財政及び金融委員会 第39号
- 発言数
- 40 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1947/11/25
会議録
○島田委員長代理 會議を開きます。 失業保險特別會計法案の採決に入ります。
○中崎委員 私は各派を代表して、第十七條を次のように修正する動議を提出いたします。「この法律は、昭和二十二年十月一日から、これを施行する。」というのを「この法律は、昭和二十二年十一月一日から、これを適用する。」というふうに修正したいと思います。
○島田委員長代理 ただいまの中崎委員の修正動議に對して御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○島田委員長代理 御異議がなければ討論に付したいと思います。
○中崎委員 本法律案は、失業保險が新しい設定されるに伴い必然的な法律案でありますので、討論を用いずただちに採決せられんことを望みます。
○島田委員長代理 ただいま中崎委員から討論省略の動議がありましたが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○島田委員長代理 それではこれより採決に入ります。 まず各派共同提案になります修正案に對しまして、贊成の諸君は起立を願います。 〔總員起立〕
○島田委員長代理 起立總員。修正案は可決されました。 次に修正部分を除いた原案に贊成諸君は起立を願います。 〔總員起立〕
○島田委員長代理 起立總員。よつて本案は修正議決せられました。 —————————————
○島田委員長代理 次に所得税法の一部を改正する等の法律案、竝びに非戰災者特別税法案に對する質疑を許します。宮幡靖君。
○宮幡委員 ただいま上程せられております税法改革の二法案について、一般質疑をいたしたいと存じます。 第一にお尋ねいたしたいのは、税制改革に對する當局の將來のお考えと、この改正案に對するお考えとを比べての一應の御答辯を伺いたいと思うのでありますが、まず租税の總額は、國家の經濟力と比べてみて妥當であるかどうかということを、第一のねらいとしなければならないと思います。言いかえるならば、國民の拂いますいわゆる社會的犠牲、その税の根本觀念からまいりまして、その社會的犠牲の使用によりまして、いかなる社會的價値を生んでくるものであるか。かようなことを十分に檢討してまいらなければならないと思つております。もちろん現在は占領下にありまして、われわれの享受すべきところの社會的價値にるものの判斷には、相當考え方を改めなければならないと存じますが、根本といたしましては、あくまでもこの點を忘却してはならないと存ずるのであります。また租税の國民間に配分、割當てられることが妥當であるかどうかということも、税制改革の根本として考えてまいらなければならないと存じます。過去におきましては、直接税が二に對して間接税が一という割合をもつて、税制の健全なるものとみなされてまいつたのでありますが、ただいまではややもすると金持あるいは新圓所得者と申しましようか、いずれにしても金をもつておる者、財産をもつておる者に對しては、直接税で高率な課税をしたらどうか。間接税は大衆の負擔においてなすべきであるというような思想が推進せられまして、今囘の追加豫算を通じて拜見しますと、直接税において約九百十億、間接税において九百六億というような數字が現われまして、まつたく從來の租税の根本觀念を無視したような形になつております。また税率の點におきましては、物價騰貴につれまして、税率は自然に上昇してまいつたのでありますけれども、今囘大藏當局が示しております國民の總所得九千億圓なるものの根據については、私個人としては何な確信をもてないのでございますけれども、この九千億をかりに正しいといたしまして、判斷いたしてみますならば、物價は概括的に申して百倍となつております。昭和十二年當時の税に關しまする説明について、大體國民總所得というものは二百億内外であると示されておりましたが、現在の物價の百倍から考えますと、當時の一萬圓の所得者がちようど現在の百萬圓の所得者になるわけであります。今囘の税制改正におきまして、百萬圓以上の課税は八五%という高率になつておりますが、これを昭和十二年の物價事情に引合わしますと、一萬圓に對しまして八割五分の税がかかることになりまして、いかにこの税が重税であるかということが十分に察知せられるものであります。健全財政に向い、國家財政の再建のためには、高率課税もやむを得ないのではございますけれども、所得税が國税の總額のうちに占める割合は、かつて大藏省では四〇%を超えないのがよろしい、かようなこともしばしば言われております。しかるに今囘は五三%、かような状態に進んでおりますので、この點につきまして、ただ單に率を引上げることのみで圓滿なる徴税ができるとお考えになつておつたならば、非常な間違いではなかろうかと存じます。むしろ率よりも、實際の完全納税の期待できます方向に、税制の改革をもつていくべきだと存ずるものであります。なお租税の根本といたしまして、從來は税本課税主義を發しまして、いわゆる税源課税ということが一貫した方針でありました。戰後に處するためにやむなく財産税等の税本課税もあえていたしたのでありますが、今度の非戰災者特別税のごときは、明らかに税本課税を重ぬるようなものであろうと存じます。この點についても、將來の税制改革に對します政府の御意見を承りたいと存じます。なお同樣のことでありますから、續けて申し上げますが、所得税におきまする勤勞大衆の税負擔を輕減する御處置は、きわめて適切なるお考えだと一應敬意を表するのでございまするけれども、この所得税それ自體に、すでに現在の經濟事情、あるいは國民大衆の生活の事情に、根本的に合わない面がたくさん殘されております。たとえて申しますならば、基礎控除の四千八百圓、かようなものは現在の、たとえ一家四人二分の家族をもつております家庭にいたしましても、その最低生活費を保障するに足りないものであります。殊に現在生計費の中に占めます飲食物費の割合というものは、かつてのごとく三〇%や三五%でなくして、すでに七五%を超えておると傳えられております。また事實は八〇%になつておるかもしれません。この生計費の中に含まれます飲食物費の割合が八〇%近くになつておるということは、いわゆる乞食の生活であります。これ以上は、國民いかに耐乏の生活を強いられても、行えない。いかも生きるために、最低の生命をつなぐに必要なる所得までが課税の對象となつておつて、生計費が所得税法の所得額計算上損金に算入せられないという事實は、見逃せないところの缺陷でございます。よろしく生きんがための最低の、せめては飲食物費だけでも、これを必要經費に認むる根本的な改正をなすべきであると、私は確信するものであります。よつて一例を申しますならば、まずもつて標準生活費一人一千圓というような程度に改めまして、一家五人ならば一箇月五千圓、一年六萬圓、これを總所得から必要經費として除算いたしましたその餘のものに、適當なる税率をもつて課税すべきであろうと存じます。さすれば現在のごとく勤勞所得税におきまして、あるいは十分の二・五とか、いろいろ複雜なるところの控除をしたり、あるいは特典を與えたりすることなくして、各層各階級の所得に對して、ことごとく標準生活費を除算いたしまして課税することになつて、課税の方法も、その手續も實に簡易明快になりまして、國民大衆は救われることになります。以上申し上げました諸點につきまして、現行税法及び將來の税制改革につきましての大藏當局の御意見を承りたいと存じます。
○前尾政府委員 私からお答え申し上げます。まず第一に、將來の税制改正に對して現在大藏當局が考えておる點はあるかというお話でございます。御承知のように、終戰以來數囘の暫定的な措置を經まして、本年の四月以來、いわゆる根本的な税制改正をいたしたわけでございます。殊に所得税、法人税、相續税、それらを直接税の中心といたしまして、昭和十五年の税制改正に匹敵する改正を行つた次第でございます。しかしこれで全部を了したとはわれわれも考えておりません。大半を了したというような考えはいたしておりますが、これが全部であるというふうには考えていないのであります。ただ御承知のように、經濟變動が非常に急激な際でありますので、ほんとうの平時税制に切替えるというところにはまいりません。殊にまた財政需要が増大いたしてまいつておりますので、ほんとうの意味の平時税制というところまで切替つたわけではございません。また現在のような際にそれを改正することがいいかどうかという疑問はございます。しかしたとえば法人税等におきましては、あるいは相當な改正をしなければならぬのじやないかというので、さかんに檢討はいたしておる次第でございます。また恒久的な財産税をやるかどうかというようなことも、研究はいたしておりますが、これはただいまのところ實施するというようなことは時期尚早であるのでありまして、もう少し經濟の安定したときをねらわなければならぬというような考え方をいたしておるわけでございます。今囘の追加豫算の財源といたしまして提案いたしております税制改正は、今囘の追加財源として財政需要に應ずるために特段の考慮をいたしまして、改正をお願いいたしておるわけでありますが、その第一點といたしましては、緊急な財政需要に應じまして、一囘限りの非戰災者特別税というような緊急臨時的な臨時税を設ける一面におきましては、所得税に高額所得者に對する税率の引上、その反面に勤勞所得者竝びに扶養親族を有しております者の負擔の輕減というようなことにしておりますが、酒税竝びに入場税を中心といたしまして、間接税を相當増大をいたしておる次第でありまして、現在の耐乏生活からやむを得ないというものにつきましては、相當な増大をいたしておるわけでございます。また定額税率によつております印紙税とか登録税というようなものにつきましては、御承知のように、その主體をなしておりますものは比例税率でありまして、比例税率については、今囘は改正をいたしておりません。結局比例税率と定率税率によりますものとの權衡を考えまして、最近の物價改訂に應じた改正をするというようなことでやつておるわけでございます。 次に租税の總額が、國民所得九千億と稱せられております額に對して、適當であるかどうかという問題がございます。これは一概に何パーセントという基準があるわけではありません。歐米におきましては、米國は三〇%を中心としており、英國におきましては四〇%を中心といたしておるのでございますが、わが國の租税が二〇%を中心といたしておりますものの、果してそれで日本の經濟力に對する影響が、必ずしも他の所得に比べまして輕い負擔であるというふうには考えていないのであります。しかし大體におきまして、從來いろいろな經濟情勢に鑑みまして、二割程度を中心としてまいつておるわけであります。現在九千億の國民所得があるという場合におきまして、現在の税負擔は必ずしも輕いとはもちろん申せません。しかし負擔し切れないというものでないというふうに考えておる次第であります。 次に直接税と間接税の比重がどうかという問題がございます。今囘御承知のように、當初豫算におきます間接税にタバコを入れて考えてまいりますと、大體において直接税と間接税の比率は、當初豫算におきましても半々でありますが、今囘も半々というようなことで、その比重は違つていないのであります。直接税中心主義で行くか、あるいは間接税中心主義で行くかということについては、御承知のように、昭和十年前ごろまでは間接税中心の税でありましたが、最近におきましては直接税中心に移行して來つつあつたのであります。最近幾分間接税が多く相なりまして、現在半々といふようなことになつております。しかし直接税はこういう經濟混亂の激しいとき、また道義の頽廢しつつあるときにおきましては、なかなか徴税が困難でございます。と申しまして、もちろん間接税中心にまいりますということも、大衆課税といふ見地からいたしましては、相當考慮いたすべきことでございます。もし間接税中心にいたしておりますと、最近のように消費物件が次第に減少するというような時代におきましては、間接税が思うように入つて來ないというような憾みがございます。從いましてわれわれは現在のように直接税と間接税が大體相半ばして、それが兩々相まつていくというのが、ちようど適當な割合でないかというように考えておる次第であります。 次に最高税率の問題、ひいては現在税率が非常に高いのではないか、殊に從來の所得が、現在百萬圓ありましても物價が百倍になつているので、その當時の一萬圓に過ぎないということから考えまして、税率が相當高いということについては御指摘の通りであります。しかしこれまたその當時のわが國の状態と、敗戰後の現在のわれわれの状態とにおきまして、實質上の負擔が高くなるということは、ある程度やむを得ないのではないかというふうに考えている次第であります。しかし税率が高いのが、必ずしも望ましくありません。もちろんわれわれは、その前に税務行政の面におきまして、相當考えて努力すべきだということは、お考えの通りに考えて實行しつつあるわけでありますが、ただ片一方に勤勞所得に對する輕減という一面におきまして、現在において相當高額だと思われる所得に對しましては、税率を引上げまして、いわゆる高額の、大口利得者というところかどうかわかりませんが、大口別得者に對する高率課税をやるということは、現在の社會情勢から見てやむを得ないものだと考えるのでございます。御承知のように今囘の所得税の改正におきましては、なるほど六萬圓からの所得に對しまする税率を引上げておりますが、その反面におきまして、扶養家族の控除額を引上げて、また勤務所得に對しましては、勤勞控除を二割から二割五分に引上げている次第でございます。從いまして勤勞所得者につきましては、十六萬圓以下の人につきましては全部が減税になり、事業所得にしましても九萬二千圓でありましたか、それ以下の人はすべて減税になつているような次第でありますので、十萬圓以上の事業所得があるというような場合には、基礎の税率の引上げがあつたといたしましてもやむを得ない。それ以上の高額の所得者につきましては、高率の課税をするということについては御了承願いたいのであります。 次に非戰災者特別税につきましては、御指摘のように資本に對する課税で、一種の特別財産税でございます。しかしまた、これは昨年行いました財産税竝びに戰時補償特別税と關連をもつているわけでありまして、殊に戰時補償特別税とは、ちようど表裏をなしているものであります。すなわち戰災者の最近の實情から見まして、非常に戰災者と非戰災者との間に、經濟的な違いのますます助長されておりますことは、御承知の通りでございます。しかも昨年戰時補償特別税によりまして受取りました保險金も、五萬圓に打切られるというような次第でありまして、從いましてその反面におきまして、ある程度の戰災者に對する犠牲を負つていただいて、この間の不均衡を是正するというような措置が、何としても國民感情といたしまして必要なわけでございます。しかし御指摘のように、これは一種の特別財産税でありますので、先に行いました一般財産税とはある程度重複するということになつておるのであります。ただ財産税におきましては、四十萬世帶の人が大體において課税を受けたわけでありますが、それ以外の大部分の人は何ら財産税には關係がなかつたわけでありますのと、また一面に家屋建物及び動産の評價は、必ずしも重い負擔であつたというふうにも考えられないのでありまして、その後の情勢はむしろ、家屋動産に對する特別な擔税力があるとさえ言われておるような次第であります。また今囘の特別税におきましては、税率を賃貸價格の三倍というようなことにいたしております。前の財産税の最高税率が九割でございました。從つてあとの一割は、まだ餘裕があるということも言い得るわけでありますので、現在の税率ではもちろん一割にも五割にもなつていないような次第であります。ある程度の追加的な財産税、財産税の一種の補完税みたいな意味合いからいたしまして、今囘の非戰災者特別税を課税いたしましても、何ら差支えないものだというふうに考えておる次第でございます。 次に勤勞大衆の負擔輕減はよろしいが、現在の基礎控除の四千八百圓は低きに過ぎるのではないか。またこれは生計費の控除として、相當な生計費に必要なだけの額は控除すべきじやないかというようなお説につきましては、本年の根本的税制改正の場合におきましても、相當これが論議された次第でございます。しかし現在の税法のいき方に二つあるのでありまして、われわれは決して基礎控除を最低生活費という觀念から考えておるのではありません。あらゆる場合に何人も多少なりとも税金を負擔する、それによつて國に對するいろいろな責任感を強くして深めていただくというふうな考え方からして、國民全體が税金を納めていただくというような考え方で出發いたしておるわけであります。ただその際の基礎控除は、税負擔に累進性をもたせるというような考え方でいつておるわけであります。これは外國の例を見ましても、アメリカの基礎控除が年額五百ドルといふような點から考えましても、すべて最低生活費を基礎控除として控除するといふことは全然考えられていないのであります。ただいま申し上げましたように、負擔に累進性をもたせるということからいたしまして、その累進性をもたせるのにどの程度の金額がいいかということでございます。もちろんそのときそのときのいろいろな状況によつて、その控除の金額については考えなければならないわけでありまするが、すでに一面におきまして勤勞控除の引上げを行い、また扶養家族の控除を倍額に引上げるというような措置をいたしておりますので、現在の財政需要等もにらみ合わせまして、基礎控除につきましては据えおくということで、今囘は改正をいたしておらない次第でございます。
○宮幡委員 税制の根本問題につきましての質問は、一應この際保留させていただきまして、法案の内容につきましてちよつと十項目ばかり質問きせていただきます。途中で一つ二つで區切りますから、その都度お答えを願います。 第一に大藏省から要求いたしまして提供を受けました資料によりますと、各税ともに自然増收が大きく見積られておりますが、その根據をお示しを願いたいと存じます。 次にその同じ資料において拜見いたしますと、法人税は税制改革によりましての増收額が計上されていないのでありますが、超過所得の税率を引上げてある以上、改正によります増收は當然あるべきだと思いますが、この點はいかがでございましようか。それから所得税中に含まれている一時所得の徴收見込額はどれだけであるか。さらに一時所得の申告納税ということは、先ほど主税局長さんが言われましたように、道義の頽廢から考えまして、なかなか期待できないものだと思いますが、實際にこの一時所得を把握していきまする方法について、具體的にお考えになつている點をお示しを願いたい。一應この三つで切つておきます。
○前尾政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。自然増收が御承知のように四百六十億圓でございます。その根據につきましては、あとで資料を出して詳しく御説明を申し上げる方がいいかもわかりませんが、一應ごく大體のお話を申し上げてまいります。所得税につきましては、自然増收として二百六十八億圓という増收でございます。これは勤勞所得につきましても、大體當初豫算におきましては、千二百圓ベースで考えておつたのであります。最近千八百圓ベースということに相なつてまいりますと、當然源泉課税の自然増收が見込まれるわけでございます。また事業所得につきましても、最近の物價の改定によりまして、當然またこの所得の増加が豫想されるわけであります。二倍とかあるいは三倍というような價格になりました場合を想定いたしまして、推定をいたしているのわけでございます。また農業所得につきましても、米價の引上げが行われるわけでありますので、當初豫算に見積りました五百五十圓ベースではなしに、最近の千七百圓のベースによつて當然の自然増收が上つてまいるわけでございます。 次に法人税につきましては、最近のいろいろの情勢は御承知のように、昨年の増加所得税と匹敵いたしまして、増加所得税と同樣な状況がありまして、商法人に相當な所得がある。またそれに對して徹底した課税をいたしませんと、増加所得税との權衡が得られないという状況にありますことが、この最初の當初豫算を考えました昨年末ないし本年の初めごろの情勢以後に發見されたのであります。從いましてこれらの情勢を織り込みまして、四十二億という自然増收を出している次第であります。 次に酒税につきましては、これは自然増收としてはございません。すべて増税によつておりまして、むしろ最近の釀造の困難という點からいたしまして、自然の減收が出ている次第であります。すべてこれは増税によつて賄つておるのでございます。また砂糖消費税につきましては最近輸入糖が相當はいつてまいりまして、これが配給される。大體におきまして六萬トンが本年度内に配給されるという實情に照らし合わせまして、自然増收を見込んだ次第であります。また織物消費税につきましては、物價が大體最近二倍以上に上つておりますので、それらを考え合せまして自然増收を見ている次第であります。また物品税につきましても、物價の改訂が二倍ないし三倍というような状況にあるのであります。最近の實際にはいつてきます物品税の増額等も參考といたしまして、推定いたしておる次第でございます。次に入場税につきましては、入場料金が倍程度に引上げになつておるのであります。それらを考えて自然増收として見込んでおるのであります。なおこまかい質問がありましたならば、あとでお答えをすることにいたしまして、自然増收の根擔についてはその程度に止めます。 次に法人税の改正によります増税額を出していないではないかというようなお話でございます。これは所得が留保されましたときに初めて課税に加算をいたすことができるのであります。ただ商法人等におきましては、たいてい社外に流出しているのであります。これが特に、この五%の改正によつて増收をここに見つもる程度の額が、あまり豫想されませんので、これは一應豫算には計上いたしていないのであります。 次に、一時所得の税收についての見込みがないではないかという點につきましては、これまた來年一月後の一時所得に對して課税をいたすことにいたしているのでございます。從いまして、それが來年度の申告に載つてくるのでございます。ただいまのところ今囘の追加豫算には租税收入は見込み得ないということになりますので、見込んでいないのであります。ただ、ただいまから改正いたしておきませんと、次の通常議會では一月一日以後になつてから、遡つて課税するというような措置をとらなければならぬということになりましては、あまりおもしろくないというような意味合いからいたしまして、今囘の追加豫算のこの機會に訂正をいたしているわけでございます。ただ現在一時所得の改正といたしまして、一時所得を原則として課税するということは、理論的には相當重要な問題であるように考えるのでありますが、すでに一時所得は戰時中にも勤勞所得であります退職所得、あるいは臨時配當所得、また清算取引所得というようなものに課税をいたしまいつたのであります。また本年の不動産、船舶に對する讓渡所得という、一時の所得を課税の範圍に取こんでまいつたのであります。大半の一時所得は現在の現行法で目的を達せられている次第でございますが、ただ問題としてこの非課税所得に、營利でない場合の一時所得をすべて課税しないという建前にいたしておきますのでは、たとえば一囘限りの素人のやりました大きな清算取引所得というようなものを脱するような場合もございます。また買溜め品等で相當量賣りまして、それが一時の所得として多額の利益を得たというような場合も、これから税法上課税し得ないという建前でありますのは、いかにも適當でないように考えているのであります。殊にインフレーシヨン過程におきますいろいろな現象が一應取こまれる。その中から死亡しました際の保險金であるとか、あるいは傷害保險金、あるいは贈與等、はずすべき必要のありますものははつきり税法上からはずす。また殊に公債、社債の償還債券というようなものにつきましては、當分のうち課税をしないという建前にいたしておりますので、この税法の原則が轉換されましても、ただいま申し上げたようなかなりきわ立つた場合に課税を逃すというおそれがあるだけでありますので、その點はむしろ從來の課税より、一段と適正に課税を徹底することができるというような考え方であるわけであります。もちろんこれを一々非常に嚴格な意味で調査するというようなことは不可能でありまして、ただいま申し上げたような場合に、特にそういうような調査をするというような行き方でいけば、また申告納税でありますので、もちろん納税者は申告していかなければならぬということから考えて、これのためにさして大きな變動が、實際上起るというふうには考えていないのであります。
○宮幡委員 大藏大臣の御出席があるようでありますから、この際課税の點について大藏大臣に質問をしたいと思います。從來税務行政というものにつきましては、法律や政令の面よりも、むしろ大藏省の事務内規という面で運用が續けられておつたのが實體であります。法律に明記してないことを、事務内規で國民大衆に適用してまいつた。それがためにあらゆる疑問と摩擦がそこに生じまして、税務行政上遺憾な點が多々あつたのでありますが、今囘の所得税法の一部を改正する等の法律案において、第十五條中の改正を行つております。それは給與所得または退職所得を有する者が二人以上ある場合には、各人から四千八百圓ずつの基礎控除をいたすとの改正であります。これはこの法律の改正法ができない以前に、本年四月の豫定申告から税務署は實際に行つてきております。法律のない前にこれを行つたということは、明らかに法律の缺陷でありまして、これを何ら法律の根據なくして先端の税務行政機關において行つたということは、いわゆる大藏省が事務内規によつて税の操作をしてきた適切な例であると思います。かようなことは今後のいわゆる高率課税に進まんとする、あるいは健全財政に驀進していこうとする税務行政の問題として、はなはだ間違つておると私は考えます。よろしく從來の大藏省の内規によつて操作してまいりましたいわゆる秘密行政の面を、國民大衆の眼前に明示して、そして納得のできる完全納税を實施せしむべきであると考えますが、これに對する大藏大臣の御意見を伺いたいと思います。
○栗栖國務大臣 お答えします。舊憲法下におきましては、大藏省のみならず、各省においても事務内規等の内規行政がずいぶん行われておつたと思うのであります。新憲法においてはそういうようなことはもちろん避け、廣く國會の御承認を得て、法律によつて大綱をきめていただき、それをもつて運營その他について、あるいはその範圍において指圖をする、指令を出すとかいうようにいたすことは明らかなことでございまして、實は先ほどお話の四月の問題は前内閣のことでございます。私その當時税制の委員もいたしておりまして、多少は關係しておつたのでありまするが、税制委員のときから申しましても非常な忙しさであつて、ほとんどこまかいところまでも手が届かぬというようなことで、おそらく前内閣の前大臣はやむを得ない事情で指令を出されてやられたのだと思うのでありますが、われわれといたしましては、殊に新憲法下におきましてはそういうようなことは極力避けて、しかも今後の税制改革においては、豫定申告制をとつたのであります。これをほんとうに運營していくならば、これは民主的な制度であります。高壓的に査定をして税をおつかぶせるというような古い考えは拔き去る精神でございます。この精神によりまして、國民には十分その精神を浸透して、脱税等にこれを使われないようにいたしまするとともに、政府としては、この高壓的な課税というような無理なことは、極力避けたいと思うのであります。今後いろいろ大藏省關係の運營につきましては、この政令その他によるというようなことは、憲法あるいは國會法その他の定めるところにより極力避けまして、法律という一手で、そうして各位の御承認を得て運營していく、こういうようにいたすつもりでございます。單に財政の面のみならず、金融の面におきましても、何かの機會をとらえまして、あるいは法律の場合には、十分この事情を申し上げて御承認を得ることといたし、また金融の措置などにつきましても、機會があれば十分御説明をして、國會の要望しておられるところを、政治の面に反映いたしていきたいと思う次第ございます。
○宮幡委員 ただいま大藏大臣の御説明によりますと、この十五條の改正の事務内規でやつてまいつたことは、前内閣のときであるというようなお話でございましたが、本年の四月豫定申告は六月に行われておりまして、當時は前内閣の時代ではなかつたのであります。しかも指令が到達いたしましたのは六月の末に近いころでありまして、明らかに前内閣のやつたことでないことを、私ははつきりここで申し上げておきます。 次にもう一つ大藏大臣にお伺いいたします。それは物品税に對する根本的の問題でありますが、先ほど政府委員からも説明がありました自然増收の見積り方も、物價が上々というようなことが中心となつておるようでありまして、現在はマル公とやみ價格とが混亂してうずまきを巻いております經濟事情のもとに、物品税においていわゆる從價課税ということは不適當だと考えます。元來がマル公で賣ればその何割、やみで賣つてもその何割ということは、賣つた價格によつて課税の重點が置かれるわけでありまして、業者は一般にその販賣價格がやみであれば、經濟防犯上これを隱そうと努めます。しかして税務署の方はマル公には變らない。實際の價格によつて課税するのだということで、これを強く追究いたしてまいりまして、實際は物品税の徴收高を減少せしめるような状態になつておりまして、ことさら今後これが推進いたしますると、非常な磨擦を起すものだと存じます。よつてこの際物品税は、いわゆる重量價格の一本建として、從價課税主義を廢止すべきだと考えておりますが、大藏大臣の御意見を伺います。
○栗栖國務大臣 物品税その他税制全般にわたつての見方というものを、今後どういうようにするかという問題は、これは私もいま御意見もありますし、そのほかの點においても、いろいろ考えるところがあるのでございます。それは二十三年度その他についても、事情の許す限り財政需要とにらみ合わして實現していきたいと思います。しかしただいまのごとくこの追加豫算において、經濟のインフレが非常に進んできた現在において、しかも本豫算に對する追加豫算の形によつて、財政需要等の非常な大きな金額に達しておるものとにらみ合わせまして、そうして今囘の物品税についての措置をとつたような次第でございます。これは今囘のやむを得ない財政その他の需要によつてとつたということで、御了承を願いたいと思うのであります。根本の問題につきましては、來年度の豫算編成その他について、十分税制についても新しい日本の産業開發、民生安定というような面からもにらみ合わせて、この改革その他をもいたしたいと考えておる次第でございます。
○宮幡委員 ただいま大藏大臣の御答辯は、私の質問のしかたが悪かつたかと存じますが、その趣意にいささか副わないものだと存じます。要は現在の緊急差迫りました財政需要に應ぜられるための税制改革であり、追加豫算であるということは、とくと了承してのことであります。それがために物品税を平らけく、安らけく、ほんとうに國民が納得して納められる方法をとる用意がないかという質問であります。それが從價課税であつては、おそらくこの豫算だけを確保することが困難であると私個人は考えておる。これを從量課税にいたしますならば、自然増收はより以上増加することは火を見るより明らかであります。財政需要が緊迫しておるからこれでやむを得ないという御趣旨ならば、私の質問とはまつたく反對の方向へ大藏大臣の觀念が走つておると思います。私は財政收入をより以上増大せしめるものだと存じますが、失體ながら、重ねてお答えをいただきたいと存じます。
○前尾政府委員 便宜私からお答え申し上げます。ただいま税の中に從量課税のものがあることは、お話の通りであります。もちろんこういうような經濟變動のはげしい場合におきましては、非例税率によります從價課税に直すことも、從來いろいろ研究いたしておるのでありますが、現在ありますものはマツチ、サツカリシ、ズルチン、蜂蜜等でございまして、みな特殊なものであります。その際に、また今囘も相當大幅の税率の引上げをいたしておるような次第でありまして、毎囘甘味料に對する課税というようなものは、むしろ常にその都度相當大幅の引上げをするというような實情にあります。またマツチにつきましては、これはもつと社會政策的に考えるべき税でありますので、最近御承知のようにマツチの公定價格が一圓十錢ということにも相なつておるのでありますが、それをそのまま比例税率をかけていくということにつきましても、いささか疑問があります。われわれは將來の問題としてなお研究いたしますものの、一應今囘の豫算につきましては、從來の方式を改め得なかつた次第であります。先ほどお話の十五條の改正につきましては、これはこの三月の議會にかけました税法の際に、すでにこの取扱いでいいものだというふうに考えておつたのでありますが、新憲法施行後におきましては、やはりこういうものは法律にしておくべきものという結論になりましたので、今囘これを法律に規定することにいたした次第であります。
○宮幡委員 時間の關係もありますので、政府委員に對します質問は他日に保留いたしまして、大藏大臣に對します質疑はこれで打切ります。
○島田委員長代理 中崎君。
○中崎委員 大藏大臣に對して質問したいと思いますが、最初ちよつと一言申し上げたいと思うことがあるのです。それはすでに豫算案は衆議院を通過してまいつたわけでありますが、それにもかかわらず、その半面をなすところの今囘の税制改正案が、本院に提案が非常に遲れまして、會期いくらも殘つていないというような關係上、この重要法案の審議について、とかくわれわれは十分に審議が盡し得ないという憾みがあるわけであります。これは單に税制案に限らず、とかく會期の迫つた今日において、なおかつ相當の法案が提出されることを豫想しておるわけでありますが、こういうようなことでは、せつかく十分にわれわれに付託された議案の審議というものが盡し得ない憾みがありますので、今後においては格段の努力を用いられまして、法案ができるだけ適切な機會において提案されることを、御努力願いたいと思うわけでございます。 續いて質問申し上げるわけでありますが、時間の關係上、きわめて簡單に申し上げたいと思うのであります。最初一般問題について質問したいと思いますが、來年度の豫算の編成の基本方針をどういうふうに立てておられるかをお尋ねしたいと思います。
○栗栖國務大臣 その最初の御注意に對して一言述べさせていただきます。追加豫算もたいへん遲れまして——これも大部分において、その筋等の關係において非常に遲れたのでありましたが、まことに恐縮している次第であります。なおそれと同時に提出すべきこの税法の改正法律案が、さらに數日の遲れを見たことであります。これも實は政府といたしましても非常な努力をいたした次第でございますが、その筋との關係、その筋内部の關係におきましてなお數日遲れまして、まことに恐縮に存ずる次第であります。來年度の豫算等につきましては、十分事前に連絡もとりたい。そうしてかようなことのないように注意する次第であります。それから二十三年度の豫算の基本方針についてのお尋ねであります。私は今日までの豫算方針がどういうふうになつてきたかということよりも、今後はこの國會と十分なる連絡をとるという必要がございます。そうしてこの二十三年度の豫算は、先般豫算委員會で申し上げたように、來月中すなわち本年末までに提出はむづかしかろうと思うのであります。できれば一月末までに休みをもぶつ通してぜひ提出するようにいたしたい。こういうお答えをしておるのであります。それにつきましても、なお豫算委員會の方及び財政金融委員會の方ではそれぞれ關係をもつものでございますから、隨時連絡をいたしまして、十分御意見その他を、案をつくりつつも反映し、そうして一緒にその筋との關係をもやつていきたい。かように考える次第でございまして、そういうような扱い方をいたしたいと思つております。それで案をつくりましてごらんに入れて、つくるときにすでに御相談もしていきたい。そうしませんと、その筋との關係等におきましても、十分日本の意思が反映しない點もあると思いますので、そういうふうにいたしたいと思います。それから二十三年度の豫算方針でありますが、これにつきましては、今囘の追加豫算はすでに申し上げましたように本豫算のインフレによる物價高、人件費、こういうような方面に相當大きなものが食われまして、追加豫算の性質上、片山内閣としてのいろいろ根本の政策等を、十分伸ばすことができなかつた點も多々あるのであります。しかし二十三年度は、この内閣がさらに初めから豫算を編成する積りでございますから、そこで編成方針としては、この内閣の特質、政策を十分表わすようにいたしたい。まずこう考える次第でございます。それから追加豫算でもすでに考えたことでありますが、十分力を入れることができなかつたのであります。そういうことになりますと、どうしても二十三年度の豫算というものは、やはり再生産、このインフレを切拔けるには、通貨の壓縮ということも大事でございますが、もつと進んでは再生産ということをやらないと、これは切拔けられぬのであります。そこで再生産、それと同時に國民生活の安定、こういう二つの面に相當重點をおきまして、考えたいと思うのであります。それから來年度におきましては、私どもが期待いたしておりますところによると、講和條約もできまして、終戰處理費その他についても相當減少すると思うのであります。なお一面においては、賠償撤去費等あるいはこれは相當大きくなるとも思います。しかし全體を通じまして、そういうような面に使う資金は、減少するのではないかと思つております。そうしますと、そういう面の資金よりも再生産、民生安定というようなところに重點をおいた豫算を、ひとつ盛りたいと思うのであります。それと同時にいまひとつは、講和條約その他によりまして、日本が國際社會の一員になると思うのであります。そうすれば國際經濟の中にもはいる得ることを期待いたしておるのであります。そういうことになりますと、日本は必要なる生産をする。そのためには設備よりも今資材原料が非常にないのでございます。これを國民の勤勞によりまして、極力そういうものを輸入し、そういうものを生産をして、また一層輸出に向ける。こういうようにして國際關係を密接にする。貿易を盛んにし、そうしてこの日本のインフレを切拔けるということが、これはどうしても一面においてはせなければならぬと思います。そういう面におきましても、一連の政策それに要する經費その他をも、さらにそういう面を考えまして、そうして豫算の中に盛りたいと思うのであります。かように二十三年度の豫算については、根本が再生産、民生安定、國際經濟、貿易とかそういう點に重點を置きまして、それと同時に課税その他の國民負擔ということを考えまして、こういうような情勢がよほど變つてまいつたのでありますから、それに副うように根本的の租税負擔の均衡、公平というようなことを考えていきたいと思うのであります。なお國費が非常に膨脹するということもありますが、これは日本の行政機構の改革ということが、單に内務省とか司法省だけに止まらないで進んでいくと思うのであります。そういう面から考えますと、どうしても行政改革に伴う行政整理ということも行われると思うのであります。これは各種の企業がやはり戰時中厖大な未稼働設備をもち、未稼働人員をもつておるということに對して、そういうものが企業再建整備と、經濟力の集中排除等によつて整理されていくのと同じような見合いによつて整理されていくと思うのであります。この整理をするということは、日本の危機を切拔けて、經濟を建直す大きな要素である、段階であると思うのであります。そういうようなことをいたします場合に、むろん配置轉換、その他の方法をいたしまして、一方においては人員の整理ということも出ると思うのであります。しかしそういうものを單に失業政策——失業手當というような消極的な面で受けていくということでなしに、すぐ餘つた人員を生産の面にもつていくというようにつながなければならぬと思うのであります。それには日本の將來は貿易向きの工業とか、あるいは中小工業その他に相當人員の整理をもつていかなくちやならぬ。受入態勢を整えて、單に消極面でなく、積極的な生産面でそれを切りかえるように努めまして整理をやつていきたいと思います。整理がこの豫算面に大きな現われをすると思うのであります。大體そういうような考え方をもつて今内閣でも檢討をいたしておるのでございます。國會に対しても豫算の關係あるいは財政金融の關係の連絡をとりまして、相互にひとつ御協力を願つて、りつぱなものをつくりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○中崎委員 豫算の編成とインフレとは密接な關係があるわけであります。たとえばインフレがどの程度進行するか、さらにあるいはやり方によつてはデフレ化するという場合も考えられるわけであります。こういう方面に重要な關係をもつ豫算とインフレとの關係について、今後インフレはどの程度に進行するものであるか、あるいはどの程度において止められるものであるかというふうな、大體の見透しについてお伺いいたします。
○栗栖國務大臣 なかなかむずかしい問題でございますが、私どもはやはりインフレにつきましては、通貨の増發を壓縮する、こういう面と、一つは生産を増強する、そうして通貨に對して物の裏づけをする、こういう面と二つから考えなければいかぬと思うのであります。通貨の收縮をするという面は、申すまでもなしに財政の面では經費を節約するということがあるのであります。他方金融の面ではむだな資金放出、好ましからざる消費に向うような資金放出を抑える、こういうふうな面があるわけであります。また地方の財政の赤字をなくするための操作、こういうものも關係をもつわけであります。そういうようなものをもつ一方においては生産を増強する。それがためには先ほども申しました國内の隱れたる資材等をみな動員して生産へ向わす。それと同時に海外から資材その他を輸入して生産をする。こういう二つの面をやつていかなければいかぬ。それには日の本經濟體制、すべての體制を、ほとんど國民が一體となつて、今までのような形でなしに十分刷新した、あるいは氣持をかえた形でいかなければいかぬと思うのであります。そういうようなことがかりにできると假定しますと、これはやらなければならぬわけですが、日本のデフレというものは——豫言者でないので非常に困るわけでありますが、そういうような政策で生産が向うということは、この二十三年度の中については相當の效果を現わすと思うのであります。そうしてそれまでにはなお通質は相當増發をたどつていくのではないかと思います。しかし講和條約もでき、國際の社會の中に日本が一員としてはいつて、交通が相當十分になるということになるならば、あるいは明後年くらいは相當顯著に、財政上の資金なども生産その他にまわすことができますから、相當の見直しをしてくると思うのであります。私といたしましては、通貨の増發その他を、國民の生活を、最低生活ではありますけれども維持する程度に押えて、維持は必ずするけれども、それを放漫にはしないという點で押えて、來年度もじつと辛抱してまいる。そうして再來年度ぐらいに相當光明を認めることができるのではないか。こういうように考えるわけであります。そういうものについては、來年度の豫算と一體をなして、日本經濟再建の五箇年計畫、三箇年計畫というものを立てなければならぬので、今政府としてもそれを準備しておるわけであります。そうしてその線に向つて國民に光明を與えるとともに目じるしを與えて、強くみんな引張つていく。こういうことでないといかぬと思うのであります。豫言者でないので、はなはだ要領を得ませんけれども、そういうような考えをもつてぜひ進みたいと思つておる次第であります。
○中崎委員 たばいま大藏大臣の御説明の中にありましたように、大體再來年度あたりから光明が認められるというふうなお話でありますが、大體の傾向としては私も同じような氣持をもつておるわけであります。ただ今後の見透しにおいて、一面インフレがだんだん激化するといふ樣相も考えられるわけでありますが、また一面考えてみると、金融財政の面において、デフレ的傾向が現われておるのではないかと思うわけであります。一面國民大衆の購買力はすでに非常に行詰つておる現状において、品物の賣行きも何だか鈍つてきておるといふ形があると同時に、一面また政府の支拂を通じて非常に遲れておるといふことが金融を梗塞せしめ、さらに一般經濟界に沈滯的傾向をもつておるということがうかがわれるわけであります。さらにまた資金の貸出の面においても、いわゆる健全財政の建前から、自由預金のわく内において融資をされるというふうな局限された貸出の面において、相當事業界において金融難に行詰つておる。ただ景氣のいいのは、國家と國民の犠牲において、たくさんの金をとつておる石炭業者くらいなものではないかというふうにさえ考えておるわけであります。こういう面において、一面財政金融的な面から、相當にデフレ的傾向が現われておる。現在はいわばインフレとデフレの交換局ではないかというふうにさえ考えておるわけであります。それで私の考え方としましては、まずインフレの高進はある程度で當然とまるわけでありますが、そのインフレの後においては必ずデフレがあり、そのデフレの後において、初めて經濟界といふものが囘復するものだというふうに考えておるわけでありますが、大藏大臣はどういうふうに考えておられますか。
○栗栖國務大臣 このインフレ傾向を押えるために、一般的な問題としてデフレをとる。デフレ政策をとつて、非常に困難なところに行きますけれども、それからそのデフレ政策は效果を現わしまして、立直りになるといふことはお説の通りであります。ちようど一九三三年のアメリカにおけるパニツクにおきましても、それに相前後するドイツ、フランス、殊にフラン貨が動搖しておりました十二三年前のフランス——現在でもそうだと思いますが、まつたくそういうような状態であつたと思うのであります。 しかし今日本の状態は、金融のお話もあり、デフレというお話も、まことに今の現状をそのまま急所を突いたような鑿話がありましたので、この際に少し申し上げておきたいと思うのであります。 それは今資金はあるいは千七百億というように放出されておりますけれども、その資金のあり方がまつたくたんす預金である場合は別でありますが、消費、つまりやみとかその他の面において相當集まつておるのであります。そうして生産の面にその資金があまり行つておらぬ。こういう現状にあるのであります。これは一年前とよほど違つておると思います。そこでその流通秩序を確立するという點におきましては、そのやみその他の好ましからざる消費面に、資金が多く偏つておることを是正しなければならぬと思うのであります。これは物價政策その他と相呼應して、金融財政政策でそれをしなければいかぬと思うのであります。生産の面ではまさにデフレ状態であると思うのであります。それは生産に必要なる資金というものがまわつておらぬ。こういう點であります。これはこういうような特殊事情があるのであります。自由預金の増に對して、純増の半分ぐらいを産業資金として實は割當てておるのであります。しかしながらこの四半期も前四半期も、實際を見ますと、半分を使い切つておらぬのであります。これはどういう現象かということを穿鑿しますと、企業その他の面においても、あるいは電氣とか動力の不十分、あるいは原材料の不十分、あるいは繼續的にいつておらぬというために、生産が十分行われておらぬという點があるのであります。一方においては企業再建整備とか、經濟力集中排除というようなものを假定におきまして、その企業が十分の信用をもてない、どうなるかわからぬというので、市中銀行その他ではそれに資金を貸渡すことを躊躇しておるわけであります。そこでどうするかというと、いわゆるわくを保存して、それだけの餘つた資金は日銀の方に返濟をしておるというのが多いのであります。そこでそういう今まで市中銀行から流れておつた資金が十分まわつておらぬという點で、なおデレフ的の傾向をもつておるのであります。それと同時に一方では、政府の支拂等が遲延しております。これは終戰處理費の支拂も相當ございます。つまり土建その他に對するものであります。それから他方においては貿易關係の資金の支拂が相當遲れておるのであります。これはこの拂うべきものは拂わせまして、そうして多くはみな金融機關から借入れをいたしておりますので、一旦金融機關に返濟をする。それは必ず返濟するような記名的な小切手なども出してもいいと思います。金融機關は返濟されたならば、また信用において、その中から新たな貸しを事業者にするというようにすれば、運轉できると思うのであります。これはぜひいたしたいと思います。殊に年末も控えておりますので、この年末までには豫算も成立しますから、支拂を促進したいと思います。しかし拂いますけれども、それがかりにも好ましくない消費の面に行かないように、先ほども申しましたように、金融機關にすぐ振こんでするというような手を打ちたいと思つております。これは年末資金の相當枯渇しておるものも緩和するという働きももたしたいと思うのであります。それから先ほども市中銀行が多く貸出さないということでありますが、これはいろいろな原因もありますけれども、復金の補償その他によつてその資金を使いましても、復金が補償して損があればかぶるというような方法によつても、相當その資金をまわすようにいたしたいと今努力をいたしております。 それからなお復金債を市中銀行に引受けてもらい、また地方銀行等に引受けてもらいまして、間接的にその手取金で復金が直接貸すということもいたしてみたいと思います。殊に中小工業に對する面などは、商工組合中央金庫が復金の代理貸しをしておるのでありますが、この範圍をもつと擴大いたしまして、今は組合にしか貸出をいたしておりませんが、それを組合以外の個人にも直接貸出ができるようにいたしまして、疎通をはかりたいと思つております。
○中崎委員 インフレは國民の生活には非常に苦痛でありますけれども、このインフレの苦痛をなめながら、さらにまたデフレの苦痛をなめて初めて光明が見出されるものとするならば、日本の現在の段階においてまず第一に考えなければならぬことは、できるだけインフレを促進させないこと。またその後においてデフレの道程をたどつて經濟が常態に復するということになるものだとするならば、まず日本は封鎖經濟でありまして、物の生産をいくら國内的に努力してみても、そう簡單にはできるものではない。またインフレの進行のときにおいては、物の生産を起そうと思つてもできない。何となれば物をつくらないで物の買占め、あるいは賣惜みをしているところに、自然に金錢的な利益を得られるような錯覺をもつというような關係もありまして、インフレの進行過程においては、生産の増強は期待し得ないということを考えてみますと、眞に物の生産し得る状態になつたときに、初めてインフレというものは食止められるのだ。それはどんなときであるかというと企業の整備とか、財政の緊縮とか、さらにまた先ほど申しましたように、封鎖經濟が取除かれまして、貿易の自由が囘復して、必要物資が外國から輸入されるときにおいてのみ、初めてインフレというものは食止められてくるのではないかと考えるわけであります。そうすれば現在とるべき方策というものは、できるだけインフレを食止めることにありとするならば、財政あるいは金融の面において、これを引締めていくということはやむを得ない政策ではないかと思うのであります。言いかえますと、放漫な貸出あるいは財政支出をやることによりましてインフレをどしどしあふつていくことは、それだけ現在の状態よりも國民が苦しむ。それだけひどくいつたときにインフレから元の状態に復する段階は非常に大きい。それだけ苦しむ程度が多いと考えられますので、できるだけインフレを食止めて、デフレにかえる期間を短かくするいう意味において、ただ眼の前に見れば一時不景氣だ、デフレだというふうに考えて苦痛を感じても、その程度が結果においてきわめて少く濟むのではないか。こういう意味において財政の支出あるいは金融の面においても、できる限りの緊縮をやつていかれることが必要ではないか。ただここにおいて懸念されることは、今後貿易の再開も期待され、ある程度自由の貿易がなし得るというときになるまで、國内の企業體制を整えていくという意味においての貸出なり、あるいは財政支出ということを考えられた方が、一番いいのではないかというふうに考えておるわけでありますが、この點についてどういうお考えか承りたいと思います。
○栗栖國務大臣 お答えをいたします。私の申そうと思うことを先に申されて答えも出たと思うのであります。實は御説の通りこのインフレについては、通貨面においてそれを壓縮するということについては、中央の豫算、地方の豫算及び金融面、それと同時にその反面には納税の完遂と貯蓄の増強という面がございます。そういう面を併せ行い、格段の努力をいたしましてその實を上げたいと思うのでございます。それからそれはそういう面においてはデフレの性質、傾向をもつたのでありますが、それと同時にデフレの期間が非常に長くては困るということは御説の通りであります。そこで企業の再建整備、經濟力の集中排除等は、國民は速やかになるべく短い期間においてこれを完遂いたしまして、また行政機構の改革に伴う諸整理も速やかにいたしまして、過剩な人員その他を、中小工業あるいは貿易産業等の生産面に極力配置する。それと同時に企業再建整備、行政機構の改革等によつて整理を敢行しまして、そのあとはそれを生産的施策に十分に振向けてこの危機を乘切る。そうして生産増強という面において光明を認めて坂を登つていく、こういうことでないといかぬと思うのであります。それには為替問題とか、あるいはクレジツトの問題というような、そういう時期になると光明を認め得る問題も、直接に皆樣の御協力を得、また御相談をしてきめていくというふうになると思うのでございます。そうしてそれも二十三年中にはその緒につかしたいと考えておる次第でございます。
○中崎委員 今度は本論にはいりまして租税體系の問題についてお尋ねします。所得税を中心にして租税體系を立てておられることについては當然のことと思うのでありまして、ただ現在のごとく經濟界の變動のはなはだしいときにおきましては、所得税中心のほかに、各方面から税源を捕捉する必要があると思うのであります。そういう意味においてできるだけ各面における税網を設けて、各方面からこれを捕捉することが必要ではないかと思います。私はこの前の九十二議會において石橋大藏大臣に對して、名目的の財産税を新しく設ける考えはないかということを質問したときに、石橋大藏大臣は、この問題についてあまり研究しておられないために、いずれこの問題については研究してみようというふうなこともあつたわけであります。最近の參議院の公聽會においてもこういう問題が取上げられていたように思いますが、今日においてやはり名目的な財産税をとることが、收入あるいは各人の經濟が著しく變動して、その實態をつかみ得ないのを補完する意味において必要ではないかと考えられております。今後においてもこれは經常的にこの制度を設けられて、所得と財産の兩方の面から、各個人の内容を調べて、公平に負擔を課していくことが必要ではないかと思いますが、これについて御意見を承りたいと思います。
○栗栖國務大臣 お答えいたします。今の名目的の財産税でありますが、これはアメリカで地方税とかというような形で行われておるのでありまして、相當の効果をあげておるのであります。この問題はしかしいろいろ考えなければならぬ。昨年行いました財産税というものは、あれは私どもで言うならば異例、特別な財産税であつて、今のお話の名目的の財産税というものがむしろ本式の財産税と言つてもいいかもしらぬと思います。しかし國民の多數の間に、あの特別な財産税をもつて全部の財産税というように、かりにも誤解をされるようなことがありますと、この名目的の財産税その他を取上げるということが、さらに別途な意味におきましてインフレーシヨンを激化するような、心理的作用をしてもいかぬと思うのであります。そこで政府といたしましては、實は私も個人としてはいろいろ研究もいたしておりますけれども、この際はそういうようなものは取上げないで、とにかく今の體系でいく。こういうように考えたいと思うのであります。
○中崎委員 まだまだ質問は大分あるのですが、いずれ時間等については理事會で協議したいと思います。
○島田委員長代理 塚田君。
○塚田委員 時間が經過いたしておりますので、恐縮でございますが、ごく簡單に一點大藏大臣にお尋ねいたしたいと思います。それは追加豫算に對してさらに追加豫算が出るのじやないかという懸念をもつておるわけであります。同僚の豫算委員會の委員の連中に聽きましても、何か大藏當局にも、すでにそういう具體的な御考慮になつておるものが二、三あるというようにも聞いております。また今日の經濟界の見透しを考えましても、おそらく今度の追加豫算では濟まぬのじやないかというような感じが、私どもにもせぬでもないのであります。大藏當局は現在それらの點についてどういう見透しをもつておられるか。さらにかりに追加豫算の見透しがあるとした場合に、税源をどこに求められるかということ、この點についてお答え願いたいのであります。
○栗栖國務大臣 さらに追加豫算を出す豫定かどうかというお尋ねでございます。この點はすでに本會議において追加豫算を提案いたしましたときの私の説明にも、一言言及しておいたのでありますが、實はこの數百億というような大きな追加豫算を今後出すということは、政府として豫定しておらぬのであります。またそれは極力避けるということにいたしておる次第であります。しかし實際を申しますと司法省の解體によつて法務廳ができるわけでございます。その豫算であるとか、あるいは内務省の解體によつて、建設院あるいは建設省、その他いろいろなものが出てくるということになりますと、若干の豫算をとると思うのであります。それから豫算の委員會でも非常に御希望があり、かつまた國會においても非常な御希望がありました公共事業費のうちの災害對策、旱害對策、六・三制の殘りの問題、それから最近は中勞委の裁定によります官吏の一時手當の問題でございます。かような問題につきましては、若干の追加豫算を出したいと考えておる次第でございます。しかしいずれもこの財源といたしましては、租税收入あるいは豫備金とかその他の確實な收入をもつて見合わすということにいたしまして、公債發行によるというようなことはいたさぬわけでございます。そこでこの六・三制、あるいは災害封策、あるいは旱害の費用、あるいは一時手當というようなものも、その收入の面において適當に割振るということにいたしまして、いくら計上するということは今考慮中でございまして、まだはつきりきまつておりませんのでございます。こういうものを公債で補うということは、これは現下の諸事情から言うと、とうていできないということをちよつとここで申し上げておきたい。それは實は本年度のうちにはまだ前内閣によつてきまつております建設工事の方の、鐵道と通信事業特別會計の公債發行があるわけでございます。これは大體市場の自由預金の純増の中の半分くらいを財政資金に振向けまして、そのうちからこの公債を引受けて市場消化で、そうして日銀の引受というような通貨増發をしないでやつていく方針をきめて、すでに九月、十月と實行いたしておるような次第でございます。そうしますと、そのほかに復興金融債券というものもそういう面でやることに改めておりますので、もうそれだけで今年度は、公債を發行して市場で消化するという餘地はないだろうと思うのであります。そうしないと産業資金を壓迫しまして、これまた復興その他のためにも困ることにもなります。そうしますとどうしても、公債の手どりをもつてこれを賄うというようなことでなしに、先ほど申しました公共事業費とか一時手當その他というものは、一般收入をもつてこれを賄わなければいかぬ、かように考えていろいろ制約も出てくるわけだと思うのでございます
○塚田委員 その場合に、收入を得るために、たとえば新しき税を、また率を上げるとかいうようなことは今お考えになつておらぬ。今の御説明でさように伺いましたが、それに間違いありませんか。
○栗栖國務大臣 ちよつとお答えしておきます。一般收入をどういうふうにとるかということは、今研究中でございます。考究をしておりまして、まだはつきりそこまでつかめておらぬわけでございます。ただ私は健全というような點を考えまして、とれもしないものを計上するということは避けたいと思つて、今見積つておる次第でございます。もう少しお待ち願いたいと思います。
○川合委員 私は大臣に對する質問を留保しておきますから、それに關連する資料としまして、これは大臣にお聽き願つて資料をつくつていただきたいと思います。それは擔税力を調べる意味において、國民所得、これは英國の財政白書というような、ああいう詳細なものでなくてもいいと思いますから、國民所得に對する調査を、昭和十一年と本年度によつて分けて出していただきたい。それから同時に、國税と地方税との關係を調べる意味におきまして、東京都の地方税をお調べ願いたい。もう一つ、政府の資金の未拂が相當たまつておると思いますので、最近の事實によつて、その未拂分を省別あるいは合計別に御調査を願いたい。また同時に十二月中に政府資金がどの程度、どの方面に支拂われているかというようなことについての資料をいただきたい。これをお願いしておきます。
○島田委員長代理 それでは本日はこの程度で散會いたします。 午後一時二十一分散會