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1回国会衆議院1947/08/11

議院運営委員会司法委員会連合審査会 第2号

発言数
79
登壇者
7
会派数
3
開催日
1947/08/11

会議録

淺沼稻次郎日本社会党

○淺沼委員長 これより會議を開きます。  引續いて質疑を行います。佐瀬君。

佐瀬昌三日本自由党

○佐瀬委員 第十四條についての提案者の御説明をお聽きしたいのですが、訴追を取消し得る字句ですが、「終局裁判がある」とされたのは、どういう理由に基くものか、その點をひとつお伺いしたいと思います。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 十四條は、實は原案から削除をいたしましたので、お手もとに一枚刷りに別にいたしましたのには、十四條を削除いたしましたから、それで御了承願いたいと思います。

佐瀬昌三日本自由党

○佐瀬委員 私も實は必要がなさそうに考えたのですが、削除される修正案は結構だと思います。  次に二十九條の證據調べの點であります。ここで職權主義をも採用されておることは、たいへん合理的だと考えるのでありますが、ただ、せつかく職權主義を認めておるけれども、その證據調べの方法については二項の規定で、原則として強制權を禁止しておるように見えるのであります。これでは目的貫徹上、支障があるのではないかと思うのですが、この點はいかがでありましようか。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 ただいまの點はごもつともだと思いまするが、現在憲法の第三十四條、三十五條等におきまして、強制的な捜査、押收とか、あるいは抑留、拘留というようなことを、特別の場合以外禁止いたしておりますので、これはこの規定の趣旨からいたしまして、少し弱いようなきらいもあるのでありまするけれども、二十九條のような規定を置くことにいたしました。

佐瀬昌三日本自由党

○佐瀬委員 第三十四條、第三十五條は、正當な理由の存する場合は除外を認めておりますのみならず、憲法第十二條は、個人の自由人權に對する基準として、公共の福祉のためには、これを制限し得るという餘地を殘しております。その他憲法の條章を見ますと、法律によつてはこれを制限し得る場合がかなり認められておるのであります。私はただいまの御説明も、一應理由もあるようにも思うのでありますけれども、これらの憲法上の根據からし、また實際上この彈劾裁判所の證據調べの目的を達成するについて、やはりそこに強制捜査權というものが確立されなければだめではないか、こう思うのであります。特にこの法律においてその必要がある理由として、第十條はいわば捜査の過程において訴追委員會がある程度罷免の事由ありや否やについて調査することが認められておりますが、この調査もこの十條に許された方法をもつてしたのでは、これはわきめて不十分なものであります。從つて訴追委員會の手を離れた裁判機關において審理する場合に、よほど強制權を發動して、證據を蒐集しなければ、完全な眞の裁判はできないというふうに考えられるのであります。從つてこの點について愼重考慮を要するのではないかと思うのでありますが、この點についての御意見を承りたいと思います。

諸橋襄衆議院法制部長

○諸橋説明員 ただいまの點はごもつともな點もありますけれども、これはもともと刑事訴訟とは非常に違いますものでありますから、そういう強制權を用いることは、適當でないというふうに考えられるのですが、第三項である程度の證據調べができるのではないかと思いますので、これに對しましては、間接的にこの事項に違反いたしました場合においては、後に過料の罰則の規定がありまして、その罰則の規定により間接に牽制することによりまして、二十九條の三項による取調べができるのではないかというふうに考えられるのであります。それからまた刑事問題が懲戒の原因になつておるような場合におきましては、刑事訴訟法において進行しておりまして、その結果を待つて彈劾裁判の方できめる方法もできるのではないかと思います。それから刑事事件の問題になりませんので、つまり裁判官の義務違反でありますとか、あるいは非常に事務をなまけるとか、あるいは職務上の義務に違反するというような場合には、ただいま申しました二十九條の三項の方法によつて、ある程度の目的が達せられるのではないかと考えております。それで刑事裁判とは違う事件でありますので、憲法の規定にも鑑みまして、この程度にしたのであります。

佐瀬昌三日本自由党

○佐瀬委員 私は廣汎な強制捜査權を認めよと主張するものではないのであります。憲法の精神に反せず、しかもこの彈劾裁判所の審理を全からしめるためには、ある程度の強制捜査權も必要であろうと考えるのであります。第二十九條の第三項第二號には「事實發見のため必要のある場所の檢査を行うこと。」ということに規定されておりますが、この「檢査」というのは、いわゆる捜索とか、檢證という刑事訴訟法に規定されたものと、實質的には同じものになるのじやないかと思うのですが、これはどういう意味のものでしようか。

諸橋襄衆議院法制部長

○諸橋説明員 ただいまの御意見の通り、實際上大體同じになると思います。

佐瀬昌三日本自由党

○佐瀬委員 結局強制捜査權の發動と同じ結果になるわけですね。

諸橋襄衆議院法制部長

○諸橋説明員 それは間接に過料をとることによりまして、實際問題としてはそういうことができるということになるだろうと思います。しかし表面からそうやりますことは、やはり刑事事件ではありませんので、憲法の規定ともにらみ合わせまして、その方法をとらなかつたのであります。

佐瀬昌三日本自由党

○佐瀬委員 この二項で捜索等のことを禁じながら、どうも實際上はそれと同じようなことを認めるということは、この立法自體に矛盾があるように思うのであります。しかしその矛盾ということも、あえて冒そうとするのは、かようなことをしなければ訴訟の目的が達成されないというところに原因があるというのでありますから、いつそ思いきつて、堂々と合理的、合法的にやられるような、最小限度の強制捜査權を、私はここで承認しておいた方が妥當であると思うのであります。私の意見はそれに止めておきます。  次に同じ二十九條の問題でありますが、地方裁判所に取調べを囑託することができるということになつておりますが、これも便宜主義の上からみれば、きわめて妥當な方法だと思うのであります。しかし、この場合やはり地方裁判所は、その取調べをするのに何に基いて行うか、その取調べの方法手段というものについて、ここに規定する必要がないのか、あるいは刑事訴訟法に任せるといつたような、はつきりしたことを規定しておかなければ、地方裁判所も、囑託を受けながら、その活動が活發になし得ないという懸念があるのではなかろうかと思うのでありますが、この點はいかがでしようか。

諸橋襄衆議院法制部長

○諸橋説明員 ただいまの、地方裁判所が取調べをいたしますときの方法は、やはり第二十九條によつて行うことになるのであります。それからまた前段の點は御意見でありますけれども、これは實際問題を申したのでありまして、法律的に申しますれば、刑事訴訟によつてやりますことと、二十九條の第三項によつてやりますこととは違うと思います。

佐瀬昌三日本自由党

○佐瀬委員 次に第三十一條の裁判の評議の問題でありますが、裁判は過半數の意見によるということに案文が規定されております。これは偶数の裁判員が評議する場合にどうなるかという問題が殘されておるようでありますが、この點はどういうふうにお考えになつておりますか。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 實は裁判の評議等に關しまして、多數決主義をとりますことは、本來の裁判の趣旨から申しまして、いかがかと考えておるのであります。しかしながら、大勢の場合におきましては、意見の相違を來しました場合、さような方法もやむ得ないことだとは考えられるのでありますが、本來の性質上評議によつて審理の決定をなすべきものである、かように考えておるのでありまして、實は訴追委員會の場合におきましても、彈劾裁判所の場合におきましても、その裁判の性質に鑑みまして、できるだけ評議によつて圓滿な裁判の進行をはかつていくように、實際の運用において考えていきたい、かように考えておりますので、その點について特別な規定を置かなかつたわけであります。

佐瀬昌三日本自由党

○佐瀬委員 第二十條には合議制として、衆參兩議員からなる裁判員がそれぞれ五名以上出席するということが要請されておる。從つて偶數の裁判員から構成される場合もあり得るし、贊否同數という場合もあり得るわけでありますが、ただいま御説明のように、さような場合に、いわゆる評議が妥結して一つにまとまり得ればたいへんな理想的であるのでありますが、これは實際きわめて困難ではなかろうかと思うのであります。殊に今後の民主主義的な審判というものが、きわめてその構成員各自の意見を尊重し、その自由な討議によつて決定するという、たとえば、アメリカの大審院あたりの實際上の運營をみましても、最後まで票數できめていくということになつておるのでありますから、私はそういう運營上の期待よりかは、むしろここに明白に採決の方法をも、実際に不合理を來さないように規定しておく必要があるのではないかと思うのでありますが、さらにこの點についてお伺いいたします。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 實はその點ごもつともだと思うのでありまするが、一應先ほども申しましたような意味に解しております。さような事態もあることを考慮いたしまして、第四十一條に、審理及び裁判の手續について、別箇に規則を裁判所が定め得るようにいたしてあります。必要がありますれば、これの運用によりまして決定していきたい。かように考えております。

佐瀬昌三日本自由党

○佐瀬委員 その點は、四十一條に基いて規定することは少し無理かもしれませんけれども、できるだけそういつたような措置が希望いたされるのであります。  次に、この裁判の言渡しは、どういう形式で行われることになるのでありましようか。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 三十三條で、裁判に理由を付することになつております。理由を付しまして、最後に何某は彈劾裁判によつて罷免せられるものとする、かような判決を豫定いたしております。

佐瀬昌三日本自由党

○佐瀬委員 私のお尋ねしたいのは、でき上つた裁判を被訴追者なり、あるいは社會に對して、そういう裁判があつたということを言い表わす形式についてお伺いしたのであります。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 裁判につきましては、御承知の通り、大體公開原則をとることにいたしております。  なお裁判の宣告がありました事項につきましては、三十六條でございますが、官報に公示する、かようなことになつております。

佐瀬昌三日本自由党

○佐瀬委員 その前に法廷において被訴追者に對して、いわゆる言渡しをするという手續はないのでございますか。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 法廷で宣告するつもりに考えております。

佐瀬昌三日本自由党

○佐瀬委員 二十六條で宣告して、その宣告されたものを三十六條で官報に掲載して公示するという運びになるわけですね。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 さようでございます。それから三十五條で本人竝びに最高裁判所にそれを送達する。

佐瀬昌三日本自由党

○佐瀬委員 いろいろ發表の方式があるようでありますが、そうすると、この裁判の效力の發生時期は、どういうことになりましようか。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 これは宣告と同時に發する、さように考えております。三十七條でございます。

佐瀬昌三日本自由党

○佐瀬委員 その點わかりました。  それから最後に、四十二條の點をお伺いたしておきます。虚僞申告の罪について、三箇月以上十年以下の徴役に處するという規定が案としてあるようでありますが、この懲役刑の基準をかく定めた理由を一應お伺いしたいと思います。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 現在、刑法の中に、誣告罪の規定がございまして、百七十二條、百七十三條に規定されているのでありますが、その刑罰の限度を、一應彈劾裁判の虚僞申告の場合における限度といたしました。

佐瀬昌三日本自由党

○佐瀬委員 刑法の誣告罪に準じた考えで、かような規定を設けようとする御趣意はわかりました。ここで「三月以上十年以下の懲役」ということになつておりますが、「十年以下の懲役」ということにするだけで事足るので、別に「三月以上」ということは、あえて言わぬでもいいのじやないかと思います。刑法の原則で、懲役は一月以上ときめられております。一年以上とか二年以上とかいうならば、最低限を區切る必要があるようですけれども、今後の立法では二月や三月以上ということは、どうも限定する必要もなさそうに見えるのです。これは小さな問題ですから、別にあえて修正とかいうほどの問題でもないかもしれません、私の意見として申し上げておきます、これで私の質問は打切つておきます。

淺沼稻次郎日本社会党

○淺沼委員長 吉田君。

吉田安民主党

○吉田(安)委員 私簡單に一、二點お尋ねいたします。法案の第二條と第十二條との關係です。これはこの前もちよつとどなたか觸れておられたようですが、第二條のこの原因がある以上は、十二條は必要はないように考えられるのであります。しかるに修正案を見ますと、十二條を一度削除なさつて、どうしてまたそれを後に二本棒を引いて削除なさつてあるのか、その理由はどういうわけですか。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 二條と十二條とは相當の關連をもつておりますので、この點いろいろ議論がありまして、最初は十二條も殘すことにいたしておつたのでありますが、關係方面等の意見もありまして、一應十二條を削除いたしまして、第二條ですべて「著しく」または「甚しく」というようなことに該當する場合においては、訴追事由となるので、情状酌量の事態が起らないというような意味合におきまして、十二條を除削することにいたしたのであります。しかしながら、十二條はそういう場合においても、なおかつ多少情状酌量の餘地を殘す意味において、十二條の規定を存したらどうだろうかというような御意見もありますので、一應原案といたしましては、削除することをやめまして、殘すことにいたしたのであります。その點は皆様方の御意見によりまして、削除するなり、あるいは殘すなり、御決定を願いたいと私どもとしては考えているのであります。私個人の意見といたしましては十二條は削除したい、かように考えております。

吉田安民主党

○吉田(安)委員 わかりました。私もこれは必要がない、削除すベきものであるという意見をもつております。  それから第四章罰則の四十二條と四十三條の點であります。ただいま四十二條は、佐瀬君から質問があつたようでありますが、私は四十二條と四十三條とを比べましたときに、もちろんこれは四十二條は、虚僞の申告をなした者に對する制裁でありますから、これほどの罰則は必要だと思うのであります。しかるに四十三條の證人に對する罰則になりますと、證人、鑑定人、通事、飜譯人の關係でありますが、かりにこの證人らが虚僞の陳述をした、そうしてよつてもつて裁判の公平を誤らしめたという結果を招來せしめる場合は、當然想像されるのでありますが、それにもかかわらず、これには單に三千圓以下の過料に處するという規定に相なつておるのであります。これはあまりに輕きに失しはしないかという感じを抱くのでありますが、この點の御説明を願います。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 實は虚僞の陳述をいたしました場合におきましては、四十三條第二項におきまして、訴追委員會の場合におきましては千圓以下、それから彈劾裁判所の場合におきましては、特に虚僞の陳述ということを一、二、三號の中に書いていないのであります。しかし、それは刑法の一般原理によりまして、僞證罪に問われることになりますので、刑法の僞證罪をもつて罰するということにいたしたいと考えまして、特にここから規定を除いたのであります。從いましてその罪も三千圓以下の過料以上に課せられることになると考えております。

吉田安民主党

○吉田(安)委員 わかりました。

北浦圭太郎日本自由党

○北浦委員 第二條からお伺いするのですが、裁判官彈劾法案を通覧いたしてみますると、第二條が實體法で、その他の條項は全部手續法になつておるように私は考えております。この第二條の實體法——實體法と申しますと、御承知り通り民法、商法、刑法のように、もう少しく輪郭を明らかに書なければ、實體法の態をなさない。これを見ますると、聖徳太子の憲法を讀んでおるようなものである。道徳的で、法律的のことがはなはだ少い。殊に「涜職の行爲があつたとき。」ということを削除せられておる。これは間違いであると私は思つております。御承知の通りアメリカの彈劾法は、裁判官の彈劾法とは違います、大統領なんかの彈劾ですが、どこでも收賄、いわゆる涜職ということを一番先に書く。これを日本の現状に照らしてみますと、今日は御承知の通り、あなた方はそういうことは決してありませんが、到るところこの涜職行爲や、隱退藏物資でも官僚の腐敗堕落などと、實にやかましい。何はともかくも、罷免という條項には、涜職の行爲がなければならぬ。外國の立法例でも、涜職の行爲というのは必ず書いてある。なぜこれをお削りになつたか。簡單に、涜職の行爲があると、これは職務の義務に著しく違反するから、この中に含まれる、あるいは裁判官という信用を著しく失う非行であるから、ここにも含まれる、だから必要がないのである、こういう御答辯ならばもう承る必要はない。もつと具體的に書くということについて、特に必要なことは、一應初めお書きになつたように、涜職の行爲があつたということである。この信用を著しく失うとか、職務をはなはだしく怠るとか、あるいは職務上の義務に著しく違反するとか、さようなことは、まるで雲をつかむような條文であつて、涜職の行爲ということこそ、輪郭が明らかで、刑法の條文にもあります。諸外國の立法例に照らして、この修正は改惡だと思いますが、ただいま私の申し上げました以外に何か深い理由があれば承りたい。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 ただいの御質問のような趣意におきまして、原業に涜職の行爲ということを、實は入れておつたのでありまするが、この點に關しましては關係方面と折衝の結果、これを別な意味をもつて表現して、職務上の義務違反ということの中に入れることにいたしたのであります。 二條の規定は先ほど來いろいろ皆樣方からも御意見がありました通り、十二條の規定とも關連いたしておるのであります。二條に涜職の行爲というようなことをあげますと、私最初の説明のときにも申し上げましたように、いやしくも一錢の涜職であつても、涜職の事實があれば、訴追事由となる、罷免事由となるという結果になるのでありまして、さような意味におきまして、十二條の情状によつて訴追を酌量するという規定が、意味をもつてくることになるのであります。しかしながら裁判官の地位を彈劾によつて罷免する以上は、そこにそれ相當の重大なる訴追事由がなければならないと考えられるのでありまして、さような意味におきまして涜職の行爲の場合におきましても、著しい場合にはそれを取上げることにいたしまして、それかといつて著しくない場合はそれで免除して、そういうものは許すということではないのであります。一應彈劾裁判法による彈劾の訴追の事由といたしましては、著しく職務上の義務違反ということに當る涜職行爲があつた場合に、これを取上げることにしたのでありまして、別個に涜職の行爲があつた刑事裁判によるところの收賄等の行爲をもつて、法をもつて議せられますことは、これはおのずから別問題だと、かように考えております。

北浦圭太郎日本自由党

○北浦委員 私もこの第十二條と牽連して考えております。これは御承知の通りにいわゆる便宜主義で、刑事訴訟法においても、檢事が起訴するかしないかを情状によつてきめる同じ規定があります。この規定を置いておるから、第二條を茫漠として規定しておくという理由には相ならぬ。制限列擧主義をきちつと置いておる。そうしてなお情状によつて、哀れと思うときは訴追しない、これが便宜主義である。あなたが今おつしやつたように「著しく」とか、「甚しく」とか、こういう形容詞が三箇條ともついておりまするが、これは私は反對です。よいものを削るわけがわからぬ。第十二條との牽連事項であるとか、あるいは形容詞ということは、まず第二といたしておきまして、列國の立法例に規定されておるものをなぜ削るか。それはどういう意見であるか、お伺いします。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 それはお手もとに刷り物としてあげましたものを、全部整理してあげておけばよかつたのでありまするが、その後修正いたしましたものをも附け加えまして、ありのままに皆樣方に御提供したわけでありまして、その點を御了承願いたいと思います。  今のお話の點につきましては、これは二條と十二條と關連いたしましての、立法の解釋の問題であろうと考えておるのでありますが、私が先ほど申し上げましたような意味におきまして、つまり二條をできるだけ包括的にするように、多少言葉を具體的でなくて、抽象的にあげてくる。さようにいたしますれば、十二條は要らないのではないかということになるのでありまして、二條を非常に具體的にこまかくあげていきますと、その場合において多少苛酷な場合も出てまいりますので、十二條の規定をおくことも必要であろう、こう考えるのであります。前者の意見をとつておるのでありまして、これは立法をいたします場合におきまして、私どちらにも意見はあり得ると考えて、おるのでありまするが、前者の意見を一應採用することにしました關係上、先ほど申し上げましたようなことを、御説明いたしましたのであります。

北浦圭太郎日本自由党

○北浦委員 刑法という實體法があつて、刑訴という手續はありまするが、刑法はあなた方御承知の通れ、きわめて具體的である。惡いことをした者は監獄に入れる、人を殺した、傷害した、人の名譽を毀損した、なるほど具體的に事實を列記してある。しかも十二條と同じような條文を刑事訴訟法にも置いておる。そうするとあなた方のおつしやることは、まつたく刑法なり、刑事訴訟法の論理と相反するものであつて、茫漠と書いておいて、そうして情状を酌量するか、そうじやない。嚴格に規定しておいても、そこで情状酌量するところの餘地をおいて緩和する。いい加減に規定しておいて、情状酌量しないというのはわけがわからぬ。これはあつた方がよい。現にアメリカはこれを規定しておる。内閣彈劾法、收賄行爲、ちやんと規定しておる。  それはその程度にいたしておきまして、次はこの問題の「著しく」とか、「甚しく」とかいうものは、どうも感心できない。職務上の義務に少し違反した行爲は差支えない、職務を少し怠つても構わない、裁判官という信用を少し失うても構わぬとか、さような立法の仕方というものはない。みな、刑法でも、民法でも、輕過失、重過失の區別はいたしておりまするけれども、これはこれで輕過失とは何ぞや、重過失は何ぞやとちやんと定義がある。このような「著しく」とか、「甚しく」とかいうようなものは、私は法律の文とは考えられない。こういうものをそつくり削つて、そうして十二條を適用する。これで平仄が合う、論理が合う、理窟も合う。この點御意見いかがですか。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 それは御意見でありまして、私はそれがいけないとも考えません。原案には一應十二條は置いてありますが、第二條を修正案のようにいたしますと、十二條は削除してはありませんけれども、實は十二條は削除した意味においてお考え願うのが適當であろうと思います。それから「著しく」とか「甚しく」とか、いろいろ書いてありますのは、これは彈劾法が、彈劾による罷免の裁判であります關係上、罷免いたします場合におきましては、かような相當重大な事實があり、行爲があるような場合に限定するのが、適當であろうと考えますので、さような表現を用いたわけであります。

北浦圭太郎日本自由党

○北浦委員 私はこれを具體的に書いておいて、十二條は削除しないでよいという考えをもつておる。あなた方は實體的規定をぼんやりと書いておいて、十二條は削除したいという御希望かもわかりませんが、私はそうではない。刑事訴訟法にも書いてある。その點は議論がわかれていきますが、まずお考えを願つておきたい。

淺沼稻次郎日本社会党

○淺沼委員長 速記をやめて……。    〔速記中止〕

淺沼稻次郎日本社会党

○淺沼委員長 速記を始めて……。

北浦圭太郎日本自由党

○北浦委員 次に第二條の實體についとお伺いいたします。最高裁判所の裁判官その他の裁判官、特に最高裁判所の裁判官には、重大なる任務があつて、これは憲法の擁護者である。私は今から十五、六年前に、彈劾ということについて、論文を書いたことがあるのでありますが、この實體は、憲法、法律に違背した場合においては必ず罷免さす、こういうことをぜひ明記しなければいかぬという私の持論である。たとえて申しますと、今囘の憲法の第三十七條には、何人も刑事事件においては、被告人は公平な裁判所の迅速な公判を受ける權利があると書いてある。御承知の通り今日まで大審院の裁判というと、遲くなるものは二年も三年もかかる。しかし一體こういうふうにぐずぐずして二年も三年もかかるということは、裁判官の憲法違反である。そこで新たにそういう權利を刑事被告人に與えたのが、第三十七條であると思いますが、こういう場合には、これは職務上の義務に著しく違反する行爲である、また一面に職務をはなはだしく怠つた行爲である、また裁判官としての品位を著しく失うべき非行である、こうなる。同じことばかり規定しておるようなことになりますが、これは憲法の場合の一事例である。それからまた同じ憲法には、法律不遡及の原則も書いてある、一事不再理の原則も規定してある、これも國民の一つの權利であります。こういうことはあまり例はありませんけれども、しかしながら、ときどきこういう間違いはある。これは法律違反である。こういう場合に、一體この中のどれにあてはめようか、これは訴追委員會の自由裁量でありましようが、少くとも憲法、法律に違反した場合においては罷免だ、こうさえ書いておけば——法律というものはそんな茫漠たることを書いてない、憲法というものもきちつとできておる。そこで私は少くともこの條文中に、憲法、法律に違反ある行爲がある場合においては、訴追の理由になる。實體的規定にかえてはどうか。こういう意見を昔からもつておりまするが、法制部の方の御意見をお伺いいたします。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 それは見方の相違かと思いまするが、ただいまお話のような表現の仕方も確かにあり得ることだと考えております。しかしながら、いずれにいたしましても、憲法に違反、あるいは法律に違反と申しましても、具體的にそれがはつきりわかつていない場合においては、實際問題といたしまして、はたしてそれが訴追事由に當るかどうかという實際の處理ができないのでありまして、先ほどお話のような、たとえば國民は迅速な公開裁判を受ける權利を有するということになつておるのでありまするが、同時に、これはまた裁判官が迅速な裁判をすべき義務を負うことになろうと思います。それでは迅速な裁判は、何日でやつた場合において迅速な裁判になるかということになりますと、具體的な事例に應じてこれを決定しなければ、なかなか判斷がつき得ないのであります。その場合におきましては、この原案にありますように、本人が職務を怠つて、ほんとうは一箇月で判決をし得るのに、實際は出てこないとか、あるいは出てきても少しも訴訟の進行を熱意をもつてやるようなことがないというような場合には、職務をはなはだしく怠つたことになりましようし、またそれがそうでなくてやつておりましても、あるいは本人がその仕事のことには熱心にやつておりましても、それがほかの方の事例に當るような場合におきましては、たとえば一號、二號のその他の事項によつて本人を訴追するということになるのでありまして、具體的な事例によつて決するよりほかないように考えられるのであります。從いまして原案のような規定をおいてあるのでありまして、御趣旨におきましては、憲法、法律に違反したというようなことは當然はいると思いますが、なお一層それが抽象的ではありますけれども具體化されておるという點において實際的ではなかろうか、かように考えております。

北浦圭太郎日本自由党

○北浦委員 第二條だけの結論といたしまして、第一、體裁から申しまして、大體の概念から申しまして、これは法律の態をなしていない。殊に片はしから「著しく」とか「甚しく」とかいうような形容詞をつけて、そうして實際訴追の任に當る者の多數決になつております。法律は法の網をつくるのであつて、そう微細なことは要りませんが、せめて網だけをつくらなければいけない。裁判官として信用を著しく失うべき行爲、これは實にどうもわけがわからない、私はそこにもう一遍よく考えてもらいたい。これだけの希望をしておきます。  次に移ります。第七條に、訴追委員の獨立ということが書いてある。修正もたしかそうであつたと思うのですが、一體訴追委員の獨立ということはどういうことか。司法官の獨立ということはよくわかる、裁判官の獨立ということは、これは憲法上、昔から、モンテスキユー以來から言うのでありますから、いわゆる司法權の獨立、他の行政官廳、あるいは立法の勢いによつて獨立の意思を左右することはいけない。ゆえに終身官である、あるいはまたきついときになると、職を送るときでも本人の承諾を要する。しかしながら、この訴追委員の獨立というのは、一體どういうものか。裁判員でも、檢事というものは司法官ではない。この彈劾法で申しますと、これは全然違う。その獨立というのは何を意味するか、この點をお伺いします。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 今の七條の點御説明申し上げますが、その前に「著しく」「甚しく」という點は、すでにたびたび御説明申し上げましたので、特に省略いたしたのでありますが、普通「著しく」とか「甚しく」というような事項に當らない場合におきましては、一般の懲戒裁判に行くのでありまして、「著しく」「甚しく」のときだけが、懲戒以上に免職というようなことが問題になりますので、特にさようなことを表わしたわけであります。その點は御了承願います。  それから職權の獨立の問題は、これは訴追委員——彈劾裁判所もさような規定を置いてありまするが、この委員あるいは裁判員になられる方々は、國會から選ばれた方々なのでありまして、この職責を行うにあたりまして、國會議員としての職務とは、全然別箇に、獨立して公平な訴追委員の職務を行い、また裁判員の仕事を行う。また國會のいろいろな勢力にも煩わされないで、獨立の權威をもちまして裁判なり訴追を行う、かような意味を表現してあるわけであります。

北浦圭太郎日本自由党

○北浦委員 そういうことは、法律論でなくして、政治論であります。彈劾法というものは、法律であります。あなたの言われることをずつと聽いていると、自由黨はこういう意見にかたまる、社會黨はこういう意見にかたまる、そういうことがないようにという意味に聞えますが、そんなことは法律問題じやない、法律上の説明じやない。法律上の説明とは、獨立とは何ぞや、第三者の干渉を入れないほんとうの獨立の精神である。ところが權利というものは同一體の原則というものがあつて、これは崩れない原則である。いわゆるここで申しますると、委員長から委員に至るまでもちろん同一體である。起訴するかしないかは考えまするけれども、いやしくも起訴した以上は、同一體となつてこの罷免の有罪方面に進んでいく。この規定に書いてありまする辯護人は一生懸命に罷免を逃れる方へ進んでいく。そこで裁判員は獨立の精神、どの政黨からも、どの機關からも制肘を受けないで正しく判斷する。これでなければ機構というものは完成しておるとは言えない。私はこれはどうも滑稽な條文だと思う。「訴追委員は、獨立してその職權を行う」。實に法律的に古今に例のない條文であろうと私は思う。この點もお考えを願わなければならぬ。  それからついでに申されたから、私もついでに申し上げるのでありますが、著しくないものは懲戒裁判に付するのだ。そうはいかぬ。著しくないものは、ことごとく懲戒裁判に付するという、そういうわけにはいきません。免れるものもたくさんある。きちんと、甲にあらざれば乙、そうはいかぬ。また懲戒裁判にかりに付したといたしましたならば、それはもうりつぱな社會問題となつて、——それは譴責であるかというようなことくらいならば、著しくという點からはずれましようけれども、もう裁判官たるものが怠けて懲戒裁判を食うということでは、國民が信任できない。それだけの理由であれは、まだ私は納得できない。訴追委員の獨立ということをお考え願いたい。こんなものはほかにない。  次に第十四條に移りまするが、これを削除されたのは、わけがわからぬ。これは刑事訴訟法によりますると、ちやんと規定がある。刑事訴訟法では私は近ごろ刑事訴訟法という書物を讀まぬから知りませんで、間違いかもしれませんが、取消しと取下げとを區別しておるように思う。それでまず起訴して、公判前には取下げであるけれども、公判に係屬すると取消し、こういうふうに區別されておるように私は思つておる。公判にひつかかつたら、事件は公判の方に移つておるおら取消しというものはないじやないか。ゆえにこの條文は要らぬのだ。そうじやない、よくお考えを願わなければいかぬ。國家公益の代表たる檢事、まあここでは訴追委員の時間と勞力と費用を省くところの利益がある。刑事訴訟法にも、公判に係屬してから取消すということは、ちやんと規定があるはずだ。もしこれを取消ししないで、裁判所に係屬をしておるから、裁判員の手に係屬しておるから、それをだんだん調べてみて理由がなかつたのだというようにしようと思うと、やはり決定と申しまするか、裁判の審理になる。訴追委員の方で取消してさえしまえば、普通の刑事訴訟法では公訴棄却になりますが、判決してしまえば、時間が違う、費用が違う、勞力が違う。そういう利益がありますので、こういう條文を置いてある。刑事訴訟の方を調べてごらんなさい。公判に係屬後に取消しというものがある。私は六法をもつておりますからじきに調べもいたしますが、どういうわけでこれを削除されたか、削除しない方がいい。大體において原案を通覽して見るに、よくできておる、修正が惡い。どういうわけであるか。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 取消しと取下げは、たしか取下げの方は民事訴訟にあると思つておりますが、刑事訴訟におきましては取消しと考えております。十四條の規定は、確かに刑事訴訟にあるのでありまして、それと同調の規定であります。しかしながら、これまたよく考えてみますと、一旦訴追委員會が訴追いたしました以上、それ以後それを取消したりするという行爲は、彈劾裁判所の權限に屬すべきものである。それ以後の問題については、訴追委員會としては、それに對してただ希望的な通知なり、あるいは申入れをし得るに止まるという考え方もあり得ると思います。それは刑事訴訟の規定によりますと、お話の通りでありますけれども、新しく立法いたします場合におきましては、どちらの方をとるかという問題になるのでありまして、私どもといたしましては、ただいまあとで申し上げましたように、すでに訴追せられた以後においては、これを取消すとか取消さないとかいう一切のことは、彈劾裁判所の權限に屬すということにいたしまして、裁判所の權威を強めることにいたしたわけであります。

北浦圭太郎日本自由党

○北浦委員 一旦訴追した以上は、取消しということは權威にかかわるというか、大體そういうことをおつしやいます。それは議會の訴追委員は決して神樣ではないので、間違ひもある。間違いがあつて、それを取消してどこが惡いのか。私どもが申しますように、大體この訴訟手續法の原則として、時間と勞力と費用を省くということが原則なのである。おのれが惡い、眞に裁判官が何ら罷免に値する行動がなかつたということが、だんだん研究しておる間にわかつてきたら、取消すのに何のはばかることがあるか、どこに權威がありますか。あなたのおつしやることは、大きなりつぱな理由とは相ならぬ、私はさように考える。  次に第二十條ですが、彈劾裁判所は、衆議院議員たる裁判員及び參議院議員たる裁判員がそれぞれ五人以上出席者がなければできない。これはよろしい。「法廷ですべき審理及び裁判を除いて、その他の事項につき彈劾裁判所が特別の定をした場合は、この限りでない。」これは今日の最高裁判所のように、廣い意味をもつてそういう規則をつくることができるのですか、あるいはただ單に五人出席しなくてもできるという狹い意味なのか、この點をひとつ明らかにしておいてもらいたい。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 本法案に規定してありまする事項についての特例を設けることは、できませんのですけれども、それ以外におきまして、これに違反しない範圍におきまして、實際の取扱いその他についての特別な定めをなし得ることはできる、かような意味であります。

北浦圭太郎日本自由党

○北浦委員 そうすると、五人以上出席云々ということでなくして、この法律に牴觸しない以上は、法規は作成することができるとおつしやるのですか。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 一般的な規定は、第四十一條に規定がございますから、それによりまして御承知を願いたいと思つておりますが、二十條に書いてありますのは、この五人以上の定足數とか何かにつきまして特例を設けるという意味でなくして、それ以外の狹い意味におきまして、特別の定めをなし得る。たとえば、審理裁判以外に、普通の議事、決定等につきまして、五人以内でもいい。こういうようなことはなし得るわけであります。

北浦圭太郎日本自由党

○北浦委員 そうすると、第四十一條とは全然接觸しない、交叉しない。これは審理裁判するという人數だけに限定しておる意味ではないのですか。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 大體さような意味に解しておりますが、それ以外にも、二十條に關連いたしまして、議事その他について特別の定めをする場合には、五人以上でなくてもいいというふうに考えております。

北浦圭太郎日本自由党

○北浦委員 それは四十一條でいけるのではないですか。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 大體四十一條でいけるのであります。しかしながら、四十一條は一般的な規定を包括的にきめましたものですから、そのときの個々的な問題につきましては、その都度の取扱いによりますから、それで二十條を置いたのであります。

北浦圭太郎日本自由党

○北浦委員 ここはもう少し具體的にわかるように書かぬと、だれが讀んでもわかりませんよ。四十一條と二十條を比べて、五人以上出席しなくても審理裁判することができるということならわかりますが、今あなたがおつしやるような、四十一條の範圍外の手續なんかもできるとは、二十條を讀んだだけではだれでもわかりません。その點お考え願いたい。  それから二十九條ですが、「證據については、刑事訴訟に關する法令の規定を準用する。」こうなつております。その次に強制處分であるとか、あるいはまた勾引、押收その他ができない。これは憲法の規定を見れば、できないことはきまつております。刑事訴訟に關する法令の規定をやる以上は、證人、鑑定人、通譯というものの宣誓の點は當然適用はあるのですか。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 あります。

北浦圭太郎日本自由党

○北浦委員 そうするとうそをついた場合においては、刑法上の何がある、こういうように結論できるかわかりませんが、そこが大きな問題になつてくる。この法律で刑事訴訟を準用してやつたところで、やはり彈劾裁判所は彈劾裁判であるのであつて、決して刑事手續ではない、刑事裁判ではない。ある證人が宣誓して虚僞の陳述をするというようなことは、これは刑事訴訟法に規定してある。刑事事件についてうそを言うとやつつけられるのである。この彈劾裁判所でうそを言うたら、今度あの刑法を適用するということはいかがでしようか。この所は、どこまでも彈劾裁判であつて刑事裁判ではない。そこであなたは虚僞の陳述というのは、刑事裁判にかけるとおつしやいますが、僞證の犯罪構成要素を考えてもらわなければならぬ。何かそういうものがあつたと思うのですが……。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 僞證罪百六十九條「法律ニ依リ宣誓シタル證人虚僞ノ陳述ヲ爲シタルトキハ三月以上十年以下ノ懲役ニ處ス。」

北浦圭太郎日本自由党

○北浦委員 そこでこの法律というものは、いかにも明白である。つまり刑事、民事の證人として宣誓する、そうしてうそを言うた場合、罪がある。第一に、私はお尋ねいたしまするが、この裁判官彈劾法案の場合も、證人が出てきたら、何事をも默祕せず何事をも附加せず、ああいうような宣誓をやるつもりですか。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 やるつもりです。

北浦圭太郎日本自由党

○北浦委員 その點ぴたりあてはまるようにお考えになりますか、ちよつと變ではありませんか。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 ぴつたりあてはまるように考えております、少しも疑問はないと考えております。今のお話の點は、刑事訴訟の準用によりまして、當然刑事訴訟による證人の宣誓をしなければならない義務を有してくるわけであります。それによりまして、今度は宣誓して以後うその陳述をいたしました場合におきましては、實體法である刑法の僞證罪に問われる。こういうような關連をもつてくるわけでありまして、その間一向矛盾はないように思います。

北浦圭太郎日本自由党

○北浦委員 實のところ、私は議會の特別調査委員会の條文から非常に考えているのです。そこに證人喚出しはあるが、こんな規定はないのです。證人は喚び出すことができるがうそをついてはだめだといつて宣誓さすことはできない。なぜそういうふうにできているかというと、あれは立法機關が、さような司法機關のやるようなことをやつては惡いから、さようなことはできていない。できていないことは、私は正しいと思う。アメリカのように、立法、行政、司法を嚴重に區別している日本の憲法の建前ではありませんけれども、しかしこの立法機關のものが、司法機關の方にはいりこんでいつて、その法律をもてあそんでいるということはよろしくない。ゆえに、あるときは證人を喚びます、資料もとります。しかしこういう規定は置いていない。委員會において法律を置こうという説もありますけれども、私は反對である。同一趣旨において、かりにこれは彈劾裁判とは申しますが、一體司法の裁判というものについては、特別の裁判は置くことができないことは、憲法に規定がある。しかるにこういう裁判類似の——これは罰といえば罰でありますが、刑罰ではなく、罷免だけである。だからこれはほんとうをいえば、司法に屬するような裁判とは違うのです。私が言うまでもない、あなた方は專門家である。しかるに司法の裁判でないところの裁判に——司法裁判を憲法で嚴格に禁止しているものを、特別裁判所を設置することはできない。これを議會でやるのは、これだけが一つの例外であつて、斷じて司法の裁判とは違う。しかるに司法の裁判に課しているところの刑罰を、ここに借用に及んで罰しようということは、間違いでないか。私はこの議會の特別調査委員會のあの條文からじつと考えているのでありますが、實のところ間違いである。間違いだという結論はまず浮かんでいるのですが、まだ何がゆえに間違いであるかという法律構成は私においては確立していない。ただ言い得ることは、どうしたつてこれは司法機關とは違う。この彈劾裁判というものは普通の司法裁判とは違う。これだけは明かである。これはあなた方何と言おうと明かだ。民法や刑法とは別のものである。その別のものを議會の立法機關がさような法律を借りてきて適用することができるかどうか、ここに私は疑問をもつているので、念のためにお伺いしているのです。もちろん、こんな裁判は司法の方でやるに違いないと思つておりますが、その點いかがですか。違法なりや否や。刑罰何年なりやということは、司法裁判所でやるものと私は確信いたしておりますが、いかがですか。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 御意見通りでございます、運用は……。

北浦圭太郎日本自由党

○北浦委員 その點は私と意見が一致している。そういうものも借用できるかどうかという點については、私も考えるが、あなた方もひとつもう少し深くお考えを願つて、こういうことは立法機關で許されるかどうかということを御考慮を願いたい。私の質問はこれで終ります。

岡井藤志郎日本自由党

○岡井委員 修正案が出ておりまするが、修正前は第一號に「涜職の行爲があつたとき」とあつたのが、省いてあるようでございまして、これは涜職の行爲があるならばやめるようになることはわかりきつたことでございまして、條文の體裁といつた面はともかく、實益としてはかような號はおく必要がないと思いますので、私は修正案の方に贊成をいたしまして、修正案に基いてお伺いいたします。第二條第一號「職務上の義務に著しく違反し、又は職務を甚だしく怠つたとき。」これの模範例を一つずつおつしやつていただきたいのです。どういうものを想像せられておるのであるか、その典型的なものを一つずつあげていただきたいのです。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 たとえば、第一號につきましては、涜職の場合はもちろんはいるとお考えになつてよろしいと思います。裁判官が金を被告あるいはその關係者からもらつて、裁判に不當な結果を來したような裁判をする。そういう結果は別問題といたしましても、少くとも裁判に關連して收賄の行爲があつた場合には、一號の職務上の義務違反になります。また裁判所法に今度新しく第五十七條に政治運動等の禁止の規定があります。これらはいわゆる職務上の義務違反に當るものと考えます。それから「職務を甚だしく怠つたとき」というのは、一般普通のいわゆる官吏服務紀律の概念によつて規定すべきであると考えておるのでありまして、たとえば、裁判官として毎日裁判所には出ておりますが、一向裁判を積極的に進行させるような努力もしないし、訴訟の審理もしないというような場合等において、それははなはだしき場合は、職務を怠つたと考えてよろしいと思います。また二號の場合におきましては、これはあまり例が適切でなく、はなはだ好ましくないのでありまするが、わかりやすい例で申し上げますれば、裁判官がだれか女との關係ができて、姦通罪なり何なり、さような事態が起つたような場合におきましては、裁判官としての威信を著しく失墜するもの、かようなことになるかと考えております。まだそのほかにいろいろ關係事項は多いと考え得るのであります。

岡井藤志郎日本自由党

○岡井委員 今、五十二條の、何とかおつしやつたのを聽き漏らしたのですが……。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 五十二條は、裁判所法に今度新しく政治運動等の禁止の規定がありまして、「一 國會若しくは地方公共團體の議會の議員となり、又は積極的に政治運動をすること。二 最高裁判所の許可ある場合を除いて、報酬のある他の職務に從事すること。三 商業を營み、その他金錢上の利益を目的とする業務を行うこと。というようなことが、裁判官として禁止せられております。

岡井藤志郎日本自由党

○岡井委員 わかりました。私はさような立法理由ならば、かような法律はまつたく必要がない、かような法律を設けるまでもなく、最高裁判所の人事係の方において、當然適當に處斷されるものであつて、國民の憂いとするところは亳未もないのでございまして、いやしくも國會が彈劾する以上は、そんな事務官に任せておいてよろしいようなことに容喙する精神ではないと思うのでございます。そこで私は第一號、第二號を全部書き直しまして——あるいは第二號くらいは置いてもよいかもしれませんが、第一號をもう少し國會が國家國民のために彈劾するのにふさわしきように書きかえるのです。憲法第七十六條第三項に「すべて裁判官は、その良心に從ひ獨立してその職權を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」こういう條項がございます。裁判官のもつとも憂いとしまするところは、良心に從わざる裁判が非常に多いことであります。國會においても、國民においても、最も心配しておる點は、これだけでありまして、ほかには何もないのです。女をこしらえ、白晝公然ふしだらな行爲をしましたり、裁判所に來ても、ぽかんとして裁判をしなかつたり、賄賂をもらつたり、これはやめるのはわかりきつたことでありまして、こんなことのために、われわれが貴重な時間を割いて立法しておるのでは、ばかばかしくて話にならぬのであります。やめるようになるのはわかりきつておる、天下國家に何も關係ないのであります。かくのごとき裁判官は自然にやめるようになつておるのです。何も國會の手を煩わす必要はないのでございます。われわれはかような瑣末なことのために、彈劾法というものをつくろうとしつつあるのではないのであります。その理由を、簡單に十分間ぐらい時間を賜わりまして申し上げたいと思います。これはおそらくどなたもお聽きにならぬと思いまするから、よくお聽取りを願いたいのです。すべて本條に關係のあることでございますから、そのおつもりでお聽取りを願います。  私の修正案は、裁判官が良心に從わざる裁判をなしたるとき。これが第一號。第二號は、裁判官において判斷能力なきとき、それからもしどうしても置きたければ、第三號においてただいまの第二號の條文をおおきになるのですが、これはどうでもいいと思います。實益はないと思います。實益のあるのは、良心に從わざる裁判をなしたるとき、判斷能力なきとき、この二つだけと思うのであります。  その理由をわかりやすくするために、まず人のやることを批判するのが職分のようになつておりまする國会議員、これは裁判官に擬せられるところがありまするので、國會議員について申し上げます。    〔委員長退席、松永委員長代理著席〕 戰爭中、國會議員は、當局の演説を聽いたわけです、當局の顏色にも接したはずでございます、また祕密會というようなものもあつたはずでございます。そこで私は、當局が眞の戰意を喪失しておる、あるいはもう戰爭に勝つ見込みがないということをみずから認めておるということは、國會議員に讀みとれたと思うのでございます。もしこれが讀みとれなければ、少しく、あるいははなだしく能力を缺いておるのではないかと思うのでございます。私は一昨年八月十五日の終戰の御勅語の後で、日本はすでに昭和十八年暮のカイロ決議のときに戰爭を投げて、爾後和平の機會をねらつておつたということを、ラジオでさような奇々怪々なる放送をしたのを聽いております。これは重大なる祕密を政府がもらしたのだと思われます。というのは、翌日どの新聞にも出なかつたから、そう申すのでございます。もし國會議員にして、ほんとうに良心に從つたる行動をなしておつたならば、私は戰爭中、しかるベき時期において、當局に迫つて戰爭をやめさせるように仕向け得たと思うのです。すなわち一方において、アメリカに向つては外交の手を打つ、たとへば、日本はあなた方のごらんになる通り戰爭は負けである、しかしながら一億玉碎の國であるから、ただは負けない。あなたのごとき大國は、ちつぽけな島々を占領するために戰つているわけではないから、今戰爭をやめてくれれば、日本の方でも手を引く。もしあなたの方で臺灣、樺太などをとりたいために、何百萬の犠牲を忍ぶこともあえてするならば、あなたこそ世界平和の敵になる、かような論法をもつていたしますならば、私はアメリカは必ずその當時和平に應じて、日本はまた臺灣、樺太ぐらいは保ち得たであらうし、しかも世界平和のために感謝され廣島に原子爆彈を落されるというような、日本政治家のなすべきことをしないための大犠牲を受けることは、起らずに濟んだと思うのです。かようなことを考えますと、當時の國會議員が良心に從いたる行動をとらなかつたということを、私は痛罵したいのです。われわれが現在のごとき悲境にあるということは——私は申します、國會議員の責任は實に重大である。ほんとうの良心の叫びに從いましたならば、われわれの見る國土は、今見るごとき國土ではないのです。さような認識が亳末もわかつてないのです、そしてただ何囘當選をしたということを譽れのごとく思つておる。    〔松永委員長代理退席、委員長著席〕 私は國を滅ぼしたる犯罪人である、かように思うのです。これは國會議員が良心に從いたる行動をとらなかつたためなんです、そうしてただ表向きだけは、愼重審議をするとか、いかにも國會議員らしく振舞う、これをもつて政治家の本領なりと心得ておりましたためにわれわれがかような悲しむべき状態にあるのでございます。ともかく、私は國會議員中、ただ一人良心のある人がいなかつたと思う。良心があつても、良心がはなはだ稀薄にして、良心に從いたる行動をとるものは一人も半人もなかつたということを、私は痛感するのです。この點は新聞人にも政治家にも認識が足らざるようありますが、私はさように斷言してはばからないのでございます。  そこで國會議員は内閣に對するものでございますが、裁判官もやはり批評家の立場にあるのでございます。實に日本の裁判官ほど、くだらないものはなかつたのです、ただ表向きだけ官吏服務紀律に順從なるがごとくにして、實際はそうでなかつたのでございます。それですから、立法者が何も御心配遊ばされなくても、白晝藝者とふざけたり、裁判所へ出てもぽかつとしておるような、そんなばかな司法官は一人もないです。そういうことは國家國民の憂えではないのです。そんなことを心配するというのはよけいな心配なんです。われわれは少しもそんなことを心配する貴重な時間はもつていないはずです。私は山梨大將事件の控訴審の裁判官から聽きました。かような明白な事件を、なぜ無罪にしたのであるか。いわく、あれは間違いはないのであるけれども、大將なんかに對して起訴するのが間違いである。かようなことを申しました。事實としては、收賄の事實が確かにあるということを、列席したる判事は實に私に自白したのでございます。私は、その判事が平素大言壮語をしておりますので、君にも似合わんじやないかということをもつてとがめたところが、左樣な言質を得たのでございます。これをもし眞實に從つて有罪としたならば、どういうことになるでございましよう。また帝人事件についても、私は大なる疑問をもつておるのでございます。無罪になりましたけれども、非常に疑問をもつておるのでございます。それから田中大將の機密費事件、あるいは三百萬圓横領事件、これは裁判所の弱腰を見越したかどうか、とうとう檢事の起訴がなかつたのでございますが、もしこの山梨大將事件、田中大將事件、帝人事件というようなものが、本當に眞實に從つて裁判されて罰せられておつたとしますればどういうことになるのでございましようか。軍部少壮武官の蹶起もなくして濟んだかもしれません、軍閥の跋扈もなく、從つて國家今日の滅亡もなかつかもしらぬのです。つまり、かような大事件を見逃しましたために政黨の腐敗堕落を招き、政黨政治は一度落第の經驗をなめました。そのために軍閥の跋扈を來し、ひいて國家今日の悲境を來したのでございまして、裁判官は、なすところはりつぱに國家に關係しておるのでございます。國家に關係しておればこそ、國會議員なり、裁判官なり、内閣なりは、憲法に麗々しく掲げる必要があるのでございまして、國家に關係がなければ、裁判官のごときは、何も憲法に掲げる必要がないのでございます、國會において彈劾する必要がないのでございます。國家に關係があればこそでございますが、裁判官みずから、われわれの仕事は國家に關係があるということを知らないのです。そうしてただ型のごとく形式的の執務方法をもつてして滿點なりと心得ておるのでございます。わが裁判所部内におきましては、昔から非常な審理に對する誤解があるのでありまして、たとえば、司法官試補の修習にあたりましても、どちらに認定してもよろしい筋が通つておればどちらを勝たしても負けさしてもよろしいということを、指導官みずから仰せになるのでございます。それから大審院判決におきましてもかくかくの事實をもつてして認定せられざるにあらず、認定せられないことはないというようなことを書いております。およそ過去は儼然たるものであつて、過去の事實は神樣といえども一分一厘、といえども變更することはできないのでございます。このくらい嚴格無比なるものはないのでございます。そこで過去の判斷にあたつては、すべからくかように認定するのほか能わず、認定せざらんと欲するも能わず、これよりほかに認定のしようがあるならやつてごろうじろというところまでいかなければ、裁判というものではないのです。認定せられざるにあらずということは、將來について言う言葉なのです。きのうも大阪へ行つた。その筋道は、きのう行つたならば、この宇宙間においてただ一筋、幅もないただ一筋に限られておりますが、明日大阪へ行く方法に至つては、天上天下、四圍東西南北、その道は世界をつなぐその筋の數よりもなお多いのでございます。そこでいかなる方法をとつても、大阪へ行けざるにあらずということは明白でございますが、過去はちよつと違うのです。過去はただ一點なのでございます。そこで認定せられざるにあらずというようなことは、大審院みずから法則を知らざるものである。このために人民がいかばかり泣いておるか、また國家の風教を害し、ひいては今申し上げました通りに、國家の滅亡にも關係しておるということがわかるのでございます。  そこで、私は最後の結論にはいりまするが、裁判官が良心に從わない裁判をするということが、最もこわいのでりあまして、そうしてこれは裁判官に向つてとがめようがないのです。自分はそういうぐあいに認定したと言えば、それまででございまするから、それに對してとがめようがないのでございます。しかもこのくらい恐ろしいことはないのでございます。それからまた判斷する能力なき裁判官、これは子供に刄物を持たしたごときものでございまして、良心に從わない裁判よりも、もつと弊害を流すかもしれないのでございます。そこで、私はいやしくも國會が裁判官を彈劾する以上は、良心に從わざる裁判をなしたる裁判官を罷免し、また判斷能力なき裁判官を罷免するというのでなければ、意味をなさない。そのほかのただいま第一部長御説明のごとき事例は、ひとりでに解決される問題でございまして、何も國會の彈劾をまちません。國會はさような刀筆の吏にひとしきことのために、わざわざ二十人の裁判官彈劾委員を選んだりするようなひまはないと思います。何ら必要なきことである。ただ良心に從わざる裁判官判斷能力なき裁判官、これは天下國家の憂いでございまして、どうしても除かなければならない。國民の要望するところも、ここにあるのだと私は確信するのでございます。國會の權威のために、私はぜひさように御修正願いたいのでございます。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 なかなか高い御見地からの御意見でありまして、いろいろ教えられることがあるのでございますが、この第二條に規定しておりまするところは、要するにただいまお話のようなところに、結局は歸すると考えるのでございます。ただ法律の條文におきまして、殊に一般國民が何人も彈劾し得ないというような場合におきまして、良心に從わない裁判というようなことだけでは、具體的にさてどういう場合がそうなるかというようなことの、實際の判定に苦しみますので、法律の條文といたしましては、二條にあげましたようにいたしたのでございまして、これは何もお話のような趣旨に副わないということにはならないではないかと、ひそかに考える次第であります。なお判斷能力ないものにつきましては、心身故障のために職務をとることができない場合におきまして、別に裁判をすることになつておりますので、特に彈劾による必要はないように考えておるのでございます。一言申し上げます。

岡井藤志郎日本自由党

○岡井委員 私は良心に從わざる裁判をなしたる裁判官を彈劾する場合に、私がもし委員に選ばれましたならば、その良心に從わざることを如實に出してお目にかけるのであります。その漫漫たる自信があればこそ申し上げるのであります。  それから次に判斷能力なきこと、私も憲法七十八條の心身の故障のためにという文句があることは百も承知しております。私が判斷能力なきというのは、何も心身の故障という部類にははいらないのであります。この心身の故障ということは、病氣という意味になるのでありますが、病氣でなくして、大學の成績も相當であるし、司法官試驗も及第しながら、實際にあたつて事件の眞實を知らず、形式にとらわれる判斷能力なき裁判官が多いのであります。そのことを言うのであります。それから。私が今申しました良心に從わざる裁判官、判斷能力のない裁判官、これはこういうことを法律に掲げることによつて、裁判官を戒める效果があるではないか。法律のねらいとするところはここです。おそらくかような法律をつくりましても適用される裁判官は、何十年にわたつても一人もないでありましよう。これを適用する前にやめてしまうでありましよう。そこで法律のねらいというものは、大義名分を高く掲げるにあると思うのでありますが、第一部長はさように考えますかどうか。

三浦義男衆議院法制部第一部長

○三浦説明員 この彈劾法は議員立法でありまして、議員各位みずからの御發案によりまして立案せられるものでありますから、各委員の方々が、ただいまの御意見に御贊成であれば、おのずからさような立案が生れてくると考えておりますが、これをつくりました私どもといたしましては、先ほど申しましたようなことを考えておる次第であります。

淺沼稻次郎日本社会党

○淺沼委員長 大分時間が經つてまいりましたが、本日はこの程度で散會いたしたいと思いますがいかがでしようか。——本日はこの程度で散會いたします。    午後零時二十一分散會

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