奧野政府委員 原則といたしましては、審判の方は參與員を立ち會わせ、調停の方は審判官竝びに調停委員をもつて組織する調停委員會で行うということにいたしておるのでありますが、審判事件あるいは調停事件できわめて簡易な、明瞭なものについては、例外として家事審判官だけで審判または調停を行うことができるという途を開いておいただけのことでありまして、當事者間にも爭いのないような事件であるとか、あるいは調停事件につきましても、簡單に親戚間における解釋等できわめて明瞭であるというような場合、審判事件としては關係人の間に爭いのない、子供の氏、姓をかえるというふうなきわめて輕微、明瞭な事件について、審判官一人だけで審判もしくは調停を行い得る途を開いたのでありますが、原則としては、やはり審判官一人ではなく、なるべく參與員を立ち會わせ、あるいは調停委員會を組織して行つていきたいというのが原則であります。
○大島(多)委員 ただいまの御説明で大體わかりましたが、私としてはどんなに簡單なものでも、やはり一應形式を履まなければこの條項が惡用される。そういう懸念をもつておるわけであります。 次に第十條の「參與員の員數は、各事件について六人以上とする。參與員は、地方裁判所が毎年前もつて選任する者の中から、家事審判所が各事件についてこれを指定する。前項の規定により選任される者の資格、員數その他同項の選任に關し必要な事項は、最高裁判所がこれを定める。」ということになつておりますが、參與員として選任される者の資格、員數は別に最高裁判所がきめるまでもなく、この法案を見たならばすぐわかるように決定してよさそうなものであると思うわけでありますが、いかなる理由で、このように最高裁判所の決定にまつとなさつたものであるか。この法案を讀めば、參與員の人數でも何でも、すつきりわかるようになつておる方が望ましいように思いますが、いかなる理由で最高裁判所の決定にまたれたのであるか、その點をお伺いいたします。
○奧野政府委員 法律の中で徳望のある者であるとか、あるいは經驗のある者というふうに規定することも一案であろうかと思いますが、今度最高裁判所ができまして、すべて下級裁判所に對する監督を行い、裁判についてのいろいろな訴訟手續の規則をきめるというふうなことも、すべて最高裁判所の權限に属することになりましたので、この參與員の資格、たとえばどういう條件を備えた人であることがいいか、あるいはそういう所にある一定の期間住居をもつておつた人であるとかいつたような事柄、その他女性をどういうふうな人數にするかといつたような、いろいろなこまかいことも考え得るかと思いまして、大體においての監督が最高裁判所にあるのであるから、そういうことについての必要の事項は最高裁判所がきめたいと思えば、あらかじめ規則をもつてきめ得るという途を開いておくというふうな意味で、この規定を設けたわけであります。
○大島(多)委員 私はその法案だけ見れば、この家事審判法のことがすつかりわかるように、參與員の數とか何かも、ほんとうはこれに規定してしまつた方が非常にわかりやすく、そういうことまで最高裁判所に一々きめてもらわぬでもよいじやないかという考えから申し上げたわけであります。 それからこれは小さなものでありますが、第十三條に「審判は、これを受ける者に告知することによつてその效力を生ずる。但し、即時抗告をすることのできる審判は、確定しなければその效力を生じない。」というところに、即時抗告ということが使つてありますが、即時というとその審判があつた直後のような印象を受けるわけであります。第十四條の規定によりますと、即時抗告の期間はこれを二週間とするという規定がありますが、二週間の時間的な餘裕があるのに、即時という言葉はどうしてお使いになつたか、その點をお伺いいたしたいと思います。
○奧野政府委員 即時抗告という名前は、すでに民事訴訟法とか、非訟事件手續法にあるわけで、即時と言いながら二週間というのはおかしいではないかというのはごもつともと思います。すでに法律の用例として、一般の抗告の場合には、いつまでに抗告しなければならないという期限がないわけでありますが、即時抗告の場合だけにおきましては、あるいは一週間の間に、あるいは二週間の間に抗告ができるという點を、民事訴訟法では即時抗告と名づけております。しかして即時抗告は、普過民事訴訟法では、一週間の期間の間に抗告をしなければならないものになつておりますが、特に審判につきましては、いろいろ考える期間も與えておく必要があろうと思いまして、これを二週間ということに改めたわけであります。即時と申しましても、二週間の間に抗告をすればよいのだ。これは普通抗告が抗告期間について全然期間の制限がないのと比べて、即時ということになつたのであります。
○大島(多)委員 それから第十八條におきまして、「前條の規定により調停を行うことができる事件について訴を提起しようとする者は、まず家事審判所に調停の申立をしなければならない。前項の事件について調停の申立をすることなく訴を提起した場合には、裁判所は、その事件を家事審判所の調停に付しなければならない。」こうなつております。調停の申立というのは、從來は文書によつてもちろんこういうことはやつておつたのでありますが、このたびはやはり文書による申立を必要とするのか、あるいは口頭でもいいのか、その點をちよつてお聽きしたい。
○奧野政府委員 それは文書でも、口頭でも、兩方いいことになつておるのであります。
○大島(多)委員 前段におきましては、「調停の申立をしなければならない。」こう書いてあつて、後段の規定によると、「調停の申立をすることなく訴を提起した場合には、」こういうことが書いてありますが、そうしたらこの申立というのは、事實上せぬでも濟むのじやないかというような感じをもちますが、その點はいかがでありますか。
○奧野政府委員 これは人事事件はすべて一應調停をやつてみて、調停ができなかつた場合に、初めて裁判なり審判をやるということにいたしたいというふうに考えて、いわゆる調停前置主義と申しますか、訴訟を起す前に、必ず一應調停事件を起してみて、調停を試みてもできなかつた場合に初めて訴訟に移すということを考えたのであります。それで第十八條の第一項で、そういうふうに必ず訴を起す前には一遍調停の申立をしなければならないということにいたしておりますが、かりにそれを無視して、初めから調停を起さないで訴を起してきた場合には、それは第十八條の一項から行きますと不適式でありますから、その訴を却下するというふうなことになるのでありましようが、それではせつかく費用等もむだになるわけでありますから、その場合には事件を家事審判所の調停にまわして、まず調停から進めて、調停ができなければ訴訟の方に移つていくということにいたしたわけであります。
○大島(多)委員 次に第二十二條の調停委員會の組織に關することであります。調停委員會というものは、二十二條の第一項のところに、「調停委員二人以上とする。」ということになつておりますが、この調停委員というものは人數が少いとどうもやはり當事者からあるいは買収されるとか、そういうことも起り得ると私は考えます。できるならば、なるべく多い方が私はほんとうに公平な調停ができるのじやないかという考えをもつておりますが、立案者の方では、どれぐらいの人數を大體豫定していらつしやいますか。
○奧野政府委員 現在人事調停法というのがありまして、人事事件は人事調停法によつて調停をやつております。大體それは判事が一名と調停委員が二名で、結局三名で調停を行つていくのが通例でありまして、非常に複雑な、大きな事件になりますと、その調停委員を四人にするというふうなことも考えられますが、原則としては、從來の經驗からいたしまして、大體調停委員二人でやつてはどうか、特に必要があれば、四人なり、それ以上なり増加するのも差支えありませんが、大體は二人でやつていけるのではないかと考えております。
○大島(多)委員 それは二十二條の第一號の、地方裁判所が毎年前もつて選任する方の調停委員でありましようが、當事者が合意で定める者は、その二名以外に何名か定められるというお考えですか。
○奧野政府委員 つまりこれは二名に限つたことはありませんで、當事者が合意できまつておる人があれば、その人を含めて、さらに前もつてきめられておる者を加えて二名ということもできましようし、前もつてきめられておる者二名をもつて組織するつもりであつたところが、さらに當事者の方であの人に調停委員になつてもらいたいという双方が話合つてできた人があれば、その上に追加することも、あるいは前に選ばれておる人を一人退けてそれを加えることも、その點は自由なつもりであります。
○大島(多)委員 次にこれは文字のことでありますけれども、二十四條に「當時者雙方のため衡平に考慮し」、という衡平という非常にむつかしい言葉が使つてありますが、この文字は、現在のような漢字制限をしなければならぬという時代に、なぜこういう特別にむつかしい文字をお使いになつたのか。この衡平という言葉に特別な意義があるのでしようか。
○奧野政府委員 これはすでに金錢債務調停法の第七條そのほか各種の調停法に同じような文字を使つておりますので、今囘もこれを踏襲いたしたのでありますが、法律上衡平という文字は、ただ平等とか、あるいは公平というより、非常に當事者雙方の實情を十分考慮して、しかも正義に適つたいわゆる衡平という、深い意味があり、從來より相當使われ、殊に英法等のエキユイテイーというふうな考えもはいつておるので、いろいろな由緒もある文字でありますから、今囘もこれを使うことにいたしたわけであります。
○大島(多)委員 ただいまの御説明で、從來いろいろ使われてきているから、あるいは深長な意味があるからとおつしやいますけれども、法律というものが民主化されなければならない時代に、こういうむつかしい文字をお使いになることは、私としてはやはり贊成できない。こういうところは、今度のこれは新しい法律でありますから、もつとやさしい文字を使つていただいたらという希望をもつているわけであります。 最後に二十八條におきまして、「調停委員又は調停委員であつた者が正當な事由がなく評議の經過又は家事審判官若しくは調停委員の意見若しくはその多少の數を漏らしたときは、千圓以下の罰金に處する。」それから、二十九條におきましても、參與員とか、あるいは調停委員の人が秘密を漏らしたときは、六箇月以下の懲役または三千圓以下の罰金に處するということが規定されておりますが、この規定は、いわゆる公務員である裁判官とか、あるいはそれに近い參與員の方にはそれはよいかもしれぬけれども、この調停委員の方、あるいはその事件に最もくわしい人というようなものが選任されたときには、この罰則の規定はあまりに酷に失して、この條文によりますと、正當な事由がなくそういう秘密を漏らしたときはということがありますが、この正當な事由というものがどれくらいまで許されるものか、そしてまたこの秘密を守つておらなければならない期間というものがこれには限定がないから、あるいは一生その秘密を守つておらなければならぬ、そういう重大な一種の負擔というものを押しつけるということは、非常に酷なような感じがするわけであります。そういうことは、家庭内の秘密とか何とかを一般に知られてはぐあいが惡いから、それを保護するための規定であることはもちろんわかりますけれども、その罰則の規定はあまりに嚴格にすぎはせぬかという感じをもつわけであります。いろいろの諸會合の内容とか、そういうものの内容の秘密というものは、實際においてはなかなか守りにくいものであります。閣議の申合せでも、すぐどこかから漏れてくるという、そういうりつぱな人達ばかりの集りでもやはり漏れてくる。それを調停委員の人達に、期間もほとんど無制限にそういう重い荷を負わせることは、私は非常に重過ぎる負擔であるという感じをもつわけであります。こういう規定があるために、調停委員になることをあるいは拒絶するということも、私は考え得られると思いますが、調停委員になることを拒絶する權利はもつているものであるか、そういう點につきまして御説明を願います。
○奧野政府委員 これは家庭内の秘密が外部に漏洩されては、せつかく調停の場合にいろいろな實情を打明けて調停をしてもらつたのに、その調停委員の方からその内容が流布されることになつては非常に迷惑をする。殊にまた調停の評議というものは秘密の間に行うということになつておりますので、その調停の評議の内容、經過等を輕々しくほかに漏らされては、非常に弊害がありますので、現行法の各種の調停にも同じ規定があるわけでありまして、それを踏襲いたしたにすぎないものであります。正當な事由があつて經過等を述べなければならない場合、たとえば裁判所の證人にでも喚ばれるような場合はともかくでありますが、正當な事由なくして、いろいろ外部にそういう經過等を漏すことは慎まなければならないというふうに考えて、この二十八條の規定を從前通りおいたわけであります。もちろん事實上調停委員を辭するということは許されておるのであります。殊にその事件にはいろいろ係合いがあつて困るというふうな場合には、その事件にはいることを囘避することもできることになつております。
○大島(多)委員 大體わかりましたが、そうすると、その秘密をずつと守つている期間は永久のものでしようか。
○奧野政府委員 別段その點については期間がいつまでということはありませんから、まあ永久というようなことになるわけであります。
○大島(多)委員 私の質問は終りました。
○松永委員長 明禮輝三君。
○明禮委員 二、三點伺いたいと思います。 今これを拝見したのでありますが、家事審判法は審判と調停とにわかれております。審判の方に參與員というのがあるのでありますが、參與員というものが一つの裁判をする形になるのでありますが、これはどういう地位の人になつておるのでありましようか、ちよつとその點を伺います。
○奧野政府委員 參與員は調停委員と違いまして、いわゆる審判には直接關與しない。ただ立會つておいて審判官の意見を聽かれるだけであつて、審判官は參與員の意見に毫も拘束されない。審判自體は審判官が自分の考えでやるのでありますが、ただ參與員を立會わせる。參與員に意見を諮問しながらみずから裁判をやるということになつておる。その點調停委員が調停委員會を組織して調停をやるのとは、いささか趣を異にしておるわけであります。しかしてどういう人が參與員になるかというと、これは大體調停委員と同じように、あらかじめ地方裁判所長がきめた者のうちから、最高裁判所がきめることに、第十條の第三項でなつております。要するに調停委員と同じように知識、經驗を有し、徳望もある人からあらかじめ選任しておくことになろうかと思います。もちろんこの中には女性も相當範圍候補者の中に入れておくことになろうと考えております。
○明禮委員 十三條によりますと、審判は抗告をすることができるのでありますが、審判に對して抗告をし、さらにその抗告に對する再抗告はこれによるとできないようになつているようでありますが、大體三審制度といいますか、こういつたような審判は、相續その他いろいろな問題から非常に大きな問題を含むと思います。そういつたような場合に、抗告をすることができて、再抗告ができないとすると、國民の權利として裁判をする機會を失うというような意味の缺點が起きるのではないかと思うのでありますが、この點はいかがでありますか。
○奧野政府委員 どういう事件の審判が即時抗告ができるかという事柄は、最高裁判所できめることにいたしております。しこうして即時抗告は、やはり地方裁判所の事件でありますから、高等裁判所に抗告をいたすことになるわけであります。その高等裁判所の決定に對して、さらに再抗告ができるかどうかという問題は、民事訴訟法の規定によりまして、それが憲法違反等を理由とするときは、最高裁判所に再抗告できることになつているわけであります。
○明禮委員 そうすると、民事訴訟法の規定——十四條であつたか何條であつたか、ちよつと今見あたりませんが、この點はどうでありますか。それからそういう規定がこの家事審判法そのものになくてもよいかどうか。 それからもう一つ、われわれが始終こういうことに關與した場合に感ずることは、相手方が出てこないときであります。出てこないときに、調停の方では強制調停が入つているのでございますが、この審判の場合において相手が出てこないようなときは、審判でありますから、それは適當に處理ができるのだろうと思いますが、しかしちようど缺席裁判があると同じように、缺席審判——相手が數囘に及び理由なくして出頭しない場合には缺席審判ができるという規定をおく必要がありはしないか。
○奧野政府委員 まず、先ほどお尋ねの再抗告の問題でありますが、これは第七條で、非訟事件手續法の中に民事訴訟法が準用されておりますので、民事訴訟法で意見を聽くというような場合に、最高裁判所に再抗告ができるという規定がありますから、大體それでいくことになるわけであります。 それから家事審判所の呼出しに應じないような場合には、二十七條で五百圓以下の過料に處する途もありますが、しからば缺席判決はできないかというお問いであります。これは大體審判は非訟事件手續法によりますから、職權でいろいろ調査することになりますので、もしこなくてもどんどん進めて審判をしていけばよいと思います。ただ民事訴訟法のように自白したるものとみなすというふうなことは、職權調査の關係上、すぐにはそう言い切れないものがあるのじやないかというふうに考えております。
○明禮委員 あるいは職權調査事項の中には、そういうものもありましようが、そういつた場合に、職權調査事項以外の非訟件等についてゆえなく出頭しない場合には、自白したものと認めてよい場合もあるではないか。とにかく實際において罰金その他の制裁をもつて罰することのできない場合がほとんど主なのでありますし、また罰金などありましても、ほとんど罰金など科したことはないのであります。實例としてもほとんどない。罰金言渡しくらいはやることもあつたようでありますが、いろいろな理由でもうすぐに取消してしまうという實情であります。でありますから、この家事審判法というものをほんとうに活用するためには、かような條文がなければ私はどうしてもすべての審理に活用が十分にできにくい場合が多いのではないかと思うのであります。
○奧野政府委員 ごもつともな點であります。大體審判手續は、決定の手續でやるので、訴訟のように口頭辯論の主義をとらないので、缺席したがゆえに相手方の主張を自白したるものとみなすということはいかがかと思うのでありまして、そういう場合にも大體いろいろ資料を調査して審判をやつていく。もつともどうしてもこないというようなこと事態が、みずからそういつたような心證を得る一つの資料にはなろうかと考えます。
○明禮委員 これは民法の改正に伴つた問題でありますが、相續法というものがどうなつてまいりますか、この委員會において今後研究し、あるいはいろいろと改正されるかもしれませんが、原案のごとき状態におきますならば、相續の場合のごときは、おそらく事件續出だと思います。遺産相續の規定により、子供の皆に總分配をするというようなやり方をするならば、農地ばかりではなく、店舗とかあらゆる財産で適當に子供に分割されるべきものがない場合が多いのみならず、あつても世間の實情は、子供同士の間において、相續人同士の間において頻繁たる爭いがありますから、おそらくこの審判法の活用がまことに多く、事件續出であります。そういうものを處理するためには、この際でありますから、ぜひ今のようなものは取入れておかないと、おそらく處理ができない状態になろうと思います。どうぞこの規定については、特に御高配を願いたいと思います。 それから次に調停であります。この調停でいつも問題になるのは當事者が出てこないことであります。調停というものは、審判のときとはまた一層頭が違つておつて、現在において一般の國民感情というか、國民の法律的な考え方は、調停というものは三囘や五囘放つておいても別にかまわないものであるということをはつきり認識しております。でありますから、調停申立をしたところで、出て行かぬでもよいということをわざわざ言う者がある。從つて事件を實際やりまして、私ども申立人となり相手となり、あるいは調停委員として事件を處理した場合に、出てこないと役所も困るが相手方も申立人も困る。出てこない場合はこの第三章以下の調停の規定で、どういうようになつておりますか、御説明を願います。
○奧野政府委員 その點は現行の人事調停でも大體同じでありますが、今度は場合によつては調停が成立しないときでも、強制調停と言つては語弊がありますが、二十四條によつて職權で事件の解決のためにいろいろ強制調停ができます。もつともこれに對してさらに異議があれば當然效力を失つて、そうなると結局審判なり訴訟に落ちつくことになるわけでありますが、一應強制調停というものを考えておいて、そういう場合にはこれによつて相當そのような結果を防ぐことはできようかと思います。なおもちろん正當な事由がなくて呼び出しに應じない場合に過料等の規定によつて、さらに出頭が間接に強制できることになろうと思います。
○明禮委員 これは實際は奧野政府委員の言われるようにならないのでありまして、二十四條に「調停委員の意見を聽き、當事者双方のため衡平に考慮し、一切の事情を觀て」、と書いて、申立の趣旨やいろいろなものを參酌して強制調停ができることになつておりまして、これは今までの調停法なんかから見ると、一歩前進していることは間違いない。前のでもやつてはおりますけれども、まずこれの方が大分よくできているように思うのであります。しかしこの強制調停をやるときには、當事者の意見を相當聽かないと、實際においてやれないのであります。出てこない場合には、これをやると言つてもまことに困るのであります。はたして實情がどうだということを聽かないで、こう思うということでは強制調停はできないのであります。この場合には實際強制調停をやつてもいいと思うような、金錢債務第何條かの規定によつてやる場合でも、出てこないために、實情の斟酌その他がわからぬ場合にわからぬものをむちやくちやにやるということはいかぬのでありますが、ここにせつかく強制調停をやられるならば、呼出しについて何か適當な方法を考えて、たとえば不出動が何囘に至つたときにはさつき申しました職權事項以外のものは自白したものとみなして職權調停をすることができるとはつきりいたしますと、これはうろたえて出てくるのであります。罰金とか何とか言うても、罰金を納めることは平氣で、罰金の言渡しがあつても、あとからいくらでも取消しをしているし、またやるのであります。どうしても私は呼び出しても缺席の場合に適當な判決ができるようにしたい。缺席判決、缺席調停、何かそういうようなものをこしらえなければほんとうの活用ができません。先はども申しました通り。これからは家事審判所が最も中心になつてやるのでありますから、どうしてもこの點についての御高配を願いたいと思いますが、御意見を承ります。
○奧野政府委員 これから家事審判所が家庭事件について特に深く關心をもつて世話をやるという行き方で進むことにならうと思いますから、當事者が出てこない場合には、特に電話をかけたり、あるいは廷丁を走らせたりしてできるだけ出るようにやる。ぜひそういう方法で進まなければならないということは、この家事審判法の委員會の最後に、そういう實際の運營で進むという希望決議もいたしたわけでありまして、そういう意味で從來のごとく消極的ではなく積極的に運營いたしたいと考えております。
○明禮委員 それは調停委員の申し合わせとか、あるいは裁判所の申合わせとか、そんなことではないのでありまして、當事者は心得て出てこないのです。ちやんとこうなるのだから放つておけばいいというので出てこないのですから、とても實行はできないと思います。これはどうしても何らかの條文を入れておかなければ、活用はできぬと思います。政府でお出しにならなければ、皆様で協議して、強硬な修正をやらなければならぬ。これは經驗者は十分御承知だろうと思います。早速案をつくつていただきたいと思います。 —————————————
○松永委員長 速記を止めてください。 [速記中止]
○松永委員長 速記を始めてください。この際民法の一部を改正する法律案の公聽會の學識經驗者の公述人の選定について御諒解を得たいことがございます。前囘家督相續問題の公述人として立石芳枝君を選定し、支障のあつた場合に田邉繁子君を候補者としてあげられたのでございますが、兩君とも一般公述人として申出がございました。申出者として取扱うべきものが妥當と考えられますので、前囘の學識經驗者の公述人としての選定を取消したいと存じます。御異議ありませんか。 [「異議なし」と呼ぶ者あり]
○松永委員長 それでは取消すことにいたしまして、新たに選定するのでありますが、同問題について中川善之助君がよいと存じますが、いかがでしようか。中川善之助君を學識經驗者として選定することに御異議ありませんか。 [「異議なし」と呼ぶ者あり]
○松永委員長 それではさように決定いたします。午後一時半まで休憩いたします。 午後零時十四分休憩 ————◇————— 午後二時三十分開議
○石川委員長代理 休憩前に引續き會議を開きます。佐瀬昌三君。
○佐瀬委員 この際政府委員に對して、皇族の身分を離れた者及び皇族となつた者の戸籍に關する法律案について若干質疑いたしたいと思うのでありますが、よろしゆうございましようか。
○石川委員長代理 よろしゆうございます。
○佐瀬委員 皇室典範第十一條以下の規定によつて、皇族の身分離脱がきわめて合理的になり、かつ容易になりました以上、これに伴う本戸籍法の立法は、當然の要請であると存じます。よつて私は政府提案の趣旨を諒とし、いささか内容について、この機會にお尋ねいたしておきたいと思うのであります。政府は近く一般の戸籍に關する改正法案を出すやに承つておつたのでありますが、この皇族戸籍法との關連についてはいかに御處理なさるか、この際一應承つておきたいと存じます。
○奧野政府委員 ただいまお示しのように、戸籍法全般にわたりまして、民法の改正に伴つて、新しい戸籍法をつくりつつあるわけでございます。そこでこのたび皇族が臣籍に御降下されるにつきまして、從來のように華族に列せられるのではなく、ただちに平民といいますか、臣籍に降下し從つて戸籍法の適用を受けることになるのであります。ところが從來は皇族は戸籍法の適用は受けなかつたわけでありますから、臣籍に降下されても、戸籍につける方法がないのでありまして、新しい就籍の事柄、いわゆる新しい戸籍をつくる、あるいはもうすでに戸籍をつくつたところに、さらに御降下によつて入籍をするというようなことが必要であるので、いわば皇室關係におきましては、皇統譜令ということによつて登録されておりますが、それが戸籍に登録替をするにつきましての橋渡しがこの法律案であります。しかして漏れ承りますところによりますと、皇族の御降下は大體今年中にある由でありまして、從いましてこの關係は舊と申しますか、從來の戸籍法の適用の範圍において行われるのであります。しかして今度の新しい戸籍法の改正は來年一月一日の民法の施行と同時に改まる豫定でありまして、その間において降下された方の戸籍をつくる。さらにそれが來年から一般の新戸籍法によつての適用を受けるという關係になるわけであります。
○佐瀬委員 あるいは將來の立法問題に關連するのかも存じませんが、皇族の分籍制度というものは、いかに相なるべきものか、政府に腹案があるならば承つておきたいと思います。
○奧野政府委員 皇族が臣籍に降下されて、戸籍法の適用を受けることになりますと、今度は戸籍法の規定によつて分籍ができることになるわけであります。これは新しい戸籍法においては、成年者はいつでも分籍ができるという規定を制定するつもりであります。從いまして一旦臣籍に降下された皇族が、その規定によつてさらに分籍ができるということになるはずであります。
○佐瀬委員 あるいはこの法案で解決できるのかもしれませんが、一點疑いがあるので、お伺いしておきたいと思います。第二條によりまして、皇族身分の離脱者は婚姻前の戸籍にはいるというように、第一項の上で定められようとしております。第四條によりますと、「皇族以外の女子が皇后となり、又は皇族男子と婚姻したときは、その戸籍から除かれる。」ということに相なつております。そこで問題は、もしその當時の戸籍が、すでに戸籍法から除かれておるというような場合には、第二條によつて婚姻前の戸籍にはいるということが不可能な場合が出てくるのではなかろうかと懸念されるのでありますが、その點はいかに相なるのでございましようか。
○奧野政府委員 第二條すなはち「皇室典範や第十四條第一項乃至第三項の規定により皇族の身分を離れた者」と申しますのは、結局皇族以外の女子であります。その女子が親王妃または王妃となつた者、それがその夫を失つたために、その意思によつて皇族の身分を離れた場合、それから特別な事由があつた場合、その夫を失つた者が皇室會議の議によつて皇族の身分を離れる。あるいはまた皇族以外の者が皇族と婚姻して、それからさらに離婚したような場合は皇族の身分を離れる。これらの場合においては、皇族でなかつた者が皇族となり、さらに離婚等によつて皇族の身分を離れるのでありますから、一應從來の戸籍から除かれたが、やはりもとの戸籍がある場合は、それにはいるということになるわけでありますが、もし入る際に、すでに戸籍が除かれておつたような場合におきましては、新戸籍を編成するのでありまして、この點は第二條の第三項に規定をおいたわけであります。
○佐瀬委員 その點よくわかりました。次に第五條以下で届出義務を十日以内というふうに起案されておりますが、これはいつから十日以内か、また十日という基準を出した據りどころはどこにあるかということについて、概括的に承つておきたい。
○奧野政府委員 これはやはり戸籍の届出につきましては、出生届であるとかいうようなものについては、すべて届出期間がきめてあるのであります。そうして除籍及び入籍について、これは大體舊來の華族に降下される場合の例にならつたものでありまして、やはりそれには一定の届出期間を設けておくのが適當であろうというふうに考えたのであります。しからばいつからかということになりますが、これは身分を離れた日から起算し、婚姻のあつた時から起算して除籍の届出をする。入籍の——戸籍に新しくはいつてくる方は、皇族の身分を離れた時を標準にして、いずれも十日の期間内に届出をするということであります。
○佐瀬委員 先ほど政府委員からも一應御説明があつたようでありますが、本年末を期して、本戸籍法の對象になるお方は、どの程度にのぼられるかということを、お伺いいたしてみたいと思います。
○奧野政府委員 この點もただ漏れ承るだけでありますが、要するに、現在の直宮殿下様を除いて、大體すべての皇族が降下になるということであります。
○佐瀬委員 政府委員の以上の御説明によりまして、私の本法案に對する質疑は十分滿たされたと思いますのでこれをもつて打切りたいと思います。
○石川委員長代理 本日はこれにて散會いたします。次會は追つて公報をもつてお知らせ申し上げます。 午後二時四十五分散會