厚生委員会 第15号
- 発言数
- 39 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1947/09/18
会議録
○小野委員長 これより會議を開きます。 先般本委員會で武藤運十郎君及び野本品吉君より質問のありました草津町の樂泉園の問題に關しまして政府より調査の結果について報告を求めたいと思います。一松厚生大臣。
○一松國務大臣 過般お約束を申しておきました草津における栗生樂泉園患者の關係事件に關しまして厚生省といたしましては、八月三十日本省から療養課長、整備課長のほか野村技官、玉村技官、高橋事務官の三名を實地調査に派遣をいたしました。しかして八月三十日に第一囘の調査に著手いたしまして、爾來患者側の諸君と各問題ごとに懇談會を開催いたしまして、それが三同續いて懇談會をいたしたのでございましたが、結局のところいろいろないきさつがありまして、このいきさつの詳細を申し上げることは少しくはばかりますが、抽象的に申しますならば、共産黨の有志の方が數名この中にはいりましていろいろな指導をいたしたために、患者諸君と調査員との間に結局意見の一致を見ることができず、遂にもの別れになりまして、調査に参りました者は、結局お前方の調査には應じないということで調査否認をいたされましたために、やむを得ず引揚げて歸りました。それでそういうことではいけないから、さらによくそれら關係の共産黨の人々の了解を得て、再び詳細なる調査をせよということで、同じく本省から局長、課長などをただいま派遣して調査さしておりますが、この會議までに間に合うようにと思つておりましたところ、御承知の水害のために歸ることが今阻止されておりまして歸れないという状況にあります。しかしながら交通もあまり長く杜絶はしておるまいと思いまするし、いずれ近いうちにその後における詳細な調査をもたらして歸ることになつておりますから、その際において詳しく報告を申し上げたいのでありますが、本日今までわかつておることを申し上げるということでありますならば、患者諸君と私の方の調査班との間の質問應答の模様をここに申し上げる程度よりほかできないのでありまして、結局御質問の要點に對する結論までは申し上げられないことになりまするから、本日はひとつその程度でお許しを願いたいと思います。しかしどうしてもそれをやる方が御審議の上に便宜でありますれば、今申しました程度のお互いの間に質問應答を重ねられておりまするから、そのことをここで讀み上げて御了解を得ても結構でありますが、私の希望といたしましては、あまり遠からぬうちに調査班が歸つてまいりまして、皆様の疑點とせられておることをその際詳細に報告せられた方が便利ではないかと思うのであります。できますればそういうことにお願いいたしたい。それがどうしてもいけないということでありますれば、これをごく簡單でありますが、ひとつ讀み上げて報告することに止めていただきたいと思います。その點委員長の方でしかるべく御措置を願いたいのであります。
○小野委員長 ただいま大臣の説明によりますと、調査はまだ中間的のもので、報告も中間報告の程度のようでございます。この問題はいずれ調査が完了しました際に、本委員會としても大きく取上げて論議いたしてまいりたいと思うのでございますが、ただいまの厚生大臣の言う通り中間報告を出でないとすれば、今日この問題について深く論及することはかえつて能率も上らぬと思いますので、今日はあまり深入りしないようにいたしたいと思うのであります。從いまして本件に關連して質疑の通告をされておられる方の發言は、できるだけ簡單に願いたいと思います。
○武藤(運)委員 ただいま厚生大臣から調査團を派遣したけれども、患者側との懇談が折合いがつかないで、まだ十分報告をする時期に達していないというような報告がありました。しかしながら私どもの方へ患者側から報告されておる事實を聽きますと、調査團は参つたには参りましたけれども、ただ向うの不正を働いたと指摘されておる職員の辯護または證據の湮滅に汲々としておつて、ほんとうに事實の眞相を發見しようという仕事をしておらない。患者側から共同で公開の調査を要求したにもかかわらず、これを拒絶したというような、調査團が調査團として本來の仕事をしないところにこの調査がうまくいつておらない原因があるように考えられるのです。私は後に申しますように、國會といたしましても獨自の立場において調査團を派遣せらるべきものであると考えるのでありますが、本日全部の御報告ができないまでも、できる程度の中間報告を願いまして、さらにまたこの前私が質問いたしましたときから、いくつかのレポートがまいつておりまするので、それに基いて新しい質問の要點を申し上げることもあるのでありますから、まず一應わかつておる程度のことを御報告をお願いしたいと思うのであります。
○小野委員長 武藤君に申し上げますが、今の大臣のお話によりますと、行つた人と患者との問答を控えたものをただ讀み上げるというだけではちよつと意味ないように思ふので、ひとつこの次にまとめて御報告を願うようにしたいと思います。
○一松國務大臣 今御意見でありましたが、ごもつともだと私思うのであります。ところが今申し上げますように、これを讀み上げますと調査不能になりました事情が一々わかるのですけれども、これではせつかく御質問に對する要點をはずれるわけでありますので、あまり遠からないうちに調査團も歸つてまいりまして、詳細な報告もできますし、今お申出のありました證據湮滅でこちら側をかばうというような態度がもしあつたといたしますれば、それはゆゆしいことでありますが、今囘二囘目に派遣された者は、特にそういう點に重點をおいて参つておりますし、そういうことも詳細な報告によつて本省の方の誠意もお認めが願えることであろうと思うのであります。でき得べくんば御一緒にお願いした方がよくはないかと思いますが、もしその質問應答の状況を讀むだけでも結構だということでありますれば、二十枚ばかりですから、これを讀み上げてもよろしいのですが、しかしそれよりもあまり遠くないうちに、事實の眞相が明らかになりますから、そうお願いした方が御審議の上にも御便宜であり、私の方のお答えする上にも的確なお答えができると思いますから、できるならそうお願いしたいと思います。
○徳田委員 この問題につきまして今厚生大臣は共産黨が中に介在したので、これが不調に終つたと言うのでありますが、これはきわめて不穏當の言葉だと思うのである。共産黨が介在することがいいか惡いかは別問題でありますが、介在をしたとしてもこれは不調に終るべき性質のものではない。共産黨は公の政黨でありまして、こういうことに關しましてはきわめて愼重に扱つておるはずである。また何も亂暴をしろとか何とかいうことはわが黨の規定にもないし、またそういう精神でもないのである、特にこの癩病患者におきましては、ここにも十分報告をもつておりますが、新聞に報ぜられたところ、また武藤運十郎君がこの前質問せられたところによりましても、きわめて社會との接觸を阻隔されておる状態にありますために、患者諸君が社會の状態を知らず、またいろいろの交渉に對してきわめて弱い性質をもつておると思うのである。こういうものに對しまして特に共産黨が協力して彼らの正しい要求を貫徹せしめる、また交渉においてもぜひ公正にやらせるのが共産黨の趣旨でありまして、決して共産黨が介在したからといつて問題を紛糾させたり、あるいは曲げたり、不能に陷らしめたりするようなことはないと思うのであります。從つてこれがこういうふうに不調に終り、信頼ができないからというので、歸えされたということについては、確かに不正な事實もしくは不正をなすと認められる態度があつたに違いないと思うのであります。でありますから、これは非常に重大なことでありまして、官吏としてなすべからざることである。從つてまたこの樂泉園内部に不正事實のある要素がその點からもはつきりするだろうと思うのであります。從つてこれが不調に終つた當時の状態、それからまた兩方における問答につきましても重大だと思うのであります。共産黨は單に黨の利益のみではなく、社會的な問題として重大だと思つておるのであります。そういう意味においてひとつ詳細に報告せられんことを希望する次第であります。
○小野委員長 この際お諮りいたします。武藤運十郎君からは、この問題は本委員會の名において調査することが必要ではなかろうかという議論もあります。ごもつともな御議論だと思われますので、この際本問題の調査のために、本委員會から委員を調査のために派遣することにいたしたらいかがかと思うのでございますが、御異議ございませんか。
○徳田委員 委員を派遣することには異議はありませんが、委員を派遣する前にこの問題をもう少し究明しなければならぬと思うのであります。委員が行きましても、調査に行つた連中が不信頼で追い歸えされたということでは、これは非常に今後の調査に對して密接な關係をもつのであつて、また今後のこの委員會から派遣された人々が調査するときにも大きな參考になるのであります。どういう所が不信頼をもたらした原因であるかということに對しまして、特に報告をしてもらい、またわれわれの受取つておる報告から當局に對していろいろ質問したりすれば、調査する内容はさらに明確になるのでありますから、そういう點をひとつはつきりさせたいと思うのであります。でありますから、委員を派遣することを決定する前におきまして、厚生大臣からもつと詳細なる報告をせられんことを希望する次第であります。これを委員會に諮つていただきたいのであります。
○小野委員長 徳田君の御意見でありますが、私見を申し上げますれば、委員を派遣しますのには、なまじつかな報告を受けるよりは、かえつて白紙の立場で調査する方が眞相をつかめるのではないかしらと思われますので、厚生省よりの報告の時期と、委員派遣の時期とはからませないで結構ではないかと考えるのでございますが、いかがでございますか。——それではともかく本委員會より調査のため委員を派遣することにいたしてお諮りいたします。國政調査の題はすでに承認を求めて承認いたされておりますので、委員派遣の承認申請だけ議長にいたしたいと思います。その派遣の目的は、樂泉園の状況實地調査のため、派遣委員の氏名は武藤運十郎君、飯村泉君、榊原亨君、野本品吉君、派遣の期間は九月二十日より二十四日までの五日間、派遣地名、群馬縣草津町、かようにして承認申請をいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
○小野委員長 それではその通り決します。
○徳田委員 この問題は共産黨が非常に關係しておるのであつて、また共産黨が關係しておることに關しては厚生省もこれを言つておる次第でありまして、今後これが調査においても共産黨の議員がどうしても行つた方がよろしい。そうすれば今後のこの報告しておる經緯、また共産黨がどういうことをしたいかということに對しましても、患者の諸君がどういうことを考えておるかということに對しましても、共産黨としては密接な關係をもつておるのでありますから、共産黨の委員を一人派遣せられることを希望する次第であります。
○小野委員長 御希望はわかりまいたが、後ほどまた理事と相談いたしまして決定いたしたいと思います。
○武藤(運)委員 それでは私は今さいわいに厚生省から醫務局長ほか調査團が行つておられるようでありますから、この前私の方から提出しました質問のほかにさらに詳細なその後の状況に基きまして質問の條項を申し上げておきます。そうして本日御答辯ができなければ後日でも結構でありますから、お聽き取りを願いたい。 まづ第一に一番問題なのは、いわゆる特別療室という所へ監禁をしたのであります。昭和十四年九月の樂泉園の開園以來九十二人の患者をここに監禁しておる。その期間は最高五百三十三日ちようど一年半です。平均いたしまして百二十一日、四箇月平均をこの特別療室に監禁しておる事實がある。癩患者の監禁といたしまいては三十日というのが規定された原則であつて、二月まで主務大臣の認可を得まして監禁することはできるけれども、二月以上を監禁することはできないということになつておるのであります。しかるにかような長い期間癩患者を特別療室——名前は特別療室でありますが、實際におきましては後に申し上げるように、非常に恐るべき構造をもつておるところの重監獄であります。ここへ監禁しておきましたことはこれははなはだしい違法であり、かつ人權蹂躙ではないか、こういうことについて十分なお調べと御答辯を承りたいのであります。 それから第二に監禁者につきましては、必ず相當の理由があるということを要し、一定の手續を經てこれを一件書類の上に明らかにすべきものであると思います。しかるに右九十二件の書類の中の完備しておるものはただ一件だけであつて、書類の不備のものが二十七件、まつたく書類のないものが六十四件というような、實に亂暴きわまりないやり方をしておるようであります。これは一種の暗黒裁判ではないかと思う。ひとつこの點につきましても十分にお調べを願いたいと思う。殊にこういう例も報ぜられております。簡單に申しますが、北牧ツキノという者が監禁されました。これは山田道太郎の内縁の妻であつた。ところが山田が樂泉園において不穏の行動をしたということをもつてその妻も一諸に四十二日監禁しておいたという事實が報告されておる。さらに齊藤新助というのはこれは子供の教育が惡いということで親子共に入れてしまつたということも報告さるておる。そに他夫が惡いため妻、妻が惡いために夫というように、いわゆる連坐刑のようなものを行つておる事實がある。これについても十分なる御調査を煩わしたいと思います。さらにこの特別療室でありますけれども、これは先ほど申し上げましたように、實に恐るべき構造をもつておる。私はまだ現場を見ませんけれども、その構造というものは、まづ収容しておる部屋というのは非常に大きな錠前がかかつておる。厚さは五寸の扉である。四重に錠がおりておるという状態であります。それから室内は非常に濕氣がひどくて、九月でも黒かびが生えているというような状態であります。中は眞暗に近い暗やみでありまして、冬雪が降ると、ほとんど夜だか晝だかわからないというような實情である。窓は縱が四寸、横が二寸五分というようなほとんど明りも入らないというような實情であります。なお御承知の通りここは非常に寒い所でありまして冬は零下十六、七度というふうに低下するのでありますけれども、ほんとううの板の間であつて、しかもござも敷いてない状況で、薄い敷ふとん一枚と掛ふとん一枚であつて、濕氣はどんどんはいつていくから、冬は氷が張つてこちこちになるというような實に恐ろしい所であるということが報告せられております。従つてその患者の九十二人のうちで在監中に縊死ないし獄死した者が十四人、病氣、疾病で死亡した者が八人、計二十二人がこの九十二人のうち死んでいるという實情であります。しかもその大部分が冬期において死亡しているという事實があるのであります。こういう點につきましても十分御調査の上御報告を願いたいと思います。 それから第四に、これは職員の不正事實でありますけれども、古見園長及び霜崎事務官、これらのものがこういうような不正を働いたということが報告せられている。第一に患者に施すべきタバコを配給しないで、自分たちが横領してしまつたということであります。第二には約五十萬圓に達するところの別途會計というものをつくりまして、これを利用して園の自動車を乘りまわしてやみをしておつたということが言われている。第三には倉庫から百ヤール物の布地を三十反持出しまして、これを十五本のガソリンとかえて、これを處分して、數十萬圓の不正な利益を得たということも言われているのであります。なお最後に倉庫から患者用の食糧を持出して、これを處分したというようなことがあからさまに出されている。これも重大な問題でありますからして、十分に事實を御調査願いたいと思います。 以上のような事實が報告されております。これは報告されいてる事實のうちのごく一部でありますけれども、これはたまたま現われた數箇の現象でありまして、私の考えるところによりますれば、問題はさらに深いのであつて、これは國家の癩對策というものに根本的な缺陷があるのではないかと考えます。厚生省は右のごとき事實に對していかなる處置をとろうとするか。單に責任者の處分をするとか、あるいは今起つている患者の當面の要求を滿足させるとかいうようなことだけによつてこの問題を解決しようとするならば、それはまことに彌縫策でありまして、この癩問題の根本を解決するものではないと私は考える。御承知の通り癩は遺傳ではなくして傳染であるということは學界の定説であります。ゆえにこれを隔離によつて豫防し、療養によつて輕快ならしめ得ることもまた争えないことであります。歐州におきましても、癩は一時非常に流行いたしましたけれども、適切な施設によりまして急激にその數が減じております。たとえばノールウエーでは十七世紀から十九世紀まで非常に流行いたしまして三百人くらいあつた。それが現在では七十人に減つている事實がある。英獨のごときはほとんど二十人くらいという話であります。殊に昭和五年におきましてはドイツではわずかに五人になりまして、患者は醫學上貴重な標本となつて、大切に保護保存されているというような事實をわれわれは聞いておるのであります。日本におきましては、癩患者は公稱一萬五千ということを言われておりますけれども、實際は三萬ないし五萬あるということであります。この際從來の癩患者に對するやつかい者扱い、あるいは臭いものにはふたをしろというような隠す一點ばりであつた政策を捨てまして、根本的な對策を立てなければならないと思いますが、この點について厚生省はいかにお考えになつているか。すなわち豫防のために隔離をする。隔離のための隔離ではないのであつて、豫防のために隔離をすると同時に、治療に萬全を盡して患者に對して光と希望を與えるという方針を立てなければ、再びかような問題が起つてくるのではないかと私は考えるのであります。さらにこの癩療養所というものは全國にわたつてまだ十數箇所あるようでありますけれども、たまたま草津の樂泉園において問題が起りましたが、大體各療養所において同じようなことか行われておるのではないかと思います。職員の不正事件につきましても、他の療養所にもあるかと思われる。こういう問題につきましてはお調べの上に斷固たる處置をとつて肅清をされたいと思う。 次に癩患者の犯罪をどういうふうに扱うか。今は療養所内において犯罪が處置されておるということでありますが、このために特別療室というものも必要となり、または問題も起るだろうと思うのであります。これを普通の裁判所の管轄とするか、あるいは療養所に地方裁判所というものを特設してこの問題を解決するか。こういう點につきましても十分なる考慮が拂われなければならないと思いますけれども、厚生大臣はこれに對していかに考えておられるか。こ點も十分大きな問題として取上げてもらいたいと思うのであります。 最後に患者の獻立表を私は要求したのでありますが、ここへ患者の獻立表と稱する非常に詳細に書いたものが厚生省から私のところに參つております。これを見ますと、たいへんな御馳走が並べられておるのでありまして、われわれもなかなか食べられないようなもの——牛乳、卵、肉、魚というように、三度々々實に立派なものを食べさせておるようなことが書いてあります。しかし患者側から報告されておるところによりますと、梅干と握飯ばかりくれるのがせいぜいだというように言われておるのでありまして、非常に大きな差があるのであります。こういうことも十分に私の方でも調べたいと思いますが、もう一度調査を願いまして、そして間違いのないところを御報告願いたいと思うのであります。大體以上の質問ないし希望を申し上げておきます。
○一松國務大臣 ただいまの調査事項の御追加ごもつともと思います。それらのことも、ただいま派遣いたしております者に嚴重に調査するように命じます。皆さま方の派遣委員の方もそれらの點について十分の御調査あらんことを、特に私からもお願いいたしておきます。 それから今までいろいろ御非難のありましたようなことが、もし實際とするならば、厚生大臣としてはそういう措置に對してはどういう考えをもつておるかというよな御趣旨の御質問でありました。もちろん今御調査に相なるような事實が實在いたしておつたといたしますれば、それはまことに重大な國家の不祥事でありますから、私は斷固としてこれの責任を問うことはもちろん、將來再びさようなことの起らないように、もし法規の上で缺陷がありますれば、それらの改正法を國會に提出して皆様の御審議を仰いで、再びそういうことの起らないように努力する、かような決心をもつておることを、この際明らかにいたしておきます。 また犯罪者である癩患者に對して裁判の取扱いは、どういうことであるかという御意見でありますが、御承知の通り、癩患者の犯罪は多く癩療養所内において行われるものよりも、外部において行われた犯罪が多いのであります。そういう犯罪のあつたときに、これを普通裁判所に送つて、そして公判を開いて判決を下して、あたりまえの刑務所に入れて、苦役に服せしむることがいいか、あるいは檢事の方において起訴猶豫という處分によつてこれを癩療養所に入れて、改過遷善の實をあげさせ、一面には懲戒の實をあげるということがよろしいかは、その事件を取扱います檢事の考えに一任することが今日の便宜主義の刑事訴訟法では適當であると考えて、今では癩病患者が外部において犯罪を犯にましたようなときには、裁判所に送らずして、これを癩療養所に入れて、外部に傳染することを豫防すると同時に、それらの改過遷善の實をあげるように努めるというような方法によつておるのでございますが、私はこれはどちらがいいか。通常裁判所にまわして起訴して、普通の裁判によつて判決を言い渡して、そうして普通の刑務所に入れて他の囚人と相伍してその刑期に服せしむるのがいいのか、あるいは今のような便宜主義がいいのかということは、これは研究の餘地がありましようが、私の考えでは、今のような便宜主義の方が癩を豫防する上においてよろしいのである。ただ問題は療養所におけるそういうものに對しての處遇の方法が、ただいま御指摘に相なりましたような不都合なことがあるということを是正すればその方がよろしいように考えるのでありますから、この點につきましては、さらに有力な御意見があれば承つて適當に處理いたしたいと考えております。
○有田委員 樂泉園の問題に關連いたしまして厚生大臣に調査をお願いいたしたいと思います。それはこの九月十三日の大阪新聞に接待婦等の花柳病患者の入院いたしまする病院についてこういうような記事が出ております。「これでも病院か」という題で、「十一日晝過ぎ、私を留置場に保護してくださいと西成署に訴え出た女があり、事情を聽取すとる、この女は、府立大阪病院(舊難波病院)を脱走して來た本籍福岡縣宗像郡池の村住所不定深田フミ子(二六)=假名=で、その語るところによれば同病院はモヒ患のやみの女によつて軍隊生活以上の專制主義生活が行われ、手きびしいリンチなぞおよそ民主國の名にそぐわぬ恐しい事實が平然と行われていることが明らかになつた。新入りやみの女患者、氣に食わぬと私刑、脱走患者が語專制横行の舊難波病院、深田は去る日阿倍野署のやみの女狩りで大阪病院に収容されたところ、まず最初病室の部屋長と稱するやみの女が、いやがる彼女を入室の禮儀だと眞裸にしたのを初め、室内の清掃にもこれら一部の古顔連中が帶や革バンドをむち代りにして酷使し、少しでも室長の命令に逆らつたり、重病の苦痛で清掃を怠つた者には、食事や配給物一切を取上げて私有するという有様で、特に病院の演藝會など各部屋に出演者が割當てられたときなどは、古顔連中が新入りに出演を強要、もし應じない場合は眞裸にして打つ、毆る等のリンチを加え、しかもこの古顏連中がしばしば脱走をきめこむために、一日中新入りを見張りに立たせ、脱走が失敗に終つたときなどは、病院と古顏の兩方から手きびしい制裁と注意を食うという不合理ぶりで、あまりの非民主主義に新入り連が病院關係者に抗議を申込むと、かえつて、これら室長の專制的行為を認め、これがため新入りのやみの女は病のからだをもちながら脱走の跡を絶 ない。この事實を裏書するごとく最近同院では脱走者の多い各部屋を金網と鐡條網で覆う一方、新たに一室に對して一人ないし二人の監視者をつけているが、この奇怪な事件と、同病院に對する一般の風評もあまりよくない。以上のことが大阪新聞に掲載されておつたのであります。私はその翌日の十四日に大阪病院を視察に參つたのであります。しかるところ樂泉園と同じようにこの新憲法下にあつてやはりさながら生地獄の感があるのでありまして、病院というのは名ばかりで、鐡格子がはいつておる牢屋であります。しかも五月三日の新憲法後において舊憲法下とほとんど變つてない状態を私は見受けたのであります。そうして住吉警察署から多數の警察官が晝夜詰めきつておるのであります。しかも室長問題につきまして、私が調査いたしたのでありますが、一つの部屋に現在七、八十名の女がありまして、それに室長というものがあつて、どう考えてもこの新聞によるリンチ事件が起りそうな可能性が十分に認められたのであります。さらにこの問題についてい院長に室長制度についていろいろ意見を述べておいたのでありますが、その室長制度は、ちようど江戸時代の牢名主があるいは今日留置場における監房長と同じような制度でありまして、こういつた事實が病院内に行われているということを考えまするときに、おそらく全國でこういつた病院において、かかる事實が——舊憲法下のあるいは江戸時代の牢名主、あるいは監房長というものと同じような状態が、依然新憲法下において繼續されておる。かように私は想像するものでありまして、この點厚生大臣に十分御調査を願いたいと思います。さらに食糧の問題でありまするが、これらの密淫賣の方々は警察から連れてこられまして、そうしてこの鐡格子の中に入れられて療養させられるのでありますが、町籍をもたない方がほとんどでありまして、現在入院患者が三百名ほどおりまするが、もつているのはその一割にも充たない状態であります。特に密淫方面では私が調べました七十名の部屋で二名より町籍をもつていないというような状態であります。しかもこれらに對して何ら國家としての食糧の配給をやつていない。留置場あるいは刑務所においては食糧の配給が行われておりまするが、こういつた方面に對しては何ら食糧の配給が行われておらない。しかも私が調査しました入院以來三箇月いいう患者は、まつたく見るも哀れな状態であります。しかも醫長の話を聽きますると、養療をもつと續けたいのであるけれども、食糧がほとんどないから、置いておいたら死ぬかもわからない。從つてまだ病氣をもつておるということを認めながらもこれを退院さしておるというようなことを醫長から私は承つたのでありまして、まつたく人道上許すべからざる事實であると私は考えるのであります。この點につきましてはぜひとも厚生大臣の手を煩わして、農林省方面からかかる病院の實態に即して食糧の配給をやつていただきたいと思います。今日大阪におきましては大阪府の食糧部の方におきまして特別の配給をなしておるのでありまするけれども、その配給によつてようやく千カロリー程度のものを出しておるという報告でありまするが、私の見た目ではとうてい千カロリーは行つていない、かように私は考えておるのであります。 さらにお願いいたしたいことは、九月一日から九月七日までに、大阪病院の接待婦の希望者を檢査いたしましたところが、受檢者數百八十五名、そのうち淋病患者が四十名、軟性下疳が四名、著顯な黴毒が三名、潜在の黴毒が七十三名、その他一名、百八十五名のうち百二十一名すなわち六五%四という罹病數であります。しかも私が病院で調査いたしましたところによりますと、密淫賣患者はほとんど百パーセント性病患者であるというような報告を受けましたが、まつたく恐るべき事實であります。しかもこれらに對しても藥品が十分でないとかその他の希望を聽いてまいつたのでありまするが、この點につきましても厚生省としていかなる方針において今日豫防計畫を立てておるか。 さらにもう一度もとへもどりまして厚生大臣にお願いいたしたいことは、それらの病院がすぐ進駐軍の名前を使つて、進駐軍のM・Pが連れてきて、監禁命令を受けているからということで、名前を進駐軍に借りて人權蹂躙をやつている。と言うのは私の調査しました七十名の部屋では、進駐軍のM・Pから依頼されておる者はたつた二名にすぎない。あとの六十何名というものは警察からひつぱられてきた人たちであります。そういう者がどういう法的根據をもつて鐡格子の中に監禁されるのであるか。その點についても十分な御調査を賜わりたいのであります。 さらに重ねてお願いいたしたいのは、今日國際日本としてこれからの日本は開けていくのでありまするし、特に厚生大臣は觀光の日本にすべく御努力になつておられるのでありまするが、日本の最も特徴とするところのものは、外國では富士山と、藝者ガールというものが日本で最も代表的なものとされておつたのであります。おろらく外國人が日本に來たときには富士山と藝者ガールというものをまず聞くでをらうと思うのであります。その藝者の中にも密淫をする者もありまするが、しかし藝をもつて立とうとなさるところの者もあるのであります。この藝をもつて立とうとする者、すなわち外國人が日本へ來て見たがるところの藝をもつて立つ藝者ガールが、接待婦あるいは密淫賣者と同じような状態において檢査されておる。そうして執海で私は聽いたのでありますが、この藝者が花柳病として診斷を下されたとき、他の病院で三箇所も四箇所も調べてもらつて、そういう事實がないからもう一度再檢査をしてくれという要求をしましたところが、一度決定したらどうしても凾南病院に行つてもらわなければならぬというので、これを一蹴した例がたくさんあるそうであります。藝をもつて立とうとする藝者を密淫賣あるいは接待婦と同様な方法において檢査をすることについての可否について十分厚生省において御調査の結果、御報告を賜わりたいと思うのであります。
○小野委員長 ただいま厚生大臣は水害状況報告のた參議院に出向かれました。また歸つて參るそうであります。大臣の方から本委員會でも水害状況について報告のため發言を求められておつたのでありますが、樂泉園の問題で意外に時間を食つたために延び延びになつたわけで、從つて大臣がここへお見えになつたら樂泉園の問題の御質問は、ごく簡單に願いまして、水害状況の報告を求めたいと考えております。 なおこの際ちようど大臣も見えませんから、この時間を利用してお諮りいたしたいと思います。住宅問題は本委員會の所管事項になつておるのであります。この住宅問題はなかなか重大な問題でもありますので、住宅問題に關する小委員會をこの際組織したらどうかというふうに考える次第でございます。つきましては住宅問題に關する國政調査の件に關し規則の定めるところにより、議長の承認を求めるその件と、それから小委員會をつくるということをお諮りいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
○小野委員長 なお委員の數、委員の指名等は前に例もございますので、私から指名いたして御異議ございませんか。
○小野委員長 それでは異議ないものと認めまして、指名いたします。 田中 松月君 武藤運十郎君 中原 健次君 園田 直君 飯村 泉君 武田 キヨ君 大瀧亀代司君 村上 清治君 小暮藤三郎君 野本 品吉君 齋藤 晃君 以上御指名申し上げます。
○徳田委員 樂泉園のことはまた大臣が歸つてきてからということになりますと、きわめて簡單にはしよられるので不利でありますから、政務次官でよろしうございます。だから言うことだけは言つて、それで調査すベきことは調査してもらわなければならぬのでありますから、政務次官から御答辯を願いたいと思うのであります。先ほど武藤委員から御質問がありました諸點にさらに附加えて、これだけの重大なことでありますからぜひとも調査せられんことを希望する次第であります。先ほど死亡者の件について武藤君から質問がありましたが、そのうちに最も重大なることは、獄内で首をくくり、また凍死した者の數が莫大であります。これは全體の死亡者數の六四%でありまして、これは重大な問題だと思うのであります。單に死亡したというだけではなしに、その原因が那邊にあるかということを十分これは調査しなければならぬと思うのであります。すなわち首をくくるということは、これはやはり獄内の生活がきわめて不合理にできておることと、またこれに關連したことがきわめて不合理にできていたために悲觀して首をくくつたと見ざるを得ないのであります。この一端につきましてはすでに武藤君からお話がありましたから、これ以上申さないのでありますが、ぜひともこれは必要であります。さらに凍死の一件でありますが、この特別室というものはほとんど防寒用の夜具もなく、まつたくこれは地獄的である。その上に冬期になりますと、零下十六、七度になるというのに疊さえも敷いていない、ござさえも場合によつては敷かれてない所があるというのであります。從つて全身が凍傷に侵されて死んでおる事實が報告されておるのであります。これはきわめて重大なことでありますから、死因、殊に首をくくるということと、凍死をしておるということに對して、特別に念入りに調査せられんことを希望する次第であります。さらに村山全生園というのがあるのでありまして、これはやはり癩患者の療養所でありますが、ここでは生活保護法による保護を昨年の十月から施行しておるようであります。しかるにこの樂泉園においては何らこれを施行しておらぬ。これは一體どういうわけであるか。一方において施行しておるにかかわらず、こつちでは施行しておらぬ。殊に一般的にはどうしても施行すベきであるにかかわらず、こういうことを施行しておらぬのでありますから、この理由を私どもは十分に調査をしてもらいたい。殊にこのことに關しましては患者諸君から一月二百圓支給しろという要求書が出ておるのであります。この要求書に對して政府は一體どういう考えをもたれるか、このことを聽きたいのであります。實はこの要求書の出るゆえんのものも、何も向うにいて實際上生活ができ、金を必要としないならばこういう要求はしないだろうと思う。ところが實際は非常に金が要るというように報告されておるのであります。なぜならば食糧が一日にわずかに五圓十四錢であつて、それではとうてい食えない。先ほどの武藤君のお話によりますと、大分厚生省では肉も魚も玉子も食わしておるように言われておるのでありますが、そういうものが一切ないからとても生活ができない。野菜も何もほとんどないような状態であります。從つてやはり自分で何か食わなければやつていけない。やつていけないから自然金が要るのであります。金が要るためにどうしてもああいう状態では得るところがない、だから生活保護法から要求するのは無理からぬことだと思うのであります。これが一つ。 もう一つはこういう状態にあるために、どうしてもみずから勞働をして、この勞働賃金によつて、何とか實際に死を免れるようなものを補つていかなければならぬ。ところがこの勞銀がきわめて不合理にできておる。一日にいくら拂つておるのかというと、わずかに一圓八十錢だというのであります。一日勞働して今ごろ一圓八十錢、そんなばかな話はない。これでこの患者諸君はこれに對して一日に三圓六十錢、すなわち倍額をくれろと言うのであります。三圓六十錢、これは問題にならぬくらい安いのであります。それだけの金さえもくれないというようなそんなばかげた話はないと思う。それで一圓八十錢くらいでこういうみじめな生活をさせておるということはきわめて不合理である。これは一體どういうわけで、こういうばかげたことをさせておるのか。まつたくこの一圓八十錢では數十年前の話であります。戰爭ずつと前の話であります。とうてい問題にならぬのだが、こういう問題に對してはやはり同一勞働に對しては同一賃金を拂うベきである。いかにこれが癩患者とはいえ、彼らは癩病療養所に入れられておつても人間としてもつておる權利は同様である。ただ癩病を療養するために必要な制限は受けておるけれども、勞働に對する報酬までかかるみじめな状態に制限されるという法はないのである。でありますからこの點は十分調ベてもらいたい。三圓六十錢くらいの話じやない、やはり勞働の質と量に應じてこれに適切なるものを與えるベきである。いかに癩患者だからといつてこういう不當の取扱いをなすベきではない。こういうことを調査せられんことを希望するのであります。また何ゆえにこういう亂暴なことをしておるかを尋ねたいのである。 さらに勞働に關してでありますが、實際上彼ら患者が作業して得ておるはずの賃金より患者に支拂つておる賃金がきわめて少い。これは一體どういうわけか。松葉鑛山というのがあるのでありますが、これに採鑛作業に出ておるのである。勞働賃金はこういう鑛山に出ますと一日一人三圓八十錢とつておる。しかるに鑛山からこれだけ受取つておるのに、患者にはわずかに一圓しか拂つておらぬ。そうすると二圓八十錢は一體どこに行つておるか。こういうばかな話はないはずである。これをひとつどういうわけか囘答を願いたいのである。同時にこれを調査していただきたい。 それから現在患者が實際田畑をやつておるようであります。この田畑をやるのは實際は患者が非常に食えないからである。食糧を十分やつておらぬからである。食糧を十分やつていればそういう畑や田をやる必要はないのである。報告によりますと、手がないから腕だけにくわをはさんでやつておるような状態である。それから足がないから畑までは足のない者は負ぶつて行つてもらつて、そうしてそこで兩手でやつておるというようなみじめな状態である。これは結局するところ半強制的になるわけであつて、すなわち食い物をもつてこれをいじめて、さらに實際上苦しいから働かざるを得ないように追いこむのでありまして、これはまつたく不當である。かくのごときことをすベき何らの法規上の根據はないのである。また人道上から考えてもそんなばかな話はない。こういう半強制的勞働というものは即時廢止すベきものだと思うのである。これは厚生省においてはどう思われるか。こういう殘酷なことをするから逃亡がある。または出ていつて後歸園すベき者も歸園しないような状態が非常にある。要するにここから逃亡し、あるいは首をくくつて死ぬるという事實があるのである。そういう逃亡するような者が相當たくさん出ておりますが、これを一體どうするか。せつかく療養所に入れて、そうしてこれの傳染を防いでおるのに、こういうばかげたことをして、これが逃亡すれば、何のために療養所を設けたかわけがわからぬ。この點もひとつ御囘答願いたいのである。 さらに新聞の配達料として樂泉園からは正常には二百三十七圓一箇月に出ておるそうでありますが、實際上はそれだけは支拂つておらぬ。子供に支拂つておるのは一箇月僅かに十二圓しか支拂つておらぬ。從つて子供はきわめてみじめな状態であるので月額十圓づつ患者が負擔しておるという事實が報告されておるのである。こういうふうに園から出て、そうして渡すベきものが皆渡つていない。そんな不正なことが公々然と行われておる。そういうことは一體どこに原因するものか、はたしてこういう不正があるとすれば、これは徹底的に處斷さるべきであると思うのであります。 さらに最後にお尋ねもし、かつ調査も願わなければなるぬのは、やみもうけのことであります。武藤君の話では五十萬圓くらいだという話だつたかと思いますが、事實においてはおそらくこれが千萬圓以上に上るだろうと言われておる。ここにわかつていてがつちり握つているものだけでも六百萬圓はあると言われておる。これは實に厖大な話である。これはみな患者に與えるべきものを不當に横流しして、そうして職員が腹を肥やしておる。その結果患者がこういうみじめな状態になつておるわけであります。そうするとこれはもう一大事でありまして、こういうふうな状態であるならば、療養所というものが職員の食いものになつている。職員が盗人するための根據地になつておる。そういうのではこれはたいへんである。政府の機關がどろぼうの根據地だなどということはまつたくどうも恐ろしい話である。これはやはり徹底的に調査しなければいかぬ。この調査こそこの追返された根本的原因ではないか。すなわち共産黨がここに入つたということが問題ではなくして、共産黨はそういうところにはきわめて鋭い感覺をもつておる。從つてこの問題がきめて中心的な問題になつたのではないか。こういうものが中心的な問題になれば、そこで職員のみならず、これを監督している厚生省まで大きな責任を負わなければならぬ。だからもうめんどうだからこれをやはりすり消そうとすることになつたのではないか。それが不信頼のものになつているのではないか。だから私は厚生大臣にみな報告しなさいと言つておる。共産黨は云々と言うから、共産黨が何か脅喝でもしているかのごとくほのめかす危險がある。ほのめかしたというのではないけれども、ほのめかす危險がある。何か共産黨の亂暴者が脅喝でもするかのごとく一般にふれまわつておるために共産黨が入つたために歸つたということになりますと、ややともすると世人はこういうふうにくつつけたがる。だから私は全部報告しろと言つておるのである。全部報告してしまえば明らかになる。これは共産黨が惡いのではない。共産黨が惡いのではなくて、やはり世間の暗黒な、殊に官僚統制の暗黒なことに關しては共産黨はきわめて鋭い感覺をもつておるから、その鋭い感覺からここに觸れておるのである。ここがまた一番要所であるのに、これを徹底的に摘發し、これに徹底的な鐵槌を與えない限り、すべてこういう不正な事實が現われるのである。またこういう地獄が發生するのである。こういうことに觸れれば結局職員が最も苦しむところであるから、不正分子だ、やあ何だとかかんだとかいう名義をつけて特別病室にぶちこみ、しかもこれが一箇年半という長いものをぶちこんで、平均しても四、五箇月という長いものをぶちこんで、そうしてこれを威嚇しておる。これを隱蔽しようとしておるのである。ここが根源である。これがこの問題の根源だと私は思う。そうして今實際やみとインフレとの状態がきわめて糜爛した状態で横行しておるのである。この問題が起るのである。これは世間一般の常識からいつても、政治經濟上の諸問題からしても最も中心的な問題であつて、これを衝かない限り問題は解決しないのである。その點を私は深く追究すべきであると思うのである。でありますから、この點につきましては忌憚なくひとつ調査してもらいたい。またこの點につきまして調査された中間報告においてもどういうふうな状態であるかということを御囘答を願いたいのであります。
○金光政府委員 ただいま患者の縊死、凍死がすこぶる多いという御指摘でございます。御説のようなことがありましては遺憾至極でありますから、嚴重に調査をいたします。 次に、生活保議法による保護がないということについては調べました上で適當の處置をとることにいたします。 食糧、勞賃、半強制的勞働というような點につきましても調査の上適切の處置をとるようにいたします。 また園において不正事件があるという御指摘につきましては、事實といたしますればよく言葉通り一大事でありますので、事實の通りをきびしく調査の上、御報告をいたします。
○松谷委員 たまたま樂泉園に端を發しましたこの問題は、決しこの樂泉園一個の問題ではないと考えます。本來ならば保護しなければならない立場にある弱い國民に對して、先ほどから各委員によつて説明をされておるように、社會事業施設を大きかれあるいは小さかれ食い物にしておる事實が明るみに出まして、これに力を得ましていろいろと訴えられてきております。こういう問題をただ一つ一つ取上げて解決をしていく、これも私は最も重大な解決の方法であると考えます。言いたくして言う團結の力をもたず、その行為をなすことのできない立場にあり、各事業施設の中に泣いておる國民の實情を考えまして、できるならばこの委員會に社會事業施設のそうした不正を一掃し、本來の社會事業施設の目的に向つて正しく運營されていく方向へと進めていく一つの小委員會を施設していただきたい。調査、及びそうした問題が起つた場合に、これを專門的に解決していく方法をこの委員會においてとつていただきたいということを委員長にお諮りいただきたいと思います。なお今いろいろと私の手もとにも來ております。そうした事實を、できる限り調査いたす一つの參考ともなりますために先ほど大臣が言われておりました質疑應答の内容を大臣の來られる時間を利用して伺わせていただければ非常に幸であると思います。
○小野委員長 杉谷委員から申出られました社會事業に關する小委員會に關する小委員會問題でございますが、これはただいまあります五つの小委員會では確かに足らないと思います。御説もつとも思いますので、これはいずれ後刻皆様と御相談の上きめたいと思います。さよう御了承を願いたいと思います。 なおきようの日程にもございますので、この際兒童福祉法案を議題といたしまして、政府より推案理由の説明を聽きたいと思いますが……。
○河野委員 それは日程には上つているだろうから、むろん片づけていかなければいかぬと思うが、徳田君や松谷君から先ほどから調査したものを讀めと言われているのに、委員長はどうにか避けようようとしている傾向が見えるのであります。日程に上つておつても、問題が起きれば次に延ばしてもかまわぬ。問題がみなの間に議論の中心となつているのだから、せつかく調べられたその質疑應答の内容をぜひこの際明らかにしておいていただきたい。そうでないと何か委員長が厚生省と一緒になつてこれを隱すように見えてしようがないから、この際徳田君の發言だからというてむりに押えるようなことのないように。そうして私もぜひ聽きたい。おそらくほかの人も聽きたかろうと思いますから、説明を聽く前にぜひとも聽きたいと思います。
○小野委員長 御承知の通り、私は何も共産黨だからというて發言を封じた覺えもございませんし、ただ發言を求められているその順序をここから考えているだけのことでございます。ただその調査報告の問題は、實は私も内容も何も知らぬのですが、そういう中間的な問答をここで讀み上げてみても大して意味がないのではないか、こう考えて求めもしなかつたのですが、しかし皆さんの方からその内容を讀むことを求められるとすれば、これは厚生大臣も先ほど來申しましようということですから、求めたいと思います。
○徳田委員 その前にちよつと言いたいことがある。實はこれは患者諸君からの要求でありますが、經營協議會を設けてもらいたい。それを設けると、すべての會計も明かになり、すべての仕事も明かになるから、職員に對する疑惑も晴れる、また自分らも安心して仕事ができるということを要求しているのである。これは厚生省に要求書が來ているはずである。でありますから、この問答も經營協議會に非常に關係がある。また今後一切のものはやはり公開して、みなにこの事實がよくわかるようにすることが大事だと思いますから、そういう意味におきましても、ぜひとも公開してもらいたい。それから政務次官は、經營協議會に對してどういうふうに考えられますか、伺いたいのであります。
○金光政府委員 ただいま經營協議會というお説があつたのでございますが、どういう性格のものか實は私まだ承知しておりません。よく研究の上にあらためて御返事をいたしたいと思います。それから先ほどからしばしば問題になつております質疑應答の内容でございますが、はなはだ不都合なことでございますが、私ただいまここで見たのが初めてでございまして、つつかえながら讀むのもいかがかと思いますし、中を見ますとさほどのこともないようでありますから、重ねて押し返してはなはだ恐縮ではございますが、お許しを得ますればこれは省かせていただきたいと思います。いかがでありましようか。
○小野委員長 皆さんにお諮りいたしますが、讀んでいただいた方がいいですか。
○小野委員長 ではどうぞ。
○金光政府委員 それではお聽きにくいと思いますが、讀んでみます。 「患者と會談の状況(八月三十日)第一囘午前十時——午後一時。列席者、本省、療養課長、整備課長、野村技官、玉村技官、高橋事務官。患者側、藤田武一委員長以下代表者數名、外に傍聽者約八百名。この外眞穗七、山本眞吾、朴昌煕。職員の一部。 議事進行につき患者より園長、庶務課長等關係者と合同討議要求ありたるも、一應患者提出書類(陳情書)により檢討し、患者側申立と當局側申立と食い違いの場合は、關係者を呼び對決結論を得ることに意見一致し、議事を進めたるも、後に至り關係者の列席を必要とするに至り、園長、庶務課長、分館長、山口炊事主任を呼び出し列席せしむ。まず患者側要望に對する當局の囘答を患者側より一通り説明あり、右に對し逐一左の討論あり、患者側の發言は藤田委員長以下代表數名。患者申立。生活扶助金について。自活能力なく、またインフレ、生活難、政府よりの補助もないのでぜひ支給を受けたい。官給食では榮養がとれない。ある程度自辨を要す。最低限度榮養補給費百圓。生活費補助五十圓。雜費(新聞雜誌等)五十圓。計二百圓。園當局からその筋に申請の内容については明らかにしてもらつてない。以前に他園ですでに實施しておるので、當園でも實施してもらいたい旨庶務課長に言つたことがあるが、患者全般より希望のないものはやれないと言われた。當局はまつたく誠意がない。」これに對し加藤課長より、「實施については何ら異議なく實現に努力しており、所長會議のとき各療養所において、縣に交渉するよう指示しておいた。縣から實情調査に來るはずである。他所においてはいずれも四十五圓程度の實情にあるが、諸君に對してはなるべく多く支給されるよう園當局に話しておく。」次に患者側の申立であります。「縣だけで二百圓の支出に困難、厚生省として出先だけでやらせて實現できるか。」これに對し加藤課長。「社會局に連絡する。四十五圓支給は他の例である。」次に患者の申立でありますが、「價値のない少額は意味をなさない。最低限二百圓必要だ。(生活道具等一切自辨で家計きわめて困難の旨説明。)」これに對し加藤課長。「豫算計上に難點あり、國の財政現況より十分支給されない現況である。」次に眞穗共産黨委員長から、「癩患者に對する支給全額には限度がなく、彈力性あるものと認む。當園は寒冷地で特殊地帶であり、他の暖かい地方と區別し、特別考慮するよう厚生省で盡力されたい。(木炭月一俵では不足)。」これに對し加藤課長「食費については議會に増額要求中である。薪炭費の高騰に伴う豫算増額も考慮して居る。」次に眞穗委員長、「本省より社會局及び縣當局に交渉されたい。」加藤課長、「社會局には本省より、縣には園當局より極力交渉する。患者なるため國費より相當出費されて居り……。(一部略)食費については二倍か三倍半になるものと思うので、幾分明るくなるものと思う。」さらに川島課長、「國費から八割も出ることになつているので、厚生省として縣に直接交渉しても困難だ。社會局に交渉する。また縣に厚生省から頼むのは本筋でない。」これに對してどなたであるかわかりませんが。「とにかく實現に極力努力することをこの席上で約束してもらいたい」と述べ、加藤課長、「達成實現に極力努力することを約す。(ここで患者より當局關係者の呼出を要求。園長、課長、分監長、山口その他列席)」次に患者側の申立だと思ひますが、物資の持出について、「園内衣料(木綿)三十巻を持出し、横須賀方面でガソリンと交換している。これは庶務課長も山口も認めており、山口がその必要を課長に言い、課長はこれを承認したと聞いておる……。 はなはだ申譯がありませんが、ほかの政府委員の方に讀んでいただいてよろしゆうございますか。
○小野委員長 説明員の代讀を許します。
○久下説明員 お許しを得まして朗讀をいたします。 同じく患者側の申立、すなわち運轉手の黒岩という人から「調査團はこの確證を握つたか。また青物問屋が炊事場に炊事に來て、ズボンになるような厚い布地を俵で十一俵積み出した事實もあり、あとである職員が、あれはガソリンと交換したと言つたのを聞いた。これが運搬には患者二人がやつておる。(患者笠原これを證言し、他の松下も事實を證言す。笠原どこからか厚い布片をもち出し來り、これと同じだと提示す。)」これに對しまして園側の山口が列席をいたしまして、「厚い布地については全然知らない、第一そのような布地は持つておらない。(暗に前段のものとごつちやに患者が考えているもののように言う)同じく庶務課長が、「(後段十一俵についてのもののごとく)患者の繃帶代用として薄木綿を截斷に出したことがある。」また加藤課長が、「以前癩豫防協會斡旋により、本省から園に對し購入方通知したガーゼ代用薄物を配給したことがあるが、これではないか。ここに患者側申立の原布地の存在について當局の辯明と一致せず紛糾し、當局は後段については明答を避け、原布地の存在を否定するのみで、前段の事實のみに片づけんとする態度)」さらに重ねて患者側から、「前述の二口の事實は實際あつたのだ、問題は二口あるのだ。」こういう發言に對しまして山口は、「(依然として否定し、後に運搬の二人の患者の精神異常で申立の信頼性ないことを口すべらし、患者側總立ち、激昂はなはだし)」これにつきまして共産黨の眞穗委員長が、「帳薄を持つてきてここで徹底的に調べよう。金の出入にめんどうだから別途會計で整理したくらいで帳薄は信用にならない。二口の事實は實際運搬した本人もおり間違いない。(共産黨盛んに帳薄の提出を要求、患者中にも多數これに呼應し、遂に藤田委員長提出を要求す。)」これに對しまして加藤課長は、帳薄の提出を當局に命じて調査を後刻にまわすことにいたしたようであります。 次に新聞配達料の問題に移ります。 「新聞配達料として新聞社から園に百八十三圓來ており、そのうち分館に三十圓渡つておるが、配達の小供に一人三圓ずつ計十二圓しか渡つていない。患者は三十圓來ているのを知らないので、小供がかわいそうだといふので、(普通おとなは五圓である)購讀者が十錢ずつ負擔してきたが、事實は右の通りで、患者は負擔する必要がなかつたのだ。それで差額十八圓は本年三月末では三千圓くらいになつている。右の件は長谷川醫師から聞いて初めて知つた。こういう發言に對しまして分館長から「小供のことであり、とりあえず三圓だけやつておき、冬になつたら御苦勞だから何か温かいものでも食べさせてやりたいと思つて、その時の用意にとつておいたので、會計から要求により殘額三百圓は慰安會に入れた。」と書いてございます。さらに山中會計主任から、「殘額は慰安會に確かに繰入れてある。しかしこれは、分館長から入れてくれと言うので入れただけだ。」という答辯でありました。さらに眞穗委員長から「本件についての厚生省の考え方いかん。」ということに對しまして、加藤課長から、「そのようにして患者から徴收しておつたのは穏當でない。」こういう答辯でありました。 さらに作業賃につきまして、患者側から、「松葉鑛山の敷地地ならし作業を患者にさせ、鑛山より二百圓を當局が受取り百圓しか支拂わなかつた。また同鑛山の採鑛作業に出た患者の勞賃一人一日三圓八十錢を受取り、患者には一圓しか支拂わなかつた。天引の殘金の行方が疑問だ。」これに對しまして分館長から、「殘金は八千圓あり、これは慰安會に繰入れた。」加藤課長から、「患者に斷りなしに天引したことははなはだよくない。」次に、「高松宮御來園のときの御下賜金その他寄附金等は、一切慰安會に繰入れられてあるが、しかも慰安會會計帳簿は何ら公表されていないのは不當だ。」という患者側の發言に對しまては、應答がなかつたようであります。「ここで本日午後草津町における本紛爭に關する演説會に患者代表四名參加のため一應議事を終了し、夜八時より引續き開催を約して解散したが、解散前に加藤療養課長より演説會のごとき公衆の集まる中に患者が參加することは好ましくなく、適當でない旨の厚生省としての注意を與えたが、患者側遂にこれに從わず、大會に代表四名參加す。(解散に際し共産黨立ち本省側の態度を例の獨斷的言辭をもつて非難し、患者に對し大いに宣傳戰を行う。)」ということが書いてございます。「第二囘午後八時——九時、引續き懇談を續行、出席者午前と同様なるも共産黨眞穗七は缺席す。」ここで患者側から生活保護法の適用につきまして、「(生活保護法適用につき當局がいかに執意がないかということにつき證據として朗讀す」要旨は「生活保護法適用につき庶務課長に進言したが、患者から申出のないうちはやらなくてもよいと言われた」これに對しましても、加藤課長から、「それは事實のように思える。事實はよくわかつた。」という答辯をしております。 それから次は半強制勞働について患者側の申立てでございます。「働かなければ種々の配給物がもらえず、生活に困難するので出ざるを得なかつた。また作業に出られるのは強健者のみで、從つて強健者のみ利益を得る不公平があつたので、交渉の上、出場者については相和會に一任してもらつたが、本年一月ごろまた前にもどつてしまつた。温泉木管敷設として豫算一萬五千圓あるので作業賃の支拂を要求したら、患者自身のためになる作業に金をくれとは何事だと言われた。少しでも賃金をもらえれば作業に出てもらいたいのだ。これらは明らかに半強制的に勞働を強いられたものである。ここにおいて患者側は午前中の物資持出に關する帳簿提出問題を取上げ、慰安會會計帳簿の提出閲覽を強要す。」こう書いてございます。前段の半強制勞働については、當局側は別段答辯がなかつたようであります。今の帳簿の閲覽につきまして川島課長から、「(帳簿の詮議はいたづらに時間を空費し、調査項目山積の折柄影響大なるため次囘に讓りたい旨提議したるも、患者側承知せず、遂に當方の誠意を疑うに至る)」さらに患者側から「調査團は事件の調査に來られたるや、もしくは調停に來られたるや。ただいままでの態度に見るに、何か園當局をかばうかのごとき様子に見受けられるのは不屆だ。」これに對しまして加藤課長から「もちろんわれわれは事實の調査に來たもので、調査事實により歸つて上司と協議の上善後處置をとりたい。調停できればしたいと思うが、ただわれわれは豫定日數が少いにかかわらず、非常に多くのことを調査せねばならず、一事に長時間かかるのはまことに困る。この點了解してもらいたい。」この答辯をしております。このとき共産黨山本新吾立ち、問題の討議をやめて、總員退場を患者側に言い、患者多數これに應じ、喧嘩はなはだしく遂に委員長は大勢に押され總員退場を當方にもちかけ、兩課長その他職員組合極力鎭撫討議の續行方を諭したが遂に應ぜず、解散を宜して、總員退場流會となる。」これだけでございます。
○小野委員長 それでは厚生大臣が見まましたから、この際兒童福祉法案を議題に供しまして、提案理由の説明を求めます。一松厚生大臣。
○一松國務大臣 ただいま議題となりました。兒童福祉法案について提案の理由を説明いたします。 わが國現下の情勢を見まするに、戰時中より戰後にかけての社會的混亂は、罪なき兒童を重壓し、戰災孤兒、引揚孤兒、浮浪兒等が多數發生増加し、また一般青少年が惡い環境の中で著しく不良化しつつありますことはまことに憂慮すべき問題と申さなければなりません。また乳幼兒及び妊産婦の保健状態は、敗戰後の物資難等に影響され、きわめて不良にして、乳幼兒の死亡率のごときは他國に比し著しく高率で、わが國の一大恥辱であるばかりでなく、國民保健の將來を脅かすゆゆしき問題と存じます。從いましてかかる不幸な兒童の保護を徹底するとともに、その未然防止をはかることは、焦眉の急務と申さなければなりません。 政府といたしましては、この實情に對處して、できる限りの方策を講じてまいつたのでありますが、現在兒童保護に關する法律は、わずかに少年教護法及び兒童虐待防止法があるのみで、現行法律によつては保護に漏れる兒童も少くないので、この際兒童全般の福祉を増進しようとする總合的法律が必要であり、また日本が將來民主的な文化國家として力強い歩みをするためには、兒童福祉の問題を大きく取上げる必要を痛感いたしましたので、今囘この法案を提案するに至つた次第であります。 この法委の内容を大體申し上げますと、まず第一に、法案の冒頭に兒童を心身ともに健やかに育成するために、國民擧つて協力しなければならぬという道義的な規定を設けまして、さらに國及び地方公共團體は、兒童の保護者とともに兒童育成の責任を負うという兒童福祉の原理を宣明いたしたのでございます。 第二は、兒童保護の機關を整備せんとする點でありまして、兒童福祉委員會を設けて兒童問題全般の強力な推進力とし、また有給あるいは名譽職の多數の兒童委員の活動によりまして、個個の兒童問題を具體的に解決し、また兒童相談所を設けて兒童につき科學的な措置や相談指導を行わんとするものであります。 第三は、妊産婦及び乳幼兒に關し保健指導、妊娠の届出、母子手帳の制度を整備強化したのでございます。 第四は、現在の兒童福祉施設に關し、各種特殊兒童の収容施設はもちろん、一般兒童に對する保育所、兒童厚生施設等の内容の充實をはかるとともに、その最低基準を定めまして、設備及び運營の向上を期しようとするものでございます。 何とぞ御審議の上速やかに可決せられんことをお願いいたします。
○小野委員長 徳田君に申し上げますが、時間も時間でございますから、ごく簡單にお願いいたします。
○徳田委員 簡單に、報告書を讀んだ結果によりますと、何も共産黨が介在したから不信頼になつたのではなくして、明らかにこれは不正事件を衝かれたために、これを明らかにし得るような態度をとらなかつたために、患者が不服を申し立てて、そうしてその結果が流會になつたのであります。それをいかにも共産黨が關係したから流會になつたかのごとく大臣が發言せられておることに對しては、私はきわめて不快に思うものであります。ややともすると、共産黨が介在すれば何でも混亂するかのごとく言うのであるけれども、事實この事件に關しましても、共産黨が介在したから特別何もどうしたというのではない。結局惡いことがあつたから、これが原因になつてそういうようになつたのである。惡いことがあればむろん共産黨は最もこれを追究するにやぶさかでないのである。また追究すべきである。惡いことをしたのに對して、これをかばつて妥協するようなことがあればこそ、そのために國政を紊亂させたのである。そういう點につきまして私は大臣の先ほどの發言に對しては、きわめて私は不當と考える次第であります。大臣の答辯を要求する次第であります。
○一松國務大臣 それは見解の相違、あなたの考えで、共産黨の人が關係したから混亂に陷つたのではないというところの御見解は、これはあなたの御意見。私の方の調査員はさように感じた。その感じたことが調査報告書の中に記載せられておる。それをその通り私に報告したのです。惡いことがあるときに共産黨の人がそれを爬羅剔抉するために、弱者に向つて御援助なさるということは正しい。あなたのお考えの通り、その通りでよろしい。しかしながらそれは時と場所と方法があると私は考える。あなたのごとく議會の壇上に立て正々堂々と國政の非違を糾斷するということは正しいやり方である。しかしながら調査團が調査に行つておるときに、わざわざそこに出かけていつて、そうしていろいろな指導をするということも私はあえて反對はいたしません。しかしながらもうこの程度で諸君は退散したらどうだろうということになつたがために、患者が一同止めるのにもかかわらず退散したということのために、調査が不能に終つたということは事實なんである。そういうことを共産黨員がしたのはいいか惡いかということはこれは別です。そういう状況であつたがために調査が不能に終つた。それではいかぬのであつて、皆様に十分な御報告ができないから、さらに適當な者を派遣して、御調査しつつある、かように申し上げたのでありますから、その點は惡しからず御了承願いたいと思います。
○徳田委員 それならあとで論議をしまして……。
○小野委員長 本日はこれをもつて散會いたします。 午後零時三十七分散會