財政及び金融委員会 第44号
- 発言数
- 10 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1947/12/02
会議録
○北村委員長 會議を開きます。 議題になつております政府に對する不正手段による支拂請求の防止等に關する法律案、本件は關係するところが非常に重大でございますので、特に懇談會にいたしたいと存じます。 ————◇————— 〔午前十時二十五分懇談會に入る〕 〔午後零時十八分懇談會を終つて散會〕 ————◇—————
○北村委員長 關係方面の官廳竝びに業者の方々の代表をお喚び申しておりますので、それらの方々と忌憚のない御意見を交換いたしたいと思います。それでは初めに日産土木の社長宮長平作君の御意見を伺いたいと存じます。
○宮長平作君 この法案は、私ども土建業者にとつては、非常に無理な法案だと考えるのでございます。そしてたいへん無理だと申し上げる前に、現在私どもが政府の仕事をやる場合には、どういうふうにしてやつているかということを、一應御説明申し上げた方がよいと考えるのでございます。 御承知でもありましようが、私どもが國あるいは連合軍の仕事をやる場合は、ほとんど大部分は指名競爭入札という形式でやつております。ごく特殊の場合に限つて、匿名契約ということで仕事をやつております。今日最も私ども業界の大きな荷物になつている仕事と申しますと、まず連合軍側の仕事に指を屈することができると思うのでございますが、この仕事の資材は、ごく特殊のものを除いては、大部分官給になつている。私どもとしては、資材を調達して勞働者を私どもの手で雇つ、いろいろな經費をかけて、その仕事を仕上げることになつているのでございます。從つて政府の支給材が順調に支給せられるときには、初め見積りしたときと、まずおおむね大差なく仕事が遂行せられるような形になつているわけでございます。昨今のような資材入手難のときですと、政府の支給材が、なかなか思うように期限通りに來ない。かりに六箇月なら六箇月という期限でお引受けした仕事も、資材が完全にはいらないので、その工事も往々延びがちになつている。場合によりましては、初めから入札するときの條件といたしまして、もし官給材が間に合わないときは、業者でその資材を調達して仕事をしろというような命令が附いていることもございます。官給材が遲れる場合は、私どもはしかたがないから、自分の手で資材を集めて、その工事を遂行することになつている。ところが初め私どもが見積りするときは、すべて官給の資材をマル公でいただける見積りをするのでございますが、途中で官給品が間に合わないために、自分らの手でその資材をまとめるということになりますれば、なかなかこれがマル公ではいらない。どうしてもある程度まではやみ値でこれを買わなければならぬことになつております。そうしますと、初めの見積りした金額では仕事はできないことになりますので、役所の方といろいろ交渉いたしまして、そこで設計を變更していただいて、ある程度やみ値で勝つものもその價格を認めていただいて、總體の金額をきめる。こういうような形になつておるのでございます。現在の状態がすでにそういうふうになつておりますので、もしこれを徹頭徹尾私どもが手に入れてやつた資材でも、ことごとくマル公で政府の支拂いを受けるということになりますれば、そこに大きな金額の齟齬を生ずることは當然のことだと思うのでございます。もし政府の官給材がことごとくマル公で、初め豫定した期限に必ず的確に支給ができるものでありますれば、この法律もある程度實行はできると考えるのでございます。ところが現在の日本の實情におきましては、これはほとんど言うべくして行われないことである。いくら政府が一生懸命になつておられても、なかなか資材がまわらない。これは過去の實情がりつぱにこれを證明しておるのでありまして、政府がいかに工事の契約の當時に、必ず官給をしてやるとおつしやつても、實際はなかなかそうはいかない。こういう實情にある。ところが、この法律が、實施せられまして、ことごとくマル公ですべての物が計算されるということになりますれば、私どもはとうてい仕事をやつていくことができない。實際問題として、われわれは現在の日本の資材の状態におきましては、こういうような法律の施行せられるもとで仕事をするということは、絶對に不可能と言つても差支えないと思うのでございます。私どもこの法律が國會に提出されたということを聽きまして、非常に驚いた次第でございます。現在の實情がそういうふうになつておりますので、これをどこまでも實施せられなければならぬということになりますれば、もうわれわれの業界の破滅である。またわれわれの業界のみならず、いろいろな資材を調達せられる方面におきましても、同じことが言えるのじやないかと考えるのでございます。私どもこの法律案を拜見いたしまして、非常に憂慮いたしました結果といたしまして、立案なさつた方々の御意見を拜聽いたしまするし、いろいろくふうをいたしまして、何とかしてこれをもう少し私どもの商賣が成立するようにできないものかということを、最近非常に憂慮して、いろいろ研究をいたしておるのでございます。何分もうすでに衆議院に提出せせれて、ここ數日のうちに、これが審議せられるということを聽きましたので、實はたいへん私どもも苦慮しておる次第でございますが、第一この法案を實施せられますというと、いわゆる資材、勞務、役務と、三本建になつておりますので、それに對して實際でき上つた仕事について、一々調査して出すというようなことは、非常に煩瑣な事務を伴うのであります。今のわが國の何千という多くの業者のうちで、はたしてこういう煩瑣な事務をやり得るところの店が幾つあるか、大きな店はそれぞれいろいろな機構をもつておりまするので、あるいは煩瑣な手續を構わなければ、完全にこれが遂行もできましようが、大部分の業者は、ほとんどこの煩瑣なる事務を遂行するということは不可能じやないかということを考えるくらい、この法律は非常に煩雜な法律なんでございます。それで第一この法律を提出せられた政府のお考えを忖度してみますと、すべてマル公でやれば工事費が安くなる。すなわち政府の支出が少くなる。こういうことから、このマル公ですべてのものを處理するということをお考えになつたことと考えるのでありますが、先ほども申し上げました通り、すべての仕事は全部競爭入札である。競爭入札ということは、われわれが與えられたるところの設計と、與えられたる費用により、われわれのあらゆる技術力を動員いたしまして、どうしてやつたらばこれが安くできるかということを考えて入札をするのでございます。血の出るような競爭ということをよく言われますが、血の出るような考えをもつて、私どもはその仕事を獲得するために、一生懸命になつて、あらゆる智慧をしぼつて、入札をするのでございまして、ここに競爭入札をした以上に、さらにまたこれを安くするということは、とうてい考えられないくらい、一生懸命になつて入札をしておる次第でございます。そういう血の出るような思いをして安く入れなければ工事がとれない。そういう状態のところへ、さらにまた工事ができ上つた上で、いやいくらいくらの資材を使つた、いくらいくらの勞力を使つた、いくらいくらの役務を使つたということを、一々精細にいわゆる明細書というものを出しまして、それによつて、資材は初めの考えよりこれこれ減つておるからそれだけ減らしてしまえ、勞務はこれこれの人間を使うということであつたが、實際においては何十人、何百名減つておるから、それだけ値段を引いてしまえ、役務は初めこれこれの豫定でもつて入札したが、實際はそうではないから安くなつただけ引いてしまえ。こういうような法律なんでございます。これは私は實に無理じやないかと思う。それは今申し上げました通り、私どもが初め入札するときには、相當に自分等の智慧をしぼつて入札の價格というものをきめるのでございます。工事を遂行しておるうちに、さらに何かいわゆる創意くふうによりまして、いくらか値段が下ることがあるかもしれません。實際の費用が少くなることがないとは限らないのであります。われわれが創意くふうによつて安くしたものを、さらに政府がこれを取上げてしまう。そういうことをなさるということは、私は實に殘酷至極な法律ではないかと思う。それではわれわれは生産意欲というものは全然減つてしまう。一生懸命やつて、多少でも利潤を浮かそうというような氣分は全然なくなつてしまう。一生懸命やつたつて皆政府に取上げられてしまうのじやないかと、こういうことになるわけだ。これは私は非常に無理な法律ではないかと思うのでございます。それでこういう法律を、どうしても實施なさらなければならぬとするならば、せめては競爭入札によつてとつた工事には適用しないということにしていただきたい。先ほども申し上げました通り、ただいまはほとんど皆競爭入札でありますがたまには特命でもつて、いわゆる世間に普通言われている隨意契約で、官吏と業者相對でもつて、この仕事はいくらいくらでやらんか、いやそれでは安い、高いと、いろいろ折衝した結果、ある金額で仕事をお引受けすることがございます。これは普通隨意契約と言つておりますがわれわれの仲間業界では、これを特命契約と言つております。この特命によつてもらつた仕事は、そのときの情勢によりまして、政府といろいろ折衝の結果において、あるいはこの法律を適用するということが必要な場合がないとも限らぬと思う。それだから隨意契約によつてやつた仕事に對しては、これをもつていわゆる國の支出を減らすという方面に御活用なさるといふことは、これは私は結構だと思う。しかしながら、初めから血の出るような競爭をさせ、どこまでもいわゆる會計法の精神の安いものに仕事をやるという精神によつて競爭入札をさせられた仕事に對してまで、これを適用なさるということは、むしろ殘酷と言つてもいいと私は思う。私どもはその意味におきまして、どうしてもこの法律を實施なさらなければならぬということであるならば、これは隨意契約によつたものだけに適用なさつて、競爭入札によつてとつた仕事に對しては、適用していただかないように御修正を願いたいと思うのでございます。 それからさらに、この法律は、國會でもつて成立いたしますと、五日以内に實施するということになつているのでございます。おまけに、これから新規に契約する仕事はむろんのことでありますが、現在工事中の仕事でも、いわゆる義務の履行が完了していない仕事、まだ工事中の仕事、それにはこれから支拂う分に對して、この法律を適用する、こういうことに規定してあるのでございますが、これは實際途中において初め「これこれの金額でもつてこの仕事をお引受けいたします」と言つて政府と約束したものを、半分なり、あるいは六、七割なりできている、それまでは今までできたものは從來の通りの値段でやるが、これからさきにやる仕事は、これをすべての資材、すべての勞力、すべてマル公でもつて處理するというこの法律を適用するという、これは實際問題として不可能であると私は考えます。こういうことはできないのです。どうしてもこの法律を實施なさるならば、これはこれから新規に契約する仕事に適用するということにしていただかなければ、もう仕事は止まつてしまう。工事の途中にこの法律を適用して、そうして今後支拂うものに對しては全部これを適用するなんということは、まつたく不可能である。これを實施なさるのはしかたないといたしましても、これから新規に契約するところの仕事にのみこれを適用するというふうに、御修正を願いたいと考えるのでございます。 さらにもう一つ、私どもこの法律によつて非常に遺憾に思いますことは、これは業者にとりましては、非常にむつかしい業務を強いられているのであります。一體この法律を實施して、どれだけの義務を政府が背負うのであるか。先ほど申しました通り、すべての材料は官給することになつているが、もしその官給が遲れたらどうなるのでありますか。進駐軍にいたしましても、あるいは國にいたしましても、工事が遲れれば、一番やかましく言われるのは、われわれである。ところが、途中において政府の官給材が遲れたために、仕事が遲れたのだと申しましても、そういう言い分はなかなか通りにくいのでございます。結局政府の資材が遲れたために工事は遲れたと言つても、それはあたかもわれわれ業者の責任であるかのごとく、進駐軍あたり殊にやかましく言われるのでございます。これでは業者の立つ瀬がないと申し上げて差支えないのであります。なかなか資材がまわらなければ、たとえば六箇月かかる工事が、八箇月も九箇月もかかる。そのたびごとにいじめられるのは、われわれ業者であります。そういう場合に、一體政府はどうしてくださるのか。日にちのかかるのはむろんのこと、店のみ入りにも、店の信用にも關係ある問題であります。それに對して、政府はどういうふうにわれわれに對して處置をとつてくださるか。あるいはまたわれわれがつくりましたところの建築物が、すでに半年も一年も前に、實際にそれを使用している。それでも工事費というものは、全部われわれに下つてこないような状況である。これに對して、政府は未だ一年經つても、金利さえお拂いくださつたことはないのであります。そういうようないわゆる政府としての義務と申しますか、政府としては、こういう法律を實施なさつた場合に、どういうことをわれわれ業者にしてくださるのであろうか。そういうようなことも、この法律には何ら指定はしてないようでございますが、これは契約でもつてそういうことをやるのだというお話かもしれませんが、契約でも從來の契約のようなものでは、そういうところまで官給資材が遲れたらどうするとか、金の支拂いが遲れたら金利を拂うとかいうことは、未だ全然ないのでございまして、私どもどうしてもこの法律が實施される場合には、そういうことまでも、法律をもつてちやんと規定しておいていただかなければならないと考えるのでございます。これは法律技術においてそういうことができるかできぬか、それは私は存じませんが、しかしわれわれ業者の立場から申しますれば、どうしてもそういうふうにしていただかなければ、あまりに片手落ちでないかと考えるのでございます。そういうような意味合いにおきまして、私どもはこの法律の實施はやむを得ないといたしましても、ただいま申し上げました通り、どうしてもこれを實施なさるならば、競爭入札によつてできたものには適用しないということ、現に工事中のものには適用しないで、これから新しく實施するものに適用すること、政府の義務を指定していただくこと、實施期に對しては、適當な猶豫期間をおいていただくこと、今工事中のものにしても、新規のものにしても、これをただちに國會で成立したら五日以内に實施するというようなことは、なかなか長い間の習慣から、そういうふうに切りかえるということは、容易でないと思う。少くとも三月とか四月とかいうような猶豫期間をおいていただく。こういう點につきまして、この法律の御修正がいただけるならば、私どもまことに結構だと思うのでございます。目下非常に多忙を極めておりまする進駐軍の工事をやるにいたしましても、あるいはまた戰災の復興の工事をいたすにいたしましても、この法律をこのまま眞向に實施せられたならば、おそらく進駐軍の工事も非常に停頓し、また戰災復興の工事などでも、ほとんど實施が不可能じやないかと考えるくらい、これは私どもに對して非常に重壓を加える法律だと考えるのでございます。その點特に皆さん方の御考慮をお願いいたしまして、適當なる御修正を加えられますならば、まことに仕合せと存ずるのでございます。これをもつて私の説明を終ります。
○早稻田委員長代理 次に特別調達廳總裁であらせられる重田忠保君のお話を承ります。
○重田忠保君 私、特別調達廳の總裁をいたしております重田でございます。今囘のこの法案につきましては、土建業者各位が直接の關係をもたれることは當然でありまするが、同時に私どもまたこの仕事を直接やつておる者といたしましても、非常に重要な關係をもつわけであります。この點については重大な關心をもつておるわけであります。ただいま宮長君からいろいろお話がございました進駐軍工事の、終戰直後からの今日までのいろいろな沿革、また現状等を考えますると、宮長さんのただいまお話になりましたことは、われわれ當時から仕事に關係しておつた者としては、よく了解できるのであります。同時に大體においていわゆる特建工事は、いわゆる請負契約によるものでありますが、今囘の法案に盛られておる思想の一種の實費清算的な觀念と、その請負契約という觀念とが、どういうふうに調和していくか。そこにいろいろ問題があろうかと存じますし、かれこれ勘案いたしましても、政府の不當支出をこの際極力防止するということは、これは何人も反對のできない事柄であろうと考えるのであります。從來この點につきまして、はたしてどの程度に不當支出があつたかどうかということは申し上げませんが、ともかく今日の日本の流通秩序を確立し、また日本の經濟を再建する上におきましては、この法律の根本精神はどうしても生かしていかなければ、日本の再建ということは困難であるということを、われわれは強く考えるのであります。從つてその結論といたしましては、特別調達廳といたしまして考えていることを率直に申し上げますと、結局ただいま宮長さんのお話にもあつたわけでありますが、從來進駐軍の工事というものが、日本の經濟の實情に照しまして、相當に厖大であつた、それがために非常な無理をしなければ、その完成を期し得られなかつた、そこにあらゆることの根本があるのではないかと考えるのであります。そこで結局日本の生産というものをもつと上昇させ、なるべく資材その他が十分に生産できるようにいたしまして、ただいま宮長さんがしばしば言われましたように、いわゆる政府の官給というものが完全に行われるという状態にすること、同時に反面におきましては、進駐軍の要求というものが、その日本の生産の限度において要求を發せられるようにもつていくということ、そこが私は根本的には非常に重大な問題ではないかと考えております。この點につきましては……。 〔速記中止〕
○早稻田委員長代理 次は戰災復興院特別建設局長中田政美君の御意見を拜聽いたします。
○中田政美君 私は戰災復興院の特建局長の中田でございます。ただいま御兩氏からこの法案に對して御感想が開陳されましたが、私の方は主として從來進駐軍の建設工事の方をやつておりまして、將來は大半調達廳の方に移管するつもりであります。その意味においては、調達廳の總裁からお話になつたことと大體重複するわけでありますから、重ねて申し上げる必要は少いかと存じます。しかしながら、この法案が立案されるにつきまして、若干關心をもつて研究しました一人として、この法律案に對する考えを申し上げてみたいと思います。主として宮長さんがお話になりました五、六點の御意見がありましたが、中には法律をよくごらんいただけば若干解釋の相違點があつたのではないかと思われる筋がございます。それらの點について若干申し上げてみたいと思います。 第一の點は、政府が工事を請負わしたときに、材料の官給ということは、流通秩序の確立からしましても、ぜひ必要なことで、主として主要なものについては、官給ということで契約をいたしております。しかしながら、必ずしもそのときの状況によつて政府が全部官給するという約束でない、初めからこの部分だけは業者の手持で賄うという條件附で契約する場合もございます。これは初めから約束づくで入札をしていただき、あるいは隨契をしていただくのでありますから、これは覺悟の上なのでございますけれども、宮長さんのお話になつたように、初めは官給すると言つておいて、あとからどうも時間的に間に合わぬとか、あるいはどうしても入手困難だというので、業者もちに變更する。この場合にはマル公ではなかなか入手困難で、それがために、このマル公嚴守の法律に非常に支障がありはせぬかという點でございます。これは過去においてもそういう場面が起りましたが、その起つた原因は、ただいま調達廳總裁がお話になつた根本原因を解消することによつて、漸次改善されていくであろうと存じますが、そういう場合において、しからば業者はさじを投げるのではないか。マル公では入手できないから、ぜひ官給しろということになつたときに、政府は手をあげるのではないか。その場合には例外で、マル公以外の特殊價格を認めることに發展するわけでございますが、これは根本の資材の生産量なり、現在の日本のストツク量なりを勘案して、これをなるべくマル公ルートにのせるという根本方針は、どうしても堅持しなければならぬ。その方針で今後双方が相協力してこの問題を解決する以外に手がない。業者で入手困難だからといつて、マル公以上のものを買つても、それだけの金を拂うということは、今後はなるべく避けていかなければならぬ。今後はどうしてもマル公を嚴守していくということでなければならぬ。もつとも最近の實情を見ますと、新物價體系によるマル公は、實際の取引關係においては、必ずしもマル公をオーヴアーしておるものばかりとは考えられない。マル公を割つておるものも事實ございます。特殊のものについてはマル公は三倍、四倍に上りましたが、なおかつマル公をオーヴアーしておる社會價格といいますか、そういうものがあるようでございます。木材等につきましても、ものによりけりでありますが、一概にマル公以上とは考えられない。入札のときの状況は、宮長さんも非常に勉強して入札しておるから非常に價格をせつておるというお話がございましたが、マル公ではじいた入札金額をずつと下まわつて入札が行われておるということは、ものによつてはマル公以下で取得し得る。あるいは安いときに買つたストツクをもつていらつしやるというような事情があるのではないかということが、うかがわれるのでございます。しかしながら、要するにマル公問題につきましては、この法律はマル公以下で買つたものはその買つた値段で拂うというのではなく、新物價體系によるマル公で拂うということなのでございますから、そこらの點も十分御勘案くださる必要があるのではないかと考えております。 第二點の、處理が複雜であるという點につきましては、こういうことに不慣れの從來のやり方からはれば困難ではないかという點は、われわれも若干その意見を同じうするものでございますが、しかしながら、私の方の進駐軍關係の工事等におきましては、主として急いだものでありますから、あとから精算してお拂いするような方式でやつておるわけでございますが、そういう場合においても、普通時間があつて入札でやるような場合におきましても、資材、勞務、役務については、精算調書は相當詳しいものをとつておりまして——これとすつきり同じとは申しませんが、少くともわれわれが取扱つております調書は、これにほぼ類似のような調書がつくられております。このことはあとでできました、たとえば政府の支拂が遲延するというようなことにも關連するわけでありますが、しかしながら、なるべく精細な實際の使用材料とか、使用勞務者員數というようなものを、なるべく巨細に調べて誤りのないようにしようという意味で、相當精算調書は詳しいものをとつております。しかしこの法律と從來のものとぴつたり同じであるとも言えませんので、さらにこれは御勉強願つて、相ともにこの法律の實施を圓滑にするように考えなければならぬと考えます。しかしながら、複雜であるという點については相當複雜であるが、政府といい、あるいは業者といい、それぞれ將來合理的な金額を定める一つの訓練として、こういうことにやつていく必要があるではないかと思います。それから競爭入札によつてやつた場合には、この法律の適用外にしたらどうかという點は、一應ごもつともな一つの御意見だとわれわれも考えます。しかしながら、よくごらんいただけばわかると思いますが、この法案そのものを實施しましても、入札というものが全然意味がないかというと、決して意味がないわけではないので、この法案の主として規正する部面は資材、勞務費、それから勞務以外の役務というような流通秩序を確立するに必要なものは、そのわく内に示されているわけでございます。たとえば競爭入札における利潤とか諸經費というようなものは、何らこれで統制するものではないのであります。從いまして、それらの點を考えますと、なるほどマル公で實際使つた資材しか拂わぬと言つても、入札によつて業界がそれぞれ切磋琢磨して勉強していただく人には、それだけの價値が生れるように考えるわけでございますから、その意味から言いましても、入札制度というものを除外しなくても、これでやつてもなおかつ意味がある。私はそう考えるのでございます。 それから經過規定問題につきましては、宮長さんがおつしやつたように現在工事中の工事、つまり實施中の工事についても適用がある。これは非常に煩雜である。これから法律實施後新たに起る工事について、しかもそれには若干の猶餘期間を與えた方がよいではないか、實施が圓滑になるではないかという御意見も、確かに重要なポイントだと私も考えます。しかしながら、この法律はよくごらんいただけば、これまでやつた仕事、つまり材料を買うとか、あるいは勞務を使うとかいうものについて適用するということになつておりますから、その點では理窟を言えば一應は理窟が通つているわけでございます。ただ工事の繼續途中において、これは以前の適用外のもの、今後のものは同じ工事の中でも、この勞務費は適用を受けるものである。つまりそこに精算上二分をせなければならぬところが煩雜であると言えば確かに煩雜ではないかと私は考えます。しかしながら、一應この法律の附則はけじめはつけてあるということを、御勘案願いたいと思います。 最後に、政府の支拂が遲れるという問題、あるいは官給材をやると言つてそれがなかなか思うように期限通り來ない。それがために手待ちになるとか、あるいは業界は立替えた金を、金利を拂つて政府の支拂を待つているというような、政府側の義務に對する規定がないのは片手落ではないか、この點はごもつともな點もございます。政府の支拂が遲延した理由についてはいろいろございましようが、殊に進駐軍工事や何かについては、何しろ突貫工事で急いでやりましたために、設計書一つない、從つて見積り、精算もないというようなことで、業界から出された見積額を、後から査定をして精算をして金額を決定する。こういう先にやるべきことをあとからやつたという普通事情でない事態の殘務整理が、今日非常にわれわれを惱ましておる問題でありまして、正常の場合においては、積算をして豫定價格を定めて、入札にして、確定金額にして支拂をすることになれば、この問題は大半解消するだろう。ただ經過的に、今日從來の工事の分は、何しろ契約もほとんど金額をきめずにやつて、あとから金額を定めるという主客轉倒の手續をしたために、とかく遲れがちになるというわけがございまして、これは私は今後においては、そういうことはほとんどないであらうと考えますので、經過的には双方とも努力して、急いでお拂いするものはお拂いするということに努めなければならぬ。官給材が遲れるとか、あるいは業者手持ちに變更するというようなことについては、調達廳の總裁がお話になつたように、日本の資材、生産力というものをにらみ合わせて、工事の量を調整するということが、一番の根本の解決策である。こう考えるわけでございます。簡單でございますが、以上で終ります。
○早稻田委員長代理 もう一方お願いします。帝國銀行營業部長代理の長谷川重三郎君にお願いします。
○長谷川重三郎君 私帝國銀行に勤務いたしております長谷川と申します。ただいま普通銀行におきまして、土建に關する融資というものが大體六十億前後あると思います。政府の未拂いが、安定本部の御計算によりますと、大體六十億から七十億、メインテイナスというものを除いてあります。業者側の見積りによりますと、大體百億見當ということに伺つております。大體政府の未拂いに對する分くらいが、現存のところ主として全國の普通銀行から融資されて、連合軍の設營工事が進んでおる状態だと思います。それで今後追加豫算の實行に伴いまして、これは大藏省の方の御計算とは相違いたすかどうか、その點をよく存じませんが、安定本部の資金計畫で伺いましたところによりますと、大體六十三億くらい普通銀行の追加借入を豫定しておられるようであります。そういう意味におきまして、普通銀行、殊に私どもの勤務いたしております帝國銀行は、非常にそのパーセンテージが多いもので、大體全國の銀行の數字からいたしますと、貸出資金の一〇%くらいが土建業に融資されております。そういう關係で、今囘の法律案につきましても、金融業といたしましても、相當な關心をもつておるわけでございます。それでただいま特別調達廳の總裁その他業者側の宮長さんよりいろいろ御意見がありまして、不正手段による不正支拂の防止、それからマル公の問題、これは御方針といたしましては、金融機關側としては、もちろん全面的に結構なことだと存じております。その點については、政府の調達なさるものがマル公によつて行われるということは、當然なことと思います。しかし一方現實の問題といたしまして、先ほど宮長さんから業界の實情をお話がございました點も、私どもも現實にその方のお話を始終伺つておる側といたしましては、十分納得できる點があると思うのでございます。その問題は金融機關側といたしましては、格別の意見を持合せないという状態でございますが、ただ一つ金融機關側としての意見を述べさせていただきますならば、ただいま申し上げたように、金額が非常に厖大になつておりまして、現在の金融の機關側のもつております資金では、なかなか圓滑な金融が實際困難な状態になつております。技術的に今後の土建金融を圓滑にするためには、政府の業者に發注いたします金額があらかじめ確定されておるということが、非常に重大なことになると思うのでございます。現在までのところ、實費精算の形でまいりますと、一體この工事がいくらまで支拂われるかという終局の金額がきまつておらないために、銀行側といたしましては、非常に最悪の場合を豫想して金融をいたしておりますために、業者側としても、非常にお困りな場合も出てまいりましようし、銀行側としても、非常に手續がやりにくい點がございます。 それともう一つ、資金の問題からいたしまして、御承知のように、ただいま金融機關側としても、日銀の借入金困難な状態で、何か特別な方法を考えなくちやならぬということで、種々研究いたしておりますが、たとえば貿易手形類似の建設手形というようなものを考えるにいたしましても、金額が確定しないと、技術的にその解決困難な問題が非常に多いと思います。でございますので、この法律につきましても、第八條でございましたか、要するに請負契約によりまして全額がきまりましたら、一應それをどこまでも押し通して、一應政府側で支拂を認めていただく、それで査定ということ竝びにマル公、こういう問題も、——よんどころないいろいろな法律技術的なお立場もございましようから、やられるといたしましたら、それを一旦支拂われた後において、この追徴金なり何なりでもつて査定の結果、減額がございましたら、その上で業者側から追徴されるというような方法をお考えいただいて、要するに今後發注なされまする工事につきまして、金額がまず最初にきまつているということが、金融機關側として、今後の土建界に對する金融を圓滑にする第一の重要な點だと思います。この點につきまして、金融機關側としては、そういう意味のこの法律の御改正があつていただけば、非常に結構だと思います。 それからもう一つ、その經過規定の問題でございますが、先ほどお話になりましたように、ただいま引續いてやつている工事にも、中途でこれをやるということで、まあ法律的にはそこにはつきりしたわけ方ができるのかもしれませんが、實際先ほど申し上げましたように、支拂自體が全體で六十億ないし百億遲れておる状態、そこへもつてきて、この法律が中途で加わりましたために、そこにまた支拂の遲延が起るということになりますと、業者側としても、金融難から、今後の仕事の繼續が困難になるような事態が起らないとも限らないと存じます。その點につきましては、調達廳竝びに業者側と、この上とも御折衝の上で、もつと圓滑な方法をお考え願つたら結構と思います。さしあたり金融機關側としての意見はそんなところだと思います。
○早稻田委員長代理 いろいろ參考になる御意見を承ることを得まして、ありがとうございました。 ————◇————— 懇談會において意見を述べた者 宮長 平作君 (日産土木株式會社社長) 重田 忠保君 (特別調達廳總裁) 中田 政美君 (戰災復興院特別建設部長) 長谷川重三郎君 (株式會社帝國銀行營業部長代理)