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1回国会衆議院1947/10/23

鉱工業委員会 第22号

発言数
89
登壇者
5
会派数
2
開催日
1947/10/23

会議録

伊藤卯四郎日本社会党

○伊藤委員長 これより會議を開きます。  前會に引續き臨時石炭鑛業管理法案を議題として質疑を繼續いたします。淵上房太郎君。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 昨日私は資材の裏づけがしつかりできなければ、三千三百萬トンという二十三年度の生産計畫は空念佛である。そういう觀點からいたしまして、昨日まで資材の問題を聽いておりましたところが、今安定本部と折衡中であるというようなお話があつたのであります。折衡中であるということは、どうきまるかわからぬということであるから、早くきまつて、そうして閣議決定ででもしつかりしたところをきめて、しかも少い資材の中でありますから、國をあげて石炭生産に所要數量の各資材を購入するというくらいまでの決意をもつていかなければ、なかなか三千三百萬トンは、口では簡單に言つても出ませんということを申しておつたのであります。しかるに商工大臣の御答辯は、なかなかむつかしい質問でありますが、御案内の通り事務當局から、正直にこれは安定本部と折衡中ということを申した。こうおつしやつたのであります。事實その通りであろうと思うのであります。安定本部は、單に石炭だけでなく、貿易その他の點から策定し、そうして關係筋の承認を得て、本ぎまりということになるのであります。しかしながら、これまで石炭に關しては、大體あらゆる方面におきまして、日本經濟危機打開の重要性を認められまして、われわれの主張が大體通つておるような次第でありまして、われわれは三千三百萬トン要するために、このくらいの資材が要るということは、これを私の政治的生命にもかけて確保するつもりでありますから、決して御心配なく、大體三千三百萬トン必要なための資材を確保できるということを前提として、御安心して審議を進めていただきたい、このように考えております、かようにおつしやつたのであります。繰返し御安心してと、かりに大臣から言われましても、決して安心ができない。まことに遺憾なことでありますが、安心ができないのであります。水谷商工大臣の言われるところの、私の政治的生命にかけて確保すると言われるのは、これは、どういう意味でありますか、御説明を願いたい。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 さきに私が五箇年計畫を發表いたしましたのは、これは商工省だけの意見でなしに、安定本部と相談の結果できた計畫案でございます。從つて來年度の三千三百萬トンというものは、單に商工省だけの考えではございません。安定本部との相談の結果、きまつたところのいわゆる計畫でありますがゆえに、安定本部はそれに對していかなる資材を投入すべきかということは、安定本部の考え方というものは、商工省とまさに一致するものであるのでありますから、私はさようにお答えした次第であります。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 ただいまの御答辯では、安定本部と大體の了解ができての生産計畫であるという御説明があつたのでありますが、私の今お尋ねしておりますことは、それではないのであります。水谷商工大臣いうところの、私の政治的生命にかけまして、という意味は、どういう意味であるかを、私は伺つておるのであります。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 お互いに私も政治家として、あなたも政治家として、その政治家が政治的生命にかけてということは、私のくどくどした説明をまたずして、淵上君は十分に御了解のことと思います。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 石炭の國營という問題が、私は先般から繰返し申しますように、はたしてこれが増産になるか。私どもは今日までの研究の結果としましては、まさしく減産を來す、かような心配をもつておるのであります。もしもいくら政治的生命を水谷商工大臣がおかけになりましても、石炭の生産が減退いたしましたならば、日本の再建復興はできない。政治家が三人や五人切腹して死んでみたところで、何にもならぬのであります。そういう意味におきまして、私はきわめて重大なる問題として、御同様皆さんとともに、この問題に對して非常に憂慮しておるのでありますから、私は商工大臣が政治的生命をおかけになるくらいのことでは、石炭の増産という問題は…。これは別個の問題であると思う。そういうことでは承服はできないのであります。申し上げるまでもなく、おそらく日本再建復興の機會は、今や私はあるいは最後的な機會ではないか、かように思つておるので、この機會をあたら空しく逸しましたならば、再び立つ能わざる、實に悲惨なる時期にわれわれ國家國民はぶちこまれるのではないか。こういう意味におきまして、眞剣に、はたして増産になるか、ならぬかという觀點から、この法案を審議しておるのであります。政治的生命の御説明、趣旨はわかりましたが、私は一大臣の政治的生命くらいではこの問題は片づかぬ。それではあなたに任せますというわけにはいかぬのでありまして、さよう御了承おきを願いたいと思います。しかしてただいま前段に御説明になりましたように、安定本部とあらかじめ了解を得ておると言われるならば、ただいまも昨日商工大臣の御答辯の速記を讀み上げました通りに、正直に安定本部と折衡を事務當局がされておるならば、いまさら折衡なさる必要はないじやないかと思うのでありますが、どういうわけで何を折衡されておるのかを伺いたい。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 ちよつと今最後の點を聽き漏らしたのですが…。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 もう一度いたします。商工大臣の初めの御説明では、この生産の五箇年計畫というものは、安定本部と了解を得て立てた生産五箇年計畫である、かように申されたのであります。私もさようであろうと想像するのでありますが、しからば資材につきまして、いまさら安定本部と交渉、折衡をなさる必要はないのじやないか、こう私は思うのであります。何ゆえに折衡、交渉を重ねておられるか。昨日もお話になりました通りに、事務當局が正直にこれを安定本部と折衡中であるということを申しましたということを、大臣みずからおつしやつたのであります。折衡中であるということを大臣みずからも承認されてのお言葉と解釋する以外には、解釋の方法はないのであります。すでに申しますように、あらかじめ安定本部と話がきまつて、そうして五箇年計畫を立てておるのだと言うわれるのならば、いまさら何を交渉し、何を折衡されておるか、折衡の必要はないのじやないかということを、私は聽いておるのであります。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 これはあなたはそういうような御見解に立たれることは自由でありますが、大體われわれが今年度三千萬トン、あるいは來年度三千三百萬トンという案を立てる場合においては、來年度日本の經濟情勢に對應して、大體石炭というものは、どの程度に必要であるかということをまずきめて、そしてそのきめた額に對して資金、資材はどうしなければならないかということをきめていくのが順序であります。そこでわれわれとしては、來年度三千五百萬トン、これは日本の經濟再建のために絶對に必要であるという額をきめまして、そしてそれに對して、日本の乏しい資材、資金の上から、どのようにそれを割當てていくかということをきめるのが順序でありまして、三千三百萬トンが安定本部と了解してきまつたにかかわらず、その資材の具體的面において、兩省が折衡しておるということは、私の論理から申し上げますと、それがあたりまえであつて、少しも不思議でない、かように考えておる次第であります。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 委員長に要求いたしますが、經濟安定本部の責任者の出席を求めていただきたい。

伊藤卯四郎日本社会党

○伊藤委員長 淵上君にお尋ねしますが、經濟安定本部のだれを要求されておるのですか。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 和田君を要求いたします。

伊藤卯四郎日本社会党

○伊藤委員長 承知しました。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 昨日大臣の答辯によりますれば、來年度のたとえば鋼材の十三萬一千四百トン、銑鐵の三萬六千三百トン、鐵鋼二次製品の二萬一千百トンということは、賠償撤去にひつかかる一部の工場のその關係を考慮して、鐵の生産力の低下を見ておるのだというふうにおつしやつたのであります。私はさように聽いておくと申しました。續いて經濟力集中排除法がいずれ實施されるが、この點は關係ないかと言つたらば、これは關係がないと言われたのでありますが、日鐵の三木社長に聽いたら關係があると言うことを言つておりましたが、昨日は私の聽き違いじやないかと思いますが、大臣の御意見を伺つておきたいと思います。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 製鐵事業が集中排除に關係があるということは、三木社長をまたずして明らかであつて、ただここに示した數字に關して關係がないということを言つたのでありますから、さよう御了承を願います。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 御提出をいただいております資料の第七表石炭鑛業赤字額、赤字金融額、政府既補償額一覧表というのがあります。この表によると、赤字金融殘高三十九億と出ております。これは間違いはないでしようか、これだけでよろしいというのでございましようか、お伺いしたいと思います。

千葉弘毅商工事務官

○千葉説明員 この表は本年六月までの赤字融資總額を記載してございまして、本年度六月末におきましては、この數字に狂いございません。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 赤字融資は私は六十五億かと思つておつたのが、そうでなくて、三十九億だと言われるのでありますが、では現在運轉資金で貸出をされておるのはいくらでございます。その額をお伺いします。

千葉弘毅商工事務官

○千葉説明員 お手もとに配付してある表にあります通り、本年九月末までに二十一億三千八百萬圓の融資額になつております。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 しからば企業資金の貸付はいくらになつております。

千葉弘毅商工事務官

○千葉説明員 設備資金につきましては、同じく表にございます通りに、九月上旬におきまして二十八億九千萬圓。なお現在貸出中でありますので、數字に狂いが出てまいります。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 どこに畫いてあるか、ちよつと今のを教えていただきたいのです。

千葉弘毅商工事務官

○千葉説明員 第九表に記載してございます。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 企業資金の貸付は九表のどこに畫いてありますか。

千葉弘毅商工事務官

○千葉説明員 九表におきましては、設備資金、運轉資金、赤字金融と大體三項にわけて記載してございまして、その實續については、一番最後の欄に記載してございます。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 これに載つていないように思うので、聽くのでありますが、水害復舊資金というのが、九州、山口方面に貸出がなされておるはずでありますが、これはいくらになつておりますか、お尋ねいたします。

千葉弘毅商工事務官

○千葉説明員 今はつきりした數字を記憶いたしませんので、後刻調査の上お答えいたします。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 後刻というのはいつのことか、ひとつ約束してもらいたい。

千葉弘毅商工事務官

○千葉説明員 次の機會の當初に御説明申し上げます。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 大臣にお尋ねいたすのでありますが、御提出いただいているこの表によりますと、設備資金が二十八億、運轉資金が二十一億、赤字金融六十二億、合計百十一億三千八百萬圓という數字が出ておるのであります。現在炭鑛の經營は、申し上げるまでもなく——私は業者ではない、門前の小僧ですから、詳しいことは知りませんが、いろいろ話を聽いたり、あるいは想像してもわかりますが、資材はだんだん枯渇するのみならず、高くなる。政府の割當なんか待つていても、いつのことやらわからぬ。やむを得ず民間で探し得るものを買う、やみでも何でも買わなければ仕事にならない。一面人件費はごらんのように、だんだん大きくなるばかりであります。アメリカあたりの炭價の構成の人件費の率と、日本のとは非常な違いになつておることは、御承知の通りであります。人件費についても、だんだん高くなつてきており、とうてい炭鑛企業というものは、現在では經濟面に相當苦痛であろうと、私は考えておるのであります。しかも勞務者側から言いましても、實際なかなか氣の毒で生活ができないので、御承知のように千八百圓ペースではやつていけぬということで、政府に交渉を開始しておるやに聞いておるのであります。ある炭鑛では月給もろくろくその月に拂えない炭鑛が、すでに相當あるやに聞いておるのであります。この百十一億という金は、國家財政の立場から言つても、當然速やかに囘収して、當面必要な諸施設の方に使わなければならぬが、なかなかこれは囘収も困難ではないかと思うのであります。のみならず昨日も申し上げますように、物價體系を堅持するという立場から、炭價の九百五十六圓八錢というものは、上げないという御方針であります。しかるに實際の費用は、昨日も申しましたように、大體千三百圓くらいに見なければならぬ。そういたしますると、一トンに三百四十四圓づつの缺損になり、一萬トンとすれば三百四十四萬圓の缺損になる。こういう状態にあります。私は石炭をどんどん出してくれと言われるならば、炭價を引上げるか、炭價を上げるということが物價體系を崩すことになるから、それはいけないということになりまするならば、何らかの方法を講じなければ、炭鑛側としては石炭を出せなくなるのではないか。かように心配して昨日も聽いておるのであります。かりに千三百圓實際の費用がかかるといたしますれば、これを三千三百萬トンにかりにかけてみますと、やはり百三億ばかりの企業者の缺損になるのであります。これは石炭廰、あるいは商工大臣としては、一體どういうふうに考えらるべきものであるか、これを伺いたいのであります。なるほど物價體系を堅持するということは、今の政府の御方針としては、一應ごもつともであろうと思いまするけれども、ただ理想だけ考えておつても、現實にはそうはいかぬのであります。机上の空論だけを堅持しておつても、實際石炭が出なくなつてくれば、結局國家の再建ができないということになるのでありますから、この點はよほど——商工大臣の一存でもいきますまいが、内閣としても、眞剣にお考えにならなければならない問題だと思うのであります。けさの新聞を見ますると、米價もどうやらきまつたようでありまするが、實際に即して、ほんとうに生産なら生産をあげ得るような施策をお講じになりませんと、ただ空論、理想だけを空しく抱いておりましても、實際の生産というものはあがるものじやない。かように私は考えるのでありますが、商工大臣としては、石炭を出させるために、私の今言うように、トン當り三百四十四圓づつの缺損になる。これじや企業者側はとうていやつていけない。月給も拂えなくなつてくる。これじや石炭が出ないから、實際石炭を出させるためには、何とか國家でお考えにならなければならぬのじやないか。かように私は思うのでありますが、先ほどお伺いしますと、今まで貸出されておる金のごときは、とうていこれはしばらく返されることもできぬのでありましようが、一體今申しまする現實の問題と理想の問題を、どういうふうに調和しながら、實際石炭の増産という實績をあげていくためには、どうなさつたらよろしいか。この點をもう一遍商工大臣に御抱負を聽きたいと思うのであります。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 ただいまお述べになりました御質問に對しましては、昨日もお答えした通りでございます。ただいま淵上さんから申されましたいろいろの實例というものは、私は全部を否認しようとするものではありません。そのうちにおきましては、参考にしなければならない點もあろうかと思うのでありますが、御案内の通り、炭價というものは、米價と一緒に物價體系の基礎をなしておるものでありまして、そうたやすく輕々に扱うわけにはまいらぬのでございます。そこで政府といたしましても、昨日も申し上げましたように、九州、山口の山々におきまして、炭價の検討をし、さらに常磐、北海道におきましても、その検討をいたしまして、はたして業者の方が言われておるような缺損になるかどうか、あるいはかりに缺損になるとしても、あの點をこういうぐあいにすればこうなるんじやないかというような點を、いろいろ具體的に検討してみたいと思います。そこで最近發表いたしました石炭非常増産對策要綱の第二におきましても、炭價の引上は當面これを行わないということを、わざわざ断わりまして、そこにこれを行わないという上に當面という言葉を用意深くつけ加えておるような次第であります。それでは、この當面というのは何月何日か言えというようなことも盛んに言われるのでございますが、これはいろいろの事情を斟酌いたしまして策定すべきところの問題でございまして、ただいま輕々に私の方からこれはいつからというようなことを、お答えするわけにはいかないのでございます。政府といたしましては、何としても、政府、業者竝びに勞働組合の三位一體の協力によりまして、石炭の増産をやつて、日本の經濟危機を打開しようという點に關しましては、淵上さんと同様に、われわれは考えておる次第でありまして、そういう意味におきまして、われわれは單に炭價だけではありません。あらゆる面において、生産の隘路というものは打開してまいらなくてはならないのでございますが、しかし炭價の問題につきましては、きのうも、またただいまも述べましたような觀點に立ちまして、當面これを行わないという、この態度でやつていきたいと思う次第であります。

伊藤卯四郎日本社会党

○伊藤委員長 淵上君に御報告を申しておきますが、和田安定本部長官は、二時から司令部の方に出かけまして、目下歸る時間がちよつとはつきりせないという通知でありますから、御了承願います。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 ただいまの商工大臣の御答辯によりますれば、先般來もお話の通りでありますが、私は炭價をすぐお上げなさいという意味で話したのではないのであります。石炭を出させるために、炭價の引上げをして、物價體系を崩すことになれば、それではお困りだろうから、何かいい智恵はありませんかと聽いておるのであります。この點について、何かお考えはありませんか。こう聽いておるのであります。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 おそらく淵上さんは何らかの智慧と申されましたが、補給金とか、そういうようなこともお考えになつておられることかと思うのでございますが、われわれといたしましては、無策であるかどうかしりませんが、最近決定いたしました石炭非常増産對策要綱をば強力に遂行してまいりたい。このようにお考えておる次第でございます。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 政府、業者、勞働者、三位一體となつて石炭の増産をやるという御理想は、かねがねから伺つておるのでありまして、ただいままた重ねて拝聽したのであります。まさしくそうでなければならないのでありまするが、現實ははたしてどうであるか。三者三位一體となつて、ほんとうに石炭増産にがまんし合つて、そうして努力していつてこそ、初めてその實績があがるのでありますが、これは理想であります。またそうなければならぬけれども、實際はどうであるか。先般來われわれ議員は、各方面からの陳情を聽いておるのであります。たとえば第一線の所長、あるいは事務の方の責任者なんかは、全部國管に反對であります。そういう陳情を受けております。業者側と政府側との會見は、先般土曜、日曜二日にわたつて、總理官邸で行われたそうでありますが、その結果を實はお伺いしたいと思うのであります。はたして現状のままで、政府の言われる通りに、業者がやつていけるという承諾をしたかどうか。あるいは勞働者側の方に對しても、御同様會見をたびたびされておるのであります。勞務省も今のままでやつていくということを申しておりますかどうか。まず企業者側との會見の模様、竝びに勞務省との會見の模様を、ひとつ伺いたいと思います。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 御案内の通り、最近石炭非常増産對策要綱に關しまして、業者竝びに勞働組合の代表者と、六日間六囘にわたつて會見を申し上げました。そのとき業者側からは、いろいろ有益なる御意見を拜聽したのでございまするが、中心問題は炭價の問題でございました。さらにまた勞働組合側からも、いろいろ有益な御意見を拜聽いたしましたが、その中心問題は、千八百圓ベースの問題でございました。なるほど業者の立場から申し上げますれば、炭價の引上げということが、目下大きな問題であろうと思います。さらにまた勞働組合の側から申し上げますならば、この千八千圓ベースという問題は、大きな問題であろうと思います。それに對しまして、政府はさらに一段高い立場から、この面者の主張をどの程度に受入れなくてはならないかというところに、われわれの務めがあるのでございまして、業者の御意見を聞いて、すぐに百パーセント御希望を容れるわけにもいきません。また勞働組合の主張を聞いて、ただちにまた百パーセントこれを容れるわけにもまいらぬのでございますから、それらの點は、もつと一段高い、また廣い立場から、政府は政府としての考えを示しまして、業者竝びに勞働組合の協力を得たい。そのように考えておる次第であります。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 勞働者側から千八百圓ベースではやつていけないという要求があつて、ただいまもお話のように、それはそれだけれども、さらに高い立場から考えたいと言われるのでありますが、勞働者の言うのも當然であると、私は思うのであります。ただ高遠な考えばかり考えておられましても、實際現在目の前の石炭が出なくなる。これはどうしたらいいかということを、昨日も聽いたのであります。ただいまお引きになりました増産對策の基本方針も、先般から聽いておるのであります。強力に推進する推進すると言われておるけれども、はたして推進し得る確信があるかどうか、これをこの間から聽いておる。ただ業者側に會い、あるいは勞働者側に會つて、とにかくこの線でやるのだということだけでは、勞務者側も企業側も滿足がいかぬのであります。そういうことでは、目の前の石炭が出てこない。目の前の増産ができないということになるのであります。もう少し何とかほんとうに石炭の出るような具體的な方針を立てられて推進されなければ、ただ作文を讀むようなことだけでは、實際出ない。私はそれを心配して、昨日も大臣の所見を聽いておるのであります。これは一體業者側にも、あるいは勞務者側にも、何とか政府の方針で、じやあやりましよう。しかも早く話がきまつて、早く心を落ちつけて、増産に相ともに邁進してもらつて、いわゆる三位一體の強力な態勢を早く確立してもらわなければならぬのでありますが、商工大臣のお見込みはどういうお見込みでございますか。話がすぐにでもききそうな模様であるのか、あるいは年でも變らなければきまらぬようなお見込みであるのか。もしさようであるといたしますならば、今年度目前の増産にただちに影響してくるのじやないか。かような心配があるのであります。どういうお見込みでおられるのか、伺いたい。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 それは繰返し繰返しお答えした通りでございまして、われわれはこのたび決定いたしました石炭の増産對策要綱を強力に推進いたしまして、當面の目標として、今年度三千萬トンを確保したいと思います。もちろん業者の立場からいたしますれば、炭價の問題、あるいは資材の問題に對しても、いろいろの御希望があることと思います。また勞働者の立場から申し上げましても、いろいろの要求があろうと思うのであります。政府といたしましては、これらの要求に對しまして、日本の現在の經濟事情のもとにおいて評される限度におきまして、なるべくその要求の御趣旨に副うことにいたしまして、十分心からの協力を願いたいというのが、われわれの率直な考えでございます。現在の日本の經濟の事情のもとから申し上げますならば、たとえば米價の問題に對しましても、農民諸君に對して、百パーセントの協力をいたしかねるような状態でございます。その他いろいろな各産業、いろいろな部面を照し合わせましても、それぞれの立場の上に立つ人に對しまして、經濟上の要求をば十分に申し得ないというのが、現在の日本の、これは何人も動すことのできないところの經濟事情でありまして、この經濟事情は、お互いにおのれをむなしゆういたしまして協力いたし、一刻も早くお互いが満足できるような生活を獲得しようというところに現在の努力があると思うのでございます。かりに淵上さんが私の立場に立たれても、この現在の石炭事情、さらに現在の經濟事情を併せ考えまして、即座に業者竝びに勞働組合の要求をば百パーセントに容れることができるかどうかということは、立場を置きかえて、ひとつお考え願つていただければ、私の申しておることは、額面通りに御了解願える、このように考えております。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 ただいまの日本の國情からお説きになりました御説明は、私も同感であります。私が先ほど伺つておりますのは、お見込みはどうでありますか、政府の御方針通りにやれそうであるかどうか、やられるとすれば、私は早く業者も勞務者も納得さして、今お話のように、おのれをむなしゆうして乏しきに耐え、がまんしていくという決意を、いわゆる三位一體の態勢を速やかに確立して、しかし一日も早く石炭増産に後顧の憂いなく、獅子奮迅の勢いをもつて奮闘してもらいたい、かように思いますが、先ほどから伺つておりますのは、政府のただいまの御方針、これは私も同感でありますが、近くできそうな話ですが、來年まで持越しになりそうか、そのお見込みを私は伺いたいのであります。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 見込みは人によりまして、いろいろの説が立ちましようけれども、私の立場としては、これはぜひやらねばならぬという至上命令の問題であろうと思うのであります。さいわい業者の側におかれても、さらにまた勞働組合の側においても、炭價竝びに勞働賃金、この問題は別として、ここに盛られたところのいわゆる石炭非常増産對策要綱というものは、趣旨としてはこれは賛成である。これに反對すべき筋合のものは何もないというお言葉を兩方から最近の會談においても聞いておるような次第であります。從つて、われわれこの兩者の一番要求されておるところの炭價の問題、あるいは勞働賃金の問題というものをば、日本の經濟事情その他に即しまして、ある程度解決できる。時期が來ますれば、これは全面的に御協力を願えると思います。しかしながら、その問題が解決できない時間のずれの間におきましても、原則的にこの問題は心から賛成だというお言葉をいただいてるのございますがゆえに、お互いに日本の經濟の事情をよく考えつつ、協力をしていかねばならないし、また必ず協力していただけるものである。このようにわれわれは考えている次第でございます。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 大分お苦しいと見えまして、私の聽きますお見込みがあるかどうか、近いうちに話ができそうかどうか、あるいは來年までかかるかどうかということにはお觸れになりません。ほかのことばかりお話になるのでございますが、この對策要綱にもはつきり畫いてありますように、責任をもつて急速に改善實行する。またそうでなければならぬのであります。ただいまのお話のごとく、業者側からも勞務者側からも、まことに結構だとお賞めの言葉をいただいて、私も結構でありますとお賞めの言葉を差上げますが、要は急速に改善實行することであります。私が重ねてたびたび聽いているのは、そういう急速にということは、近くできるかどうかということを聽いているのでありますが、それに對しましては、御答辯ができないようであります。勞務者側も勞務者の立場から増産に責任をもつてやつていけるような生計費を得なければ、石炭の生産にはかかれないというので、要望が出ているだろうと思うのでありますが、これもだんだん話を聽けば無理のない要求だと思うのであります。しかしお話のごとくに、大所高所から國家の實情現状を考えまして、そしてがまんし合つて、とにかく石炭増産をやらなければならぬということは、もちろん申し上げるまでもないのでありますが、責任をもつて急速に實現實行するという御方針も、私そうだと思いますが、結局商工大臣の政治的生命をおかけにならぬというように解釋してもよろしゆうございますか。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 御解釋は、それは各人の立場でありまして御随意でございますが、私といたしましては、先に申しましたところの決定要綱を強力に推進して行き、またそれに對して勞資双方から協力してもらえるという見込みの上に立つて申しているのであります。協力してもらえないならば、これは閣議で何遍決定をいたしましても、絵に書いたぼた餅でございまして、われわれは必ず協力してもらえるというつもりで、これはやつております。さらにまた一々の山に對しまして、われわれが検討をいたしまして、ほんとうに増産に勵んでおられる山にして、なおかつ現在の炭價ではどうするわけにもいかないというような問題は、山々にあたつてみまして、できるだけ早く手を打とう、また打たねばならないというぐあいに考えている次第でありまして、何も私は現在の經濟事情だけを説教いたしまして、協力を求めるというのではないのでございまして、あらゆる手を用いまして、これをやつていこうと思う次第でございます。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 どうも私の聽きたいことは、重ねて聽きましてもお答えができないようであります。まことにこの點は殘念に存じております。しからばこれはまだ解決はしていないと解釋いたして、次に進みますが、來年の資材の問題もまだ片がついておりませんから、これは安本長官が見えたらまた聽きます。來年は新坑二十萬トンを御計畫になつておりますが、これはどこどこの山からお出しになるのであるか、これをお示しを願いたいと思います。

吉田悌二郎石炭廳次長

○吉田政府委員 新坑の開發計畫は、來年は二十萬トンという豫想をいたしておりますが、いずれの山からやるかということは、われわれ計畫をしておりません。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 どこかから出さなければ二十萬トンは出ないと思いますが、どこから出るかわからないで二十萬トンは、どういう基礎であるか伺いたいと思います。

吉田悌二郎石炭廳次長

○吉田政府委員 資材計畫が、大體二十萬トン出る豫想のもとに、資材計畫を立てておる次第であります。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 資材計畫が二十萬トンだけの資材があるからというが、しからば私はまだ今保留しておりますが、三千三百萬トンの資材がどうしてもできないのではないか。資材の裏づけができないのではないかというので、昨日まで繰返し繰返し政府の御方針なり、お見込みを聽いているのでありますが、資材計畫を基礎にして出炭量をおきめになつている、かように解釋してよろしゆうございますか。

吉田悌二郎石炭廳次長

○吉田政府委員 資材資金計畫を基礎にいたしまして、大體二十萬トンを出す豫定にいたしております。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 しからば來年の三千三百萬トン、再來年度の三千六百萬トン、この五箇年計畫は、全部資材が基礎になつて、これがために三千三百萬トン、三千六百萬トンとお定めになつているという御説明だと聽いております。五箇年計畫の根本方針は、私はこれだけ石炭を出さなければ、日本の再建復興ができないから、それでこういう計畫にしたのだ、かように今までは御説明があり、またそういう御方針だと聽いているのでありますが、資材の方から先に考えられて、資材があるから二十萬トンなり、あるいは三千二百八十萬トンなりを計畫しているのだということでありますれば、根本においてまた考え方が違つてくるのでありますが、これは大臣はそうお認めになつているのでございますか。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 どうも淵上さんは自分勝手な御解釋をされるので、非常に困るのでまりますが、今吉田君が申しましたのは、もちろん經濟の絶對要請において、二十三年度何千何百萬トン、それに對して資材資金を考えるのでありますが、この計畫と資材、資金と二つのものを對立して考えるわけにはいかないのでありまして、これは一つのものとして考えなくてはならない問題であろうと思うのであります。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 それでは政府委員のただいまの質問は、ひとつお取消しを願つたらよかろうと思います。大臣の説明と違いますが…。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 ただいま私が申し上げましたように、これは盾の兩面をば半分づつ言うているのでありまして、別に矛盾したことを吉田君が言つたのではございません。私の説明によりましても、また吉田君の説明によりましても、兩者の間には何らの矛盾がないというように、素直に御解釋を願いたいと思います。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 二十日に要求いたしましたる資料は、大體先ほど頂載いたしましたが、この提出が遅いために、これによる私のお尋ねは、今日できないのはまことに遺憾に存じます。それからもう一つは、昨日委員長は、大藏大臣はきよう開會劈頭に來られるという約束をされたのでございますが、これも遺憾ながらうそになつたので、これに關連して、私がさらに聽きたいことも、續いてできないことは、まことに遺憾に存じます。しからばそれはそのままに結末をつけずにおきまして、次に進みます。  勞務者に責任を負わせることは、實際の實情から申しまして、ぜひ必要なことでありますが、この提出されております法案が、期待しているような責任をただちに現在の勞務者にもたせることが、はたして妥當であるかどうかにつきまして、御所見を伺いたいと思うのであります。各鑛山の大體の傾向としては、おそらく大して違いはないと思いますので、私はある炭鑛の數字をもちまして申し上げたいと思うのであります。福岡縣に三菱經營の飯塚鑛業所というのがありまして、飯塚炭鑛と上山田炭鑛と鯰田炭鑛の三つを管轄しておるのであります。それぞれ年十八萬トン、鯰田は二十五萬トンくらい出す鑛山であります。  まず飯塚炭鑛におきまして、坑内夫が二千百六十七人のうち、勤續一年未滿者が千四百六十七人であります。歩合から申しますれば六七%。一年以上の者が三三%となつております。この六割七分以上の者は一年未滿で變つておる實情であります。一年以上の者はわずかに三割三分、上山田炭鑛におきましては、坑内夫千六百七十八人のうち、一年未滿が六一%であります。三割九分が一年以上おる者、鯰田炭鑛におきましては、坑内夫二千二十九人のうち、一年未滿が四五%、これは割合少い方でありまして、五五%が一年以上おる者であります。坑外夫につきましては、飯塚が千百七十五人のうち、一年未滿の者が五百十七人、上山田が八百九人のうち三百六十一人、鯰田が千三百二十三人のうち五百三人、これを大體見まするのに、一年未滿の勤務者が非常に多いのであります。一年以上は半數に滿たない。三箇所平均いたしまして、全勞働者について四七%であり、坑内夫については四一%であります。これを十年以上の勤務者について見ますると、きわめて少いのであります。十年以上の勤務者は、飯塚炭鑛において三千三百四十二人の勞務者のうち、二百三十七人でありまして、わずかに七%であります。上山田炭鑛におきましては、全勞務者二千四百八十七人のうち、十年以上は二百九十六人でありまして、一一・九%であります。鯰田炭鑛におきましては、三千三百五十二人のうち、五百八十一人でありまして、一七・三%であります。平均いたしまして一二%であります。百人につき十二人しか十年以上の勤續者がない。二十年以上に至りましては、もちろんさらにひどいものであります。そういう状態において、非常に移動が頻繁である。その山に定著して、ほんとうに働いて、山の性格なり、あるいは山の人の氣分なりをつかむためには、相當長くいなければならないのであります。先般もお尋ねしましたように、それぞれ山には性格があるのであります。そういうふうな非常に移動の激しい勞働者の中から——大多數は今申し上げましたように、七割は一年未滿、一年以上が三割しかいない。しかも十年もいる人は百人につき十人かそこらだ。こういう山の實體がわからない大多數の勞働者及びその勞働者の代表者に、この法案が期待するような責任を負わすことが、はたして適當であるかどうか。私はこの點を非常に憂慮しております。勞働組合の代表になるような人は演説がうまい、坑内にはあまりはいらない。坑内にはいつていると、もうその次は幹部をやめなければならぬので、私が申し上げるまでもなく御承知のように、坑外におるのであります。ただ東京に演説に來るときには、晝の日中キヤツプ・ランプを借りてきて歩きますけれども、實際ははたして坑内で十年も働いた人が何人いるかということを、私は疑うのであります。こういう人は坑内には働いていない。しかも十年以上も坑内で働いた人は、ほとんど勞働者代表として、あるいは經營協議會なり、あるいは炭鑛管理委員會なり、中央あるいは地方の委員會に出る人の中にはいない。ほんとうに黙々として山にはいつて炭を掘るという勞働者は、あまりそういう代表者にはいないのじやないかと思うのであります。しかも今申しますように、實に移動が頻緊である。そういう人たちがいわゆる代理者と稱するのであります。しかもそういう代表者は、ただ演説がうまいからとか、頭がよいからとかいうようなことで、おそらく代表者になられるのだと思いますが、委任をする大多數のものは、移動常なき勞働者であるのであります。そういう人たちに、私は先ほどお話のように、三位一體のその三つの一方をかつがせる。責任をもたせるということが、はたして妥當であるかどうか。根本において私はそういう疑いをもつているのであります。昨年の春から、東京方面でも、各地でも、たくさん例がありましたが、勞組の人が工場の業務管理をやる、しかしほとんど成功しなかつたと、私は見ておるのであります。資金、資材の手配等、あるいは經營面に至つては、大多數が無經驗であり、無知識である。そういう代表の母體たる勞働者が、そういうふうに移動が頻繁であり、山の性格をあまり握つていない。しかも經營に關しましては全然無經驗、無知識であります。その母體から選擧されてくる勞働者の代表者の人たちが、演説がうまくても、そろばんもできない。資材の手配もできない。經理事務もできない。そういう人たちが大多數であると思うのでありますが、こういう人たちに對して、いわゆる三位一體の三分の一の責任を背負わせるということが、私は非常に無理じやないかと思つております。大臣の御理想では三位一體となつてやると言われるが、それはおそらく御理想であつて、われわれもなるほどいいお考えだと思うのでありますが、はたして三位一體の三分の一の責任をそういう人たちに背負わせることが適當であるかどうか。現在の實情から申しまして、私はきわめて眞剣に検討しなければならぬ問題であると思います。從いまして、この法案の建前につきまして、大分現状とかけ離れた、理想にすぎて、行き過ぎているのでありまして、この法案自體につきましても、そういう勞働者に三分の一の責任をもたせるということは、現在の増産のためには、害はあつても何ら益にはならないと考えるのでありますが、商工大臣はどうお考えでございましようか。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 この點に關しましては、これまでたびたび答えた通りであり、また昨日も答えました通りでございまして、勞働者觀というものにつきまして、淵上さんと私とが正反對の立場に立つていることは、まことに遺憾であろうと思うのであります。從いまして、この問題に關しましては、立場がはつきりと違つているものですから、私も淵上さんが千萬言を盡されても納得はいきませんし、また私が淵上さん以上に倍の言葉を費しましても、あなたの御了解を得るわけにはいかないと思います。ただわれわれといたしましては、ただいま御指摘のように、炭鑛勞務者の定著性というものが、非常にないことは遺憾でありますが、しかし現在の石炭企業の生産要素のうち、機械力に對しまして七割五分を占めている勞働力、この勞働力をばフルに發揮させる、いわゆる勤勞意欲をいかにして振興さすかというところに、石炭の生産増強の大きな行く途があるのじやないか、このようにわれわれは考えている次第であります。從つてこの點に關しましては、それでは淵上さんのおつしやるようにいたしまして、はたして政府と企業家とで二位一體にやつていく方が三位一體よりはいいか、あるいはすべてを企業家に任していく方がいいかということは、いろいろ檢討しなければならぬと思います。しかしわれわれといたしましては、現在のこの資金、資材の、最重點主義と申しましても、なかなかこれは百パーセントにいかない今日におきましては、何としても七割五分の生産要素を占めている勞働者諸君の勤勞意欲の振興、これをフルに發揮してもらうというところに、生産増強の大きな途があるのだというのが、これが私の偽らない考えでございます。私はこの點が淵上さんと根本的に違つていることを、きわめて遺憾とするのでございまして、その點はお互いの立場を尊重していきたい、このように考えております。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 これは他の國の話でありますが、イギリスのシンウエルという燃料大臣が、内閣交迭の場合左遷されたのであります。その左遷の理由は、アトリー首相の言をもつてすれば、共産黨につながりがあつて、イデオロギー張りである、殊にこの冬の石炭危機に對する處置が無為無策であつた、そういう攻撃の的になつたからといつて左遷されたのだそうであります。共産黨につながりがあつたということは、日本でいえば左派とでもいうのですか、非常に面白い事實だと思つたのでありますが、續いてこういうのがあります。この間のヨークシアの炭鑛爭議のとき、ロンドン・タイムスによりますと、勞働者に國家のために働くのだという意義をもたせて、そうして炭鑛の雰囲氣を改善させ、もつて増産に寄與せしめようとしたのであつたけれども、かかる道義的要望だけでは効果がないということが初めてわかつた。それで、こういうふうにしなければいかぬ。實際に買い得る物資が非常に乏しいので、一定以上の賃金の獲得、金をよけいもらおうという意欲がない。物の裏づけをしてやつて勞働者を働かせる、あるいは勵みをつけるというふうにしなければならぬ。あるいはもう一つは、缺勤常習者に解雇權を認めなければ規律が確立しないというようなことが書いてあるのであります。國家のために働くのだという意識をもたせ、炭鑛の雰囲氣を改善させ、そうして増産に寄與せしめようという道徳的の要望では、もう増産にならない。物でいかなければならぬぞという論説が出ておつたのであります。去る七月の二日の本會議で、商工大臣の御説明によりますれば、「炭鑛の國家管理をやつていけば、勞務者自身は國家的地位に目ざめ、誇りをもつて働くことができると確信するのであります。」かように申されておるのであります。「働く人人の生産協力の體制といたしまして、炭鑛經營協議會を活用いたしまして、勞働者諸君が國家的自覺と國家的誇りによりまして、勤勞大衆の責任のもとに、石炭三千萬トンをたたき出したいと、われわれは考えておる次第でございます。(拍手)」こういうふうに速記録に出ておる。私どもの耳にもそういうふうに殘つておるのであります。ただいまお話のように、國家管理をやることによつて、勞働者に國家的自覺、國家的の誇りをもたせたいのであるが、はたしてもつかどうか、この點私は非常な疑問をもつておるのであります。この間の公聽會でも、勞働者の公述人は言われておりました。四十二萬の勞働者が國家管理即断行を希望しておると言われたのでありますが、これは私はうそであると思つておるのであります。勞務者の九割以上は、まだ國家管理がはたしてどういうものであるか認識していないのが實情であるのであります。これは豫算説明で大臣自身言われますごとくに、まだ十分でない——政府の現場把握という言葉がありますが、この點に關しましても現状においては十分でない。現場把握を強化するためにも、この國家管理が必要だという御説明でありますが、今の勞務者の大多數が國家管理を理解していない。ただ話を聽けば樂になりそうだ、賃金がよけいに貰えそうだから、それじや國家管理はいいなあというような程度で聽いておるだけでは、ほんとうに大臣の包藏されておるごとき高遠なる理念は勞働者四十二萬にはない。ごく一部の頭のいい人たちにはわかつておるかも知れませんが、これが現實の實情であると思うのであります。きのうも申しますように、勞働者はほんとうに自分が生きていくために働いておるのであつて、國家管理になるとかならぬとかいう問題は、むしろ第二義的の問題である。まず自分の地位の安定と生活の安定を考えるのは當然である。それを大臣の御説明によりますれば、國家管理になれば勞働者が國家的自覺をもち、誇りをもつ——國家的自覺と矜恃をもち得るかどうか、これは水谷商工大臣がさように言われるがごとく、ほんとうにそう考えておられるならば、きわめて實情不認識である。非常な危険な誤解であると、私はかように思うのでありますが、ほんとうに眞底からそう考えておられるかどうか、ただ勞働者階級に對する一つのゼスチユアとして、政治的にそういうふうにお話になつており、あるいは鞭撻するための一つの方法として、そういうふうに表現されておるのかと、私は思うのでありますが、言われておる言葉その通りに、國家管理になれば勞働者が國家的自覺をもち、矜恃をもつというふうに、眞に心底からお考えになつておりますかどうかを伺いたいのであります。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 いやしくも一國の大臣が、本會議におきまして、法案の提案理由を説明する場合におきましては、心にもない言葉の修辭を竝べるということは、絶對ございません。私は心からそれを信じておるがゆえに、堂堂と本會議で述べたのであります。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 そうなければならぬと私は思うのであります。たとえば本法案は、きわめて最近の機會に出すと七月二日に言われて、八十五日目の九月二十五日に出しておる。これは結果としてうそになつたことをまことに遺憾に存じておりますが、方針と現實というものは、いろいろ違うのでありまして、ただいまの勞務者の自覺の問題につきましては、眞底から思つている、大臣としてうそは言わぬと言われたのであります。その點は私安いたしました。しからば伺います。國營の問題につきまして、まずお尋ねいたしたいと思いますが、大臣も閣僚として重要國務につきましては連蔕責任をもつておられるのであり、常に閣議に列せられておりますので、他者のことといえども、よく御承知だろうと思うのでありますが、現在遞信、鐵道は國營になつておるのであります。この鐵道、遞信の從業員、勞務者が、はたして國家的自覺に徹し、國家的誇りをもつて精勵恪勤しておるかどうか、これをお尋ねいたしたいのであります。國鐵につきましては、昭和十二年の支那事變までは二十四萬人でやつておつた。その後走行距離も延長されていない今日、現在は六十萬人でも以前ほど能率があがつていないのは御存じの通りであります。遞信とか、あるいは國鐵の方につきまして、國營なるがゆえに——これは國家管理以上に徹底した經營の状態であるのでありますが、國營なるがゆえに、ほんとうにこの人が國家的自覺をもち、國家的誇りをもつて精勵恪勤しておるかどうか、お尋ねいたします。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 私はこの際内閣全體の調和の上から見ましても、またその他の高い立場の上から申しましても、他省の事業に對しては、この際とかくの批判を避けたいと思つております。

伊藤卯四郎日本社会党

○伊藤委員長 淵上君にちよつと御相談いたしたいと思いますが、なるべく法案を中心にして質疑をしていただきたいと思います。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 法案の根本問題です。脱線じやない。國家管理をやると言われるから、國家管理をやるために、大臣の説明では、勞働者が、國家管理になれば國家的自覺をもち、誇りをもつと言われるから、ほんとうにそうかということを聽いておる。これは法案の説明に對する質問であります。委員長においてもよほどよくものを考えて言われぬといかんです。しからば他省に關することでなく、商工大臣の監督下にあります問題をお伺いいたします。電力の關係を伺います。昭和十三年に、御存じのように當時華やかなりし新官僚が、軍部の國防經濟の充實というスローガンに後押しをされて、そうして議會に電力國營案をぶつつけたのであります。しかしながら、畫一的の強制操作というものが、生産力の合理的發展の上から見て、かえつて國策遂行の上に目的は達し得ないだろうというような理由とか、あるいは私企業の創意くふうを剥奪するということは、結果としておもしろくないというごうごうたる非難が全國的にあがつて、結局すつたもんだして、國營が國家管理に變つたのでありますが、その當時の一枚看板であつた良質低廉、豐富なる電力を供給するという看板がうそになつておる。六〇ワツトの電球は六〇ワツトの質をもつていない。値段は低廉でもない。まして斷じて電力は豐富ではありません。從業員は官僚化して、サーヴイスが惡くなつておる。爾來十年電源は開發されずにおる。そして今日ごらんの通りに、到るところ毎日のように停電して、各地の工場は、停電のために經濟再建という面から見まして非常な支障を來しておる實情であります。いたずらにローソク屋成金をつくつておるばかりである。先般大臣は九州に御出張の際、戸畑の中原の發電所をごらんになつたそうであります。あのときに、これは九州でも有名な非能率の標本のように言われておるところでありますが、さすがに大臣も——私は新聞で見たのでありますが、何とかしなければならぬ。強力な手を打たなければならぬと言われた。これはある新聞に電力國營をやらねばならぬと書いてありましたが、坊主の頭を結う話は今日はしたしませんが、國家管理の失敗は、すでに十年前施行されたこの電力について、われわれ國民はいやというほど體驗いたしておるのであります。大臣がお話のごとくに、國家管理になれば從業員、勞務者が國家的自覺、矜恃をもつと言われるならば、この十年間及び現在の電力從業員が、はたしてそうであるか、國家的誇りをもち、自覺をもち、精勵恪勤しておるとごらんになりますか。これは商工大臣直接の御管轄の問題でありますが…。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 電力の問題についてですが、これは今御指摘のような結果になつたという問題は、單に經營形態というような問題ではないのでございまして、日本がいわゆる無理な戰爭に突入して、そして無理な戰爭經濟にはいつたものでございますから、手當すべきものも手當できず、事業が荒れるに任せなくてはならなかつたという結果が、今日のような状態になつたのであります。たとえば國鐵の場合におきましても、過去においては黒字を出し、そして一般豫算にも寄與した點があります。そのときにはそのとき、そういうことができるような國鐵の内部の事情であり、それが戰爭にはいつて、ついに國鐵に對して與うべきいろいろの手當もできなかつたということが、これを單に經營形態だけで、その間に大きなできごとであるところの今度の戰爭というようなものを頭に入れられずに、單に經營形態だけで、そういうような論議を繰返されるということは、私は公平な立場からどうしても賛成するわけにはまいりかねるのでございます。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 よくひとつ質問の要旨をお聽きとり願いたいと思います。私は經營形態の問題を今お尋ねしておるのではありません。去る七月二日の本會議で御聲明になりましたように、その後今日まで主張されておりますように、國家管理になれば勞働者が國家的自覺をもち、國家的誇りをもちますかという話を聽いておるのであります。電力の國家管理は、すでに十年經つておる。この十年間、竝びに現在においても、電力關係の從業員、勞働者が、國家管理なるのゆえをもちまして、國家的誇りをもつて精勵恪勤しておると思いますかということを聽いておるのであつて、戰爭のために電力の成績が惡いとか、企業形態がどうかいうのを聽いておるのではありませんから、その點をひとつお答え願いたいと思います。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 電力の國家管理と言われますが、今の日發あるいは配電の經營形態、そして今度の石炭企業においてやられるところの國家管理というものとをよく比較して、ひとつ御檢討を願いたいと思う次第でございます。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 私の聽いておるのは、勞働者が國家的誇り、國家的自覺をもつて精勵恪勤しておりますかということを聽いておるのであつて、電力においては大臣直轄のお仕事でありますが、國家的誇りをもつてやつておるならば、なるほど炭鑛につきましても、國家管理になれば、大臣が言われるように、そうかなという納得もいくが、どうもわれわれはそうも思えぬので、實は電力關係の從業員は、國家管理のゆえに、國家的自覺と誇りをもつて精勵恪勤をしておるとごらんになつておるかどうかをお聽きいたしたいのであります。その點をはずして、ほかのことを言われても、答辯にならないのであります。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 それは電力事業に從事しておる勞働者の中におきましても、國家意識に目覺めておる者もあれば、あるいは遺憾な層もあろうと思います。しかしながら、われわれは全般的に見てものを判断しなくてはならないので、一部尖鋭少數の士に行き過ぎがあるものを捕えて、判断するわけにはいかないのではないかと思います。電産勞働組合の行き方に對して、見る人によつては、いろいろございましようが、しかし私はその勞働組合の大多數というものは、今淵上さんの御指摘されたような點には染まつておらない、このように考えます。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 どうも私は大臣の答辯は、まだ滿足できないのであります。東京でもそうでありますが、田舎の方でも、電力關係の從業員で、そういう勞働組合にはいつておる人ではない私の知つている人が何人もございます。私この間もどうだ、お前たちは國家管理の仕事に從事しておるから、とにかく國家の仕事をやつておるのだと思つて働いておるのか。そうですか。こういう状況です。何も勞組の關係のない人がそういう調子なんです。要するにこれは水谷商工大臣のように仁義感の強い道徳の高い人ならば、なるほどそうでございましようが、一般の勞働者はなかなかそうはいかぬのであります。御理想通りの國家管理になつたとたんに、國家的誇りをもち、自覺をもち、精勵恪勤するわけにはいかぬだろうと思います。從いまして、先ほど申しましたように、責任を負わせることも妥當でないが、水谷商工大臣の放送されておるような國家的自覺と誇りをもたせるということも、また現實にはこれは繪に畫いた餅になりはしないかということを、私は心配しておるので、この質問をしておるのであります。これ以上繰返しましても、これ以上の御説明はなさらないかと思いますので、一應この問題はこれで打切ります。  次に拘束八時間の問題についてお伺いをいたします。勞働者の生産意欲の問題であります。委員長にひとつ私から注意しますが、私の聽いてることは、この管理法案に關する問題ばかりであります。よく委員長もどういうことを聽いて、どういう答辯があるかということをよくお聽き願いたい。發言の邪魔をせぬように十分御注意を願いたい。わかりましたね。  勞働能率の低下、職場規律の質問が常に論議されておる。終戰後のこの急激なる民主主義國家への轉換にあたりまして、現實には國民にはまだ十分なる反省訓練ができていないのであります。先般も申し上げますように、民主主義はまだ履き違えられておるのであります。自己の主張のみをいたしまして、義務の觀念が薄い、炭鑛の現場におきましても、監督者も勞働攻勢に押しまくられて、そうして以前のような指導監督はできないのが實情であるのであります。ある新聞の掲載でございますが、御承知であろうと思いますが、麻生の綱分炭鑛というのがございます。この作業時間は三時間十八分という調べを發表しておりまして、採鑛の時間がちようど四一%にしか當らないのであります。私ども、この筑豐地方では、事實はどうか知らぬが、炭鑛は坑内は三時間しか働いていないという風評が一般に傳わつておる、これが常識のようになつておるようなわけでありますが、そういうところでも、九州はごらんのように、非常に成績がいい。ここにまじめに働いておる勞務者もおるのであります。眞劍になつて、なき資材の中から石炭の増産に敢闘しておられる經營者がたくさんおるのであります。しかるに北海道は鑛齢も若く、切羽までの所要時間も少くて濟むのですが、これも岡田委員の説明によれば、實働が五時間十三分で、箱待ちが十三分と言われますが、故障のために三十一分使い、往復時間が五十八分で、これを合わせると七時間近くなつたのであります。まだ八時間にはならぬのであります。北海道の成績の惡いことについては、西田委員からもこの間質問があつて、お答えがあつたのであります。この間本月三日に總司令部の經濟科學局石炭顧問のチヤス・ガツツチヨークという人が道廰に行つて、關係者を五十人ばかり集めて、石炭増産のための教育をやられたのであります。新聞の報ずるところによれば、こういう話をしたそうです。「北海道の數箇所の炭鑛の石炭生産は、目標の半分にも達せず、それより二百萬トンも足りない。多くの採炭夫は八時間勞働といいながら、多くは五時間から七時間で持場を離れ、しかも日給の全額を要求している。四十二萬八千に及ぶ炭鑛從業員は、現在食糧、衣料、住宅、家具などを最優先に與えられているのに、他の何百萬の勞働者は石炭が十分生産され、工場が動き、物が作られるまで、食糧、衣料品などの人並の配給についておあずけをくつているのだ。この日本再建の危機に際して、生産の低下を進め、不當な賃金を要求し、勞働時間の短縮を要求するものは日本人の敵である」こういう話をしたそうであります。炭鑛勞務者の生活のよくないことは、先般の公聽會においても、勞務者側の公述人が言つておられたのでありますが、敗戰後の、しかも戰災後の日本の現在の實情において、一般勞務者に比して、はたして炭鑛勞務者がみじめな状態であるかどうか、よほど研究問題だと思います。私はむしろ炭鑛勞務者は——なるほどみじめなひどい山もあるでありましようが、大體論としては、ほかの勞務者に比して、相當優遇されておると思います。六合三勺の配給のほかに、坑内の勞働者は一合に相當する乾パンもいただいておる。政府におかれましては、特別の留意を拂つておると思います。酒、タバコの嗜好品も特配する。鹽も、この間商工大臣の言われるように、北海道にはどしどし送る、かように言われております。住宅につきましても、なるほど足りないが、その増設については、政府初め關係方面では格段の努力を拂つておられる。國家が不足がちの食糧とか生活必需品を、他の國民の分を犠牲にしてまでも、特に炭鑛に向けております。商工大臣が先日、北海道の能率の低い原因は、生産意欲の低下であると言われましたが、出炭不足の原因が、勞務者の働きが足りないということが言われることは、まさしく現在の日本の勞務者の恥辱であり、勞働組合の恥辱であると私は思います。殊にガツツチヨーク氏の言うがごとく、日本人の敵であるとまで言われることは、けだし勞務者竝びに勞働組合の名譽でも何でもない。もし責任感の稀薄というならば、これは炭鑛勞働者だけではないではないかと言われるとするならば、なるほど今の日本の一般國民の共通的の問題であるかもしれません。しかし概して政府も格段の補助をせられて、炭鑛勞務者を優遇されておるのでありますから、少くとも拘束八時間だけは、十分働き得るだけの覺悟と決意があつてしかるべきだ。國民はこれを炭鑛勞務者に要求しておると思います。大臣は全般論としまして、拘束八時間がはたして勵行されておるか否か、どういうふうにお考えになつておるかを聽きたいと思います。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 ただいま北海道の例をおあげになりましたが、北海道のことは九州と比べまして遺憾な點があることは、前の西田委員の御質問に對してお答えをした通りであります。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 北海道のことは合間に挟みました。私が今お尋ねしているのは、全體として拘束八時間というものが、炭鑛勞務者に勵行されておりますかどうか。どうお考えになるかと聽いているのであります。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 これは勵行されておる所もありますし、またやや遺憾な點もあるということは、私も認めます。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 勵行されていない所もある、勵行されている所もある、そういう御答辯として伺つておきます。岡田委員も言われましたが、北海道の勞働者は、働こうと思つても働けないのだということを言われておりました。しかるに私は非常な疑問をもつているのであります。大體今年の上半期の全國出炭高が千二百九十二萬五千トン、三十五萬二千トンばかり計畫から足りない。九州が計畫量を突破して非常な成績を上げているのに、北海道は依然として惡い。計畫の三百七十五萬トンに對して三百四十七萬トンで、九二・六%にしか當つておらぬのであります。石炭の生産の重要なることがこれだけ説かれ、勞働時間の延長が、これだけ論議せられ、また政府もそれだけの格別の留意をして、北海道には特に手配をしておられるにかかわらず、國民の期待を裏切つているのでありまして、要するに炭鑛勞働者が依然として働いておらぬ。三井上砂川の九月の調べを、讀賣はニュースとして取上げておつたのでありますが、これによりますと、九月の十日、二十四日、二十九日の三日間の調べであります。調査對象が坑内夫延三千六十四名のうち、就業時間五時間未滿が二百十九名、六時間未滿が四百四十五名、七時間未滿が八百八十四名、八時間未滿が千二百四十名、八時間完全就業が百四十五名、八時間以上時間外勤務百三十一名、三日間にわたる延三千六十四名についての調べであります。八時間未滿の合計が二千四百八十八、八時間完全就業及びそれ以上の時間外勤務をした者が合わせて二百七十六名でありまして、八時間未滿の數は八七%であり、八時間竝びにそれ以上働いているのが一三%にしかすぎないのであります。山も設備もよく、大した缺陥もない、勞組も全炭協系で、經營協議會もうまくいつている北海道の上砂川のいい山で、こういう状況で、他は推して知るべしということになるのであります。北海道の炭鑛勞働者は、日本經濟の危機を背負つて立つという資格はないのだと言われても、一言の辯解の辭もないだろうと、私は思うのであります。この間も西田委員から聽かれたときに、大臣の答辯の中に、現在の資材の入手状況からすれば、一割以上は出炭を向上し得るという答辯がありまして、心強く思つたのでありますが、私は北海道の現在の能率の低下には、必ず何物かがあるのじやないか、明敏なる商工大臣は、何か精神的に理由があるのではないかという面を把握されておるのではないかと思うのでありますが、御所感はいかがか、お伺いいたしたいと思うのであります。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 北海道の勞働者諸君が九州地方の炭鑛勞働者諸君に比して、勤勞意欲が盛んでない、その原因に何かあるのではないかということでございますが、これはいろいろあろうと思います。ただいま淵上さんは、その點に關して精神的という言葉を使われましたが、あるいはそれは思想的という言葉の方がはつきりするのではないかと思います。そういう何か原因があるのではないかということですが、大體淵上さんはどのように御想像されておるか知りませんが、まず淵上さんから御意見を聽かしていただきますれば、それに對して私も御返答いたしたいと思います。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 この間北海道の能率低下の理由につきまして、西田委員から質問があつて、それに對する大臣の答辯では、こういうことを言つておられるのであります。北海道では經營者、勞働者が資金資材を理由にするけれども、他の地方以上に資金資材は出しておるのであるが、いかにこれが炭鑛に入手されておるかはつきりわからないから、調査して公表するとともに、今後においても要求に應じて重點的に資金資材を注ぎこんで、北海道ではこれを口實に主張できないようにしたいと思います。なお一層の奮起を促すためには、さようにしたいと思うというような話があつたのであります。資金資材が炭鑛に入手されておるかはつきりわからないから、調査して公表すると言われましたが、そういう信頼のできない山は、どこであるかお示しを願いたい。もし必要があれば、秘密會を要求してでもよろしいと思いますが、どういう山かお示しを願いたい。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 ただいまの御質問の點は、實際は北海道に對しては、從來も現在も他の地方以上に資金資材は出しているのであるが、實際これが炭鑛にいかに入手されているかが、十分に明らかになつていないので、この際北海道に對する資材資金等の供給状況を詳細調査し明確にして、これを公表するとともに、という意味は、どういう意味かというお尋ねでありますが、これは主としてそういうことが實際どのように行われておるかを診断したいということが重點でございまして、實際炭鑛にはいるべき資材が横に流れておるとか、あるいは流れておらないとかいうことを前提にしておるものではないのでございまして、流れておるぐあいがどのようになつておるかということをはつきりさす、その意味で俗に言う診断をしようという意味で、述べた次第でございます。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 御趣旨はそれでわかりました。成績の上らない山を今度は徹底的に調査したい。調査班を二、三週間のうちに派遣したいということを、四日の日に言明されまして、今日ですでに三週間近くでありますが、派遣されましたかどうか。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 ただいまの言葉は、私も言つたことは實実でございますが、行つていただく方のいろいろの都合によりまして、大體下旬、遅い人はこの月末ということになりまして、大體三班を派遣することになりまして、二、三日前にも行つていただく技術者諸君を中心にいたしまして、いろいろ北海道へ行つてやつていただくことの點に關して打合わせをいたしましたので、大體この月末までには三班とも全部出發できる状況になつております。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 成績の上らない調査に行かれる山は、どこどこであるかお示し願いたい。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 具體的に山の名前を言うことはどうかと思いますが、大體私らの考えによりますと、大きな山、あるいは中山、小山、こういうものの代表的なもの、さらにまたこれまで北海道におきましても比較的能率が上つておる山、さらにまた比較的能率が上つていない山、あるいはまた地域その他諸般の事情を斟酌いたしまして、それぞれ代表的なものをやつていきたいと考えております。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 ただいま申しましたように、四日の御言明によりますと、今後も要求に應じて重點的に資材資金を北海道には注ぎこむということでありますが、そうするとこの間うちからしきりに研究を願つております資材の問題でありますが、今ですらだんだん枯渇してきており、各山とも皆困つております。そういうように北海道にだんだん重點的に注ぎこまれたら、常磐や西部、九州方面は、一體資材はどうなつていくか、非常に憂慮に堪えないのでありますが、どういうようにお考えでありますか。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 この間申しましたことは、今後においても要求に應じて思い切つて北海道に重點的に資金資材を云々ということは、北海道をほかの地域に比べて重點的という意味ではなく、北海道におきまして能率の上つておる山に重點的という意味で言つたのでありますから、さよう御了承を願います。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 その能率の上つておらぬ山というのは、公表できないのならば遠慮いたしますが、そのときになお越冬資金をやりたいということを言われましたので、まことに結構なことと思います。こういういろいろ御心配をいただくことによりまして、北海道に石炭がどんどん出てくるということになれば、まことに結構でありますが、ただだれが出すかという問題であります。聞くところによりますれば、ある炭鑛では五千圓ずつ要求しておるとか、殊にある山では、薪炭費に一萬二千圓ずつ要求しておる山もあるように聞いておるのであります。大臣は現在要求が出ておる山があり、そういう山からどういう要求が出ているかをお聞きになつたことはございませんか。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 北海道の山に對して、いろいろの要求が賃金の上に出ておるということは聞いておりますが、ここにおきまして、どの山は何ぼの要求、どの山は何ぼの要求ということは、私ではわかりません。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 この間の御説明では、越冬資金をやりたいと思うと言われておつたのでありますが、それはおそらく成算あつてのお言葉だと解釋いたしますが、どういう程度の越冬資金を出させる御方針であるかを伺いたい。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 越冬資金の問題は、現に官公廰に對しましても、閣議では一人の家族で三千圓、さらにまた獨身が千圓ということにきまつております。石炭の勞働者に對し、どれくらいの點を出すかということは、まだ交渉中でありまして、明言を避けたいと思いますが、官公廳に對しまして出すように決定した越冬資金というものが、相當参考になるということだけはひとつ御了願いたいと思います。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 先般九月の三十日に、私はマーカーサー元帥の書簡に關連しまして緊急の質問をいたしました。しかるに數日中に政府は對策を發表するからという御答辯がありまして、詳細な答辯はその當時避けられたのであります。私質問をいたしたときに、技術を結集するという項に關連して、作業標準をおつくりになるというお考えがないかということも聽いたのであります。しかるに、その點に關しましては、何ら言及されなかつたのであります。御承知のように、人間には横著な者があり、非常に誠實な者もあるのであります。あるいはまた非常に誠實であつても、身體が弱くて働く能率の上らない人もあり、あるいは強くて能率の非常に上る人もあるのであります。ただいま上砂川の例を申しましたように、五時間、六時間未滿で、どんどん職場を捨てて坑内から出てくるというような連中が非常に多いのであります。私は何とか作業能率に關しまして、作業標準というようなものをお考えになる必要があるのではないかと、かねがね考えておるのであります。先般も公聽會である人が言つたのでありますが、坑内でサボつておるのは、賃金詐欺である。この法案に勞働者の罰則のないのは大いなる缺點である。こんな勞務者におべつかを使うような國家管理法では増産にならぬ。そういう公述人があつたのであります。勞働者には何ら處罰の規定を設けず、企業者あたりに非常に過重な罰則を設けるような國家管理法案であつて、こんな管理法案じや、増産にはならないのだということを言つておつたのでありますが、何とか合理的な責任標準というものをつくつて、それ以上に働いた人には、きのうも申したように、ロシヤのまねをする必要はありますまいが、非常に合理的な獎勵方法を講ずるとか、あるいは責任量をも働かない横著者には、斷乎として何らか處罰の方法をとるとかいうようなことが必要じやないかと思うのでありますが、この點は、商工大臣はどういうふうにお考えになりますか。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 ただいまの淵上さんの御質問は、石炭非常増産對策要綱に書いてあるのでございまして、二の職場規準の確立と給與制度の改善、その(一)に、「職場秩序を確立し作業遂行の正常化を圖るため各炭鑛をして職制において作業に對する指揮系統を明確にすると共に、經營者以下各人の義務と責任とを明らかにせる就業規則を勞働協約によつて規定せしめる。」ということが書いてありますので、ただいまの御指摘のようなことは、このたびの非常増産對策要綱で考えているというぐあいに、ひとつ御了承願いたいと思います。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 わかりました。繰返し申しますように、ただいまの項は、繰返し繰返し讀んでおつたのでありますが、ただいまのように、作業標準をお定めになるという御方針であるならば、まことに結構だと思うのであります。ただ繰返し申しますように、勞働協約で規定せしめる、これをいつまでも指をくわえて漫然と待つようなことをしておつては、當面の増産ができなくなるから、早くひとつおきめください。この間もお尋ねしますように、最後に書いてありますように、必要があれば法的措置をとるという問題のごときも、たまたま會期は延長されておりますので、できるならば早くこの會期中におやりになりませんと、來年になると結局二月三月になり、半年後になる。この非常増産對策の初めに書いてある急速に改善實行するということが、結局うそになることがありやしないかという心配があるのであります。できるだけ早く増産態勢を確立していただきたいということを切望してやまないのであります。  次にさらにお伺いいたしたいと思うのでありますが、この法案の御説明によりますれば、業務計畫については、政府は事業主の指導をなし得ることになつております、と言つておられるのであります。これに反して勞務者につきましては、經營参加を法的に確認し、勤勞意欲の増大と、その責任の明確化を期待し得るよう考えるのであります。單に期待し得るように考える、かように書いてあるのであります。私は非常にこういう生ぬるい考え方に對して不滿をもつておるのであります。勤務意欲の格段の増大とその責任の明確化とが期待され得ると考えて、勞務者の經營参加を法的にこの法律は確認することとしてある。かような建前である。日本再建のために、これほどまでに石炭の必要が説かれておる。そうして國家からも國民からも勞働者に非常なる努力と覺悟を期待しておるのでありまして、この際私は思い切つて炭鑛勞働者に一大啓蒙をなす必要があるんじやないか、かように思うのであります。勞働者が日本再建は自分でやるのだという大なる覺悟決意に出ますよう、今日この際政府は勞働者をして、ほんとうに憂國の至情に燃えしめて、眞に救國的の感激と奮起とを促がすの勇断がなければならぬ、かように私は思うのであります。商工大臣は社會黨の幹部であられるのでありまして、今日まで永年多數の勞働者階級を指導されてきたのであります。故アチソン議長が指摘されましたように、日本勞働のかつての過誤の大半は、指導者の責任であると指摘しておるのでありますが、さいわい現在は社會黨首班内閣であります。當面の非常増産をやらねばならぬことも申すまでもないのであります。公聽會では減産必至という多數の意見があつたのでありますが、この減産必至などと言われるような國管案などの小細工に出でずして、私はむしろこの際商工大臣みずからが一大勇猛心を起して、多數の勞働者に對して憂國の至情と救國の一大感奮興起を促すの決意に出られなければならぬと思いますが、大臣はそれほどの勇猛心をお出しになる決意はないのでありますが、この點をお伺いいたします。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 さきには私が政治的生命が缺けておると申したことに對して、それはあまりあてにならぬというおしかりをこうむりまして、この度は日本の炭鑛勞働組合が、私の指揮一本で服從するように、非常に私の力を過大評價されまして、上げたり下げたりされたのでありますが、ただいま御指摘の點は、そういうぐあいにくわしくはいつておりませんが、石炭非常増産對策要綱の三の勞働組合の健全化「勞働組合の自主制の確立と民主的運營により、その健全強化を促進する。」ということをうたつておるのであります。それでは勞働組合の健全化、今あなたが仰せられましたように、勞働者の愛國心を振興させて馬力をかけさすということと同じようなことを目がけておるのでありますが、大體私の考えをざつくばらんに言えば、今勞働組合には二つの行き方があると思う。一つは自分の生活保障をば生産増強と竝行さして生産を増強さすことが、自分らの生活を向上保障せしめる途であるというその行き方と、今一つはまず自分らの生活を保障しろ、生産物が戰前の三分の一になつておるにかかわらず、そして日本がこのように完全敗北の經濟状態になつておるにかかわらず、まず自分らの生活を保障しろ、そうでなければ生産に協力しないというような考え方が、私の目からは二つあるように思います。私はきわめて微力でございますが、その前に述べました點は、いはゆる勞働組合の健全化という立場から、炭鑛勞働者諸君が、現在の日本の經濟危機、竝びにこの打開における自分らの使命ということを考えられて、自分らの生活の保障は、石炭の生産増強と合わせてやつていくというような線になつてもらうように、萬全の努力をしてみたいと思います。さいわい淵上さんなんかの心からの協力を期待しておる次第であります。

淵上房太郎日本自由党

○淵上委員 この非常増産對策要綱でも、これを申されておるのでありますが、この非常というのは、一體どういう意味かわからずにおるのです。私は今大臣の答辯で抱負をお語りになりましたが、これはこれで國會に付するいろいろ方針を述べられ、あるいは國民にこの對策要綱を示して、これでやるんだとお示しになつておるのであります。しかも先ほど來申し上げますように、企業者側とも、たびたびお會いになり、あるいは勞務者側ともたびたび會つておられるようですが、まだ大臣がほんとうに放送せられるような三位一體の實が結んでないのであります。これはとにかく、もう少し馬力をかけて、經營者も指導をなさるとともに、勞務者も指導するという非常な熱意が要るだろうと思うのであります。同時にまた、私はもう少し國民運動に眼をつけられて、非常な氣魄をもつて、そういうように八千萬國民に呼びかけることが必要でないかと思うのであります。  なお私は次會に續いて質問さしていただきますが、安本長官と大藏大臣はこの次には出ていただけますか。うそにならないようにお願いします。

伊藤卯四郎日本社会党

○伊藤委員長 本日はこの程度に止めまして、次會は明後二十五日午前十時より會議を開くことといたしまして、本日はこれにて散會いたします。     午後三時五十五分散會

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