財政及び金融委員会 第36号
- 発言数
- 29 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1947/11/18
会議録
○島田委員長代理 會議を開きます。 金融機關再建整備法の一部を改正する法律案に對する質疑は全部終了いたしましたので、これより討議採決にはいります。
○中崎委員 本法律案に對しましては、討論を用いずしてただちに採決に入られんことをお願いいたします。
○島田委員長代理 ただいま中崎委員から、本案に對する討論を省略いたしましてただちに採決にはいりたいという動議がありましたが、いかがいたしましようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○島田委員長代理 では討論を省略いたしましてこれより採決に入ります。 本案に賛成の諸君は起立を願います。 〔總員起立〕
○島田委員長代理 起立總員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。 —————————————
○島田委員長代理 次に請願の審査にはいりたいと存じます。 日程第一〇、ミシン及びミシン針に對する物品税率輕減の請願、文書表第三〇九號、日程第九、時計類に對する物品税率輕減の請願、文書表第三〇八號、日程第八、樂器、蓄音器類に對する物品税率輕減の請願、文書表第二二四號、この三つの請願は先般すでに紹介者から説明されておりまするが、これに對しまして政府當局から意見がまいつております。ミシン及びミシン針に對する物品税率輕減の請願につきまして、紹介議員赤松勇君に對しまする當局の意見といたしまして次のようにまいつております。「御趣旨は充分了承されるのであるが、ミシン及びミシン針に對する物品税の税率は、百分の三十であつて、他の物品に比し必ずしも高率に失するとも考えられない。又本品に對する課税によつて著しく需要を制約しているとも思われないから、税率の引下げは、ただちに税收に影響を及ぼし減收を來す虞れもあり、かつ、他の課税物品と別個に、本品のみの税率引下げは、課税の權衡を失する虞れもあるから、今ただちに課税の輕減を圖ることは困難である。」という意見であり、また時計類に對しましては、同じく紹介議員赤松勇君でありまするが、これに對する意見は、「時計が文化的生活には必要品であることは認められるが、現行物品税の課税がただちに企業の再建を阻害しているとも思われない。よつて税率の引下げは、ただちに税收に影響を及ぼし、減收を來す虞れもあり、かつ他の課税物品と別個に本品のみの税率引下げは、課税の權衡を失する處れもあつて困難である。なお、外國に輸出する物品に對しては、物品税免除の取扱いをしている。」 さらに樂器類及び蓄音器類に對する請願につきましては、紹介議員早稻田柳右エ門君に對しまする意見は、「御趣旨の物品が文化生活の上に必要なものであることは認められるが、財政需要増大の現状、及び物品税法に規定されている地の物品との權衡等を考慮するときはひとり本品のみについて税率を二割に輕減することは困難である。なお外國に輸出する物品に對しては物品税を免除している。」こういうふうな當局の御意見であります。要するに御趣旨の方は十分了承しておるけれども、ただちに税率を引下げることは、財政的の意味におきまして税收に影響を及ぼすのみならず、他の課税物品と別個に本品のみの税率引下げは課税の均衡を失する。大體三つの請願に對しまする當局の御意見というものは、さような意味において共通と思うのであります。この問題は、御承知のように新憲法におきまするこの新國會におきましては、請願というものが、たいへん重要な意義をもつておりますので、當局の御意見はかようでありまするけれども、本委員會としましては、少くともこの三つの請願に對しましてどういうふうな取扱いをなすか、皆さんの御意見を伺いたいと思います。
○中崎委員 この際動議を提出いたします。本請願の重要性に鑑み、本請願は議院の會議に付するを要するものとして採擇せられんことを望む次第であります。
○島田委員長代理 ただいま中崎委員から、本三つの請願に對しましては、委員會としまして採擇すべきものであるというような御意見でありまするが、皆さんの御意見はいかがでありましようか。 〔「異議なし」「贊成」と呼ぶ者あり〕
○島田委員長代理 では異議なしと認めまして、本委員會におきまして三つの請願を採擇することに決しました。 なおただいま委員外の方でございまするが、松原喜之次君から、私が先ほど讀みました大藏當局の三つの請願に對しまする意見につきまして、若干の質問を許してもらいたいということであります。委員外でございますがいかがでございますか。 〔「異議なしと呼ぶ者あり〕
○島田委員長代理 それでは松原君。
○松原喜之次君 委員外でありますが、お許しを得まして一、二大藏當局に御質問を申し上げたいと思うのであります。先ほどの政府の御意見によりますと、議題になりましたところの三つの物品が、今日その税率を課することによつて、何らその生産に支障がないというような御意見でありますけれども、それは今から三箇月ないし五箇月の状況でありまして、今日實情は、もはや時計にいたしましても、またミンン針にいたしましても、蓄音器にいたしましても、實は今日の實際經濟界における限界價格に達しておりまして、この税金があるかないかということは、その需要に大きな關係を及ぼしておる實情であるのであります。すなわち同じ三割、五割、八割と申しましても、その價格が千圓以下の時代においては、たとえば八割で八百圓であつたけれども、今日五千圓、六千圓というものに對する税金に至りましては、三千圓あるいは四千圓というような税金がかかつておりますために、著しく需要を阻害いたしております。この内地需要があることによつて、初めてこれらの生産を健全に續けていくことができ、そうして平素健全なる企業體を持續することによつて、初めて外國からの注文にも、すなわち輸出品として應ずることができるのでありまして、内地の需要がなく、その業態が非常に衰えておる際、あるいはほとんど需要がなかつたならば滅亡に瀕するというようなことになつておる際に、いかに外國から輸出の引合いがありましても、これに應ずることができない。この意味において内地需要によつて健全なこれらの業態を維持しつつ、何どきでも輸出ができる状態においていただきたいということが、この請願の一つのねらいなのであります。今日經濟界の實情が、もはや購賣力の限界價格にきております。この税金が引下げられるかどうかということは、この業界がうまく立つていくかどうか、ひいては輸出の適格業として立つていけるかどうかというような岐路に立つておるのでありますが、この點に對しても大藏當局は、やはり先ほどの御意見のような御認識をもつておられるかどうか。 それからいまひとつミシンの問題でありますが、ミシンには御承知のようにいわゆる家庭用ミシンと純然たる工業用ミシンがあるのであります。工業用ミシンは家庭には使われておらないのでありまして、主として最も日本の輸出産業の重要な一つとなつておりますところの、雜貨類の製作に專門に使われるものであります。かような工業用ミシンなどは、いわば鐵工業における旋盤であるとか、ボール盤とかいうようなものと同じく生産財であるのであります。この生産財に物品税をかけるということは、これは物品税全體の精神から矛盾を免れない。從つてこれはもう初めから物品税をかけるべき種類のものではないと私は信じております。そこで大藏省も、工業用ミシンに對しては免税の取扱いのできるような法律の條文を、初めつくつておつたのでありますけれども、途中から家庭用ミシンと工業用ミシンとの間の區別がつきにくいというような考えで、工業用ミシンの免税の取扱いをしないというような通達を發しておられるようであります。しかし、われわれをもつてしますれば、工業用ミシンと家庭用ミシンは、明らかに區別がつくものが多く、中に一、二區別のつけ難いものがあるという状態なのであります。そもそも先ほども申します通り、工業用ミシンに物品税をつけること、それ自體がすでに税制の精神から申しまして矛盾なのでありますから、これはよろしくそのもとに遡つて全廢すべきものであり、少くとも全廢に至るまでは、全面的に免税の條文を生かして、そうして免税の取扱いをすべきものだと考えるのでありますが、この點に對する大藏當局のお考えを承りたい。
○前尾政府委員 物品税の現在の税率が、生産を阻害するとわれわれは考えていないということは、答辯いたしておるのでありまして、その後別に變りはございません。もちろん物品税が安いということは望ましいことであります。また物品税をつけまして價格が高くなることによつて、全然生産阻害ということがないとは言いきれない問題であろうかと存ずるのであります。しかしこれらの物品の現在の實際のやみ價格と申しますか、取引されております價格は、公定價格を上まわつて取引をされておるのが實情だと考えるのであります。しかも比例税率でありますので、他の定額税率によります分は、物價の改訂に伴いまして、常に引上げをいたしておる次第であります。比例税率でありますので、税率は變更はせずにおりますが、すでにこの三月におきまして、それぞれ一割程度引下げたのであります。しかし最近の財政事情ということから考えますと、當然政府の費用も、物價の改訂、あるいは人件費に伴いまして増大いたしますので、それに對應するためには、税率を變更せずして、結局價格の改訂に伴つて、それに對應する自然増收というものが得られて、均衡がとり得るわけでございますので、これをただちに引下げるということは、われわれとして現在考えられない次第でございます。もちろん千圓の場合の八百圓ないし五百圓という場合と二千圓の場合の千六百圓ということにおきましては、金額は違うのであります。しかし全般の價格の中において考えます場合には、非常に負擔が重くなつた感覺を與えることは事實でございまするが、仔細に考えてみる場合には、當然御辛棒願わなければならぬというように考えておる次第でございます。もちろん當初に申し上げましたように、税率が低いことは望ましいことでございます。またその中でもいろいろ物品について考慮すべき物品もなきにしもあらずというふうには考えておりまして、たとえば樂器、蓄音機のごときにおきましては、乙類というような區分を設けまして、最高の十割から八割に引下げるというような措置もやつた次第でございまするが、現在としましてはこの八割程度の負擔は特に奢侈品——文化的ではございますが、一般の人がすべて買い得るというような品物ではございませんので、八割の程度におきましてはやむを得ない、またミシン等につきましても現在は三割でございます。三割の税率ということにつきましては、最初にも申しておりますように、必ずしも高い税率というわけにはまいらないものと思うのでございます。なおまた輸出に對しまして、これらが將來に備えるために、税率が高いという御説でございまするが、輸出する場合におきましては免税をいたします。その前に、もしこれらを補助するということがあれば、それは當然補助金として出すべき性質のものでございます。結局において税金が、これは需要者の方で負擔すべき税金でありますので、製造者が負擔するわけではございません。從いましてもし補助金というような意味合いであれば、それは價格を引上げるなり、あるいは別個の形式で政府が補助金として出すべきものであります。これを需要者がその程度の負擔をしていただくということは、やむを得ないというように考えておる次第でございます。 次に第二の問題でありますミシンの工業用のものに對する免税ということにつきましては、すでに税法において、物品税全體に工業用のものを免税いたしております。しかしミシンとかミシン針につきましては、實際上につきまして家庭用であるか、工業用であるかということが、殊に製造者の手許においてはつきりすることは非常に困難であります。しかしそれが明確に區分し得られるということに相なりますれば、當然免税すべきものだと考えておる次第でございまするが、非常に困難であるというよりも、ほとんどすべて工業用と考えられる場合が、もちろん家内工業というような意味合いで、内職的な工業用と申しますか、そういうことにお使いになることがあるかもわかりませんが、その大部分がやはり家庭用というようなお使いになつておる場合が非常に多いと思います。しかし、御趣旨については、結局税法の運用でありますで、のなお研究いたしまして、できるだけそういうような工業用の免税すべきものに對しては、なるべく區分いたしまして、適正に免税をしていくというとこに、努力いたしたいというふうに考えております。
○松原喜之次君 ただいまの御答辯のうちに、私の先ほど取上げた問題と關連したところで、私の腑に落ちない點が一、二ありますので、重ねて御質問いたします。 第一は、輸出産業としてこれらの産業は育成されなければならない産業であるが、補助金等の手段によつて、これを別に税金以外の部面で育成するという方法があるということでありますけれども、實際上價格の點におきましても、その他補助金の點におきましても、とうてい現在の實情においては、これらの状態を救うに足るだけの手段は講じ得られないのであります。また私先ほど申しましたもはや限界價格に達しておるというのは、實際最近の實情でありまして、政府の方ではマル公以上に賣買されているというふうに考えられておりますけれども、最近はマル公を切つて賣買されておるというのが實情でありますから、なおよくその點はいろいろの參考にお調べを願いたいと思うのでまります。それから工業用のミシンと家庭用ミシンの區別がつかないということでありますが、それはいわゆる家庭用ミシンという種類のものにおいて區別がつかないのでありまして、家庭用ミシンと言われておる中に、工業用に使われておるものがあるということであります。工業用ミシンというのは、初めから、たとえばオーバーロツクというようなものは、日本廣しといえども一臺も家庭用には使われておりません。全部工業用に使われておるのであります。そういつた種類のものが實際上相當種類あるのでありますから、これをはつきりと認識していただきたいと思うのでありまして、ミシンと申せばすぐに工業用ミシンを想像されるところに、先ほど申しましたように工業用ミシンの免税をやめろというような指令が出た理由があるのであります。これははつきりといたしておりますので、なおよくお調べになつて、もしそれがはつきりしておれば、ただちにその免税をとりやめろというその指令をとり消されるように希望いたしますが、その點に關する御意見を承りたいと思います。
○前尾政府委員 補助金の問題は、補助金でいくべきものだということを申し上げたのであります。補助金を出すか出さないかということについては、これは別個の問題だと考えるのであります。要するに消費者が負擔するのでありますので、税金としては税金でとる。生産者價格が非常に引合わない、あるいは將來の育成に備えるというような意味であれば、當然補助金の方でいくべき性質のものであるということを申し上げた次第でございます。また公定價格以上に上まわつておるものがあるか、最近においてはないというような御趣旨でございますが、それはものによりましては、あるいは最近の價格の引上げに伴つて、情勢はかなりかわつてはおるとも思うのであります、しかし一時的にはそういう場合がありましても、大勢としては現在の大勢から考えますと、やはり公定價格を上まわるというような實情ではないかと考えておる次第でございます。 次に工業用のミシンにつきましては、ただいまお説の、特にその種類によつて、たとえば靴に用いますミシンとか、そういうものにつきましては性質上免除すべきでないかというふうに考えておりますが、その點はなお研究いたしまして御趣旨に副いたいと考えております。
○赤松委員 この請願を紹介いたしました紹介議員といたしまして、ただいまの主税局長の御答辯の中に、はなはだ穏當を缺く御當辯がありましたので、私はちよつとお伺いしておきます。公定價格を上まわる、いわゆるやみ價格で販賣している事實がある。大勢としてそうなつているというような御意見でありますが、確かに若干の横流しのあることは私も認めますけれども、たとえば樂器類等におきまして、やみ價格で販賣しているというような事貴は全然私はないと考えます。今日では全體の情勢ではそういう情勢はありません。主税局長は一體どういう事實によつてそういう御答辯をなさるか。業者を代表いたしまして主税局長のその事實を示していただきたい。
○前尾政府委員 私の大勢としてというのは一般的に申し上げた次第でありまして、樂器、蓄音機等がやみ價格で賣られているかということについては、そういうふうな奢侈的な濃度の強いものが、むしろ最近は公定價格を下まわつている場合もあるかと考えるのでありますが、全般において、大勢としては公定價格を上まわるというような情勢にあるということを申し上げた次第であります。もちろん税金は私も安いとは思つておりませんけれども、しかしとにかく現下の財政事情なり、そういうことをお考え願えば、高くても辛抱していただかなければならぬというのが實情でありまして、物品税總體にわたつて、當初物品税はほんとの奢侈品に對して課税をしようということでいつておりましたが、次第に擴張され、現在はほとんどすべてが必需品しか製造されないというような状況にありながらも、なおかつ物品税の制度をやつていかなければならぬ。場合によつて賣上税的な色彩をもつているような次第でありますので、その點は御了承願いたいと思います。 —————————————
○島田委員長代理 次に、休業料理飲食店に對する課税の減免及び延納等に關する請願につきまして、庄司一郎君の御説明を求めます。
○庄司一郎君 ただいま議題に供していただきました本請願の趣旨はきわめて簡單でございまして、その要點を申し上ぐるならば、本年の七月の政令によつて、全國百三十七萬戸數の料理店竝びに飲食店の業者等にわたつて、本年の年末まで料飲業の營業をストツプ命令をくだしたのであります。この結果、これらの業者の家族竝びに從業員の總敷が、約六百萬人であると業者は述べておるのでありますが、このストツプ令を受けました直後において、中には多少他の業に轉業したものもございますけれども、大部分は、この政令通り明年の一月の元日より再許可になるものという、待機態勢の状態におるのであります。しかるに税金の方は所得税において、あるいは營業税において、相變らず本年の上半期前後において、税務署あるいは市町村役場等より徴收をされておる。ただいま命令によつて營業を失つておる關係上、積極的の收入がない現在の情勢に鑑みて、政府におかれ、あるいは地方廳、都道府縣等において、本年の所得税竝びに營業者の大幅の輕減を願いたい。あるいはある點においては全然免除を願いたい。要は輕減竝びに免除の恩典に與かりたい。またある一定期間の延納をお認め願いたい。さらに増加所得税の未納分に對しましては、これまた營業ストツプの業者の收入減の事態に鑑みられまして、輕減あるいは免除、さらにその業者の實態においては、延納をもお認めいただけるような、臨時の措置をとつていただきたいというのがこの請願の趣旨でございますが、營業はストツプされ、税があたりまえに賦課徴收されるようなことでありましては、昔からの泣面に蜂というような状態であると思いますので、この點は政府におかれても、あるいは政府は都道府縣等に御懇談の上、温かい親心を示されましてこれらの業者に對して、でき得る限りの恩典を與えてくださるよう。これが請願の趣旨でございます。何とぞ本委員會におかれまして、御同情ある御檢討を賜わり、御採擇あらんことをお願い申し上げる次第でございます。
○島田委員長代理 時間の都合がございますので、ただいまの御説明竝びに三、四ございます請願の御説明を承りまして、採擇するか否かは、あらためて決定いたしたいと思いますから次に移ります。 —————————————
○島田委員長代理 次に廣島及び長崎の復興助成の請願、久保猛夫君紹介、紹介議員の説明を求めます。
○久保猛夫君 本請願は、大體一應その請願の趣旨は御了解だろうと思うのであります。廣島市、長崎市の兩市は、人類史上にかつてなかつた原子爆彈の慘烈なる被害を蒙つた、世界におけるただ二つの都市なのであります。從つてこの請願の理由を説明するにあたりまして、一應皆樣委員の方々竝びに政府當局の方々に、この原子爆彈の被害が、その他の爆彈の被害等より特別なるものであるという認識を、ひとつもつていただきたいと思うのであります。この兩市は皆樣御承知の通り、この二つの都市はアメリカ空軍のために原子爆彈で爆撃を受けまして、まつたく夢にも考えておらなかつたような、一瞬にして大きな被害を受けたのでありまして、わずかに掌に載る小さな重さのこの一個の爆彈によつて、あの廣島市の一瞬にして潰滅し、長崎市はその二倍の爆彈であつたのでありますけれども、しかしながら長崎の地形が起伏しております關係から、もう一つは敵がねらつた地點から多少それたという關係から、その被害は豫想よりも少かつたのであります。從つてこの被害を蒙つたことによつて、長崎、廣島兩市は、この復興においても非常に大きな障害を來したのであります。と申しますのは、原子爆彈というのは、大きな火力によつて、まず爆心地の近くはほとんど燒かれてしまうのであります。道を通つておる人は燒け焦げて死ぬ。火力によつて燒かれるということと、大き爆風によつて家屋が倒壞するということ、もう一つは放射物質によつて人間の内臓が破壞されるのであります。この三つの作用によつて、その被害はきわめて激烈をきわめるのでありまして、從つて長崎、廣島兩市における倒壞を免れ、燒け殘つた家屋にいたしましても、それはほとんど無きずなものは一戸もないのであります。山間の一軒屋に至るまで、その火力によつて燒かれ、周圍の山も山火事を起すといふ實情でありまして、長崎の例をもつて申しますと、あれは八月九日であつたのでありますが、周圍の山が山火事を起し、あの夏の欝蒼と茂つておつた緑の木の葉が、全部燒けただれたように、立木のまま赤く枯れてしまつたのであります。そして燒け殘つた家はことごとくひどい雨漏りがいたしまして、あの年は夏から秋にかけて豪雨續きでありましたが、家全體が降るように漏るのでありまして、私が逃げ込んだ家にしましても、一箇所といえども雨が漏つてこない部屋は一つもなく、市民はみずからおのおの屋根に上つて、どこぞ四疊半、三疊に一箇所漏らないように、自分で瓦を竝べて住んだのであります。從つて家財道具から疊に至るまで、全部これは腐らしたのであります。戸障子のごときものは、ほとんどこつぱ微塵になくなつたのでありまして、はまつておつたガラス窓は一枚も殘らずなくなつたのであります。從つて倒壞を免れ、あるいは全燒を免れたところの家といえども、すべてこれ戰災家屋でありまして、都市復興をしようという場合の困難さは、他の戰災都市と比較にならないものがあるのであります。しかしながら長崎、廣島兩市は、世界における原子爆彈の爆撃を受けた記念の都市として、平和都市として今日復興を非常に強力に進めようとしておるのでありますけれども、なかなか思うようにいかないのであります。廣島は中國、四國地區における政治、經濟、交通、文化の中心地であつたのでありまして、新たな平和都市として、その復興を急いでおり、長崎は御承知のように中華民國、南方に近い關係から、早くから貿易、觀光の都市として開けたのでありますけれども、今囘さらに國際的な宗教都市としてもこの復興を急ぎ、非常な熱意のもとにやつておるのでありますが、容易に遲々として進まないのであります。從つて昨年の議會におきましても請願をいたしまして、特に各派共同提案として、衆議院において滿場一致兩市の復興に對する特別措置の決議が通つたのであります。しかしその後今日に至るまで、具體的なその援助の方法がはつきりいたしませんので、兩市民といたしましては、さらに今囘新國會に請願いたした次第であります。今囘の非戰災特別税のごときも、もし他の戰災都市のごとくに、燒殘つたものは非戰災家屋だとみなされるようなおそれがあつてはたいへんでありまして、先ほども申しました通り、これに手を加えて最小限度人が住めるようにするまででも、新築したがましだという程度に手が要つたのであります。從つて保險金なども、燒け殘り、倒壞を免れた家屋についても、會社はすべて支拂つておるのであります。どうかそうした具體的な援助を、特別に經濟金融の面で賜わりたいというのがこの請願の趣旨であります。今日原子爆彈というのが、國際問題として世界人類の最も關心の的になつておるときに、この被害を受けた廣島、長崎兩市の被害が、いかにひどいものであつたかということは、私どものごとく體驗した者でなければわからないのであります。この體驗談を長々と申し上げても、あるいは興味があるかも存じませんが、盡きるところがないのでやめておきますけれども、その點どうぞひとつおくみくださいまして、ぜひ委員會において採擇くだされ、また政府當局としても特別の措置を考えていただきたいと思うのであります。 —————————————
○島田委員長代理 次は漆器の物品税輕減の請願、文書表第一〇二五號につきまして原孝吉君の説明を求めます。
○原孝吉君 福島縣の會津における漆器は、言うまでもなく日本有數のものといつても過言ではないのであります。輸出の對象ともなり、見返物資の對象ともなつております。殘つた品物に對しましては全國津々浦々に販賣しておりますが、その公定價格は二十一年度における公定價格がきまつたそのままで、五割の物品税を課されておるということは、千五百人の漆器の職工が非常に困まつておるのであります。つきましては物品税を二割にしてもらいたいということが本請願の趣旨であります。本來ならば免税をしてもらいたいのでありますが、いかぬとなれば二割に引下げられるよう切望するのであります。各委員におかれましてもぜひ採擇をお願い申します。 —————————————
○島田委員長代理 次は印判業に對する製造課税撤廢の請願、文書表第一五五號、紹介者塚田十一郎君。
○塚田委員 紹介議員にかわりまして私から請願の趣旨を御説明申し上げます。本請願は印判業に關する製造課税を撤廢願いたいということなのであります。前議會におきまして可決された税制改正に關する法律、昭和二十一年八月三十日施行規則中におきまして、行為税は全般的に廢止されました。しかるに印判業に關しては、印章は製造であるということで、課税の對象となつたことははなはだしく不合理である。すなわち印章は印材製造業者によつて生産された印材類に彫刻を施すものであつて、技術加工行為であります。しかしただに製造ではなく、あたかも印刷業の印刷をなすと同一のものであり、紙すなわち印材、印刷すなわち彫刻とその癈を一にするものであります。しかるに印刷業の印刷は行為であるとして、これは課税を撤廢せられ、印刷業の彫刻は製造であるという見解のもとに課税を繼續されております。これはまことに不公平のはなはだしいものと存ずるのであります。なおこれに類似の例をあげますと寫眞業、製本業、染色、理髪業等々枚擧にいとまなく、これらはみな行為であるとして課税を廢止されました。思うに印章はわが國においては昔から信證の確認用具として、公私ともに日常重要な必需品でありました。特に官公署の需要數量は、その六、七割を占めますので、從つて課税の大半は、大衆にあらずしてかえつて官公署の納税負擔となるがごとき奇觀を呈しております。顧みれば昨年前述のごとく税制改正にあたりまして、再三撤廢方を陳情いたし、さいわい關係當局の御理解を得ましたのでありますが、ときすでに豫算案上程通過のため、遂に廢止に至らず、實に遺憾にたえないのであります。現下わが國再建の途上、國民の負擔すべき義務は數多く、わけても納税の義務はその最たることは、私ども全國六千同業といえども常に十分自覺しておりますが、不合理なる課税はいかんとしても承服いたしかねるところであります。よつて類似業者とひとしく、公平なるお取扱いをお願いいたしたいと存ずる次第であります。何とぞ本課税が廢止になりまするよう請願いたす次第であります。 —————————————
○島田委員長代理 次は電氣撤廢の請願、文書表第一六二號、紹介議員前田榮之助君の説明を求めます。
○前田榮之助君 この電氣税に關する請願は、代表者は日本發送電株式會社の總裁大西英一君になつております。そのほか全國の九配電今社の代表者からの請願でございます。しかし私は特に申し上げておきたいの、これは日發その他の電會社の代表者が、その事業を代表して請願しておるのみならず、衆議院電氣委員會において、いろいろ取扱つてみました經過によりまして申し上げますと、電氣産業勞働組合からも、この電氣税反對の陳情を受けており、また全國の電氣事業家、工事事業家からの反對も出ております。なお國民運動として最近展開されつつありますところの、電氣の各縣都市の協議會等においては、至るところにこの電氣税反對の聲を聞いておるのであります。かような國民的な聲のもとに電氣税の撤廢がなぜ叫ばれておるかということを、ひとつ委員會におきましても、政府當局におきましても御了解を得たいのであります。電氣税は私が申すまでもなく戰時中、昭和十七年に國税として戰費調達の目的をもつて課せられたことがあるのでありますが、終戰後、二十一年にこれは廢止になつておるのでございます。電氣は衆議院におきましても、過般の電力危機突破の決議が本會議で通過し、またその後いろいろ電氣に關する自由討議が行われて、政府もこの十一月十四日の閣議において電氣の問題を議せられておりまするが、わが國産業中の最も重點的に考えられておつた石炭同樣に、重要なる産業であることを認められておるのでございます。しかしこの電氣税は國税を廢止されまして後に、地方税として廣島、岡山、その他の數府縣において、地方財源を求めておるのでございます。しかしこれを政府當局が認可されておるのでございます。私はそこに政府當局にも責任があると思うのでありますが、これが石炭同樣なる必要な基礎産業であるということが、ほんとうに認識されておるならば、もし石炭に税金をかけたならばどうなるかということを、ちよつとお考えを願つただけでもわかると思います。石炭のむしろ税金をかけるところでなく、國が多大の費用を投じ、補給金等を出して生産をさせておる。電氣は反對にその産業へ餘分な税金までおつかぶせてその産業に對して重荷をかける。こういうような不合理があるべきはずはございません。なぜさようになつておるかということは、すなわち電氣という基礎産業がいかに重大であるかというところに、認識の相違ができてきておるのじやないかと本員は想像するのでありますが、かようなことで日本の産業の復興等はとうてい行われないと思うのであります。要するにかようなことで地方税にいたしましても税金をかけますと、結局は大衆負擔の大衆課税に轉稼されることでございまして、今日の千八百圓ベースが非常に問題になつておりますが、かようなことがめぐりめぐつて國民生活の壓迫となることも、これは當然なのでありまして、かような悪税を、地方税にいたしましても許可すべきものではないと思うのであります。なお電氣に關しましてこういう負擔がかけられることは、今日非常に困るという點をつぶさに申し上げたいのでありますが、時間がありませんから、そういうことは省略します。今日の電氣産業が石炭産業と比較いたしまして、石炭は非常に經濟的に採算が合わない。電氣はそれに税金をかけるだけ餘力があるとお考えになることは非常な誤りなのでありまして、この電氣に關しまして今もし新しい電源開發等によつて、今の産業に力を入れようといたしますと、今計算されたる計算では、とうていできないのでございまして、そういう點等はつぶさに説明することは省略しますが、ひとつお考えを願つて、この税金の問題に對して御考慮を願いたいと思うのであります。 電氣税の悪税であるという點もいろいろあげたいと思うのでございますが、ただ一、二だけを申し上げますと、電氣はすでに生活の中で最も重要なものであることは、今日の電氣の非常な危機に面しておる點から御了解できると思うのでございます。要するに石炭、米その他住宅、衣料等と同じように電氣はわれわれ國民生活に必需品となつているのでございまして、これに税金をかけるところではない。政府がこれに補助金とか、補給金とかいうものを加えてまでも助けねばならぬ事情であることは申すまでもないのでございますから、ただちにこの御許可になつている地方税等につきましては御考慮を願いたい。なお今後も各府縣から認可の申請があろうと思いますが、これは決して御許可にならぬように、ひとつ御配慮を願いたいのでございます。申し上げたいことは多くございますが、時間をお急ぎのようでございまいから、簡單に申し上げておきますが、どうか委員會におきましてもこの點十分御考慮の上、御採擇をお願いするとともに、政府當局にも十分この點に御賢察の上、電氣課税の撤廢方をよろしくお願い申し上げる次第であります。
○島田委員長代理 本日はただいま數件の請願の説明を終りましたのですが、これの採擇すべきや否やにつきまして、なるべく早く委員會において決定しまして、そしてしかるべくとり上げたいと存じます。 なお先ほど決定いたしました金融機關再建整備法の一部を改正する法律案が、あるいは本會議に緊急上程になるかもしれないと存じますので、それに對する取扱い方あるいは報告書に關しましては、理事の方に御一任願いたいと存じます。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○島田委員長代理 では本日はこの程度で散會いたします。 午後零時十六分散會