厚生委員会 第11号
- 発言数
- 51 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1947/08/18
会議録
○田中委員長代理 本日は委員長が餘儀ない事情のため缺席されましたので、私が委員長代理を勤めさしていただきます。よろしくお願いいたします。前囘に引續いて會議を開きます。 この前大瀧委員からお尋ねになりました點、すなわち本法が人權尊重を基本とする新憲法に違反するおそれがあるではないかという點に對する當局の御答辯をこの際お願いいたします。
○佐藤(達)政府委員 前會本案と憲法との關係につきましていろいろ御質疑があつたと思いますが、私よんどころない公用のために出席いたしておりませんでしたので、御質問の要旨を間接に聽いたのでありますが、それによりまして一通りお答え申し上げたいと思います。 第一の點といたしましては、本法案の第二十四條、すなわち醫者等を救助の業務に從事せしむることに關しての規定は、憲法第十一條、第十二條、第十三條、第十八條等の趣旨に照らして、自由權の侵害ではないかというようなお尋ねであると心得ております。まずその點に關しまして一應われわれの見解を申し述べておきたいと存じます。ただいま列擧されました憲法の條文、すなわち第十一條、第十二條、第十三條までの三つの條文は、ここで學校の講義のようなことを申し上げるまでもございませんが、憲法第三章の大精神をこの三箇條において示した總論的の條文でございます。すなわち基本的人權の尊重という原則、しかしながら、この基本的人權の尊重は、第十二條に明らかにありますように、濫用は許さない。また常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負うという、わくのもとにおいて認められる人權であるということの趣旨を規定いたしましたのであります。これらの條文に引續いて出てまいります他のもろもろの條文は、先ほど私が總論と申し上げましたように、この總論的の規定を受けまして、人權の保障上最も留意すべき事項を一々列擧したものであります。もとより人權の尊重というものは、後の條文に出て來ますもののみに限るわけではございませんが、要するに第十一條ないし十三條は今申しましたように、人權保障の基本精神を述べたものであります。この具體的の問題に戻りまして、本法案の第二十四條に、たとえば土木建築工事の關係者を救助に關する業務に從事させるということは、關係者の立場から言うと、國家から一種の強制力を加えられたということになりますから、その點でおそらくこれらの憲法の條文との關係を御懸念になつたのではないかと思います。憲法第三章の趣旨は、ただいま申しましたように、人權はもちろん尊重する。しかしその人權の尊重は手放しの尊重ではないのである。個人々々の人權を尊重するのあまり、公共の福祉全體に大きな障害を生ずるというような場合においてまでも、公共の福祉を犠牲にしてまでも、個人々々の人權を形式的に尊重するというような趣旨でないことは先ほど申し上げた通りであります。この意味におきまして、公益のわくがあるということもそれに觸れて申し上げたところであります。從つて本法案のねらつておりまするような公共の秩序の保持、あるいは大きな災害のために罹災者の立場の保全というようなもののためには、法律をもつてある特定の技術を身につけておる人をそのために奉仕してもらうということを規定することは、一向憲法の精神に矛盾するところはないと確信いたしております。なお憲法の第十八條という條文をお引きになつておるやに承ります。すなわち第十八條、「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない」。それから「犯罪に因る處罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない」。これと業務從事との關係はどうであろうかという御疑問もあろうと存じます。この業務從事が奴隷的拘束でないことは問題ありませんが、その意に反する苦役ということに一體なりはしないかというのは、一應ごもつともな御疑問であろうと存じます。この苦役という意味につきましては、私も記憶いたしておりますが、前にこの日本國憲法が貴衆兩院の委員會において審議されました際にも、一應問題にはなつたのでありますが、ここに申します苦役というのは、本人の意に反する勞役そのものを全部含むものではない。本人の意に反する勞役というものの中で、通常人の耐え得ない程度の、通常豫想し得ない程度の苦痛を伴うものというふうにこれを了解しておるわけであります。苦役の苦という字はそこを表わしたものであると信じております。從つて本法案の二十四條で救助に關する業務に從事せしめることができると言つておりますのは、普通の人が普通の勞務に從事するという場合の程度のものを大體豫想したものでありまして、この憲法十八條に申しまする苦役というものには全然該當しない。これも憲法關係の問題はないものと確信しておる次第であります。 第二點といたしまして、災害救助法案の第十二條、十三條、二十六條、二十七條の規定は、財産權の侵害として憲法違反ではないかというような御趣旨の御質疑があつたやに承つております。この列擧せられました條文を二つの種類にわけて考えることができると存じます。第一の種類は、十二條、二十六條に掲げてありますような物資等の使用、收用、管理という問題と、ただいまの財産權の保障との關係はどうであるか、それが第一種の問題であると思います。それから第二種の問題、すなわち十三條、二十七條、これは同じことでありまして、いわゆる一定の場所に立入つて檢査ができるという一つの問題であります。この二つの種類に問題がわかれておると思います。これを一括してお答え申し上げてよろしかろうと思います。この使用收用等の問題は申すまでもございませんが、財産權の保障に關しまする憲法第二十九條の問題であります。第二十九條は非常にいろいろ學者的の考え方から言いますと、問題が多い條文でございますが、少くともただいまの法案に關する限度においては、憲法上の問題はないものと考えております。すなわち第二十九條の最後の項に「私有財産は、正當な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」という條項にまさに該當するものと信じております。念のために申し上げますが、これを公共のために用いることができるという、この用いるという言葉について、多少お疑いがあつたのではないかという氣がいたします。これも實は憲法改正の際の兩院の委員會において御質疑があつたところであります。當時から政府のとつております考えは、公共のために用いるというのは、公共の利益のために提供してもらうと言いますか、幅の廣い意味で、すなわち取上げてしまうことはもちろんのこと、公共のために使用するということも當然はいる。また本來その所有權なら所有權者が自由に使用し得るその使用の方法を制限することによつて、公共のためにそれを役立たせてもらうという消極的な場合も、これは言いかえれば現在の土地收用法においても、この法律において使用と稱するのは、使用の制限をも含むということを言つておりますが、そういう場合も含んでおるものと了解しております。從つてただいまの問題はこの第三項の問題であるのであります。これは條文に明らかになつておりますように、補償を與えることにしてございます。その點から申しまして、憲法二十九條の條項にそのまま適合しておるというふうに考えております。 それからもう一つ、第二のグループの立入りの問題でございます。立入りの問題は私どもはむしろ財産權の侵害という面よりも、その人の居住であるとか、なんとかいうものを、侵すという問題に近い性格のものではないかと思います。この間も承りますと、むしろ憲法の三十五條に引きつけての問題のようにどなたかの御質疑があつたやに承つております。この點は財産權の侵害という面よりも、むしろそつちの方の問題ではないかとも思います。財産權の侵害ということになりますれば、結局今の第二十九條の問題で、これも憲法上問題はないと私ども思いますけれども、三十五條との關係をあげてこられますと、辯明を多少必要とするような性質の事項であります。三十五條というものは、これはよけいなことかもしれませんけれども、これも憲法の審議の際に政府當局からはつきり申し上げておるのでありますが、この條文の位置から申しましても、あるいは「司法官憲」というような文字があるところから申しましても、主として犯罪捜査その他司法手續の關係のことを言つておる條文でありますので、ただいまの問題は三十五條を離れた一般の憲法第三章の問題として考えなければならぬと存ずるわけであります。先ほどちよつと最初に申し上げましたように、第三章はすべての基本的人權にあたるもの、すべての人權を各條文に網羅しているわけではございません。先ほどの十一條あるいは十二條、十三條等におきまして總論的に一應人權關係の網をかぶせてしまつて、その網の中で顯著な典型的な、またいろいろな名目のもとに侵されやすいものを特にその後の條文においてあるというわけでありますから、後の條文にあたつておりません事柄は、先ほど申しました總論的の規定の問題となるわけで、ちよつと例をあげましても。たとえば一定の報告を徴するというようなことも一種の人權に對する關係をもつのであります。そういう事柄は憲法の第三章の中に列擧してございません。そういう種類のものはすべてこの初めの方の條文の問題として扱う。でありますから一應公益と申しますか、公共の福祉という條件にあたらない限りはこれを侵すことはできない。この公益の條件、公共の福祉という條件にあたる限りは、それを侵す場合には、というと言葉はよろしくありませんが、それを制限する場合には必ず法律でやらなければならぬということは憲法の基本原則であります。從つてただいまの立入りの問題というようなものは、その基本精神の方の問題として考うべきものであるわけであります。たびたび申しますように、この災害救助法のねらつておりますところは、この法案の第一條にも明らかのように、公共の福祉というものを直接の目當てにしての條文であります。そういう場合の必要のために、やむを得ない必要によつて調査のために役人がはいつてくるという場合にはそれを受忍する。忍ぶ義務を課する。これを法律で課しまする以上は、何ら憲法に違反するものではないということになるわけであります。なおこの法案におきましては、この立入りをいたします場合にあらかじめたしか通知をするというような、手續もきめている。またいい加減の者がはいりませんように、必ず身分を示す證票をもつていかなければならないというような合理的な條件をも法律自體で規定しておりますので、それらの點を總合いたしまして、憲法上違反の問題はないというふうにこれまた信じておる次第であります。 最後に、これがかりに憲法違反でないにしても、民主主義のもとにおいては不適當の規定である。いくら運用に注意しても、官僚の横暴を招くおそれがあるじやないかというようなお尋ねがあつたやに承知いたしますが、これは私などが法律的の頭で御答辯いたしますよりも、あるいは大臣あたりからお答え願つた方がよろしいかとも存じます。以上私のお答えを一應終ります。
○一松國務大臣 過般當委員會に、私他の公務のために出席ができなかつたので、はなはだ恐縮しているのですが、その際に業務に從事させるとか、あるいは家屋内に立入り檢査をするとかいうようなことが、憲法違反ではないかという御質問があつたそうでありますが、その點に對しましては、ただいま法制局長官がお答え申し上げましたように、私自身も憲法違反ではない。かように考えております。それは法制局長官が答えられましたように、この憲法のいわゆる十二條、十三條に國民の自由權に關する規定がありますが、その自由權というものは、つまり公共の福祉に反しない限りにおいての自由權を認められたものでありまして、公共の福祉に反するような場合には、その自由權にある制限を加えられるということが第十二條、十三條の條文の反面解釋から當然解釋さるべきことでありますので、結局これを基礎にして、他の法文を解釋しなければならない。かように私も考えておるのであります。また苦役という解釋につきましては、私は法制局長官と全然同じ考えでありまして、その意に反する苦役に服させない。この意に反する苦役とこの意に反せざる苦役と二つある。この法文から見るとこういうように二つに解釋される。この意に反せざる苦役というのは、ちようど法制局長官の言われましたように、普通の人が耐え得べき仕事、こういう意味にも解釋されまするし、かりに普通の人の耐え得ない仕事であつても、自分がやりましようと言うて意に反しない場合には、やはりその意に反せざる苦役ということに解釋ができるのであります。しかし苦役というものそれ自體はどういうことになるかと言えばこれは法制局長官の言われましたように、結局五百人が耐え得べき仕事はこれは普通苦役とは言わない。少しくこれは多人の力量に過ぎるなというような仕事をすることが、すなわち苦役であるという解釋、そういうように考えた方がよろしいと思うのであります。業務の從事命令というような、非常災害に際しまして、いわゆる人力においてこれだけの仕事はあたりまえだというような仕事を、權力によつてこれを命じて、この福祉を擁護するというような立場のときには、これは苦役に從事するものではない、かように解釋することの方が正しい解釋である、かように私は考えておるのであります。 それから家宅侵入の場合でありますが、すなわち保管しておりまするものを立入つて檢査することができるというその立入りの規定はこれはいわゆる家屋の侵入である。家屋の侵入ということは、憲法の三十五條において、現行犯もしくは非現行犯、すなわち犯罪のある場合に、その捜査押收の權利を有する司法官憲の令状がなければ侵入ができないのだ。しかるに災害救助法の場合においては、そういう令状がないのだから、令状がなくてそこに立入り檢査をするということは憲法違反ではないか、こういう御議論が一應成り立つようでありますが、これは法制局長官の言われましたように、憲法の三十三條から四十條、これらのものは司法權の發動に關しまする規定であるのであります。でありまするから、侵入ということはいわゆる現行犯の場合はただちにできまするが、非現行犯は場合は、三十三條の犯罪を明示する令状によらなければ逮捕ができないというこの精神が、すなわち三十五條のいわゆる令状がなければ家宅に侵入することができぬということになるのであります。しからば司法權の發動でない場合、すなわち民事上の仕事とかいうような場合においては、憲法の二十二條をごらんになるとわかりますが、憲法の二十二條に何人も、公共の福祉に反しない限り、居住の自由を有するとあります。すなわち憲法二十二條の規定によりますと、福祉に反しない場合において居住權の自由はあるのだ、福祉に反する場合においては、居住權の自由というものは制限されるのだ、これが憲法二十二條の反面解釋からくるのであります。すなわち災害救助法の場合において、公共の福祉を守らなければならぬという場合に、保管を命ぜられている必要な品物があるかないかということを官憲をして檢査せしめるという場合に、その保管せられている場所に立入るということは、いわゆる公共の福祉に副うべき行為でありまして、福祉に反する行為ではないのでありますから、すなわち憲法の三十五條の令状がなければならぬというようなことは必要がない。かように考えているのでありまして、要はこれらの災害救助法に規定してありますところの、人の自由を拘束するような業務に從事させること、あるいは家宅にはいるというようなことは憲法違反ではない、これは原則として憲法の十二條、十三條の外郭規定のわくの中における行動である、かように私も考えております。ただこの問題につきましては、いろいろ御質問のありましたように、これを官憲が運用する場合におきまして、今われわれの申し上げましたような趣旨に從つてこれを運用するということであれば、弊害は生じないのでありますが、しかしながら、行き過ぎをやるというような場合においては、ただちにこれがいわゆる憲法違反ということになるのでありますから、そういう點については十分意を用いまして、さようなことのなからしめるように運用を圓滑にする、かような考えを私はもつておりますから、この點は御了承を賜わりたいのであります。
○田中委員長代理 ただいま政府委員の方から御答辯がありましたが、質問者大瀧委員が今日缺席でございますので、あるいは再質問の點があろうかと思いますから、その點大瀧委員の再質問は留保しておきます。 次に、榊原委員から厚生大臣に對して經濟實相報告書に基く質問がありましたが、質問の内容をよく理解してもらうために、あらためて榊原委員から質問の概要を述べていただいたらどうかと思います。
○榊原(亨)委員 その前に今のお話に關連した質問を申し上げたい。ただいまのお話を承つたのでありますが、第十三條の第一項の「當該官吏に物資を保管させる場所又は物資の所在する場所に立ち入り檢査をさせることができる」というのは憲法違反でないというお話でありますが、ほかにこういうことをきめられた法律がございますか。
○佐藤(達)政府委員 實はこういう種類の取締法につきましては、その法規の完全な運用を期する上において同じような必要性が多々あるわけで、ほとんどそれのないのが珍しいくらいに、今までの法規の中にいわゆる立入り檢査の規定ははいつております。むしろ一一列舉する煩にたえないくらいにたくさんございましすが、申し上げてもいいと思います。
○榊原(亨)委員 その二、三の例をお示し願いたいと思います。
○佐藤(達)政府委員 私今ここに法文をもつてきておりませんが、去年成立いたしました臨時物資需給調整法にはたしかそれに類するものがありますが、大部分は前の憲法時代のものであります。この點は新しい憲法になつてもちつとも條件に變りはないと思います。前の憲法當時のものを拾いますれば、これは相當ございます。あるいは必要でございましたらよく取調べてずつと表をつくつてお届けしてもよろしうございます。
○榊原(亨)委員 今問題になつておりますのは、新しい日本における憲法に基く問題を言つたのでありまして、古い憲法はそれだからいかぬのであります。だから私はいけない憲法、古い憲法に基く條文を申すのではございません。新しい憲法に基いて、こういう非常に廣範な權力を官吏に與えるような場合の一つ一つ一つについて、實例をおあげくださいという意味で私は申し上げたのであります。 それからもう一つ、大臣にお聽きしたいのでございますが、ただいまの條文十三條の「當該官吏に物資を保管させる場所又は物資の所在する場所に立ち入り檢査をさせることができる。」この必要はどうしてございますか。具體的にお話を願いたいと思うのであります。
○佐藤(達)政府委員 御承知のように新しい憲法が實施されましたのは、本年の五月三日でございますから、それ以來この國會が最初の國會であります。文字通り申しますれば、この問題はただいま榊原委員が仰せられましたように、類例を探せとおつしやれば、この國會に提案されておる法案ということにきわめて限局されることになりますが、そこまで行かずに、先年憲法がとにかく制定公布されましたときから、新憲法のあることを豫想しつつ立法されたものがこれまた相當ございます。これはおそらく新憲法の趣旨を尊重しつつできた法律であるということを申し上げてよろしいと思いますから、まずその邊のところの例をあげることは、一つお許し願わなければならぬと思います。それからもう一つ舊憲法の時代におきましても、舊憲法時代にできました法律が、今日われわれが見て有效だという頭で生きておるものと考えておるものがたくさんございます。もしもその中にある條文で新憲法に違反するものがありますれば、これは無效であるべきはずであります。その意味におきまして、私は先ほど申し上げました古い例のことも全然問題外におかれるべきものでもあるまい。かように考えますので、一應の考えを申し述べさせていただきまして、あとは一つ表にでもつくりましてお示しいたします。
○一松國務大臣 今の榊原委員の御質問の保管させる場所、または物資の所在する場所に立入り檢査をさせる。これはどういう必要があるか、どういうふうな場合にそれが適用できるのかというお話でございます。たとえば災害のときにおきまして、これらの災害にかかつておる人々のために、生活必需品を關係各大臣、その他の關係各廳の長がある所有者に保管をさせておく。ところがその保管をさせておつた品物が値上りのために、あるいはその他の事情によつてこれを隱匿するおそれがある。もしくは隱匿したという疑いがある。あるいはそういう生活必需品を自分が貯藏しておるときに、それを他に移轉することができないと禁じておるにもかかわらず、そのものが物價の値上りによつて、あるいは政府がそれを供出せよということを申出たにもかかわらず、それを供出しない。ないと言を左右に託して供出しないというような場合は、はたしてその言う通りであるかどうかはたしてその通り物資が保管されておるか、どうかということを檢査する必要が當然あるのであります。そういう場合に、その場所に立入り檢査をさせることができる。こういうような規定でありまして、要はこれらの物資を十分に保管をして、その災害救助の用に急速にこれを用うることができる程度に、その品物を保管しておくという必要のときに限られるのであります。
○榊原(亨)委員 ただいま保管しておるものを横流ししておるかどうか、あるいは物價の値上りによつて云々というような大臣のお話でありますが、そういうようなことは、一般官吏がするのではなくて、警察その他の司法權によつてこれを監査することはできないのでございますか。
○一松國務大臣 それが犯罪でありますときは、當然司法權の發動によりますが、犯罪でない場合においては司法權の發動ができない。ただし犯罪の嫌疑がある場合においては、司法權を發動することができる。それよりも急速に處分しなければならぬ。災害の救助が最も急速に必要であるというときに、司法處分を要することなく、これらの官憲がこういうような處置を講ずるということは、これは必要やむを得ない場合に限るという事實必要の處分としてそういう權限を與え、こういうように規定する必要があるので、これをここに掲げたわけであります。どちらにしてもよろしいのでありますけれども、司法處分の場合には、常に犯罪ということが前提となるのであります。
○榊原(亨)委員 そういたしますと、犯罪の嫌疑がある。あるいは犯罪である場合には、司法處分によつてやつてもよいが、そうでない、犯罪がない場合にはしかたがないというお話でありますが、犯罪がないような場合に、こういうような強權をもつて一般官吏が犯罪がない場所に立入り、あるいは犯罪がない場合にもこの物資に對してこれほどの檢察をする必要がございますか。
○一松國務大臣 犯罪の檢擧とかいうことよりも、もつとひどい、すなわち災害の救助、目前に數百人、數千人の人が窮乏のどん底に陷つている。これを救助しなければならぬというような場合に、そういう品物を遠方から運んでくるというのには時間を要する。そういう場合に近くにあるそういう物資を保管しておる者に向つて、これが供出を命じた。それをないといつて應じない。あるいはかねて保管を命じてあつたその品物が他に漏洩しつつあるというような場合には、もつとも急速を要し、しかも災害救助について最も急速な處置が必要であるということでありますから、むしろ犯罪で公安を害したというふうな、わずかの公安を害したどころでない、災害の甚大である場合には、こういうような廣大な權限をもたせることもやむを得ないところであり、それがすなわち福祉を増進するのに必要である。こういうところから、これを規定する必要があるのであります。
○榊原(亨)委員 大臣のお考えはよくわかりました。私の考えはいずれ黨議によつてこれを主張いたしたい思います。次にこれに關してお伺いいたしたことは、公衆の福祉ということを盛んに言つておいでになりますが、公衆の福祉とはどういう範圍であつて、どういうものでありますか。それを承りたい。
○一松國務大臣 公衆の福祉ということは、すなわち公共の福祉でありまして、公共ということは、すなわち二人以上の多數人、それらの人の生命財産に重大なる影響のあること、それを擁護するということが公共の福祉ということになるのであります。
○榊原(亨)委員 それではこの問題ではございませんが、これは緊急な問題であります關係上、この場合質問さしていただきたいのでありますが、この前大臣に御質問申し上げました物價廳の發表せられておる千八百圓の生活費のわくにおいて、六十一圓という保健衞生費が計上してございますが、このことについてどういう基準でこういうものが出たか、お調べがついておるならば御囘答をお願いいたしたいと思います。
○一松國務大臣 ただいまのことは少しくこまかい事務に關係するようでありますから、事務當局から答えさしていただきます。
○田中委員長代理 小澤事務官から代つて御答辯するそうですがよろしうございますか——では小澤説明員。
○小沢説明員 ただいまの御質問の點は、實は榊原委員からのお尋ねがありまして、醫務局長にその調査をさせておりまする。これは大體安本または物價廳におきまして、最近の生計費の調査をやりましたが、その生計費調査に基き、おそらくあの醫療費六十一圓の算定を出しているのではないかと思われます。詳しいことは目下醫務課の係官をいたしまして調査をさせておりますから、この結果に基いてお答えいたしたいと思います。
○榊原(亨)委員 政府の最も重大でございます新物價體制におきまして、基本になる千八百圓の生活費のわくの醫療保健衞生費というものがどこからどんな基準をもつて出てきたかわからぬようなことでは、私どもはこの物價廳における全部の算定に疑義をもつものでございます。少くともこれは厚生當局とお話合の上できておろうと解釋いたしますのに、厚生當局において、私が質問しましてから、すでに相當時間を經ているにかかわらず、未だその算定の基準がわからないというようなことでございましたならば、はたして政府のおつしやつておられる新物價體制というものが、こういうふうなあやふやなことを基準としておりますれば、あたかもこれはただ机の上の理論としか受取れないのでございますが、それについてどういうふうに政府當局はお考えになつていらつしやいますか。
○一松國務大臣 そういう御質問のあつたことを私今初めて承つたのでありますが、いやしくも政府が責任をもつて發表した以上は、何かかにか基本がわからないということにおいて發表したのではないのでありますから、それは今説明員が申し上げましたように、あなたの御質問に對して責任ある答辯をするのには、いい加減な答辯ができないから、調査をして、調査が完了次第答辯いたします、こういうのであつて、それが何をもとにおいて調査したかわからないという答辯ではないのでありますから、さよう御承知を願いたいと思います。
○榊原(亨)委員 大臣はただいま今のお話を初めて聽いたとおつしやいますが、これは速記録においても明白な通りでございまして、大臣に直接お聽きしたのであつて、これはいずれ調べた上、お答えするということが速記録にはつきり載つております。御多忙でありますから、御失念になつたものと思いますが、どうかこれは速やかに大臣において責任もつて御囘答願いたいと思います。
○一松國務大臣 そういう點があなたから私に直接御質問になつたかどうかということは、實はまことに濟まぬが忘れております。もしそういうことがあつたとすれば、まことに相濟まぬことであります。しかしわれわれはお互いの質問應答を知るために、その都度速記録に目を通すひまはありませんから、速記録を見てお前わかつているはずじやないかというおしかりはちよつと私も迷惑いたすのでありますが、あなたのお話のような御質問があつたといたしますれば、私がそのままに忘れたということはまこに濟まない。どちらにしても調査をして責任ある御答辯をいたしますから、しばらくお待ち願いたい、こういう意味でありまして、決して政府が無責任なことを發表したということではないのであります。
○榊原(亨)委員 今のことはよく了承いたしましたが、次に第二にお尋ねいたしたいことは、國民健康保險組合が未だに相當多額の未收を一般開業醫に與えておるのであります。このことにつきましては、初めにおいて相當言つておるのでありますが、この未收問題ということは、社會保險を運營いたします上において、相當重大なことだと思うのでございます。從つて醫者を社會保險に協力させるという意味から申しましても、そのほか社會保險の完全な運營からいたしましても、早急に醫者に對する未收を解決していただきたいのでございます。繰返して申すようでございますが、この未收というのは、醫者が勝手氣ままに今度はなんぼなんぼの醫療費だといつて、それが積り積つて未收になつたのではなしに、厚生大臣がこれは適當な醫療費だと言つておきめになつたものを、組合がまだ拂わないのでございます。私の調べたところによりますと、これは厚生省當局とは少しく價額に行違いがございますが、岡山縣におきますだけでも、相當の未收額があるのでございまして、これを全國的に見ますと、少くとも一億圓になんなんとしておると私は思うのでございます。政府當局のお話によりますと、この未收を解決すべく、昨年度におきましては日本醫療團が解散するからまずその方に未收を拂つてしまつたのだというふうなお話でございますが、これは今年度において早急に完濟をお願いいたしたいと思うのでございます。そうでなければ、社會保險を近き將來に完全にいたします上においても、非常なる支障になるのでございますが、この點について大臣の具體的なお考えはいかがでございますか、伺いたいと思うのでございます。
○一松國務大臣 醫者の治療費に關する未收が一億圓近いものだということも、實は私ただいま初めて伺つたのでありまして、大臣でありながら厚生省のことは一向わからぬというおしかりを受けるかもしれませんが、そういうようなこまかい具體的な點につきましては、一々目が通らないのでございますから、今あなたの御指摘になりましたような事實がありとすれば、もつともな話で、私今聽いて驚いたので早速事務當局に命じて調査して、事實だといたしますれば、あなたの御意思に副うように急速に取計らわなければならぬと私は考えております。實は私役人になりました後に、いろいろな國家の支拂というものが思うように急速にいかない、そうしてその原因を調ベてみますと、判を十も二十も押さなければできないというような、たいへんまどろしいようなやり方をしておる事實がたくさんありますから、こういう點は急速にすべての支拂をして、國民の迷惑にならぬようにということは私の信念でありますから、今よいことを教えていただきました。早速これを調査して、もしそうということがあれば、それを明うかにして、その責任の所在を究き止めるばかりでなく、あなたの御希望のように、急速にそれを支拂をする、そうして醫者の方をしてこの國民健庫保險に一層御協力を願うことにするのにはそれが一番大切だと思います。必ずそういうようにいたします。
○榊原(亨)委員 ただいまの大臣の御答辯に滿足するものであります。その次に一つお伺いいたしたいのは、これまた小さいことだと思われるかもしれませんが、これも社會保險の運營上、また一般醫療の運營上、非常に重要な問題でございますので、係員の方に御命じになりまして、調査御訂正をお願いいたしたいと思うのでございます。大體社會保險の醫療費を今きめております方法は、四分の一醫者がはいります、四分の一政府がはいられます、四分の一學識經驗者がはいる、四分の一患者側の者がはいる、結局それをもつて算定委員會というものをつくつて、この醫療費をきめておいでになるのでありますが、そのきめ方につきましては、私はまた考えがありますが、とにかく早急の問題といたしまして、このきめられた醫療費が、新物價體制に著しく背馳している點でございます。と申しますのは、新物價體制によりますと、昭和九、十、十一年度の大體六十倍ないし六十五倍をもつて新しい物價體制と考えられると言われておるのでございまするが、その昭和九年あるいは十年度を見ますると、藥一劑、つまり一點單價と私どもは申しておるのでありますが、その一點單價が十四錢何ぼであつたのであります。その後の藥の原價の暴騰というようなことを除外いたしましても、十四錢何ぼだつたということから、それを六十倍ないし六十五倍いたしますると、少くとも一點の單價、藥一劑というものが九圓何がしとならなければならないのであります。しかもその、先ほど申しました昭和九年度の一點單價と申しますものは、醫者が勝手にきめたのではなしに、厚生大臣がはつきりきめられたものでありまして、その場合に醫者の方では、まだそれでは足りないというので、非常に不滿を示しておる數であります。それを今の新物價體制の標準でありますると九圓何ぼというようになつておるにかかわらず、先ほど算定委員會できめられた數字は、たつた四圓であります。これは鐵道の運賃の値上りよりもまだ低い率であるのであります。御承知のように鐵道の運賃というものは一番今の物價體制の中で値上りの低いものと言われておる。その鐵道の値上りよりもまだ低いのであります。そうしてその一點の單價四圓をもつて醫師にそういう治療をしてやれということを算定協議會がきめておるのであります。そのきめておる基準と申しますのは、非常にゆがめられたこの間の三圓という基準から割出して四圓という數をきめて、そうして算定協議會においては四分の一しか發言權のない醫師にこれを強いておるのであります。かようなことをいたしますれば、先の未收問題と同じように、決して醫者は社會保險に協力することができないみじめな状態になつておるのでございますから、この點はひとつ厚生大臣におきまして、よくお調ベを願つて、社會保險の運營上必要なだけの額といたしまして、適當な、世間的に見ても公正妥當なる醫療費をきめられるということは、これがすなわち社會保險あるいは國民健康保險の運用をほんとうに民主的なものにする一番の要素と私は考えます。どうかその點に對する厚生大臣の御意見を承りたいと存ずる次第であります。
○一松國務大臣 醫療費の算定協議會、これらの協議會できめたのが一點四圓。これはどうも今日六十五倍の物價高になつておるときに非常に安いではないか。きめ方がいけないじやないか。これを公正妥當なる醫療費に釣上げる必要があるという御意見でありますが、算定協議會で、どういう理由で一點四圓に引上げたかという點につきましては、これは私どもよく存じませんから、これらの點は、よく調査してみまして、何か據り所があつてやつたことであろうと思うのですが、今あなたのおつしやるように、昭和九年頃に一點十四錢のものが、今日六十五倍という物價高になつておるときに、この十四錢を六十五倍すれば九圓十錢になる。しかるにそれの半分に達しない四圓でこれをきめたということは不合理ではないか。それはお説の通りであれば不合理千萬。しかしそういうことになつたということについては、何かそこに特別の事情があろうと思いますから、よく調査して、その事情が不合理であるということを認められましたならば、さらに適當に考慮してみたい。かように考えております。
○田中委員長代理 よろしゆうございますか。
○榊原(亨)委員 すみました。
○田中委員長代理 ほかに質疑はありますか。
○有田委員 厚生大臣にお尋ねいたしたいと思います。先般製藥課の問題について大臣にお尋ねをしまして、大臣の非常に熱意ある答辯を承つて、心強く感じたのでありまするが、その後におきまして、三菱化成がスルフアクワニジンの製藥の屆けをいたしましたところが、これが却下になつたのであります。今までの過去の前例から見まして、ほとんど製藥課において何ら醫務局長竝びに厚生大臣の許可を得ずしてこれを却下するというような權限をもつておやりになつている例をわれわれ目撃いたしているのでありますが、何がゆえに三菱化成のスルフアクワニジンを許可しないか、その理由をお聽かせ願いたいと思うのであります。そうして長い間の藥業界の封建性から見まして、厚生省の製藥課の方で醫務局長竝びに厚生大臣の許可を得ずして勝手に却下しているかのごとく、私どもは考えられるのであります。しかも藥事法によりますると。製藥の許可は厚生大臣ということになつているのでありまして、製藥課長が許可する、許可しないの權限は、私はもち合わせないものと考えているのでありまするが、現實はほとんど製藥課長においてこれを却下する、そうして醫務局長も厚生大臣も何もこれについては御存じないというのが、今までの大體の状態でありまして、これは藥事法の厚生大臣の許可ということを考えましても、私は大いなる間違いである。しかも今日敗戰後におきまして、醫藥品が足らないという聲が巷に充ちているのでございます。三菱化成がスルフアクワニジン——これは赤痢、疫痢、殊に大腸カタルに特效のある藥品でありまして、これを三菱化成をつくりたいという屆出を却下したのでありまして、こういう例はその一例でありまして、幾多その他に例を見るのでありますが、厚生大臣はこういう事實を御存じであるのか、今までにおきましても、製藥課長においてこういう處置をやつておりますが、こういつたことは厚生大臣としてお許しになつておられるか、さらのスルフアクワニジンを三菱化成に許可しなかつた理由をこの機會においてお伺いいたしたいと思います。
○一松國務大臣 厚生省の製藥課長が三菱化成の申請した藥品の製造についてこれを却下した。そのことについて厚生大臣が知つておるかおらぬか、許しておつたのかどうか、こういう御質問からお答えいたしますが、製藥課長は製藥課長という獨自の見解においてしたことではないと思う。やはりもし却下したというならば、厚生大臣という名前でしたことでありましよう。それは厚生大臣がその課長にそういう權限を委任しておいたという法律上の解釋からすればそうなるのでありますから、製藥課長が却下したということは、すなわち厚生大臣が却下したということになるのでありましよう。しからば實際上それを厚生大臣は知つておつたかおらぬかということなりますと、私が厚生大臣に就任した後において、そういうことがあつたとするならば、私は實際は知らない、知らないけれども法律上から言えば厚生大臣の名前で却下したということになりましようから、法律上の責任はもちろん私が負うことになる。しからばその却下したことが適當であるか不適當であるかということについては、これは事實をよく調査した上でなければわかりません。しかし私は最近いろいろなことを耳にしております。今日終戰後非常に藥が拂底しておる。拂底しておるときには、少くともりつぱな藥品を製造するということについては、これは厚生省としては却下どころではない、大いに奬勵して、それらの藥を多量に生産をして、世の中の需要を滿たすようにしなければならぬ。しかるにもし厚生省がそういう原則に反するような態度を何らかの理由においてもつておるとするならば、それはけしからぬ、そういう點は大いに是正しなければならぬということで、私最近決意するところがあつて、適當な處置をとるということを決意し、かつ命じております。それらのことは、いかなる具體的の事實に明らかになるかならぬかということは、今この席で申し上げられませんが、しばらく御猶豫願います。なるほどそうであつたか、大臣の意思のあるところはわかつたと言うて了解せられる時期が、あまり遠くないと思います。ぜひひとつ御了承願いまして、厚生省の製藥に關する考えは、いい藥であればどしどしこれを許す、そうして民衆に間に困つておる藥を多量に供給するという考えをもつておるということを御了承賜わりまするようにお願いいたします。
○有田委員 大臣の御答辯でよくわかつたのでありますが、大臣は製藥課の事務のことをよく御存じないのでありますが、これは厚生大臣の名前において許可しがたしというのが出るのがあたりまえでありますが、實際は製藥課において獨斷的に、お前はこれをもつて歸れ。却下というのでなくして受付けておいてそうしてその業者を呼びつけて、これは許可しにくいからもつて歸れというので、却下という形でなく、もつて歸らせるというような手續をとつておるのであります。厚生大臣の名前において許可しないというのでなくして、製藥課長が獨斷で門前でこれを追い歸すというようなことが、長年今日まで續けられてきておつたのであります。從いまして特に製藥の許可をとりたいという場合には、製藥課のそれぞれの係の人にいろいろな努力をしない限りにおいては、製藥許可が下らないのが現状であつたのであります。これに對しては、醫務局長も——前は衞生局長でありますが、厚生大臣も何ら關與することなく、これらのいわゆる藥業界の封建的な存在のために壟斷されてきたのであります。ですから私がただいま質問いたしましたのは、厚生大臣の名において却下したのではなくして、入口でこれを追い歸してしまうというような非立憲的なやり方が、長年なされてきておつたのであります。ですからどうか、これは一つの例でありますが、三菱化成のスルフアクワニジンが一應その屆を受理して、そうして今度は本人を呼び出してこれをもつて歸れと言われた。こういう違反行為をこれらの製藥課の方々がやつてきておられたのであります。こういう事實が將來ないように、却下する場合においては、厚生大臣の名においてかかる理由において許可しがたしというのでなければならないと考えておるのでありますが、この點よく御調査願いまして、議會に御報告賜わりたいと思うのであります。
○一松國務大臣 今の三菱化成の新製藥品の却下の點につきましては、どういう理由で却下したということを、よく調べた上でお答えいたします。今あなたのおつしやつた從來封建的態度において勝手に製藥課長が門前拂いを食わしておつたというようなことがもし實際ありとするならば、それは不都合千萬である。そういうようなことからいわゆる官紀の振肅の必要があるので、私の厚生大臣になる以前のことはいざ知らず、私の就職しております間には、さようなことは斷じてさせないということをお約束申し上げます。もし國家民衆のためにこれは大切な藥である、これはぜひ厚生省の許可を受けて製藥したいというようなお立場にある方は、ひとつどしどし來ていただきたい。喜んでそれを調査研究の上、これは民生安定のために最も必要な藥であるというものは即時に許可する。こういう方針を私はもつております。ひとつ以前のことは水に流して、これからは藥を製造することについて、明るい氣持で國家のために貢獻していただきたいということをお願いしておきます。
○田中委員長代理 齋藤君。
○齋藤(晃)委員 ただいまの災害救助法案の第二十九條に「救助に關する業務に從事し、又は協力する者が、これがため負傷し、疾病にかかり、又は死亡した場合においては、政令の定めるところにより扶助金を支給する。」とございますが、これについて厚生大臣の御答辯を承りたいのであります。政令の定めるところにより扶助金を出すというのは、いかなる政令でありましようか。私は今後においてこういうような重大な災害というものが、相當に廣範圍に起ると豫想するのであります。その場合に相當な犠牲者も公務によつて起ると思いますが、そういう公務によつて犠牲者の起つた場合において、政府は今後いかなるそこに補償をいたすのでありましようか、この條文につきまして御答辯を願いたいと思うのであります。
○葛西政府委員 ただいま齋藤委員からお尋ねになりました二十九條の政令で定める場合についてのことについて、私大臣に代りましてお答えいたしたいと思いますが、今御心配いただきましたように、いろいろ救助に從事いたしますというと、不慮の疾病にかかつたり、あるいは負傷をしたり、死亡するというような者が出てくることを豫想しなければならぬと思います。政令できめたいと思つておりますのは、これらの場合に療養のための扶助金を與えるというようなこと、それからからだに著しい障害を残した者に對しては障害扶助金というようなものを與える。それから次は死亡したという場合におきましては、その遺族に對しまして遺族扶助金というようなものを出しますとか、あるいは葬祭をいたす必要がありますれば、それの葬祭扶助金というようなことを政令できめてまいりたいと考えております。このそれぞれの場合に療養扶助金あるいは障害扶助金、遺族の扶助金葬祭扶助金等の金額をどれくらいに定めるか。それからどういうふうにするかというようなことは、まだ具體的にきまつておりませんが、こういう公務に倒れたりなどした場合のこの種の扶助金の規定等もいろいろございます。制度等もございますので、それらとにらみ合わせまして、不公平のないようなところできめてまいりたいと考えておる次第でございます。
○齋藤(晃)委員 ただいま公務に從事したる者に對していろいろ扶助金の規定があるというようなことでございましたが、もう一應具體的にお聽きしたいと思います。
○葛西政府委員 公務員と私が申し上げましたのは、恩給法に基きまして、公務員が公務のために負傷し、あるいは疾病にかかり、あるいは死亡したというふうな場合には、恩給法の規定に基きましていろいろな扶助金等が出ておるのであります。そのようなものを指したわけであります。
○齋藤(晃)委員 ただいま公務員に關して恩給法に基いて扶助金を出すというような御答辯でございました。そういたしますと、私これに關連してなお尋ねいたしたいと思いますことは、同じ公務に從事いたしましても、そこに非常な差のある扶助を出しておるということをお尋ねいたしたいと思うのであります。その一つの例を考えますれば、傷痍者が手當をもらうという場合に、かつての傷痍者の階級によつてその手當が違うというようなことがございますけれども、現在の民主憲法下において、こういうことは矛盾ではないか。これはやはりかくのごとき、あるいは戰爭による傷痍というようなものに對しては平等が必要ではないだろうかと考えております。それについて御答辯を願いたいと思います。
○葛西政府委員 ただいまお尋ねになりました點は、實は厚生省の所管ではございませんので、内閣の復員聽の方の所管に相なつておるわけで、私から責任のあることをこの際申し上げることはどうかと思うのでございます。もし必要がございますれば、その方面の方からお答えを願つた方が適當ではないかと思います。
○一松國務大臣 今齋藤委員よりの御質問、ごもつともだと私は思う。つまりこういうような災害救助のために權力のもとに、自分が仕事に從事しなければならなかつた、それがために障害を受けた、あるいは負傷をした、疾病にかかつた、死亡したというような場合に、それらの人の障害、疾病の少くとも治癒することのできるように、國家のために働いてこれだけの傷を受けた、これだけの病氣になつたけれども、まあこれだけの國家の救いの手を延ばされたならば滿足だ。こういう國民感情を和らげて、しかも喜ぶことのできるような手當を當然國家はしなければならぬ。それからまた今までのように軍人の將官であり、佐官であり、尉官であり、兵卒であるということによつて、階級的に待遇を異にするということは、舊制度ならばいざ知らず、今日國民が平等に權利を擁護せられておる立場から、これは絶對に禁じなければならぬ。またそういうことをすべきものでない。こういうようなことを考えておりまして、それらのことは結局政令できめる。しからば政令でどうきめるかということは、今社會局長が答えましたように、おのおのいろいろな關係法規とにらみ合わせて、そして矛盾のないように、不公平のないように、國民の納得するように、これをひとつ、取極めよう。こういう考えをもつておるのであります。これは私が大臣であります以上は、閣議を徑て政令できまるのですから、そういう點については十分の意を用いまして、國民の不滿足でないような方法を構じたいと考えております。
○齋藤(晃)委員 なおただいまの大臣の御答辯に關係いたしますが、引續きまして質問いたしたいことは、かくのごとき公務に關して障害を受けたる場合、あるいは死亡したる場合において、やはり現在の民主下においても、政府はこういうように扶助金を出すというような規定でありましたならば、過去における大きな公務であるところの、たとえばいわゆる戰爭によるところの、あるいは災害であり、あるいは遺族であるというような、そういう大きないわゆる公務に關したる人々が、現在何らそこに手をつけることができない。政府はこれに對して具體的な救助の方法というものが現在講じられていないというようなことが、非常に私は矛盾に考えるのでございますが、これにつきまして、ぜひ厚生大臣に具體的な御答辯をお願いできれば非常に幸いだと思うのであります。
○一松國務大臣 災害救助に關してこの權力のもとに働いた人々が負傷し、疾病し、死亡した場合の待遇の問題について、私が國民が滿足をするような公正な取扱いをするということの答辯を申し上げたことに牽連して、それより以上に生命を投げ出して國家のために働いた軍人、軍屬が、非常な難儀苦勞を見、すべての方に對して國家の救いの手というものが十分ではないじやないか。これについて何かひとつ考えなければならぬじやないかという御質問は、往々にして發せられ、また私も非常に苦慮をしておるところでありますが、この點については、何囘も申し上げますように、軍人軍屬であるがために、特別に普通一般人とその待遇を異にするというような差別的待遇はいけない。憲法において國民の權利自由は平等である。だから普通一般人と同じようにこれを處遇すればいいじやないかということでありますから、そういう建前を原則として生活保護法、その他失業手當、あるいは失業保險とかいうようなもので、將來それらの賄いをしよう、こういうように考えておるのでありますから、國家に勲功があつたとか、第一線で活躍をした軍人であるということのために、特別な處遇をするということは政府としては考えておりません。しかしながら、それらの人の生活が今日物價高のときにおいて、十分の生活ができないというようなことがもちろん考えられまするから、そういう點については、生活保護法等の給與金額を増額して生活のできるように、一般人と同じように處遇しよう、こういうことでありまするから、さよう御了承を願いたいのであります。
○葛西政府委員 ただいま大臣からお述べいただきました點についてちよつと補足さしていただきたいと思うのでございますが、今日委員長のお許しを得まして、若干資料をもつてまいりましたから、各委員にごらんいただきたいと思うのでございます。と申しますのは傷痍者あるいは遺族の保護のことにつきましては、ただいま大臣から申されましたように、それがもと國家のために働いた人であるとか、あるいはその遺族であるとかいうような理由をもつて、特にこれに優先的な取扱いをするとか、あるいはそれだけを特別にどうするということは、ただいまのところでは許されておらないのは御承知の通りでございますがしかし、あるいはそれがいろいろな關係から保護に漏れているとか、あるいはまた實情に即せないというふうな點も、またあるのぢやないだろうかというふうなことで、大臣からもお述べになりました線に沿いまして、私ども生活保護法の線、あるいはそのほかの社會施設の線におきまして、いろいろ地方廳等にも督勵をいたしておるようなわけでございます。先般、今月の初めに開かれました民生部長會議等におきましても、こまかくそれらの點について指示をいたしておるのでございます。ごく最近に生活保護法の線、あるいは社會施設の線等において、今大臣がお述べになりましたような線でやつてまいります點について、地方廳にお示しをしたのでございます。その資料を今日もつてまいりましたから、一應ごらんをいただきたいと思います。
○山崎(道)委員 ただいまの問題に關連してちよつとお伺いしておきたいと存じますが、傷痍者に對しまして、いろいろ今困難な問題に立ち至つておりますことは、私どもともに苦慮しておることでございますが、ここに國立病院の患者さんから陳情書がきて、大臣のお手もとにもお届けしてあるはずでございます。これはいろいろございますが、そのうちで大臣にお考えを伺いたいことは、公務起因たるの決定を促進せられたしという條項の中に、終戰後の死傷病者——戰爭中でなくて、終戰後、自由意思によらず、國家のために作業に從事した人たち、そして待望の復員の名のもとに自由を許容される以前に死傷病した者、すなわち終戰後向うで、重勞働に從事させられているうちに命を落した人に對しては、その家族に對して扶助料それからまた怪我した人に對しましては、公務起因による裁定をしていただきたいというような陳情がきておりますが、これに對しましては、どういうお考えをもつておいでになりますか。
○一松國務大臣 いまの山崎委員の御質問は、まだ軍人としての資格があり、日本に歸つてくるまでは、やはりこれはいわゆる第一復員廳、第二復員廳の所管に屬することであります。この方で考慮しなければならぬことであろうと思うのであります。厚生省の所管ではありませんが、しかしながら、それがいわゆる軍人軍屬として、公務に從事して云々ということであれば、先刻來申し上げたように、特別の待遇は法律上許されないことになつておる。しかして軍人軍屬でないあたりまえの、いわゆる公務員として職務のために障害を受けたとか、疾病にかかつたとかいうことであれば、その方の特別の救助の方法で、國家はそれに救いの手を伸べておるわけであります。ただ問題は金額が少いとか、あるいは十分に給與されないじやないかということが不滿の原因だと思うのであります。そういう點につきましては、物價高の今日増額しなければならぬというような必要もあろうと思いますが、それは厚生大臣として私の所管外でありまして答えられないけれども、國家の立場からみれば、戰爭ではなくして、軍人軍屬が終戰後において公務を命ぜられて、それがために病氣を起したというようなことであれば、適當な處置によつて救護してやらなければならぬことは當然だと思うのであります。私の立場としては、それ以上答えられない。あとは復員廳の方の所管でありますから、惡しからず御了承願いたいのであります。
○山崎(道)委員 よくわかりました。それでは恐れ入りますが、これをこのままにしておくわけにはまいりませんので、厚生常任委員會へ、私は復員廳と恩給局の方に御出席願つて、これに對していろいろ恩給業務の促進とか、あるいは公務起因たるの決定によつて恩給の裁定を願いたいというようなことも言つてきておりますので、この次の委員會にでもひとつ御出席を願いたいと思います。そうして十分この點も討議したいと、かように考えておりますから、どうぞよろしくお願いいたします。
○田中委員長代理 しかるべく取計らうことにいたします。 本日はこれにて散會いたします。次會は公報をもつてお知らせいたします。 午後零時三分散會