運輸及び交通委員会 第17号
- 発言数
- 12 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1947/09/20
会議録
○正木委員長 會議を開きます。 法案の審議にはいるに先だちまして、これより過般の颱風による鐵道の被害状況、竝びにその後の復興状況に關しまして、運輸大臣より説明を聽取いたしたいと思います。運輸大臣。
○苫米地國務大臣 今囘關東、東北地方を襲いました水害につきまして、運輸省所管の状況を御報告いたしたいと存じます。 まず第一に、颱風と鐵道被害の状況でございますが、このたびの颱風の特徴は、その移動の速度が非常に緩慢でありまして、そのために降雨時間が長かつたこと、風は最高二十メートルくらいで、さほど強いものではありませんでしたが、雨量が非常に多かつたこと等があげられておりまして、その結果、わが國最大の水害をもたらしたという明治四十三年八月の豪雨に匹敵する雨を、主として關東北部、及び西部に降らしたのでありまして、最もひどかつた秩父におきましては、實に六百十一ミリ、すなわち坪當り十一石二斗という數字を示しておるのでございます。これによりまして利根川、荒川、北上川等の氾濫となりまして、そのため國鐵の受けました被害は、現在判明いたしましたものだけでも、實に八百七十八件に及んでおり、築堤の崩れたものが百七十六件、線路の流されたものが二百三件、橋桁の流れたものが十六件に及んでおります。これらの被害につきましては、關係從事員はただちにその復舊作業にかかり、晝夜兼行工事を進めておりまして、著々囘復いたしておるのでございますが、そのおもなる線の不通區間を申し上げますと、東北本線では二箇所不通の箇所がございます。小牛田・水澤間は二十一日開通の見込みであります。久喜・栗橋間は利根川堤防の決壊が修復できない限り復舊は困難でありまして、ただいまのところ開通は不明でございます。上越線は高崎・石打間の被害が最もはなはだしく、その箇所も多いので、復舊に手間取りまして、十月十五日ごろとなる見込みでございます。それから常磐線の水戸・大甕間の被害箇所は二十三日中に復舊の見込みでございます。水戸までの運轉は一時可能でありましたけれども、昨日金町附近の増水によりまして、開通は中止された次第であります。今後の復舊の見込みはただいまのところはつきりと立つておりません。中央線は大月・初狩間ですが、被害が多いので、來月の五日ころまでかかる豫定であります。奥羽線は湯澤・十文字間でありますが、これも相當被害が大きいので、十月一日ごろ囘復の見込みであります。信越線だけは吹上・熊谷間の被害箇所がすでに復舊いたしまして、現在唯一の全通線でございます。 また水害による運轉事故といたしましては、常磐線の貨物列車の轉覆、日光線において旅客列車の脱線、花輪線において混合列車の脱線轉覆があり、これによりまして死者一名、負傷者數名を出しましたことを遺憾に存じます。 次に輸送に及ぼす影響でありますが、東北、新潟のいわゆる早場米地帶と連絡が杜絶いたしましたのと、東北地方から薪炭輸送、常磐炭、亜炭、硫化鑛等の輸送に大なる支障を來しましたことは、まことに遺憾にたえないところでございます。なお山梨縣下の食糧事情逼迫の對策といたしましては、とりあえず身延線から自動車連絡をもちまして緊急輸送をし、その他各地にトラツクを配置して應急處置をとつておる次第であります。 第三に、今度の水害に對する應急復舊用にどれぐらいの資材が必要かと申しますれば、軌條及び附属品は七百五十トン、枕木が四萬四千五百丁、鋼材類が三百六十五トン、木材が九萬二千石、セメントが七千三百トンなどがおもなるものでございまして、その經費は概算四億ないし五億圓程度と推定されております。 第四に、囘復までの諸對策といたしましては、輸客の輸送につきましては不通區間はできるだけ一應トラツクまたはバスで連絡することといたし、また不通區間を避けて迂囘して直通列車を運轉する計畫であります。たとえば上野・青森間は常盤線、水戸線、東北線、奥羽線、陸羽西線、羽越線などを通りまして連絡をつけ、また上野・金澤間は上越線經由を避けまして、信越線經由で運轉する等のことを行う計畫を立てております。貨物の輸送につきましては、まず被害地方に對する救恤品、生活必需品及び、應急復舊資材等の輸送につきましては、無賃または五割引の取扱いを行いました。また不通區間經由の貨物は極力迂囘輸送を行つておりまして、進駐軍貨物を初め主要食糧、應急物資は最優先的に輸送を確保いたしております。 第五に、以上申し上げましたように、鐵道の主要幹線が不通となりましたので、東北、北海道と京濱地帶とを海上船舶で連絡し、救援物資や緊急旅客の輸送を確保することにいたしました。すなわち東京・鹽釜間に黒潮丸ほか一隻、東京・北海道間にときつ丸ほか六隻を配船いたしまして、すでに就航を見ております。また水害地帶には特に發動機船を動員して交通に充てる等の處置をもとつております。 次に、今度の水害による私設鐵道やバス等の被害も相當にひどく、未だに不通の線が多いのでありますが、その囘復につきましては國鐵とよく連絡を保ちまして、運輸省といたしましてはあらゆる協力を行うつもりでおります。なお、水害地救援につきましては關係各省と緊密なる連絡をとり、被害地都縣に對しまして、でき得る限り協力をいたす態勢をとつておることを附言いたします。以上をもちまして簡單ながら今次水害の交通關係に及ぼしました状況を御報告いたします。
○正木委員長 ただいま運輸大臣より説明を聽取したのでありますが、これに對する質疑があればこれを許します…。
○正木委員長 別段質疑もありませんから、これより前會に引續き鐵道營業法の一部を改正する法律案を議題として質疑にはいりますが、前囘の委員會で財政法第三條の實施に伴つて、今後國有鐵道運賃の値上げは國會の議決を要する以上、實施時期についても當然國會で審議されなければならないと思うが、そういうこととなれば、公告期間を政令をもつて定める必要はない。「政令をもつて」の字句は削除すべきものではないかとの質疑がありましたが、私鐵の關係もあり、この點についてより明快なる政府の説明を委員長としてお伺いしたいと思います。
○苫米地國務大臣 お尋ねの件に關しましては、政令をもつてすることは、法律により行政府に委任された事項を定める最高の方法でありまして、もし本字句を削除することに相なりますると、行政府が命令その他任意の形式をもつて定めることができることとなり、かえつて提案の趣旨と逆行する結果となるのであります。また「政令をもつて」を「法律をもつて」と書きかえることは、法令の形式として適當でないのみならず、私鐵の運賃改正等の際、その都度法律案を提出することにもなるのでありまして、非常に煩瑣な結果を来すことと相なるのではないかと存じます。また國鐵の運賃の改正は、財政法第三條によりまして、國會の議を經ることが必要となつておりますから、その際實施期日についても審議せられるのでありまして、政令で定めておきましても、これにより決して國會を拘束するものにはならないと思うのでございます。
○正木委員長 他に質疑はございませんか。成重君。
○成重委員 本案と關係ありませんが、この機會に陸運監理局長竝びに運輸大臣も見えておりますので、お尋ねいたしたいと思います。過日の本委員會において、鐵道賃金の値上げとそれに關連して地方私設鐵道の値上げに對しましてお伺いしたいのであります。私どもの地方における西日本鐵道會社は、三地域にわたつて私設鐵道をもつております。いわゆる北九州地區においてはこれを四倍の値上げにし、福岡地區においては値上げをしない。あるいは大牟田地區においても同様でありました。從つて北九州地區における經理内容は大きな黒字をなして、その黒字をなしておる鐵道を四倍の値上げをし、福岡地區において缺損をしているものを値上げをしてなかつた。しかも福岡地區においては同鐵道から市に對して報償金を出しておる。赤字を出した上に、報償金を出しておる地域のその缺損を、北九州地區の住民が四倍の値上げをされて、他の地區の赤字を負擔しなければならぬというような不合理な經理内容に對して質問申し上げましたところが、陸運監理局長は、西鐵全體の二千三百萬圓の赤字によつて西鐵の値上げは認めたのであるが、その地域的の經理内容は自分の方としては正確でないので、西鐵の三社をして休會中に私どもの希望に對して一應の説明をさせるというお約束をされました。しかるにこの私どもの希望に對して、西鐵側から十數日間經つても何らの答えもなければ、折衝もなかつた。從つて地方においては非常な紛爭を來しまして、大衆運動を起して、この不合理な値上げに對する反對の氣勢をあげんとしているような、不穏な氣配になつておるのであります。これに對しましてはたして陸運監理局長官は、この機會に西鐵の當事者に對して、われわれ運輸交通委員に對して誠意をもつてかくのごとき實情を了承を求むべく連絡をとつていただいたかどうか、この點をはつきりお答え願いたいことと、この不合理な運營状態にある西鐵に對しまして、地元の輿論といたしましては、かくのごとき状態にある北九州線を獨立させるということに對しての輿論が沸騰しておるのであります。かくのごとき一般民衆の輿論がそこに歸結し、あるいは會社當局においてもそれを妥當と認めるような場合には——經濟集中排除法案、ないし獨占禁止法等におきましては、交通事業等は除外する趣きでありましようが、地方の輿論がそこにおちつきました場合には、あるいは會社としてもそれを是なりと認めるような場合には、運輸當局としていかなる御所見をもたれておるか。この二點についてこの委員會の席上においてお答え願いたいと思うのであります。
○郷野政府委員 私からお答え申し上げます。西日本鐵道の運賃値上げの問題につきまして、前囘御質問がございまして、これに對しまして、私から値上げの事情につきましては一通り御説明を申し上げたのでありますが、なお鐵道事業が、地元のそれを利用いたします人々にとりまして、非常に密接な關係のあります公益事業であることからいたしまして、鐵道事業の運營、特に運賃値上げの問題などにつきましては、私どもといたしましても、また會社側の立場におきましても、できるだけ地元の方々に値上げの必要な理由をよく御説明申し上げ、これについて理解をもつて協力をしていただくことが本旨でございまして、こういう見地からいたしましても、ただいま御指摘のように、進んで會社側から御説明申し上げるべきだと存じまして、早速お約束いたしました通り、私といたしましては、その點をこちらの會社の連絡員を通じまして會社に傳達し、御説明申し上げ、御理解を求めるようにすることを要求いたしておきました。しかるにただいま伺いまするとこれについて會社から説明を申し上げるようなことがなかつたようでございまして、その點私もはなはだ遺憾に存じます。この點につきましては、さらに私どもの方といたしましても、その間のいきさつにつきましてよく取調べまして、さらに御滿足のいきますように處置を講じたいと存ずる次第でございます。なお會社の經營状態に應じまして、運賃の値上げを全體として決定することは、今囘の運賃値上げが早急に實施しなければならなかつた實情から申しまして、まことにやむを得ないところでございましたが、しかしながら會社の各路線につきまして、賃率の違いますような場合、その運賃の負擔がこれを利用せられます旅客にとりまして、公平であるかどうかという點につきましては、私どもとしましても御指摘の通り、十分に氣をつけて考慮してまいらなければならないことであると存じております。市内線の關係におきまして、運賃の値上がたしか二倍半、その他の線におきましては四倍であつたと記憶いたしておりますが、市内線の關係におきましては運賃値上げが、他の都市の市電の運賃などが一應一圓とその當時きまつておりましたので、これに對する關係から、これ以上の値上げができなかつたという實情があつたのでございますが、今後の運賃の修正その他の場合におきまして、個々の路線についての収支の檢討につきましては、さらに十分に注意をいたしまして、御指摘のごとく各路線について負擔の公平を著しく缺くことのないようにしてまいりたいと存じます。なお會社の今後の運營形態の問題でございますが、これにつきますしては、ただいまお話のように、新しい立法も近く考慮せられておるようでございまして、この具體的な運用がはたしてどうなりますか、また交通事業につきましては、その公益事業としての特殊性をどういうふうに考慮いたしまるか、具體的に政府の方針といたしましてまだ研究中でございまして、はつきりきまつたものはないのでございます。ただいまお話のように會社の經營形態の今後の問題につきましては、いろいろ地元の事情、また會社の株主、經營主竝びに勞働組合などの從事員の意向もございましようから、これらの點を總合いたしましてなお國全體といたしまして企業形態、經濟の民主化というような點から考えまして、交通政策の點も十分に取入れまして考えてまいりたいと存じまするが、政府といたしましては、公共福祉に反しない限り、戰爭中にとりましたような、特に會社の經營形態について指示をするというふうなことよりも、ただいまお話のように、實情に應じまして無理のないような方法で考えていくというような考え方で、一般の方針といたしましては考えるべきものと存じております。
○成重委員 なお數字は、これは正確でありますまいが、大體私の聽いた範圍では、西鐵は博多線、大牟田線、小倉線の三つを主としております。そのうち小倉線は一日の収益が五十萬圓内外でありますが、そのうちの三分の一、十五萬圓が人件費に充てられている。經理内容は大きな黒字になつている、博多線は一日の収益が二十四、五萬圓で、そのうち十七、八萬圓の人件費を日々出して、しかもその収益の何割かを福岡市に對して報償金として出して、それを今日そのまま繼續している状態であります。大牟田線のごときは一日の収益が約四十萬圓、そのうち二十四、五萬圓、五割以上の人件費を出しております。この三つの線を考えてみますと、小倉線が一番大きな黒字を出して、他の兩線、殊に博多線は大きな赤字を出している。しかも福岡市に對して報償金を出している。そうするとこれを利用する北九州民、殊に小倉市民が大部分その赤字を負擔しているという實情をつぶさに御研究願つて、かくのごとき不合理なる賃金の値上げがはたして妥當であるかどうか、これは議論の餘地がない。この點に對する運輸當局の御調査を願いまして、何分の善處をお願いしますとともに、何らの關連性のないこの北九州線のごときは元の九軌に復歸して、獨立した經營體系にすることが妥當であると地方民は考えております。地方における輿論がそこに歸一いたしました場合には、運輸當局に御考慮をお願いいたしたいということをこの機會に附け加えて申し上げておきます。
○井谷委員 この休會中にちよつと歸つたときにぶつかつた問題でございますけれども、省營バスのタイヤのないということはかねがねよく承つているのでありますが、私の方はこれが實に深刻で、現在トラツクは一臺も通つていない。バスの方にいたしましてもタイヤが悪いからというので三十人以上乗せない。そうすると多くの者がずいぶん殘るわけです。終便のバスが歸りにえんこしてしまうと、それを迎えに來るバスがあすの朝の一番に出る車のタイヤをはずしてもつてくる。それでようやくお客を送つて歸つてから、またそのタイヤをはずして朝のにつけかえるというような、實に從事員は涙ぐましい奮闘をしておるわけでありますが、これも囘數がだんだん減つてきて驛の者も非常な心配をいたしておりましたが、これは全國的にそういう傾向にあるのか、特にこの四國線の私どもの地方だけがそういうふうになつておるのか。こういうふうになつた場合に、やはりこれを消極的に放り出しておかねばいけないものであるかということについてひとつ承りたい。
○郷野政府委員 バス、トラツクのタイヤの問題については、ただいま非常にこれが逼迫して、省營、民營を通じてこれが輸送力に大きな影響を與えておることはまことに遺憾でございます。御承知の通り八月の中旬に閣議の決定を見て、官民協力してタイヤの増産に努力をして、著々これの實績をあげてまいつております。現にことしの第一・四半期ごろに比べると七月、八月あたりの増産は相當目ざましいものがございまして、二萬本以上のタイヤ、チユーブが生産できるような状態になつております。從つて配給計畫に基くタイヤの現品化というものも、ほぼできるような目安がついてまいりました。今後第三・四半期、第四・四半期と漸次この増産目標を高めてまいりまして、ただいま月五百トン、二萬五千本のタイヤ、チユーブを目標にしておりますものを、月六百トン、七百トンというふうにだんだんと殖やしてまいりたいと思つて努力しております。從つて全般的にタイヤの事情は、現状に比べて漸次良くなつていく。またどうしてもそういうふうにしなければならぬと思つて努力を續けておる次第であります、省營自動車のタイヤ事情につきましても、資材の配給は官營、民營を通じまして、大體同じ基準によつて配給をいたしておりますから、民營における實情のごとく、省營におきましてもやはりタイヤが逼迫しております。從つてただいまお話のバスのように、定期的運行を確保しなければならない性質の自動車の運轉も、これが逼迫してまいりますとその運行を缺くというような事態も起りやすいのでございますが、これはただいま申し上げましたような事情で漸次改善されてまいることと存じます。なお四國の省營自動車路線のタイヤ事情が特に逼迫しておるのではないかというふうなお話がございました。この點は私どもとしてなお詳細に調べてみたいと存じますが、四國の自動車路線につきましては、從來手持のタイヤがやや少かつたようでございます。從つてこの點はさらによく事情を調べまして、省營自動車全體のタイヤの配分においてこれから調整をいたしたいと考えております。
○正木委員長 鐵道營業法の一部を改正する法律案に對する質疑は終了いたしました。 本日はこれにて散會いたします。次會は公報をもつてお知らせいたします。 午前十一時二十五分散會