皇室経済法施行法案特別委員会 第4号
- 発言数
- 51 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1947/08/26
会議録
○森委員長 これより會議を開きます。 前會に引續き質疑を行います。東井三代次君。
○東井委員 この前の會議に、私豫算の方の理事の關係で缺席をいたしまして、今日お尋ねするところが、あるいはダブツているかもわかりませんが、もしダブツておりましたら、その點はお許しを願いたいと思います。簡單に二、三の點につきまして質問をしたいと思います。 皇室經濟法は、國の象徴としての天皇と皇族に關する法律であることは、言うまでもありませんが、本施行法も、從つて國の象徴である方と、その周圍の方々の品位保持のためのみならず、その地位に表裏してお使いになります經濟でありますから、十分その點に對しての考慮が拂われていると考えるのであります。その點につきまして相當の餘裕をおもちになつておりまするかどうか。なお、その次にこの法案に規定されている金額の算定の基礎を御説明願いたいと存じます。
○加藤(進)政府委員 お答えいたします。この金額は大體においてずつと以前に算定したものでありまして、ただいま内廷費の八百萬圓を例にとつて申しますれば、これは現在ではかなりに窮迫いたしております。ただし、今年は非常に少くてどうにもならないというところまでは行つておりませんので、今年はどうにかこれでやつてまいりまして、あるいは次の年度等には、増額の要求をしなければならないというような事態になるかもしれないと存じております。 次に各金額の算定について申上げますが、まず第二條第一項の價額を五萬圓とした理由から申し上げます。これは受ける方と出す方と兩面から觀察できるのでありますが、まず受ける方の額を大體きめまして、それにまず出す方をなぞらえたというような考え方であります。價額を五萬圓としたものを、受ける方の側からまず第一に御説明申上げます。現在の物價状態では、五萬圓という金額はさほど高價なものではございません。そこで家具その他家庭用品の中の高價なものを考えまして、まずその限度をきめたのであります。かようなものは皇室財産を増加するものでもございませんし、これについて一々皇室經濟會議の議にかけるのは、むしろその煩にたえないというところで、五萬圓をとりました。賜與のことについても同樣であります。第二條第二項では價額は十萬圓になつております。これを申し上げますと、この額は皇室經濟會議の議にかけるのでございますが、價格を想定するにあたりましても、現在の日本の作家の繪とか彫刻とか工藝品といつたような美術作品の一點の最高價格を十萬圓くらいに考えまして、骨董品はもちろんこの價格をずつと越えてまいりますが、現存作家の作品としてはこの程度の價格が適當と思われます。そうしてこの種の美術作品は、いろいろ日本の文化の將來から考えましても、獻上ということがきわめてあり得ることと思いますので、この方面をつかまえまして十萬圓といたした次第であります。家庭用品よりは額が上だという程度のものでありますが、日常の使用品でもございませんし、また多少財産的價値をもつ點等から考えまして、五萬圓の倍額をとつた次第でございます。第三條では價額は十五萬圓になつてをりまして、この價額は同じ人の同じ年度内におきまする財産の出す方と受ける方との最高度をきめたものでございますが、さきに述べました五萬圓の三倍、十萬圓の一倍半という程度を標準としまして、皇族歳費の基準となる定額二十萬圓であることを勘案して、それより若干低額の十五萬圓を適當と認めたのであります。第四條におきましては、天皇、皇后、太皇太后、皇太后について、第二條第二項の金額十萬圓を三倍した三十萬圓となつております。これらの方々は、一般皇族と異なりまして、國の象徴及びその親近者としての持別な地位をおもちになりますので、この點に鑑みまして、皇室經濟會議の議にかける額は三倍までと考えました。第五條におきましては價額が百二十萬圓になつております。これは法第四條に規定しておりまするが、皇族は天皇と非常に近い關係におありになる方でありまして、その御行動、御生活等も一體として考えるのが適當とする點が多うございます。そこで賜與讓受につきましても、その一人々々の方を分離して考えられないものが少くございません。そこでこれらの方につきましては、價額は通じて想定することといたしまして、額は現在天皇及び内廷皇族が合わせて御八方おいでになりますので、一般皇族の十五萬圓の八倍にあたる百二十萬圓をとりました。なおこのほかに、これはお受けになる方お出しになる方が同額の百二十萬圓でございますが、このほかに國民をお見舞になつたり、またはお勵ましになつたりするためのことを考えますので、年額にして約百八十萬圓ずつある見込みであります。この方は國會の議決にまつこととしまして、法上の問題としておりませんが、これは別にごらんの通り議決案件として出ております。以上の額はいろいろこの法案審議中から考えておりまする額でありまして、今囘出すにあたりましても多くの變更を加えませんでした。 次に第七條において定額を八百萬圓としておるということについてややこまかく申し上げます。内廷費八百萬圓、この算出の内譯は次の通りでございます。御内帑費、これは天皇、皇后兩陛下、皇太后樣、東宮樣等が御内帑にお使いになる費用と贈賜等を含めました金額でありまして、三百二十八萬圓となつております。次に皇子の御養育費であります。これは東宮以下の皇子の御養育費で四十五萬圓。それから供膳費が七十五萬、これはお食事や御會食の費用であります。それから次に御旅行費の百三十萬圓でございます。これは兩陛下が公の意味の少い私的の御旅行、たとえば、夏とか冬とかにどちらかにおいでになるといつたような費用でございますが、このほかに皇太后と東宮、皇子の私的御旅行費百三十萬圓と見ております。次に祭祀の費用が二十一萬圓、それから、用度の費用が八十三萬圓、それから祭祀をする人は、これは役人ではなくて、内廷の私的な使用人と相なつておりますが、給與その他の雜費のほか、豫備費等も見て百十八萬圓というものを見ております。以上を合計いたしまして八百萬圓となりまするが、この八百萬圓が法に出て御審議を願います時と、見積りの時とは、かなりの年月がありましたので、經濟上の變化等によりまして、現在極力八百萬圓の中に收めるように努力はいたしておりますが、激しい經濟状況の變遷のために、あるいは次の來年度あたりは、かなりの變更をみなければならないかもしれません。但し、われわれは極力この額でやつてまいるつもりでおります。 次に第八條で定額を二十萬圓とした理由でございますが、これは親王及び親王妃の御一家が、皇族として相當の御品位を保持しながら生活するに要する經費は、現在までの實際の所要經費、その他のいろいろな事情を總合して、少くとも年額約四十萬圓と推定される。その内譯は使用人に對する給與費が十五、六萬圓御生活費、交際費、用度費、旅行費、營繕費、その他の諸經費が二十四、五萬圓という計算になつております。この四十萬圓の中には私的な費途をも含んでおりますから、その七五%を皇族としての品位保持のための年金として、國から提供するものといたしますると、親王及び親王妃お二人に對する年金額は合計三十萬圓に相なつております。これはお二人の場合でありますから、これを經濟法第六條に引當てまして、既婚の親王のお一人方に引當てますと定額が二十萬圓と相なるわけでございます。この二十萬圓は施行に關する法律では一應十五萬圓となつておりましたが、この點は經濟上の變更を考えまして二十萬圓に増加いたしております。
○東井委員 大體は了承いたしましたが、ただいまの御説明の中で、八百萬圓では少し窮屈ではなかろうかというようなお氣持があられておるようでございますが、これはこの前に出ておる皇室經濟法の施行に關する法律の第二條にも、この當時八百萬圓の規定があるわけであります。特にその第二條においては但書において「物價の變動その他の事由により、前項に定める額が、不適當と認められるに至つたときは、速かにその額の變更について、法律改正の手續をとらなければならない。」とあるのでありますが、ただ一點私非常に殘念に思うことは、その當時と現在とでは、相當物價の變遷があるわけでありまして、それを勘案の中に入れずに、ここに八百萬圓そのままを御規定になつたということ、はなはだ遺憾に存ずるのであります。この點は、今、宮内府次長が申されたように、次の機會に必ず御考慮あるよう希望を申し上げておきたいと思います。 それに關連してただいまの御説明で、本法案の第八條は二十萬圓になつておりますが、この前の法律、つまり皇室經濟法の施行に關する法律においては、これが十五萬圓になつております。この點については、今後二十萬圓に増額されて、八百萬圓の方がそのままにすえおかれておるということは、私はなはだ首尾一貫を缺くのではないかというような考えをもつのであります。この點について何か特に御説明があれば承つておきたいと思います。
○加藤(進)政府委員 率直に申しますと、御内廷の方は世帶が大きうございますので、非常に窮屈な思いをさせることがないように考慮しながら、多少のやりくりはやつていけると見ております。皇族樣方の方は、これは違いまして御世帶も小さく、經濟的の事情はよほど緊迫しておりますので、その點で區別したわけでございます。ただいま窮屈とは申しましたが、國の象徴としての陛下の御親近の方の御生活の品位を傷つけ、あるいははなはだしく御苦痛をお感じになるということは、むろんない次第でございます。その點で、特に今の經濟事情から申して増額を求めることも、かえつていかがかと思われまして、この金額でできるだけやつていくと申し上げる次第であります。
○東井委員 お氣持はよくわかつております。しかしながら、經濟の變動が非常に大きな時代でありますから、どうぞ十分お氣をつけいただきますよう、お願い申し上げておきたいと思います。 それから皇族に關する經費は、内廷費、宮廷費、皇族費のこの三つになつておるように思いますが、内廷費は、今、八百萬圓ということは大體わかりましたが、あとの宮廷費と皇族費は、總額どれくらいになつておりますか。
○加藤(進)政府委員 お答えいたします。仰せの通り、皇族に關する經費は、内廷費、宮廷費、皇族費となつておりますが、皇族費の方は、内廷にあるほかの方の費用、たとえば秩父宮家以下の方を指しておりますので、この方は年金だけを、あるいは皇族の列を離脱される際の御賜金を見ておるのであります。從つて天皇陛下と他の御親近の方々につきましては内廷費と宮廷費とにわけてあるのでありまして、内廷費の方は主として私の立場から見ました場合であります。これはつまりお使いになるのは官金、公金ではなく、私の範圍でお使いになります。宮廷費の方はこれは公の場合を主として見ましたので、これを使いまする際は公の官金として經理いたします。宮廷費の方はどれだけのものが見積つてありますかは、ただいま内藏頭から申し上げます。
○塚越政府委員 お答えいたします。皇室費は御承知のように内廷費、宮廷費、皇族費にわかれておりますが、内廷費は八百萬圓の月割といたしまして、十一箇分と見まして七百三十三萬三千圓、それから宮廷費は千五百二十四萬圓、皇族費は六十八萬八千圓、それに昭和二十二年度は過渡期でございまして、前の憲法による皇族費の定額というものが四月一箇月分を見ておりまして、これが四十萬圓、合計いたしまして二千三百六十六萬一千圓というふうになつております。
○東井委員 皇族が皇族の籍を離脱されるにあたりましての一時賜金のことにつきましては、この前お答えがあつたように承つておりますが、その一時賜金と課税の關係につきましてはどういうことに相なつておりますか。
○塚越政府委員 この課税の關係につきましては、國庫から出ます金でございますので、結局多く出してそれに税金をかけるという關係も考えられますが、むしろこれは免税にいたしまして、實質の手取額を出した方がいいんじやないかという考えからいきまして、所得税法の中に規定を設けまして、これについては課税をしないという取扱いにいたしております。
○東井委員 もう一つ承つておきたいのでありますが、「舊皇室財産の處理に關する調書」という材料をここにもらつておりまするが、これで大體の舊皇室の財産の處理に關するいろいろなことはわかつたのでありますが、この調書の第一項目の中ごろに、「次に若干の私的財産を除き」という文句があるのであります。「若干の私的財産」というのは、どういう内容を指しておりまするか、御説明願いたいと思います。
○塚越政府委員 この「若干の私的財産」の内容についてお答え申し上げます。この中には不動産は含んでおりません。この内容は御身のまわり品と若干の預金、有限證券ということになつております。お身のまわり品といたしましては、いろいろな御衣服でありますとか、御調度それから御裝身具、あるいは御書籍、また生物學御研究所の標本類というようなものがその中にはいつております。また皇室に御由緒の深い圖書類というようなものもその中にはいつております。それから預金、有價證券といたしましては、天皇を初めといたしまして内廷にある皇族方合わせまして御八方の御私有財産として千五百萬圓を充てております。その内容は預金、有價證券でありまするが、現在におきましてはもつぱら預金の形になつておりまして、漸次これを有價證券にかえていくという考えであります。
○東井委員 全部終了いたしました。
○森委員長 打出信行君。
○打出委員 二、三の點について御質問申し上げます。ただいま他の委員から御質問になりました内廷費の八百萬圓というものが、今日の經濟状態とにらみ合わせまして非常に少いということは、私どもも痛感いたしているのでございますが、ただいまの御説明によりまして皇室の尊嚴を汚さない、御不自由をかけないというようなお話で、まず私どももこれで了承いたしたいと思うのであります。これに關連いたしまして、私ども郷里に歸りまして、皇室の經濟がこうこうだということを發表いたしますれば、あるいは國民感情のほとばしるところ、獻金運動というようなものが起らないとも限らないと思うのでありまするが、昨年でありましたか、非常に主要食糧の缺乏した時代に、陛下に對しまして、獻米運動と申しますか、さようなことが起り、それが主要食糧の移動であるからできないとか、何か多少の騒ぎがあつたようなことを記憶いたしているのであります。その主要食糧の點の問題は別といたしましても、そういうような意味で、國民感情のほとばしりとして獻金運動というようなものが起るようなことがあつたとするならば、そういうものについては、どういうようにお取扱いになるかお伺いいたします。
○加藤(進)政府委員 非常にむずかしいお尋ねでありまするが、現在といたしましては獻金は受けない方針でございます。と申しますのは。ただいま塚越政府委員から申しました通りに、多少の資産もお持ちになり、この資産はいかほどでないにいたしましても、年年の恆常的の陛下の御行動の費用は、豫算を通しまして國の方から支出に相なつております。宮内府といたしましては、この金でできるだけのことはやつております。もし、いかにしてやりましても、陛下の國の象徴としての御品位、その他の方々の御行動上差支える場合には、國の豫算の増額によりまして、議會の手を經るべきものと考えております。もちろん獻金におきましても、百二十萬の額を越えました部分は、國會の議決を經なくてはなりませんのでございますし、また先ほど申しましたある額以上は、經濟會議の議決を經ればよいわけでございますが、かような手段にはよらずして、内廷費、宮廷費の増額によることを正當と考えます。獻金は受けない方針でございます。
○打出委員 われわれはまだ宮城を拜觀したことはございませんが、ひそかに承りますところによりますと、戰災のために、非常に建物その他において荒廢に歸しているというようなことを承つて、まことに恐縮いたしているような次第でございます。もとのような宮城に修復するということは、この際いろいろな關係においてむずかしいかもしれませんが、ある程度尊嚴を傷つけないというような程度に宮城を修復するということについて、宮内省關係において、何か御計畫があるかどうか、伺いたいと思います。
○加藤(進)政府委員 お答えいたします。仰せのように、宮殿は表宮殿も燒け、奧宮殿も燒けました。また赤坂方面におきましては、大宮御所も燒けました。但し、ただいまのところでは、陛下の御住居につきまして、これはむろんお手狹でもあり、また謁見その他につきましても、宮内省の廳舎を使用しておるのでありまして、確かに窮屈ではあり、御不便ではありましても、現在の程度でございましては、まだまだいろいろほかの現状から考えまして、國民の象徴としての品位を傷つけるというようなことはないかと存じます。國の力が囘復してまいりまして、その時にもう少しゆたかになりましたならば、それに相應した宮殿の再建等は、むろん考えてしかるべきことと存じますが、現在のところでは、まだその計畫をもつておりません。なお赤坂離宮におきましては、皇太后陛下の御殿が燒けましたので、これはとりあえずある建物を移築し、あるいはごく一部の事務所代りのものを新築いたしまして、御居住のための御殿はつくつてございます。
○打出委員 他の皇族方のお屋敷が戰災のために相當に荒廢いたしておるようであります。その點につきましては、どういうようになつておりますか。
○加藤(進)政府委員 この點は單に戰災をお受けになりましたばかりでなく、財産税等の關係によりまして、今までのお屋敷を手離される方も多いのであります。それで、今までのような御生活をかえられまして、それぞれお狹い所にお移りになり、その他秩父宮家のように、現在東京には屋敷をおもちでない方もございます。われわれ將来關心をもちますところは、降下せられず、宮家としてお殘りになるのは、秩父宮、高松宮、三笠宮でありまするが、この方々はやはり公の面をおもちになるので、この殿邸につきましては、相當の殿邸をおもちになるように、何とかくふうをめぐらしていかなければならないと思います。但し、ただいまの状況では、ただいますぐにお住いにお差支えになるということはございません。秩父宮は御殿場にお移りになり、高松宮には御殿の一部の官舎にお住いになり、三笠宮は小さい屋敷をもたれております。なおそのほかに、東京にあります常磐松の御殿、舊伏見宮の御殿でありますが、この御殿を公の會合のときに御使用になることは認めておりますので、この邊の心配も、現状におきましてはないと思います。ただだんだん時の經まするに從いまして、皇族の公の地位に鑑みまして、この殿邸のことは何とか解決をはかる時期がやがて迫つてくると存じます。
○打出委員 さらにもう一點、全國に陵墓の數がどのくらいあるか。この警護維持の費用にどれだけのものをお充てになつておるか。これは申し上げるまでもなく、新憲法におきまして、日本の家というものがなくなつてしまつた、と申しまするものの、系譜であるとか、あるいは墳墓であるとか、祭祀の點については、特別の考慮が拂つてあるのであります。しかるに敗戰後の頽廢した人心からいたしまして、新聞紙上、よく陵墓の木を伐つて薪にするとか、あるいは侵すべからざる所に踏みこんでいつて云々というような、まことにわれわれとしては恐れ多いような記事を新聞紙上散見いたしたのであります。從いまして大切な陵墓に對しまして、どういうような方法をもつて警護維持せられておるか。
○加藤(進)政府委員 陵墓の數から申し上げます。歴代の御陵が百十一で、そのほかに歴代の御分骨所、あるいは各皇族樣のお墓とか、參考地等を入れまして、箇所數は八百五十九になつております。これを約百三十人の現地の陵墓職員をもちまして、それぞれの監視に當らせております。陵墓とその周圍の土地とは、大體非常に廣大なものを除きましては、もとの規模をもちまして皇室用財産として殘つております。お話のようにときどき京都、奈良等のかなり廣い場所等につきましては、不法な侵入者がありまして、木を伐るというようなことが起りましたのは、私どもとして、はなはだ申譯ないことと存じております。事情を聽きますると、多少人數を殖やしましても、手のつかないような侵入方法をとつて木を伐つたものもあつたようでございます。しかし、これもだんだんになくなつてまいりまして、このごろではさような報告は受けておりません。費用の方は陵墓といたしましては、三十九萬三千圓を計上いたしております。
○打出委員 最後に私どもは九州の出身でありますが、よく縣會その他におきまして、九州地方に行在所を一つこしらえていただきたい、こういうようなことが問題となりまして、四、五年前には、熊本縣の縣會においても、相當皆が熱意をこめて、九州に行在所をこしらえてもらいたい。殊にまた日本國の根源から申しましても、あるいは宮廷と九州の關係から申しましても、ぜひ行在所をこしらえていただきたいということが問題となつたのであります。こういうような世の中となりまして、ただちにここに行在所をおこしらえ申し上げるということもどうかと思いますが、もしも九州地方の各縣が申し合わせまして、陛下のおいでになるような行在所ができたといたしますれば、九州の方にときどきお出ましになるようにお願いをいたしておく次第でありますが、宮内省方面においては、そういうような宮内省自身としての御計畫はないのでありますか。
○加藤(進)政府委員 終戰後間もなくでございましたが、陛下より皇室の財産のうち、民生安定、經濟の復興に資すべきものがあれば、これをことごとく國に託して、最も適當なる利用方途を考えよというお示しがございました。このことは、殘念ながら内部のいろいろな事情によりまして、なかなか實現はいたしませんでございましたが、新憲法が實施されまして、皇室財産が國に移りました際に、鹽原の御用邸とか、日光の二つの御用邸、伊香保と御別荘等は、それまではときどき御使用があつたのでございますが、それぞれの用途を考えて國に渡しました。現に鹽原等は、盲人の光明寮等に使用されておるような事情であります。ただいまのお話は、われわれといたしましても、たいへんうれしい話でありますが、現在までにときどき御利用ありましたものも、それぞれ民生安定、厚生等のために出せよという状況でございますので、現在新しい御用邸、行在所をつくつてまいりますことは、未だその時期ではないかと存じます。但し九州地方等へのおいで等と申しますことは、御承知のように、陛下は各地を歩いて大衆に接せられまして、お慰めになり、お勵ましになつておる状況でございますから、行在所があるなしにかかわらず、やがて九州も巡幸をお迎えする機會があることと存じます。
○打出委員 大體了承いたしましたが、私といたしましては、希望といたしまして冒頭申し上げましたように、八百萬圓の内廷費は、今日の經濟状態から申しまして、あまりに少な過ぎる。これを次年度においては相當額御増額になつてしかるべきものである。さらに、大切な陵墓の維持費と申しますか、これがわずかに三十九萬三千圓、全國にまたがる陵墓をこれくらいのわずかな費用で完全に維持していくということは、數字上から申しましても、むしろ難きを強いるものでないか。かように信じますので、こういうことについては、さらに當局の深甚なる御考慮をお願いいたしておきます。 最後に、九州地方に陛下が行幸になりましたのは、昭和六年、大演習のみぎりでありまして、先刻お話の民心安定というような點から申しましても、陛下の行幸を近々に九州に仰ぎたいと申しますのは、これはわれわれ議員の希望のみでなく、九州全土の國民が鶴首してお待ち申し上げておるので、これにつきましては、當局においてしかるべく御善處をお願い申し上げます。私の質問はこれをもつて終ります。
○森委員長 御質疑も大體終了いたしたようでありますが、他に御發言はございませんか。——なければ討論にはいるのでありますが、この際皆さんの御了解を得まして、委員長といたしまして當局に二、三要點を質し、お答えを願いたいと思います。 昨年この皇室經濟法ができまして、當時私は本會議におきましても御質問を申したのですが、從來の皇室財産が、この皇室經濟法によつて國有財産になつたのであります。その皇室財産から國有財産に移管される場合におきまして、公正なる機關を組織して、これをはつきり區別をしなければならぬと思うということを申し上げておいたのであります。現在ではもうすでにこの皇室經濟法によつて、從來の皇室財産が國有財産になり、またその國有財産の中でも、特に皇室の御用になつておるものは公用財産となつておるのでありますが、これらの區別につきまして、いかなる審議の機關をお設けになつて決定なさつたのでありましようか。
○加藤(進)政府委員 ただいまお話のような點を承つたのでありますが、閣令によりまして皇室用財産調査委員會というものが設置せられまして、この委員會におきまして四月二十八日に、憲法により國有に移るべき財産中、皇室用財産とすべきものと、しからざるものとを調査審議いたしたのであります。皇室用財産調査委員會の構成は、内閣總理大臣を會長といたしまして、委員として人名を申し上げますと、衆議院から大野伴睦さん、西尾末廣さん、天野久さんがお出になり、貴族院からは大矢議員、白根議員、橋本議員が出、その他に官職をもちまして内閣書記官長、法制局長官、宮内次官、大藏次官、會計檢査院部長が委員となりまして審議し、先般來ごらんに入れておりますような區分を承認したのでございます。皇室用財産調査委員會は、大體皇室財産中、皇室經濟法附則第二條の規定によりまして、皇室用財産とするを適當と認めるところの範圍に關する事項を調査審議するために、内閣に置くことになつておつたのでございます。
○森委員長 昨年私ども宮城の拜觀を許されまして、當時拜觀いたしましたのですが、その當時、お燒けになつたその殘りの建物なんかも大分ありましたが、あそこの圖書館というのですか、書物がたくさんございました。あの中には、やはり皇室が直接將來おもちにならなければならぬものも多數あつたのですが、そうしたものについても區分なさつたのでありますか。
○加藤(進)政府委員 昨年おいでになりましたのは、あれは圖書寮と申しますが、あそこにあります書物は、大體國有に移しております。國有に移しました意味は、もちろん皇室の私的な財産といたしましても、これが利用をはかつてはまいりますけれども、あそこにありますものは、大事にもちながら利用していくという面が強いと思います。ただし宮内府の管理を離れますと散逸等もございますので、宮内府で管理はいたしておりますが、國有に移しておりまして、現に展觀等を續け、あるいはその中の優秀な古文書等は、出版等の計畫もございます。
○森委員長 それから國有財産になりましたものは、すでに皇室財産でなくて、國有財産に移管されてしまつたのですから、おわかりでないかもしれませんが、これらのうち、森林の開發とか、あるいは農地になる所は農地に開發するとかいうことについては、その後御存じでございましようか。
○加藤(進)政府委員 先ほど申し上げましたように、終戰後間もなく、民生の安定、經濟の復興のために、皇室財産を解放せようという思召しがありました。この所有權を正式に國その他の團體に移しますことは、外部的にいろいろ支障があつて實現いたしませんでしたが、その緊急の措置といたしまして、無償の使用承認をいたしまして、北海道等でも、たしか四萬町歩以上と思いますが、各地元の町村をしてこれが開發に當らしめておりまして、地元の官廳、地元の町村等とも連絡をとりまして、相當の成績は收めておつたように記憶しております。現在はまつたくこれが國に移りましたので、五月三日以後の成績は存じておりませんが、順調に進んでおるだろうと考えております。
○森委員長 それから各委員諸君も非常に御熱心なる御質疑をなさいまして、その中にもしばしばありましたように、この皇室の内廷費竝びに宮廷費に關しまして、非常に額が少いようではないか、今日の經濟状態からするならば、これでは足りないのではなかろうかという各委員諸君の御心配もありましたようですが、御答辯としては、増額しなくても、この程度でどうにか賄いができるというような御答辯でもあつたようですが、これは年々かえるというわけにはいかないのでしようが、皇室經濟施行法の第七條には、八百萬圓とするとありますが、今後この法律を改正しないと増額ができないように考えられるのですが、その點いかがでしようか。
○加藤(進)政府委員 仰せの通りでございます、内廷費は法律改正を要すると思います。
○森委員長 その點につきまして、これを法にきめてしもうのがよいでしようか、それとも最高額をきめておいて、それ以内とするというような方法を講ずるとか——ここにきめてしまうと、一々改正するのですか。また明年經濟状態が違つて來ますと、改正なさる御意向でありますか。明年物價が非常に高くなつたとか、あるいは極端に安くなつたというような場合には、またこれを一々議會にかけて改正なさるつもりですか。
○加藤(進)政府委員 八百萬圓というのは、先ほどから申し上げておるように、餘裕ある額ではありませんので、經濟状況がひどく變化してまいりますれば、改正してまいらなければならぬと思います。
○森委員長 それからこのたび皇族の御身分から一般人に降下なされる各皇族方が十一家、五十一人あると先般來言われておつたのでありますが、これらの方々が皇族の御身分を離れられるにつきまして、現在審議されておりまするこの施行法に基いて、各御一家毎に百數十萬の金をお渡しすることになるのですが、皇族方の今後の御生活等については、相當御心配をしておられるようでありますが、各委員諸君も、現在の皇族がその身分を離れられて、將來その金をいろいろな事業等にお使いになるのですが、萬一失敗なすつたりして、非常に生活が苦しくなられて、元皇族であられた方の品位を保持することができないような場合が生ずるということを非常におそれられておるようでありますが、われわれといたしましても、現實問題とし實際あるわけであります。この點皇族でなくなるのでありますから、あらためてまだこれらの人たちに國家が費用を出すということもできないと考えるのであります。これについて國家が特別の機關を設けるということもできないのでありますが、それぞれ顧問というような方もおられるのでございましようけれども、これを何らかまとめて運用するとか、あるいは適當な御意見を申し上げる相談所というようなものでもおつくりになる御意見はありませんか。
○加藤(進)政府委員 非常にむずかしい問題ですが、私どもはその方法が適當しておると存じますが、これをお受けになる方でそういう意思がありませんと、かえつてあるいは窮窟であるとお考えになつてお斷りになる方も出てくると思いますので皆樣ばかりでなく、私どもといたしましても、できるだけおせわをしたいという氣持はありますが、皇族方のそれを受けようという氣持とぴつたりいたしませんと、この點は無理に拘束することはできないので、非常にむずかしいところであります。
○森委員長 それでは、以上をもちまして質疑は終了いたしました。 午後一時まで休憩いたします。 午前十一時四十五分休憩 ————◇————— 午後一時五十八分開議
○森委員長 それでは休憩前に引續き會議を再會いたします。 皇室經濟法施行法案及び日本國憲法第八條の規定による議決案を一括議題として討論に入ります。松本七郎君。
○松本(七)委員 新憲法になりましてから、主權が國民に移つたということで、皇族に對する考え方というものが相當國民の間に變つてきていることは事實でありますが、依然として國家の統合の象徴であり、國民の象徴である天皇の地位は確立されております。その象徴である天皇の御一族のこれからの經費、そういうものについては、國民全般が非常な深い關心を拂つているのであります。今後の皇室經濟法及びその施行法による定額などにつきましても、少きに過ぎるような感があるでのありまするが、大切なものを守るために、ひいきの引倒しになるというようなおそれもありますし、時世が時世で國民が全部耐乏生活をして國の再建に進んでいかなければならないようなときに、また皇族方の側でも進んでそういう國民とともに苦しみを切り抜けようということを、むしろ希望しておられるというようなことも承つております。ですから、將來國力がゆたかにだんだん囘復していくにつれ、國民の生活文化が向上するにつれて、また日本の象徴である天皇の御一族の生活もゆたかになるということを期待いたしまして、日本社會黨を代表して、今囘はこの政府の原案に贊意を表します。
○森委員長 園田直君。
○園田委員 民主黨を代表して本案に贊意を表する者であります。先般來各委員から意見を述べられました通り、わが黨においても、國民の象徴であり、國家の象徴である陛下竝びに皇室の費用に關しては、特に深甚なる考慮を拂うものであります。特に内廷費の八百萬圓及び皇族費の二十萬圓は、現下の状況等より、陛下竝びに皇室のもたれる御地位、國民の感情からしまして、はなはだ恐懼する僅少なるものではなかろうかと存ずるのであります。この點については、關係當局におかれては、この次から十分考慮をせられて、内廷費における、特に天皇の外國に對する儀禮の費用及び皇太子の教育費、陵墓の費用、皇族費等については、特別の考慮を拂われて計畫されんことを附帶をして、本案通りに贊成をいたします。
○森委員長 本田英作君。
○本田委員 私は日本自由黨を代表いたしまして、兩案に對して贊成の意思を表明いたします。私の方においても、ただいま代議士會に諮り、滿場一致をもつて承認を經たわけでありますが、皆、これくらいの豫算で、はたして日本國の象徴であり、日本國民の統合の象徴である皇室及び御一家が、十分この經濟超非常時の際に生活していかれるかということを、心配していたのでありますけれども、すでに案として上つておるのを増減をするということは、社會黨の言われました通り、いろいろの方面の響きもあることでありますから、その局に當られるお方が、十分にその運營を御注意くださいまして、皇族方の御體面を害しないように切り盛りをせられて、本年の經過を見てさらにあらためて御發案の場合においては、われわれも十分に審議をこらしたいということにいたしまして、本案に對しては贊成の意を表明する次第であります。なおすでに皇族とせられまして、とうに皇族の籍を離れました李王家のことに對しましては、明治四十三年でありました内の、それ以來のいろいろな歴史もあることでありますし、また今日の朝鮮國の模樣も内外に明らかなことでありますから、やはりこの李王家の問題については、皇族籍を離れられられたのであるけれども、十分に同情をもつて、宮内府の諸君がいろいろ御相談にあずかるように希望いたします。
○森委員長 黒岩重治君。
○黒岩委員 國民協同黨は、本兩法案ともに贊成するものであります。この法案中、内廷費の定額八百萬は、物價騰貴の現状におきましては、その額の僅小に失するの懸念はありますが、當局の責任において御不自由をおかけ申し上げざるよう、周到な御考慮が拂われておられるようでありますから、その點を了としまして、原案を承認するのであります。ただし物價の將來における變動に應じまして、必要なる場合は本法を改正しまして、事態に即應して、内廷費に不如意なからしむるよう、配意あらんことを申し添える次第であります。また皇族費におきましては、これと同樣の意味におきまして原案を承認いたします。 さらにまた法第二條による財産の讓渡、賜與、讓り受けに關する一定價額につきましても、わが國の傳統から考えますならば、かかる法によるところの制限は、いかにも情において忍び得ざる感がありますが、この情を超越してかかる制限を附する皇室經濟法をすでに制定せられております點を考えまして、この一定額を定めることにも贊成するものであります。なお本委員會の質問によつて明らかになりました皇族の身分をお離れになられんとする十一家の皇族の方々の將來につきましても、國民としての心情を被瀝いたしまして、その將來の御多幸を念願いたす次第であります。 次に、日本國憲法第八條の規定による議決案につきましても、異議がございません。よつて國民協同黨に兩案とも原案に贊成いたす次第であります。
○森委員長 東井三代次君。
○東井委員 第一議員倶樂部を代表いたしまして、本法案竝びに議決案に贊成の意を表します。各委員が述べられたように、國の象徴である、天皇竝びに皇族が、その品位保持のみならず、その地位と相表裏して使用せられます經費につきましては、當局はもちろんのこと、國民も愼重にこれを考えなければならないところだと思うのであります。この意味におきまして、常に内廷費等につきましては、不自由のないように留意しなければならないのでありますが、特に當局におかせられましては、國の經濟状態の推移ないしは物價の變動に關して、不斷の注意を拂つて深甚なる考慮をめぐらされるよう強く要望いたしまして、本案に贊成をする者であります。
○森委員長 以上をもつて討論は終局いたしました。 これより採決をいたします。各案とも、原案に贊成の諸君は起立を願います。 〔總員起立〕
○森委員長 起立總員、よつて各案はいずれも原案の通り可決いたしました。 なおこの際お諮りいたします。衆議院規則第八十六條による報告書は、委員會の議決を要するのでありますが、今囘は委員長に一任していただきたいと思いますが、御異議はありませんか。 (「異議なし」と呼ぶ者あり)
○森委員長 御異議なしと認めて、さよう決定いたします。 最後に委員長として御挨拶を申し上げます。非常なる猛暑のうちに、各委員諸君竝びに宮内府次長、その他法制局長官、政府委員當局におかせられましては、熱心に御出席賜わりまして、適切なるところの質疑應答をいたされまして、本案は可決されたのでありますが、いずれも新憲法に規定する國民の象徴たる皇室に對し、國民的感情からいたしまして、皇室の御經費に支障なきやを御懸念いただきまして、非常に本案の審議に際しまして、われわれ感深きを覺えたのであります。委員諸君竝びに政府委員諸君の御熱心なる質疑應答に對し、委員長といたしまして、厚く感謝の意を表する次第であります。それではこれをもつて散會いたします。 午後二時十一分散會 ————◇—————