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1回国会衆議院1947/10/07

鉱工業委員会 第15号

発言数
64
登壇者
5
会派数
2
開催日
1947/10/07

会議録

伊藤卯四郎日本社会党

○伊藤委員長 これより會議を開きます。  前回に引續き臨時石炭鑛業管理法を議題とし、質疑を継續いたします。西田隆男君。

西田隆男民主党

○西田委員 先日の第八條の條文に關連して、平井政府委員に答辯を求めます。

平井富三郎商工事務官

○平井(富)政府委員 第八條に關連いたしまして、憲法第三十五條との關係につきまして、御説明申し上げます。三十五條の條文にありますのは、この憲法の三十二條、三十三條、三十四條以下三十七條、三十八條等につきましては、すべて司法手續に關する規定になつているのでありますので、この三十五條は行政手續に關する件につきましての適用はない。かように考えているわけであります。すなわち三十五條は國家が犯罪について證據蒐集、その他の強權を行う場合における制限をここに規定いたしたのであります。積極的に公共の福祉を維持する。あるいはそういう積極性をもつた行政行為につきます規定は、しからばどういうことになるかということにつきましては、憲法十三條「すべて國民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に對する國民の權利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の國政の上で、最大の尊重を必要とする。」という憲法十三條の規定に個々の規定が抵觸するや否やという個々の場合の妥當性によつて判斷されるというように解釋しております。従いまして、この管理法における第八條の臨検検査ということは、石炭鑛業における現在日本の産業及び日本の經済において占める地位、それに對する國管というものの妥當性から、この第八條の規定が憲法違反なりや、あるいは妥當なりやという點が判斷されるものというふうに考えているわけであります。

西田隆男民主党

○西田委員 ただいま平井政府委員の説明を承りましたが、この前も私が申し上げた通り、今回の管理法案の中には、いわゆる現在行われつつある統制と、それから監査を行う意味における、きわめて程度の低い管理と指定炭鑛として指定された強度の管理とを行う二つの段階に本法案の中ではわかれているように考えます。今平井政府委員は、憲法の第十三條を指摘されまして、御説明がありましたが、ここでいわゆる現在行われつつある統制と、きわめて軽い意味における監査とを行う炭鑛というものは、いわゆる國家資金の面において、あるいは國家の國民の地位における資材配分の點においても、それは一定のこうしなくてもせねばならない石炭産出のための資材と資金とを使つてやつているのであつて、特別な國家規制というものは、いわゆるその炭鑛の生産擴充工事に要する資金とか、あるいはその資材とかいうような點が、特別に國家の恩惠に浴していると、かように解釋するよりないと思うのであります。でありますがゆえに、少くともこの第八條の規定は、指定炭鑛の中に指定されるのであれば別であるが、指定炭鑛外の炭鑛にもこの八條の條文を適用するというところに、無理があるのだということを、この前私は商工大臣に御質問したのでありますが、これに對する適當な答辯を得ることはできなかつたのであります。そこで私は今言うような國家目的の線に沿つて一定の出炭をするのにだれが見ても要する資材を使い、あるいは國家が認めた豫算の單價の範囲内において、生産を繼續している最も善良な業者と目すべき一般炭鑛、指定外の炭鑛に對して、いわゆる第八條の規定を適用するということは、憲法の規定に抵觸するのではないか。かように私は質問しているのであります。この點に對する御答辯を重ねてお願いいたします。

平井富三郎商工事務官

○平井(富)政府委員 この第八條の規定が、指定炭鑛及び一般炭鑛に共通に適用されることは、この前申の上げた通りであります。いかなる炭鑛を指定炭鑛にするかということは、また別個に議論でございますが、資材、資金につきまして、現在の供給力から見まして、一般炭鑛と申しますか、炭鑛の生産に必要なる資金、資材というものの國家的な確保の手段ということは、現在御承知のように國家資金計畫によつて、あるいは重要物資の供給計畫によりまして、炭鑛向けの供給量が決定されているわけでありますが、これが他の一般産業及び國民生活に相當な犠牲を強いつつも炭鑛にこれを確保しているところであります。おつしやるように、これは炭鑛の生産を維持するために必要なるため、あるいは必要なる限度において流にているのでありますが、このことが同時にやはり一般國民より他の産業に非常な犠牲を強いつつも、石炭の増産ということのためにその犠牲を甘受して、一日も早く石炭の増産を一般産業、國民生活自體の向上のために望んでいるという點につきまして、その資材、資金等が炭鑛においていかに使われつつあるかということの監査のために、あるいは現地に臨みまして實地に検査をいたしますとかいうようなことが起り得るんじやないか、またそれをやることも必要なんじやないか、かように考えているわけであります。

西田隆男民主党

○西田委員 第八條に關しては政府委員の答辯では滿足いたしません。これは後日また質疑をすることに留保いたしまして、次に移ります。第十三條の規定によりますと、「特に必要があると認めるときには、石炭廳長官は、全國炭鑛管理委員會に、石炭局長は、地方炭鑛管理委員會に諮つて、炭鑛の事業主に對し、その所有する設備又は資材を他の炭鑛の事業主に譲り渡し、又は貸し渡すべきことを命ずることができる。」この場合は、石炭廳長官あるいは石炭局長は、各炭鑛管理委員會に諮るということが規定してあるのであります。しかしそのあとの項において、當事者の協議によつてこれを定める。その協議ができなかつた場合においては、石炭廳長官または石炭局長がこれを裁定する。かようにして管理委員會に諮ることもきめてなければ、あるいは適當な評價委員會というようなものにかれることも規定してないのでありますが、その場合において、當事者の間に協定できなかつた場合には、石炭廳長官と石炭局長がこれを裁定をするということだけでなしに、何か適當な機關に諮つてきめるというふうにお考えになつておりますが、それとも、ただ石炭廳長官あるいは石炭局長が自分たちの權限の範圍においてこれを裁定するという意味に御解釋になりますか。この點をお伺いいたします。

平井富三郎商工事務官

○平井(富)政府委員 十三條の資材、設備の讓渡の命令あるいは貸渡命令でございますが、この件につきまして、この發動が妥當なりや否やにつきまして、當初管理委員會に諮りますので、大體においてその資材、その設備というものが讓渡命令、あるいは賃借命令によつて讓り渡され、あるいは貸し渡されることが妥當であるということが委員會によつて議がまとまりました後に、この命令が發せられるわけであります。そうなりますと、今度は兩當事者間における引渡條件ということになるわけであります。その場合に引渡條件につきまして當事者間に協議がまとまらない場合は、それぞれ行政官廳において裁定をいたすことになるわけでありますが、その中で引渡しの時期、方法等につきましては、石炭廳長官または石炭局長が裁定をいたしますが、そのうち一番問題になります對價につきましては、この十三條の四項以下におきまして普通裁判所に出訴いたしまして、その金額の増減を請求することがし得るようになつておるわけであります。この對價自體以外のことに關しては、この讓渡自體に關する妥當性が認められ、對價につきましては、普通裁判所で是正し得るという途を開いておりますので、その他の條件につきましては、石炭廳長官、石炭局長の裁定に從うというようにいたした次第でございます。

西田隆男民主党

○西田委員 第十四條にはいります。第十四條によりますと、「商工大臣は、全國炭鑛管理委員會に諮つて、前章の規定によるの外、この章の規定による管理を行うべき炭鑛(指定炭鑛)を指定する。かように規定してあります。一應商工大臣は指定炭鑛の指定をせんとする場合においては、全國炭鑛管理委員會に諮るということはわかりますが、もし商工大臣が指定すべき炭鑛を全國炭鑛管理委員會に諮つた場合、全國炭鑛管理委員會は、その答申によつて惡いというふうにした場合、商工大臣はその指定する炭鑛の指定をやめるのでありますか。それとも、なお否定されてもその炭鑛を指定するのでありますか。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 この問題は非常に重大な問題でありまして、運用の面におきましては、十分の考慮を拂わねばならぬと思います。ただ問題は、全國炭鑛管理委員會に諮つてということになつておりますがゆえに、文字の上の解釋から申し上げますならば、この全國炭鑛管理委員會にかかつて議がまとまらないときでも、商工大臣が炭鑛を指定することはできることになつておりますが、御承知の通り、この全國炭鑛管理委員會の委員長は、商工大臣がこれをするのでございますがゆえに、その全國炭鑛管理委員會で反對のことが行われた場合において、自分で自分の首になわをかけるということはできないのであります。ただわれわれは岡田委員の質問に答えましたように、法律上いろいろ疑惑がありまして、「全國炭鑛管理委員會に諮つて、」という言葉にしたのでありますが、運用の面におきましては、商工大臣がその委員會の委員長を勤める立場から申しまして、ただいま御指摘のような、全國炭鑛管理委員會の意思に反して商工大臣が指定を強行するということは、全然ないと御了解願いたいと思います。

西田隆男民主党

○西田委員 第十四條の全國炭鑛管理委員會に諮つて指定炭鑛を指定するという場合に、何らかの基準を決定しておく必要があると私は考えるのであります。なお八月十六日の最後の與黨三派、政府の打合會において、この問題に關して私が質問したのに對して、平井管理局長は、これを條文化する場合においては、必ずそれを明記すると答辯されたと考えております。しかるに條文化された本法律案を見ますと、何ら指定基準が明記されておりません。この指定基準を明記しないまま、商工大臣が炭鑛管理委員會に指定炭鑛の指定を諮るといえば、大體どういうことで指定炭鑛を指定されるのでありますか。商工大臣の提案理由説明の中には、増産の見地よりというすこぶる抽象的な文句が使つてあります。増産の見地よりする指定基準というものが、ここに規定されても私はいいと考える。なお指定規準をここに設けられておいた方が、商工大臣としても、あるいは炭鑛管理委員會としても、指定炭鑛を指定する場合において、大して間違いがないように指定ができるのではないかと考えております。なお三黨首會談においても、實情に即して管理の程度を決定するというような文句もあつたように聞いておりますし、どうでもこうでもこの十四條の指定をする場合の指定基準というものを設けておく必要があると考えておりますが、この點に關して商工大臣の御意見を伺いたい。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 ただいまの御質問はまことにごもつともでございまして、御案内のように、この法案の初め安本あるいは商工省案として傳えられました案に對しましては、大體前期の下期を標準にいたしまして、年産〇〇トン以上の所に線を引いて、指定炭鑛の境にするというようなことも考えておりました。その後あるいはこの指定炭鑛の對象を解體財閥の炭鑛にせよとか、あるいはまた特殊炭鑛、非能率の炭鑛にせよとか、いろいろの御意見が出ましたので、この際三黨首會談の場合におきまして、一つの線を引くことがなかなかむずかしいので、それは全國炭鑛管理委員會に諮つて、實情に即してひとつ指定鑛をきめようというところに落ついたのであります。從つてわれわれといたしまして、この指定炭鑛の線を引くということに對しまして、委員會において一致した結論が生れるならば、その線を引くことに對しては、断じて反對するものではございません。

西田隆男民主党

○西田委員 ただいまの商工大臣の御答辯によりますと、委員會においてこの指定をする場合の指定基準がきまれば、商工大臣はこれを採用するという御意見でありますか。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 さよう御了承を願いたいと思います。

西田隆男民主党

○西田委員 それでは第十四條の問題につきましては、あらためてまた委員會繼續中、指定炭鑛の指定基準という問題について私から提案をして、當委員會の承認を求めた上で、また商工大臣に御相談したいと思います。  第十五條にはいります。第十五條に「商工大臣は、指定炭鑛について、災害その他の事由によりこの章の規定による管理を行う必要がなくなつたと認めるときには、云々、かように書いてあります。この指定炭鑛の指定取消の理由として、「災害その他の事由により」かう表現してありますが、この意味を商工大臣に伺いたい。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 この第十五條は、災害を原因といたしまして、相當長期にわたりまして出炭が不可能というような場合を豫想して、このような規定を設けた次第であります。

西田隆男民主党

○西田委員 この災害といいますのは、まつたく出炭が不可能になつたという最惡の場合の災害という意味であつて、普通一般にいわれている災害によつてある程度の出炭が減少するというような炭鑛は含まない、かように解釋して差支えありませんか。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 ただいま御答辯いたしましたように、相當長期にわたりましてということを言つたのでございまして、災害によりまして一時出炭しなくなつて、手當をいたしてまたすぐ元にもどるというような場合は、考慮に入れておりません。

西田隆男民主党

○西田委員 それではこの災害によりというのは、出炭不能にある程度の年數辯つた炭鑛、かように表現を用いても差支えないわけでありますね。それと、「その他の事由」という、「その他の事由」をもう少し具體的に御説明を願いたい。

平井富三郎商工事務官

○平井(富)政府委員 大體十五條の規定は、災害によりまして、今申し上げましたように、出炭が相當長期にわたつて中絶するというような場合を豫想しております。しかしこの法案を施行いたします場合におこまして、災害以外の理由により、たとえば同じような状況が起つたという場合等萬一のために、「その他の事由」ということを入れたのでありまして、大體十五條におきまして、ただいま豫想される原因といたしましては、災害ということが豫想されておりますので、これを特にはつきり明確にいたしまして、「その他の事由」ということも、やはり災害というような場合に準じたような場合、それと同様の事情がある場合ということに限定いたしまして、災害以外の原因で起つたという萬一の場合にも對處し得るということにいたしまして、「その他の事由」ということを入れた次第でございます。

西田隆男民主党

○西田委員 大體商工大臣と平井政府委員の説明でわかつたような氣がいたしますが、出炭が皆無になつたといつたところで、その出炭の皆無になつた炭鑛それ自體を回復するよりか、新坑を開發する方がもつと樂にいくのだというような場合に、災害によつて出炭が皆無になつた場合の炭鑛も、やはり指定を取消すのでありますか。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 ただいま御指摘の點でありますが、それはこの條文にありますように、一々全国炭鑛管理委員會に諮るのでございますがゆえに、そういう一々の具體的な問題に關しましては、實情に即してやつていきたい。このように考えております。

西田隆男民主党

○西田委員 大體において第十四條における指定基準というものがはつきりすれば、第十五條の指定取消の基準もはつきりすることとは思いますが、しかし私が考えますに、災害を受けた炭鑛とか、あるいはその他の事由によつて非常に出炭の減少した炭鑛とかいうような炭鑛で、新坑開發をするよりもなお樂に出炭ができる。簡単にできる、というようなことであれば、その炭鑛は指定を取消すのではなくて、そういす炭鑛にこそ、國の強力な指導と援助を與えていく。そうして生産の確保をするということ自體が、増産目的達成の第一歩ではないか、私はかように考えております。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 ただいま御指摘の點は、私も同感であります。しかいながら、そのことは新坑を開發するということとは、また別個の目的をもつておるのでありますから、両方を比較するというのでなしに、両方ともやらねばならぬと考えております。

西田隆男民主党

○西田委員 平井政府委員に第十七條、第十八條、第十九條、この三條文の説明と解釋していただきたいと思います。

平井富三郎商工事務官

○平井(富)政府委員 第十七條以下數條の規定は、業務計畫がいかにして決定されるかということを規定したものであります。大體の考え方といたしましては、業務計畫の決定ということが、國家管理の一つの重要な眼目になるわけでありますが、この業務計畫の決定ということが、國家の要請に應じ得るものであると同時に、この業務計畫が現場の意思、意見というものも十分取入れ、なお本社の總合的な調査ということもそのうちに取入れまして、政府と、經營者と、從業者というものの總意による計畫が設定されということをモットーにいたしまして、この數條の規定が設けられておるのでございます。  第十七條は、まず第一に計畫をつくります基準てなるべき事項につきまして、石炭局長から各指定炭鑛の事業主及び炭鑛管理者に指示をいたすべき事幸を規定して、おるのでございます。これはこの前の委員會いおいて御説明申し上げましたように、生産計畫を立てます基礎になります、たとえば資材の計畫であるとか、資金の計畫であるとか、どの程度の資金、資材が投入されるかというような計畫設定上の生産要素についての見透し、あるいは基準となるべき量というものを指示いたしまして、指定炭鑛に業務計畫の立案を指示するわけであります。第十八條におきまして、この指示がありました場合におきましては、指定炭鑛の管理者はまず石炭局長に差の出します業務計畫案の原案と申すべきものを作成いたして、これを指定炭鑛の事業主に提出するわけでありますが、指定炭鑛の事業主は、その原案を基礎といたしまして、いわゆる業務計畫案を策定し所轄石炭局長に提出いたすわけであります。この際炭鑛管理者が業務計畫案の原案を作成いたします場合には、生産協議會の議に付しまして、いわゆるその炭鑛の全従業員が支持いたします一つの案というものをここで作成いたしまして、そうして本社に提出するわけであります。この炭鑛管理者が、その炭鑛管理者の原案を生産協議會い付議いたしました場合におきまして、生産協議會で議がまとまります場合には、これは問題がございませんが、生産協議會において議がまとまらないというような場合におきましては、炭鑛管理者は、自分のつくりました原案にその旨を附記いたしまして、事業主に報告するわけであります。事業主はこの炭鑛管理者が作成いたしました原案と、今申し上げました生産協議會におきます審議經過というものを基礎といたしまして、業務計畫の案を作成いたすことになるわけであります。それによりまして、事業主が總合的な見地からこれに調整を加えまして、業務計畫案を作成いたして、これを石炭局長に提出いたすのでありますが、本社におきまして業務計畫の案を決定いたしました場合においては、再度これを指定炭鑛の生産協議會の議に付するわけであります。但し事業主が作成いたしました業務計畫の案の内容が、生産協議會において議がまとまりました計畫原案というものと同一であります場合は、これはもちろん議に付する必要はございませんが、事業主のつくりました案と現場の案と異なりました場合におきましては、もう一度生産協議會に付議いたしまして、事業主が總合調整の見地からこういう修正を加えたということにつきまして、生産協議會の議に付するわけであります。この際生産協議會においと議がまとまれば、これは問題ないのでありますが、議がまとまりません場合におきましては、やはりこの事業主の原案に生産協議會における議事の經過、議がまとまらぬということを石炭局長に報告いたすわけであります。これがこの十八條で石炭局長から大體計畫の基準となるべき事項の指示を受けまして、炭鑛におきまして業務計畫案を作成する經過というものを規定いたした次第であります。第十九條はその業務計畫の案を提出いたしました場合に、石炭局長はこれを地方炭鑛管理委員會に諮りまして、その當核指定炭鑛の業務計畫を決定いたしまして、事業主及び炭鑛管理者に指示するという手續を規定しておるわけでございます。この場合におきまして、この指示がありますまで、事業主及び炭鑛管理者は、前期の業務計畫を基準として、指定炭鑛の業務を行わなければならないという規定がございますが、これはこの案を作成いたします過程におきまして、非常に問題になりました點でございまして、現場の案と本社の調整案、本社の調整いたしました業務計畫案というものが食い違いました場合、いかなる基準に準據して、その間の生産を繼續していくか、石炭局長の指示があるまで、いかなる基準によつて生産を續行していくかという點につきまして、兩方の意見が對立いたしたのは、御承知の通りであります。すなわちこの際には、本社の原案というものを基礎として、指示があるまでの過渡期間を過す基準とすべきだという議論と、現場の案を基準として生産を續行するという案と、二案あつたと思いますが、いずれをとるにいたしましても、この石炭局長の指示があるまでの過渡的な期間でございますので、これは前期の計畫を基準といたしまして、指定炭鑛の業務を行うということが、一番實際に合うのではないか、と申しますのは、たとえばこの業務計畫の中に、新らしく建設に著手するというようなことがございます場合におきまして、まだいずれとも最後的に決定しない案に基きまして、これを實施するということも不適當な場合も豫想されますので、一應この點につきましては、前期の計畫というものを基準にいたしまして、生産を續行して石炭局長の指示がありました場合において、その計畫に乗りかわつていくということが、一番適當ではないかという意味におきまして、その案に落ちついたわけであります。

西田隆男民主党

○西田委員 ただいまの平井政府委員の御説明によつて、條文の字句の解釋と運び方については大體にわかりました。今から質問をいたします。  第一七條において、「石炭局長は、地方炭鑛管理委員會に諮つて、指定炭鑛ごとにその業務計畫の案の作成上基準となるべき事項を定めて、これを當該指定炭鑛の事業主及び炭鑛管理者に指示しなければならない。」ということで、ここで「事業主及び炭鑛管理者」という表現がありますが、これはどういう意味合で、事業主及び炭鑛管理者と表現をせられたのでありますか。炭鑛の企業の實態から考えまして、これは事業主に指示をされれば、事業主は當然炭鑛管理者にその指示を傳えるものであると考えますが、その間ここで本社と現物との關係をはつきりする意味合において、さような表現をとられたのであるかどうか、この點について商工大臣の御意見を伺いたい。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 ただいまの御質問は、いわゆる國家管理の本質に關する重要な部分でありまして、西田委員も御案内のように、いろいろの議論を經まして、こういう結果になつたのであります。すなわち一部の一方の意見によりますと、石炭の緊急増産のためには、現場の把握というところに重點をおかなければならないという意見もございました。さらにまた本社と申しますか、企業というものをその管理の對象とすべきものであつて、現場はその企業、本社を通して管理の對象になるというような意見があつたのであります。そうでいろいろの意見をば参照いたしまして、大體管理の對象を企業――その企業は本社竝びに現場の二本建ということに意見がまとまりまして、このような結論になつたのであります。すなわち企業の有機性ということを頭に考えて、その立場を重視するとともに、また緊急増産における現場の重要性も考えまして、このような結論に落ちついたのであります。

西田隆男民主党

○西田委員 商工大臣のただいまの御答辯は、言葉の上においては、非常にりつぱな御答辯のように私も考えますが、商工大臣は炭鑛の現場の運營の實態をよく知つておらないではないか、炭鑛現場の運營の實態は、本社と現場というもの、企業と現場というものの間には、大きな會社であれば直通電話一本をもつて即時に連絡ができるようになつております。なお小さないわゆる中炭鑛においては、本社と現場とはすでに一體のものであります。小の炭鑛においては、これは申すまでもなく、經營者、事業主自體がいわゆる炭鑛管理者と同じような仕事をやつておるのでありまして、今商工大臣は有機的なつながりを尊重してというお言葉のようでありますが、本社と現場あるいは企業と現場というものを切り離して考えなければならない、現場重點主義でいかなければならないというような炭鑛企業は、財閥解體が完全に行われましたならば、ほとんどない。全國で殘りますのは住友鑛業が大阪に本店を持つておつて、九州と北海道に炭鑛を經營しておるという、これだけであります。あるいは北海道は地區的な關係から三菱なり三井なりが財閥解體で北海道と九州にわかれるのでありますが、行きました場合の電話連絡その他については、十分でないかもわかりませんが、九州におきましては、福岡にかりに本店が行きますと、本店と大牟田、あるいは田川というものとは直通電話があつて、現場すなわち本社であります。そういう觀點から、現場が運營されておるということを考えたならば、商工大臣が今おつしやつたような有機的なつながりを尊重して、こういうふうな規定を設けたのだということには、非常な矛盾がある。私はかように考えるのでありますが、商工大臣はどうお考えになつておりますか。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 今西田さんのお述べになりました御議論と、私がさきに述べました議論とは、これまで始終鬪わされた議論であるのでございますが、われわれの考えといたしますれば、指定炭鑛の事業主のなす仕事の内容と、炭鑛管理者がせねばならない仕事の内容とは、はつきりわかれておるのでありまして、諸般の事情を斟酌いたしまして、このようにする方が正しいということでやつたのであります。

西田隆男民主党

○西田委員 ただいま商工大臣は、かくすることが正しいからやつたというような御答辯でありますが、なぜそれが正しいのであるかということを、ひとつ理論的に御説明願いたい。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 理論的な説明というのでありますが、私がこれまで述べたことは、やはり理論的な立場から述べておりまして、西田さんからも、理窟としてはごもつともである、言葉としては美しいということでおほめをこうむつたほどでありまして、これまで述べたことが大體私の考えておる理論的立場として述べたのでありまして、さよう御了承願いたいと思います。

西田隆男民主党

○西田委員 どうも商工大臣の御答辯は、的をはずれておるようで、私理解しかねるのでありますが、そうしますと、この第十七、十八、十九條あたりで表現されておるのは、商工大臣は依然として三黨首會談の線に沿つてきまつた協定に基いてきめられておる、かようにお考えになつておりますか。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 西田君も御案内のように、三黨首の會談におきまして、企業を管理するとなりまして、その企業という内容として括弧をいたしまして、本社及び現場ということになつたのであります。さらにその際一方の閣僚の方から、その括弧の中をば、本社及び現場を一體としてという言葉にしていただきたいという御意見がありましたが、いろいろ論議の結果、企業(本社及び現場)ということになりましたので、この十七、十八、十九の理論の立て方は、いろいろお考えがあろうと思いますが、そういう三黨首會談の結論に副つてつくられたところの條文であるというぐあいに、御了承願いたいと思います。

伊藤卯四郎日本社会党

○伊藤委員長 西田君にこの際御相談いたしますが、勞働大臣が御出席になりました。勞働大臣は他の會談に出席の都合がありまして、時間的に急いでおられるようでありますから、この際勞働大臣に對する御質疑を願いたいと思います。

西田隆男民主党

○西田委員 それでは委員長のお言葉によりまして、ただいまのことはまた引續き質問することにいたしまして、勞働大臣に御質問いたします。  四日の鑛工業常任委員會におきまして、私が商工大臣に質問をしたことについて、商工大臣は勞働大臣に答辯を求めてくれ、かような話でありましたので、その點について勞働大臣に質問いたします。  勞働大臣も御承知のように、この石炭管理法案を作成するにあたりまして、三派會談をやり、三派政務調査會長會談をやり、さらに三黨首會談をやり、最後に與黨竝びに政府の打合會をやつてきまつたものでありますが、この最後の打合會のときの要綱案の中に、社會黨の加藤勘十氏、これは勞働委員長をしておられて、勞働問題については非常に造詣の深い方で、われわれも尊敬しておるのでありますが、その加藤委員長の發言によりまして、こういうような要綱案がそのとききまつたのであります。それは「爭議行為となるおそれのあるときには、石炭局長は炭鑛管理委員會に諮つて、勞働委員會に調停の請求をなし得る規定、及び調停の請求があつたときには、當該勞働關係の當事者は、その請求があつた日から三十日を經過したあとでなければ爭議行為をなすことができない。」という規定であります。これは特に加藤君の發言によりまして、「爭議行為となるおそれあるとき」という文句を挿入して、三派打合會では決定したのでありますが、その決定した案が、この石炭管理法案によりますと、どこにもそれに適應する規定が設けてない。ただ第三十九條の三項におきまして、「生産協議會の議又は從業者の同意を經ることができない場合の處置については、勞働關係調整法の定めるところによる。」かようによみ規定されております。そこで私は商工大臣に、なぜ規定されていないのかということを質問すると同時に、閣議において勞働大臣と商工大臣との間に、この問題に關して討論されたと聞いておる、その經緯をひとつお話願いたい、かような質問をしたのでありますが、商工大臣としては、私は西田委員の言われるところに全面的に贊成である、しかしながら、勞働大臣の反對によつて、この規定が本法案中に取上げられなかつた、かようにはつきりはおつしやらなかつたけれども、そういうような意味のことをおつしやつて、勞働大臣に質問してくれということでありましたから、なぜ商工大臣が贊成され、勞働問題に關しまして相當の知識と權威をもつておられる社會黨の加藤委員長も贊成せられたような、かような重要な規定を、この法案中に入れることに勞働大臣は反對したのか、その理由をひとつ、ゆつくりと得心のいくようにお話願いたい。

米窪滿亮日本社会党労働大臣

○米窪國務大臣 西田さんの今言われるような、そういう經過はないのです。私と商工大臣討論したとか、論爭したとかいうようなことはないのでございまして、私の意見によつて商工大臣も大體納得をして、こういうぐあいに三十九條がなつたというのは、勞働關係調整法を昨年きめるときに、公益事業というものの範圍が非常な問題になつた。そこでこれは石炭にまで及ぼすベきかどうかということもその當時議論になつたのでございますが、公益事業というのは、たとえば電車、気車のごとく、爭議が起つたならば、ただちに公共の利益に重大なる影響を及ぼすというものに限る。今日の石炭増産の緊急性から見て、石炭の山に爭議が起ることは、ただちに公共の利益にも關係があるようにも解釋できまするが、しかしこの公共の利益ということの内容でございますが、當時勞調法の討議の場合においては、やはり多少のそこに、鐵道であるとか、あるいは電車であるとかいうような事業と、石炭の採掘ということとの間には、緩急があるということになつて、一應は公益事業から石炭業というようなものは除かれたのであります。そこで現實の問題として、國管が非常な重大問題になつておるのでございますから、もしもこの三十九條の規定によつて處理ができないような問題が起つた場合においては、三十九條の規定にかかわらず、勞働大臣は勞調法により勞働委員會にその調停の申請をなす權限を與えられておりますから、そういう急迫した事態が起つた場合には、勞働委員會の裁定によつて調停をしてまいることによつて、これお公益事業並に扱つていくことが緩和されるのじやないか、どうしてもこれを公益事業並に扱うことになれば、勞調法の改正ということが當然問題になつてくるのでありまして、今日そういうことをやつておるときではないということで、この三十九條ということで、一應兩者の意見が一致したようなわけであります。何とぞその邊のことを御了承願いたいと思います。

西田隆男民主党

○西田委員 勞働大臣の御答辯で、大體のあなたの御意見だけはわかりましたが、敗戰後の日本において、これは私をして言わしむれば、産業の画期的な方法であると考えるのでありますが、そういう方法を講じねばならないほど石炭の生産というものが非常に重大視されておる。他の鐵道とか何とかいうものが公益事業に規定されておりますが、それ以上に公共の福祉に關しては重要な關連をもつておる。だから、少くとも、平常のままである場合においては、これはもちろん勞調法そのままで差支えないと思うのでありますが、こういうような非常措置までも講ぜねばならないということになり、しかも勤勞意欲の高揚のためには、この法案中にありますような生産協議會のあの性格を與えてまでもひとつやらうというような、日本の産業にとつてはある程度の變革であると私は考えております。そういう經過を經てやつていく場合において、少くとも、爭議行為がだたちにできない、そうして一箇月なら一箇月の期間、今勞働大臣がおつしやつたような方法で、勞調法でやれば關係官廰なり關係大臣なりが調停の申請もやられる、斡旋をやられる、そうして三十日間の間においては、石炭の生産に澁滞を來さないで話合いがつくというような方法を講じていくだけの餘裕を當然おくベきじやないか。かように私は考えておるのでありますが、この點についてもう一遍勞働大臣の御当辯を願いたい。

米窪滿亮日本社会党労働大臣

○米窪國務大臣 實はこの十月二日に労働組合の代表者と私の間に懇談會を催した際にも、私は私の労働行政の一端として、平和産業論というものについて説明を申し上げて、勞働組合の共鳴を頼んだのであります。それは、大體において、兩者の間の爭議というものは、本質的にどうしても利害が衝突して起り得べきものと、そうでなしに誤解や感情の衝突で起るものもあるのでありまして、そういつた誤解であるとか、あるいは感情で起つてきたような爭議には、大體において各企業内に經營協議會というものを設けて、炭鑛の場合には生産協議會がそれに代つてもよろしいですが、とにかくそういうところで十分にお互いの立場なりお互いの意見を展開し合うことによつて、大體そういつた種類の爭議は早期的に解決できる、どうしても本質的に利害相反しておるものについては、これを勞働委員會へ提訴をしてもらいたい。公益事業にあらざるものもなるべく提訴をしてもらいたい。そうしてその提訴中は、公益事業にあらざるものも、經營者はロツク・アウトしない、勞働者はストライキをしない、そういつた態勢をつくつくもらいたい。そういつた傾向へ勞働運動をもつていつてもらいたいということを申し上げた。この點は、勞働者の罷業權というものを、政府としては、憲法によつてその權利が與えられ、またその憲法の裏づけとして勞働組合法、勞働關係調整法等によつて、そういつた權利が一應與えられておるときにおいて、これを法令を改正せずして、政府の一方的な權力的にこれを押しつけるということは困難であるから、またそれは避くべきであると私は考えておるのでありますから、ああいう提唱をしたのでございます。從つて私は、大體石炭というような重要産業なり、かつ石炭を國家管理をしなければならぬというような今日の情勢においては、石炭山に働いておるところの從業員が、大體私の提唱しておる産業平和論の方法で行つてもらいたいと、私は考えておる。しかしそれはあくまでも團體協約、あるいは團體交渉という範圍であつて、どうしても勞働組合として、自分らの主張を通すという場合においては、これが勞働關係調整法によつて公益事業と指定されておらない場合においては、法令の解釋からいえば、すぐ爭議ができることになるのでありますが、この場合においては、先ほど申し上げた通り、勞働大臣として強制調停をして、たとえそれが十日であるか一周間であるかしれませんが、この強制調停の範圍はストライキをしないように勞働組合を指導していきたい。こういうぐあいに考えておる次第であります。

西田隆男民主党

○西田委員 勞働大臣のお話は、順序としてまことにごもつともであり、適切な御意見であると考えます。しかしながら、この石炭管理法案の中にありまする生産協議會というものが、今までの經營本體とは多少性質を異にしておりますので、生産協議會で業務計畫の実施に關することを協議する場合におきまして、今までよりかもつと議論が相對立して、爭議行為にはいりやすい機會がよけいに起きてくるという縣念を、私は十二分にもつておるのであります。でありますがゆえに、せつかく石炭の管理をやつて、そうして國家の要請にこたえるように増産をしようという際にあたりまして、今までとつておつた爭議のような形態をとらないで、生産協議會を開いて、勞働組合側の發言権を認めて結果、そういうような爭議行為が頻發するおそれありとすれば、どうしてもこれは――罷業權を抑壓するという意味でなく、いわゆる石炭の増産を達成するという國家的見地から、何らか規制を設けておく必要があるのではないか、かように痛切に、私は自分で事業をやつております関係上、考えておるのであります。大體において、今ここで勞働大臣に對してどうせい、こうせいというようなことを言つたところで、しかたのないことでありますが、しかし勞働大臣の今までのお話は、まことに妥當なお話であると考えております。しかしながら、勞働大臣といたしましても、ただいたずらに、政府が何か法律をつくることはただちに事、罷業權を抑壓するのだというような考え方をもつておるならば、これは取去つていただいて、ほんとうに公共の福祉のために、ある程度の罷業權の制限をするということもあり得るのだという考え方で、將來の勞働行政を考えていただきたい。かように私は勞働大臣にお願いを申し上げて、勞働大臣に對する私の質疑を打切ります。  次に第十八條以下の規定についてでありますが、重ねて私は商工大臣にお尋ねしたいと思います。三黨首會談終了直後、私は商工省に商工大臣を訪問いたしまして、三黨首會談によつて文章化されたいくつかの條項をもつてまいりました。そうしてさつき商工大臣が言われましたように、企業(本社及び現場)を管理するという註につきましても、商工大臣が答辯せられたようなことを質疑應答いたしました。そのときに私は、(本社及び現場)というものを、商工大臣の御説明をそのまま承認して歸つたという意味合でなく、あれは三黨首會談の民主黨總裁の含みのある條文の表現であるということによつて、その含みがはたして總裁の言われたように的確であるかどうかということを確かめるために、私は商工大臣とあのとき商工省で會つたのであります。そこで私の考え方からしますと、あのときはまだ本社原案を執行するということになつておりましたし、ただ企業というものが、企業(本社及び現場)ということにわかれておりますし、私はそのとき商工大臣に、企業というものき本社及び現場から成り立つておることを意味するのかという質問に對して、いや、そうじやないのだ。「企業(本社及び現場)を一體としてと」あつたのを、「一體として」というのをとつたのであるから、さように考えるという商工大臣の答を聞き残して私は歸つたのであります。しかしながら、民主黨としましては、どこまでも企業を管理するという考えを現存もなおもつておりますし、その建前をとつております限り、十九條の最後の本社の原案を執行するという建前から、私は十七條、十八條、十九條の條文についての批判を加えたいと思います。元來炭鑛の管理者は、事業主によつて選任されるということは、この法案の中にもはつきり明記してあります。事業主によつて選任されたものであつて、事業主の代人的性格をもつておるものが、この炭鑛管理者であります。ゆえに業務計畫の原案をつくります場合には、ここに書いてありますように、まず炭鑛管理者が原案をつくつて生産協議會にかけ、それからまたそれを事業主に出し、事業主がまた生産協議會にかける。こういうような、まるでお芝居のお花見道中のようなややこしいことはせぬで結構じやないか。それではどうしたらいいかというと、炭鑛管理者は事業主によつて選任されたものである。事業主の代人的な性格をもつがゆえに、事務計畫原案というものは前條の指示に基いて命令の定めるところによつて事業主が炭鑛管理者をして原案を作成せしめて、事業主が炭鑛管理者につくらせた原案を生産協議會にかける。そうして生産協議會の議を經ればよろしい。もし生産協議會の議を經なかつた場合においては、いわゆる事業主が炭鑛管理者につくらしめた原案を石炭局長の裁定があるまで執行してよろしい。こういうふうに考えたならば一貫した考えではないか。どうもここに書いたようなややこしい十八條の條文のような表現を用いることは、私は現場中心あるいは現場重點主義というような考え方から、かような條文の表現をせられておるのじやないか。こういうようなことで、もしこういうような條文が作成されておるとしたならば、それはまつたく事業の本質をお知りにならないことであつて、いたずらに作文技術のために、當然一體となつて石炭の増産に邁進せねばならない事業主と現場管理者というものを、まつたく遊離せしむることになり、生産協議會と炭鑛管理者と事業主との関係を混迷に陥れたり、あるいは對立的ならしめたりすることになつて、増産的場達成の障害になる。私はかように考えております。そこで商工大臣はこういうような形にとらわれることなくして、その實效をもたらすために、この十八條の條文を根本的に改訂されることを、私は切望するのであります。  なお商工大臣は、この前の私の資本と經營の分離ということについての質問に對しまして、この法の妙味は、私企業の長所と公企業の長所とを結びつけるところにある。かように答辯をされました。ごもつともである。私もそのときは一應引下つたのでありますが、この十八條の條文以下の條文を讀んでみますと、どうも商工大臣が言うておるとろこの私企業の長所、公企業の長所ということをもう一遍はつきり伺わないと、この條文の批判ができないような氣がしてなりません。そこで商工大臣に、御迷惑ながらもう一遍、商工大臣のいわゆる私企業の長所といわれる點と、公企業の長所といわれる點というものは、どんなものを具體的に指すのか。これをもう一度御説明を願いたい。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 重ねての御質問でありますので、私も重ねてお答えいたします。このたびの國家管理は、從來の企業の經營能力をば最大限度に活用することに、一つの重要な力點が置かれておるのでございまして、企業の形態及び組織につきまして、これをみだりに變革するというようなことは、毛頭考えておりません。いわゆる本社機能につきましても、本社が企業の職制、人事、經理等、經營上の根本的な事項を運用することを否定するものではごうもないのでございます。法案の管理方式に例をとつてみますならば、炭鑛の事業計畫、指定炭鑛の場合は業務計畫案となつておりますが、それをば作成するのは言うまでもなく本社であります。さらにまた企業の人事、指定炭鑛の場合の炭鑛管理者の選任、解任というようなこともこれは含まれておりますが、その企業の人事を行うのは本社でございまして、さらにまた炭鑛の収支決算の歸蜀するのは、これはいうまでもなく本社であります。しかしながら、管理の目的でありますところの急速増産のために、炭鑛の業務運營を増産一本に集中いたしまして、彈力性ある事業を遂行する必要がございますから、特に強度の管理を行う指定炭鑛につきましては、相當現場の即決處理を認めることが適當であるというぐあいに考えたのであります。法案はこの趣旨におきまして、この十七、十八、十九條というものができておるのでございますがゆえに、これは先ほどお答えいたしましたように、あくまでも私の企業のよいところと公の企業のよいところをとつた案であるというように考えております。

西田隆男民主党

○西田委員 どうも商工大臣の御答辯は抽象的で、私のような頭の悪い者にはわかりかねるのです。これは法案の一番大事なところでありますから、もう少し具體的に御説明を願いたい。これの解釋を間違えると、これからさき條文の批判ができなくなるおそれがあるのですから、商工大臣から答辯ができなければ、平井政府委員からでも結構ですが、もう少し具體的に、あなた方の書かれて條文だからといつて、それにとらわれすぎて、どうでもこうでもここに書いてあるのがよいのだというような一方的な考え方から判斷されずに、もう少しゆとりをもつて、私の言うことも取入れていただいて批判をしながら、あなた方のまとまつた考え方を聽かしていただきたいと思います。委員會と政府とはけんかをしておるのではない。われわれがよく知ると同時に、國民大衆にも經營者にも勞働組合側にもよく知つてもらうということが、この法案の目的を達成する上に一番大事なことです。先ほど聽いたのでありますが、どうも商工大臣の答辯は抽象的でわからないから、もう少ししんみり具體的に、あまり今までのあなた方の立場に拘泥されないような御答辯を願いたいと思います。平井政府委員の答辯を願います。

平井富三郎商工事務官

○平井(富)政府委員 ただいま問題となりました十八條の業務計畫でありますが、この條文を書きました私どもの考えを申し上げますと、この法案全體を通じまして、從業者の生産意欲を増大させるために、それらの意思、考え方というものが十分にはいつた計畫を設定いたしまして、それを自分らの責任として實施していくという根本の建前をとりましたがために、この業務計畫をつくります場合におきまして、その作成の過程においても、從業者全體の意見が計畫作成上にもはいつていくということが、爾後の本社の計畫を立てます場合においても、あるいはそれを實施いたします場合にも、かえつてスムースにいくのではないか。規定といたしましては、ただいま西田さんのおつしやられたことは非常に簡單ではございますが、一方的に炭鑛管理者あるいは事業主のつくつた原案を生産協議會に押しつれるという反對的な効果も豫想されぬでもございませんので、むしろ計畫を設定する場合に、生産協議會の意向をも聽きつつ設定していくという方式をとつたわけであります。從いまして、業務計畫につきまして議がまとまりません場合は、議がまとまらぬということを事業主なり、あるいは事業主が石炭局長に報告するという程度になつておりまして、業務計畫がこのために非常に遅滯を來し、生産協議會で議がまとまらなければ業務計畫ができないということではなく、企業といたしましては、業務計畫としては一本としてまとめまして、それに、生産協議會の異議があるというような報告を併せて石炭局長に提出するわけでありまして、それの計畫作成過程において、從業者の意見も入れつつ計畫を設定するということが、こう書きますと非常にごたごたした感じはもちますが、運用の面においてはかえつてスムースにいき、計畫の設定及び實施がなされるのではないかという氣持から、こういう規定を設けた次第でございます。

西田隆男民主党

○西田委員 今の平井さんのお話は、あなたがこの條文をおつくりになつたのかどうか知りませんが、この條文をおつくりになつたお氣持はわかりました。今の御答辯の中に、私の申し上げたことが、一方的に炭鑛管理者あるいは事業主に業務計畫の案を出させて、それを押しつけるような感じがないでもないというようにとられてのお話がありましたが、私はさような意味のことを申し上げておるのではありません。もし、事業主が炭鑛管理者をして原案を作成せしめるという言葉がそういうふうに聞えたならば、その言葉の解釋は妥當でない。私が申し上げたのは、いわゆる事業主と炭鑛管理者との關係は、炭鑛管理者は事業主が選任して、この條文によつても、商工大臣の承認を受け、生産協議會の議云々ということになつておる。これは當然事業主の代人の性格をもつておるのであります。だから、事業主は當然一體でなければならない。一體となつたものと考えた場合に、いわゆる私企業の長所が完全に活かされる次第であります。事業主は炭鑛管理者をしてつくらしめた原案が生産協議會を經たならば、それから先は炭鑛管理者がその原案の執行を完全にやつていく。それをやらせる場合において、初めて現場が重點的になつていくものであるという考えをもつておりますが、あなた方の考えは、最初から現場でなければならぬという考えをどうももつておられるかのごとく私は解釋するのであります。少くとも企業計畫の原案をつくるまでは、本社と現場との關係は離してはならぬというのが、私どもの考えであります。今日本に四百三十いくつかの炭鑛がありますが、財閥の大きな炭鑛の所長、坑長になつて、今おる人たちの何人が、いわゆるほんとうの企業の運營についてまとまつた力をもつておられるとお考えでありますか。これは今のあなた方からみたら、ほんとうにせないと思われるような、あの厖大な本社機構のもとにおいて總上調整をやる、それを指示し、指導して、初めて個々の炭鑛の坑長とか所長とかが、自分に任された範囲内の事業の實際の運營をしていつておるのが、今日本の炭鑛の實情であります。本社がただ案をつくて出す、それを現場にもつてくるというような形の上だけの炭鑛の運營では、ほんとうの事業運營の實態に則さない機構をつくり上げることとなつて、これは誤解もはなはだしい。しかももしそういうことにしたならば、石炭局とか、石炭廳とか、あるいは炭鑛管理委員會とかいうものが、本社機構に代るだけの實力をもたなければ、炭鑛企業運營の實態は把握できないと考えておるものであります。そこでいかに商工大臣が本社より現場がお好きであつても、事業計畫の作成という面までは、どうしても本社と現場とは、いわゆる生産企業という面で結集しておるものと考えておる。それから先の現場のことは、原案がきまつてから運營の問題については商工大臣のお考えのように、本社より現場という方法も、また一つの方法であると考えておるのであります。しかしながら、それが商工大臣の御談辯は抽象的でわからないし、今平井さんの御答辯を聽いてみても、やはり現場と本社とを切離すというようなことに重點を置いて考えておられる。しかも生産協業會において、現場管理者がつくつた原案そのものが、生産協業會の議を經ないということが起きた場合、あなた方のお考えでは、いわゆる本社がそれに筆を加えて出すのだ。それがまた經ない場合は、當然先の計畫とか何とかいうものでやらなければいかぬというように、理窟の上でお考えになつておるのですが、それが現場管理者の責任として、その責任者のつくつた案が生産協議會の議を通らなかつた場合には、生産協議會の信任を得ていないのだと私は考える。しかも現場管理者は、本社から變つてきた計畫が通つても通らなくても、炭鑛管理者としての事業運營上の信念をもつておる、その信念を生産協議會で斬りつけられると申しますか、そういうような場合になつたら、現場の運營はその現場管理者として完全にいかないと私は考える。そこで私が恐れるのは、現場管理者というものは、いわゆる炭鑛の山々の生産協議會というものの力と言えば語弊がありますが、一種の力を恐れて、そうして生産協議會に順應するような原案をつくるおそれが多分にある。そこで現場管理者だけに原案を提供させるということをやらないでおいて、そうした本社と現場と密接なつながりにおいて原案をつくらして、生産協議會にもつていつてかけるという行き方を、どうしてもやらなければいかぬと私は考えております。あなた方は、ただ理窟を言つたり、文書を書いたりすることはうまいかもしれませんが、國際炭鑛の現場の運營の状態は、そんな簡單なものでありません。いわゆる勞働攻勢に押されると一口に申しますが、山の經營者側に立つものは、職員組合に中にはいらない何十人、これが炭鑛管理者であります。あとは全部從業員でありまして、その背後の何人か、何十人かの代表者が出て、協議會をするでありましようけれども、いわゆるその背後には勞働大衆の壓力を感じながら、生産協議會が運營されていくと思います。そういう場上に炭鑛管都者という、これは完全な偉い人であれば結構ですが、そうでないものでは、今本社という機構があつて、それが十分に指導し、援助して、初めて炭鑛管理者らしい仕事をやつていつておる。これをのけてしまつて仕事をやらせるということでは炭鑛の現場の運營は完全にいかないと信じております。どうしても十八條の規定は、もう少し商工大臣に御勇斷を願つて、何とか改善をしてもらうことが、絶對不可缺の條件だと私は信じております。平井さんも炭鑛に關しては相當の御知識が豐富だと考えておりますが、これは平井さんに聽いても何ですし、長官をいじめても氣の毒ですが、この問題は十八條は殘しておいて、機會があつたらまた御勉強も願いましようし、實地の調査も願いましようし、そうして法案が審議を終る過程において、御質問をもう一遍したいと思います。この十八條はこれで打切りにします。從つて第十九條も打切つておきます。私が今まで申し上げましたことについて、今もつております案を一通り讀んでみます。十八條、十九條の條文を、私はかようなふうに書きかえたらいいのではないかと考えております。すなわち前條の規定による措示があつた場合にはその指示に從い、命令の定めるところにより指定炭鑛の事者主は、炭鑛管理者をして業務計畫の原案を作成し、所轄石炭局長に提出しなければならない。炭鑛管理者は前項の原案を作成する場合には生産協議會の議を經なければならないと前提して、三、四、五の項目を削除したい。前項の場合において、生産協議會の議を經ることのできないときには、事業主は當該業務計畫案を提出するとともに、命令の定めるところによりその旨所轄石炭局長に報告しなければならない。こういうふうに規定すれば、十八條は十分、十九條は、前項の規定による指示があるまでは、事業主は前條第一項の規定により、所轄石炭局長に提出せる業務計畫の案により、指定炭鑛の業務を行わなければならない。かように規定すれば、十八條と十九條とははつきりして、ややこしい規定をつくらなくてもいいのではないかと考えております。私の意見だけを申し上げておきます。  第三節の炭鑛管理者の段にはいります。第二十三條の第三項、管理者の選任は、會社の場合には、支配人の選任の例によつて行う、こう規定してあります。支配人の選任の例によつて會社の場合行うという理由を、ひとつ平井政府委員から御説明願いたい。

平井富三郎商工事務官

○平井(富)政府委員 炭鑛管理者は、その規定によりまして、裁判上、裁判外の代理權、いわゆる法定支配人のような資格をもつ管理者でありますので、支配人を選任いたします例にならつたわけでありまして、具體的に申し上げますれば、取締役會の半數の同意によつてこれを行うというふうにいたした次第であります。

西田隆男民主党

○西田委員 はなはだ簡單な答辯ですが、私はそういう答辯を求めたのでない。どういうわけで支配人としての選任方法を、炭鑛管理者にとらねばならないか、その理由を説明してもらいたい。ただ裁判上、裁判外の權限云々でなくて、その根本、もつと深い思想といいますが、そんなものをお聽きしたのです。

平井富三郎商工事務官

○平井(富)政府委員 炭鑛管理者の性格が、まず形成的にはただいま申し上げました法定支配人と同一の權限をもつわけであります。支配人を選任いたします場合は、取締役會の半數の同意を得てやるという規定がございますので、その例にならつたのでありますが、炭鑛管理者が業務計畫の實施について、外部に對して一切の權限を一應代表し得る權限をもち、業務計畫の實施という面において國家に對する實施計畫の責任を、この國家管理法によつて負わされておるという、重要なポストにありまするので、この選任については、少くとも支配人を選任すると同様な手續によつて、愼重に選任する必要があるのじやないかという實體的な理由、形式的な理由から、これを支配人の選任の例によつた次第であります。

西田隆男民主党

○西田委員 私が御質問しておりますのは、そういう意味の質問ではありません。なぜ支配人として選任をせねばならないか。こういう質問でありまして、もつと詳しく言いましたならば、現在の炭鑛の責任をもつておりまする所長、おそらくそういうクラスの人が炭鑛管理者になるでしよう。その所長が現在現場の運用をやつております。それより以上に、支配人としての選任を今受けておりませんが、せねばならないという理論的な根據がどこにあるのか。どういうことをするために、支配人として選任せねばならぬか。こういう意味をお尋ねしておるのであります。

平井富三郎商工事務官

○平井(富)政府委員 今の御質問は、この國家管理法の炭鑛管理者の地位、國家管理上占める地位を一應御説明することになると思うのでありますが、ただいま申し上げましたように、業務計畫の決定その他は本社がこれをいたしまするが、計畫の實施については炭鑛管理者が事務的にこれにあたるわけであります。從つて從來の實質的には坑長というようなポストに該當するわけでありますが、その業務の内容については、さらに責任が加重され、範囲が擴大されるわけでありまして、炭鑛管理者の選定ということについては、相當愼重な考慮が當然拂われてしかるべきでないか、こういう意味合において、炭鑛管理者の選任については、特に支配人を選定する例によつてこれを選定した次第であります。

西田隆男民主党

○西田委員 どうもよくわからぬのですが、もう少し具體的に言つてもらえませんか。私がお尋しているのは、現在坑長というものが、あなたは御承知ないかもしれませんが、大きな炭鑛では一つの坑口をもつておる。これは坑内だけのもので、坑外のことはやらぬ。坑外の全般をやるのは所長である。私が申し上げているのは、小さい炭鑛ならば坑長がやつておるが、大きい炭鑛では所長がやつております。この所長が現在本社の委嘱を受けて炭鑛の現場の運營の實態を支配しておるのでありますが、現在より以上どんなことをやらせるから、法的に支配人の選任をしなければならぬかということを私は聽いておるのである。

平井富三郎商工事務官

○平井(富)政府委員 ただいま坑長と申し上げましたが、所長の意味で申し上げておつたのでありますが、支配人が取締役會の過半數をもつて選任されるということにつきましても、支配人が一定の業務を専行し、しかもその代表權が代表取締役と同様な代理權をもちます關係で、取締役會の選任を受けるわけであります。この炭鑛管理者は、大體今の所長の席にすわるわけでありますが、從來の單なる所長ということでなく、炭鑛の業務計畫の實施の責任者として、國家管理法も特殊の地位を認められているわけであります。從つてその選任につきましては、生産協議會の議を經るというような要件も出てまいりますと同時に、取締役會の過半數の同意を得て、企業としても全幅に支持し、同時に從業員からも支持をされるという趣旨をはつきりいたしますために、特にこの規定を設けた次第であります。

西田隆男民主党

○西田委員 私はどうもわからないのですか、管理法案の上において、炭鑛管理者というものに法的の資格を與える、これは企業者側からも信頼を受ける。從業者からも支持を受ける。だから法的ないわゆる支配人の選任をしなければならぬということは、支配人選任の理由にはならないと思います。これは少くとも事業運營の實態が、どうしても支配人としての選任をしなければならない。そういう權限を附與しない限り、現場の運營ができないのだ、こういう建前から支配人を選任しなければならぬのなら私はわかるのだが、今の平井政府委員の御答辯のようなことでは、この支配人を選任する理由にはならない、このように私は考える。そこで幾度も申し上げましたが、現在所長のやつておる事業の運營上においてもつている權限、この權限の上にどういう具體的な權限を與えなければならぬから、支配人として選任しなければならぬのか。あなたのお言葉では、代表取締役と同じような權限をもたせるということですが、現在炭鑛においては、代表取締役たるの資格がなければ現場の運營ができないという隘路は、どういう點にあるのか。これをひとつお聽きいたしたい。

平井富三郎商工事務官

○平井(富)政府委員 結局炭鑛管理者の企業における地位と管理法上管理者がどういう仕事をするかという問題に歸著するわけでありますが、この管理法の建前は、要するに計畫は本社がこれを決定いたしますが、現場における業務の實施につきましては、炭鑛管理者を選任いたしまして、これが國家に對する責任者としての地位を與えられまして、本社のきめました計畫の實施に對しまして全責任をもつという地位にすわらされるわけであります。從いまして、たとえば資金の借入の問題にしろ、資材の購入の問題にしろ、あるいは炭鑛間における資材の融通の問題にしろ、その他勞務關係にいたしましても、炭鑛管理者において、現場即決がなし得るような態勢にしていく必要があるのではないか。もちろんこの場合に、本社が炭鑛管理者の仕事を指導援助することは當然でありますけれども、炭鑛管理者といたしまして、やはり即決し得る権限をもつ、またできるだけ即決でいくという方向によつて、現場の機能というものを十分に生かしていきたいということを目途にいたしまして、この法定支配人と大體同様な権限をもたせようといたした次第でございます。

西田隆男民主党

○西田委員 これは非常に重要な點ですから、しつこいようですが、なおお聽きしたい。現場において即決するということは、結局時間の問題だと思いますが、時間の問題以外に何かあれば別ですが、私は現場で即決するということは、時間の問題だと思う。一つの會社で、本社も現場も同じような所にある。そこに社長がいる。そうして責任を負うのは炭鑛管理者である。炭鑛管理者を選任する以上、當然そうなるでしようが、炭鑛管理者と社長とは終終顔を合わせているという以上、これは支配人であつても社長に相談して悪いことはないが、そういう關係にあつても、なおこれを法的な支配人として選任しなければならぬという理由がどうも私にはわからぬ。これは思想が違うからかもわからぬが、私は少くともあなたがおつしやるような即決でやる。しかも現場と仕事の運營に支障を起さないでやるということなら、現場運營上支障が起らないような權限を社長が炭鑛管理者に委讓するという方法でも結構だと私は思う。だから、最初から申し上げるように、民主黨はどこまでも企業というものを管理するのだという建前をとつておりますがゆえに、法的にそれを性格づける云々の問題は別として、支配人としての選任をするというより、むしろ炭鑛管理者に企業の運營の實態に支障を起さない程度の權限を委讓するという行き方をしたらどうかという意味から、支配人選任の問題をしつこく伺つているのですが、この點どうですか。

平井富三郎商工事務官

○平井(富)政府委員 この炭鑛の管理につきましては、炭鑛の規模によりまして、この制度がはつきり行く面と、事業主と炭鑛管理者の關係がただいまおつしやいましたような毎日オフイスで顔を合わせているというような場合もあり得るのでありますが、この炭鑛管理者の制度は、ただいまの炭鑛の一般的な状況から見まして、炭鑛管理者に即決の處分を與えるということが適當であるように考えた次第でございます。たとえばただいまの財閥炭鑛につきまして、本社が東京か大阪にある、現場に管理者がいるというような場合は、現在でもある程度の權限の委讓は受けて動いているものと考えておりますが、そういう状況を法制化いたしました場合に、一應炭鑛管理者の權限は法定支配人の權限をもつ。さらにたとえば一定額以上の資金の借入ということを本社でやつた方が非常に的確に敏速にできるというような場合におきまして、この權限は本社がやるのだというような、その代表權に對する一つの制限といいますか、業務の調整というものは、その企業の規模、内容に應じまして、當然考えられてくるのでありまして、その面で十分調整していけるのじやないか。一應炭鑛管理者が、業務の執行の責任者として現場に常駐し、實施に全力を打ちこんでいくという點から、この炭鑛管理者の代表權の問題を規定いたしたのでありまして、西田さんのおつしやいましたことを、裏から規定いたしたというふうに考えている次第でございます。

西田隆男民主党

○西田委員 この條文ではだいぶん長い時間をとりましたから、一應この程度にしておきますが、これは根本的に考え方の相違であると思います。あなたは今裏から考えたとおつしやつたが、裏と表とではたいへんな差がある。これは根本的な考え方の相違からきているのですから、他の機會に讓ります。  それから「前項の規定による選任は、商工大臣の承認を受けなければ、その効力を生じない。」かような規定が第二項にあります。これは商工大臣に事業主が届け出をすればそれでよいのだ、かような程度でどうかと考えますが、これに對する商工大臣のお考えを伺います。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 それは西田さんのお考えのように、炭鑛管理者を支配人にしない、支配人のような選任の例にならないということならばそれでよいかもわかりませんが、しかしながら、炭鑛管理者の選任をば、當該會社の支配人の選任の例にならつてこれを行う。さらにまた第二十八條におきまして、「炭鑛管理者は、當該指定炭鑛の業務に關し、事業主に代つて一切の裁判上又は裁判外の行為をする權限を有する。」というように規定せられております。炭鑛管理者の場合におきましては、やはり單なる屆出ではなしに、こういうような承認を受ける方がいいのではないか。かように考えております。

西田隆男民主党

○西田委員 それはまたはなはだおかしい商工大の御答辯です。法的な資格を與えて支配人として選任したものであれば、なおさら商工大臣に屆出るだけでいいはずで、これが支配人としての屆出がされなかつた場合には、あるいは商工大臣の承認を經なければならないということが必要であるかもしれませんが、支配人として法規上の選任を經て支配人になつた以上、屆出ただけで結構だと思います。商工大臣は全然反對に考えておりますが、どうですか。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 それはその次の異議のあつた場合なんかと照し合わせまして、やはりこういうぐあいにするのがいいのではないか。このように考えております。

西田隆男民主党

○西田委員 そういう説明ならわかるのですが、さつきのあなたの御説明では全然逆です。どうせ根本的に違うのですから、質問をするだけ質問をすることにいたしましよう。その次の炭鑛管理者を選任する場合においては、會社は支配人として選任をしなければならないということを一つきめ、その次には、こんどはまた商工大臣の承認を受けなければその効力を發生しないという條文を一つ書き、その次にはまた炭鑛生産協議會の同意を求めなければならない。議を經なければならない。あるいは從業者の贊成を經なければならないという規定をまた設けられておりますが、さつきも申しましたように、企業自體を管理するという建前をとつておりますが、そういう建前をとりますと、やはり今の言葉で申しますならば、これは企業の人事權の侵害ではないかと、かように考えられる點が一つと、なお炭鑛管理者に關しましては、あとの條文において、もし生産協議會の過半數が不適當であると認めた場合には、その解任を商工大臣に申し出ることができるという、いわゆる炭鑛管理者に對する一種の彈効規定が設けてあるのであります。まあ忌避規定と申しますか、そういう規定が設けてあるのでありますが、商工大臣は少くとも生産協議會の過半數がAという炭鑛管理者が不適任であるといつて、申請を受けた場合、從業者もそうだという答申をした場合には、當然これはおかえになるだろうと思うのです。生産協議會の過半數がそういうことをしたにかかわらず、なお商工大臣はそれでいいということは實際問題として行われない。かように私は解釋するものでありまするがゆえに、こういうような忌避規定、彈効規定がある以上は、選任の場合には生産協議會の議を經なくてもいいのではないか。實際問題として從業員の贊成しない者を炭鑛管理者として事業主が選任するということは、これはあり得ない。またなし得ないことである。こういうような見解から、この規定は設けなくてもいいのではないか。そうして後段の規定によつて、生産協議會竝びに從業員の炭鑛管理者に對する發言權は十二分に認められておるのではないか。かように私は考えますが、これに對する商工大臣の御見解を伺いたい。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 この問題もこれまで論議されまして、西田さんのおつしやつたように一つの方を抑えておけば、ほかは抑えなくてもいいのではないかというような御議論であつたのでありますが、いろいろ考えますと、この炭鑛管理者というものが、どうしてもいわゆる現場の勞働者の協力を得た人で、そうして一體となつてやつていく。すわはち現場における行政、經営者、勞働者、三意一體の協力態勢を整えることが一番増産の上から望ましいというので、こういうように兩方から抑えるようになつたのでありますので、その點は御了承を願いたいと思います。

西田隆男民主党

○西田委員 商工大臣は過去に討議されたから委員會ではもう言うてくれるな、大體了解してくれというふうな御答辯のように承りますが、過去の討論は過去の討論として、當委員會で討論することは、當然討論すべきでありまするがゆえに、そういうふうな御答辯でなくて、もう少し親切丁寧に、的確な御答辯をしていただきたいと思うのであります。どうしても生産協議會にかけなければならぬという理由があれで、その理由をはつきり言つていただきましようし、かけなくてもよろしいと思うなら、かけなくてもよろしいというように御答辯願いたいのですが、私はさつきも申しましたように、どうもこの法案を通じて切實に感じますことは、生産協議會――今までにあつた經營協議會というものは、この前も申し上げましたように、勞働者の地位の向上と、經濟的な條件の確保という點において、その目的とあれがあつたと、かように考えるのであります。ところが生産協議會の規定を見ますと、それ以上に勤勞者の生産意欲を高揚するためには、こういうふうにやらなければならぬという考え方から、私はこの條文が取上げられてきていると思うのでありますが、勤勞者の生産意欲を高揚するということが、會社の一々の人事權にまでも及ばなければ勤勞者の生産意欲の高揚はできないというふうには私は考えておりません。商工大臣は從業者の贊成がない、從業者の支持がない炭鑛管理者はだめじやないかと、かようにおつしやいますが、これはもちろんその通りです。しかしながら、少くとも現在の状態において、事業主が炭鑛管理者を選任する場合、私はさつき平井政府委員が言われたように、今度は裏から考えますと、從業者の支持を受入れられないような炭鑛管理者を選任するような事業主はどこにもいないとかように考えております。そこで今のような私の意見が生れてくるわけで、しかし勤勞者諸君の發言權を、炭鑛管理者にもたしてないというのではなくて、第二十五條の二項において生産協議會の委員の定數の過半數が炭鑛管理者を著しく不適任であると認めるならば、彈劾するという規定が設けてあるから、これで十分ではないか、かような意見を私はもつているのであります。

水谷長三郎日本社会党商工大臣

○水谷國務大臣 大體私の考え方の根本的な考え方を申しますと、國家管理が施行されない前の場合になると、えてして經營者と勞働者とが對立したようにとられる。あるいはまた監督される者と監督する者とが、何だか對立しているようにとられるということがありきたりのように考えておりますが、今度のこの國家管理というもののねらいは、いわゆる監督する者、監督される者、あるいはまた經營者あるいは勞働者の對立、そういうようなものを一切乘切りまして、行政竝びに經營者、勞務者の三位一體の協力態勢ということを整えるというところにこの法案の大きなねらいがあるのでございます。從つて今西田さんのおつしやつたような人事權の侵害であるというようなことは、そういうような三位一體の協力態勢のもとにおける人事權の相談というぐあいに考えるべきものでありまして、これをば前の經營と勞働との對立意識とか、あるいは監督竝びに被監督者の對立意識というように考えるのは、これはどうかというぐあいに考えていただきたい。大體の根本的なわれわれの態度は、そのように考えておりますので、その立場をば十分御了承願いたいと思います。

西田隆男民主党

○西田委員 商工大臣の御答辯はわかつたようなわからぬようなくすぐつたい感じがするのです。岡田君はさかんに私に對して「ノーノー」という發言をなさつておりますが、炭鑛管理の者本人がやめたいという場合に、生産協議會にかけなければならぬという立場のように承つたのであります。これははなはだ不都合な考えで、憲法による基本的人權の侵害であるというように考えております。これは當然もう感想的にどうしても合わないのですから、合わないものはいくら論究してみても方法はないのでしよう。この程度で質問を打切つて次の條項に進んでいこうと思いますが、時間もありませんから、これはこの次の質問することにいたします。

伊藤卯四郎日本社会党

○伊藤委員長 大藏大臣がいま少し經つと出席したいということでありますので、岡田委員から保留されている問題ででき得れば、この質疑の繼續中に許したいと思つておりましたが、一應先般の理事會で委員から御意見のある場合には、一應理事竝びに委員長にあらかじめ連絡をおとりなつていただいた上で、發言を許す。こういうことになつておりますから御承知願いたいと思います。  それでは本日はこの程度にしまして、次會は明八日午後一時より開會いたすことにして、本日はこれにて散會いたします。     午後零時一分散會

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