財政及び金融委員会商業委員会鉱工業委員会連合審査会 第2号
- 発言数
- 50 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1947/10/22
会議録
○北村委員長 それでは開會をいたします。 經濟力集中排除法案に關しまして、引續き前會に續きまして懇談會を續けたいと思います。御異議がなければさようにいたしたいと思います。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○北村委員長 それではこれより懇談會に入ります。 ————◇————— 〔午前十時四十一分懇談會に入る〕 〔午後零時三十五分懇談會を終つて散會〕 ————◇—————
○北村委員長 本日は三共製藥の塩原社長のおいでを願つておるのでありますが、鹽原社長は一面東京商工會議所の工業部副部長を御擔任になつておりまして、そういう面を併せて、できれば中小商工業に及ぼす影響等についても御意見を伺うことができれば非常に仕合せだと思います。これより三共製藥の鹽原社長のお話を伺いたいたいと思います。
○鹽原禎三君 私はただいま御紹介をいただきました鹽原でございます、經濟力集中排除法案につきまして意見を申し上げたいと思います。 最初に結論を申し上げたいと思います。私としましてこの法案に對しては原則的に贊成であります。しかしながら本法の運用につきましては細心の注意が必要であろうかと思います。これについて少しく申し上げたいと思います。私が本法案に對して異存がありません理由は、今日日本が直面しておりますところの經濟再建のことに關連しまして、どうしてもいわば大掃除が必要である。戰爭中變則的に進んでまいりました、發展しましたわれわれの經濟を、違う目的のために今後發展させますためには大きな手術が必要である、かように考えますので、本法案の運用いかんによりましてはその目的を達するのではないか、かように考えるからであります。實は法案か上程されますに至る經過につきましても多少は聞いております。本法案が非常に包括的でかつ多分に抽象的な條文をもつておることに對しましては、われわれ經濟人としまして一應不安を感ずるのであります。結局この運用にまつということになりますれば、條文は包括的から抽象的であつた方がよろしいのではないか、かように考えておるのであります。從いまして本法はその内容よりもむしろその運用いかんによつてその成果は期待できるのではないかと思うのであります。この運用につきましては國會におかれましても十分なる監視をお願い申し上げたいと思います。と申しますのは、本法がきわめて包括的、抽象的である關係上、ややもしますると企業の細分化のおそれがあると思うのであります。少くとも私の知る限りにおきましては、本法案の目的が日本の企業の細分化にはなると信じておるのであります。この意味におきますところのわれわれ經濟人としての準備なり、あるいは研究ももとより必要でありますとともに、また各方面の本法運用に對する監視が必要でないかと思うのであります。 先ほど委員長からお話がありましたので、この法案がその實施によりまして、それがいかに中小工業に影響を及ぼすかという點でありまするが、私の現在まで承知しておりますところでは、おそらく中小工業に對する影響というものはないかと思うのであります。すなわち本法によりまして分割をされる企業體、その數も數百に及ぶと聞いております。その分割された結果としても、いわゆる中小工業の大きさまでと申しますか、小ささまで分割されることはなかろうかと、またあつてはならないと考えております。從いましてこれによつて中小工業者が不安を感ずる等のことはかいかと思うのであります。私ども過去數年間の經濟界の各企業の發展の跡を見てまいりますと、先ほど申しましたように非常に變則的に膨脹した場合も決して少くないと思います。また今後のいろいろ經濟界の事情を見ましても、あまりに厖大なる企業というものの運營自身が、きわめて困難であるということも考えられると存じます。この意味におきまして日本經濟再建の當初にあたつて、再出發しやすい形に各企業を置くということについては贊成いたしたいのであります。しかしながら本法の實施にあたりまして、また實施後におきましていろいろの問題が起ると思うのであります。まず第一に企業の不當な細分化は避けたいと考えます。そうしてまたその分割されましたといろの新しい各企業體が、經濟的に成立するような形につくられなければならないと思います。これは一言で申すときわめて簡單に聞えるのでありますが、實際問題としては非常に困難であります。多數の工場をもつ一つの會社の場合を考えましても、工場ごとにいろいろと事情が違つております。特にその事情の根本の相違というものが、戰爭というきわめて變則的な事情のもとに行われてまいりました關係上、今日これを別々にしまして切り離して、そのおのおのが獨立して、りつぱに經營をしていくという目標を立てますことは、非常に困難なのであります。現在分割を命ぜられておる各社の事情を聞きましても、その點に多分に困難を感じておるように聞いております。從いまして本法の實施に伴つて起るところのさような困難に對しても、國會として次々と新しい手を打つべく御研究を願いたい、かように考えておるのであります。 たとえて申しますると、資産の内容につきましては、各企業體いろいろ事情を異にしておりますし、古い工場はそれだけ有利であり、新しい工場はきわめて不利な工場におかれていくであろうということは、容易に想像されるのでありまして、この條件を同じくしていくということに非常に技術的に困難がありはしないかと思います。また本法によつて分割をすべく指示を受けます會社と、指示を受けない會社と、ここに大きな相違が出てくること、また指示を受けますにしてもその時期の問題、平たく申せば指定をされるならば早く指定をされそうして分割が承認される方が、それだけ有利に將來を希望し得るというようなこともありますので、少くとも同じ業種につきましては、分割案の承認あるいは新しく分割された各會社の出發というものの時期ができるだけ同一でなければならないように思うのであります。實は私自身といたしましてまだこの分割問題をみずから體驗をいたしておりません。體驗をするかも知れないというような、いわば不安な状態におかれておる一人でありまするが、その私ですら實は根本的な不安は感じていないのであります。しかしながらもつとも心配しております點は、われわれが今度この法案によつて各企業體を分割するということにあたりまして、新しい日本の經濟がいかにあるべきかという見透しと案を、確實にはもつておらないという點であります。從いましてどう分割したらば將來の日本のためにいいかという問題については、おそらく確實な囘答は何人からも得られないのではないかという點であります。 もう一つは今日の經濟状態においてかような分割、その他の、事務的には實にマイナスの仕事をしていくひまがあるかどうか、この問題であります。おそらくひまはない、そういう餘裕はないと考えるのが常識であろうかと考えます。從いましていわゆる經濟復興というものが、それだけさらに大きなハンデキヤツプを背負わされていくということについては、われわれとしては覺悟しなければならないかと思います。そこで本法はその立案の經過から言いましても、これはある意味においては動かし得ないものであるかも知れません。その運用の問題については、占領軍と一體になりまして、この新しい日本の經濟が、敗戰の結果としてわれわれが實行を義務づけられました範圍内において、もつとも成果あるごとく、また本法案の表面的な目的とは逆に、りつぱな成果を生むようにお考えをいただきたいと思うのであります。われわれといたしましてもその方向に研究を進めていくべきであろうと思うのであります。豫想外にこまかい問題につきまして困難を生ずるということは、これは個々の場合についても申せますし、また全體についても言えるのではないかと思われますので、この點については逐次適初な手が打てますように、この點を特に御考慮いただきたいと思うのであります。 以上私の意見を申し上げまして、御參考になればまことにさいわいであります。
○北村委員長 ただいまの御意見に關して質疑等がありましたらどうぞお述べ願います。——それではただいまの御意見について私よりちよつとなお鹽原さんに伺いたい點があります。きわめて法が抽象的であつて、運用については十分の監視を要する、こういう點はわれわれきわめて同感なのでありますが、運用監視について何か具體的のお考えがありましたらお漏らし願えれば仕合せだという點が一點と、それから特にお話中にもございましたが、いわゆる中小企業の線まで下つてはというが、小さくなつてはならないし、そうはならないであろう。また不當なる細分化をしてはならない。そして經濟的に成立する程度のものでなければならぬというような意味のお話を承つたのであります。これまたきわめて私ども同感でございます。いわゆる適正規模ということで、どこに線を引つぱるかということが、きわめて困難な、またきわめて必要な問題であると思うのでありますが、これについて何かお考えがございましたら伺いたいと思います。それで企業の大きさというものが、これ以上大きくてはいわゆる經濟力集中になつて、從つて社會公共の福祉に反する、しかもまたこれ以下であつてはいろいろな條件において小さ過ぎて社會公共の福祉に反する。日本の適正規模というのは、これはむろん産業の種類については非常に複雜になりますから、われわれの危險に思いますことは機械的に線を引かれては困るという點であります。そこで御專門の向きで適正規模というのは、およそどういうところに線を引つぱることが一番妥當であるかというような點について、さらにお考えを伺うことができればたいへん結構であると思います。
○鹽原禎三君 ただいまの御質問に對して私の考えを申し上げます。企業の適正な範圍というものは非常に決定が困難であると思います。これは各企業によつて事情が異なると思います。しかしながら各企業については、おのずからこれはきわめて常識的な線より引けないかと思うのでありますが、業者が寄つて相談をするまでもなく、ある程度常識的に判斷ができるのではないかと思います。 實は私は本業は製藥事業でありますから、この問題について具體的に申し上げたいと思います。現状から申しますと製藥事業者の數というものは全國で六百以上に及んでおります、いわゆる家庭藥業者を入れればさらにその數は數倍に上るかと思うのであります。その場合に六百數十の中、約三十社でもつて八〇%以上の生産をあげております。八〇%を三十社で分けておりますので、これは一應經濟力の極端なる集中とは考えられないのであります。しかしながら一方全生産額というものを六百數十社で割りますと、きわめて僅少なる額が一軒當り出てくるわけであります。そうなりますと他の三十社のおのおの生産しておるところのものが、きわめて多額のものになる、こういうような數字も出まして、一應そこに不當なる經濟力の集中があるのではないかというような疑念をもち得るのであります。しかしながら醫藥品製造に關連いたしましては今後ますます多額の資本を要するという事實が、いろいろと現われてきております。その最も適切なまた皆樣方にとつて關心をおもちいただける點は、いわゆる工場の衞生施設、醫藥品をつくるのにふさわしい環境の整備という問題であります。このために現在製藥業者が多額の資金を投じているのであります。決して中小醫藥品製造業者の存在を否定する、あるいは望ましくないと考えるのではありません。おのおのそこに特徴があります。また非常に大きな規模でこれを行つていくという點にも、特に貿易等の關係におきまして必要な點を強調いたしたいのであります。從つて醫藥品業の場合におきましては大資本をもつて行うところの企業も、また中小資本をもつて行うところの企業も、併存し得るという例があるのであります。この點を申し上げたいのであります。 次にそういう問題を取上げまして、不當なる企業の細分、あるいは分割後における經營の困難等を防止するために、いかなる措置を講じたらよろしいかという問題であります。これは實はわれわれ經濟人がときどき寄りましたときに、すでに分割を命ぜられ、あるいは分割を命ぜられる危險を感じているところの各社が寄りまして、實は情報の交換をしております。またその後の經營につきましても十分に他の經驗もとり、また意見も採用しまして、今後分割されましたところの各社が、りつぱに經營ができますようにいろいろ研究をしているのであります。この問題について國會としていかなる措置を講じていただけるか、實は私その點はわかりませんが、これはただに分割されるときの問題ばかりではなく分解された後におきましても起り得る問題なのであります。この點において特にその後の經過について政府の鞭韃なり、指導なりというものが必要になつてくるのではないか。この點は國會として特に御研究、御考慮いただきたいと思います。先ほど企業單位につきまして總括的な御質問がありまして、私自分の業のことを申し上げたのでありますが、他の業についてもそれぞれその合理的な企業單位というものが存在しているはずであります。これをわれわれが自らきめます上において最も不便を感じている點は、今後われわれの經濟全般がどう動き、どう發展をしていくかということに關連しまして、未だ確固たる總合的な案が示されていないということであります。これはぜひとも一日も早く——あるいは一應のものかできないかも知れませんが、國家的な經濟の長期計畫を樹立されますことを、この機會に希望いたしたいのであります。さような長期計畫がありますならば、それに從つておのずからわれわれの將來の見透しがつき、今日において樹立すべき適正なる企業單位というものも定まつてまいりましよう。また將來に對する希望もわいてくるかと思います。この點しかるべき御考慮が望ましいのであります。大體以上でございます。
○北村委員長 もう一つ伺いたのは、運用の監視について具體的なお考えでももしありましたら、ついでに伺いたいと思います。
○鹽原禎三君 運用の監視につきましては、實は監査委員會等のようなものは非常な困難なようにも伺つておりますので、これにつきましては實は持株會社整理委員會において、たとえば同業關係になりますか、あるいはさらにその範圍を擴めますか、經濟人に對してつとめて諮問をするというような話も聽いております。これは非常に望ましてことでありまして、持株會社整理委員會において獨斷的に決定せず、常に廣くわれわれの意見は、もちろん他の各方面——要するに今後の企業は、私の考えとしましては、社會福祉の増進のためのみに經營せらるべきものと考えておりますので、その面から見ましたところの意見というようなものも採用されながらこのことが進行することを望んでおります。ここに確固たる監視制度ができるということが一應困難であるかもしれませんし、またそういう固定的なものがはたしてその役目をはたし得るか、もう少し機動的な形で實際の成果を、あげるように考えるのが適當ではないかと思います。要するに本法の性質から言いまして、一定の型にはめて運用するというような行き方よりも、そのときの企業等に應じまして、臨機な措置で最善の策を講じていくというふうに御運營を願いたいのであります。
○北村委員長 ほかに御質疑はありませんか。 今まで大體各工業關係から主としてお話を伺つたのでありますが、次に經濟力集中排除について相當重大であつて、しかも困難な問題は、金融關係じやないかと思うのであります。さいわいに金融團體協議會會長である佐藤帝國銀行頭取がただいまお見えになりましたから、これより佐藤さんの御意見を伺いたいと思います。
○佐藤喜一郎君 私ただいま御紹介にあずかりました佐藤であります。 何を申し上げてよいか存じませんが、集中排除法は過度の經濟力の集中を排除するという趣旨から考えられておるとしますれば、趣旨に別に何らの異論というものはないのであります。結局この法律の運用にあるという問題になるかと存じます。そういう關係でこの問題の金融機關に對しまする影響を申し上げます前に、全融業者としまして一般の産業界に對するこの法案の影響というものもちよつと申し上げて見たいと思います。これはおそらくこの法律の運用によるとは存じますけれども、またその基準等につきましても、世間に傳わつておることはいろいろ新聞などで承知しておりますが、まだ具體的にはつきりと存じておりません。どういうふうな運用をされるのか私存じません。しかしながらいろいろの新聞紙上等のニユースから想像しまして、これが大體企業の細分化というものをねらつてきておるのだろうというふうに考えられます。その細分化ということも、財閥の解體その他の後始末からやむを得ないことかと思うのであります。細分化のさらに先のねらいというのは、おそらくスタートをそろえ、自由競爭をさせる。スタートする場合に相當にハンデイキヤツプがあるようならば、企業能力その他の較差をなるべく平等にして、自由競爭をさせる。こういう建前にあるのだろうと思うのであります。日本の現段階がいろいろな意味において統制經濟を非常に必要とし、また産業の能率をはかるためには、むしろ集中生産をしなければならぬ。あるいは重點的に産業を整備しなければならぬという實際上の必要が迫つておりまして、公團法も出ており、いろいろなそういう統制方面の法律と同時に、自由競爭を容易ならしめるための集中排除法がある。そこに矛盾したような、あるいは方向が違つたような立法が、同時に出てきておるという方面から見まして、これの矛盾を調節するために迷惑するのは、實際の業者ではなかろうか。こういうふうに考えまして、集中排除法というものがその面において、現在の日本の經濟上に障害を與える度合を、なるべく少いように運用していただきたいというのが、われわれ金融業者から見ましての所感であります。この排除法は、われわれから見ましても、いかにも經營人と企業の形體とのアンバランス、あるいは過大企業と思われ、能率が非常に低下したと思われるようなものが、この法律の結果、幾分なりとも細分化されまして、それぞれがしつかりした形になつて運營されるというような、いい面もあるに違いないと思うのであります。同時にこの細分化が進みますと、經營人の間にも非常な弱體を生じますし、金融業者としましては工場の設備であるとか、立地條件、そういうものを見るほかに、どうしても人を見る癖があるのでありますから、經營人というものがこのために弱體化するという懸念が、多分に現われてくるのではないか。こういう面から見まして、あまりの細分化というものは、よほど注意して運用されなければならぬ。また日本の産業に非常に多角經營が多かつたということも、別にモノポリとかそういう意味ではなしに、日本の特殊事情に基いて起つてきたということが多分にあるのじやないか。たとえば良心的な一つの總合工業をやつている者については、自分が下請に出すべき企業も、自分で經營しない。良心的な部分品がまわつてこない。あるいは納期に正確を期しがたいというようないろいろの事情から、つい各種の總合企業を多角的に經營するといつたようなことがあつたのであります。今日敗戰後の日本におきましてもその事情は變らない。むしろそれ以上ではないかというふうに感ずるのであります。これがあるいは立地條件であるとか、あるいは關連産業であるとかいうような基準から、むりやりにこれを斷ち切られました場合において、企業の能率であるとかあるいは製品の品質であるとか、そういつたものに及ぼす影響というものも相當考えられます。こういうことを考えますと、企業の關連性、あるいは地域とか、殊にまた生産力の全體に及ぼす割合ということも、今後どうなるのか私は存じませんが、新聞の傳えるところによると、こういうことも多分に基準の重要なる一つとなつておるということでありまして、この點などについても、その資本、株主の構成が十分になされ、かつ充當しておるものならば、ことさらにこれを分割するということは避くベきではないかと思います。大體金融業者から見まして、この集中排除法の産業に及ぼす影響で、運用上御注意を願いたいと感ずることは、ただいま申し上げたような諸點であります。 次にこの集中排除法の金融機關に對する適用はどうだという點であります。この排除法が金融機關に適用があるということは、最近きまりましたように新聞に傳えられております。この點を取上げられまして、金融機關に對する排除法の適用が、非常に嚴肅を加えてきたという印象をもつております。私は初めから金融業というものも、集中排除があらゆるエンタープライズに生まれておるとすれば、金融業のみそれを免れるということは毫も考えておらない。これは適用されて一向差支えないと考えております。 しからばどういう形で適用されるかということになると、非常に問題になると思いますが、それらの具體的な標準といつたようなものについては、私は何にも聞いておりませんので、あらためてここでどうだという意見は具體的に申し上げられない。ただやはりこれも新聞紙上その他で一般に傳えられるところによりますと、まず預金額というようなものを制限したらどうだという臆測が出ております。しかしこれは金融業者から見ますと、今日のようなインフレの進行しておりますときに、預金額などで基準をきめるということは、ほとんど不可能といいますか意味のないことであります。そういうことを言つてよいかどうか存じませんが、たとえば三、四箇月の間にこの問題が片づくとしましても、當初においてかりに五十億ぐらいでよかろうと思つた金融機關が、インフレの進行に連れて事實解體するといつたようなときには、八十億になつておるかもしれない。あるいは二つにわけてよいと思つた銀行も、三つにわけなければならぬという情勢に、三、四箇月經てばなるというようなことも具體的に考えられますし、また反面から見ますと、そういうようなことが大よその基準となるならば、金融業者の方としてはこれ以上預金を集める必要はない。しばらく足踏みをした方が得ではなかろうかといつたように、刻下貯蓄増強その他にわれわれが極力働かなければならぬという態勢を、阻止するかのかうな結果も生ずるので、よく巷間に傳えられておりますように、預金高などをもつてその點を律するということは、少し意味がないかと思うのであります。さらにこれまた新聞によれば支店數というようなものも傳えられております。問題は支店數が多いか少いかということによつて決定すべきであり、多ければなるほど整理しなければならぬ。その場合に今日のような情勢では、普通の常識から言いますれば、大銀行がこの犠牲を負擔することもあるかと思いますが、昨今の經濟状態では支店網が平常以上になければ、金融機關の預金收拾上の非常な支障を生ずるのでありまして、支店の數が多ければ多いほど通貨の増發を防いで、預金を吸收するという作用が起つてくるのであります。これは平時におきましては今さらここで申し上げるまでもありませんが、定期預金というものが金融機關の資本の相當部分を占めておるのであります。たとえば定期預金にしますれば半年に一遍銀行に預け入れればよい。從つて金融銀行のよい悪いを選擇して、道を遠しとせずしてよいところに預けるようにするのであります。昨今のようにほとんど貯蓄性の預金というものが非常に低率になつておりまして、公用の業務のために金融機關の店舗を使います。現在あります全國における店舗數といつたようなものは、決してまだ多いとは言えないと私は感じております。こういうような意味で店舗整理という問題はまず問題外じやないか。ただこれを地方銀行あるいは大都市の銀行との間に讓渡などをする場合もあるようであります。これらについても、私としてはほとんどあまり意味のないことであるというように考えております。さらにこれは一般日本の世論であるかとも思いますが、産業の方が細分化されてきたときに、金融が細安化されないでは、産業より金融の方が優位に立つことがあるかもしれぬというようないき方の議論のようでありますが、インフレの進行しておる昨今において、いろいろな企業は金融というものがその事業上の隘路になつておるということは、別に大銀行があるから、小銀行だけではないからというようなことには關係ないと思います。この隘路を隘路でないようにするならば、インフレの進行を止めることはできないといつたような、一種の非常にむつかしい場面に、日本の經濟そのものが直面しておりますので、こういう點で細分化された産業界に對して、細分化されない金融機關があるということは、單なる不均衡というような考えからくるとは存じますが、よく考えると私はまた意味がないと思います。かつ先ほどもちよつと申し上げましたように、昨今統制經濟が必要に迫られております關係上、金融操作についても政府、日銀、その他いろいろな意味において統制的の措置が各方面にとられる。またその必要がある。こういつた場合にその統制を運用する上においては、やはり銀行の數が少い方がむしろやりよいということはあると思います。昨今は銀行の獨占資本、そういつたような觀念が大體なくなつたとは思いますが、金融機關はほとんど完全に一種の管理を受けておりまして、御承知のように今までは預金の利率の協定において、また本年になつて實施しました貸出金利の協定において、すべてこの協定をやる場合においては、その實情においては財政當局と十分打合せの上でやつておるのであります。そのほかに融資準則とか、公債引受あるいは財政資金の分擔、あらゆる面において財政當局と十分緊密なる御連絡をする。あるいは法的根據によつてわれわれ放出資金の割合も、およそきまつておるような次第であります。完全なる國家の財政政策の管理のもとに運營しておるといつたような次第でありますので、銀行が大きいがために經濟力の集中といつたようなことは、全然考えられぬというように考えております。かたがたこういう議論をしてまいりますと、今まで新聞に出ておりました集中排除法の適用基準といつたようなものは、私よく考えれば、あまり意味がなく、これを強行するならば、目下必要とする預金の増強であるとか、あるいは産業融資の圓滑化ということには、支障こそあれ何らの益はない、こう考えるのであります。しかしながら先ほども申し上げましたように、適用を受けるべきであるということは當然であると私は考えております。金融業の特質からして、業務の運用をどうして民主化するかというような面から、廣く總合的にこれは見なければならぬ。單に普通銀行のみならず、日本には從來から特殊銀行もございましたし、また中央銀行のあり方、あるいは銀行法そのものの内容、いろいろなことを總合的に考えて、この民主化の線に沿つて改組すべきものは改組するといつたのが、然るべきやり方ではないかというように考えます。もう少し申させていただければ、つまり日本の現状が、財閥解體以來、資本と經營というようなものの關係が、はなはだ曖昧になつております。これらの點をどういうふうな形で日本の經濟が進むかといつたようなことがきまつてきました上で、この金融機關のあり方もそれに即應した態勢でいけばよろしい、單なる預金高、支店數、資本金というようなもので、この基準法を産業の場合のように考えることは、業務の性質上少し筋が違うのではないかというような感じをもつております。 大點以上のようなことで私の申し上げることを終りたいと思います。
○北村委員長 ただいまの佐藤さんのお話に、もし御質問がございますならどうぞ…。
○井出委員 ただいまの佐藤さんの御意見は、私も非常に傾聽いたしてたいへん參考に相なつたわけでございます。金融業が普通の企業と相當違う面があるということは、もとより私も承知いたしておるのであります。それゆえ本法を適用するという場合、よほど愼重なる考慮が必要であることはもとよりでございます。そこでほんの一、二點具體的な問題を伺つておきたいのですが、たとえば、帝國銀行はかつての三井銀行と第一銀行との合併によつてできたように承知いたしております。あるいはまた三菱銀行は第百銀行を合わせたような歴史的な過程を考えてみまして、これは戰爭經濟の所産であるか、それとも資本主義が獨占集中へ向う過程にそういつたものができたのか、その邊は詳らかにいたしませんが、今を昔に戻すとでも言いましようか、そういう線に沿うての分割が現在の場合可能であるかどうか、すでにそういつた從來の歴史はすつかり融合してしまつて、一つの帝銀なり三菱というようなものになつてしまつて、そういう分割の仕方は困難だというようなふうにごらんになるか、この點をお伺いします。 それからもう一つ、先ほど支店網の話が出ましたが、これは全國に支店を置かれて預金の吸收とか、為替の處理などに當られる場合に、全國に網を張る必要があると思います。これをたとえば地域的に、東京なら東京を中心の銀行、あるいは關西を中心の銀行というような、地理的な分割ができるものであるかどうか、これを專門的な立場からお話し願いたいと思います。
○佐藤喜一郎君 今の最初の御質問でありますが、もちろん合併せざる單なる銀行といえども、分割することはできるのであります。况んや過去において合併の歴史のある銀行というものは、わけることは技術的に決して不可能ではないと存じます。ただここで一番問題となるのは、資産の分割が金融機關は他の産業のように簡單にいかないということであります。産業でありますれば、おそらく工場を甲、乙、丙、それぞれに歸屬させて新會社をつくるのでありますが、銀行の場合におきましては預金というものは大した問題にならない。銀行の資産であるいわゆる資金を、どういうふうにわけるかということが非常にむつかしいのであります。殊に平時と違いまして、企業再建整備によりまして新舊勘定を抱えております大銀行は、舊勘定の處置について非常にむつかしい問題に逢著しておるのであります。大體普通考えられますことは、この舊勘定を整理銀行から離してしまつて、新勘定のみで二つなり、三つなり、四つなりの銀行にわけてやらせるということが、皆さんの當然考えられる方法であろうと思うのであります。さような場合に舊勘定といえども、融資先から見れば新勘定に關係しておるものが多々ありまして、またこれを整理會社として殘すことによつて、決して舊勘定は質が低下して整理が不能になるという悪い結果ではなくて、舊勘定の整理が新勘定をもつて新銀行をスタートさせるという考え方は、非常に悪い影響を及ぼしはしないかと考えております。 それから第二の問題でありますが、地域的にわけることができるかどうかというお話であります。これももちろん技術的に強行すれば必ずできるのであります。しかし從來甲地において大銀行が預金をとつて、それを中央へもち歸つて、そこで使つておることに對する非難が時々聽かれておつたのであります。そういう點に關連しまして、地域別に區分したらどうかという考え方が出てくるのではないかと思いますが、産業そのものの金融形態も、決して工場の所在地で金融されておるとは限らぬのでありまして、早い話が北海道、九州あるいは裏日本方面に工場がたくさんあるのでありますが、多くは東京なり、大阪なり、名古屋なりのいわゆる金融中心市場で融資をされておるのであります。これらの企業が細分化されたときにどうなるかは別でありますが、おそらく現在のように統制經濟が進行しておる限りにおきまして、相當の規模をもつた會社というものは、いずれも東京か、大阪か、その他の中心市場に經營者の大部分がおつて運營しなければ困難であろうと思います。從つて金融問題も中心地である都市でもつて解決されることが多分にありますので、地域的の分割というものは、そういう方面でバランスを見た上で、かりにわけていつた場合に、ただ店舗の數であるとか、預金の數だけでこれを割るといつたようなことについては、割つた結果は、決して金融機關が産業融資の方面に、圓滑なる運營ができるような形ではでき上らない。不圓滑を來すおそれが多分にあると考えるのであります。
○井出委員 もう一點お伺いいたしたい。金融というものが事の性質上非常に社會性、公共性をもつておることはもちろんであります。それと同時に先ほどお説の中にございましたように、日本には特殊銀行というものがたくさんある。あるいはまた復興金融金庫というようなものが、相當大きな力をもつて金融全體の上におおいかぶさつておることなどを考え併せますると金融機關はむしろ少數の方がやりよいのだという先ほどのお説をさらに進めてまいりますと、一種の金融國營という方向へ發展してまいると思うのであります。日本の現段階において金融の國營は時期尚早でありましようが、國營問題に對する金融業のエキスパートとしての佐藤さんのお立場からの御意見を、この機會にお伺いできるならば結構であります。
○佐藤喜一郎君 今の御質問に對して直接の御返事になるかどうかわかりませんが、獨占禁止法ができまして、われわれ銀行協會の加盟銀行間で預金協定をやつておつたのであります。先ほどもちよつと申し上げたのでありますが、今年にはいつて貸出の利率協定をやりまして、それが獨占禁止法の上からは大體違反であるという結論になるのではないかと思います。その結果は獨占禁止法があります以上は、自由競爭ができる建前でなく、獨占禁止法の條項の適用を受けまする關係上、これを單行法かなんか、ここに法的根據をもつ、これに代わるべきものをつくらなければならないという場面になつたのであります。つまり獨占禁止法がありまするがために、今まで協定をしておりました、またこれが世間からも公共の上でやむを得ない措置であると認められておつたその行為自身が、獨占禁止法のためにこれをやめる——やめていいのかというと、やはりそのものがなければ困るために、これに法律上の根據をもたせなければならぬというところにきておるのであります。これがいわゆる集中排除といつたようなもので細分化されていつた場合に、一方において統制しなければならぬ。一方において自由競爭をやらせよう。こういつた矛盾を調節するために、そうでなければそのままでそれぞれの業者の創意を生かして、かつ國家の統制をそれへ適當に加えてやつていつたであろうところの企業も、國營の方へもつていかなければ、この相兩立せざる立法のために處置がつかぬ、こういつたことが起るのではないかと思います。こういう點で御返事の一部にあてたいと思います。
○島田委員 先ほどの佐藤さんのお話は、大體新聞その他のニユースをもとにされてお話になつたのでありますが、たとえば適用の基準が預金額とか、あるいは支店數とか、あるいは企業が細分化されるのだから銀行も細分化されなければならない、そういつた根據は非常に無意味である。井出委員の言われたように、歴史的に合併されたものをもとに戻すことは困難である、あるいはまた地方的に分割もできないというような御意見も伺つたのでありますが、しかし前提におきまして、金融面においてもこの排除法の適用は受けなければならぬというお話でありました。そうするとその點でお伺いしたいのでありますが、いろいろ傳えられる範圍においては意味をなさない。しかし適用は受けなければならぬものだとしますと、金融業者としてお考えになりまして、どういう方面からどういう基準で適用されることを豫想されておりますか。もちろんはつきりした基準が發表されておりませんのでお答にお困りになるかもしれませんが、しかしながらいろいろな與えられた條件においては、それは無意味である。しかしどうしても適用は避けられないということになりますれば、金融業者としてこういう方面では、やはり適用されるのではないかというお考えが豫想されるのではないかと思いますが、その點ひとつ專門的な立場からお答え願いたいと思います。
○佐藤喜一郎君 ただいまの御質問ですが、細分化された産業に對して、比較的大きい規模の經營機關があるということは、これは國家統制が加わつてなければ、明らかに均衡を失する處置であろうと思います。私が先ほど申し上げましたのは、現在においては融資基金があり、また復興金融金庫というものも一方において國家意思を遂行しておりますし、いろいろな規制を受けておる金融機關として、現在のところその面から見た經濟力の集中というものはないということを申し上げておきます。他日この統制がとれる懸念をもつて、今のうちに處理しておくというならば、この金融機關の大きさ、あるいは活動の分野を、何か制限する必要はあるかもしれないとこう考えております。
○伊藤(卯)委員 佐藤さんにお伺いしたいと思います。御承知のように本法が實施されて、持株整理委員會というものにかかりまして、企業がそれぞれ整備されていくということになりますと、從つてその企業が獨立體として健全な競爭體になり得るかどうか、そのためにはかなり世に言われておる水ぶくれというか、あるいは戰時中の貸越しというか、そういうものが相當あることは、これは何人も認めなければならぬところですが、健全な獨立體として競爭ができるためには、かなりそういう點に相當ふれていかなければならぬと思う。その結果は、かなり金融業者にとつても、相當大きな問題が起つてくるだろうと思うのです。こういうことについて何かそういう場合にどういうふうにこれに對處するかということについて、何か腹案というか、そういう構想をもつておられたら伺つておきたいと、こう思うのであります。
○佐藤喜一郎君 今の御質問、ちよつと私よく意味がとりかねるのでありますが、おそらく先ほども申し上げましたように、細分化をした方がわれわれから見て産業の合理化ができ、あるいは能率があがり、過大企業から脱却できたというような場合もありますし、またこれが細分化し過ぎて、經營陣が弱體化した、あるいは經營上の規模が小さくなつたために、危險負擔の力が非常に弱まつたといつたような意味で、われわれが自主的に融資をする面においては、もちろん一概に言えない問題でありますが、細分された結果、融資がしにくくなる。二つのものが一つであつた場合の方が、融資あるいはその會社にとりましては、經營が金融面からは圓滑にいつたということは、當然あり得ると存じております。この場合にもちろん金融業者としては、できますだけ産業の振興をはかるために融資には努力はいたしますが、その細分化の程度いかんによつては、事實上においては不圓滑になるというおそれは、私はないではないかと思います。
○伊藤(卯)委員 私がお伺いしようということと御答辯願つておることと、少し違うように思います。御承知のように今度整理をされていきますと、その結果は、金融業者關係からかなり大きく融資をされておつて、その整理のいかんの結果というものは、金融業者關係に相當憂慮すべき問題が、數々起つてくるであろうことが想像される。そういう場合に對して金融業者の關係から、企業整備の上において、こういうようにしてもらわなければならぬというような、いろいろ要望されるものがかなりありはせぬかと思うのであります。そういう點があればどういうようにお考えになつておるかということを、ちよつと伺いたい。
○佐藤喜一郎君 今の點につきましては大小いろいろな點に問題がありまして、私もここで概括的に申し上げるほど資料をもつておりませんが、整備せられまする會社の資産の分配のしかた、つまり細分化されました場合において、甲乙丙というように分れますときに、われわれが融資をしておつた。その債權をどういうように按分してもらうかといつたような問題であります。あるいは新しくできまする新會社というものの資本構成と新債權との關係を、どう見るかといつたような技術的の面におきまして、非常にたくさん問題があることは、今御質問のあつた通りであります。しかしこれは技術的にあの手この手とたくさんありまして、もし御希望でございましたら何か文書にして差上げても差支えないのでありますが、ここでちよつと系統立つてこの點、この點と申し上げかねるのであります。
○伊藤(卯)委員 これはかなり重要な問題があると思いますから……。
○佐藤喜一郎君 いろいろこまかく、かつ實際的には重要な問題がたくさんありますので、もし何でしたら各方面で研究もされておる問題でありますから、書面か何かにさしていただければ結構であります。
○伊藤(卯)委員 ではお願いいたします。
○林(大)委員 先ほどから佐藤さんのお話を承つておりますと、金融業の現段階竝びに相當先まで見透した日本の金融の實態としては、どうしても集中統制を必要とする。ないしは國家統制を相當強力にやつていかなければならないということがはつきりいたしまして、金融業者としてはあまりうま味もなさそうだから、そういう兩方から考えて、あるいは國營になつてもやむを得ないであろうし、なることもあり得るであろうというようなお話を承つたのであります。それと同時に、この集中力排除法案なるもののいき方が、細分化をして一つのなるべく平均したところからスタートして、自由競爭をさしていこうという考え方と交錯するのでありますが、金融業については、前段の力の方がここしばらく日本としては強いと思うのであります。その場合の一つの構想といたしまして、日本の各金融ブロツクと申しますか、經濟ブロツクごとに將來ブロツク別な銀行を立てていくというようなことも、一つの構想の中にもちまして、從つて今後の、金融業の細分化をしなければならないという場面においても、その將來見透すべきブロツク別のような、數個の銀行に大銀行を分割することによつて、分割された各銀行のブロツクの支店、分割された個體を集めることによつて、各地方的な中心銀行をつくつていく。そうしてこれが日本銀行を中心としてフエデレーシヨン・バンクの働きをしていくように仕向けるような、一つの構想もここにできるかと思うのであります。いろいろ差支えもありましようが、日本の金融業の十年二十年先を見逸して、大體どんな形のものでやつていくことが、日本産業再建に最も必要であり、また金融業そのものの健全性から言つてもいいかというような點について、忌憚のない御意見を承りたいと思います。
○佐藤喜一郎君 ブロツク別というお話がありましたが、これはアメリカのステート別の銀行組織などから見ますと、別に新しい試みでも、やり方でもないだろうと思いますが、日本のように地域が非常に狹い、全部を合わせてカリフオルニヤ一州に及ぶか及ばないかという國土の國におきまして、ブロツク別というか、いわゆる銀行經營區域範圍の細分化は行過ぎじやないか。それでは圓滑なる運用がやれない。つまり日本は資本が非常に不足しております關係上、あらゆる資金の最も效率化をはかる必要から考えまして、やはり全國に大體の營業範圍をもつて、有無相通ずる組織ができている銀行が最も理想的である。今でも地域的に地方銀行はたくさんあるのでありまして、これらの銀行もできるだけその營業範圍を擴めて、有無相通ずる金融作用を圓滑にする方がいいのだと、私個人としましては、むしろブロツク化には、あまり有效な金融業の作用が期待できない、そういうふうに思います。それから産業に對してどういう形で行つたらば一番いいかというようなお話でありますが、日本の産業そのものの行き方がきまりませんと、金融機關としてのあり方もきめられない。金融機關というものは大體受身の性質をもつておるのであります。日本の經濟の性格というものがどつちへ行くかはつきりしたときに、金融機關もそれに即應した形で出發していく。産業のやり方を全部國營にしてしまうというならば、金融機關の行き方もあるでしようし、またあくまでもこれは自由經濟でやるという建前で、自由競爭を十分やらせるというならば、またそこに臨むべき、これと相應すべき金融機關のあり方も自然きまつてくる。金融機關だけが獨立してどういうやり方が産業にとつて一番いいかということは、ちよつと言いにくいじやないかと思います。
○林(大)委員 もう一點だけお尋ねいたします。この集中排除の銀行に對する働き方と、何か外國銀行との關連性をそこにもたせ得るような動きがあるかどうかということと、それから各事業竝びに貿易商社が、既に外國、特にアメリカとの相當密接なコレスポンデンスなどによつて、將來のいろいろな計畫を立てていると思うのであります。それに對應したといいますか、金融業におきましてもやはり相當そういう話が各銀行において進んでいるものであるか、もしお洩らし願えたら結構だと思います。またアメリカの銀行と日本の將來の銀行との關連性についての、佐藤さんのお見透しなどを伺えましたら結構と存じます。
○佐藤喜一郎君 初めの御質問の集中排除と外國銀行という點については、私寡聞にしてまだ何も關係がないとしか考えられないのであります。民間貿易再開以來、外國銀行も既に日本に店舗を開いておりますし、既に業者との間に關係ができている關係上、外國銀行が貿易金融というものに、ある程度除々にそこに介入しつつあるということも承知しております。今後まつたく變つた日本の情勢下において、外國銀行を日本に迎えるわけでありますが、昔のような常識では、ちよつと日本の金融機關としても處置できない問題でありまして、別に見透しというわけではありませんが、主としてこの問題は日本の為替管理のやり方から、おのずから外國銀行の行き方というものもきまつてくるのではないかと思います。これも完全なる自由をもつていた時代と違いまして、はたして日本側が考える通りに為替管理を行い得るかどうかということも疑問であると同時に、また外資の導入その他の事情に迫られております日本としては、またこの方面のことも考慮に入れて為替管理を手加減しなければならぬ。直接に日本の銀行としましては、やはり國家の再建の上で忍ぶべきものは忍んで、一應外國銀行の活動を便ならしむるというような態度でいくべきではないかと考えております。
○石神委員 ただいまの林君の前段の質問に關連しているのでありますが、お話を聞いておりますと、地方の金融状態がどうしても大都市の金融事情によつて操作されるというような御意見だつたような氣がするのでありますが、事實地方においては公共團體を初め中小企業に對する融資という問題は、今日まつたく行詰りの状態でありまして、これが何らかの形で改善されをことを、地方では非常に待望いたしているわけであろうと思うのであります。そこでお尋ねしてみたいと思うことは、これらの金融機關に對しまして、今までに關係方面から、何らかの形で再編成を勸奬されたことがあつたのではないか、何らかそういうことがございましたら聞かせていただきたいと存じます。
○佐藤喜一郎君 ありません。
○石原(登)委員 二點だけお尋ねいたします、こんどの集中排除法が問題になつてまいりましたとき、各方面でいろいろ論議されたのでありますが、特に金融界方面の意向といたしまして、大體これに反對されたように私承知しているのであります。その一つの理由としまして、將來日本と外國のクレジットの問題が發生した場合に、企業を細分化された場合、非常に金融上の擔保力が弱體になりまして、大きな障害になるのではないか。こういうことをよほど懸念されているように聞及んでおるのですが、この點に關する佐藤さんの御見解をお聽かせ願いたいと思います。
○佐藤喜一郎君 外資の導入のことを考えますと。さしあたりの相手方はアメリカであると想像されます。その他の國があるにいたしましても、やはり企業は形態が大きいほど向うが安心をするであろうということは、常識的にも考えられると存じております。その點から別に集中排除に金融機關が特に反對したというようには、私あまり記憶しておらないのであります。今後の日本再建のために外資導入といいますか、向うの投資を引きたいという面から見ますと、企業が大きい小さいということは確かに今御質問になりました通り、むろん大きい方がよいに違いないと思いますが、やはりそれよりも一番大きい問題は、先ほど申しましたが、為替管理のやり方次第であつて、これはどうしても絶對に掣肘を何らの形でも加えられないという保障があれば、外國の資本というものは、かなり各土地に向つて投資されるものだと思います。これは國家間のレクジットという意味でなしに、民間の投資の意味であります。過去におきましても上海の市場であるとか、香港の市場のように、絶對にその土地に政府の力が及ばない。いかなる條件のもとにおいてもフリーであるという見透しがありますと、その土地に向つてはいわゆる流動資本というものは流れこむという傾向をもつております。そういう形に日本をもつていくがよいかどうかということは別問題として、導入すること自體だけを考えますと、やはり為替管理の問題が一番大きな問題ではないかと考えております。
○川合委員 私も銀行生活二十年間の經險があるのでありますが、ただいまの佐藤さんのお話のように、まさに日本の状態においては支店銀行の制度が、現實には妥當性をもつておると思うのであります。しかしこの經濟力集中排除法の精神と同時に、いわゆる經濟の民主化というようなことからいたしますと、地方の産業というものを大いに今後助長しなければならない。これは歸するところ、地方における中小工業の振興にまつべき面が多分にあると思うのであります。先ほど佐藤さんのおつしやつたように、銀行經營から見て、主としてその貸出をする場合には、人的強化ということが大きな要素を占めておることは御承知の通りであります。ところが支店銀行の弊害というものは、人的強化ということに非常に行届かない。二階から目藥という感じが強いのであります。と申しますのは、支店銀行の場合においては地方の支店長、支配人が定期的に變つてくる。そういうことが影響して、地方の産業外とのつながりというものが、あまり濃くならぬうちに更迭するということが非常に行われておる。從つて地方の産業人から申しますれば、支店銀行というものは預金の面におきましては吸收されるが、實際上の貸出という面においては、非常に不人情であるということを現在も言われておるわけであります。そこでそういう面をどういうふうにして今後改善していくか、それと同時に今までの銀行經營というもの、わけて大銀行の經營方針というものは、常に安全、有、同時にまた確實ということが金融の原則だつたことは御承知の通りであります。今後はさらにこの集中排除法の精神を酌んで、民主化の助長というか、そういうことに對する金融機關としての機能、ないしは役割というものは、どういうふうにお考えになつておるかといような、二つの點に關して佐藤さんの御感想を伺いたい。
○佐藤喜一郎君 初めの御質問の點はまことにごもつともであります。各支店銀行というものは、責任者の更迭ということが地場の銀行よりも頻繁になるということは、やむを得なかつたのではないかと思います。經營上におきましてその接觸面が、絶えずその連絡が絶たれないように注意を拂つておるのであります。ただこの點だけ申し上げたいと思いますのは、大銀行の貸出方針というものが、地方の利害を無視したというようなことは、これは水掛論ではないかと思いますが、同時に昨今におきましてそれぞれの地方におけり地方銀行の占める地位というものは、大體の有力な地方銀行のあります地方にあつては、それらの銀行が大體五割から七割の預金高を占めておりまして、その殘りがそこに進出してきております大都市銀行の支店の數字であるというような形で、東京、大阪、名古屋等の金融中心市場においては見られないような、高いパーセンテージの數字を、これらの地方銀行が地方々々においては占めて、しかるべくこれが地方金融というものに携つております關係上、われわれとしてもある程度地方銀行がめんどうをみてくださるといつたようなずるい考えかもしれませんが、安心感をもつておるような次第であります。なお次の御質問でありますが、どうもこの點はわれわれとしても最善の努力を盡すという以外に、はつきり申し上げるよりほかないのであります。
○西村(榮)委員 簡單に佐藤さんに希望を申し上げて、私の希望が容れられるかどうかをお聽きしたのであります。大體今の御説明で、金融業者は今日の時勢を素直に見ておられると思うのです。そこで大體この集中排除法のほんとうの趣旨をよく御理解くだすつて、金融業者がこの趣旨を生かしながら、かつ日本の金融業者が將來どう健全なる發達を遂げていくか、こういうふうな點に重點をおかれて、金融團體協議會長としての佐藤さんでもいい、あるいは帝國銀行の頭取としてでもいい、また金融のエキスパートの立場としてでもいいのですが、自由な伸び縮みのある立場において、いわゆるほんとうの趣旨を生かし、かつ健全なる金融業の發展のために、保險業、信託業を含めて貯蓄銀行、一般銀行竝びに特殊銀行、そういうふうなものを大體區別していただいて、どうすればいいかというふうな私案があれば、本委員會が審議する上において、何か參考案として協議していく上に、たいへん便利だと思うのですが、どうですか。
○佐藤喜一郎君 今まで申し上げましたことは、皆私個人としての考えを申し上げておるのでありまして、金融團體協議會とか、銀行協會連合會に私は關係しておりますが、それらの團體の意見の代表は全然しておらない、また連絡なしに私はここえ出てきておることを皆様お含みおき願いたいと思います。集中排除というような法案が出ました上で、金融機關が今後どういう形で一番健全なる發達を遂げたらいいであろうかというような御質問でございますが、問題が非常に大きいことと、かつ金融機關自體が先ほど申し上げましたように、日本の産業經濟全體の性格がはつきりしない限り、自分自身の態度はなかなかきめられない。心臓の役を勤めております性質上、それぞれの場合に即應して、今から自分だけがこうであるというふうな動き方をするべきときではないのではないかというふうに感じる次第であります。
○北村委員長 この邊で一應今の佐藤さんのお話を打切りまして、時間が大分遲くなりましたけれども、日本鐵鋼連合會の會長であり、日本製鐵の社長であります三鬼隆さんがお見えになつておりますから、御意見を伺うことにいたしたいと思います。
○三鬼隆君 時間もございませんので、きわめて簡單に、鐵鋼業者を代表いたしまして意見を述べさしていただきます。 經濟力集中排除法案が國會にかかる段取になりましたについて、鐵鋼業者といたしまして先般寄り合いまして、鐵鋼業者としての意見を本委員會に申し上げ、御審議の御參考にし、また善處願いたいという意味で、私今日ここへ上つたようなわけで、こういう機會を與えてくださいましたことをまことにありがたく存じます。 鐵鋼業者といたしましては、經濟力集中排除法案そのものについては反對するものではないということになつております。つまり獨占資本を排除して民主的に企業を合理化するという線に沿つたこの目的には、反對するものではない。ただ鐵鋼業者といたしましては、この國の石炭とともに基礎産業であり、また鐵鋼業の特殊事情に鑑みて、一つの特例を設けていただきたいということに相なつておるのであります。つまり簡單でありますが、本排除法案の適用から、石炭は私の管轄以外でありますから申し上げませんが、鐵鋼業を除外していただきたいということであります。これは先ほど佐藤さんもちよつとお觸れになつたようでありますが、鐵鋼業といたしましてはむしろ細分するよりも、現在のばらばらになつておりますものを統合いたしまして、いわゆる集中生産的な方面にもつていくべき段階にあるのでありまして、それがさらに個々別々に細分されましたのでは、鐵鋼業は成立つていかないというような考え方をもつております。これは御承知の大正末期から昭和の初めにかけまして、鐵鋼業不振の際に、鐵の合理化という面から、いわゆる製鐵合同が生れて今日に至つたようなわけでありますが、そのときの事情と今日の事情とは、鐵鋼業といたしましては悪くこそあれ一つも好轉しておりません。現状におきましてこれを細分されるということは、鐵鋼業將來のために非常な危險なことであるという意味合いからいたしまして、この排除法案から鐵鋼を除外していただきたいというのが、鐵鋼業者としての意見であります。伺いますと、ドイトの占領下のイギリスの支配下におきましても、やはりこの集中排除法にあたるべき法律が公布されてあるそうでありますが、これにもやはり鐵鋼業は除外されていると伺つております。ドイツの例をただちに日本にもつてくるという意味合いではありませんが、歩くともそういう例もあるということを十分御審議のうちに織りこんでいただきまして、鐵鋼業者の意見を參酌していただきたいと思うわけであります。これが根本のお願いであり、また鐵鋼業者としての意見でありまするが、もしもこれができません場合には、二つの意見があるわけであります。 それは除外することができなかつたならば、これは御承知の持株整理委員會で大體いろいろ議をすることに相なるそうでありまするが、できるだけ早く大體の基準を示していただきたい。そしてその基準をきめる場合には、今申しましたような鐵には特殊な事情がございますので、鐵鋼業者の意見を十分反映せしむるような方法できめていただきたいということであります。これは他の産業でも同樣だと思いますが、どういうふうに一體細分されるものか、自分の工場、會社が一體わけられるものか、わけられないものかというような不安な状態を永く續けますことは、これは申し上げるまでもなく好ましいことではありません。從つてこの基準をできるだけ早く示していただきたいということであります。そしてその基準のきめ方には、今申し上げたようにどういう方法でもよろしゆうございますが、業者の意見を反映するような方法をとつていただきたいということであります。 第二には、直接これと關係がないかもわかりませんが、現在賠償の問題がまだはつきりときまつておりません。當然集中排除法案の實施については、企業再建整備が伴いまするが、この賠償が未決定でありまする限り、實際板についた企業再建整備ができないのであります。その結果わけられることになりましても、賠償にどれをもつていかれるか、どれが殘るかということがきまりません限りははつきりした計畫が立ちません。しかし、これは相手のすることでありますので、一方だけで早くきめてくれと言つてもきまりますまいと思いますが、私の聞きますところでは、賠償の決定は相當先に延びるだろうというような情報も聞いております。かたがたこれに對して何かそういうような整理が立て得るような、臨時措置法的な御處置を願いたいと考えておるわけであります。 はなはだ簡單でありますが、結局その三點を本委員會にお願いし、また今後の御審議の御參考にしていただきたいと思つてまかり出たわけであります。
○北村委員長 ただいまのお話に御質疑があるかと思いますが、時間がかなり延びましたから、本日はこれで散會いたしまして、午後復興金融金庫の調査に關することを處理したいと思います。それからこの審査を今後繼續するにつきまして理事會を開きたいと思いますから、理事の方々はお殘りを願いまして、御相談をしたいと思います。
○石原(登)委員 議事進行について…。ただいまの日鐵の三鬼さんの御説明に對してぜひお尋ねしたいことがございますが、この次の機會にお尋ねができましようか。
○北村委員長 もう一度おいでを願うことはどうかと思いますが、皆さんお差支えなければもう十五分か二十分くらいがまんをしていただいて——それではなお懇談會を繼續することにいたします。石原君。
○石原(登)委員 三鬼さん、はなはだ恐縮ですが、ただいまのお話の中で大體鐵鋼業者關係といたしましては、本經濟の集中排除法に對して御反對である。こういうふうに了承いたしたいと思いまするが、それでよろしうございましようか。
○三鬼隆君 冒頭に申し上げました通りに、經濟力集中排除法には反對をしない。しかし鐵に關する限りは適用から除外していただきたい。まことに蟲のいい考えでありますが、こういう考え方であります。
○石原(登)委員 實は非常に表現がどうもむずかしいので、むしろ私の方は率直に御意見をお聽かせ願いたいと思うのでありますが、私は實は經濟力集中排除法について幾多の疑問をもつております。私も實は鐵鋼業方面に長年の經驗をもつておる者であります。そういう立場から考えてみましても、このポツダム宣言で言われましたといろの、いわゆる經濟の民主化、この問題と、その手段としての經濟力集中排除法を適用する。この問題とは私は別個だと思います。ただいま三鬼さんのお話になつたこれには反對しないが、鐵鋼業を除外したいということは、この法案の中に盛られてあるいろいろなことが、今後の日本の鐵鋼業に對して非常な支障を來すということ、こういう確言のもとに言つていらつしやると、かように解釋するのであります。これを端的に申しますれば、鐵鋼業としてはこのままではやつていけない。この考えに立つた方が、この法案審議にあたつて、むしろ便宜ではないか。かような建前でお尋ねしたのでありますが、もう一度私のただいまのお話に對して御了解をいただければ、ただいまの御説明をもう一囘端的な言葉でお願いしたい。
○三鬼隆君 以下私個人の意見として聽いていただきたいと思います。私も實は鐵鋼業者の意見を聽いて、それを代表して先はど申し上げたんですが、申し上げながら非常に論理が一貫しないということは十分認めております。ただ皆さまも御同樣だろうと思いますが、私どもといたしましては、經濟力集中排除法案の運命が大體わかつております。從つて法そのものとしては、私はもうこれは通過やむを得ないものではないかというような見透しをつけておりますが、その通過やむを得ない法律から、せめて鐵鋼業だけは除外していただきたいという考えで申し上げておるわけであります。(笑聲)
○石原(登)委員 よくわかりました。ついてはただいま鐵鋼業の立場からいろいろ御説明を伺つたのでありますが、鐵鋼業の及ぼす日本の將來という問題は、これは先ほどもちよつと事例をあげて御説明になりましたが、非常に重大な問題でございます。われわれはいろいろなことをもちろん豫想はいたしておりますが、われわれの良心においてこれは十二分に審議すべき問題でありまして、特に鐵鋼業に關する限り、皆さま方のこれまでの御經驗による立場を十二分に御説明願つて、それを參考にいたしたい、かように考えます。はなはだ恐縮なお願いではございますが、鐵鋼業としてのお立場から、本委員會に參考になるような資料をお出しを願いまして、ぜひ審議の參考に供していただきたい。このことをぜひお願い申し上げておきたいと思います。
○三鬼隆君 たいへん鐵鋼業者に對して御熱心なるお言葉ありがとうございます。今ここで申し上げることは、はなはだ時間が長くなりますので、これはさしあたりお役に立つかと思いますが、日鐵が分割されることに對しまして反對意見を通べた者がおりますから、必要でありましたならばそれをまず差上げたらいいかと思います。
○川合委員 いささか蛇足の感があるのでありますが、おそらく本法の適用外に鐵鋼業が置かれるということは想像されないと思うのであります。むしろ本法の重點は、重工業方面の一環であるところの鐵鋼業に重點が集中されておることは、本法が生れるに至つた經緯から考えて當然だろうと思います。そこで個人としての三鬼さんの御意見をお漏らし願いたい點は、本法におきましては、國營の場合においては、これが適用外になる。日本の現在の經濟再建が、日本の鐵鋼業の再建と密接不可分の關係があるといたしますならば、しかも同時にこれが本法の適用によつて、鐵鋼業が細分化されることによつて生産の増強が妨げられコストが高まるという事實から見て、われわれは鐵鋼業の再建をはかるという見地において、國營ということが考えられないかどうかという點であります。これはおそらく三鬼さん個人としても言いにくい點があるだろう思うのでありますが、そのことに對する御意見をお漏らし願いたいと思います。
○三鬼隆君 經濟力集中排除法案が、鐵鋼その他重工業を重點として生れたということについては、私は多少考えが違つておりますけれども、これは御承知のミスター・ウエルシユも、鐵鋼業に對しては特別な扱いをするということをはつきり言つております。要するにそのほか大きいとか小さいとかいうことが、この排除法案の目的ではなくて、結局は小營であるということを言つております。例などをとりまして、百の部屋をもつておるアパートを一人で經營している場合には、その百のアパート、部屋が百あつたとしますれば、それを十にわける必要はない。しかし十の部屋をもつているアパートを一人の人間が經營しておる場合には、それは十にわけなければならぬというようなことを言つておりました。八幡の例は、はつきり八幡とは申しませんが、鐵のようなものは、どうしても性質上大きな經營でいかなければならぬから、ほかの例と一つの基準を同じくして……と、そういうようなことを自分で聽いております。從つて今の御表現が鐵を細分化することが主たる目的であるということにつきましては、私はそうじやないと、我田引水かもしれませんが、そのように考えております。 それから國營の問題は非常にデリケートな問題でありますが、私個人といたしましては、國營則官營となりがちな現状ではいけないと私は思います。もう少しお役人が民主化された時代に考えられるべきことであつて、少くとも當分の間は、私はもしも國營にはいればコストが高くなり、人間が多くなり、能率も逆な方へいくのではないかというように考えております。例を申し上げますと、私民間で釜石に長くおりましたが、釜石製鐵所が日鐵と合同になりました直後、從來三千人そこそこの人間でやつておりました製鐵所が、合同になりますと間もなく、立ちどころにそれが倍以上の人間に殖えたというような實例もございます。それが現在だんだんに民間的な經營に移つて、日鐵が現段階に來ておるのでございますが、そういう意味におきまして、一つのイデオロギーにとらわれまして、すぐこれを國營に移すということは、非常に危險がある。根本といたしましては私は國有民營か一番いいと考えております。
○北村委員長 ではこの邊で懇談會を終ります。