皇室経済法施行法案特別委員会 第3号
- 発言数
- 40 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1947/08/22
会議録
○森委員長 ただいまより會議を開きます。 前囘に引續き質疑にはいります。委員の發言を許します。本田英作君。
○本田委員 私はごく簡單な事項につきまして二、三お尋ねしたいと思います。内廷費というものの中に、人件費ははいつていないことになつておりますか。
○加藤(進)政府委員 お答えいたします。内廷費の中には、陛下が私の立場でお使いになる、たとえばお祭に奉仕する人がございます。これは役人ではございませんので、そういう人の人件費は多少はいつております。
○本田委員 別にお名前をおつしやらぬでもいいですが、皇族の方で、この法律の施行によつて臣籍に降下せられるお方々の將來の生活の方途と申しますか、將來どういうことをしていかれるかというようなことが、もし御答辯ができるならば、お答えできる範圍でお聽きしたいと思います。新聞に御十一家の方々で、今度この法律が施行せらると、臣籍に降下せられるように出ておりましたが、そういうお方々が臣籍に御降下なさるについて、將來どういう方途で日常生活をなさるかということですから、一々具體的な名前をおつしやらぬでも結構でありますが、差支えない範圍でお願いいたします。
○加藤(進)政府委員 お答えいたします。それぞれに御事情もお違いになりまするし、お年も、年をとつた方もあり、これから學校におはいりになつて修業してという方もありますので、各宮家について事情は違うのでございますが、大體三十くらいまでのお若い方は、それぞれ學校にはいつて、それからお考えになることと思います。お年をおとりになりました方は、これからどうということもございませんので、それぞれに方途をお考えになつておるようでございますが、まだどの宮樣も、はつきりこういう途を主としてとるというところまでは行つておりません。宮内府といたしましては、これはむしろ從來の御縁故によりまして、私事といたしましてお世話することになると思いますが、まずこの施行法によりまして手におはいりになりました金を保全いたしていく、それが有利でかつ確實なように運用されていくというような方に、まずお世話を申し上げなければならぬと存じております。
○本田委員 ちよつと申し上げていいかどうかわかりませんが、李王家は十一家の中にはいつておるのでございましようか、それを一つ。
○加藤(進)政府委員 李王樣の方は、これは全然別でございます。李王樣は五月三日に、憲法の施行と同時に皇室令が廢止されましたので、ただいま王族としての身分を失われておるわけでございます。これは今囘の議決案件の法律とは、まつたく無關係に考えております。
○本田委員 私はそれだけで結構でございます。
○黒岩委員 本法案の第二條、第三條、第四條、第五條、第七條、第八條に示されました金額を御決定になられましたところの根據を、お示し願いたいと思います。
○加藤(進)政府委員 第二條第一項から申し上げます。現在の物價状態では、五萬圓という金額は、さほど高價でもございませんが、これを何でとりましたかと申しますと、大體家具その他の家庭用品のうちの高價なものを想定いたしまして、これを一應の標準といたしまして金額を定めました。こういうようなものは皇室財産を増加するものとも考えられませんので、これについて一々皇室經濟會議の議にかけるのは、むしろその煩にたえないというので、まず第二條第一項の價額は五萬圓としたのであります。ただいまのは受ける側、つまり獻上を受ける側から申しましたが、賜與についても同樣でございます。なおこれはよけいな證明でございますが、新しい物價の體系によりますと、物品價格は戰前價格の六十五倍となつておりますから、まず今の五萬圓の價額は、戰前の千圓足らずの値になると存じますので、まず五萬圓を相當と考えたのであります。 次に第二條第二項の十萬圓について申し上げます。この額は皇室經濟會議の議にかけるものでございまするが、價格を想定するにつきましては、現代日本作家の美術作品、繪とか彫刻とか、工藝品のようなものでございますが、この一點の最高價格をまず十萬圓と考えて、そういたしました。骨董品はこの價格をはるかに超えますが、現在作家の作品としては、この程度の價格が適當だと考えます。この種の美術品は文化日本の將來から考えましても、獻上が豫想されます。先ほど申し上げました家庭用品より額が上だという點もございますが、日常お使いになるというわけでもございません、財産的價値もある程度考えまして、五萬圓の倍額をとりました。今のは獻上についてお話しましたが、賜與についても同樣の考えであります。 第三條で價額を十五萬圓といたした理由でございますが、この價額は同一人の同一年度内における財産の授受の最高限を定めたものでございます。前の五萬圓の三倍、十萬圓の一倍半程度を標準といたしまして、合わせて皇族歳費の基準となる定額は二十萬圓でございますので、こういうことを考えて合わせまして二十萬圓から若干減らしました十五萬圓を適當と認めたのであります。 次に第四條につきまして、天皇、皇后、太皇太后、皇太后については、法第二條第二項の金額十萬圓を三倍とした理由でございまするが、これらの方々は、一般皇族と違いまして、國の象徴である天皇及びその親近者としての特別な地位を御持ちになりますので、その點を考えまして三倍までといたし、これを皇室經濟會議の議にかけることといたしました。 次に第五條で價額を百二十萬圓といたした理由でございまするが、法第四條に規定いたしまする皇族は、内廷の費用でございますが、これは天皇と最も親近の關係においでになる方でございまして、一體として考えるのを適當とする場合が多いのでございます。賜與や讓受につきましても各人を分離して考えられないものが少くありません。それでこれらの方については、通じて價額を想定することといたしまして、額は現在天皇と内廷皇族が合わせて御八方になりますので、これを十五萬圓を八倍いたしまして百二十萬萬ということにいたしたのでございます。 次に第七條の定額八百萬圓でございまするが、この内譯を申しますると御内帑の費用が、いろいろの場合の賜わり等を含めまして三百二十八萬圓となつております。この天皇御内帑と申しますのは、天皇、皇后兩陛下の御内帑と皇太后及び東宮の御内帑と申しております。そのほかに皇子の御養育費といたしまして四十五萬圓、それから供御及び供膳費、これは御食事とか御會食なさる費用でございまするが、これを七十五萬圓、御旅行費百三十萬圓、これは兩陛下について申しますれば、やや公的の場合と、またまつたく私的の場合とございますが、その中のごく私的の場合の御旅行費を見たのでございます。なお兩陛下のほかに皇太后、東宮殿下、皇子等の御旅行はもちろんこの中に含まれております。次に祭祀の費用でございますが、これは二十一萬圓をみました。これは主として陛下は皇祖御歴代、皇族方を御祀りになつておる内廷の祭典關係の費用でございます。次に用度費で八十三萬圓、これは備品、消耗品、車馬等の費用でございます。その他に雜費といたしまして百十八萬圓をあげておりますが、これが先ほどお尋ねのありました祭祀をはじめ内廷等で陛下が個人として使つておる人の人件費その他雜費のほかに若干の豫備費を含めたのでございます。以上合計いたしまして八百萬圓になります。 次に第八條の定額二十萬圓の根據でございますが、これは親王が御結婚になつて親王妃となられて、第二方の御一家が皇族として相當の品位を保ちながら生活に要する經費を考えてみますと、現在までの實際の所要經費その他を考え合わせますと、まづ少くとも年額四十萬圓という數字が出てくるのでございます。その内譯を御參考に申し上げますと、使用人に對する給與が十五、六萬圓、御生活費とか、交際費とか、用度費とか、旅行費とか、營繕費とかいうような經費が合わせて二十四、五萬圓になります。しかしこの四十萬圓の中には、皇族のほんとうの個人的の私の經費も含んでありますから、その大體の七五%を皇族としての品位保持のために出す年金と考えますると、親王及び親王妃の御二方の年金三十萬圓となりますので、この額を皇室經濟法第六條により、つまり親王妃を親王の半分と考えますると、成人なすつた親王の定額二十萬圓ということに相なるのでございます。 以上で一應御答辯といたします。
○赤松(明)委員 ちよつと速記を待つてください。
○森委員長 ちよつと速記を止めてください。 〔速記中止〕
○森委員長 速記を始めてください。
○赤松(明)委員 憲法第八十八條によつて、舊皇室財産はすべて國有財産になつた。すなわち財産税を徴收されたその後は國有財産になつた。ところでその國有財産は皇室經濟法の第一條に「皇室の公用に供し、又は供するものと決定した國有財産(以下皇室用財産という。)は、これを國有財産法の公用財産とし、これに關する事務は、宮内府で、これを掌る。」とありますが、國有財産にはなつたけれども、それ全部が、要するに皇室の公用財産というものになつたのかどうか、その點を承りたい。
○塚越政府委員 ただいまお尋ねの、皇室用財産ということにつきましては、この皇室經濟法の附則の第二項に「この法律施行の際、現に皇室の用に供せられている從前の皇室財産で、國有財産法の國有財産となつたものは、第一條第二項の規定にかかわらず、」——つまり普通でありますれば、皇室經濟會議の議を經ることになるのでありますが、それにもかかわらず「皇室經濟會議の議を經ることなく、これを皇室用財産とする。」という、經過的な規定があるのでございます。從いまして、當時、日本國憲法施行の際において、現に皇室の用に供せられている從前の皇室財産は、すべて一應皇室用財産となるという建前でございます。しかしながら思召しもございまして、皇室財産の中で、民生の安定あるいは産業の復興のために寄與し得るものについては、これをできるだけそういう用途に使うようにというような思召しもございましたので、この日本國憲法施行の際に檢討いたしまして、その中から若干はずしまして、これを皇室用財産でないものといたしたのであります。それには、たとえば新宿御苑でありますとか、あるいは日光の御用邸、鹽原の御用邸というようなものがございます。なおそういうふうに整理をして、結局皇室用財産となりましたものは、お手もとにお配りいたしました資料にございますような内容のものになつております。 なお念のために申し上げますと、この皇室用財産の範圍をきめるにつきましては、この皇室經濟法案の審議をいたしました當時の、帝國議會の審議の、經過等に鑑みまして、關係の方を委員といたしまして、皇室用財産調査委員會というものを設けまして、その審議を經たものであることを申し上げておきます。
○森委員長 速記を止めてください。 〔速記中止〕
○森委員長 速記を始めてください。
○赤松(明)委員 皇室經濟法の内廷費と宮廷費、すなわち第四條と第五條とは、ほぼ相よつた内容をもつておる。ところで、第四條の内廷費は、いわゆる今提出せられておる皇室經濟法施行法案の中に、この第四條の内廷費をとらえて、この中で價額を決定することがきめられておる。ところが、宮廷費は官内府で經理すると、皇室經濟法ではうたつておつて、施行法においては、この價額というようなものはうたわれていない。この點についての見解はどうですか。
○井手政府委員 この内廷費の方は、これはこの法文にございますように、日常の御費用でございまして、まつたく私的な立場における費用を計上したものでありまして、國から呈上しますのは、言葉は惡いのでありますが、一定の渡し切り經費というような考えで、この中で御賄いを願いたいと考えておるのであります。しかるに宮廷費の方は、國の象徴たる天皇もしくはそのまわりの方におきましても、公の立場において、たとえば儀典費というような例でありますが、憲法が制定され、國家が大きな祭典を行う。あるいはまた日本が講和會議ができて、國際關係において普通の地位にもどるというようなおめでたいようなときに、特に大きな儀典か行われるということは、憲法によりまして、天皇が儀典をお行いになるということが書いてある。從つてその年度内に必要の關係で事項が減つたり殖えたりいたしますので、毎年豫算におきまして、來年度はどういうような儀典が行われるか、來年度は天皇がどういうような國の大きな行事を行わせられるかということを一々御協贊を願う。從つて一定價額をきめるということは、公の地位の御行動としては明示せられているので、一々その必要に應じて計上していく、そして議會の御協贊をいただく。こういうぐあいに考えて、定額をきめなかつた次第であります。
○赤松(明)委員 いわゆる國有財産であつて、しかもいわゆる皇室用財産になつたところの宮城、諸建物、こういうようなものが戰災によつて相當荒廢しておる。しかもこれに對する復興計畫といつたようなものについては、いまだかつて聞かないが、當局としては、この復興に對する意圖をどういうふうにお考えになつておるか、この點を伺いたいと思います。
○加藤(進)政府委員 お答えいたします。ただいまの状況から考えまして、御指摘になりました通りに、宮殿が燒失いたしましたので、萬事お手狹であり、御不便でもあることは事實でありますが、と申しまして、現在のような國の状態から考えまして、天皇の國の象徴としての御行動、あるいは御威嚴にふさわしくないという程度までにもいつていないかと存じます。將來國力の進展に伴いましては、そのときの状況にふさわしい復興計畫をお願いするということに相なるとは存じまするが、現在の段階におきましては、宮殿再興の計畫はいまだにもつておりません。
○赤松(明)委員 しからば、現在の状態のもとでは、いわゆる國の象徴としての天皇、あるいは皇族の御居住、しかも、たとえそれが認證であるにしても、何にしても、政務を見られる。その場合における御日常生活というものに對しては、結局支障がないというよりも、ある程度の品位は保てると見てよろしうございますね。
○加藤(進)政府委員 さようでございます。
○赤松(明)委員 本提出法案の第八條、法第六條第一項の定額の問題ですが、これは憲法と關係があるかと思いますが、いわゆる現在の皇族のうちで、新憲法による皇族として殘られるお家と申しますか、それはどこどこであるか。そして親王、内親王というような、いわゆる皇族としてお殘りになる數は現在どのぐらいあるか、これを伺いたい。
○加藤(進)政府委員 お殘りになります宮家は、秩父宮家、高松宮家、三笠宮家の御三家であります。秩父宮家は殿下、妃殿下の二方、高松宮家は殿下、妃殿下の二方であり、三笠宮家は殿下、妃殿下のお二方にお子樣方であります。
○赤松(明)委員 なお舊憲法下におけるいわゆる御皇族方で、新憲法によつて昔なら御降下でしよう、臣籍ということはないわけですが、これは大體お何家で、お何人ぐらいですか。
○加藤(進)政府委員 十一家で、御人數から申しますと五十一方でございます。
○赤松(明)委員 第九條に「前二條の定額による内廷費及び皇族費は、國會の議決による歳出豫算の定めによらないで、又は定めのない間に、これを支出し、又は支出の手續をすることはできない。」こうなつておるが、この豫算の金額はいわゆる本年度豫算で決定しておるわけですか。追加豫算として今議會に提案されるものの中に含まれておるということになるわけですか。この國家豫算と、この金額との關係について承つておきたい。
○塚越政府委員 内廷費の八百萬圓が月割の十一箇月分ですから、これは七百三十三萬三千円。これについては當初豫算に計上せられております。それから皇族費につきましては、實は皇族の身分御離脱の關係が新憲法施行前であるという豫想でありましたために、當初豫算におきましては、お殘りになるいわゆる三直宮の方々の年金のみを計上しておりました。殘餘のものにつきましては、つまり皇族御離脱の場合の一時金額及びその御離脱までの年金額につきましては、今度の國會の追加豫算として御審議をいただくべく、目下大藏省の方にその豫算につきまして要求をいたしております。
○赤松(明)委員 このいわゆる皇族籍を離脱なさる方々の一時金額ということになるわけですね。たとえば現在お殘りになる方の分はきまつておつたということですが、しからば本豫算年度内にこの施行法というものがきまると、ただちに御離脱なさらない以前のものには、二十萬圓ずつというこの基本額が、いわゆる品位保持のためにということで渡され、その後において離脱されるということになつた場合には、一體どういうふうになるのか、この點についてはどうですか。いわゆる二重支拂になるおそれはないか。それとも一囘渡したら、それから後に離脱なさるということになつても、もうお渡ししなくても濟むのか、この點についてのお考えはどうですか。
○塚越政府委員 大體歳費としての皇族費は、月割でお支拂いをいたしております關係からいたしまして、御離脱になつた後におきましては、歳費は支給をいたしません。從つて二重拂いになるということはございません。
○赤松(明)委員 しからば、現在はまだ月割でお支拂いになつておるということですね。この五十一方に對しても……。
○塚越政府委員 實はその施行法案の九條の趣旨もございまして、御直宮御三方につきましては、當初豫算において計上いたした關係もありますので、その月割額をお支拂いいたしておりますが、そのほかの皇族方につきましては、この豫算が國會の審議を經まして、決定した後において支拂いをすべく豫定しております。
○赤松(明)委員 この支拂は遡つて支拂うべく豫定しておるか、それともきまつたいわゆる法の效力を發生した折、それから後ということであるか。たとえば現在における皇族の方々の御身分というものは同一のものである。しかもお殘りになるからということは、なるほど皇室に近いということにはなるけれども、同じ皇族としての立場において、一方はもらつておるけれでも一方はもらつていない。しかも日本の現在までの、過去におけるところの皇族というものは、少くとも皇室の藩屏、それがいい意味においても、惡い意味においても、國民の象徴として新憲法によつて決定した天皇の周圍にある方として、その品位保持のためには、一般人とは異なつた費用も、あるいは生活の限界もあつたはずである。これに對する不公平な取扱いになつておるとするならば、これに對する何らかの便法を考える必要はないか。たとえば、本法がそのまま通過すると假定して、その通過以後において、いわゆる月割なら月割というものにして、しかもその離脱される時期がいつになるのか、これは後で聽きたいと思つておるが、その離脱の期間、離脱をするのならば少くとも二十萬圓は渡すけれども、離脱されない以前においては、結局金はやらないのだ。もしこの法律が通過しないような場合における、直宮三家を除くところの皇族が、一體何をもつてして、その皇族そのものの品位を保つか。餓死線上を彷徨するということであつてはならない。こういう面について、當局はどうお考えになつておるかを承つておきたい。
○塚越政府委員 まことにごもつともな御意見でございまして、實はこの皇室經濟法の施行法案というのが今度の國會に出ておりますが、それまでの暫定的な措置といたしまして、この前の最終の議會におきまして、皇室經濟法の施行に關する法律というものが出ております。その法律によりまして、皇族方に對しては十五萬圓という基準によりまして皇族費を支拂い得るという規定がございます。そして今度の施行法は八月一日から適用されるということになりますので、從つて日本國憲法施行のときから、五月、六月、七月分、これにつきましては十五萬圓を基準にいたしまして、御承知のように王はその十分の七というようないろいろな皇室經濟のに規定しております、その規定に從いました年金を差上げることになつております。
○赤松(明)委員 わかりました。そこで五十一方の皇籍の御離脱というその時期については、どういうふうにお考えになつておるか、それを承りたい。
○加藤(進)政府委員 實は皇族の籍をお離れになるという御希望は、前から表明されておりまして、これは今年の初めあたりから伺つておつたのであります。その關係から、先ほど塚越事務官から申しましたように、あの時期におきましては四月ごろと考えまして、豫算にも計上しなかつたのであります。それがいろいろの事情で、やむを得ず延び延びになつております。現在におきましては、この法案が通過し、かつ先ほど申し上げました追加豫算が議決になりました後で、はじめて皇族の籍を離れるということが可能になつておる次第であります。この時期は、まず九月一ぱいまでにこれらのことが終るといたしますれば、十月までにはまず實現いたしたいと存じております。今申しましたように、法案の成立、豫算の成立、それからその後におきましても皇室經濟會議等の議を經る次第でございますから、現在においては、まず十月末までぐらいには實現いたしたいというくらいのお答えしかできない次第であります。
○赤松(明)委員 大體において、諸般の事情が整えば、直宮御三家を除いて、五十一方の現在の方が、一般國民として同一の權利と義務とのもとに皇族籍を離脱される。宮内府として、離脱なさつた皇族方に對し、この法律が通過するとすれば一時賜金としてお渡しできる。しかし今日の物價高のもとに、そういつた一時賜金というものは、どの程度の生活と、どの程度の期間の生活を支へ得られるか、こういうことになる。しかもこれは假説ではあるけれども、離脱なさつたにしてみても、日本人の人情として、感情として、少くとも皇族であつたということは、誓くの期間は、おそらく忘れられないに違いない。しかもその皇族の方々が離脱なさつた直後において、路頭に迷うというようなことがありとすれば、その累をわれわれ國民の特徴であると言うところの天皇に及ぼす大きな影響がありはしないか、こういう點について職業安定法とかいうものもあるが、しかし宮内府そのものは、皇族に對する一つの責任において、皇族離脱のその後における生活に對しても心配をすることが、正しいのではないか。法には關係はないけれども、こういつた點について、どういうお考えをおもちになつておるかということを承つておきたい。
○加藤(進)政府委員 ただいまの御質問は、まことに私ども身にしみて感じます。現在におきまして、皇族方が國民敬慕の情にふさわしい御生活をお送りになるということが、現在までのわれわれに責任があると同じように、道義におきましては、皇族の籍をお離れになりました後も、この責任は續くものと存じております。但し、これは法の上から申しますれば、赤松さんの御指摘なさつたように、まつたくの個人におなりになりますので、この御自由なる意思は尊重せねばなりません。そこで私どもの道義的責任と、宮樣方の御降下後の自由な御意思との合致點におきまして、先ほど申し上げましたように財産の安定、あるいはいかなる御職業を選べばよろしいかということにつきましては、今から十分の御忠告も申し上げ、また宮樣の顧問としてしかるべき人の御選定にも應じております。但し、どこまでもわれわれの道義的の責任と、宮樣の御自由の責任との合致點におきまして、この點は私どもも十分努力をいたしますが、社會におかれます各位の方も、どうか今まで通りの敬慕の情に基いて、それぞれ適當なる御忠告を、われわれにもお話しくださるとよろしいと存じます。
○森委員長 ほかに御質疑の方はございませんか。 別に御發議もないようでございますから、本日はこれにて散會いたします。次會の委員會は、追つて公報をもつてお知らせいたします。 午前十一時二十二分散會