財政及び金融委員会 第40号
- 発言数
- 81 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1947/11/26
会議録
○北村委員長 ただいまより開會いたします。 企業再建整備法等の一部を改正する法律案、それから企業再建整備法の一部を改正する法律案、これについてただいま質疑を打切つたのでありますが、まずそのうち企業再建整備法等の一部を改正する法律案について討論を行います。
○中崎委員 私は日本社会黨を代表いたしまして企業再建整備法等の一部を改正する法律案に賛成の意を表するものであります。企業再建整備につきましては、日本の現在の經濟界の實情に鑑みまして、きわめて重要な問題ではありますが、これはすでに法律としてでき上つておるものでありますし、その未拂込の徴收等につきましては、すでにわれわれは本法が提案されたときにおいて、未拂込金の徴收の問題を解決すべきことをすでに主張してまいつたわけでありまして、それが遲まきながら現實に、具體的に取上げられるということは、われわれは當然に來るべきものがきたというふうに考えておるわけでありまして、これらの點について何ら異議を唱える理由はないわけであります。こういう意味において賛成をするものであります。
○塚田委員 私は企業再建整備法等の一部を改正する法律案について意見を申し上げます。本法案の内容としておりますところは、企業再建整備の上にぜひ必要なものであるという意味において、われわれはこれを了承し、これに賛成するものでありますが、ただ、先ほども私からの質問において申し上げましたように、この法案の提出が非常に遲れたということに對して遺憾の意を表すると同時に、この法案の成立を見られた上は、早急に企業再建の整備が完成するように、政府において萬全の措置及び努力を拂われんことを希望してこれに賛成いたします。
○内藤委員 企業再建整備法等の一部を改正する法律案につきましては、提案の通り賛成いたします。
○北村委員長 採決いたします。企業再建整備法等の一部を改正する法律案について賛成の諸君の起立を求めます。 〔總員起立〕
○北村委員長 起立總員。可決確定いたしました。 暫時休憩いたします。 午前十一時四十四分休憩 ————◇————— 午前十一時四十五分開議
○北村委員長 休憩前に引續き會議を開きます。 企業再建整備法の一部を改正する法律案について討論を行います。
○中崎委員 私は日本社會黨を代表いたしまして、本法案に賛成の意を表するものであります。本法案の趣旨とするところは、臨時炭鑛業の管理法案の成立に伴いまして、この企業再建整備法の内容の一部を變更する必要に迫られたという意味において提案されたものでありまして、わが社會黨といたしましては、臨時石炭鑛業管理法案に對して賛成の意を表しておるものでありますので、自然的にその結果生じてくる本法律案については、賛成の意を表するものであります。
○塚田委員 私は自由黨を代表いたしまして企業再建整備法の一部を改正する法律案に反對の意を表明いたしたいし存ずるのであります。その反對の趣旨は、先ほど委員長は、こういうような法案の提出の形式というものは必ずしも差支えないというような御意見であつたのでありますが、私どもはその點において必ずしも意見を同じうしないのでありまして、この臨時石炭鑛業管理法が、完全に兩院を通過して法律になりました場合においては、これはその法律を企業再建整備法の中に組入れるという意味において反對はできないかもしれませんが、なお御承知のように臨時石炭鑛業管理法は衆議院を通過しただけでありまして、御承知のように衆議院においては私どもはこれに對して反對の立場をとつておりました關係上、この法案についても、この場合反對をいたします。結局において參議院を通過して、もしこれが法律になつた上で、あらためてこれを提案される場合には、もちろん賛成をいたさざるを得ないと存ずるのでありますが、今日この際においてはこれに對して反對いたしたいと考える次第であります。
○内藤委員 この法律案は、衆參兩議院を通りまして、ほんとうにその法律ができましたときにできるということを前提といたしまして本案に賛成いたします。
○石原(登)委員 企業再建整備法の一部を改正する法律案、私は實はこれは質疑で政府の所信を十二分に承りたかつたのでありますが、これによりますと、政府は臨時石炭鑛業管理法が實在するものとの前提のもとに、この法律案を出していらつしやるようであります。しかしこういう法律は實は日本のどこにもないのでありまして、こういうようなことをされるということは、最近たびたびの機會において現われますところの、行政權が立法權を侵すような如實の現われとして、われわれはきわめて遺憾であります。私はこの企業再建整備法の一部を改正する法律案、つまりこの臨時石炭鑛業管理法の面に對しては、臨時石炭鑛業管理法が未だ法律として制定されておりません關係上、またわれわれは本案の通過に對して從來反對の立場をとつてまいりました關係上、本法案に對しては遺憾ながら賛成をすることができないのであります。趣旨は自由黨の塚田君から説明されたものとなつたく同一でありますので、この際本法案に反對であることを明らかにいたしたいと思います。
○北村委員長 これにて討論は終局いたしました。 採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○北村委員長 起立多數。よつて本案は可決いたしました。 それから例によりまして、委員長報告については、委員長にお任せ願いたいと思います。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○北村委員長 それではさよう取計らいます。
○北村委員長 引續き所得税法の一部を改正する法律案、非戰災者特別税法案、昭和十四年法律第三十九號災害被害者に對する租税の減免、徴收猶豫等に關する法律を改正する法律案、以上三案を一括議題に供しまして、質疑を繼續いたします。宮幡君。
○宮幡委員 まず所得税法の一部を改正する法律案につきましてお伺いいたします。昨日自然増收の見積額につきまして、主税局長の御囘答を得たのでありますが、その御囘答は、私の考えから申しますると、十分滿足のいかないものであります。しかもその自然増收の見積りは、はなはだ不安を感ぜられるものでありまして、實はこの自然増收の見積りなるものは、大藏省において他に何か腹案があられて、一種の割當課税をなさる御用意ではないかと存ぜられます。この點について大藏大臣のほんとうの腹をお伺いいたしたいと思います。元來自然増收の根本となつておりますものは、物價騰貴による所得の増加、勤勞所得で申しますならば、千六百圓ベースから千八百圓ベースに訂正されたことによる増收の見込額、あるいは物品税においてはマル公改訂によります増收額の見積りとなつております。その他の税目においても、見積られておる自然増收なるものは、きわめて根擔は薄弱であろうと思います。從つてこの自然増收を全うせんがためには、必ずや大藏省においては各地方財務局、税務署の對しまして、一つの自然増收を得べく、割當徴收の内示をなさることは想像にかたくないところであります。しかも現に仄聞いたしますのに、すでに一法人に對しまして、資本の大小にかかわらず、あるいは事業の業態にかかわらず。三萬圓程度の税と半期に徴收するようにというような、内達がまいつていることを漏れ聞いております點より勘案いたしますならば、この自然増收はおそらく國民に適正なる負擔をさせるものでなくして、とれても、とれなくても、この豫算に合うものを配付するという、いわゆる税務行政上の苛斂誅求があるのではないかとおそれております。かような點について、大藏省は自然増收が言葉のごとく自然増收として現われる御確信がありや否や、大藏大臣から明快なる御答辯を要求する次第であります。
○栗栖國務大臣 お答えいたします。この自然増收でございますが、本來財政の理念から言いましたならば、平常なる場合においては、前年度の増收を確實に握つて、そうして今年度へと繰込むのが普通でございます。しかし今日のような財政の異常な状態におきましては、この正常なる原則というよりも、むしろ異常な時代にはそれをとらえて、適當に處理することが必要だと思うのであります。そういう意味において、自然増收を當然見積つたのであります。その自然増收の見積りにつきましては、國民所得の總計算からと、各税務所から税財務局を通じて見積りをとりまして、そうして固く見積つてこれをいたしたのでありまして、政府といたしましては割當課税というようなことを考えておるようなことは絶對ないのであります。それから三萬圓を割當てて課税するようにというような通達云々のお話もありましたが、そういうことは一切いたしておりません。
○宮幡委員 ただいま割當課税のような方針はおとりになつておられないということの御明答得まして、一應安堵いたしましたが、事實においては税務署から報告されました自然増收の基礎となるものが、すでに割當課税主義の意味を含んでおるものではございませんでしようか、その點はいかがでありましようか。
○栗栖國務大臣 お答えします。これは過去一年にやつておりまする税を見積る一つの方法でありまして、そういうことをいたしてやつたのでありますが、それを割當てたということは毛頭ない。逆の手續をいたしておるような次第でありまして、その點は御心配要らないと思うのであります。
○宮幡委員 ただいま大藏大臣の答辯によりまして、非常にその點は安心いたしました、希わくば自然増收に對しまして、納税者との間に摩擦を生じないで、圓滿なる税務行政の行われることを切望してやみません。 次にもう一つ大藏大臣にお伺いいたします。この所得税法上の根本觀念でありますが、勤勞所得及び一般所得に對する基礎控除の四千八百圓は過少であつて、よろしく生計費を標準として基礎控除額を定むべきであるということをお尋ねいたしましたところ、政府委員からの御答辯は、アメリカにおいて生計費を差引いてはおらぬ。基礎控除は一年に五百ドルという、程度の低いものである。そしてその精神は累進課税の率によつて緩和してあるというお答えでありましたけれども、アメリカの生計費の中に含まれております飲食物の割合は、わずかに二〇%であります。しかるに日本におきます生計費中に含まれる飲食物の割合は、昨日も申し上げたように、すでに七五%を突破し、八〇%に達せんとしております。ただ生きんがための生計費がほとんど全部であります。こじきの生活に近い。その全部がただ血となり、肉となり、骨となりまして、消費された所得まで課税されまこすことは、税法の根本において間違いだと思います。あくまで最低生活、少くとも飲食物をねらいといたします。標準生計費の基礎控除をなすような、課税の根本的改正をなすべきだと存じますが、大藏大臣の考えはいかがでございますか。
○栗栖國務大臣 お答えいたします。今日の國民生計費の内容その他は、これは平常なる理論をもつて律することはできぬと思うのであります。國民の生活が非常に苦しいという面は、私も重々承知しておるのであります。他面におきましてこのインフレーシヨン、この經濟危機を突破するためには、財政需要の非常な大きな金額に上つているのを、つじつまを合わしていくこともまたきわめて必要であります。そういう點においてもし破れてしまいますならば、こまかい點において生計費を合わすというようなことを考えても、大きな點においてインフレーシヨンは滔々として進むと思うのであります。そういうようないずれも異常な問題がありますので、今囘は財政需要の方の點を重視して、かような措置をとつたのであります。しかしこれが國民生活の安定へというような線に沿うて考えられるときに、われわれが今の税制をもつて決して滿足するものではないのでして、いずれ經濟再建、國民生活の安定というような線に沿うた税も將來は考えたい、かように考えている次第であります。
○宮幡委員 大藏大臣の御説明は一應了といたしますが、元來現内閣の聲明いたしておりますところは、勤勞大衆の犠牲において國家の再建をしないということであります。しかしこの基礎控除の點において、何らか十分なる措置が講ぜられなかつたならば、勤勞大衆の犠牲負擔というものは、はなはだ増大するわけで、政府の掲げる政策と、はなはだ相反するものがあるではなかろうか、かように考えております。大藏大臣の意中は察せられるものでありますけれども、私といたしましては、まだこの點についての一切の意見を放棄する氣持のないことを留保いたしておきます。 次に税法の根本について大藏大臣に伺います。改正所得税法の第十三條の第三項に追加されたものに、個人の所得については最高の納税額を所得の八〇%に止むるとなつております。八割以上は税金をとらぬということであります。ところが國民負擔の權衡ということになりますれば、現在の日本の法制においては、人格には法人と自然人と二人格あるわけであります。この兩者に對しましておよそ衡平な課税をなすべきだと思います。さすれば法人においても、やはり百分の八十以上はとらないのだという規定を設くることが妥當だ。これは立法技術上明らかに缺陷のように考えるのでありますが、お考えはいかがでございましようか。
○栗栖國務大臣 お答えいたします。法人については一應法人税を負擔しますけれども、それがさらに利益配當になつて現われるのでありまして、そこに個人並との關係を生ずるのでございまして、今お話になつたように八〇%を個人に認める。それをただちに法人に認めるというわけには行かないと思う次第であります。
○宮幡委員 現在の大藏當局で指示してやつております徴税の面から見ると、法人はほとんど配當の餘力どころか、經常利益、あるいは認定せられました利益以上に納税をすることに實情はなつております。いわゆる認定賞與とかいうようなもので、一つの税源に對して課税されます。あらゆるものを總合いたしますと、實に百分の百六十いくつになるような危險が多分にあります。それらはよろしく百分の八十に止めないでも、利益までとるということが税としての觀念としては妥當ではなかろうと存じております。この點について大藏大臣の今の御答辯は私の滿足しないところでありますが、重ねて御説明を願いたいと思います。
○栗栖國務大臣 この法人税の負擔が重いという點については現在においても私は認める次第であります。しかしこれは前内閣のときに、私も税制委員の末席を汚して非常に緩和を期待したのでありますが、日本の經濟、財政が非常に逼迫しておるという事情で、その緩和がわずかに止つたのであります。しかし企業再建整備、集中力の排除というようなことが進行してまいりまして、新しい平和産業が起つてくるという時期になりますと、私はこの法人税の負擔について、利益が相當上るものについては、やはり相當の配當を認めるというようなことも必要だと思うのであります。しかしただいまのところでは、まだそこまでもまいりません。今囘は法人税の引上等はいたさなかつたわけでありまして、この邊もずいぶん意を用いた次第であります。將來について經濟が立直りますならば、それに應じては、この點は考慮をいたしたいと考える次第であります。
○宮幡委員 證券金融界の權威であられます現大藏大臣の御答辯として、ただいまの點は、法人税の税率を引上げないが、それについては十分考慮しておられるということを十分了承いたしました。今後の税制改革につきましても、法人にはこれ以上の擔税力のないものであるということを特にお含みくださいましてよろしく御考慮を拂われんことを切望いたします。 これで大藏大臣に對する質問を打切りますが、なお政府委員に對して二、三質問がありますので、繼續いたしたいと思いますが、委員長いかがですか。
○北村委員長 ただいまからちよつと理事會を開きたいと思いますので、それはひとつ午後にまわしていただきたいと思います。 ここで一應休憩をいたします。 午後零時七分休憩 ━━━━◇━━━━━ 午後一時五十二分開議
○中崎委員長代理 午前中に引續き會議を開きます。宮幡君。
○宮幡委員 大藏大臣にお伺いしたいと思つたことでありますが、議事の進行をはかる意味で、政府委員にお尋ねいたします。 昨日物品税の問題についてお尋ねいたしたわけでありますが、物品税の從價課税は、徴税上いろいろな弊害を伴い、しかも完全な納税をせしむることができない。かような點から申し上げておりましたが、それに對して、現在のところ從量課税一本という建前にはまいらないという當局の御意見がありました。實はこの反面に潛んでいる問題としては、當局もすでに御承知のことと思いますが、いわゆる税務官吏の待遇改善の問題であります。不育宮幡のところへ全國の全財勞組の支部、あるいは個人から、現在まで二、三百通の陳情の書面が參つております。その内容は一々申し上げるまでもなく、税務官吏しての品位を保ち、社會から顰蹙されないような税務行政をやろうとしても、課長級にあつてもようやく二千二百圓程度、先端官吏は千圓くらいの收入しかないので、とうてい生活が維持できない。そこには幾多の誘惑が伸びている。從つて世間も税務官吏に對して異樣な見方をしている。これではどうしても徴税はできない。かようなことが言われております。内容を詳しく申せば、二號俸の百二十圓の増額と、本人一人に對する二千圓、家族一人に對する一千圓の越年手當等も要求してあるというような申立もありますが、その勞働運動としての要求は私の觸れるところではありませんけれども、大體課税を徴收する税務官吏の現在の行き方というものは、マル公で計上されて、マル公で物品税を納付している者に對して、やみで賣つている、そのやみ價格がないはずはない。これを出せということにおいて、ほとんど根據もなくして、納税を強いておりす。これは實例として某會社の物品税について、財務局の係官が出張して調査し、約一週間を要しておりますが、その會社に何らマル公以外の取引がなかつたという結論に達し、結局はわれわれが出てきた面目上、やむを得ないから、適當な物をみずから納めたらよいではないか。かようなことを要求して、金額は心持としての要求は百二十萬圓くらいであるが、それは多少減つてもよろしいというようなことで、紆餘曲折の結果、根據もないものを五十萬圓物品税を納めますということを申し出ております。ところがこれに對する税務署長の見解は、さような根據のないものをとるべきものではない。よつてこれはもし會社が任意に納めたいというなら、それはあえて拒まないけれども、當方からこれを徴收すべきものでない。かような措置になりまして、ただいま現實に宙ぶらんになつております。これは受ける方が一つの相當資本金額の會社でありますので、そこに常識もあり、また品位もあり、折衡上の一つの勇氣もありまして、そのような現實になつたのでありますが、大衆に對する物品税の調査は、最近に至つては、實にはなはだしい状態を呈しております。極端に申せば、社員や從業員のポケツトの中に手を入れたり、あるいは家宅捜索にひとしいような行為をして、そうしてみずから税務官吏として、正しい行政をしておるということを立證するためかもしれませんが、かなり行過ぎなことがあります。課税の點において問題となりますことは、マル公の課税がやみの課税かという問題であります。この面さえとれば、税務官吏ももつとすつきりした氣持でやれる。納税者も販賣した數、製造した數によつて、その數量を根據として納税すればよいのであつて、價格の點にとらわれないで、一切の税務行政があまくまいりまして、そうして徴税の實積も、おそらくこの増收見積額よりもはるかに多くなるであろうと考えております。かような面において、どうしてもこの間接税徴收において現われておりまする税務官吏の行過ぎを是正しなければ、國民は納得して納税するという形に參りません。同時に併せて、そういうような行き方をした反面には、ここには具體的に申し上げることを差控えまするが、幾多忌むべき言動やあるいは事實がございます。これは反面には先ほど申しました待遇の問題と併せ考えまして、われわれも目をおおい、ほんとうに同情の涙をもちましてこれを見逃すという事態が、はなはだ多いのであります。どうぞさような點につきまして、この税務行政の先端の税務官吏が、最もとりよい方法に、最も樂に國民が納税する方針に進むために、どうしてもこの物品税は經濟事情が安定しますまでは、從價課税を發しまして、從量課税の一本に進まれんことを切に希望してやまないのであります。この點につきまして重ねて政府委員の御答辯を承りたいと思います。
○前尾政府委員 物品税は現在ほとんど從價課税となつておるわけであります。それを從量税に直したらどうかという御質問でございます。なるほどただいまお話のような點はあるのでありますが、しかしこういうように價格が上昇し、しばしば價格の改訂が行われるという場合には、一面において歳出も常に殖えてまいりますので、歳入と歳出のバランスということを考えますと、當然從價課税でいかなくてはならない。現在の從量課税のものもすべて從價課税に直していかなければならぬということは、從來の諸外國の税制等から鑑みましても、從價課税に直して來ておるのであります。われわれとして從價課税をやめるという考えはもつておらないのであります。 ただ、ただいまのようなお話の點はございます。われわれとしては税務官吏の待遇改善につきましては、しばしば大蔵大臣も申しております通り、越年資金、その他の問題と別といたしまして、大體でこぼこ是正によりまして二號俸に近い昇給をやり、また出張しました場合に特別の手當を出す。これはただいまお話のように非常に調査がむつかしい。その調査に從事するわけでありますし、また一面には誘惑の手も多い。また苛斂誅求というようなことに相なりましても申譯ないのでありますから、そういうような方面でわれわれは御趣旨に副うつもりではありますが、物品税の從價課税をやめて、從量課税に直すといういき方は、現在としてはとり得ないというふうに考えておる次第であります。
○宮幡委員 はなはだくどいようでありますが、税というものは、單に物價が上るから從價課税でなければいけないというように端的に言うべきものではなくて、實際にとる場合、從量課税に直した方が税の増收が簡單にできる、こういう點に重點があるのでありまして、ただいま政府委員の御説明によりますればただいまはお考えはない、かようなことでありますから、これに對しては當局からの参考資料も頂戴いたしますし、私の方からもかような數字になるということを表でも作成して提出いたしまして、いずれ本委員會に諮つて、それを修正の動議ともいたしたいと考えておるのでありますが、承れば豫算の裏づけである税法の審議過程におきまして、時間的の御都合もあるということですから、この點につきましては次の通常議會なり、あるいは税制の審議の場合に保留させていただきまして、これで止めておきます。 次に非戰災者特別税につきまして一應二、三事務的のお尋ねをいたしたいと思います。非戰災者特別税なるものの本質は、すでに申し上げましたように、明らかに第二次財産税でありまして、單に前囘は約五十萬人と豫定されました納税義務者が四十萬人減つたということと、法人に課税がない。これはレオチヤンのアメリカ式の見方から法人には課税がなかつたのでありまして、政府の聲明するところは、財産税というものは一囘限りしか徹收しないと、これをくどいように申しております。また増加所得税についても一囘限りしか徴收しないというようなことを言つておりますが、増加所得税というものは、それを基準といたしました地方税の營業税が附加されてみたり、國民大衆は税の本質を知らずして、あたかもそれらは重ねてとられたような感じがいたしまして、納税を囘避するところの思想が、だんだん道義の頽廢とともに瀰漫してまいつております。これは國家財政上ゆるかせにできない問題でありまして、この非戰災者特別税については、前囘の財産税の一囘限りという強い聲明を裏書きするに足るべき十分なる御説明が、政府當局に御用意がなくてはならぬと思いますが、この點についての御所見はいかがでございましようか。
○前尾政府委員 非戰災者特別税が、廣い意味におきまする財産税であるということについては間違いがありません。また一種の特別財産税でございます。前の財産税は總合的財産税であるのであります。まつたくその性質を違えておるのであります。また法人につきましても課税する、これは要するに前の財産税と申しますより、戰時補償特別税のうらはらをなすものでありまして、繰返し申し上げます通り、戰時補償特別税をやつた半面におきましては、非戰災者に對しても何らかの犠牲の負擔をやらなければ、國民感情としておもしろくないというような意味合いからやつたのであります。前の財産税とはまつたく性質を異にしておるものでございます。なおまた増加所得税と營業税は、營業税は全然實績によつて課税するという建前にいたしておりますので、本年の營業税も前年の實績に從つただけのことであります。増加所得税といたしましては、もちろん一囘限りの課税でありまして、別に二囘とるというような考え方ではないのであります。
○宮幡委員 この非戰災者特別税は、事實上は賃貸價格の倍數ということで、比較的簡單であります。 納税思想を喚起する意味において、國民的の一つの運動を起さねばならないと、私ども業者の中でも考えておるのでありますが、ただいまの政府委員の御説明では、非戰災者税をとらなければならない。一囘限りと申したが、これに對してどうしてもこうだということの理由としては足りないように思いますが、その點については何かパンフレツトのようなものも御用意ではないかと思いますが、この際一つ説明のうまいお話を聽かしていただきたいと思います。
○前尾政府委員 非戰災者特別税の創設の理由といたしましては、われわれも詳しく書いたものがございます。今説明が長くなることをおそれて省略いたしておるわけであります。いずれにいたしましても、その中心は先ほど申し上げましたように、昨年戰時補償の特別税を創設いたしまして、戰災者の保險金を打切りにしたいという反面においては、戰災をこうむらない人が、殊に現在財産税を徴收いたしましたものの、その後の經濟情勢から考えましても、燒けた者と燒けない者の違いは、經濟的にもかなり懸隔をますます助長してきているという現状から考えまして、この税をとる。またとらなければ戰災者の感情の融和をはかるわけにいかないということがこの税の中心でございます。なおまだパンフレツト等はできておりませんが、でき次第差上げることにいたしたいと思います。
○宮幡委員 大要政府委員の御説明によつて了承いたしました。いずれ説明あるいは宣傳用のものを頂戴いたしまして、個人といたしましても、また財政金融委員といたしましても、徴税に協力いたしたいという念願をもつております。 次に法文についてお伺いいたしますが、第二十四條であります。第二十四條の適用につきましては、調査日時以後に解散し、課税時期までの間に清算し、もしくは實質上清算結了と同一の状態になつておつて、ただ登記が濟んでいない。かような法人に對しましては、二十四條は適用すべきでないと思います。清算結了いたしました殘餘財産の分配を受けましたものに、各社員なり株主なりにさかのぼつて納税義務を負擔させる。これは間違つておるのではないかと思います。この例はたびたび政府委員から引合いにお出しになりますが、戰時補償特別税なるものが、清算結了の會社及び準清算結了の會社に對しましては、納税義務及び求償權というものは、ともに認めないことになつております。それと比べ合わせて立法上何か間違つてはおらないかと考えます。もしこれを行うとするならば、請算か結了したもの、あるいは清算が結了したと同じような状態になつたものについては、事實上適用されない。ただ課税以後において解散して清算中のものは、たとえ納税せずに殘餘財産を分配してもこれに課税するのだ、というようにお取扱いになつた方が適切ではないかと思いますが、いかがでしよう。
○前尾政府委員 あるいは御質問の趣旨を取違えているかもわかりませんが、調査時期または課税時期前に解散した場合においては課税ができないのは當然でありますが、この法律施行前に解散したものについては、法律上當然さかのぼつて課税することはできないのであります。これは税法の全體の建前から見ても、さかのぼつて課税するわけにはまいらないのであります。しかしただ解散しても合併したとか、あるいは事業を承繼したということになると、事業を承繼した方で負擔いたしますが、大體二十四條の趣旨でよいのではないかと考えている次第でございます。
○宮幡委員 そうすると非戰災者特別税が施行された以前に解散し清算されたものは、全然二十四條は適用されないわけですか。
○前尾政府委員 解散しても清算が結了していない場合には、法人格がまだ存在しているわけでありますから、その法人格がある間においては、課税になるというふうにお考え願いたいのであります。
○宮幡委員 そうすると調査時期以後に解散して清算結了になつていたものには、適用はないわけですか。
○前尾政府委員 さようでございます。
○宮幡委員 その點は了解いたしました。その次は第五十條に、個人の納付すべき非戰災家屋税または非戰災者税は、これを所得計算上損金に算入しないとなつております。大體この税は、額において比較的輕微であるという觀念から、延納だけは若干認めておるようでありますが、物納の處置がないわけで、いわゆるその資本に課税するのでありますから、かようなものを所得計算上損金に算入しないという處置は、何か失當のように考えられますが、その點に對し政府委員の御意見を承ります。
○前尾政府委員 本税は大して負擔にならないのでありますし、それをわざわざ物を賣つて物納しなければならないというほどの必要がないと考えておりますので、延納で十分間に合うという考え方をいたしておるわけであります。 それから必要經費なり損金に算入しないということは、結局戰時補償特別税が同樣の思想であつたのであります。それだけの犠牲は完全に負擔しなければならぬ。その後におきましてそれを必要經費なり損金に見るということになりますと、經常的な利益でそれを補填して經常税の輕減ということになつてしまうわけであります。これだけの課税はあくまで犠牲を負つていただかなければならぬと言いますより、犠牲の均衡化という趣旨から遠ざかりますので、經常税では輕減しないという意味合いにおいて、損金に算入しないということにいたしたのであります。
○宮幡委員 戰時補償特別税の場合においては、その税額はかなり大きなものでありました。從つてその納税者——かりに會社にいたしますれば、それを通常事業年度の法人税計算上の損金と認めた場合には、確かに擬制資本の打切りをいたしまして、公課が輕減されまして、あるいは全然なくなるというような形で、戰時補償特別税を制定した趣旨が抹殺されるわけであります。この税については政府委員もるる述べられますように、大した額でないのであります。もちろんそれ自體の額がそう大した額でなかつたならば、個人に對するものなどは、必要經費もしくは損金と認めても、それがために所得課税上失うところは少いではなかろうか。結局五十條なるものは理論にとらわれまして實體をつかまえていないものである。これを損金で見てやるということによつて、普通の所得の計算上に影響する額が小さいだけに微々たるものである。しかもこれを損金に認めるということの趣旨の方が、納税思想を喚起いたしましてスムーズな納税ができると確信いたしておりますが、いかがでございますか。
○前尾政府委員 税が少いから必要經費に入れたらどうかということについては、これは見解の相違であります。税が少ければ少いだけにそれだけの犠牲は負擔していただかなくてはならぬということにも相なるわけであります。これはあくまで戰時補償特別税と同一の思想によつて、この課税全體の建前ができております。その體は見解の相違と申し上げるよりいたし方ないと思います。
○宮幡委員 見解の相違とあれば、これはもう修正案なり何かもち出しまして、徹底的に討議する以外に方法がないのであります。五十條の質問はこの程度にいたします。 續いて五十一條であります。法人についてもこの兩税を損金に認めない、かように規定されております。これは個人の場合と平衡的な問題であつて、五十條がさような觀念であればこれも當然であると考えますが、會社の經理におきまして、たくさんの工場や倉庫をもつておりますと、相當の金額になります。しかもこれを損金に認めないということは、結局は永久の假拂いになるわけであります。これをもし經費として落せば、その分だけが利益に加算を受ける、かような處置になります。額が小さかつた場合、あるいはその會社が振つておつたような場合には、ある程度その負擔にも耐えるでありましようが、現在におきましては大藏省では御承知の通り、公共事業として指定されておる業種はきわめて少いのでありまして、これは非常な不振な状態にある事業に對して、割合大きな税がかかるではないかと豫想されます以上、これを單に損金に認めない。いわゆる紋切型の大藏省の理念で處理すべきではなかろうと存じます。適切な例といたしましては、これは家屋自體に對しまするところの一つの支出であります。よつてこれを資本的支出と認めまして、この税の價格を家屋の原價に加算いたしまして、大藏省の定めまする固定資産原價償却の基準によつて、年々これを經費として、家屋の原價とともに償却せしめることが適切妥當と考えますが、いかがでございますか。
○前尾政府委員 繰返し申し上げておきます通りに、戰時補償特別税と同一の思想で、それだけの犠牲は當然受けていただく。從つてそれを將來の原價償却なり、必要經費という形で出してしまうことになりますと、この課税をいたしましても、長い間にそれだけ輕減いたしてしまうということになるのでありまして、あくまで犠牲の均衡化という考え方からできております非戰災者特別税におきましては、こういうふうに損金と認めない。またそれがそれだけ評價替えされた場合におきましては、原價償却なり評價損金としては認めないということでまいらなければ、理窟上もそうでありますし、實際また經常税で輕減するということになりましては、この税法の趣旨を沒却するというふうに考えておる次第であります。
○宮幡委員 戰時補償の例をもつてすべて律せられておるようでありまするが、戰時補償特別税の對象となりました火災保險、あるいは打切りによりますところの戰時補償支拂金というようなものは、御承知でもありましようが、終戰の當時において陸海軍の現場作業廳におきまして、未完成品を完成したと稱して、事實は注文書一本出ておらないものの注文書までつくつて、無用な臨時軍事費を支拂つたわけであります。それで原價の一割にもつかないものに、十割のものが與えられておる。いわゆる水ぶくれであります。また保險にいたしましても、家屋の原價一萬圓のものに對しまして、五倍、六倍、七倍、八倍の超過保險金額をとつておつた。かような状態からそこに差額として現われました擬制資本を排除する意味で、戰時補償特別税ができておるのでありまして、今囘の燒け殘つた家屋に對しまするこの特別税とは、その根本の理念において相違があるわけであります。非戰災者特別税法を通覧いたして見ますと、いかにも燒けない者は得であつた。その權衡を保つためにやるのだ。この精神でかなりむりにできておると思います。もつとすなおにいくべきではないかと考えております。特にたびたび戰時補償特別税の立法觀念を引合いに出しますが、およそ非戰災者特別税なるものは、戰時補償の水ぶくれ擬制資本の打切りとは、相違したものだと私どもは考えておりますが、いかがでございましようか。
○前尾政府委員 戰時補償特別税につきましても、ただいまお話のようなケースはあるのでありますが、あの法律の精神自體は、必ずしも保險金が超過保險であつたから打切るというような考え方ではないのであります。とうてい國として支拂う能力がない。從つていわゆる戰時利得の排除の思想から轉換いたしまして、擬制資本を打切るという觀念ででき上つておるのでございます。從いまして今囘の非戰災者特別税ともちろん趣旨において違うものではありますが、しかし大きな根本理念といたしましては、戰時補償特別税のやつたうらはらをなすということについては、先ほど申上げた通りでございます。また戰時補償特別税を本税との行き方を違えるという必要は、私どもとしては認めなかつた次第でございます。
○宮幡委員 大體私に與えられました時間も過ぎておるようでありますから、もし質疑がありましてなお時間がありましたならば、もう少しこまかに數字的な問題についお尋ねをしたいと思いますが、本日はそれは長引きますから、この程度で一應質問を打切らしていただきます。
○中崎委員長代理 了承いたしました。次は内藤君。
○内藤委員 非戰災者特別税につきまして二、三きわめて常識的なことをお尋ねしたいと思うのであります。先ほども同僚からお尋ねがありましたように、この税金は戰災者と非戰災者との間の、犠牲の不均衡を是正するというのが眼目であります。この理由で納税者も快く納めることと思うのであります。ところがこの税はその對象となりまするものは、家屋と動産の戰災を受けた、受ないというのであります。ところが戰爭による犠牲というのは、家、動産ではないのでありまして、中には大事な夫、子供を失つたという人の犠牲が非常に大きいのであります。こういう人たちはこの税金の考え方を見ますときに、非常に割切れぬ氣持をもつのではないかと思うのでありまして、二本建になつております後者の非戰災者税の家屋または動産につき、三割程度を超える損害となつておりまするが、何かここらあたりでそういう犠性者も含めて考えられることはできないものかということをお尋ねしたいと思います。
○前尾政府委員 ただいまお話の點は第七號第四項の第三號に「課税時期において賃貸價格が百圓に滿たない家屋のみを使用していた世帶でこの法律施行前六年以内に戰時災害は因り當該世帶の生計を主として維持していた者が死亡したものの世帶主」とありますが、すなわち戰災あるいは戰死者の遺家族でありまして、その戰死者が主として生計を維持しておつたという場合で、賃貸價格百圓に滿たない家屋を使用しておつたという場合には課税をしないということにいたしておる次第であります。賃貸價格百圓というのは、額が非常に少額のようでありますが、全國の住宅の賃貸價格の平均は九十圓程度であります。平均以下の賃貸價格の場合には、課税から除外するという行き方をしておるのであります。
○内藤委員 なるほどその條文のあることは承知しておつたのであります。そこで實はその條文についてお尋ねしたかつたのであります。その百圓程度未滿というのを擴張願うか、もしくはこの制限を除くと全體の税收入にどれほどの差ができるのでありますか。それを伺いたいのであります。
○前尾政府委員 確かな數字はあとで調べましてお答え申し上げたいと思いますが、いずれにいたしましても、かなり贅澤な家に住んでおられるということになれば、これを免除するということは、現在のいろいろな情勢からお考え願いましても適當でないということに相なるのであります。金額としては、殊にあとの生計を主として維持しておりました場合がはいつておりますので、免税の場合はそう多くはないと思いますが、しかし戰死された人が一人ありましても、相當な家で戰死をされた場合には、先ほど申し上げましたように賃貸價格の三倍程度では大した税額でありませんので、この程度に止めておきますことが、むしろ税全體の思想なり、あるいは最近のいろいろな情勢から申しまして、適當であるというふうに考えておる次第であります。
○内藤委員 金額が小さい、多いということは實は問題でないのでありまして、この立法の大きな一つの眼目は、犠牲不均衡の是正というのであります。從いまして私はなるほど税額そのものは少いかは存じませんけれども、この犠牲の不均衡是正という意味からいたしまして、もう少しそういう點を考える必要があるのではないかと思うのであります。それはそれといたしまして、生計を主として維持しておる者が死亡したときとなつておりまするが、これはそういう條件でなくして、その家に戰死者がおつた場合、一樣にそれを含ましめることがいいと思うのでありますが、それについての、これも税全體から申しますとそう大したものではないと思いますが、政府委員の御所見を伺いたいと思うのであります。
○前尾政府委員 確かに仰せの通り非常な犠牲でありますが、税はあくまで經濟的な面で考えておりますので、犠牲とは申しても金錢的の犠牲ということで終始して考えているわけであります。なお一人でも戰死者があれば課税から除外するということに相なりますと、非常に多くの方が課税から免れることに相なりますので、ただいま申し上げましたように、やはり財産的な不均衡是正という意味合いで、特にお困りの方に限つてこの税を免除することにいたした次第であります。
○内藤委員 次にお尋ねいたしたいと思いますのは、この税額全體の收入見込みは六十五億圓となつておりますが、この六十五億圓のうちで、農村の負擔するものはおよそいくばくであるかお示しをいただきたいと思います。
○前尾政府委員 本年の收入が六十五億圓でありまして、全體の收入としては七十二億圓ございます。それから農村と都市との負擔の割合は、ただいま的確な數字を調査することはできないのでありますが、賃貸價格は昭和十五年當時に調査いたしました經驗から考えまして、これは收益率から考えてやつておりますので、都會には非常に高く、農村には低いという方針でやつておりますので、農家の負擔としては大したことはないというふうに考えるのであります。その推定される材料といたしましては、六大都市を含みまする各府縣の賃貸價格が、約半額に近い十四億のうち六億程度であることから推定いたしましても、農村の負擔は大して大きなものではないというふうに考えておる次第であります。
○内藤委員 非戰災者税の家屋または動産についてその三割程度を超えない者につき課税されるのでありますが、農村は戰時中驚くべき戰災を受けておつたのであります。たとえて申し上げますると勞力肥料の不足によりまする農地の荒廢、また都市から奔流のように流れてきました疎開者と、海外から引揚げてまいりました者の收容、このために農村は家屋または動産の三割程度を遙かに超える損害を受けているのであります。こういうところから眺めてみましても、徴税の考え方からしますれば、こういうふうなことを一應見るのが、あるいは一つの考え方かもしれませんけれども、犠牲の不均衡を是正するという意味から申しますると、やはり農村ではわれわれは非常な犠牲を受けたのであるが、それはちよつとも考えられていないというふうに思いまして、現にこの要綱が新聞に發表されたとき、農村におきましてはそういう聲が非常に大きかつたのであります。こういうことにつきましては當局はどういうお考えをおもちでありますか、お伺いいたしたいと思うのであります。
○前尾政府委員 非戰災者特別税におきましては、あくまで家屋と動産、結局戰時中の爆撃の對象となりました財産に限定いたして考えておるのであります。それ以外の精神的な、あるいはほかのものに擴げて考えるということになりますと、むしろ廣い意味で申しますならば、第二次財産税にまで進展しなければならないというような結論にもなりますし、また精神的な犧牲というようなものの不均衡ということを是正するということは、單に租税のみではできないのであります。最小限度の犧牲の不均衡、すなわち戰時中の災害の對象となりました家屋と動産が、燒けたものと殘りましたものとの、その不均衡を是正する。燒け殘つた人は燒けたと思つてこの際御辛棒を願うというのがこの法律の趣旨でありますので、その點は御了承願います。
○中崎委員長代理 内藤君にちよつと申し上げますが、大藏大臣は三時までで、用事があるそうでありまして、大藏大臣に質問をする方があるそうでありますから、政府委員にはあとでひとつ願います。川合君
○川合委員 私は最近國會におきまして、租税收入あるいは豫算編成というような場合におきまして、國民所得ということを引合いに出していろいろと論議を闘わされるに至つたことは、一つの進歩であろうと思つておるのであります。しかしながら國民所得の構成というものが、非常に最近變つてきたというような根本的に面に思いをいたしまして、そうして國民所得と租税との關係について、當國會における豫算委員會、あるいはまたこの財政金融案員會において、いろいろと論議されておるのであります。そこで私は大藏大臣あるいは政府委員から、しばしば現在の日本の租税は國民所得に對して、約二十パーセントである。從つてこれを歐米の例から見るならば、まだ日本の租税は餘裕がある。つまりまだ彈力性があるというようなことを伺つておるわけでありますが、そもそも日本の昭和二十二年度の國民所得を九千億として推定をした根據について私は伺いたいのであります。その意味は、これは國民所得の内容の變化ということにあまり觸れずして、しばしばこの問題が取上げられた。そのためにややもすれば歐米と比較してまだに日本に擔税力があるのだというふうに國民に思わせた。しかしながら國民の實際の納税者の一員としては、すでに擔税力の限界點に達しておる。しかしその反面において、いわゆる大口やみ成金というものがあるのであつて、そこにいろいろな矛盾があるということを明らかにして、それによつて一面において國民の納税運動というものを推進したいというような考え方から、一應國民所得の推定に對するところの根據について大藏大臣の所見を伺いたいと思います。
○栗栖國務大臣 お答えいたします。これはすでに兩院の豫算委員會で、その根據及び推定についての方法等を御説明申し上げたのでありますが、本委員會にはまだいたさないと思いますので、推算の方法を一應申し上げます。きようはちよつと資料がないかもしれませんが、後ほどでももし資料があれば配付するなり、あるいは詳しく御説明することにいたしたいと思います。 大體國民所得は二つの方から計算ができると思うのであります。それは各所得をすべて總計いたしまして、そうして出すわけであります。いま一つは生産の方から主として出す。そうしてそれから勘案をして國民所得を出す方法であります。この九千億ということは、過日參議院の委員會でも御説明いたしましたし、新聞にも出たと思いますけれども、八千九百何億というのが安本でつくりました最近の數字であります。これは最近の平常時をまず基礎にとるわけであります。すなわち昭和十年における國民所得というものを、九十何億かと思いますが、そういうものをまず基礎にとりまして、そうして倍率をかけてこの推算をするわけであります。こうして九十億弱というものが出てまいつたのでありまして、こういう方法で戰時中及び戰後も推算をいたしている次第であります。ただもつと根本的に申しますと、最近における國民所得が非常な移動ができているということは、おおうべからざる事實であります。そこで新しく推算の基礎を立てて、そうしてつくりかえるということが一番望ましいと思うのであります。新しく推算の基礎を立てるのは何からとるかというと、これはなかなかむつかしいのでありますが、あるいは財産税のときの調査とか、あるいは所得税の調査とか、法人税の調査、こういうものを推定してまいるわけであります。これには相當の時間がかかりまして、そのうちに千二百圓ベースから千六百ベースになり、千八百圓ベースになりというので、計算をするので追つかいなような現状にあるわけであります。そこで、これは相當時間をかしてもらいませんと出ないわけでさいまして、昭和十年を基礎としましてそれから推算しました九千億の内譯等につきましては、いずれ資料か何かを取寄せまして、政府委員から詳しく御報告申し上げることにいたしたいと思つております。
○川合委員 數字については後ほど資料についてお尋ねする機會もあろうと思いますが、問題は、約九千億と稱せられるところのこの國民所得が、實際は單なる數字上の水ぶくれにすぎない。インフレの結果にすぎない。元來國民所得というものは擴大再生産の状況下において、漸次その數字が殖えるということが好ましいわけであります。從いまして今大臣が言われる通り、理論的に言えば、この國民所得というものは、各國民個人の懷ろにはいるものを總計したものが一つの國民所得であり、同時にまた生産の面から消費の面にいたる段階を集計した、この二つのめメソツドがあるわけであります。私は日本の國民所得の構成状況が、きわめてアブノーマルな状態にある。この國民連において、一番先にこれを考究したのがイギリスでありますが、イギリスの財政との關連において、國民所得を檢討したというようなときは時代が異つている。と申しますのは、國民所得の内容というものは主として生産が中心にならなければならぬ。それに商業利益とか、あるいはサービスというようなものが附隨的にあるけけでありますが、日本の現状は、かりに政府の推定するような約九千億に近いものが國民所得であるとするならば、實際その中の商業利潤と申しますか、やみ的なサービスと申しますか、そういう不健全な面が非常に多い。しかもこれを税との關連において考えた場合には、把握ができないところの國民所得である。その把握ができないところの國民所得を一應國民所得の中に加えて、しかもその國民所得から租税の割當が二割ということは、これはいささか論理の飛躍であると同時に、またいかにも外見的に日本の財政の前途を樂觀せしめるような感を富えると同時に、現實に千八百圓ベースで生計している勤勞者というものは、租税の重壓に苦しんでおる。そこで現實とそういうような政府の言う樂觀論とに、非常に矛盾を感じると私は思うのであります。そこで私はそういうような意味の、國民所得に對して租税が二割であつて、歐米との比較においてまだ擔税力の餘地があるということを漠然と言うことは、國民に對して非常な矛盾を感ぜしめると思いますので、この點特に今後において政府は考えて、國民所得を發表し、この租税との關連においてこれを論ずる場合においては、よくそのことを國民に了解できるようにしていただきたい。かように考えておるわけであります。問題は國民所得ということに對する檢討になりますので、これ以上は申しませんが、私の言わんと欲するところは今申した點でありますので、よくその點を御承知置きを願いたいと思うのであります。 次に政府の資料によりますならば、滯納が非常に多いという數字が示されておるのでありますが、この滯納の原因は、私は三つもあるだろうと思うのであります。それは現實に納税すべき金がないという一つの面と、もう一つは現在の市中金融機關でなかなか金を貸さない。そこでまたやみ金融にはしつておる。ところがやみ金融というものは金利は日歩二十五錢とか三十錢である。ところが滯納の場合の滯納利子は日歩四錢であるというようなことで、たとえば淺草のことでありますが、毎日の日錢を二十五錢、三十錢でやる。そして滯納利子の四錢との比較の差をはねておる。そして十分會社を經營しておるというような實例もあります。そういうような滯納利子が安いという面も多分にあるだろうと思うのであります。もう一つはしばしば問題になりますように現在の徴税機構の不備、殊に前段の税務官吏のいろいろなことからしまして、實際に徴税が困難だというふうに思うのであります。滯納の原因に關する大藏當局の所見を伺いたいと思います。
○栗栖國務大臣 滯納の状況その他について申し上げます前に、いま一度ちよつと國民所得と今度の課税の推定について、一應先に申し上げておきたいと思います。先ほども御説の通り國民所得を十分に算出しまして、それに對して課税の見定めをするわけでございます。それもいたしますと同時に、實はこれは今朝もこの席で申したのでございますが、税を課する場合には、各税務署で大體見込みをつけさせまして、それを財務局から大藏省へと全國を一本にまとめまして、それと裏表にして實は算定をいたしておるような次第でございます。しかしこの方法がもつと科學的にできないかということは、戰爭中の混亂、終戰後の混亂ということによつて、よほど基礎が動いたのであります。 先ほども申しますように、この調査を取りまとめてまいりまして、確實な、科學的な基礎の上に立つてするようにいたしたいと考えております。御了承願います。 それから滯納の問題であります。いま日歩が低い、それに對して市中のいわゆるやみの金融の金利が高い、そのさやがあるというお話があつたのでありますが、そういう事實もまさにあろうと思うのであります。しかし金利の點、その他については、いずれ正規の金融機關については、金利調整に關する法律をお願いしようと思つております。それから不正規の金融業者に對しては、金融行政の取締りを強化しまして、これを取締つていく方針であります。それを速やかに實行いたしたいと思つております。そうして滯納の日歩四錢ということは、昔から終始一貫やつておることではありますが、あまり重くするということも、正常なる納税者から見るとさらに負擔を課するという點もありますので、むしろこの點はやみの金融業者を取締るという方面と、金利調整をするという方面と、兩方から深めていつた方がいいのではないか、かように考えておる次第でございます。 それから滯納の原因でありますが、これは種々あるのであります。一般に國民が終戰以來國民の精神等も相當動搖いたしまして、この納税思想、殊にこういう危機においては納税思想というものがきわめて大事なのでありますが、それが相當缺けておるということも、まさに事實であります。道義の廢頽ということから、それが現われておると思うのであります。さらに税制その他が豫算申告制ということに變つたのであります。まだ日が淺いし、從來と違いまして十分制度が國民の間に徹底しない。そこでこれをいいことにして内輪に申告をしておる。そうすればさらに税務署としては査定をしかえて、更正決定をする、こういうようなことが起きて、よけいな手數をかけ、そのために税の滯納が増しておるという事實もあるのであります。さらに物納その他の關係において十分手が届けなくて、話合いがつかぬという關係で、實は提供を申し出ておつてまだ受入れ等ができないというものがある。それが滯納の形式に現われておるのであります。さらに申しますれば、國民がこういうように生活に追われておるのでありまして、その資金その他が知らず知らずのうちに、その日の資金に追われて、税としての資金が他に流用されるという點があるのであります。これは會社その他の法人におきまして、あるいは入場税その他が滯納の形を相當とつておるのであります。これはむしろ資金の逼迫その他によつて流用されて、それがために滯納の形になつたものが相當あるのであります。それから税務官吏の方から言いまして、何分にも人員を増加しようというのでありますが、なかなか思うように増加できない所もありまして、そういう場合に嚴重な督促をするということが思わしくいかない、これはしかし最近非常にそういうことをさせるようにいたしましたけれども、本人まで至らず、それが滯納の形で現われておるというのがあります。第三國人その他で滯納の形が現われておることもあるのであります。こういうものに對しては連合國の好意ある協力を求めて、税の價格の決定の際、さらに徴税までも突き進めていくという形をとることにいたしたのであります。大體滯納の形は今申しましたような種々な方面にわたつておるのであります。政府といたしましては、この税を完全に取立てるかどうかが、すなわち財政が實質的にも健全になるかどうかというわかれ目でございます。單に財政のみならず、國民經濟がこのインフレーションの結果破局するかどうかというのも、この點にかかる點が非常に多いのであります。そこで滯納その他に對する督促というようなことは、税務署の強化ということだけでなしに、税務行政の運營を刷新しまして、それと同時に國民運動として國民の間に十分その趣意その他を徹底させまして、兩々相まつてぜひ徴税の實をあげ、滯納者をなくしよう、こういう方針でおるわけであります。しかも日數が非常に差迫つておりますので、大藏省としては大きな責任を負うておるわけであります。この責任を完遂するために、この四月の間はほとんどそういう方面に、あらゆる税務に關する人々を動員して實をあげたい、かように考えておる次第であります。
○川合委員 きのうの中崎委員の質問と關連するわけですが、われわれはインフレをチエツクする意味において、日本の産業經濟界がデフレ傾向にはいることは好ましいわけであります。しかし最近におけるデフレ傾向というものは、經濟の自然の運行からくるデフレではなく、政府の作為的原因によるデフレ的傾向である。しかもその政府の作為的原因が、租税の徴收が困難である。つまり滯納があつて、政府の資金の操縦が困難であるということに原因しておるというように思つておるわけであります。その顯著な例は、現在進駐軍關係の土木建築費の工事代金の未拂、あるいはまた運輸省におけるいろいろな購入物件費の支拂の遲延、あるいはまた逓信省におけるそういう關係というようにいたしまして、政府の手もと資金の不足から原因して、そして民間に代金を支拂つていないということが現在のデフレをつくつておる。從つてこれは政府の作為的原因によるものであつて、何ら本質的なデフレではない。われわれとしましては現在の日本のインフレがチユツクされ、そしてそのチエツクされるということは、日本經濟界が一つのアジヤストメント・プライセズにはいつたとして理解したいと思うのですが、しかし現状はそうではなくて、政府の作為的原因ということに、われわれは一つのデフレ的危險性を感ずるのであります。このことは七月、八月におけるインフレの反動が相當にあつたと思うわけであります。もしこれが十二月にはいつて、政府が相當の資金を撒布する、そのあとにくるのは必ずやまたインフレーシヨンの高進見込みであるというように、われわれは一般的に觀念づけられると思うのであります。從つて私は政府の資金の不足からくる政府資金の不拂といことが、實際においてはより一層インフレを高進する。ただ現象的にインフレを一應チエツクするけれども、長い目で見るならば、一層インフレを高進するという點に非常に懸念をもつわけであります。そういう意味におきまして、私は先ほど申し上げました通りに、滯納を極力徴收するとともに、政府の支拂うべき正當な金は支拂つて、それによつて財界の運行に不自然な結果をもたらさないようにしていただきたいと思うのであります。これらと關連しまして、十二月の歳末においては、政府は十二月中に支拂うべき金額のいくばくの政府資金を支拂うかどうか、どの程度の用意をもつておるかということを明らかにしていただきたいと思います。
○前尾政府委員 デフレの傾向が、政府の作為的な支拂遲延にあるのではないかという御質問が第一點でございます。もちろん從來政府の支拂の遲滯しがちであつたことは、しばしば認めて、いろいろ對策を講じておるのでありますし、その後におきまして支拂遲延をしないように、少くとも作為的に支拂遲延をするということは考えていないのであります。ただ從來のように放漫に支拂をすることは極力避けておりますことが、ある面において從來よりも窮屈になつた、また金融の面で窮屈になつたというようなことが、非常な資金難から、デフレだというように言われておるのではないかと考えるのであります。もちろん必要なる方面に對しては、できるだけ早急に支拂をするという方針で進んでおるわけであります。ただインフレーシヨン自體が、ある一面においてはデフレをやり、ある一面においてインフレをやるというのが、いわゆる悪性インフレーシヨンで、全般的にインフレであれば、これはインフレではないということになるわけでございます。結局凹凸が非常に激しくなるというところに、インフレの悪性化という意味合いがあるわけであります。その點では御指摘のごとく、滯納をそのまま放つておく、あるいは課税を充實すべき所に充實しないというようなことが、これを非常に助長いたしますので、滯納については先ほど大臣が申しましたが、大體においてこれは七月末の數字で、増加所得税が結局四十七億九千萬圓、財産税が十二億、戰時補償特別税が十三億、その他が二十五億ということになつております。これは最近まで財産税の物納、延納の處理について、税務官吏が非常にその擔當者がその方で手間をとられたために、ほとんど滯納處分をやることができないような状況でありました。最近におきまして大體においてその處理を終えましたので、滯納整理に集中するというような状態に立ち至つたのであります。これは早急に整理せらるるものというふうにわれわれは考えておるのでございます。 それからなお十二月中に一般會計から支拂見込のものはどうかというお話でございますが、當初豫算と補正豫算第八號までの金を含めて三百億程度であります。そのうち、三分の一が終戰處理費ということに相なつております。
○川合委員 今の日本としては最初の申告制がとられたわけであります。それと表裏の關係にある第三者の通告制による實續というものはどの程度であるか、お示し願いたい。
○前尾政府委員 第三者の通報制につきましては、相當效果をあげておることについては、われわれ疑いを入れないところだと思つております。と申しますのは、從前から投書というような形式でいろいろ税務署に送付されるということが、われわれのいろいろの調査の手がかりになつておつたのであります。これを公式にいたしまして、それに對する報奬を與えるというのが、第三者の通報制を設けましたゆえんであります。またわれわれといたしましては新しい正義觀からいたしまして、社會的正義ということから通報していただくことを歡迎いたしておりますので、最近においては相當投書が多くなつてきております。ただ正式の第三者の通報という形式でお出しになる方はあまりたくさんはございません。しかし中に財産税等につきましては有力な資料を提供されて、摘發の端緒になつておるというものも相當ございます。しかしわれわれはなお從來の正義觀というものをかえていただいて、大いに協力していただいたということを、特に國民運動等におきましても宣傳していきたいというふうに考えておるのであります。
○川合委員 先般の當委員會の公聽會におきまして、日本酒造組合中央會の上川名義雄君が、密造酒が二、三百萬石ある、これらに對して合理的な方法で行うならば、もつと酒税の増收が見こまれるということを言われておつたのでありますが、大藏省の見地からいたしまして、密造酒というものをどの程度に見ておるか。またこれを合理化して酒税の増收を期することが考えられないかという點、これが一つ。 もう一つは來る一月に申告に基くところの所得の決定が行われることになつておるのでありますが、これがもし非民主的なそしりを免れないような所得の決定をいたしますならば、ひいてまた滯納を加重するということになるわけであります。われわれはこの申告制のとられる前におけるところの所得税調査員——これは地方のボスというものを發生して、その非合理的な點を認めざるを得ないのでありますが、申告制に加味してもう少し民主的な方法によるところの、所得決定に參與ずる方法が考えられないかどうか。これがお尋ねの第二點であります。 それからもう一つは、非戰災家屋税について、引揚者の免税あるいは減税ということは考えられないか。非戰災者税においては引揚者の點は考慮されておるわけですが、非戰災家屋税におきましては考慮されていないわけであります。身一つとなつて歸つてきた者に對して、しかも外地におけるところの財産はすべてたな上げされておるという状況のもとにおきまして、唯一の財産は家屋であるとするならば、非常に引揚者たちは困るではないかというふうに思われますので、これらに對する特別の措置あるいは考慮が拂われるかどうかということを、第三點としてお伺いしたい。私の質問は以上をもつて終ります。
○前尾政府委員 第一番の密造酒の數量でありますが、二年ほど前にわれわれが計算いたしまして六、七十萬石と推定いたしたことがございます。その後大分またひどくなつておりますので、あるいは二百萬石にも達するじやないかというふうな見方をいたしております。ただこれを合理化していくという點につきましては、あの際にも上川名氏から提案がありまして、超過供出米の何割かを委託釀造させて、それを還元配給するという方法を述べられたのであります。われわれもこれが最も合理的な方法だというわけで、關係方面といろいろ折衝をいたしておるのでありますが、昨年は埼玉縣に一部許されたのであります。しかしただいまのところ相當難色があるのであります。その理由といたしましては、現在あらゆる手段を盡してすべて供出してもらつておる。そうでなければ食糧輸入の懇請ということが不可能になり、少くともそれによつて酒をつくる米が保有されておるということになりましては、食糧輸入の懇請に支障を來すというのでありまして、われわれとしても努力はいたしておりますが、なかなか困難であります。ただ密造酒をできるだけ取締るというような方向にいかざるを得ない状況でございます。 それから次に從來設けておりました所得調査委員會というものを廢止いたしたのであります。從つてこれはむしろ申告納税という點におきまして民主化をはかつたのであります。その後政府はその申告が不適當であるというものに對して、更正なり、決定をするという場合におきましては、政府獨自の立場においてやるというのが趣旨ではありますが、われわれといたしましては税務協力委員というような、別に官制によるものではありませんが、そういうようないろいろ資料の提供等を合理的にしていただくというような方の御意見を聽き、また一般にいろいろな資料を集めまして、公正なる更正決定をやりたいというように考えておる次第であります。 それから第三の非戰災者特別税におきまして、引揚者は結局におきまして戰災者と同樣、引揚前の家屋動産というものは戰災者と同樣に失つたのであります。そういう意味合いにおきまして、非戰災者特別税は免除いたしております。ただ非戰災家局税の方につきましては、非戰災家屋税はすべて物税という行き方をいたしておりまして、燒け殘りました場合には、たとい戰災者でありましても、課税をするのであります。そういう點におきまして引揚者のみに例外を設けるということは、税法の建前からいたしましても適當でない。要するに家屋が殘りました點におきまして、少くともほかの動産は燒けましても殘つておるわけでありますから、そこに擔税力を認めまして課税するという行き方にいたしておる次第であります。
○中崎委員長代理 田中織之進君。
○田中(織)委員 これは大藏大臣からお答え願いたいと思うのでありますが、大藏大臣がお見えになりませんから、主税局長から御答辯を願いたいと思うのであります。 昨日來自由黨の宮幡君の質問にもあつたのでありますが、明年度の豫算編成を前にいたしまして、税制の全般につきまして根本的な檢討を加えなければならないじやないかという意見に對しまして、大藏當局は現在のような經濟状態の非常に不安定なもとにおいては、税制の根本的改革は不可能だというような趣旨の御答辯をされておるのであります。もちろん理論として一つの見方であると思うのでありますが、われわれは明年度の厖大な財政需要というもの、この關連において、現行の税制全般を振返つてみるときに、むしろ逆説的になるかもしれませんが、經濟の安定をはかるためにこそ税制の根本的な改革を行つて、財政全體を健全なものにしなければならないと考えるのでありますが、明年度の豫算編成とにらみ合わせて、税制全般について大藏當局としてどういう方針をもつて臨もうとしておるのか、この點についてまず當局の御見解を承りたいと思うのであります。
○前尾政府委員 税制全般につきましての改正は、御承知のように終戰以來數次にわたつて逐次改正いたしたのでありまして、またそのほとんど大半は、本年度四月以降の所得税、法人税竝びに相續税の改正によりまして、大半を了したと言つていいのではないかというふうに解しているのであります。ただ殘された問題は徴税技術の問題が大部分であつて、現在の税制の運用自體を完全にするということが、大きな問題であろうというふうに一應考えておるのでありますが、しかし税制全般にわたつてわれわれも檢討いたしておる次第であります。 まず第一に大きな問題といたしましては、現在の地方財源の問題、すなわち地方税と國税との調整、それから一つは法人税の問題、また一つの問題といたしましては、現在の賃貸價格が非常に低いのでありまして、これを改訂いたすにいたしましても、地租の負擔をどういうふうにもつていつたらいいかということが、非常に大きな問題になつているわけであります。もちろん間接税その他につきましても、われわれは檢討いたしておるのでありますず、一つは歳出の全貌なり檢討が明らかにされてまいりませんと、どこまで實行に移すべきかどうかというようなことが、ただいまのところ申し上げる段階に至つておらないのであります。
○田中(織)委員 大體大藏當局の御意向は了承いたしました。次に現實の問題といたしまして、經濟状態がきわめて不安定でありまして、そのためにいわゆる國民の所得におけるアンバランスというものが、きわめて程度の上において高くなつているのでありまするが、こうした状態のもとにおいて租税の徴收をはかるということから、いろいろな税金を重複して課税するということはやむを得ないと申しまするよりも、むしろ私は財政需要に對應するために當然の措置であると思うのであります。そういう意味から申しますると、自由黨の諸君の言われるところとわれわれはまつたく立場を異にするのでありまするが、このことは同時に昨年來行われておりまするところの、戰爭によつて起つたところの、いわゆる犠牲資本を斷ち切るという點につきましても、私は現在の段階においては、なおきわめて不十分であると考えるのであります。今囘いわゆる戰爭犠牲の負擔均衡という點から、非戰災者家屋税なり、あるいは特別税なりが課税せらるることになつたのであります。このことについては先ほど内藤君から、私としても申し上げたいと思うような點について御意見がありましたので、重複を避けまするが、こうした形式的な戰爭犠牲の負擔均衡というような形ではなくて、もつと徹底的な戰爭犠牲の負擔均衡という觀點に立つて、今後の徴税なりあるいは新税の創定ということについて考えていただかなければならないと思うのであります。その意味において、先ほど自由黨の宮幡君が、財産税は一度限りのものであるということを盛んに強調せられたのでありまするが、たしか先般の参議院における公聽會において、井藤半彌氏のように、われわれよりもおそらく保守的な立場に立つておる人でさえ、いわゆる經常財産税というような立場において、われわれのいわゆる第二次財産税の徴收と同じ新税の創設を主張されておるのであります。これらの事情を勘案いたしまして、大藏當局としてはこの第二次財産税を、近い將來において實行する意思があるかということについてお伺いをいたしたいと思います。
○前尾政府委員 最近の非常なアンバランスに對しまして、われわれとしても現在の税法そのままでいき得るとは考えておりません。通常議會におきましては、いろいろまた最近の事情を取込んで、税率等についての勘案をしなくてはならぬと思います。大體において現行の税の建前は、運營をよろしくしていけばいいので、その中に盛られておりますいろいろな要求につきましては再檢討するつもりでございます。 次にまた、先ほど私の答辯いたしました財産税が一囘限りであるということは、別に第二次財産税を否定するものではないのであります。一囘限りというのは、要するに恆久的な財産税に對しまして、非常措置としての財産税という意味で一囘限りということを使つておるのであります。將來第二次財産税を否定するものではないのであります。しかし第二次財産税を起しまするには、結局新々圓への切換えというような、通貨に對する特殊な措置をやらなくちやならぬ。その措置が現在適當であるかどうかという問題であります。それから井藤先生の提唱されておりました經常財産税というのは、われわれも税制調査會でいろいろ審議したのでありまして、將來といたしましては、私はこの恆久的財産税を設けるという考え方につきましては、贊意を表しておるのでありますし、またそういう方向で研究もいたしておるのでありますが、何と申しましても常に毎年の財産税をやりますには、その基礎がなくてはなりません。その基礎といたしますのは、昨年の三月三日を畫して行われました第一次の財産税を基礎にしたのでは、その後の情勢が非常に變つておるのであります。そうするとその後のいわゆる新圓所得等を捕捉することができないのであります。從つて平常時でありますと、一度捕捉いたしました財産額から推定いたしまして、翌年の財産額がある程度的確に捕捉される。ところが最近におきましては、そういうようなわけにまいりません。それでただいまのような經濟變動のはなはだしいときに、恆久財産税という行き方はどうであろうかということで行き惱んでおる次第であります。また非戰災者特別税にいたしましても、一種の財産税でありますが、これをもつてもちろん滿足しておるわけではありません。ただ現在の情勢から考えまして、あまりに手間がかかり徴税が半年なり、一年も先になつて初めて行われるというのでは、時期的に間に合わないという點がありますので、できるだけ簡易な方法で徴税をするということで考えていつておりますので、ある程度形式的になり、形式的な税になりますと、思い切つた課税ができない。從つて多少税收入が輕いという憾みがあるのでありますが、この際としてはやむを得ないというふうに考えておるのであります。將來の方向の問題といたしましては、ただいまいろいろお話の點は、われわれも十分了承いたしまして、研究いたしたいというふうに考えております。
○田中(織)委員 次に税務機構に關する問題でありますが、この點は大藏大臣がたびたび量と質における税務機構の擴充について、大藏當局の方針を述べられておるので、われわれは大藏大臣がその所信に向つて邁進せられんことを切に望むものでございますが、この問題に關連いたしまして、今囘の追加豫算におきましても、いわゆるマル公の改訂に伴うところの價格差益金というものが、相當いわゆる自然増收という中に見込まれておると思うのであります。この自然増收の中における價格差益金というものが、どの程度に見込まれておるかということも承りたいと思うのであります。この價格差益金の徴收方法が、現在物價廳において行われておるということは、この價格差益金が豫定のように徴收されないということの結果として現われてきておると思うのであります。この點について、これは技術的な問題でありますが、先般も豫算委員會において同僚の稻村委員から當局に對して質問があつたかと思うのでありますが、これを物價廳より財務當局に移しまして、現在の物價廳關係のこうした方面のものを税務署へ配置轉換をいたしまして、税務署を対じてこれを徴收するならば、所期の目的を達成できるのではないかと思うのであります。このことは同時にいわゆる滯納、脱税がものすごい數字に達しており、先ほど川合君の指摘したような状態にある場合において、平生から帳簿あるいは經理の面から抑えていくということであれば、滯納あるいは脱税等の問題も起らないと思うのでありますが、大藏當局として特に價格差益金は、これを現在物價廳を通じて徴收するという形を、税務署に切りかえる意思があるかどうか。この點について伺いたいと思います。
○前尾政府委員 税務官吏の待遇につきましては、ただいま關係方面と折衝中でありまして、おそらく數日中に御審議をお願いすることができるというふうに考えております。その内容につきましては幾分未決定の點がありますが、先に申し上げたような程度でありまして、大體において關係方面の了解を得られている次第であります。 それから價格差益金の問題でございますが、お説の通りわれわれは税務署としてこれをやるのがほんとうではないかというので、種々考えたのでありますが、ちようど今囘の改訂におきましては七月の改訂でありまして、七月、八月という際に、はたしてその調査がなし得るかどうか、殊に税務署でやります場合には、現在の價格差益金の行き方を相當擴げて、小賣業者にも及ぼすというぐらいの機構でやらなければ意味がないのであります。現在の行き方でありますれば、大體物價廳でおやりを願つて差支えないというふうに考えておつたのであります。ちようど七月、八月というときは、これは財産税の更正決定、あるいは申告納税等いろいろの仕事があつて一番忙しいときでありますので、この際税務署側にお引受けいたしまして、そのためにあらゆる仕事が中途半端になりますことは、この際考うべき問題だというふうに考えましたので、お引受けできなかつたような次第であります。しかし將來の問題といたしましては、税務機構の整備いたしました暁には、税務署でやるのが最も適當であるということは私も考えているところであります。
○田中(織)委員 最後に非戰災者特別税について二、三點お伺いしたいと思うのであります。この點については先ほど國協黨の内藤君から、農民の立場においている質問が行われたのでその點は避けたいと思いますが、いわゆる農民の住居の關係から申しまするならば、農業生産に不可缺の關係にありまするところのいわゆる納屋、これは一般商工業者の倉庫とは性質がまるつきり違うのでありますが、そういう納屋あるいは家畜の厩舎というようなものが一つの建物になつているのであります。こういう農業生産と不可分の關係にありまする建物を包含したところの、いわゆる農村の住宅家屋に對しましても、ひとしく今囘のいわゆる非戰災者家屋税が課されることになると思うのであります。もちろんこの點は先ほど主税局長の御説明にありましたように、農村における家屋の賃貸價格が、都市に比べて低位にあるという點は私も了承しているのでありますが、特にこの點について、農家の農業生産と不可分の關係にある納屋であるとか、厩舎であるとかいうものについては御考慮をいただきたい。 それからこれは第二條の關係でありますが、いわゆる戰死災害者にはもちろん除外されているのでありまして、特にこの點については、先般の本會議における豫算委員長の委員會における報告の最後の部分に、戰時災害の中でも、特に廣島あるいは長崎等の厚子爆彈による慘憺たる被害を受けた所については、特に考慮が拂われるということについて、當局の御言明があつたということが報告されたのであります。私もこの點についてはぜひ當局の言明通りに行つていただきたいと思うのであります。ただ戰時災害ではもちろんありませんが、昨年末の南海の大地震のようなああいう場合はもちろん、今囘の同時に提案されておりますところの災害等による粗税の減免に關する法律案の適用は當然あることと思うのでありますが、この南海大地震の場合に、新宮市のごときはこれに伴う火災によりまして、ほとんど全滅いたしておるのであります。戰災は一應免れまして、その後だんだん復興しておるのでありますが、こういう場合に對しましては、災害等による租税の減免に關する法律との關係において、いかなる取扱いをなされるかを第二點としてお伺いしたいと思います。それから第三點として第七條に、これも非戰災者家屋税の適用除外といたしまして、皇室財産であつた家屋を除外されておるのであります。この點はあるいは皇室經濟法等の關係かとも思うのでありますが、どういう根據であるか。その皇室財産であつた家屋を除外された理由を伺いたいと存じます。非戰災者税に關しまして以上三點についてお答えを願いたいと思います。
○前尾政府委員 第一點の、納屋とか厩舎に對して考慮しろということにつきましては、これは賃貸價格の調査の經緯を御存じでありますとおわかり願えるのでありますが、こういうものにつきましては賃貸價格の調査の場合、收益率と時價というものでかけ合わせたものが賃貸價格になるので、時價の評價というものは、非常に考慮して低くつけてあります。從いまして母屋と納屋、それらの點は賃貸價格のつけ方の際に考慮してでき上つておりますので、それに相應した不動産があるとみて差支えないようなことになつているのでございます。 それから次に第二點の長崎、廣島等の原子爆彈の場合におきましては、税法で申し上げますと、第八條と第十一條の二項、これによつて修正がなされていなかつた場合には修正するというのであります。これの運用によりまして、調査直前にいろいろ災害をこうむつておつた場合、たとえば、名古屋地方の震災というようなものは、これによつて修正がされるわけであります。その後の災害、ただいまお話の南海の震災というようなものは、三十五條竝びに三十六條の、それぞれ第一項第一號の規定によりまして輕減または免除する。結局その損害の部分に相當する金額だけ輕減する。あるいはまつたく減失しておればかからないということになるわけでございます。 次に第七條の皇室財産であつた家屋、これにつきましては、調査時期と申しますのは終戰時、すなわち昭和二十年八月十六日でございますので、皇室で御使用になつておりました財産には課税がされるという結果になるのでありますが、すでに皇室經濟法等によりまして、現在家屋をほとんど御所有になつておられないのであります。從いましてただいまおもちになつております分に對しては課税をしないのでありますし、またその當時おもちになつておつたものに對して、全部課税するということは意味をなさないということになりますので、この規定を設けている次第であります。
○中崎委員長代理 本日はこれをもつて散會いたします。 午後三時四十六分散會