司法委員会 第2号
- 発言数
- 18 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1947/07/09
会議録
○松永委員長 会議を開きます。これより去る七日本委員会に付託せられました内閣提出の國家賠償法案、並びに予備審査のため昨八日に付託されました内閣送付の下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案を一括議題といたします。まず政府の説明を求めます。鈴木司法大臣。
○鈴木國務大臣 ただいま上程の國家賠償法案について提案理由を説明いたします。 日本國憲法は、その第十七條において、「何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、國又は公共團体に、その賠償を求めることができる。」と規定しております。しかるに從來現行民法の解釈として、民法の不法行為に関する規定は、國又は公共團体の公権力の行使による損害には適用がないものとされていましたので、戸籍法、不動産登記法、特別法に特に規定してある場合のほかは、被害者はその救済を求める途がないのであります。よつてこの法律では、まず第一に、この点に関する國又は公共團体の損害賠償責任を明かにするため、その第一條において國又は公共團体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、國又は公共團体が、これを賠償する責に任ずることを規定しました。なおこの場合に故意又は重大な過失のあつた公務員に対しては、國又は公共團体から求償できることを規定して、当該公務員の責任を明らかにしたのであります。 次に道路、河川その他の公の営造物のように、その設置又は管理が公の行政作用に基く場合に、その設置又は管理に瑕疵があつたため他人に損害を生じたときは、國又は公共團体に賠償責任があるか否かは法律上明らかでなく、学説、判例も区々でありますから、今回この法律案に第二條を設けて、かような場合には國又は公共團体に損害賠償責任のあることを明らかにしました。 なお以上のように國又は公共團体が損害賠償の責に任ずる場合に、たとえば河川、道路等のように、その行政作用の主体は國でありながら、その費用は公共團体が負担するようなときは、費用負担者の者に損害賠償の義務を負わせるのと適当といたしますので、第三條においてその旨を明示しました。 以上に述べたほか、鉄道営業等のように、從來から國又は公共團体に損害賠償の責任のあることが解釈上明らかであつたものは、從來の通りであります。又損害賠償の責任について郵便法のように他の法律に別段の定があるときは、その定によることといたしました。法律案第四條及び第五條の規定がこれに当たります。 なお國又は公共團体の損害賠償責任につきましては、國により立法例が必ずしも一樣でありませんので、外國人が被害者である場合には、第六條により相互の保証があるときに限り、この法律を適用することにいたしました。 なおこの法律の制定に伴い、他の法律の規定中公務員の損害賠償責任を規定したもので、この法律の規定によることを適当とするものについては、この際旧規定を削除してこの法律によることといたしました。この法律の附則の規定はすなわちこれであります。 何卒慎重御審議の上可決せられんことを御願いいたします。 次に昭和二十二年法律第六十三号、下級裁判所の設立および管轄区域に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申上げます。 この法律は、裁判所法第二條第二項の規定に基き、先ごろ第九十二回帝國議会に提出せられ、両院を通過成立して、去る五月三日新憲法と同時に施行せられたのでありますが、この法律制定の際は、簡易裁判所の設立及び管轄区域につきましては、その数が多くかつ直接社会の治安に関係する重要なる、また全く新しい裁判所のことでありますため、なお詳細に現地の事情を調査した上これを決定する必要があるということで、その第三條におきまして「簡易裁判所の設立および管轄区域は、当分の間、裁判所法第二條第二項の規定にかかわらず、政令でこれを定める」と規定して、この規定に基きまして昭和二十二年政令第三十七号が制定公布せられ、同じく去る五月三日から施行せられているのでありまするが、この法律の附則第二項によりますると、この政令は第一回國会開会の後六十日を経過した時、すなわち來る七月十八日限りその効力を失うことになつておりまするので、それまでにはこの法律により直接に簡易裁判所の設立および管轄区域に関する定めをしなければならないわけでありまして、なおこれに関連して若干の改正をする必要がありまするので、ここにこの改正法律案を提出いたした次第であります。詳細につきましては、民事局長より申し上げることになつております。これまた慎重御審議の上速やかに御賛同を賜らんことをお願い申し上げます。
○松永委員長 暫時休憩いたします。 午前十時四十二分休憩 ————◇————— 午前四十九分開議
○松永委員長 休憩前に引続き会議を開きます。奥野政府委員。
○奧野政府委員 それでは私から簡単にこの法律案につきまして、條文を逐つて御説明を申上げたいと考えます。 まず第一條は、從前の高等裁判所及び地方裁判所とともに、簡易裁判所をも別表第三表の通りに、この法律により直接設立することといたしたものでありまして、第二條におきましては、各高等裁判所、地方裁判所および簡易裁判所の管轄区域を別表第四表の通り定めることにいたしたのでありますが、これらの別表の内容につきましては、大体從前の通りであります。ただ新たに甲府地方裁判所管内の、山梨縣北都留郡大月町に大月簡易裁判所を、また大阪地方裁判所管内の大阪府三島郡茨木町に茨木簡易裁判所をそれぞれ新たに設立することにいたしましたこと、それから從前青森地方裁判所管内の青森縣下北郡田名部町に、田名部簡易裁判所が設立せられていましたのを、同管内の同郡大湊町にこれと管轄区域を同じくする簡易裁判所を設立しまして、これを大湊簡易裁判所と称することにいたしましたこと、その他全國数箇所の裁判所の管轄区域を、部分的に改正しましたことなどが、從前と相違いたしておる点であります。 次に第三條におきましては、裁判所の管轄区域の基準となつた市町村などの行政区画に変更があつたとき、たとえば、ある市に隣接したその市と、管轄裁判所を異にする町村の一部が市の区域に編入されたとき、その編入された地域をも市の管轄裁判所の管轄に属させたいという場合におきまして、これに対し一々法律改正の手続をとりますことは、すこぶる煩瑣でありますので、このような変更のありましたときは、原則として裁判所の管轄区域もまたこれに伴つて当然変更されることとし、ただ例外的に市町村などの行政区画があたらに設置せられたときや、一つの裁判所の管轄区域に属する行政区画に編入せられましたようなときは、この原則によることは適当でありませんので、從前の管轄区域のまま変更されないこととし、このことは行政区画でないとされている郡、市町村内の町または字その他の地域で裁判所の管轄区画の基準となつているものに変更のあつたときも、また同樣とすることにいたしたのであります。また、第四條は、以上第二條及び第三條の規定によりましても、管轄裁判所が定まらない地域がある場合、たとえば将來講和條約の結果、現在わが統治に服していない島などが返還せられて、領土に編入せられたというような場合におきまして、もしこの法律の改正せられるまでその地域を管轄する裁判所が定まらないということでありますれば、諸種の不都合を生ずる恐れがありますので、それまでの暫定措置として、そのような場合には、この法律の改正によりその地域を管轄する裁判所がその裁判所を定めることにいたしたのであります。 最後に附則について申し上げますと、第一項におきましては、この法律は、前に申し上げました政令がその効力を失う日の翌日である來る七月十九日から、これを施行することを定め、第二項におきましては、この法律により設立される簡易裁判所で、從前の政令による簡易裁判所と名称を同じくするものは、この法律によつてあらたに設立されたものではあるが、法律上はその從前の政令による簡易裁判所と同一のものとみなすこととし、また、この法律により設立される大湊簡易裁判所は、從前これと同じ区域を管轄していた田名部簡易裁判所と、法律上同一のものとみなすことにいたしました。また第三項におきましては、大月簡易裁判所の場合のように、同一のものとみなされるべき從前の裁判所もなく、この法律により全く新たに裁判所が設立せられた場合や、また第二條の規定によつて定められた或る裁判所の管轄区域と、その裁判所または第二項の規定によつてこれと同一のものとみなされる裁判所の、從前の管轄区域との間に変更があつたような場合におきましては、この法律施行前に從前の管轄裁判所で受理した事件は、その裁判所でこれを完結せしめるのが適当でありますから、そのように規定いたしたものであります。 以上簡単ではありますが、この改正法律案の説明を申し上げた次第であります。
○松永委員長 速記を止めて……。 〔速記中止〕
○松永委員長 速記を始めます。次いでこの両案について、質疑及び討論にはいります。中村俊夫君。
○中村(俊)委員 私は兵庫縣の出身でございますが、——もつともこの提出された法案の内容について、今ここでただちに修正していただこうとかいう意思はないのでありますが、ちよつとお尋ねしたい。この神戸地方裁判所管轄の簡易裁判所の表をおつくりになるについては、神戸の裁判所だけで作成されたのだと思いますが、在野法曹にでも総合的に意見をお求めになつたのかどうかということをお尋ねしたい。その理由は、神戸とある中に美嚢郡がはいつておるわけであります。これは地理的に考えても、交通機関から考えても、当然明石にはいるべきものだと私は考えておるのでありますが、こういう点などは、今後十分在野法曹とも御協議願つてやつた方がよいのじやないかと思うのであります。あるいはわれわれの方にも御相談になつたのかもしれませんが、私は知らないものですから、こういうような、神戸の中に美嚢郡がはいつておるということは、どういう関係ではいつておるのか。私は間違いではないかと思うくらいでありますが、その点についてお尋ねしたい。
○鈴木國務大臣 便宜立案にあたりました説明員をして説明いたさせます。
○赤木説明員 ただいまお話の点は、現地の所長、檢事正に委託いたしまして、現地の事を調査して、その上申によりまして決定いたした次第であります。その際所長、檢事正に事情を調査委託した場合には、弁護士会の方にもよく連絡をとつて報告してもらうよう話してございますので、おそらく所長檢事正の方で、弁護士会にも相談されたものと思いますが、その点ははつきりいたしません。本省から直接神戸の弁護士会には照会いたしておりません。ただいまの美嚢郡の点も神戸の長官からの報告によりますと、こういうふうにしてもらいたい、こういうことでございますのでその通りにいたした次第であります。
○中村(俊)委員 今の御説明のように、つまり官廳の報告だけでこれを御作成になつたようでありますが、われわれも直接司法部に協力を申し上げている在野法曹なのであります。今後そういう問題につきましては、できるだけひとつ御相談をしていただいて、そうしてみな協議の上できめていただいた方が、妥当的な案ができはしないかという希望だけを申し上げておきます。
○鍛冶委員 関連して——ただいま御質問のあつた通り、現地の事情等によつて相当考慮すべきものがあるということですが、これは数において何か制限があるのですか。それとも事情によつては、減らすということはありませんが、殖やしてもいいというお考えでありましようか。
○赤木説明員 簡易裁判所は予算上六百十五箇所できることになつておりまして、まだつくる余裕はございます。
○鍛冶委員 これは最高裁判所ができれば最高裁判所できめるべきものではないでしようか。最高裁判所が今のところないからいいけれども、もしこの法律でできたあとで、どういう関係になるか。もしくは現在の最高裁判所の代行機関との関係はどういうことになりますか。
○赤木説明員 裁判所の設立、廃止、管轄区域の変更等は、すべて法律でやることになつておりますので、これは最高裁判所ができましてほんとうに活動するようになりました曉におきましても、法律によることになつております。ただ支部の設置はこれは最高裁判所がやることになつておりますので、おそらく最高裁判所の告示で今後やることになろうかと考えます。
○花村委員 ちよつとただいまのこの管轄区域の対する関連質問をいたしたいと思うのでありますが、この管轄区域を設定するについての司法省の基準は一体何におかれたのか。行政区劃を基準にされたのであるか。あるいは地域的に見て適当な場所と考えられる所に、設置するということにいたしたのであるか。あるいは警察等の單位基準としてつくられたのであるか。その簡易裁判所設置に関する機銃をお示し願いたいと思います。
○赤木説明員 簡易裁判所は区檢察廳との関係がございますので、大体におきまして、行政区画を基準にはいたしておりますが、行政区画の中で、警察の管轄が喰い違つている場合には、大体警察署の管轄区域を基準にする方針でまいります。
○松永委員長 次会は來る十二日午前十時より開くことにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。 午前十一時十三分散会