厚生委員会 第31号
- 発言数
- 24 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1947/11/17
会議録
○田中委員長代理 ではこれから會議を開きます。 委員長缺席のため私が代つていたします。赤十字の標章及び名稱等の使用の制限に關する法律案、健康保險法及び厚生年金保險法の一部を改正する法律案を一括して議題に供します。提案理由の説明を願います。 —————————————
○金光政府委員 ただいま議題となりました赤十字の標章及び名稱等の使用の制限に關する法律案について提案の理由を説明いたいます。 赤十字の標章及び名稱等の保護に關しましては、明治四十一年條的第一號戰地軍隊における傷者及び病者の状態改善に關する條約竝びに昭和十年條約第一號戰地軍隊における傷者及び病者の状態に改善に關する一九二九年七月二十七日、ジュネーヴ條約によつて、各條約國は國内法に基いてこれが保護の手段を講すべきことを締約しているのであります。 わが國におきましては、これに基きまして、明治四十二年法律第二十五號舊商標法、大正十年法律第九十九號新商標法をもつて、赤十字の記章及び名稱等はこれを商標として登録しないことを規定し、かつまた大正二年勅令第十六號赤十字の記章名稱等使用者處罰の件をもつてこれが濫用を禁止し、その保護の萬全を期してまいつたのであります。しかるに新憲法の施行に伴いまして、昭和二十二年法律第七十二號日本國憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の效力等に關する法律によつて、前記勅令は昭和二十二年十二月三十一日限り效力を失うことと相なつたのであります。よつてこれに代るベき保護法律の制定を必要とするに至つたので、ここに赤十字の標章及び名稱等の使用の制限に關する法律案を提出いたす次第であります。 次に同法案の内容につきまして簡單に説明いたします。同法案は第一條に赤十字の標章及び名稱等の濫用を禁止して、これが保護をはかり、國際條約の履行に忠實なることを表明することといたしたのであります。次に第二條において、日本赤十字社に對し、赤十字の標章及び名稱等の使用を認め、また第三條においては、日本赤十字社に對して傷者または病者の無料看護にもつぱらあてられる救護所の場所を指示するために、赤十字の標章を使用せんとする者に對する許可の權限を與えたのであります。第四條において、赤十字の標章及び名稱等の濫用者に對する罰則を規定し、これが違反者に對し、六ケ月以下の禁錮又は千圓以下の罰金に處することを定めたのであります。最後に、附則において、施行期日を昭和二十三年一月一日と定めたのであります。 何とぞよろしく御審議をお願いいたします。 次にただいま本委員會の議題となりました健康保險法及び厚生年金保險法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。 健康保險法及び厚生年金保險法におきましては、被保險者及び保險給付を受ける者に對する各申出または届出等の義務、並びに健康保險法の被保險者及び保險給付を受ける者に對する罰則の規定は、各施行規則に規定せられていたのでありますが、この規定は、憲法及び行政官廰法の規定に違反するものであり、同法施行とともに失效すベきものを、さきに制定實施せられました日本國憲法施行の際現に效力を有する命令の規定の效力等に關する法律の規定によつて、本年十二月末日まではその效力を有することとなつたのでありますが、來年一月一日以降におきましては、その規定が失效いたしまするために、今囘法律にその根據を規定いたしまするとともに、裁判所法施行に伴う所要の改正をはかろうとする次第であります。 何とぞ御審議の上、速やかに可決せられんことを希望致します。
○田中委員長代理 ただいまの提案理由に對して、質疑はありませんか。——では私から一つお伺いしておきたいと思いますが、かつて赤十字の記章を濫用されたことがありますか。またそのために赤十字社に、あるいは社會にいろいろ迷惑をかけたような事例があるでしようか。
○黒木説明員 赤十字の標章及び名稱等に關しましては、古く明治時代に醫藥品等のレツテルとして、濫用されたことがございまして、これは各國共通の現象であつたのでありますが、そこで記章の保護に關しましてジユネーヴ條約によりまして、赤十字の記章濫用禁止の規定を速やかに各國において立法化するようにという決議をした結果、商標法が日本でできたわけであります。その商標法に赤十字の名稱なりマークの登録をすることができないという規定をいたしたのでありますが、その後は濫用を禁止して、處罰された例はないようでございます。
○田中委員長代理 もう一つお伺いしておきます。健康保險法についていろいろ再檢討せねばならぬような點も少くないと思いますが、政府はこれが再吟味をするような用意があるかどうか。もしありとすれば、ほぼいつごろになるでしようか。
○宮崎政府委員 ただいまお尋ねにお答え申し上げます。健康保險法そのものの改正につきましては、健康保險法の中で政令に委任された規定が相當ございます。それで關係方面から、この政令に委任された條項が非常に多いから、健康保險法及び厚生年金法いずれもその點をもう一度檢討してみたらどうかという意見もございますので、次の通常國會に健康保險法の改正案を出そうというつもりでもつて今盛んに檢討を加えております。もう一つは、これはもつと大きな問題でありますが、社會保障法の制定をなすかどうかという點が、社會保險調査會等の答申もございますので、これも目下厚生省で檢討を加えております。社會保障法等がもし制定されるということになりますと、これは單に健康保險法のみならず、社會保險全般の法律を直さなければならぬ問題になると思うのであります。その邊のところはまだ確たる方針がきまつておりませんので、どうなりますか、はつきりと申上げられないのでございますけれども、健康保險法そのものを直す必要が出ておりますので、その點につきまして今檢討を加えておるわけでございます。
○榊原(亨)委員 健康保險法におきまして主務大臣と申しますのは厚生大臣だと思うのでございますが、この厚生大臣は健康保險におきましては、やはり保險者の位置に立つておると思うのでございますが、いかがでございますか。
○宮崎政府委員 厚生大臣は私は二通りの意味をもつておると存じております。と申しますのは、ただいま榊原さんから仰せになりました保險者の立場に立つておるのが一つと、もう一つは行政官廳としての資格において社會保險行政をどう動かすかという點の立場と、二通りの立場があると存じておるのであります。
○榊原(亨)委員 そういたしますと、第八十一條の改正によりまして、保險料その他本法の規定による徴收金の賦課または徴收の處分に不服ある者は、主務大臣に訴願し、または行政裁判所に出訴することができる、ということがありますのに、こんどは行政裁判所がなくなりますと、一面におきましては、保險者の位置に立つておりまする主務大臣、他の方面におきましては行政官廳としての立場にあるところの主務大臣に訴願するということになりますと、從つて保險者の利益を代表しておりますところの主務大臣が、この訴願に對してどういう決定を與えるかということにつきましては、不公平あるいは障害が起つてくるじやないかと思うのでございますが、その點はいかがでありますか。
○宮崎政府委員 理論的に申しますると、保險者であると同時に行政官廳であるという形におきまして、保險者に對する訴願事項が起りましたときに、厚生大臣が行政官廳の立場におきまして訴願の裁決をするわけであります。その點におきまして、保險者の立場をもつておるがゆえにそこに不公平が起るのでないかという御意見、まことにごもつともな點があると思うのでありますけれども、厚生大臣は行政官廳として至公至平の立場に立つて、私は行政處分ができると存じますので、その點におきまして不合理のないように實行ができるものと存じておるのであります。
○榊原(亨)委員 表面上のことはそうでございましても、利益を代表します者と、それをいろいろ公平の立場に立つて判斷いたす者が同一人格者であるということになりまする場合には、どうもそこに食い違いができてくると思うのでございまして、これは第三者の立場にある者が、公平に判斷すベきものと私は思うのでございます。同一人格者が一方において利益を代表する者であり、一方においてはそのどちらがよい惡いということを判別する者であるということは、どうしても私どもの考えといたしましては、矛盾撞著を来すものと思うのでございます。
○宮崎政府委員 その點につきまして、實は訴願の裁決をいたす際におきましては、社會保險審査會の議を經てやります。審査會の構成の中に事業主側からも、また被保險者側からも、また公益代表もはいつておりまして、その裁決にあたりましては、榊原さんが仰せになる點等を考慮いたしまして、公平な立場において議論が鬪わさせるものであると存じておりまして、現行法でおつしやるような心配はないのではないかと存じております。
○榊原(亨)委員 審査會の議を經てというのでございますが、審査會は厚生大臣の一諮問機關でありまして、審査會の議決そのものと厚生大臣が採用するというわけではないと思いますが、その點お伺いいたします。
○友納説明員 ただいま宮崎政府委員からお答えいたしましたように、健康俣險法の第八十二條に、前條の規定による訴願の提起があつた場合には、主務大臣は社會保險審査會の審査を經て裁決をしなければならぬということが書いてあるのでございます。以下審査會の規定がずつと書いてございます。詳しいことは略しますが、社會保險審査會の裁決につきましては、主務大臣は當然この意見を先ほどの御質問のように聞き流すとか、あるいは取上げないといつたような趣旨のものではございませんで、法律上における社會保險審査會行政訴願の裁決に關する必要條件としての付議でありますので、主務大臣としては當然拘束されるわけであります。單なる諮問機關と申しますか、單に意見を聞いてしようというようなものではございません。それからなお附け加えまして、第八十四條にその訴願について不服のある場合には、さらに裁判所に訴え出ますことによりまして、救濟の規定もございますので、この邊法規といたしましては、十分に手段が盡してあるように私は考えるのであります。
○榊原(亨)委員 八十四條のどこにそれがございますか。
○友納説明員 失禮いたしました。第八十一條の中にございまして、「又ハ」というところに書いてございます。兩方のことができるというふうに書いてございます。
○榊原(亨)委員 八十一條の中に昔のでは「又ハ」とありますが、新しいのでは行政裁判所がなくなつたのではございませんですか。
○友納説明員 たびたびあやふやなことを申し上げましてたいへん失禮いたしました。新規定におきましては、榊原委員のおつしやる通りに削られておりまして、この件につきましては違法處分といたしまして、裁判所法によつて當然裁判所に出訴できる、こういうことになつております。
○榊原(亨)委員 私は法律のことはあまりわからないのでありますが、これに不服ある場合には裁判所えることができるのでございますか。
○友納説明員 その通りでございます。裁判所に訴えることができます。
○榊原(亨)委員 これに書いてなくてもできるのですか。
○友納説明員 裁判所法にございまして、當然訴えることができるのであります。
○榊原(亨)委員 それでわかりました。
○田中委員長代理 ほかにどなたか御質疑はございませんか。 では本日はこの程度で散會いたします。 次會の議事日程は公報をもつて御通知いたします。 午前十一時四十五分散會