厚生委員会 第23号
- 発言数
- 63 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1947/10/16
会議録
○小野委員長 これより會議を開きます。 兒童福祉法案を議題にしまして、前會に引續いて審査を行います。 この際お諮りいたしておきたいと思いますが、政府に對する質疑も大分進みましたので、きようぐらいで大筋の質疑を終りまして、できればきようの午後くらいに協議會を開いて修正に關して御相談申し上げたいと思いますので、本日の質問はできるだけ簡潔にお願いいたしたいと思いますから、よろしくお願いいたします。武田キヨ君。
○武田委員 兒童福祉法案は非常にわれわれは期待すると同時に、實施に對してはなお多くの問題が殘されておると思うのでございますが、それについて特に大臣から承りたいのは、この法案に母子の問題として取扱つておるのは、單に妊娠、出産に關連することでございまして、施設から申しましても母子寮といものは除いてございます。現在の状態で、殊にわれわれが非常にあらゆる方面で多く問題にぶつかりますのは、子供を抱えた母親、これが寡婦の場合のときに、その生活、同時に子供をりつぱに育て上げるということのために、あらゆる惡條件のもとにおかれておるのでございます。これに關して婦人に對する特別な、これを護る法律というものは今までにはないのでございます。未亡人、殊に子供を連れたいわゆる母子の問題というものを、現在の状態のままでこのままおかれるとは考えられないのでございますが、殊にお孃さんをたくさんもつておいでになります厚生大臣の現實の親心からもつてしても、將來これに對してどういうふうな法律的な、あるいは施設として取扱いをなさろうとお考えになつておりますか、そのお心構えを承りたいと思います。
○一松國務大臣 武田委員の母子に對する保護、これらの問題は、今あなたの言われる通りに、最も重要な社會施設の一つに算えなければならぬ問題でありまして、政府といたしましては特に兒童福祉法に取上げなくても、生活保護法の規定で十分に保護ができると實は考えて、これに入れることを避けておつたわけでありますが、しかし皆樣方のいろいろな意見を承つてみると、やはり特別に入れておいた方がよかろうというように實は私も贊成をいたすのであります。そこで兒童福祉法の第七條に「この法律で、兒童福祉施設とは、助産施設、乳兒院、保育所」この乳兒院と保育所の間に母子寮というものを一つ入れても結構だと思いますから、適當にひとつ御修正願えれば、政府としては一も二もなく贊成いたします。政府が修正するということになると、また手續がめんどうですから、あなた方の方で適當にお入れくださるようにどなたか御發案をしていただければ、私の方ではたいへんいいことですからただちに贊成をいたします。さようにひとつ御了承を願いたい。そして十分にこの兒童福祉法においてももちろん保護しよう、生活保護法における保護は當然のことですから、兩々相對してその目的を達成するということがなお結構であろうと思います。
○武田委員 この第七條に母子寮を加えなければいけないということは、われわれの最も要望するところでございまして、それについてはなお修正の際にまた取扱われることと存じます。加えて母子寮を入れとるいうことについて、現在の母子寮というものは、その施設のねらうところは、單に母子の住家を與えるということが重點になつておると考えられるのでございます。しかし私の考えといたしましては、母子寮は單に宿泊施設のみならず、それに加えて母子保護、はつきり申しますと、子供を抱えた母親の生活の立場として、經濟的にも職業的にも、あるいは精神的にも、あらゆる方面から一つの根城になる施設とならなければならない。そのために私は單に母子寮というものをここに加えるだけでは、この目的は達せられないのではないかと思います。さらに子供をもつ未亡人に對しての特別な、これを護る法律がここに加えられていいものではないかと思つておりますが、それについてはどういう御意見でございますか。
○一松國務大臣 私のお答えはもちろんそういう意味であります。母子寮を入れるという結果、母子の保護に關する規定を倶體的にこの中に當然入れなければならぬ。そういうことはやはり修正のときに皆様の方でお考えになつて入れていただく。但しその修正についての御相談については特に委員會ということでなく、懇談會でも開いていただいて、われわれ腹藏なき意見を發表し、皆様の御意見を拜聽していただかして、そうしてそこで適當なものを得て、これに適當に條文を加えるということがよくはないかと思つておりますから、その邊についてはあなた方の思う通りにしていただければ、皆様の意思の決定に基いてわれわれは適當に處理いたします。
○小野委員長 福田昌子さん。
○福田(昌)委員 この法案に對しましては似たような質問がたくさん出ておりますし、私が御質問申し上げたいと思つております點に對しても、大分出そろつてしまつた感がありますので、私は全體から見まして、この法案に對します不滿と私の希望を申し上げたいと思うものであります。 この法案の全體を通しまして私不滿に思いますことは、兒童というものは決しておとなの縮圖ではない。子供というものは未完成なものであり、これから育ち行くものであるということは、たれでも一應わかつておるかのごとくでありますが、この法案を讀んでみますと、ややもすればそういうことを忘れがちにしてつくられた法案ではないかというような感を受けるのであります。そういう意味におきまして、ただいま武田委員から御質問がありましたように、母子寮の問題なども取上げられていかなければならない問題だと思いますし、子供の福祉の上においては、何よりもまず母性の保護ということが必要であるし、これを通して兒童というものがいかに多くの恩惠をこうむるか、兒童福祉にはまず母親というものを保護しなければならない。それが非常に大きなパーセンテージを占めるということを強調したいのでありまして、それに對しましてただいま大臣の御答辯もありましたから、それで滿足をいたしますが、さらにもう一つ、ただいまの小學校教育に對しまして、この法案の中には何一つ觸れてないのでございますが、今日行われておりまするがごとき指導方針に對して、大臣におかれては十分と思召すかどうか。在來の日本の教育というものは、子供の知能に對しては非常な關心をもつておりましたが、子供の性行とかあるいわ精神的な面に對しましては、關心をもたれる程度が非常に薄いのでありまして、その指導方針に關しましても、はつきりとした目標をもたれてないと思われるのであります。こういう面に向いまして今後の學校の教育、學校の先生方にもう少し兒童福祉方面から要求すベき多くの點があるのではないかと思います。こういう點に對して一應御考慮願いたいと思うのであります。 次にはこの法案を通しまして全部から受ける感じは、非常に消極的なものを感ずるのでありまして、これに對して積極的な計畫性のものを感じとらないのであります。家のない子供ができ上つたり、不良少年ができ上つたり、あるいはまた惡いくせのある少年ができ上つたりする。それに對しますところのいろいろな施設を設けることは當然なのでありますが、その前にこの未完成な子供を完全に育てるための、子供を間違つた道に踏み入らせないための豫防的措置が必要ではないかと思うのであります。こういつた意味において、この法案は豫防という面から見ましたならば、非常に薄いものに感じられるのであります。私はこういう意味におきまして、この兒童福祉法案ができる前に承りました本年度の豫算ほ四千三百萬圓ということでありましたが、こういつた豫算はもちろん人件費でありましようし、こういつた福祉施設に関しましては關與するものではないと思いますが、いずれにいたしましても豫算を大々的にとれるわけではありませんから、まずいろいろな兒童福祉施設に對しましても、政府におきまして計畫的なものをもつていただきたいと思うのであります。第一年度にはどういうものを主としてつくる。第二年度にはこういうものを主とする。こういうような計畫的なものをもつていただきたいと思います。それに對しまして私は兒童福祉のほんとうの意味に副いまして、まず計畫の最初において著手していただきたいと思うものは、兒童厚生施設とか、保育所の設備でございますとかいうものを完備していただきたい、かように希望するものであります。 第三番目にこの法案の全部を通じまして感じますことは、やはり肉體の問題に關しまして非常な關心が拂われておると思うのでありますが、精神的な分野に對しましては、どの程度の考慮が拂われておるかということを考えます場合に、精神的な分野というものは非常に薄いのではないかと思うのであります。在來の子供の教育のしかたというものに對しましても、この際再檢討を加えるべきものではないかと思うのであります。子供に克己心を養わせる。生活に對するところの彈力をもたせる。こういうような指導方針をとらなければ、社會環境によりまして、それに左右されまして、兒童がすぐ不良化したり、あるいはまた軟弱な兒童になる可能性が非常に多いのであります。そういう意味におきまして、兒童の積極的な精神的な教化指導ということに對しましても、肉體の指導教化同様に關心をもつていただきたい。かように希望するものであります。私は最近「育ちゆく年」という映畫をちよつと見ましたが、それに盛られましたところの映畫の内容ほ、あるいは映畫通から見ましたならば、大して價値のなのものかもしれませんけれども、私は兒童福祉法案の角度から見ました場合に、ああいう映畫というものはぜひ日本にも欲しいと思つたのであります。あの中には一人の孤兒の青年を取扱つて、それに對するところの家庭のさまざまな人の性格的なものを描いた映畫なのでございますが、その中におきまして、さりげなく取扱われておるところの日常の茶飯事におきましても、その子供に對していかに克己心を養うべきものであるか、人生の荒波に對していかにして精神的に堪えていかなければならないか、また少年というものはいかに愛情に飢えたものであつて、愛情を求めておるものであるか、こういうようなことを非常にしみじみと教えてくれたのであります。日本の映畫におきましても、こういうような子供を育てるために、ためになるような、ほんとうにさりげなくして教えていくような指導的なものが私は欲しいと思つたのであります。いずれにいたしましても、この兒童福祉法案のほんとうの趣旨というものは、いろいろな間違つた子供ができ上り、それに對しまするところの更生施設も必要でありまするが、それよりもまず第一番にそういつたような子供をなるべくつくらないということに、主眼がおかれなければならないと思うのであります。そういう意味におきまして、ものをつくる、施設をつくるということも必要でありましようが、それよりもなおそれに働くところの適當な人、人格者で子供を愛する人を求めるということが、何より必要となつてまいるのであります。それには豫算の問題もありましようが、目を轉じて別の角度からながめた場合には、あながち豫算に頼らなくても、精神的な分野からでも、子供を教化することはできると思うのであります。卑近な例を申しますと、驛とか盛り場とかあるいは廣場のうちには多くの不良少年や汚ない子供が出てきて食物を要求していますが、ああいう子供に安つぽい同情をもつて物や金錢を與えることは、これは兒童童福祉の面から見ましても、間違つたことであると思うのであります。ああいうような安つぽいおとなの同情というものは、子供をいかに誤らせるかということを考えたならば、私はおとなの態度というものは非常に考慮して、子供を取扱わなければならないと思うのであります。そういう意味においても政府におかれましては、そういう安つぽい同情が子供を誤らせることに對して御同感くださいますならば、そういう方面においても行政的にこんな安つぽい同情をしないように取締りをしていただくことも、また兒童福祉の面においてなすべき最も手近な方法ではないかと考えているのでございます。 もう一つこれも再三質問に繰り返されてことでありますが、この總則の第一條にあります「兒童が心身ともに健やかに生まれ、」云々の條文でありますが、兒童が心身ともに健やかに生まれるには、必ず結婚が前提になるのでございますが、その結婚というものに對しましても、心身ともに健やかに生まれることを必要とするならば、これに對するところの結婚相談所の設備がこの福祉施設として新たに設けられなければならないということを私は希望するものであります。 もう一つ、これも再三言われたことでありますが、民生委員をすべて兒童委員にするということに對しましては、皆さんが反對の意見をもつておられますが、私もまたそれに同感でありまして、民生委員必ずしも兒童委員に適當でないのでありまして、そういつた適當でない兒童委員を背負いこんであとで苦しむよりも、この際そういつた條文に對して改正を加えていただき、民生委員の適當の者のみが兒童委員になり得るという條文にかえるべきものだと考えるのであります。 それから第十六條に「兒童相談所には、所長及び所員を置く。」とありますが、この所長及び所員という者の人選竝びに兒童に對するところのいろいろの兒童鑑別的の技能というものが、非常に問題になると思うのであります。そういう意味におきまして、この人選に對しましては、特に愼重を期していただきたいと思うのであります。 最後に癩養療所なんかにおきましても託兒所が附設されておりますが、それは隔離したといえば言葉の上からは隔離かもしれませんが、癩療養所の隣りに、または同一の所に、こういう保育所を附設するということは、結局實質上において有名無實でありまして、ほんとうの隔離にはならないと思うのでございます。その意味におきまして癩療養所における患者の子供は、全然その療養所から離れた場所において保育するようにできたならば、その出身地の地元において保育するような隔離した施設をとらなければならないと思うのであります。癩療養所に隣り合わせたような施設というものは、これは弊害あつて益なきものと私は考えている次第であります。別に御答辯をお願いしたいと思いませんけれども、ただ一つ小學校の教師が兒童に對しますところの今日の取扱い方、これに對して政府においてはどういうお考えをもつておられるか、御答辯をお願いしたいと思います。
○一松國務大臣 ただいま福田委員からいろいろ有益な御意見があつたのでありますが、まず第一に兒童に關するいわゆる保育施設ということに對しましては、肉體上の問題はもちろんであるが、いわゆる精神に對する教養の問題が特に重く取上げられなければならぬという御意見は、私も全然同感でありまして、特にそのことは、ただいま御援用になりました兒童福祉法の第一條竝びに第二條、第三條に重きをおいてそのことを規定してあることは、御承知の通りであります。つまり兒童が心身ともに健やかに生れるのみならず、また心も、からだも最もりつぱにそれが育成されるようにしなければならぬ。しかもそのことは國民全部が責任をもたなければならぬ。またそれらの施設を預かるところの國の機關、地方公共團體等の機關も、もちろんその考えでやらなければならぬということが、第一章の總則に規定してありますので、問題はこれらの運用いかんにあるのでありまして、これを運用する人が、ただ肉體だけの健全なる發育ということに重きをおいて、もし精神という方面をおろそかに取扱うということがあれば、それは片手落ちのやり方でありまして、この兒童福祉法の滿足するところではないのであります。ゆえにあなたのおつしやつたように、どこまでも肉體上の育成に力を入れると同時に、精神上の教養ということに重きをおいて、この兒童福祉の目的を達成するようにしなければならないのでありまして、そういうことをやるために、いわゆる兒童委員會というようなものがそれらの任務に十分な力をつくさなければならぬ。この兒童委員というものがいわゆる民生委員というものがいわゆる民生委員を兼ねておるというがごときことはおもしろくないのであるから、民生委員は民生委員、兒童委員は兒童委員として、別に新たにそれらの委員を設けて、そして渾身の努力を打ち込むようにしなければならぬということもごもつとものように思いますが、一體民生委員の仕事というものは、御承知の通りに、最も愛護の精神をもつてそれらのことに當らねばならぬ。非常に精神方面の教養の高い、慈愛という心をもつておる人がその民生委員に選任せられるのでありますから、これらの人をやはりこの兒童福祉に關する委員にするということも、必ずしも不適當ではないと思うのでありまするが、しかしながらもしそれらの者が適當でないというような場合におきましては、もちろんこれを取りかえることは當然できるのでありますから、そういうような考えをもつております。それから民生委員というものに十分な仕事があるのだから、その以上に兒童福祉に關する兒童委員までも兼ねさせるということは、力を用いることが薄くなるのではないかというような疑いをもつておる方もあるようでありますが、しかしながらこれは先刻申しましたように、社會の福祉を増進するために、しかも仁愛の精神をもつて仕事に從事しなければならぬという民生委員の仕事と、兒童福祉委員の仕事とはほとんど同じような仕事でありますから、それらの點について、別に私は民生委員を兒童委員にすることは不適當だとはただちに認めないのでありますばかりでなく、實はこの民生委員の全部をして兒童福祉委員を兼ねさせるということは、これは關係方面との了解のもとにできた案でありまして、特にこのことを別にわけなければならぬというようなことは、結局その人の仕事の運營上に關する問題でありますから、その點については厚生省としては十分に注意を拂いまして、兩者の間は萬支障のないようにして、そうしてその目的を達成させるように努力いたしたい、かように考えているのであります。 それから心身のうち、特に精神上の教養を高めるということについて、映畫をいま少しく利用してはどうかという御意見は、これまたまつたくお同感であります。耳から與えること以外に、目からそれらの精神を十分に發育せしめ、是正せしむるということは、最も機宜に適した措置でありまして、私もこの映畫を利用するということについてはまつたく同感であります。それと同時に、紙芝居とかいうようなものがしきりに民間にはやつておりまして、特に子供はこういう方面に非常な趣味をもつているようでありますから、こういうことも今ありますようなごく卑猥な、しかも低級な紙芝居というようなものをだんだん改めていきまして、教養に富んだ精神を涵養するについて最も適當な方面にもひとつわれわれは力を入れて、そういう兒童の喜ぶ方面を充實させて、心身の鍛錬修養ということにもこれを活用いたしたい、かように考えております。また遊戲の問題でもそうです。子供が非常に喜びますのは御承知の通り遊戲でありますが、この遊戲も知らず知らずの間にいわゆる精神上の修養になるような方法をとるということも非常によいのでありまして、ちようど私が子供のときに、石につまずいて倒れてけがをすると、私が母がその石を打つて、こら、石、貴樣、不都合なやつだ、おれの子供に傷をつけたぢやないかというようなことをすると、そこでひとつ復讐心といいますか、克己心といいますか、自分に妨害するものに對して反撃を加えるという精神が、自然子供の間からもすでに養成される。はたしてこういうことがよいか惡いかはこれは別問題でありますが、子供のときには、親、先輩、目上の人のちよつとした一擧一動がことごとくその子供の精神に偉大な感化力を及ぼすのでありますから、そういうようなことを利用いたしまして、そうして心身の完全な發育指導にあてたい、かように考えておりますが、そういうようなことは歸するところ、指導員がそういうふうな考えをもつてやりさえすればこの目的を達しよう。そうすると問題は指導員の選擇ということになるのでありますが、御承知のごとく指導員その人のいかんによつてよくもなり、惡くもなるのでありますから、指導員の選定ということについては十分の注意を拂う、こういうような考えを私はもつているのであります。 それから第十六條の兒童相談所の所長及び所員ということについての問題は、これは御承知の通りに地方公共團體の一つの役人でありまして、知事がこれを任命することになつているのでありますから、それらの人の任命にあたりましても、兒童相談所の所長もしくは所員として最もふさわしい、目的を達成するに適當な人を選ぶというようなことは當然でありまして、ただこれを地方長官に任せきりでなくして、厚生省といたしましてもときどきそういう方面に査察をして、もしくは相談にあずかつて、そうしてなるたけ理想に近いような人をこれらの役につかしめる。こういうような考えを實はもつておるのであります。 それから結婚相談所のお話がありましたけれども、これも非常に結構なことでありまして、結婚について、ただ若い男女がある一部の情愛にために終生非常な過ちを生ずるようなことは、結局結婚の際に十分なる考慮を拂わなかつた、十分なる知識がなかつた、相手方の人物に對して十分なる見透しがつかなかつたというようないろいろな缺點のために、夫婦というものがいわゆる偕老同穴の契りを結ぶことができない。途中で破鏡の嘆を見るというようなことがあり、そればかりでなく、その兩者の間にできた子供が、非常に優秀なもののできる場合もありましようが、かえつて劣等兒ができるというようなこと等は、ことごとく結婚の當初における十分な知識がない結果であることが多く認められまするので、そういう點につきましての相談所を設けて、そうして民衆の福祉のために働くことが厚生省の仕事でありまするから、そういうことは考えております。しかしそれを兒童福祉法に直接規定するのはどうかと思つておりますが、もちろんそれはまた別に厚生省としては成案を得たい。かように考えておるのであります。 それから豫算の問題でありますが、兒童福祉法を完全に運用して、政府竝びに皆樣のお考えになつておるような效果をあげようといたしまするについては、ただいま要求してたおりまする四千三百萬圓のはした金ではもちろんできません。これだけの豫算は、ただこれを實施するに至るまでの準備的の、豫備的の費用でありまして、いよいよこれを實施いたすにつきましては、相當の豫算を請求して、そうしてりつぱにこの目的を達するようにいたしたい。かように考えておりまするから、これらの點についてはひとつ御安心を願いたいのであります。 それから學校教育と兒童福祉に關しまする問題は、これはちようど十八歳までの者を支配するという建前でありまするために、いわゆる義務年限を當然そのうちに含みます。そこでそういう兒童福祉法によつて保護しなければならないような者で、義務教育を受けるために學校に通わせることのできるものは、もちろんそういうようにしなければなりません。通わせるのが不適當だと思われるような場合においては、教護院とかその他の施設によつて、この義務教育を完成することのできるような手段方法をとることはもちろんであります。そういうような運用は、結局兒童委員の働きいかんにより——これらの監督官のこの法律の運用いかんによつて、よくもなり惡くもなる。かように考えますから、十分に指導監督をいたしましてこれらの目的を達成し、兒童福祉法の精神に反しないような措置をとりたい。かように考えておるのであります。 大體のことを申し上げたのでありますが、その他に何か事務的のことがありまするならば、政府委員からお答えをさせることにいたします。
○福田(昌)委員 ちよつと、癩療養所に附設してあります保育所の點につきまして。
○一松國務大臣 癩療養所の問題に關しまして、癩療養所の中のいわゆる保育という點につきましては、癩病同士の間に生れた子供はただちに癩病であるというふうなことは言えないのでありまして、癩という病氣が遺傳的病氣ではなくて、いわゆる傳染であるということが明らかになりました今日におきましては、それらの子供は、できまするとただちにこれを離隔いたしまして、そうして傳染しないような方法で完全にこれを措置するということが必要であろうと思うのであります。しかしながらこれをまつたく癩療養所以外に別の施設を設けて、そこに入れてしまつて、親子の對面も何も阻害してしまうというようなことは、これは少しく行過ぎではないと思うのでありますから、保育所の中に特別の區域でも設けまして、親子の對面だとか愛情の十分の發露についての支障を來さないようなことにいたしまして、問題はこれらの惡い病氣が兒童に傳染しないような措置を講ずることがいいのでありますから、そういうような方法によりまして十分に發育のできるように、そうして教育という點に對しましても、でき得べき限り、先刻申し上げましたような方法によつてこれを教護して、將來成長の後に幸福に世の中を送ることができるような方法を講じたい。かように考えておるのであります。
○福田(昌)委員 私はこの癩療養所に附設されました保育所に對しまして、そういう親子の愛情といつたような感情をもつてその子供のせわをする。近所にありますと、どうしても親子でありますから、親は子供のせわをしたいというのが本能でありますが、そういうようなことがたやすくできる所につくつておくことは、豫防上弊害があると思うのであります。そういう意味から行きまして、便宜上の措置かもしれませんが、離隔するのが癩豫防上當然の措置だろうと思うのであります。
○小野委員長 榊原亨君。
○榊原(亨)委員 第一條に「すべて國民は」とございますが、すべてという意味はどういう意味でございますか。
○一松國務大臣 すべて國民はといえば、すべては普通に解釋するのでありまして、福祉法に關して、すべて國民はというのは、特別の意味に解釋をしておりません。
○榊原(亨)委員 そうしますと、すべての國民はという意味でございますか。またすべての兒童はという意味でございますか。あるいはすべてという意味は、おおよそという意味でございますか。その意味を伺たい。
○一松國務大臣 國民全部を指すのであります。
○榊原(亨)委員 そういたしますと、國民全部はその兒童が心身ともに健やかに生まれ、かつ育成云々ということであるといたしますれば、たとえば優生法において、その子供の生れることを阻止するというような場合は、どういうふうにお考えになりますか。
○一松國務大臣 それは、すべてというのは原則的でありますから、原則を離れて例外ということは世の中にたくさんある。今のように優生法によつてその妊娠しておる子供を流産しなければならぬ、あるいは殺して出さなければならぬというよような場合には、それはこの法律に決して違反するのではなくて、特別に例外のためにそういう措置をとらなければならぬという意味でありまして、そういう例外があるということによつて、すべて國民はという言葉の意味を狹めるものではない。かように私は考えております。
○榊原(亨)委員 くどいようでございますが、もう一度お聽きいたしたいのは、今の流産させるとか、子供を殺して出すとかいう場合でなしに、たとえば親が貧苦のために子供の生れることを阻止するというふうなことが、社會党から出ておりますところの優生法に提案されておるのでございますが、その點との關連を私は心配しておるのでございまして、この場合に厚生省當局としては、それについてどんなようなお考えをもつておるかということを承りたい。
○一松國務大臣 産兒制限というのはいろいろ學説もありましようし、手段方法がありましようが、私どもの考えておりまするのは、結局妊娠することを防ぐ、こういうような意味が大いに力強い主張ではないかと思うのであります。現に妊娠しておるものを、これを流産するとか、人工によつておろすとかいうことにつきましては、これはむしろ産兒制限の域を逸脱しておるのではないかと私は思う。そこでいわゆる受胎することをいろいろな科學的方法によつて防ぐことがいいか悪いか、これは別問題でありますが、私厚生大臣という今日の建前からいたしますれば、産兒制限を必ずしもする必要はない。それは人々によつて、自分はもう生活が困るとか、これ以上子供が生れては生活上一家を支えることができないというような確信をもつておるような場合には、いわゆる妊娠することを防ぎ、いろいろな科學的な方法によつて、これを囘避するとかいうようなことは、これは必ずしも問われるベきことではない。ただ妊娠しておるものを薬もしくはいろいろな手術によりこれを墮胎するというようなことにつきましては、これはよほど問題であるのでありまして、そういうようなことは私どもは考えておりません。また産兒制限というようなものも、今現に妊娠しておるものを薬物により、その他の手術によつて、これをやみからやみに葬ろうという意味じやないだろうと私は思つておりますから、そういたしますと、受胎することを防ぐために、科學的な方法によつてこれを避妊するということが、いわゆる人口問題、生活問題というような重要な政策に影響する問題であることは、榊原委員の御承知の通りであります。私今日の意見では、法律をもつてそういうようなことをする必要はない。それはむしろ個人個人の意思に任せてやるべきものであると、かように考えておるのであります。そこで第一條の「すべて國民は、兒童が心身ともに健やかに生れる」ということになれば、もう兒童になつたときの以後は構わない。兒童にならない以前に受胎することを防ぐというようなことでありまするならば、この第一條の法文の精神と牴觸することはないと考えておるのであります。
○榊原(亨)委員 ただいまの御答辯で私は非常に滿足するものであります。すなわちすでに受胎いたしましたものに對しましては、あらゆる障害を拂つて、すべての國民はその子供が心身ともに健やかに生れることに努力すべきであるというただいまの厚生大臣の御意見について、私は滿足の意を表するものであります。 次に承りたいことは、第七條に、どうしてこの中に兒童相談所を入れてないのでありますか。
○米澤政府委員 第七條で兒童相談所を入れませんでしたのは、七條の福祗施設は大體兒童を収容する施設を一應施設としてまとめようという意味で、相談所の方は別項で規定いたしたのであります。
○榊原(亨)委員 それでは福祉施設ということは収容するという意味でありますか。一時これを保護するようなものを福祉施設とは言えないのでございますか。
○米澤政府委員 ただいまの御指摘のような大きな意味におきましては、もちろん兒童相談所あるいは兒童委員も福祉施設にはいると思います。ただ第七條には、法律の用語例といたしまして、いろいろな福祉施設という字を用いましたために、特にこの七條ではこの法律で福祉施設という字の範圍としまして、これだけのものを入れたのでありまして、ただいま榊原委員のお話のように、いわゆる福祉施設ということになりますれば、もちろん兒童委員もはいると考えます。
○榊原(亨)委員 第八條の中ほどに「中央兒童福祉委員會は、厚生大臣の、地方兒童福祉委員會は、都道府縣知事の管理に属する。」とありますが、この管理とはどんな範圍のものでありますか。
○米澤政府委員 普通の委員會等におきまして、各主管大臣あるいは知事等につきまして、その委員會がどこの大臣あるいはどこの機關において主管されるというような場合に管理という用語例を使つておりますので用いたのでありますけれども、別に強い意味はありません。
○榊原(亨)委員 第九條の中ほどに「中央兒童福祉委員會又は地方兒童福祉委員會の委員及び臨時委員は、」云々とありますが、この委員をお選びになります場合に、どういうふうな方をお選びになるおつもりでありますか。大體の標準をお聽かせ願います。
○米澤政府委員 これは各方面の兒童に關係する人とか、學識經驗のあられる方とか、あるいは精神方面のみでありませんで、醫學方面の方々、あるいは一般の社會的に相當經驗のある方とか、各方面につきましてできるだけそれらの方々の御意見を十分参酌して、適當な方を推薦いたしたいと思います。
○小野委員長 榊原君に申し上げますが、この福祉委員會の構成のことはいろいろ問題があるのでありまして、この條文でいくと、役人だけで一應委員會も構成できることになるので、それでは不都合ではないか。だからこの際役人側の委員と民間側から選ばれる委員を半數なら半數ずつということをこの法律の中で規定してしまつたらいいじやないかという意見もありまして、この點は午後の協議會で修正するときにお打合せいたしたいと思いますので、お含みおき願いたいと思います。
○榊原(亨)委員 第十一條の終りの「兒童委員は、事務吏員又は技術吏員を以て、これに充てる。」とありますし、それから第十六條の「所長及び所員は、事務吏員又は技術吏員を以て、これに充てる。」とありますが、この技術吏員と申しますのは、どういう技術者を指しておりますか。
○米澤政府委員 これは主として醫師を指しておるのであります。ただ事務吏員、技術吏員という字を使いましたのは、自治法に地方の公吏の資格といたしましてこれをあげておるから、それによつたのであります。
○榊原(亨)委員 そういたしますと、第十五條に「兒童の資質の鑑別を行う」とありますのは、その醫師にその資質の鑑別をさせるいう御意見でありますか。
○米澤政府委員 この所員の中にはもちろん醫師あるいはそのほかに心理學者、教育家、兒童問題の經驗家等も考えておるのでありまして、それぞれ總合的な鑑別をいたしますから、醫師に擔任させる部分もありますし、その他ほかの者の擔任する部門もあると思いすが、總合してやつていきたいと考えております。
○榊原(亨)委員 そういたしますると、技術吏員と申しますのは、心理學者——心理學者とは限りませんが、心理學をおもにやつた人、あるいは醫師、あるいはそれに類する方という意味でございますか。
○米澤政府委員 大體技術吏員に該當する者はそういう範圍だろうと思います。
○榊原(亨)委員 兒童委員または民生委員を、民衆の選擧による御意思はありませんでしようか。
○一松國務大臣 選擧によるということをやつても結構ですが、選擧によつた場合に、必ずしもそれが兒童委員として適當な者であるかどうかというようなことの鑑別というので容易にできますまい。でございますから、私の考えではやはりこれは地方長官をしてやらせる。但し地方長官が厚生省の指導のもとにやる。またそれらの任命を受けた人が惡かつたならば、何どきでも取替えることができるのですから、そういうようにしてやれば、かえつてその方がよいのではないか。こういうように考えて、こうしておるのですが、選擧によるということになりますると、ちようど國會議員やいろいろな地方議員その他を選擧するような大したことになるので、そういう人で専門の知識をもたないような人が、ただ運動によつて選擧されるというようなことよりは、むしろ目的を達することが十分になるのじやないか、こういうように考えて、選擧ということを今とつておりません。
○榊原(亨)委員 地方におきますところの實情は、民生委員の資質について非常に惡い資質をもつた方が多數ありますために、實際上厚生省その他におきまして意圖せられることが實際の面においては非常に障害になつておることを私はしばしば認めるのであります。どうしてそういうことになるかと申しますると、その地方におきますところの官僚が、ただあの人は有名だから、あるいはその地方の顔役だからというような表面的な意味からこれを選んで任命されるという點で、いろいろの障害が起つてくるのじやないかと私どもは思うのでありまして、むしろこれは民衆の輿望によつて、あの方こそほんとうにこの民生委員としてりつぱな人だというような人を選擧によつて選んだ方が、むしろその效果は多いと私どもは思うのであります。その點につきましてくどいようでございますが、もう一度厚生大臣の御意見を承りたいと思います。
○一松國務大臣 現在選任されて、その任務に從事しております民生委員というものは、不適當なものであるということは私も認めます。全部の民生委員がこの民生委員令のいわゆる仁愛の精神をもつて保護誘掖のことに從うということに必ずしも當つていない。こういうようなことが往々にしてあります。ただしそれが初め任命されるときに、この人は仁愛の精神をもつて保護誘掖の仕事には不適當であるということで任命したのではない。みな適當だと思つて任命したところが、やらしてみると不適當であつたということがあるのでありますから、そういう者は何どきでもかえることができる。それはいわゆる民生委員會の規定によつて明らかでありまして、それが兒童福祉法の十二條の規定のいわゆる兒童委員にこれを充當しておるのでありますから、これは民生委員會の規定によつて何どきでも改めることができるし、またその十一條の末項の「兒童委員は、事務吏員又は技術吏員を以て、これに充てる。」これは公吏ですからこれを何どきでもやめさせることも、轉任させることもできるのでありますから、要ははたしてこれが適任者であるかどうかということについて、常にこれを指揮監督しておる立場で考察いたしますし、またそれらの考察の資料となりますのは、民間の人々からこれは不適任者であるということを、常に政府なり地方官憲なりにそれらの意思を十分に表明していただきまして、その關係官を指導誘掖していただく。これは國民が當然なし得べきことでありますから、そういう方法によれば、今あなたの仰せになるような不適任な者は何どきでも取替えることができる。またそうなつておることによつて、彼らをして職務に大いに熱心になつて、なるたけ取替えられるような不名譽にわたらない、ほんとうに仁愛の心をもつてやろうということが一層督勵されることになろうと思うのであります。そういう建前で運營していきたいと思います。でありますから今御指摘になりましたような不適任な者がありますればどしどしそれをその監督官に申告していただけば、監督官はそれを十分檢討して、なるべく民衆の意思に副うように措置する。これはいわゆる國民の公僕であるという立場から當然のことであると思います。さよう御了承を願います。
○榊原(亨)委員 第二十六條の一に「兒童又はその保護者に訓戒を加え、誓約書を提出させること。」と書いてありますが、もしこの出しました誓約書に違反しました場合には、どういう處置を講ずるのでありますか。
○米澤政府委員 この誓約書に違反しました場合に、これをどう處置するかという規定は別に設けておりません。この場合においてもできるだけ兒童委員を派遣いたして指導いたすとか、できるだけ強制ということよりも、保護者と十分連絡をしてやつていきたいということで、かりにそういう誓約書に違反しましても、これをすぐ取締るとか何とかいうことは考えておりません。
○榊原(亨)委員 そうすると誓約書を出すも出さぬも同じということになりませんか。
○米澤政府委員 これは強制させるのではないから、結論としてそういうことになるという御意見も出るかもしれませんけれども、しかしこの誓約書を出すこと自體が本人といたしましても、これは十分責任の問題がありますし、これはやはりいろいろの指導連絡という面からいくべきで、強制的にこれをどうするというやり方を避けたいと思います。
○榊原(亨)委員 こういうふうな行為をする者はすでに道徳的に見ましても非常に違反しておると思うのでありますが、そういう不道徳者に誓約書を出させる。その誓約書というものに對しては罰則もなければ何もない。ただ紙を出さしておくだけだというようなことになりますれば、結局誓約書を出すも出さぬも同じだというふうに私は思うのでありますが、この點につきましては午後の協議會におきまして申し述べたいと思います。
○一松國務大臣 今の誓約書が、これに違反した時分に制裁がないから、むしろ要らぬじやないかということは、これは私はどうかと思います。それはわが國民はもうまつたく誠心誠意事に當るという考えは持合わしていないのだ、つまり國民が一遍約束したことをへとも思わぬのだというように見たからだと思うのであります。やはり一度約束したことはこれを遵守するのだ、そういう大和民族だということに見ることの方がよい。一遍口で言つたことに男子二言あるべからず。これが私は正しいと思う。私がもしこの約束をしたことに背いたならば、公衆の面前で笑つてくださいという書付を昔出したということを私は聞いておる。そういうふうに國民の徳育というものが向上されることを望む。でございますからなるほどあなたのおつしやるように、誓約書を出して、それに從がわなかつたときに制裁がないから、誓約書は要らぬじやないかということでなくて、やはり誓約書を出したら、君どうだ、口で出したことさえ守るのに、いわんや君は書付を出しておるじやないか。それをほごにするのはどうだというようなことにならなければならぬ。でありますから私はこういうやはり一つの形式張つたことをさせるということが、そういうことをしないようにすることになるのでありまして、もしその效果が上らなかつたら、もうそんなものはやめてしまうのがよろしい、訓戒が效果がなかつたらもう訓戒なんかしないで、初めから放たらかしていつてよいということはちよつと困るのでありまして、それはひとつ午後の相談會のときにもその點は、もしあなたがこの證文をほごにした場合は、公衆の面前でお笑いくださるべく候というような昔の幕府時代の一片の書付が非常に效果があつたということを思い起しくださいまして、國民はそれぐらいの徳義心があつた方がよいというふうに、仕向けてくださつた方がよいのじやないかと思います。
○飯村委員 兒童が心身ともにりつぱに育成されるという大きな夢をもつこの法案に對しましては、私は非常な喜びをもつものでありまして、またこの法案がうまく實行されるかどうかということも、それを扱う人いかんにあるということもよくわかるのであります。しかし私はりつぱな人であつても、なおこの法案の眞價を發揮できないようなことがあるのではないか、このように考えますので、その點をお伺いしたいと思います。 それは五十四條の費用の點でありますが、五十四條に、第二十二條、第二十三條の費用を期限を指定して、本人またはその扶養義務者から徴收しなければならないとあるが、これはもちろん國庫の補助があつたその殘りと思われますけれども、しかし第二十二條におけるところの内容は、經濟的理由によつて入院助産ができないものを、助産施設に入所させる。この經濟的理由によつて入院助産を受けることができないというのは、困却しておるからできないのであつて、そのできない者から費用を負擔させるということを初めからうたつてあるのはどうかと思います。それから第二十三條も、保護者の勞働その他命令で定める事由によるということがありますが、勞働しておつてやはり出せないという人は、おそらくこれに金がかかるといつたならば、またこれはより以上に出さなくなるのではないか。この二點が、保護者がよくわかつておつて、そうして自分がこれを出さなくちやならぬのだというような氣持があればよろしいのですけれども、實際、問題のあつた場合は、金をとられるならば出さないということが大きく浮かび上つてきて、結局たといこの但書にあるようなことがあつても、市町村の民生委員等はそれに非常にこだわりをもつて、これが實際に行われなくなる、めんどうくさくなつてくるというような點を私は非常に不安に思うのであります。この點についてひとつ御意見をお伺いいたしたいと思います。
○一松國務大臣 今お話のようなことは、實地の面においてあり得べきことでありましよう。しかしそれは要するに法の精神が末端まで徹底しない結果であります。それらのことを徹底させて、われわれは經濟上の理由でこういうような恩惠に浴することはできないというような考えをもたせるのがすでに間違いであつて、それらのことはいわゆる指導員等の責任でありますから、指導員等はそういう者のないようにして、すべてこれらの人々はことごとくこの恩惠に浴することができるのだというように、徹底的にこれを理解せしむるように行動しなければならぬと私は考えております。それらの點はこの法を運用いたします前にあたつて、十分にこれらの指導員に徹底せしむるという處置をとろうと考えております。
○飯村委員 おそらくその徹底はなかなかむつかしいであろうと思うのであります。すでに先般來國立病院の有料問題等につきましても、政府はたびたび徹底ということを言つております。そうしてあらゆる指令を發したらしいのですが、それは少しもすみずみに徹底しないで、實際に國立病院に患者たちは、その日その日を不安のうちに送つている。またそれを實際に扱つている事務の者の間にも徹底しないで、患者との間に意思の疎通を缺いているということを聞いております。もちろんこの法案を實行するにあたりましては、より以上に徹底を期するでありましようし、またその點をぜひお願いしたいのであります。 第二に、福田委員からもお話のありました癩療養所における兒童の問題であります。私はこの癩療養所の實地を見てきたのでありますが、實際には癩療養所にある兒童をあそこに隔離しておくということは、先ほども申されましたごとく、親心というか、間違つた、ほんとうの親心でない結果をもち來すという實際の状態も見ているのであります。それはもちろんあそこには垣根をめぐらしているかもしれません。あるいはそこに何か隔離しているというような状態を設けているかもしれませんけれども、實際は兒童はその母のもとに歸つて乳を飲み、あるいは遊んでいる。また母はそれを迎える。これは教育程度の問題もありますので、なかなかむつかしいかと思いますが、ああいう状態においては、とうていあの兒童を同じ苦しみの中におくことを防ぐことはできないと私は考えます。それであの親たち自身が私たちに言つた言葉というのは、子供はぜひどこか私たちの目の見えない所に一箇所に集めるか何かしてほしい。そうでなければ、どうしても目にちらついて、將來この子供が病氣にかかつていくのだということがわかつておりながら、そのままにしてしまうということを言つております。ああいう親たちの眞劍な氣持も考えれば、私はああいう兒童は初めから國のどこかに隔離してしまつて育成するということが眞の親心ではないかと思うのであります。
○一松國務大臣 今の指導の問題ですが、これが末端まで行き渡らぬという例として、國立病院の例の有料の問題をお取上げになりましたが、これはひとつ十分に御理解願いたい。あれは御承知の通り白衣の勇士が今まで海軍病院、陸軍病院でまつたく國庫の費用によつて無償で優待されて療養しておつた。それが今度終戰後、國民は平等である、特にその者だけを特待するわけにはいかないというようなことになりまして、そのために、それがやはり末端の方にまで徹底しない。いろいろな事情があつたがために徹底しなかつた。それが議會で問題になり、私が民生委員等を招集して直接にそういう話をして、それがためにぼちぼち今では徹底しつつある。こういうことでありまして、兒童福祉の問題について、兒童委員がこの兒童福祉法を運營することに對しては何も遠慮する必要はないのであります。これは徹底的にそういう指導ができるのでありますし、あのときに地方の末端にまで敏速に徹底しなかつたものとは少し違うのでありますから、それらのこともできる限り御期待に副うようにいたしたい。かように考えておりますから、それでひとつ御了承を願いたい。 癩病患者の間にできた子供についての隔離保育という問題でありますが、私は隔離保育には議論がないのですが、問題は今あなたのお示しになつたように、また福田委員のお話になつたように、その療養所の中に特別に隔離室を設けて、そこでこれらのものを保育するということがいいと私は思つたのですよ。今のあなた方のお話を聽きなおその境内でやるということについて、親子の情愛のためにやはり面會に來るし、はなはだしきは引取つて乳を飲ませるというようなことになつたら、それはほんとうの親子の情愛でなくて、むしろ誤れる情愛であるというようなことも、これはもつともと思われるのですが、これらの點についは、實は私醫者でありませんから、癩病が遺傳でなく傳染病であるということも、ただ醫者からそういう話を聞いたから、そうかなと思つておるだけで、ほんとうは柳原委員あるいは福田委員みたいな専門家であれば、それは遺傳するものでなくて、傳染するものである。しからばその傳染はいつ傳染するか。生れ落ちたその瞬間にも傳染するのではないかどうかということは、われわれ素人には何もわからない。かりに生れ落ちたときにすでに傳染しておつたということになると、隔離しておつても傳染したものの病勢の進まないように、治癒することができるような方法をとらなければなりますまいし、生れてすぐにこれを隔離して、絶對にその母親に近寄らせなければ傳染しないのだということが醫學上確實であれば、もちろん隔離して、親子の一時の情愛のためにその子を一生涯不幸ならしめるというようなことの惡いことは言うまでもありませんから、完全に離隔して、親子の對面どころじやない、母親の訪問も許さぬというようなことにしなければならぬと思つております。それらのことについては、これからひとつ十分に専門家の意見も聽き、そうして適當にやつてみたい。かように考えております。今この席で、しからばただちに離隔することをお引受いたしますとまでは言えないのであります。しかしこれが兒童の福祉のためになることであれば、その線に沿うて、政府としてはとるベき行動をとりたい。これだけのことを申し上げておきます。
○飯村委員 ただいま厚生大臣から、白衣の勇士についてお話がありましたが、私はあのときに、その根本であるところの昭和二十年十一月二十四日に發せられた連合軍の指令、あの指令の解釋が非常に狹くとられておるゆえんではないか。このように考えております。あれは軍隊勤務の原因によつて勞働能力を制限されたものは、非軍隊的原因によつてその身體上の不具を受けたものと同じように最低限度のものを保障されておる。しかるに片方の非軍隊的の人たちは、あらゆる保障がその職場にありまして、各自受けておるのでありますが、しかし軍隊勤務の人たちは、國家がそれまではやつておつて、實際にはもうちつともやつておられない。公務員法その他を受けておる一般の人たちと違つて、國家がこれを見なかつたならば、たれも見てくれる人がないという状態でありますから、その人たちを見ることは、決してあの指令に違反してない。その意味におきまして、私は白衣の勇士たちを國家が扱うことは決して優先的な扱いでないというふうに解釋しております。この點はただいまの兒童福祉法案とは違いますから、別な機會に讓りましてお伺いしたいと思います。
○一松國務大臣 つまりあれは、白衣の勇士であるがために、御承知の通り國家が全費用をこれに打込んでやつておつた。今度は、そういう特權はもつことができない。國民はすベて平等でなければならぬという建前から、それらの人に對して、資産がある場合でもこれに費用を出させぬで、ことごとく國家がこれを療養させるという意味ではない。そういう療養の費用を納めることのできる人々からはもちろん納めさせるし、納めることのできない人からは、それは普通の人と同じように納めさせぬでよろしい。それを納めることによつて他の家族に累を及ぼして、他の家族が生活ができないようになれば、もちろん國家はそれらの費用を負擔しなければならぬ。つまり普通一般人と同じにせよというのである。今まで國家が費用をもつておつたのを、ただちに國家が費用を全部もたぬというのではありませんで、療養の費用を納めることができません者は、いわゆる生活保護法の規定でこれを保護していく。こういう規定でありますから、白衣の勇士諸君は、今までわれわれはただで養われておつたのだから、今度からもただで養われるのだ、ただで療養するのだということが誤りであることは明らかである。但し療養費用を納め得る者からはとるのだ。こういうことである。それを全部からとるもののように解釋し、もしくは納めることによつて家族の生活に困るような者からとるように解釋したのは不徹底であつた。こういうことは、生活保護の規定で十分保護ができないものに對しては、これは何とかしなければならぬということで厚生省としても考えておりますのみならず、今度の追加豫算の中にもそういうことが含まれて國家に請氷しておるのであります。そういうようなことがこれらの人々に徹底しなかつたという憾みがある。しかるに兒童福祉法の運用については、そういうようなことはないのだから、一般的に十分に徹底するようにいたします。こういうのでありますから、間違いのないようにひとつ御了承を願いたい。
○小野委員長 野本品吉君。
○野本委員 簡單に大臣に伺いたいのは、子供が心身ともに健やかで、かつ育つように努めることが國民全體の責任である。ほんとうにそう思います。このことを深く考え、掘り下げていつてみますと、先ほど榊原委員も觸れられたようでありますが、日本の人口の問題、それから産兒制限あるいは産兒の調節というような問題に觸れてくると思うのであります。産兒制限、産兒調節というようなことにつきましてはあとで論議の機會があるように思いますから、これを省略いたしまして、私は人口の問題につきまして、ひとつお伺いたしたいと思います。それは昭和十六年の二月の閣議の決定事項といたしまして、いわゆる人口政策確立要綱というものが決定されております。これによりますと、昭和二十五年までに内地人口一億というようなことを考え、從つて一組と申しますか、夫婦の間に五人くらい生れることを希望する。またそのために結婚の年齡を引下げるというようなことが言われておるのであります。しかしながら今や事態は條件が急激に變化いたしまして、敗戰とともに一瞬にして狹い國土に壓縮されてしまいまして、この中に數年を出でずして八千七百萬になろうとする多數の者が生きていかなければならない。從つて産業の方面においても、經濟の方面においても、國民生活の面におきましても、この人口の重壓を前にして、いかにこれに對處し、またこれを打開していくべきかということは、少しく國民生活の將來、あるいは民族の將來ということに思いをいたす者のきわめて重大なる關心事でなければならぬと思うのであります。厚生省はその所管内に人口問題研究所をもたれておるのでありまするけれども、この人口問題研究所を通じまして、必ずやこれらの問題について根本的な調査及び研究を進められておるだろうと思います。この調査、研究の概要及び人口政策に對する梗概につきまして、大臣から一應の御見解を表明していただきたいと思います。
○一松國務大臣 たいへんむつかしい問題を課せられたわけでありますが、人口の増加、もしくは遞減ということが國策に重大なる影響のあることはいうまでもありません。ちようどドイツが世界戰爭に敗れましたときに、自分らは人口を大いに増加してドイツ國民の數を殖やすことが、第二次世界戰爭を計畫するに最も必要なことなりとして、ヒツトラーはしきりに結婚を獎勵し、結婚することによつて費用が要れば、ただちに國家がその結婚の費用を出すというようなことまでして、結婚を獎勵し、國民の増加をはかつた。ところがフランスの方はわれわれは戰さに勝つたのだ。人口があまり殖えるということは國家のためによくないから制限しようということで、いわゆる産兒制限をやつた。そのためフランスの人々はよほどの金持階級でなければたくさんの子供をこしらえない。大概一人か二人くらい生んだらあとは生まないようにして人口の増加を防ぐということと、一面には婦人の容姿が衰えないようにするということのために、人口の制限をしたことも御承知の通りであります。そこでどうなつたかというと、いよいよ世界の形勢がおもわしくなくなつて、戰さが始まるということになつた。ドイツはだんだん人口が殖える。フランスは減りつつあるというので、フランスは驚いた、これではいかぬ。やはり産兒制限はいかぬから、殖やすようにしなければならぬということで、その政策を改めたということを、私は洋行した時分に聞いて歸つたのであります。今の昭和十六年の二月の閣議で、わが國の人口を一億にしなければならぬということを決定したということは、私初めて聞くことでよく存しません。そのときの人口が日本には一億に足りなかつたのか、あるいは一億以上あつたから、それを一億に減ずるのか、一億に足りないから、一億に殖やすというのであつたかは知りませんが、私の覺えているところによりますと、朝鮮の人口は二千六百萬、そのときの内地の人口が小くとも七千何百萬人ほどあつた。これに樺太、千島、あるいは琉球を加えれば、すでにそのときに一億以上あつたのかもしれない。ところが今日は朝鮮はすでに失い、千島、琉球、樺太もすでに失わんとしているがために、今八千萬というけれども、ほんとうは七千六百萬くらいである。そこで産兒の制限も何もやらないで放つたらかしておいたら、現状はどうなるかと言えば、それは多分日本人は繁殖力の非常に強い國民だということを承知しておりますから殖えましよう。殖えたときにはどうするか。この小さな四つの島々の國に制限されて、今でさえも食糧難に惱んでいるときに、これ以上人口が殖えるということになると、その人口のはけ口はどこだということになる。御承知の通りに、熱海の向うの方にある大島、初島というようなところの島々では、二百戸以上はいけない。四十何戸以上に殖えてはいけない。なぜかといえば、殖えるとその島の食糧事情が惡くなるからである。ゆえにそれらの殖えた人口は内地に送り出してしまつて、家に殘つておるものは長男だけというようなことをする。これはもちろん人口問題に影響する。それと同じようにわが國のような國土の狹い所に、八千萬が九千萬になり一億になるということになれば、今でさえ食糧事情で困つておるのにもつと困るのではないか。それならば、産兒制限をやつて八千萬というのを七千萬くらいにして、日本の現在できる食糧だけで賄いのできるようにするということが、政治上最も大切なことではないか。問題は人口問題だけでなく、ただちに政治問題に影響するようなことでありますから、人口問題がきわめて重要であることは申すまでもありません。しかしながら私をして言わしめるならば、今八千萬というけれども、その實は七千何百萬かがほんとうでありましよう。從つてそういうときに、日本はもうこれ以上に人口が殖えては困るかどうかということを考えてみれば、私は困らぬと思う。たとえば北海道の拓殖だとか、あるいは中國山脈方面の拓殖だとか、あるいは九州の宮崎方面の拓殖だとかというようなところに、まだ拓殖事業がずいぶんできる曠野が存在しておることを承知しております。こういう方面を拓殖して食糧の増産をはかれば、まだ私は相當數の人口が殖えても決して憂慮すべきことではないと思う。ただ現在の耕地面積だけでは、食糧は十分にとれますまいけれども、今少しく耕地を殖やし、一面においては農業技術を大いに研磨、琢磨して狹い土地に多量の主食がとれるようにすれば、必ずしも今のところ心配することはないのではないかろうかと考えております。從つてすぐに産兒制限をして、日本の國力をこれ以上に薄弱ならしめることはないではないかと考えております。さればとてヒトラー、みたように、入口を殖やして、憲法第九條で戰争をやめたにかかわらず、また再び戰争をするというような野望はもつておりませんから、そういう意味で入口を殖やしたからというて弊害はないじやなかろうか。それがために食糧事情に重大な影響をただちに及ぼすものでもなかろうと思います。それならば國民の自分々々の考えに任しておいて決して弊害はない、かように私は考えておるのであります。これ以上のことは、これは科學的の研究をしなければなりますまい。しかしこれ以上のことは私は知識をもつておりませんから、お答えができませんが、まずこの程度でお許しを願いたいと思います。
○野本委員 私が今質問いたしました精神は、いろいろな條件が悪いから、ただちに産児制限をせよとかいうことでなしに、そういう不安をもつておるところに好ましからざる産児制限といつたようなことが行われるぢやないかということを心配しておるわけであります。従つて政府といたしましては、研究機關等を十分動員活用されまして、人口對策についての正しいあり方というものを、國民に廣く深く知らせる必要があると思うのであります。そういう考えで質問したのでありまして、誤解のないようにお願いいたします。 次にこの福祉法を見まして、私は一體何が子供の福祉であるかということを眞劍に考えてみました。そこでその子供の福祉のための施設といたしまして、助産施設であるとか、乳兒院の施設であるとか、保育所、それから厚生施設、養護施設、それから精神薄弱兒の施設、寮育施設等があげられておるのでありますが、子供の一番の仕合せは何かと申しますと、健やかに出生すること及び健やかに育つことに對しまして、決定的な條件となりますものは、何と申しましても合理的な、そして十分な榮養が補給されるということであろうと思うのであります。これが生れる子供にとつても、生れた子供にとつても一番の條件であると私は今のところ考えております。そこで今各種の重要産業の方面に對しましては、その生産の増強のためにいわゆる勞務加配米が供給されておる。私は子供の福祉ということ、そのことを通して日本の將來の運命というようなことを考えてみますと、妊産婦に對しましては育兒加配米、育つ子供に對しましては成長加配米といつたような考え方を、もつと強く深く考えなければならぬとかように思つておるのであります。このことにつきましてはすでにいろいろ質問等もありまして、それぞれ御答辯があつたのでありますが、今までの答辯の範圍におきましては、私どもとしてはきわめて不滿足であり、遺憾の點がはなはだ多いのであります。そういうことを考えましたときに、この間社會保險制度の調査會の答申事項を見ますと、助産給付といたしまして現物給付及び現金給付をする。なお兒童に對しては、兒童手當を出すということが講ぜられておるのであります。これはどういう内容をもつておるのであるか、またそれに對して答申を受けた厚生大臣はどのようなことをお考えになつておられるか、ちよつとお伺いしたいと思います。
○一松國務大臣 社會保障の問題は、御承知の通りに國民の幸福を増進するということのために、どうしてもこれは將來實施しなければならない。實施するについては、これは厚生省の仕事である。しからば厚生大臣としてあらかじめそういうものを調査研究をして、そうしてその時期に備えておかなければならぬ。こういう意味で私、任官後これらの調査を事務當局に命じまして、各方面の權威者に寄つていただいてこれを研究してもらい、その研究の結果が今答申されておる通りであります。この社會保障の制度を實施しようということになりますると、少くとも四千億圓くらいの金がかかる。そういうことになりますると、とうてい日本の財政の現状から見て、これがただちに實施できようとは思つておりません。しからばどういう方面からこれに手をつけるかということについても、今私は研究しております。まずわが國の財政状態とにらみ合わせまして、しかもこの社會障制度のうちで何か一番急施を必要とするかという方面を調査検討の上、それと財政とをにらみ合わして、まずこの程度ならばよかろうというて、あの答申のうちの可能性のあるものから徐々にこれを實施に移していこうかと考えておるのであります。今いろいろの國民の福祉に關しまする立法があることも御承知の通りでありますが、あの答申案がそのまま採用されるということになりますると、今國民の福祉に關する法律というものは大幅にこれを廢止して、そうして社會保障の線に沿うて運営していかなければならぬ。こういうことになるのでありまして、今すぐに來年、再來年にこれが實施できようとは考えておりません。今あなたの御質問になつたようなことを事務當局が答辯したということでありますれば、それは實施するにあたつては、兒童の保護に對してこれだけの金が要るのだということの豫算をお話したのでありまして、實施面から今そうしなければならぬというようなことではなかつたと私は考えます。
○野本委員 ただいま私のお伺いしましたのは、社會保障制度要綱の中に答申されておりますことろの、助産給付としての現物給付あるいは現金給付、なお兒童手當という項目があげられておりますので、この事柄は今審議されております兒童福祉法ときわめて深い關連をもつておりますので、その内容及び所見についてお伺いしたわけのであります。
○米澤政府委員 この案は私たちも一二委員會で拜見いたしておるのでありますが、助産施設、助産の現物給付と申しますと、結局いろいろな助産施設の増設とかいう問題に觸れることになつてくると思います。それから兒童手當と申しますのは、兒童一人についていくらの金額になりますか、これは十五圓あるいは三十圓、それによつて非常な数字が違つてまいりますけれども、この問題につきましては現在の雇傭者の關係におきましては、いろいろな家族手當その他の賃金と非常に緊密な關係がありますので、今後相當研究されることと考えております。
○野本委員 ただいまの問題は私が申しましたように、兒児福祉の問題ときわめて深い關係をもつておりますから、先ほど大臣の答辯になりました可能な事項から逐次手を染めるという場合に、ぜひ十分考慮を拂つていただきたいと希望をもつております。 次に兒童福祉に關する豫算の編成についてでありますが、私の聞くところによると、厚生省として非常に骨を折られた乳幼兒の健康調査の費用であるとか、虚弱兒童の收容施設の費用、それから乳兒院の施設費、助産施設費等が、せつかくのお骨折にもかかわらず削除せられておるというとであります。これは實に私どもが期待してやまなかつたものでありますが、こういうものが削られておることが事實であるとすると、私はこの兒童福祉問題に關する理解、認識、熱意というものが、まだ各方面にはなはだ徹底しておらない結果であると考えるのであります。從つてこれらの問題については、今後大いに研究しなければならぬと思いますが、ここで私はひとつ意見を申述べ、またお考えを承つておきたいと思うのであります。兒童福祉法という非常に進歩的な印象を與えますところの、新しい法律ができる。そこでこの法律の實施の際にあたりまして、法の精神及び内容の理解、それを通して直に兒童の福祉問題に對しまして、國民全體の關心を集めるような方策といたしまして、兒童福祉運動であるとか、あるいは兒童愛護運動であるとかいうものを、全國一齊にきわめて廣汎に力強く推進することが、ほんとうに兒童福祉法という新しい法律の實際的效果をあげ、將來兒童福祉問題に對しまする國民の考え方を一新させる上において、きわめて有效であろうと考えているのであります。これらにつきまして當局として何か構想をおもちになつておられるかどうか。またこの問題についての御意見をお伺いしたいと思います。
○一松國務大臣 もちろんこの法案が通過いたしますれば、今あなたのおつしやるように、國民にこれを徹底させなければなりません。その徹底させますには、今私の考えておりますことは、まず一大運動を展開しなければならぬ。その運動を展開する前には、言論機關の力を借りてこれを全國的に宣傳していただくことはもちろん、皆様方のお力も大いにお願いいたしまして、全國的に演説會を開催する。またそれぞれの機關をもちまして、人々の集會している所に行つては座談會を開くとか、ラジオに、あるいは映畫に、芝居に、あるいは紙芝居に、その他あらゆる方法をもつてこれを徹底して、こういうりつぱな法律の制定されたこと、これを運營することによつて兒童が非常な福祉を増進することがてきるということを徹底させようという考えをもつているのであります。そういうことのために豫算が四千三百萬圓というものを計上しているのでありますが、こういう豫算の範圍内において適當にやろうと思いますし、いよいよまた運營にあたりましては、なお多くの豫算を計上しなければなりません。それからいろいろ今あなたがお示しになつた施策について、豫算をとるべく交渉したのに削られたということは、はなはだどうもおもしろくないというような點に對しましては、これはいろいろな豫算を編成するにあたりまして、御承知の通り各方面にことごとく、重要な政策を實行するということのために、要るだけの費用を計算いたしますれば、とても千億圓くらいではない。何千億も要るのですが、しからばその中でどれが一番先に必要かというようなことで、内閣の方でそれを調査研究をし、一方には關係方面との折衝を續けて、それをきめてやつているというような實情でありますから、これらの點はひとつ御了承を賜わりたいのでありますが、その數字の點につきましては政府委員から申し上げます。
○米澤政府委員 先ほど助産施設、乳兒院その他の豫算の御質問があつたのでありますが、この法律は附則にもあります通り、初めから大體全面的に一時に施行できないというわれわれの考えでありまして、一部施行の建前で進んでおりましたので、こういういろいろな施設の實施ということにつきましては、これはいろいろないきさつもありますし、また地方財政との關係もありますので、これは新年度から計畫をもつて十分折衝したいと考えておるのであります。
○太田委員 時間がありませんから私二、三希望を申し述べて、答辯は要りません。第二十二條に保健上必要があるにもかかわらず、經濟的な理由でお産ができないというようなことがありますが、この法案は大體母子福祉法とした方がよいというような御意見もあるが、私もそれに贊成でございます。そうして妊婦に對してお産させるということはよいわけですが、お産をしてから産褥熱などになつても金がなくて困るということがありますから、もうお前はお産が濟んだからというのではねつけられないように、何か講じていただきたいと思います。 それから授乳中はほかの病氣をしても乳が出なくなるということがありますから、こういう場合も何か保護をしてもらいたい。特に乳腺炎とかいうお乳の病氣など、もうお産が濟んだからよいというように扱わないように、何かしていただきたいと思います。 それから最後の所で、第六十九條の例外規定ですが、なるほど現在は義務教育が十四歳で終るからということでありましようが、これもどんなにでも拔けられるものです。輕業師などが實際は義務教育を受けないということによつて罰せられるとしても、これでは拔けられるということになりますから、なるべく拔け途のないように、もう少し何か改めていただきたいと思います。それだけです。
○小野委員長 午後一時半から修正その他に關しまして協議會を開くことにいたしまして暫時休憩いたします。 午後零時三十六分休憩