隠退蔵物資等に関する特別委員会 第19号
- 発言数
- 164 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1947/10/03
会議録
○加藤委員長 これより會議を開きます。佐竹君。
○佐竹(新)委員 私はこの機會に政府に對して一應苦言を呈したいと思うのであります。大體この隱退藏物資委員會の目的とするところに對して、政府が協力的な態度でないということが第一番であります。殊に最近聞くところによりますと、もちろん安本は人數が少いという關係もあるかもしれませんが、いろいろ情報をもつていつても、これが速急に手が打たれないというようなことから、みすみす隱匿した者がその品物を横流しする。特にこういう際で相當神經過敏になつておりまするから、いろいろ情報を入れますると、それを安本がいつまでも握つて動かさないというような點で、なかなかいかない。殊に最近政府の方では物資活用委員會を中央につくつて、中央安定局の管内に置き、また外縣ごとに物資活用地方委員會をつくるように指令しておるそうでありますが、これとてもなかなか思うようにやつていない。こういうものをただ形式的に一應やるということだけでなくて、ほんとうに物資の摘發、あるいは隱退藏物資をめぐつて、これを國庫に納めるというだけの熱意があるかどうかということが非常に疑われるのであります。本日におきましても大臣各位に出席を求めて、おのおの委員から質疑をしたいという希望があるけれども、どの大臣も出てこない。こういうことでありましたら、この隱退藏物資はだんだんと最後にはしりすぼまりになつて、國民の協力的な熱意も失われてしまう結果になりはしないかと思うのであります。われわれはまだ全國に散在しておるところの隱退藏物資は相當あると思います。これを物資の不足しておる際に、正規のルートに乘せるということが一番必要なことであります。今日本には物は生産されていない。そういうものを早くルートに出して、物の生産を動かしていく、あるいは配給ルートに乘せる、こういうためにこの委員會ができて、そういう問題に對して非常な熱意をもつておるにかかわらず、政府の方では熱意をもつていない。われわれはこの委員會として委員長にお願いいたしたいことは、政府に對して少くとも出席を希望した場合には必ず出てくる、また安本に對して情報を提供した場合には即刻に動いてもらう。いろいろちまたの聲を聞きますと、はなはだしきに至つては、安本の内部の人が——地方に行つて非常にわれわれの耳にいたしますのは、隱退藏物資だといつて報告しても一向に相手にされない、やみからやみにうやむやのうちに葬られてしまうという不平の聲を相當聞くのであります。こういうことであつたならば、非常に國民は希望を失う、協力的態度を失う、こういう結果になりはしないかと思うのであります。この機會に一言、委員長から政府に對して注意をしていただくようお願いしておきます。
○本多委員 ただいま佐竹委員の發言に關連して、私は一つの動議をこの際提出いたしたいと思います。それはどうしても現地の摘發を活溌にやるということが最も必要であると考えるのでありますが、その摘發の實行に關しまして、本委員會に提供された資料のうちで、委員長の手もとでこれを整理して、特に重要であり、機を逸せず査察官を派遣する必要があると認めるようなものについて、今少しく臨機の處置のとれるような方法を講じてもらいたいと考えます。それにつきましては、たとえば簡單に自動車で日歸りで行ける東京近郊方面におけるそういう情報について、必要と認めた場合は委員長が安本と打合わして、それに隨行する、委員の中からの隨行議員は適宜これを指名して、機を逸せず委員長においてこれを實行し得るように、委員會において取極めておいて、善處していただきたいと考えます。
○徳田委員 それに關連して……大體この摘發につきましては、憲法違反だの何だのというような疑いも大分あるようであります。すなわち安本から行く監査官は法的にこれを捜査する權利がない、だから合意であると。しかし合意ということは、結局するところ法律の違反を避けるための口實のように方々から言われておる。殊に毎日新聞によりますと、久留米などでは判事がそんなことを言つておりますが、これは結局するところ檢事の令状か何か持つていかなければ何もできないことになる。これは犯罪ではありませんから、檢事が令状を出さぬと言えばそれまでの話、そうするとこれは何もできやしない。こういうものをどんどんやり出していくと、隱匿しておる者は自分が損だと思えば、そういう屁理窟をどんどんつけてくる。これは屁理窟ではない、法的根據があると言えばそれまでの話でありますが、そういうことをしますと、隱退藏を公然やつてよろしいということになる。やつてくれば憲法違反だ、こう言えば何もできない。ですからここで劃期的な何か法的な根據のあるものをやらなければ、やるやると言つていくら力んでみたところで、結局するところ何もできない。殊に金があればあるほどこういうことに關しましては辯護士を動員し、また判事も檢事も賣收してしまえば何でもできない。警察官も賣收する可能性は十分ある。そんなことですと隱退藏物資の摘發は、ただ口で言うだけで何もできない。だからこの際至急に何かこういうものに法的根據を與える基礎をこさえなければ、これは何もできないと思います。今のに關連した問題でありますから、特に考慮していただきたいと思います。 それから監査官は大體十名とか十三名とかいう話もありますが、中央でそれくらいのものではとてもだめだ。地方にも七千名こしらえるとか、こしらえないとかいう話でありますが、これとても今のようなやり方では到底できない。この機構を徹底的に改めない限り、いくら論議してみたところで、委員會で論議するだけの話で何もできないと思います。
○梶川委員 この委員會が始められましてから未だに遲々として審議も進まず、あるいは相當進められてもその成果というものがそれほど顯著に現われていないというのが事實だと思います。そこでいかにして物を出すかという點について考えてみますと、まず第一に隱退藏物資ということの定義が非常に狹い、このことが阻害の大きな原因になつておるのではないかと思うのであります。現在の隱退藏物資という名前は、今までの緊急措置令あるいは在庫品調整規則によるところの調査物資とか、指定物資とか、あるいは在庫品調整規則の別表に揚げる物資というふうになつておりまして、しかもその物資は非常に品種の限られたものであり、また數量的にも一定の限界を設けられております。このようなことでは現在の状態に鑑みまして非常に無理があり、せつかく物を見つけそれを出すような方式にもつていこうとしても、事實上出ないというようなかつこうになつております。從いましてこの隱退藏物資という定義をもう少し擴張いたしまして、少くとも通俗の概念でもつておるところの隱退藏物資という内容にまで高める必要があると考えるのであります。この點につきましては今までの緊急措置令あるいはまた在庫品調整規則の別表等あたりを速やかに改正する必要があると思うのであります。 次は隱退藏物資を摘發處理する上においての機構の問題でありますが、今なお主務大臣に最高の權限がありましてこれが統一されておりません。これがまた隱退藏物資の問題をめぐつて摘發竝びにその處理を困難にしておる大きな原因になつておると思うのであります。從いまして速やかに隱退藏物資の摘發處理に當る機關竝びにその權限を統一した機關のもとにおくことが必要であると思うのであります。この點につきまして内閣の中における各省別になつておるところの權限を速やかに委讓して、同一機關に統合集中することが必要だと思うのであります。 第三番目にはせつかく活用要員會ができましたけれども、先ほど佐竹君も申しましたように活用要員會の權限が非常に薄弱なものであり、むしろ無用の長物と言うも過言でないようなところまで押し進められてきております。すなわち活用委員會ができましたけれども、依然として隱退藏物資の摘發處理に對する指導權は官僚の手に握られているのであります。このような状態では從來の經驗に鑑みまして決して民意をもつてものを出すというようなことは不可能であると思う。從いまして物資活用委員會の權限を速やかに強化する必要があると思うのであります。 さらにまた先ほども徳田君からも申されましたように、經濟査察官というものはその人數も非常に少い。しかもまたその權限が非常に薄弱であるという點に隱退藏物資摘發を困難にしている一つの要素があると思うのであります。從いまして經濟査察官の權限を強化すると同時に、これを擴充いたしまして、しかもこれを物資活用委員會の指揮下、あるいは當委員會の指揮下に置くということがなされなければならないと思うのであります。 第五番目には國民の協力なくしてこの問題の處理を行うということはできないと思います。しかるにもかかわらず、今まで隱退藏物資の問題が叫ばれることを久しくしてなお成果をあげないのは、そこにやみ屋とか、あるいはブローカーの跳梁のみに任して、ほんとうにまじめな生産面に從事し、あるいはまた消費面にある人達の協力が得られないという點があると思うのであります。さらにまた官憲が妨害したとか、官憲が協力しないという點も、やはりこの情報提供者、あるいは隱退藏物資に巣食うところのやみ屋というものが嚴として存在しておつたということが、この大きな原因になつておつたと思うのであります。從つてこのやみ屋、ブローカーをこの隱退藏物資の問題から切り離すためにも、どうしても強力にしかも廣範圍にわたつて國民運動を展開する必要があると思うのであります。 以上五點につきまして要望する次第でありますが、もう一度結論を申しますと、定義を國民の正常なる判斷でわかるようなところまで擴充すること、さらに政府における機構を統一するという問題、第三番目には、物資活用委員會の權限を擴充してしかもこの協力のもとに國民運動を展開し、活用委員會のもとに權限を強化された經濟査察官を置く、以上の點につきまして速やかに改正されるように切望するものであります。
○加藤委員長 ただいまの佐竹君の發言竝びに本多君の提議に對しましてそれぞれ關連の御意見がべ述られました。そこで私は問題を整理いたしまして、一つは佐竹君の發言を動機とする政府に對する質問なり、警告なり、また一つは本多君の提議でありますこの委員會が情報に基いて安定本部をして摘發せしめる。その摘發に關連して、これを視察もしくは調査をするために、本委員會から委員を派遣する場合に、その都度一々委員會を開いて委員の指名を行つておつたのでは時期を失するから、そういう場合には安定本部に通報して、安定本部から摘發にいく場合に、視察もしくは調査のために同行する委員は、委員長において適時指名することができるように、この委員會において決定をしておきたい、こういう動議だと思います。そこで二つに分けまして、後の本多君の提議をまず問題として、この動議を取上げることに御異議ございませんか。
○小島委員 私はそれについて委員長に任せることは差支えないと思いますけれども、そういう目的のためにこの間小委員會ができたはずであります。その小委員會を無視して委員長がやるというとであれば、私たちはその小委員會は必要ないと考えるのであります。その點どういう取計らいになるのか、その間の關係を述べていただきたい。
○本多委員 まことにごもつともと思いますが、ただその情報の内容の性質によりまして、非常に可動性のある隱匿物資は、情報が提供されたときにただちにそれにかからないと、機を逸して、何もならないということに陷るのでありまして、その邊は事件をどういうふうな敏速な方法で扱うかということについては、これを委員長の裁量に任していくほかないように思います。もちろん一般的なことについては、殊に全國的なものについては、小委員會でいろいろその方法を研究していただかなければならないと思いますが、ただいま申し上げましたようなものについては、特に臨機に、急速にやらなければ機を失すると認められるようなものに限つて、ただいまのようなことをきめておいていただいたらどうかと思います。
○加藤委員長 ただいま本多君から御説明のありましたように、すべてのことをやるという意味ではなくして、もちろん過般決定されました小委員會がありますから、この小委員會は事務部門として絶えず開かれてよいわけでありまして、いつでも相談ができるようにはなつておりますが、實際問題としてなかなか相談がしにくいという場合が多いのであります。從つてそういう特殊の場合におきまして、しかもこれは東京を中心として日歸りできる視察という範圍に屬する問題で、急を要するような場合には、適宜指名を一任していただくということでありますから、この點いかがでしようか。
○小島委員 私は小委員としての態度は留保いたしておきます。委員會の決議で、そういうようにお取計らいになることは反對しません。しかし小委員としては、小委員會が無視されるような動議に對しては、絶對に反對するものであります。
○加藤委員長 無視するという意味ではなくして、小委員が始終集まつておられればよいけれども、實際においてはこの間もあれだけ各部門の小委員會を開いたけれども、一つの部門しか集まらなかつたというような状態で、始終集まるということは困難だと思うのです。そこでそういう特殊な場合だけを意味するのであつて、何でもそうするという意味ではないと思う。しかしこのことについては一人でも御異議があればやりたくないと思います。御異議がなくて、ほんとうにみんなの氣持が一致して、協力してやるという態度がとられて初めて效果を收めることができると思いますので、私は一人でも御異議があれば、本多君の動議は撤囘していただきたいことを希望するのであつて、その都度指名をする。ただこういうことは言われると思うのであります。今日この委員會において東京都内における二、三の問題のについて委員を視察のために派遣することをきめることは御異議ないと思いますが、その點はいかがですか。
○小島委員 そういうことでありますならば、私は委員長において非常に至急を要する——私はそれほど至急を要する問題はないと思いますけれども、そういう問題がありといたしますならば、少くとも議會が開かれておる最中であるのでありまして、この際小委員のうちの一人でもしかるべく探す。なおだれもいないで、やむを得ないときは委員長において取計らわれたい。
○加藤委員長 今の小島君の御意見でありますが、それは委員長を信頼していただきまして、私が小委員の諸君がおられるのに勝手にやるということは絶對にありません。これは御了承おきを願います。
○小島委員 了承いたしました。
○清澤委員 今の問題ですが、小島君が小委員として言われることは私は無理はないと思います。提議せられましたことは、臨時摘發の問題でありまして、今本多君が提議されたそういう場合にどうするか、そのことをきめるくらいのことは小委員會に一つ任せていただいた方がよいのではないかと思います。ここで小委員會を無視して全體でやるということになると、小島さんのような意見が出るから、小委員會がそういう場合自分らは取扱わないということになれば、そういう方法をお願いするようになるかもしれませんので、そういう方法を一應おとりになつたらまるく收まるのではないかと思います。
○加藤委員長 本多君の言う趣旨は、小委員會を無視するという意味ではなくて、一々この委員會を開いて決定するということではなかなか捗らぬから、委員長に一任しておくということは、要するに小委員の諸君と相談をしてやつていくということの意味なんですが、この點を御了承願いたい。そういう意味で本多君の動議は御異議ありませんか。
○加藤委員長 御異議なければそのようにいたします。 それから第一の佐竹君の政府に對する苦言というか、忠告と申しますか、そのことについては實は委員長からも本日は安定本部長官、内務大臣、司法大臣、この三名の列席を求めて、そこで申し上げたいと思つておりましたが、安定本部長官は關西に旅行中であり、内務大臣は發熱のために出席されぬということでありますから、はなはだ遺憾でありますが、鈴木司法大臣が出席されておりますから、私は鈴木司法大臣に對して、一つ警告という意味ではなく、少しお尋ねしてみたいと思います。それは先ほど徳田君からも御發言がありましたように、この委員會の行為に對してある種の人々からは何か憲法違反であるというような揣摩臆測を逞うする流言を飛ばして、ややもすれば本委員會の行動を、消極的であるか、阻害しようという動きが相當あると思われるのであります。こういうことに對してわれわれは斷じてそれを承認することはできぬのでありまして、原則として主權が人民にある今日、その人民主權の最高の府である議會が、その權限を決定する場合に、だれがこれを憲法違反と言うことができましようか。それぞれ法律によつて定められた權限を守つて、立法は立法の府、行政は行政の府、司法は司法の府として、それぞれ法律の根據に基くその分野を侵すというのでは微塵もないのであります。ただ安本をして摘發に行かしめる、その情報の提供が時間がない、そういうことからあたかも立法府が行政を指揮するというようにとられて、そういう揣摩臆測が試みられるのかとも思いますけれども、斷じてそういう性質のものではない。もちろん日本の國會は日本の國會であつて、アメリカの議會でもなければ、イギリスの議會でもない、そのことはもとより當然でありますが、しかしながらアメリカの議會におきましては、先ほど梶川君も言われましたが、この委員會の調査が遲々として進行せんとか言われましたけれども、現にアメリカにおきましても一九四〇年に現大統領トルーマンが上院議員のときに一つの委員會をつくつております。その委員會は軍需品の價格の査定であるとか、軍需工場の不正の摘發、防止、軍費の國民の利益のためによる支出の額を減少するというような目的をもつた委員會で、今日なお續いておるのです。當時の委員長トルーマンが大統領になつております今日、なおその委員會は繼續されておるというような状態であります。本委員會におきましても、終戰當時何千億という物資を保有しておつた。その物資がどこにどのようにして散在し、そしてまたあるものが消費され、あるものが隱匿されておる。これをしさいにできるだけ廣汎に糾明し、摘發しようという行動がそんなに簡單にできるものではないのであります。このことはあらかじめわれわれが次の通常國會にまで繼續委員會として存置されることを内定しつつこの仕事にあたつておるゆえんでありますから、そういう點からいきましても、私は時間がそんなに早急にできるとは思いませんが、しかしながら七月末に政府に向つて要求した資料が今日なお完備されたものが出されない。こういうことは何と言つても政府の怠慢でなければならないと思うのであります。しかも出されたものを見ましても、かんじんなものがみな缺けておる。たとえば軍關係の軍需品の處理状況の資料が出されております。その處理状況が報告されておるにもかかわらず、その中にかんじんの引渡先と價格が拔けておる。こんなものは意味をなさぬのであります。そういうことから私は政府がこの問題に對して——片山總理大臣は私と中野君とが議論までして呼び出したときに、至誠をもつて協力すると言つておられるにもかかわらず、政府は一向協力しておる事實が見えぬではないか。こういうことに對してわれわれはいつまでも政府ができぬからからということでがまんすることはできません。 それから司法大臣に特にお伺いしたいことは、現在安定本部から經濟査察官に特別の權限付與に關する法律案がこの衆議院に提出されております。これが現在一體どのような審議を續けておるか。はたして安定本部としては、もしくは司法省としてはこの法案の通過のためにどれだけの努力をしておられるかどうか。ほとんどこれは司法案員會において片隅に放り上げられてしまつておる。こういうことでは先ほどどなたか久留米の例をおあげになりましたが、せつかく經濟査察官が行つても、向うから斷られた場合にはどうすることもできないというような状態でありまするが、この經濟査察官に對する特別の權限を付與するという法律案の通過を一體どういう方法によつて審議を進めるように政府としては努力される方針であるか。 それからもしこの經濟査察官の特別權限が付與されるまでの間に、實際物資の摘發に行く査察官が、現在は司法警察官と同じ權限しかもつておらぬから、もし斷られたときには中へはいることができない。そういう場合に豫審判事の令状をもつて行けば當然はいれるわけですが、その豫審判事の令状は必ずしも私は犯罪搜査の目的でなく、物資の隱匿があるか否かを調査するために屋内にはいるというだけの令状も出し得ると思うのです。そういう問題について、司法省としては裁判所と協議されて、あらかじめ令状を準備されて必要とする箇所において、必要とする裁判所において即刻令状が出し得ることをあらかじめ準備される意思があるかないか。 それからこの委員會は現物を現地に出張調査する權限をもつておるわけであります。もちろん中にはいることを拒否された場合にははいれませんが、目的の倉庫なら倉庫に行つて、もし中にはいることを拒否された場合に、中にある品物を調査する權限をもつているから、調査するために中の品物を全部外へ持つてこい、こういうことも言い得るわけなんです。極端な例を言えばそういうこともできると思うのです。しかし實際上において倉にいつぱい詰つているものを出せと言つたつて出せるものではありませんから、それなら中にはいつて見てくれということになるだろうと思います。しかし調査するという權限からいけばそれがなし得ると思いますが、はたして司法省はそういうことがなし得ると思われるか、なし得ないと思われるか。なし得ないとするならば、どういう理由でなし得られないのか、それをはつきり一つ御答辯を願いたい。
○鈴木國務大臣 最初の御質問に對しては政府全體を代表してお答えするに少しく材料が不足でありますが、實は政府が資料を提出することがはなはだ少いというお叱りでありますが、終戰直後に厖大な軍需物資がある徑路をたどつて散在したことは御承知の通りであります。率直に申せば東久邇内閣の閣議において決定をされて、それぞれの方面に通達をされた結果、早急に物資が處分せられたのであります。その後命令の取消等がありましたが、徹底せずして處分せられたる物資はそのまま轉々として行つたと目されるのであります。そのために帳簿等も不必要に燒却をする、破棄をするというようなことが行われ、完全なる資料が殘つておらない實情である。現内閣はその點からメスを入れていかなければならぬということを痛感いたしまして、東久邇内閣にさかのぼつていろいろ調査をいたしておるのでありますが、いかにせん資料をすべて不足でありまして、すでに燒失したる資料、また滅失したる物資を皆さんの前に明らかに御提供申し上げることは相當骨が折れる。これあるいは怠慢を疑われる理由の一つではないかと存ずるのでありまして、困難ではありますが、できるだけの範圍においてなお努力を續けているということを御了承を願いたいのであります。 第二の點は、特に經濟査察官の權限を強化する法律が出ているはずであるがどうなつているかという御質問であります。これは一箇月以上も前に提案をいたしたのでありますが、司法委員會におかれましては憲法違反の疑いがあると仰せられまして、主として自由黨の委員諸君からきわめて熱心なる御質問が重ねられまして、あるいは經濟安定本部長官を呼ばれ、あるいは刑事局長、司法次官、司法大臣、總理大臣をお呼び出しになりまして、繰返し繰返しかなり長時間にわたつて御質問を重ねられているのでありまして、まだ十分に釋然としないということで、採決、討論にはいる段階に達しておらないような次第であります。それは大臣の方でも出席が思うようにならないというお叱りもあるやに承りますが、いろいろな委員會から御召喚を受けまして、他の方面にもまいらなければならぬのでありまして、私どもとしては最大限度努力いたしまして、出席してお答えをいたすようにいたしておるのであります。それでもやはりまだ質問が終らないという以上は御審議を打切つていただくというわけにはいかぬのであります。できるだけ早い機會に疑問を明らかにいたしまして、ひとつ隱匿物資等の摘發を容易ならしめる經濟査察官に臨檢檢査の權利を付與する法律を成立させていただきますように切望にたえない次第であります。 なお委員長の御質問には司法警察官でも、あるいは經濟査察官でも令状をもつて行けばはいることができるであろう。あるいは誤解があつたならば御訂正を願いたいのでありますが、犯罪の疑いがなくとも令状を出すことができるだろうというような御質問であつたのでありますが、犯罪の疑いなくして令状を出すことは許されないことでありまして、それこそ憲法違反であると存じますので、常に令状を求めます場合には犯罪の嫌疑あることを少くとも證據をもつて署名いたしまして、令状をもらつていくのであります。從つて司法警察官あるいは檢事等が臨檢檢査をいたします、あるいは捜索押收等をいたしますのは、すべて犯罪を前提としておる。そこで經濟査察官が犯罪の檢擧でなくして經濟上の視察のために臨檢檢査をするという場合とは大いに趣を異にいたすのでありますから、その點は遺憾ながら御期待に副いかねると思うのであります。そういう點で非常に司法處分は制限を受けておりますために、外部から見ますとやり方がはなはだ生ぬるい、もう少し圓滑にいきそうなものだとお考えでありましようが、法律に違反せず、日本國民の權利を侵害せずにやるという以上は、非常に鄭重な手續を必要といたしますために、なかなか敏活な結論を得ることができないでおるような次第でありまして、その點につきましても經濟査察官などにそういう權利を與える法律を一日も早く成立せしめていただくことを希望する次第であります。しかし許されたる範圍内におきましては、殊に承諾があれば犯罪の嫌疑がなくともある程度の臨檢をすることができないことはない——なかなか承諾を與える人も少いと思いますが、できる限りの範圍においては手段を盡して御協力申し上げるつもりではおるのであります。さように御承知を願いたいと思います。
○加藤委員長 それから今の第三の、現物を現地に調査する權能をもつた議會は、もし中へはいることを斷る場合には外へ物をもつて出よ、外で調べるということができるのかどうか。
○鈴木國務大臣 第三の御質問は、物を檢査しようとするときにうちへはいることを拒んだならば、表へもつて出ろということでありますが、これは問題は同じことでありまして、もつて出ることを拒みますれば、やはりそれを強制する方法がないのであります。今申します査察官の臨檢檢査に關する法律が成立いたしますと、檢査を拒むのであるから、もつて出ることを拒むことは結局檢査を拒んだ場合であるというので、強制的にやることができる、あるいは處罰をもつて強制することができるのでありまして、もつて出ろと言つて應じて出る者は結構であります。それは承諾を得てはいる場合と同じことである。拒絶されますとやはり今の法律では無理にやるというわけにゆかぬのであります。
○加藤委員長 それでは今の點について私からもう一つ御質問しますが、經濟査察官が摘發に行くことは、もちろん刑事上の犯罪を前提としていくのではありませんが、物を隱退藏しておるということそのこと自身が、すでにある意味から行けば違法の行動なんですから、違法の行動から生れた隱退藏物資を摘發するというのだから、豫審判事がこの點に關して令状を出そうとすれば、出せぬはずはないではないかと思うのですが、どうですか。
○鈴木國務大臣 それも理論上から申しますとそういうことになるわけでありますが、はたして隱退藏物資であるかないかということが、臨檢檢査をしてよく調べてみないと確定ができないことでありまして、隱退藏物資であろうという疑いだけでやるわけにはいかぬのでありますから、從つて令状も輕輕に發するわけにはいかぬ。こういうことになるのであります。御承知のように經濟査察官の臨檢檢査は統制經濟のその通りが行われているかどうかをすべての産業について、一定の列擧せられたる制限はありますが、檢査することはできるのでありますから、これは非常に廣い範圍にわたつて平和のうちに臨檢檢査ができるのでありまして、これならば一番申分がないのであります。その他の手段によることはただいま申し上げますようにまことに困難であるとお答えを申し上げざるを得ないのであります。
○加藤委員長 お尋ねします。司法大臣のお答えによると、判事の令状は常に犯罪ありという確定のもとに行われて、一遍令状を發して家宅捜索をやり、あるいは檢擧したものは結果において必ず犯罪を構成しなければならぬということになると思うのですが、そういうことはあり得ない。かりに令状を發行して犯人と思う者を檢擧し、あるいは家宅捜索によつて物を取上げてきても、犯罪を構成しない、無罪の場合もあると思うのですが、それはどうなりますか。
○鈴木國務大臣 それもごもつともの御質問でありまするが、罪犯の疑いありということは、ただお前の顏がどうも氣に食わぬ、犯罪らしいというようなことで令状をもらうというわけにいかないのでありまして、最小限度においても犯罪を疑うべき證據がなければならぬ。その證據を示して令状をもらうのでありますから、まるででたらめの捜査をするわけじやないのであります、やつてみた結果遺憾ながら的を外れておつたという場合は、重大な過失がない限りは、損害賠償の問題を生じまするが、違法なりとして、職權濫用として處罰されることはないのであります。けれども何ら根據なくして犯罪の嫌疑ありというので濫用いたしますると、これは明から職權濫用でありまして、官吏として處分を受けますることはもちろん、場合によつては犯罪となり、場合によつては損害賠償の原因となる次第であります。
○加藤委員長 さらにお尋ねします。經濟査察官の場合でも同様じやないですか。この倉庫だけを見て、ここにありそうだというわけで行くのではなく、相當の根據をもつて、ここになるほどあるだろうという十分の確信の上に立つて、與えられた權限を行使するために行こうというのですから、私は他の場合と變りはないと思うのですが。
○鈴木國務大臣 委員長は經濟査察官の臨檢檢査が隱匿物資の摘發にあるようにお考えになつておられまするが、それは偶然のことでありまして、經濟査察官が臨檢檢査をするのは、政府が規定し、法律において命じておりまする統制經濟がその通り行われているか否かということをそれぞれの産業について査察するのが目的でありまして、決して隱匿物資を摘發することが目的ではないのであります。ただ工場に臨み、倉庫に臨んで、捜査をいたしておりまする過程において、隱匿物資を發見することがあるかもしれない。それがしかも違法なる隱匿物資であるということになれば、犯罪を摘發することになるのでありまするから、その時は査察官といえども戻つてきて、令状をもらつてからでなければその品物を動かし、あるいは押收し、あるいは手をつけることはできないのでありまして、そこはあくまでも區別があることを御了承願いたいのであります。
○加藤委員長 あまり私は得心がいかないですけれども、私の質問だけで時間を費してもいかがかと思いますから、先ほどの梶川君の御質問に對する御答辯を願います。
○梶川委員 まず第一番目の問題は隱退藏物資という定義でありますが、現在法律上で取扱つておられまする隱匿物資等緊急措置令によるところの調査物資及び指定物資、竝びに指定生産資材在庫品調整規則のうちの別表にかかぐる物資ということになつておるのであります。この三つの條項に該當し、しかもその三つの條項が品目別に列擧せられておりまして、そのあげられた品目が非常に少いのであります。しかもその少い品目の中にまた數量の制限が附せられておるのでありまして、このようなことでは決して隱退藏物資と世間で言うようなものは出て來ない。少くとも逃げ道がたくさんある。一例をあげて申しますれば、たとえば砂糖は品種に上つておりますが、糖蜜というものは上つていない。從つて砂糖を水に溶かせば、もういかに莫大な數量があつても隱退藏物資として政府がこれに手をつけることができない。あるいはまた繊維製品の問題にいたしましても、中古品というものは除くようになつております。ところが御承知のごとく軍服というものはほとんど中古品として普通取扱われている。從つて莫大な軍服がありましても、中古品ということになつて隱退藏物資という品目から事實上はずれてくるということでありまして非常に杜撰なやり方です。言い換えれば隱退藏物資をもつているような者あるいは軍需物資を著服したような者を擁護するようなかつこうになつている。ですから少くとも通俗に言う隱退藏物資という定義にまでこの法律上取扱いの隱退藏物資の定義の内容を擴張する必要があると思うのであります。これは緊急措置令、竝びに在庫品調整規則を速やかに改正することによつてただちにでも可能であります。これにつきましてお伺いいたします。
○鈴木國務大臣 在庫品調整規則中には仰せられるような缺點があることは事實であります。もつとも法律というものはどう規定しても若干の穴があることは否定できないのでありますが、しかし仰せられるような缺點はたしかにありますからただいま改正について調査中であります。いずれ提案になるだろうと思います。
○梶川委員 きようはほかの大臣の方がおられませんから、この問題についてはいささかお答えしにくい點もあるかと思います。 次は機械の統一の問題であります。現在では主務大臣が權限をもつというようになり、しかも閣議において安本に取扱わせるというふうにきめられたらしいのでありますけれども、それでは何ら正式の法律的根據がないということになつて來るわけであります。從いまして機構というものを統一しなければ政府内における縄張り爭いが生じて來る。現に警察と安定本部の監査局あるいはまた安定本部の監査局と商工省、商工省と大藏省というふうにいろいろと對立を來してくることになるのでありまして、このようなことがひいてはわれわれまで飛ばつちりを食つて、一昨日の新聞にも出ておりますが、隱退藏物資をめぐり三者の意見對立と稱して國會と安本と活用委員會の三つが對立したようなことが出ております。こういうような結果を生ずる。從いましてこの機構を統一することが必要であると思います。しかもその機構を統一する際におきましては、先ほどから問題になつております立法權と司法權の問題にも關連いたしますけれども、少くともこういう大きな國民運動を起さなければいかん、あるいは日本の經濟再建の基盤をなす問題でありますなら、この特別委員會との關連性において特別委員會が嚴重なる監視のできるような機構に政府において統一されることが望ましいと思います。これについていかが考えられますか。
○鈴木國務大臣 具體的にお答えすることは非常に困難でありますが、抽象的には仰せられる通りで、こういう種類の機構はできるだけ統一したい。統一されてないから能率が下るのであります。ただこういう大きな國家機構におきましては、安本の存在も、大藏省の存在も、物資活用委員會の存在もそれぞれ理由があるということになりまして、この三者が關係しているということになると、どうしてもお説のような衝突も起り、意見の對立も起り、矛盾も起るのであります。できるだけそれをなからしむるように機構を組立てることが一つは立法技術でもありますから、議會においても政府に協力してひとつ案を立てていただきたい。私どもはそれに贊成するにやぶさかでないということを申し上げておきます。
○梶川委員 第三番目には現在の物資活用委員會というものはただ安定本部の長官に建議するということであり、各主務大臣から處理状況について報告を受けるということしか權限がないのであります。このようなことではいかに活用委員會に民間人を起用して民主的な構成にしたと申されましても、全然權限のないようなものを押つけられては何もならぬのでありまして、何ら隱退藏物資の摘發竝びに摘發後の處理という問題について國民が納得することはできぬと思うのであります。從いまして活用委員會の權限をもつと強化して、少くとも活用委員會は安定本部あるいはその他の各官廳の上からの指導權のもとに、つまようじとして置かれている状態を改められまして、活用委員會自體に強化なる權限を賦與し、さらにもう一つ願いたいことは活用委員會と當特別委員會と何らかの有機的な連關をもたせるようにすることが必要だと思いますが、その點につきましてはいかにお考えになりますか。現に活用委員會の委員長は佐竹司法政務次官がやつておられます。そういうような人的關係においても司法大臣は非常に連關が多いと思いますので特にお願いします。
○鈴木國務大臣 御質問はごもつともであります。實は物資活用委員會をもつと強力なものにいたしますためには、經濟査察官のようなものを直接に活用し得るようにしておくことが望ましかつたのであります。そういうことは政令ではできない。やはり議會の御審議を經て法律でやらなければならぬことなのであります。物資活用委員會を設置することは非常に急ぎましたので、御承知のように政令でいたしました。そこでただいま申すような強制力を開いてみずから活動することはできないことになつておるのであります。そこに缺陷のあることも確かであります。それとともにせめて經濟査察官の臨檢檢査というようなものも法律が通過いたしますればもう少し強力に活動ができるのでありますけれども、それもないというようなことで、お言葉の通りまことになまぬるいことに相なるのでありますが、その缺點を是正するために法律で規定し直そうという議が進んでおりまして、物資活用委員會においてもその點を目下調査中であるように伺つております。
○梶川委員 經濟査察官の協力機關といたしまして次に民間人を起用して調査官というか、要するに調査員を設けるようになつております。これは現在では安定本部の囑託にするというような形式になつておりますが、この調査員を設けられる場合に、廣く民間の中からなるべく多數の者を、しかも國全體に網をはるような組織にまでつくられることが必要であると思いますが、この點についてはどう考えておられますか。今までのところではほとんど實際の面においてまだ任命せられぬようでありますし、あるいはまたほんの名譽職的に少數の者をぽつんぽつんとやられるというふうな向が危惧せられるのでありますが、そういうことのないように望むと同時に、一體いかなる構想をもつておられるか、お伺いいたします。
○鈴木國務大臣 その點もまことにごもつともな御質問でありまして、政府としてもできるだけ民間のあらゆる力を組織化して活用し得るようにしたい。この仕事は實際そうでなければ實效を収めないのであります。どんな委員會ができても、どういう官廳が乘り出しましても、民間のあらゆる階層の強力なる援助がなければ實效を収めることが不可能なのであります。そのために一大國民運動とも申すべきものを展開して、それを組織化したい。とりあえず勞働組合に呼びかけて御協力を願いたいということでいたしておることは御承知と思いますが、ただこれを漫然といたしますと、各國民が皆警察官になつたようなつもりで、十分に法律知識に習熟しておりませんために、ある限界を逸脱して、至るところに問題を起すようなことがあつても困る。そういう心配のないように國民諸君の協力を仰ぐということは非常にこれまた困難なのであります。そういう點を考慮しながら、どうしたならば末端までこの組織に參加して協力を得られる制度が考えられるかということを考えておる次第であります。どうか國民の代表たる各位におかれましても、ひとつできるだけよい案をわれわれに御提示くださいまして、國民の力の組織化に御協力くださるようにお願いしたいのであります。
○梶川委員 最後に、今まで述べられたことを聽いておりますと、皆考慮中、あるいは愼重研究中だそうでありまして、まことに結構だと思いますが、物資活用委員會の設置にあたつては拙速主義をとられ、その他の問題についてはゆつくりとゆるゆる研究するというような點は納得いかないのでありますけれども、速やかに名案を出されましてやられるように希望いたします。最後に當委員會との有機的な結びつきという問題について、さつきから各問題ごとにお尋ねしているのでありますが、御返答がありませんので、この點をお伺いいたします。
○鈴木國務大臣 この委員會が大いに御活動くだすつて效果をあげることを私どもも希望いたしておるのであります、ただ政府の方でつくつた機關でありませんから、われわれの方でこの委員會の活動するいろいろな基準、あるいは權限を附與する法律を提案するのはどうかと思いますから、御遠慮申し上げておるわけであります。立法權をみずからおもちになつておられます國會において、進んで必要なる權限を御獲得になりまして、十分に御活動願いたいと存ずるのであります。
○梶川委員 この邊で打切りまして、最初の委員長からも申されました資料の點であります。資料が未だにそろわないという點についてそれぞれ問題があるというふうに申しておられますけれども、その資料を各官廳から求めましても、これは軍がそもそも物資を處理した場合に、殘した書類が、非常にインチキなものであります。現に私はこの目でその實情をよく部下として見ておつた一人でありますが、えらいことをするものだと思つて眺めておつたのであります。從いまして當時少くとも軍の中堅以上のもの、あるいは部隊長とか、主計というようなものは私らをして言わしむれば皆どろぼうである。從つて先ほども問題になつております經濟査察官の執行權の問題とか云々というようなことでなくして、これを一括犯罪嫌疑ありとして現にこれだけの物資がやみとして流れておるということは、とりもなおさずその震源地である軍需物資をもともと保官管理しておつた人たちに一應疑いの目が向けられるわけであります、當時の陸軍大臣は巣鴨へ行つているのでぐあいが惡いですが、その以上ものもは全部、當時の部隊長、主計というものに總網をかぶせて、これはわずかに數萬たらずのものだと思いますから、これを押えて、その調査によつて初めて眞相がつかめるというふうに私は考えております。そうでなければただ軍が殘した資料を各官廳がもらい受けて、これこれ處理しましたといつてもつて來ましても、そのものは非常にインチキのものであり、たとえば一萬着の軍服があれば、そのうちの二千着が三千着を帳簿に合わせてあとの書類は皆燒いておるというのが實情であります。でありますからそれらの殘つた資料は皆合理的につじつまの合うようにつくられておる。つじつまの合わないものはすでに處理されてある。われわれは別に罪人をつくりたいと思うわけでありませんけれども、あれらは皆日本國中におり、外國にまで逃げぬのだから、網をかぶせて全部總檢擧されることが一番手取早いのではないかと思うのであります。現に先般の關根某とかいう親分が逃げて、警視廳ではなかなかつかまらないというときにも、結局あの子分を全部總檢擧することによつて捜査網を縮めていつておる。これはやはり軍需物資というものを押える場合に、これに關連あるものを全部總檢擧してやるということによつて追い詰められるのではないかと思う。それくらいの大網をかぶせないと決して軍需物資は出てこない。この點について司法大臣はどのように考えておられるか。それをやつて出す意思があるのかないのか。ただ漫然として日を過すためならば今のようでもいいけれども、ほんとうに出す氣ならばやらなければうそだと考える。この點どう考えられますか。
○鈴木國務大臣 梶川君の憤慨のお心持ちはよくわかるのでありますが、かりに梶川君が檢事總長になつてこれをやると假定してみますと、今日本には檢事というものはわずかに定員は七百五十人でありますが、缺員が多くて五百人そこそこであります。そうして多くは榮養失調に陷つておるというような状態でありまして、つかまえる人間はわずか五萬か十萬でないかとおつしやるが、關根某一人つかまえるために八十餘日を費やし、警察官を動員すること數萬、金を費やすこと數十萬圓で辛うじて一人の男がつかまるような次第でなかなか容易でないのであります。でありますから今の陳容をもつてして梶川君のおつしやるように一網打盡に皆やつてしまえというようなことは、言葉は盛んでありますけれども、實際はなかなかむずかしい。できるだけの範圍でやるというふうにお答えいたすほかないのでありまして、御了承を得たいのであります。
○小島委員 私は先ほど來の委員長と大臣との質疑應答、竝びにその他の諸君のお話を聽いておりまして、要するに隱退藏物資の處理委員會がほんとうの活動ができないというのは、先ほど大臣が言われたように、經濟査察官に何らの權限が與えられてないところに根本があるのであります。私は經濟査察官にこのような檢察の權限を與えることが憲法違反であるという意見については反對する者でありますけれども、私の個人的の反對はともあれ、實はこういう檢察する權限というものが災害救助法案では許されておるのであります。これは御承知の通りに災害が起きた場合にその近所の物資をもつておるところにはいつていつて必要なものを調べるとか、もつてくるとかいう權限を與えた法律でありまして、この法案はすでに國會を通つておる。でありますから必ずしも經濟査察官にこのような權限を與えることが憲法違反であるとは言えないと私は思います。少くとも現國會においては全會一致をもつてこの災害救助法案を通しておる以上は、私はこの點について、經濟査察官にこのような權限を與えることが憲法違反であるということの理由はすでに消滅しておるのじやないかと考えるのでありまして、司法委員會において一ケ月以上もこの法案が問題になつておるということも私は承つておるのでありまして、實は私自身もこの隱退藏物資委員會の委員をしておる關係上、一刻も早くこの法案が通過してほんとうの意味において隱退藏物資が摘發できるようにしたい、かように考えておるのであります。その點について幸い司法委員長は本委員長と同黨の方でありますし、委員長から十分この點を司法委員長にお話になつて一刻も早くこの法案をお通しになることに努力していただきたい。私は非常に頑固な考えかもしれませんけれども、國會というものはあくまで立法府であつて、行政權に干渉することは避くべきものであるとかように考えておりますけれども、ただ本委員會の委員はこれらの檢察に立會うということは當然委員として許さるべきことであると思いますので、その點の連絡だけは、先ほど梶川君も言われたように有機的に何らかの連絡をとるような制度にしていただきたい。私ちよつとほかに用がありますので特に徳田君にお願いして私は先に發言させていただいた次第であります。何率この點について司法委員長と至急交渉をお願いしたいと思います。
○北浦委員 私は司法委員でありまして、ただいま司法大臣に自由黨の諸君から繰返し繰返し質問される、まさにこの通りであります。ただ當委員會において誤解されておる點は經濟査察官が臨檢捜査をするというこすが憲法違反であるというように小島君も述べておられますがその點じやない。あの安本令というのは政令であります、その政令に基いて臨檢するという權限を與えることを法律で規定しようと思うことは憲法違反だ。一體政令は憲法もしくは法律を執行するためにあるのであつて、政令を執行するために法律をつくるということはいけないのだ、これが第一點であります。 第二點は今日單に安本令に基いて經濟察官にさような權限を與えなくても、同一の權限をもつておる者が他の方面に二、三ある、それでやり得る。この點について異論があるのでありまして、ただいま小島君が述べられたような理由は一つもない。 それからこれは司法委員長が本委員長に報告さるべきことでありますが、決して司法委員會においてこの査察權に關する法律をすみに放つておるわけではなく、なかなか熱心にやつておる。片山總理大臣も、ここにおられる鈴木司法大臣も要求によつて絶えずおいでになつておるのでありますが、安本長官はちよつとも來ない。そういう點がありますので、他の重要なる法案、刑法であるとか民法であるとかをやつておるのでありまして、この法案だけをたなさらしにしておるということは斷じてない。それだけを申し上げておきます。
○小島委員 私は司法委員になつておりませんからして、はつきりしたことを申し上げることはできませんし、北浦委員の言われることが本當だと思いますが、ただ經濟査察官というものが政令でできておる。すでにもう政令でできてしまつておるものでありますから、そのできておる組織のものに對して權限を與えてやるということは法律で定めることも一向差支えないのではないかと思うのであります。その邊のことは委員長が適當にお話し下さることを希望する次第であります。
○加藤委員長 ちよつと私からもう一つ安本當局にお伺いしておきたいことがあります。私が他から昨日聞いたところによりますと、今日ある種の隱匿物資を外國通信の特派員が見に行くことになつておるそうです。どうしてそういうことになつたかというと、何遍安本にもつていつても一向相手にしてくれない。結局それがために外國通信員にこれを知らして、その通信員が非常に興味をもつて今日行く。それから昨日O・P・Oからバロー大尉がここに私を訪問されまして、もし安本で躊躇されることがあるならば、軍竝びに政府所有物資と思われる疑いのあるものは、O・P・Oにおいて當然管理することになつておるがゆえに、O・P・Oに來てもらえばいつでも第八軍から兵を出す。こういうことを言つておられるのです。私はお互いにわれわれの手だけで處理できるものは處理したい。一一連合軍の力を借りなければ處理できぬというようなことはわれわれの恥辱だと思うのです。從つてこういうことが現實に起つて來ておる場合、もしこのことが外國通信員によつて本國に通信された場合に、どういう反響を呼び起こすか。こういうことを私は特に安定本部長官がおられたら質問するはずでしたけれども、長官がおられぬから國鹽監査局長にお尋ねするのですが、どういうようにお考えになつて、今後どのように處理されようとするか、お話を願いたい。
○國鹽政府委員 ただいまある物資を外國の通信員が調査に行くということに關する御質問でありますが、その件に關しては昨日私は聽いたのであります。それは具體的に申し上げますと石英結晶すなわち水晶の相當量がある場所にある。それを調査に行きたいから安本の方でやつてもらいたいということを昨日言つて來たのであります。そこで早速調査して見ますと、石英結晶は隱匿物資等緊急措置令の物資にはなつておらない。從つて行政的にこれを摘發して買上げる、あるいは沒收するという權限はないのであります。從つてそういう意味における調査摘發は不可能であります。しかしながら退藏物資がたくさんあつて、遊ばしておくことがまずいということであれば、別の意味で調査することは一應可能である。こういう意味のものであるならば行つてもよろしいという意味のことを連絡しておるのであります。ただいま安本の方にしばしば話をしたけれども、さつぱりやつてくれないから外國の新聞記者に話したという事實は、私實は初めて承る次第であります。もしさようなことがありとすれば嚴重注意いたしたいと思います。
○加藤委員長 それからO・P・Oの兵隊を出すということは……。
○國鹽政府委員 わが方の調査が不十分であるというので、O・P・Oを出すというようなことにもしなりますれば、はなはだ私は遺憾なことだと存じております。さようなことがないように私どもは全責任をもつてやりたいと思うのであります。おそらくさようなことはないだろうと私は確信いたしております。以後その點は十分注意いたしたいと思います。
○徳田委員 先ほどからいろいろ査察官の問題、その他隱退藏物資の範圍を擴げる問題、摘發の問題がいろいろ論じられておりますが、今のような姑息な手段ではとうていだめでありまして、もし監察官に捜査權を與えたとしても、今のような状態ではだめだと思うのであります。それは勞働組合の代表者諸君と政府が會われた際にも、勞働組合が自主的にひとつやつてもらいたい。やみの撲滅、隱匿物資の摘發などについて自主的にやつてもらいたいということを言つていますけれども、そんなことを言つたつて、今のように憲法違反だの、なんだのかんだの、すつたのころんだのと言つておつては、自主的なへつたくれも問題にはならない。自主的といつたつて、勞働組合は依然力をもつておるけれども、これが法律上違反だとか、憲法違反だとかいうことになりますれば、そんなことはとうていできない。從つてこれはある一つの大きな機關があつて、勞働組合もちやんと使えるようにできていて、これが動員可能な組織になつていなければとうていだめだ。從いまして今度はこの委員會が特別に遊休物資を隱退藏物資からずつと擴げまして、大きな範圍において活用し、また摘發し、いろいろやるところのすべての權限を與えるために、すなわち隱退藏竝びに遊休物資の一切の摘發活用について全權を委任すべき特別の法令をここに設けなければとうていだめだと思います。英國におきましても、經濟危機を打開するために非常に廣範圍の全權を政府に委任しておる。從つてこういうことは決して憲法違反でも何でもない。憲法にただ書いてあるからといつて、憲法の條項がいかなる場合でも絶對この條項通りやらなければいけないというのではなく、必要に應じましては、これの條項を十分生かすために、國民が、民族が生きるために相當大きな制限を受けることは當然でありまして、こういうものに關する法律を直ちに設定すべき必要があると思うのであります。從つて今度は委員會自身が特別にそういう一つの法案を提出したい。そのために委員會に特別この法案を起草する小委員會をつくりまして、直ちにこれにかかりたいと思うのであります。もしそうしなければ、いくら司法大臣に向つていい案を出せとか何とか言つてみましても、これはとうていだめだ。閣議でああのこうのと騒いでいるうちに物は逃げてしまう。だから委員會がひとつ特別にやりまして、直ちに國會の本會議なら本會議に提出して、この問題を至急に解決したいと思うのであります。もしそれができなければ、本委員會は龍頭蛇尾に終るのでありまして、本委員會の成立した趣旨を貫徹することは不可能だと思うのであります。特にこの點動議を提出したいと思うのであります。
○足立委員 今の徳田君の説に對しては私は贊成なのでありますが、しかしながらこれと關連しまして、さしずめ經濟査察法ができているわけです。それでこの經濟査察法に對して強力なる強制權をもたせなければならぬ。同時に經濟査察法は隱退藏物資摘發の目的のためにつくつたものではないが、しかしながら可能限度當面の隱退藏物資摘發に經濟査察法を十分に活用しなければならぬことは明らかであります。そういう觀點からこの經濟査察法を——現在司法委員會にかかつておりまするが、こつちの方の隱退藏物資特別委員會で審議するか、あるいは合同の委員會で審議するか、何らかの適當な方法をとつていただきたい。こういう提案をしたいと考えるのであります。同時にまたこれをやつていくうちにおきまして、特別の法律をつくらなければならぬということになれば、また特別の法律をつくる。それで經濟査察法を隱退藏物資の摘發に十分活用するように修正しなければならぬということになつたら、これを修正してやる。こういう點につきまして一刻も早くこの摘發について強制權を與えることが先決問題でありますから、これに對する促進といたしまして、かような提案をしたいと思います。
○鍛冶委員 ただいまの御兩名の意見に對する司法大臣竝びに安本當局の意見を聽いてから私は質問したいと思います。
○鈴木國務大臣 憲法などを考えていては何にもできぬと、こう言えばおしまいでありまして、われわれは憲法を守ることを約束して憲法をつくつたつもりでありますから、徳田君の仰せられるような勇敢な議論は、趣旨においてはよくわかるのでありまするが、しかしいやしくも憲法を規定いたしました以上は、ゆえなくして身體、住居その他の自由を侵害するようなことがあつてはいけないのであります。財産についても、公共の福祉に反せざる限り尊重しなければならぬのでありまするし、いろいろな制限はやはり守らなければならぬ。こういう立場に立つておるのでありまするから、そういうことを無視して勇敢にやれというお言葉には、にわかに贊成いたしかねるのであります。
○徳田委員 それは非常に違う。私は憲法を無視して、どうでも勝手にしろというのではない。今實際上この經濟危機を切り拔けるためには、隱退藏物資及び遊休物資の活用をしない限りだめである。これを二年も三年もこのままにして、このストツクを食い潰してしまえば一體どうなるか。どうにもなりはしない。だから公共の福祉に關するものでありまして、その點で、いろいろの法律によつて制限せらるるのは當然であります。そういう範圍を超えないようにそれはできるのであつて、またそうしなければならない。單に勇敢に何でも蹴とばしてしまえということではないのでありまして、現在の法律ではできないものでも、新しい法律で、これを憲法に定められた權利の中でも制限せられるのは當然である。これは必要に應じて制限せらるべきであります。民族の安危に關し、民族の福祉を増進するためには、相當これは制限してよろしいと思うのであります。決してそれは憲法違反ではない。憲法は何でもかんでも現在の法律があるまま以上には、法律でもつてこういう權利を制限してはいかぬというのではないと信ずるのであります。從いまして私は憲法を蹂躙してやれと言つたのではないのでありますから、そういうふうに誤解せられずに、われわれはこれを全體として運用していくために、新しい法律を——もつと根本的な總合的な、これを實際實用に適するようにするために、全權を委任するものをやらなければいかぬというのであります。實際あれにもある、これにもある、あれも運用する、これも運用すると言つたところで、事實できません。これは急速にやらなければならぬし、また敏活にやらなければならぬ。また實際上勞働組合やその他のものを運用すると言いましても、あの法律でやれ、この法律でやれと言つたつて、それはなかなかできません。法律なんというものは、そんなやかましいことを言つたつてできません。だから一つの法律をこしらえて、これに對する解説をつけてこの通りやりなさいと言えばできます。また協力もできます。そうしない限り勞働組合だつて農民組合だつて、自主的にやれやれと言つたつて口先だけのことで何らできない。これをもしやらずに、このままにしておいて、民族が滅びても何してもよろしいというなら何ら差支えありませんが、少くとも現在の經濟危機を打開するために、——このことは鈴木司法大臣に對しましてこの前からしつこく質問しておるのであります。すなわち東久邇宮の命令が違法である。またそれは取消されたが、これに關連して行われた行為は、すべて命令であろうと行政處分であろうと、みな違法行為である。これはすべて犯罪である。さつきも言われたように十五萬人の人が公の書類を破棄したり軍の帳簿を燒いたり、これは公文の破棄罪でありまして、すべて法律上燒捨てる理由はないのであります。しかし一々そんなことを言つたつてできないのでありますから、そこに總合的な一つのものを與え、これによつて處理していく、これは何も長く行われるものではない。緊急的の法令であつて、ごく短かい時間に全部處理して終るのであります。經濟状態が正常の状態に復歸いたしますれば、大體三年間くらいでこれは終つてしまう。そうすればすぐ撤囘してしまえばいいのでありまして、廢することは何ら手續も要らないのでたりますから、そういうふうにしたいというのであります。これはちつとも亂暴ではない。共産黨は亂暴は好きではありません。共産黨はきわめて秩序整然たることが好きであります。共産黨は亂暴が好きではありませんから、そういうものではないことを特に御了解くださらんことをお願いする次第であります。
○鍛冶委員 先ほど安本當局からの答辯も得たいと思いましたが、ありませんから私からあらためてお聽きいたします。この間からしばしば安本において隱匿物資、隱退物資の摘發に當つておりますが、いかなる手續によつて摘發しておられるのであろうか、またその摘發の結果法律に不備があつて摘發ができなかつたか、できたとすればどういうものであつたか、その點をまず承りたい。
○國鹽政府委員 ただいままでは摘發調査にあたりましては、相手方の同意を得まして、承諾のもとに調査をいたしてきたのであります。しかしながら應々これを拒む場合もあつたので、その場合におきましては縷々話をいたしまして、結局において大部分は了解を得て調査を完了することとできたように聽いておるのであります。ところが最近安定本部の調査員が九州方面へ調査にまいりまして、某工場に當つたのであります。その際安本の調査員であることた示して調査したいという申出をしましたところ、一應は承諾を與えて調査を始めたのでありますが、途中におきまして會社側が辯護士その他の方面と連絡をとつて、臨檢檢査權なき者が調査をすることは違法である。憲法違反である。同時に安本調査員たる名刺を示して調査することは威嚇するものである。さような調査はただちにやめてもらいたいという抗議がありましてやむを得ずこの調査員は調査を途中にして終つておるのであります。中間の報告を電報で聽きますと、それまでに相當の物資を發見いたしておるのであります。なお情報によりますと相當の物資があると言つております。しかしてそれに關してはそれ以上の詳しい報告は私はまだ受けておりませんが、新聞で見ますれば、判事がそういうことは違法であるとか、あるいは警察署長が安本がさようなことをやるべきでないとか、いろいろなことを新聞に書いております。私自身といたしましてはこの隱退物資の摘發を急速かつ大規模に、徹底的に早い期間に完了したいと希望いたしておりますがゆえに、臨檢檢査權が一日も早く與えられて、それが憲法違反にわたらざるよう、適正なる運用のもとに進めるように努力したいと考えておる次第であります。
○鍛冶委員 安本の査察官と稱するものだけが行つて調査をするのだと言われるのだと言われるのか、隱匿物資等緊急措置令に基けば、商工大臣または地方長官の命によつて檢査できることになつておる、それらの者と協力してやつておることを聞いておるのでありますが、そうでなくて、安本だけでやつておられるのか、今後もそういう者との協力でなしに、安本だけでやる意思か、またやらなれけばならぬ理由があるのか、その點を伺いたい。
○國鹽政府委員 状況によりまして、できるだけ連絡をとつて同時にやるという建前になつておるのでありますが、地域によりまして、商工局なり、縣の商工課なりの當該職員の同行ができない場合があるのであります。その場合においては、やむを得ず檢査權はありませんけれども同意を得て調査するということになつておるのであります。またその仕事が適宜敏速にやる、竝びに廣範團にやるということになりますと、商工省竝びに商工局、あるいは縣廳の當該係官の數はきわめて少く、かつ常時平常の仕事に勤務するのを本職といたしておるのでありまして、さような人たちの出張を隨時求めるということは事實上きわめて困難な事情にあるということが、今後經濟査察官がみずから檢査權をもちたいという有力な理由になつておるのであります。
○鍛冶委員 ただいまの報告ははなはだ重大な結果を豫想されるのでありますが、商工省において隱匿物資等緊急措置令を勵行する意思がないかのように聞えます。あるいはほかの仕事をしておるから出てこられない、遠いから呼べないというように考えられるのでありますが、しかし向うはそれが本職である。法律がある以上はそれによつてやるべきである。それをやらないということになれば、商工省みずからがあの法律を無視することになるのですが、そういう事實が實際あるのですか、それともあなた方は商工省などは頼まぬで、めんどうだからわれわれだけでやるという方針が、その點明確にしていただきたい。
○國鹽政府委員 ただいまの御質問にお答えにいたします。できるだけ商工省に連絡をいたしておるのであります。あるいは縣においては縣廳の商工課の職員、商工局の職員と連給をとるようにいたしておるのでありますが、何にいたしましても、事實上不可能な場合が相當あるのであります。これは人數が少いということは兩方の仕事をどういうふうにやつていくかということについて、非常に支障を來す。從つて商工關係の職員が隨時出られないというやむを得ざる事情があるのであります。その點を申し上げたのであります。
○鍛冶委員 人數が少ければ殖やすように、商工省が思うようにやらなかつたならば、思うようにやらせることが安本の任務ではないか、それを思うようにいかぬから、おれがとつて代るという、そこにわれわれは問題があると思う。安本というものの本質はそういうものではないと思う。安本令第一條には何と書いてある。各官廳における事務の統合、各官廳における經濟統制の勵行に關する事務を掌るということを前提にしておる。各官廳をできるだけ動かすようにやることが、一番大事なのに、この官廳がやらぬからおれがとつて代つてやらなければならぬという、そこに重大問題がある。あの經濟査察官に對する臨檢檢査の法律案というものはそこにある。要するに各官廳は繩張りを墨守したり、またいろいろな事情があつてやらない。それが根本じやないですか。それを忘れて、あれがやらぬからこつちでやらなければならぬと言われる。そこに安本というものの本質が間違つておるとわれわれは思うのですが、いがですか。まず各廳になぜやらせるようにしないか。やらないならやらないところの缺點を見出してやれるようにする。なお法律に不備があるならば、その不備を補う。これが安本の根本任務だと思う。それとももう今日の日本は、そういうことを言つておいてはいかぬから、とつて代るようにやらなければならぬという思想か。その點をお伺いしたい。
○國鹽政府委員 御承知のように安定本部ができる前におきましては、各省がさような物資の調査査察にあたつておつたのであります。しかしながら安定本部ができました後において、前内閣時代に強力にこれが摘發をしなければいかぬ。それかために新しい機構を安定本部の中に設けてやれという方針になりまして、各省が一致協力して、安定本部と相提携してやろう、そういうことでこの仕事が始まつたのであります。しかして各省も摘發の仕事に關する限り、安定本部を中心としてやろうという建前になつて、今日まで進んできておるのでありまして、その間安定本部が繩張り爭いを商工省とやつておるとか、あるいはどこがやらないとか、そういう問題からここに到つたのではないのであります。最も強力なる摘發を新たな強力な機關のもとに行おうという内閣時代の方策を現内閣も引繼がれまして、さらにそれを一層強力に、そして先ほどの御意見のごとく、できるだけ統一した形においてやつていこうということで、今日に到つておるのであります。
○鍛冶委員 今の説明はわれわれは贊成なんでが、各廳にできるだけやらせるということが根本である。どうもわれわれはやつてみるが、各廳で動いてくれぬので、いくらこの法律があつてもできぬと訴えてください。われわれはできるだけやろうと思います。それにもかかわらず、それだからおれの方でやらなければならぬという、そこがわれわれにはわからぬ。了解に苦しむ。もとそういうことで現在やるべき法律があるのだが、今の官僚はこれをやらぬから、代つて安本という官僚でなければいかぬということになれば、必ず安本という官僚のまた弊害が出てきます。その上に何をこしらえるのですか。人民管理局でもこしらえますか。それ以外にはありません。われわれは現在の法律を活かすこと、この法律がどうしてもいかぬ。こんな法律では役に立たぬというなら、別な法律をこしらえてもよい。この法律に缺點があるというなら、この法律を補充したらどうですか。それにもかかわらず新しく安本が代つて出なければならぬという、この理由がわれわれにはわからない。先ほどからずいぶん、いかにも司法委員會が隱退藏物資摘發のじやまをしておるような御報告をせられるが、われわれ司法委員として迷惑千萬である。それがどうしてもできないというならば、われわれが考えます。あの法律をやめて、徳山君の言われるように別な法律をこしらえましよう。あんなものじやいけませんか。この點をひとつ明確にお答えを願います。
○國鹽政府委員 ただいまのお話の趣旨が十分に呑みこめなかつたのでありまするが、各省が安定本部と協力して、安定本部を中心としてこの仕事を進めていこう、こういう意味で私は申し上げたのであります。從つて安定本部が中心となつて、經濟査察官の臨檢檢査を求めるという當然の結論になると私は考えます。
○鍛冶委員 中心となつて各廳に働かせるということ、各廳をやめて、中心だから中心ばかりでやらなければならぬということは、全然違います。もう一遍安定本部令の第一條を讀んで、安定本部の任務、本質というものを明らかにしていただきましよう。そこにありましようから讀んでいただきたい。
○國鹽政府委員 安定本部令は私も手もとにもつておりませんが、要するに監査局でこの問題を取上げましたのは、行政監査をする。行政監査の一環として、調査の仕事もやる。かような建前になつておるのでありまして、安定本部令の中に含まれておると、われわれは解釋いたしておるのであります。
○鍛冶委員 調査をするという、調査はいいのです。摘發をわれわれがやる。調査と摘發は違います。摘發をするというから問題が出てくるのです。それでほかの法律でやるところがないのならいいのです。やれる。各廳を働かせてその中心になる。その中心になるのが安定本部の本領だ。それにはわれわれは贊成だ。各廳を働かせて中心にならずに、それを除いておればかりがやるんだという思想が、國民から安定本部に對する疑いをもたれておる。尾上屋を架する。ただいたずらに官僚だけを殖やすものであると言われておる根本が、あなたの精神から來ておる。今日はいかぬならあらためて聽きますが、安定本部令をもつてきて、あなた自身讀んでみて、私の質問に答えてもらいたい。安定本部令の第一條には、各廳の仕事を中心にして、その各廳の仕事を督勵するとか、監督するとか書いてある。その點を十分考えてもらわないと、甚だできない。やはりわれわれがやらなければいかぬ。それを司法委員會でじやまをしておると言われることは、迷惑至極です。あらためて司法委員會で承りますが、われわれはいたずらにそんなじやまなどをしておりません。できるだけやります。
○國鹽政府委員 ただいま調査だけの權限はあるが、摘發の權限はないとおつしやいましたが、その通りでありまして、摘發という意味が、どういう意味に御發言になりましたかしりませんが、強制買上という意味に解するならば、強制買上の權利はない。われわれの摘發というのは、強制買上、要するにそのものを取上げるという意味に解釋しておるのであります。しかしながら實際やつておるのは強制買上でなくして、どうせ強制買上になるのであるから、任意に自發的に供出をなさい。そういうことでものを出してもらつておるのであります。これは嚴格な意味におきまして、いわゆる摘發ではないのであります。強制的な摘發というのは、いわゆる強制買上でありますが、それは各省大臣でなければ權限をもたないのであります。その權限を私はただいま提案しておるのではないのでありまして、調査をするために臨檢檢査が要る。その臨檢檢査權を實はお願いしておるのであります。さよう御了承願います。
○鍛冶委員 そうすると商工省の何か買上するだけの權限を取る。臨檢檢査する權限をもたないのですか。そこであなたがお取りになるのですか。商工省のものはいくらも臨檢檢査をやれるのじやないですか。今のあなたのお言葉を聞くと、どうもそうらしい。摘發というのは買上である。それは商工省であるがあなたの方でみずからやらなければならぬという、その理由がわからぬというのです。その點一遍安定本部令をもつてきていただいて、私はそれに對して質問もし、私の意見も述べます。ただここに抽象的にやつておつてもいけません。
○國鹽政府委員 商工大臣にも調査の權限は、お話のようにあるのであります。しかしながら安定本部令においても調査ができるのであります。從つて私どもはその調査を徹底的にやりたい。かように考えておるのであります。
○加藤委員長 中野君。
○中野(四)委員 國鹽局長と石原次長にいろいろお尋ねしたいが、その前提として司法大臣にお伺いをしておきたいことがあります。權限を有する司法官憲の發する令状なくして捜査することは、明らかに憲法第三章國民の權利及び義務、第三條、第五條の違反であるというふうに言われておりまするが、この調査に警察官を帶同して行つた場合、いわゆる商工省の當該官吏を連れずに行つた場合におきまして、これは反則であるかどうかということ、すなわち警察官吏がそれぞれ警察署を通じて、令状をもたずに調査に行つた場合、これは違反であるかどうかという見解を、司法大臣に一應伺つておきたいと思います。
○鈴木國務大臣 調査と搜査というのは大分違いますが……。
○中野(四)委員 調査です。
○鈴木國務大臣 調査は相手が承諾して、見せてくれるというならば、ごらんになるのは違法じやない。しかしこばめば見るわけにいかぬ。それぞれの手續を經なければならぬ。われわれの方の管轄するのはすべて犯罪でありますから、それで令状が必要である。こういうふうに申すのであります。そこを誤解のないように願います。
○加藤委員長 今の中野君の質問に關連してですが、そういう場合に相手方がこばんだ場合、令状がなければどうにもならぬのですか。もしそのときに第八軍からM・Pなり、兵隊が行つたらどうなりますか。
○鈴木國務大臣 これはちよつと日本の法律でお答えがてきない問題に變るのでありまして、進駐軍の立場というものは、日本の法律以上のものであると考えなければならぬと思います。從つて法律問題を考えずにやられることが多いと思います。しかしわれわれの方からこれを依頼することはできませんが、進駐軍自身がおやりになることは、占領下にありますからこれを認めざるを得ないのであります。
○加藤委員長 もう一つお伺いします。それはもちろん政府からかれこれ言うことはできぬし、またやるべきでないでしようか、そういうことを第八軍の方で知つて、そういうトラブルがあるならば、おれの方から行つてやろうという場合が、實際問題として今後出てこないとは限らないと思うのです。そうするとかえつて調査をこばむことは、お互い同士が不面目な立場に立つのじやないかと思う、そういうことも豫想し得られるにもかかわらず、なお調査をこばむということがあり得るかどうか。
○鈴木國務大臣 その調査される人がどれくらい頑冥であるかという程度に比例します。あえてこばまない人もありましようし、進駐車であろうが何であろうが、あえてこばむという勇敢な人もありましよう。そこは相手方の人柄に關する問題であるかと思います。
○中野(四)委員 安本の在庫品課の者が、かりに商工省の當該官吏あるいは令状をもたずに摘發に行つた場合は、これは違法行為でありますか。
○鈴木國務大臣 どうも言葉が非常に大事であります。摘發に行くとこう言われるが、結局調査に行くという意味に私は解釋しますが、調査に行くこと自身は違法じやない。行つた先でやり方によつて違法になつたり、適法になつたりするのでありまして、令状をもたずに行くのはあたりまえです。調査に行くのですが、かりに經濟査察官が査察に行きます場合でも、臨檢檢査に關する法律が通過したあとだと假定しても、それは調査に行くのでありますから令状が要らないのであります。しかし犯罪ありと見て摘發する。こういうことなら令状が必要であります。その差はきわめてわずかであるが、非常に大事な差であります。
○中野(四)委員 私は調査の方面でなく、後者の方の摘發を伺つておるのです。すなわち當該官吏あるいは檢事の令状をもたずに摘發を行つた場合は違法であるということを前提にいたしますならば、過去安定本部において摘發されたものがあります。すなわち檢事の令状をもたずに、當該官吏を連れずに合意の上で調査をし、その結果において摘發した場面がありますれば、これはことごとく無效という結果になるかどうか、法律的の根據をお聞かせ願いたい。
○鈴木國務大臣 先ほどから申し上げておりますように、承諾を得てやりますならば、これは違法じやないのであります。ただ憲法の保障するところは、われわれの住宅はみだりに侵害せられざる自由をもつておるのでありますから、承諾しないならばあえて踏みこむのは違法になる。承諾するならば、それは一向差支えない。今までは多く承諾したところへはいつていつて調査し摘發していつたものと信ずるのであります。かりに承諾を得なかつたら違法である。そして無效であるという問題は、その被害者がこれを訴えて、法律上の問題として爭うのでなければ、これまた問題にはならぬわけであります。懲戒の問題があるだけであります。
○中野(四)委員 そこでさらにもう一點伺つておきたい。承諾という場合の前提となる合意というものですが、やはり摘發される側には相當大きなきずがあるわけであります。その場合に安定本部の名刺等をぶらさげ、あるいはその職權を示し、證明書を出して了承を求める場合に合意というよりもむしろ脅威を感ずる脅迫を受けるというような見解をもつ場合があるという一つの例があるのでありますが、こういう場合の見解はどういうふうにとられますか。
○鈴木國務大臣 いかなる限度までを自由意思というかという非常に困難な問題になるのでありますが、いくら強制を受けていやいやながら承諾したといつても、それは自由意思を抑制したということは言われますが、脅迫による契約で無效であると言い得るほどのものとは考えられない。そこで通常武器でも兇器でも示して、言うことをきかんければやるぞというような態勢を示してやつた場合に初めて違法の問題を生ずるのでありまして、通常は名刺くらい見せて、いやいやながら承諾したというのは、まず無效の問題を生せざる承諾である。こう言わざるを得ない。
○中野(四)委員 司法大臣の見解が明らかになれば、ここでひとつ事實を示してお伺いをしなければならぬ問題は、先ほど國鹽局長からも言われましたように、久留米において安本の中村事務官がその調査にあたつて、これは合意の上調査を行わんとしたにもかかわらず、何がしという辯護士の抗議によつて、第三者の國民の權利義務という點に關して憲法違反であるという建前をとつて、今後の福岡縣における摘發を一切拒否するという建前を明らかにされたのであります。しかも當該官吏として當時岡林という判事は、安本査察官の身分證明書で摘發する場合、これは摘發という解釋でありますが、安本は摘發ではなく調査でしよう。相手方に肩書を表示するだけのことであつて、決してこれは合意と言えないというのです。安本の摘發は法的に規定してあるものを思つておつた。今のところ何ら法的根據がないから、地元警察を通じて令状を請求し、警察官同道でやらなければ絶對にいけない。こういう見解を明らかにし、これを摘發という言葉を使つておりますが、國鹽君の言葉を引用すれば、おそらく調査であろうと思います。このような場合において、福岡縣で一切の摘發を拒否するということがはたして認められるかどうか、司法大臣の見解を伺つておきたいと思う。
○鈴木國務大臣 その具體的な例はもう少し調査をしなければ責任あるお答えはいたしかねますが、それは摘發であつて調査ではないと思う。それで警察官を連れて參りまするならば、殊に令状を示してやりますならば、一向差支えないのでありますが、安本の職員が暗に名刺を示してやるということはいわゆる摘發、すなわち犯罪の搜査、違法なる隱退藏物資の摘發ということでありますならば、そうではないと信ずる限りこれを拒絶する權利をもつておるわけであります。その辯護士は憲法をよく讀んでおつたために、そういうふうに答えたのだと思います。それだから、經濟査察官の臨檢檢査の權利を要求する法律を議會に提出しておるわけであります、そこにも困難のあることを御了承を願いたいと思います。
○中野(四)委員 國鹽局長に伺いますが、先ほどから鍛冶君の質問に答えられた通り、安本では端的に摘發する權限のないことは認めておられるだろうと思います。しかるに中村事務官は、摘發に行つたというふうに新聞には出ておりますが、これは事實それぞれの條件を具備せずに端的に摘發に行かれたものか、調査に行かれたものか、伺いたいと思うのであります。
○國鹽政府委員 摘發という言葉の意味でありますが、これは法律上の言葉ではないのでありまして、實際に調査して物を取上げることを指すのでありますが、使う場合におきましては、調査だけを摘發と言つたり、あるいは取上げる場合を摘發と言つてみたり、調査して取上げるまでを全部摘發と言つたりいろいろ使われるので、どれが正しいか法律用語を定める必要があると思うのであります。別に法律用語ではないので、はつきりきまつたものがないのであります。それである場合においては、調査という意味で摘發という言葉を使つても間違いというわけにはいかないのであります。從つてただいまの御質問におきましては、どういうことを中村査察官がやろうとしたのか、その事實を見ないとはつきりした判定は直ちにくだすことは困難であります。
○中野(四)委員 一新聞の發表ではありますが、今後の隱匿物資を摘發する面において、影響甚大であると思う。いわんやきわめて小人數で機構の不十分な中において、摘發の衝にあたられる今後の在庫品課の方々の心境に、大きな影響を及ぼす問題であろうと思つて質問いたしたのであります。なぜかようなことを質問いたしたかと申しますと、先日加藤委員長の提示に基く、練馬の石原工機の銀線摘發の面にあたつて、近來非常に容易ならぬ話が特上つております。後刻項を追つていろいろお尋ね申し上げますが、まずこの銀線摘發にあたつて、その處置に關する經過をば、國鹽監査局長から一應報告願つて、しかる後にお尋ねしていきたい點が五、六あるのであります。
○國鹽政府委員 先般加藤委員長始め國會の方々の非常な御協力、御努力によりまして、練馬のある会社で銀線を地下に埋藏しておつたものを發見いたしたのであります。その始末につきまして、われわれの方で今日まで研究の上決定いたしました經過を御報告いたします。調査は當時の状況におきまして全部を完了いたしておらなかつたので、地下五尺以下のところに二十トン以上が埋沒されておりまして、先般國會におきましては二十トンという調査報告がありましたが、本日會社の幹部が來て言うには、三十トンあると言う。その數量等にははなはだ疑問の餘地があると思いますが、當日におきましても時間の關係上、約五トンだけを掘つて、あとは地下に埋沒したまま、監視を嚴重にして埋めてきてあるという状況でありまして、トン數につきましてはまだ不明確であります。とにかく二十トンないし三十トン以上の物資があることは事實であると推定されるのであります。しかしてこれが物資の出所でありますが、會社側の説明によりますれば、終戰當時軍から拂下げを受けた。拂下げたというのは、當時工場の方で軍の方に對して債權をもつておつた。品物をつくつて、それを軍に賣つた代金がある。それと相殺した。その意味において拂下を受けたという説明をしておるのであります。その債權が百八十九萬圓と會社は申立てております。しかして會社側の言い分によりますれば、當時三十二トンあつた。それを當時の銀の價格一匁十七錢か十九錢で換算いたしてみますと、終戰當時の銀の價格にして約百七十萬圓近くになる。それで大體同じになるので、相殺したという會社の申立であります。しかしながらその相手方の軍の砲兵工廠の方の取調は、まだ完了していないのであります。と申しますのは、會社の相手がだれであるかわからない。というのは前の社長が帳簿も何も全部一人でやつておつたのですが、その社長が死んでしまつたので、何も記録が殘つていない。かように申立てておるので、その點におきまして事實がわからないので、調査ができておりません。とにかく軍の放出物資であることは間違いないので、それを地下に埋没して今日まできておる、その間若干を持出して使用した形跡がある。そこで軍の拂下物資であるとすれば、この入手が不法であるか、合法であるかという点を研究しなければならないのでありますが、この點はなおもう少し事實を追究してみないと、はつきりいたさないのであります。かりに一應正式に拂下を受けたといたしましても、後に軍から放出した物資は、全部囘收しろという命令が出ておりますから、その命令との關係におきましても、その處置が効力ありや否やという問題は別個に生ずるのであります。あるいは代物辯濟で相殺したと申しまするが、その代物辯濟が法律上、會計法上有效であるや否やという問題も起つてくるのであります。そういう問題もさらに研究の餘地があるのであります。 それからただいま殘つている物資でありますが、それは大部分は銀線であります、純分が九九%以上の殆ど純銀に近い線であります。若干これにエナメル加工をしたり、被覆をした電線になつておりまして、これが隱匿物資等臨時措置令に該當するか否かの問題でありますが、あの別表の中には電線ということは現われておりますが、銀線はないのであります。この電線に對して、この銀線が該當するか否かが技術的に、專門的に疑問になりまして、その點を明らかにしたのでありますが、普通電線と申しますのは、電氣を通すことを目的としたものであり、銅を中心としてつくるものである。鐵の線等も電氣を通ずるために使われるけれども、これは鐵線である。こういうものについては、後ほどまた金屬課長もお見えになつておりますから御説明願いたいのでありますが、要するに銀の線は電線に使わない。ほとんど例外的に、軍が戰時中非常に高性能の通信機か何かに使つておつた。普通はラジオにも何にも使われない。從つてあの當時においては、銀の線は豫想しておらない。そういう解釋をとつておるので、一應電線とは認められない。こういう專門當局の見解なのであります。しかしながらエナメルを加工したもの、あるいは被覆をしておるものは電線該當物資である。若干のものは隱匿物資等臨時措置令に該當するということが言えます。殘りの大部分は何であるか。これは銀の地金として見るかどうかという問題であります。この銀地金となるかどうかの見解は、大藏省の理財局外資課の所管にありますので、この方の專門の意見も徴しました結果、線にはなつているけれども、大藏省の解釋においてはああいうものは地金として扱うことになつている。というのは詳しく申上げますれば、インゴツトが地金であると解釋すれば、これを線のようなものに變形して處理していくのもよろしいということになるし、いろいろ問題がありますので、積極的に解するよう取扱うということで、銀の地金として扱うような方針がきまつたのであります。というよりももとからそういう方針であつたのでありますが、かつてこの銀線が問題になつたときに、その點を檢察廳から大藏省に問い合せたときの囘答の文句がきわめて曖昧なところがありましたので、檢察廳竝びに大藏省においてこれを該當しないものとして問題にしなかつたという事實があるのであります。銀そのものは私も見ましたがやや、曖昧であります。現物を見ないで囘答をした關係上、曖昧な囘答を出したものと想像するのでありますが、大藏當局の説明によりますと、その文書はそういう意味のものである、銀とみなすという意味のものであるという解釋をいたしているのであります。かような關係で、いずれにしても銀地金に相當する。從つてポツダム宣言にもとずく申告義務に違反して申告しておらなかつたのでありますから、そういう意味の罰則はできる。しかしながらその政令によつては没收はできない。この政令には没收規則がない。從つてこれを提供を求めるためには、任意提供以外には方法がない。無償で任意提供をさせなければいかん。しかしながら本人がこれを承知すればよろしいが、承知しない場合には、さらに軍放出物資でありますから、この見地よりもこの問題を追究する。軍放出物資は當然無償で返還すべきである。かようないろいろの點から考えて、結論をとり出して、處理すべき準備をいたしておりましたところ、昨日から今日にかけて、アメリカ第八軍の方で新聞に出ました關係上、事情を知りまして兵隊を派遣してすでに掘り出しまして昨日大部分、さらに今日にかけて全部を掘つてもつて行つているのであります。金銀その他の金屬類はすべて向うの管理下にはいるのであります。日本政府が買上げても、大藏省から進駐軍の方に報告しなければならん。報告した場合には向うの管理下にはいることになつておりますので、手續としてわれわれの方である前に、非常に貴重な物資である、あるいは隱匿されたものであるかどうなるかわからないという心配からでありましようが、第八軍の方で先に掘つてもつて行つたという状況にあることを申上げます。
○中野(四)委員 私はこの問題がきわめて大きな結果をもたらすと考えて、ただいまもお尋ね申し上げたのですが、特にこの際二つ三つ當局に伺つておきたい。金屬課長に特に伺いたいのですが、あなたの所にこの銀所有者である宮田慶三郎という者が伺つて、この品物を示して、これが合金であるということをあなたの方で認證なすつたという事實がありますが、これを銀地金と認めるか、銀線と認めるか、あるいは合金と認めるかという點について金屬課長から一應御説明を願いたいと思います。
○堀説明員 お答え申し上げます。ただいま宮田某が私に直接會つたというお話しでありますが、私自身安定本部にまいりまして一度も本人に會つた憶えがありません。その品物を私の所にもつて來た例も全然ありません。あとで國鹽監査局長から石原次長——ただいま病氣で休んでおりますが、石原次長が會つたことは事實であります。その場合に私がその席で立會つたというお話しもなにかあつたようでありますが、私自身としてはその席上に立會つた記憶はないのであります。ただいまの合金かどうかという問題につきまして金屬課長として御答辯を申し上げますが、金屬という性質から考えますると、要するに銀線、たとえば線になつておるものは一應われわれとしては製品という解釋をもつていたわけであります。かりにインゴツトから加工されていつた場合には要するに半製品という場合も一應ああいう金屬の性質からいきますと製品ではなかろうかというような一應は解釋しておつたのでありますが、ただいま國鹽監査局長からお話がありましたように、銀につきましては一應線になつておるものでも、そのものの形状なりその使い方においては、ただいま申し上げましたように地金であるという大藏省の見解であります。從つて一應金なりあるいは銀また銅につきまして、金屬という性質から見れば一應加工しておるものは半製品といえども製品の範圍に入れるというようにわれわれは解釋しておるのであります。從つて本問題につきまして御質問の本人に會つたことは全然ありませんが、一應合金かどうかということになりますると、合金であつても一應地金であるというように解釋するわけであります。
○中野(四)委員 委員長……。
○加藤委員長 ちよつとその前に數字が違つておりますから、國鹽局長が百八十九萬トンと言いましたが、板橋警察署長から私宛に來た取調の報告によると八十九萬トンになつておる。
○國鹽政府委員 それは會社側の間違いであります。
○加藤委員長 これは會社側の取調の結果、そういう報告をしておりますからどうぞ。
○中野(四)委員 今日は石原次長は御病氣で來ておられませんが、少くともこの銀線の實物を安定本部に示してパーセンテージを、八六%より九九%と明らかにし、しかしながらこの現物とは些か異なつておりまするが、エナメルを塗つたものであつて、一見合金のごとく、あるいは銅のごとく見えまするけれども、實質上においてこの品物と何ら變るところのない物をば局長に示し、次長に示し、次長は實際上においてこの問題を關知しない、そこで金屬課長が專門的であるから、この方においでを願つてあなたの鑑定を求めた結果、これが合金で一向違反にならぬものだということの了承の上において、今まで埋没しておつたということを宮田君は言うておるのでありまするが、あなたが全然立會つたことがない、しかも石原次長はここに出て來られないというような面に到達いたしますると、私の質問をいたしまする焦點が失われると思うのでありますが、何かここに出られぬからには石原次長から何らかの傳言か、これに對する報告を受けておるかどうかということをお答え願いたいと思います。
○國鹽政府委員 ただいま安定本部の石原次長に對する御質問の意味においての御發言でありまするが、石原君は病氣のために數日前から臥床中でありまして、本日呼ばれておるということを知りまして、書面によつて當時の事情を私の手許に明らかにしておられますから、御本人の自筆としてこれを讀むことにいたします。 一、宮田氏との關係——宮田氏とは會社の社長であります。——終戰後神奈川縣片瀬において近所に居住していた關係で友人を介して知合いになつた。 一、今囘の事件の經緯——多分夏の前のころであつたと思うが、宮田氏が役所で話のついでに雜談的に次のごとき話をされた。 會社(東洋工機でありますが)で銀線をもつており、貿易廳の指示を得てP・X及び輸出品を製作納入しておるが、先般來二囘ほど警察の取調べを受けたが、いかがなものであるか、取調べの結果は今では別に處分を受けたようなことはない。小官はこれに對し、隱退藏の關係は法規には多分牴觸しないと思われる、貴金屬の取締りの方法不明だが、とにかく法規の關係をもう一度よく調査し、觸れる場合は至急關係方面に打合せ、處置をとる必要があろうとの返事をしたものと記憶しておる。小官としては隱退藏の關係においても、安本として正式に返事をなし得る立場になく、以上の話はまつたく友人として、個人的な話であつたので、この點は宮田氏においても誤解はないはずである。もし宮田氏が小官との話をもつて、安本の了解を得たと言われるとすれば事實に反する。なおかかる事件を知りながら、たとえ法規違反はないとしても、そのままにすることは怠慢の責を負うべきとの論については、公務の遂行上でなく、單に友人からの相談あつた事實については、ただちにこれに基いて檢察的立場に立つて處置をとるべき筋合のものとは考えられず、また本件については、すでに取締當局において取調べを行つており、また貿易廳においても保有資材の使用方法について指示を行つているとのことゆえ、その際それ以上これを取り上げる必要なしと考えた。 以上であります。
○中野(四)委員 石原生産局次長の書面はおよそ食い違つた點が多々あろうと思うのであります。石原君を宮田君が訪ぬたのは、昭和二十一年の十二月あるいは二十二年一月にかけて三囘にわたつて訪ぬております。しかも安本次長室において、次長の席において、當時技官であつた方々が出てこられて、この品物を手にとつて一々これに説明を加えております。そかも今仰せられるところによりますれば、夏というお言葉でありましたが、これは誤解であるかも知れません。少くとも生産局次長という、たとえ近隣に住んで、知己の紹介を得たといえども、少くとも安定本部の要職についておる人が、このような大きな退藏物資に該當するものについて相談を受けた場合に、何らの相談を他の者にせずに、單的に自分一個の私見をもつて片づけるような輕擧な行動をとつたことについて、責任を負う必要はないというような言い方は、私は暴言にひとしいものだと思うのであります。本人がここに出ておられないことで、とかくの論議は避けるといたしまして、この次の委員會には石原次長に出ていただきまして、私は宮田君から直接聞きましたことについて、事實を明らかにして、この點の論判をしてみたいと思つているのであります。 いまひとつ國鹽局長に伺つておきたいのでありまするが、これが銀線であるか、銀塊であるかということについては、結果において相當大きな影響のあることは御承知の通りです。もしこれが銀塊である、地銀であるということになりますれば、從つて別な根據に立つて論議をしなければならぬ。これが製品であるということになれば、おのずからまた別な觀點が出てくるわけである。あなたの方では先ほど大體銀線だというような見解をとられたように思いますが、これは地銀ととられたのですか。銀線ととられましたか。
○國鹽政府委員 關係當局との相談の結果、當該物資の大部分は銀地金に該當するという判定を下したのであります。
○中野(四)委員 この際あなたの方で調査をされた結果の中に財産税等の申告がありますかどうか、そこまで御調査になつたかどうか、これも一應伺つておきたい。
○國鹽政府委員 さような點は調査の途上におきまして一應論議はされたのでありまするけれども、その點まで安定本部としては深入りすると申しますか、當然やらなければならない問題ではないのであります。これは大藏省當局も列席しておりましたし、その關係者も列席しておられましたので、そのへんの事情は十分御承知の上お歸りになりましたから、大藏當局におきましてしかるべく御處置があることと考えております。
○中野(四)委員 大藏當局のだれが出ておられたですか。今日ここへ御列席ですか。
○加藤委員長 今日は外資課第二課長が出席されております。
○中野(四)委員 そのほかにあなたと協議された方は出ておられますか。
○國鹽政府委員 全部は出ておられません。
○中野(四)委員 仕方がないから、それならば大藏省の外資課長に伺いますが、この地金のことについて——地金という名前をつけては惡いかしらぬが、この銀線のことについて宮田慶三郎君は外資課長にお會いになつてお話をなさつた事實があるかどうか。それからこれを地銀と見るか銀線と見るか、大藏省の見解を伺いたい。
○藤本説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。宮田某氏に私が會つたかどうか、こういう問題につきましては私はつい最近外資第二課長に就任しました者でありまして、今日まで直接宮田さんには會つておりません。 第二點のただいまお示しの銀線を地銀と見るかどうか、こういう問題につきましては、私自身がここで鑑定するということは、私は技術者でございませんし、不適當のように考えますので、即決でこれは地銀であるとは申し上げかねる次第であります。さらに司法當局から過去におきまして照會がございまして、私の方の理財局長の名前をもちまして地金と合金とにつきましての定義をお答えしたことはございます。これは具體的な商品を示されまして、地金なりやまたは製品なりや、こういう質問があつたのではございませんで、地金、合金とは一體どういう範圍のものを言うのか、こういうような質問に答辯したのでありまして、大藏省の意見が一應司法當局にも傳わりまして、司法當局における御判斷の材料に供せられたのでありまして、それをもつてただちに最終的な決定とされたものではないと思います。從つて大藏省におきましてはただいま御質問のように地金、合金については報告義務がある、こういう規定を出しておりますが、それには具體的に地金とはどういうものを言うか、合金とはどういうものを言うか、こういう規定はないのであります。地金、合金はやはり社會通念によつてきまるものでありまして、これはわれわれ直接地金とか合金とかいうものについての檢定能力をもつていない者が即決すべき問題ではないのでありまして、もし問題になれば司法當局において決定さるべき問題だと考えるおります。
○中野(四)委員 あなかが外資課長に新らして出てこられたというのならば、論はないのであります。前の外資課長であろうと思います。それからこれを地銀と見るか銀線と見るかという見解は、おのずから司法當局の見解だという仰せでありますが、これは了承できません。少くともそれぞれの專門的な地位の方々がおられて、これに對しての調査をして判定をつけられておると思うのであります。すなわち大藏省の方ではこれが地金だということになりますならば、あなたの方の許可が要るわけであります。東洋工機の場合においては、この銀線に對して許可をとつておりましようかどうか、この點を伺いたい。
○藤本説明員 御質問の點についてお答えいたします。第一點の經濟安定本部における會議におきまして、私どもの課の係員が地金であるという斷定をしたとは私は聞いておりません。一應地金と認めらるべきものと思うけれども、最後の斷定はできない、こういうことで歸つたように私は聞き及んでおります。事實私昨日そういう報告を受けております。地金を使用しますについて許可を要するという問題については、おつしやる通り地金をもつております者がこれを使う場合には許可を要します。しかし今の問題は銀をもつている人間が報告をしたかどうかという御質問かと思いますが……。
○中野(四)委員 いや、許可を得たかどうか……。
○藤本説明員 それについては許可を受けておりません。
○中野(四)委員 經濟安定本部の見解では地金だと、こう言われる。しかも大藏省の省令によつて許可を得なければならぬ品物が許可を得ていないということになれば、これは入手經路が、しかも軍の放出物資という前提といたしまして隱匿物資であるということがはつきり斷定ができると思うが、國鹽局長はどう思われますか。
○國鹽政府委員 大藏省の方でただいまの御説明によりますと、銀か地金であるかどうかはつきりしない、こういうことのようであります。ちよつと私その邊がはつきりしないのですが。
○中野(四)委員 これはまるで見當がつかない。聽く人は病氣でいない。かんじんの外資課長に聽こうと思えばさつぱりわからない。これは地金であるか、銀線であるかということをはつきり明確にきめていただきたいと思います。これは隱匿物資といたしまして、退藏物資として處理する上において、非常に大きな變革を來すという前提においてこれを御説明願いたいと思います。
○藤本説明員 この問題につきましては、最近經濟安定本部と連絡したばかりでありまして、實は私ども係官が連絡にまいりまして、地金と見るかどうかという問題が出まして、その時係官は一應從來の司法省等に對しての囘答文書から見れば、地金と認められる節もあるけれども、これをここで大藏省が一方的に斷定することは適當でないということで歸つたのでありまして、もちろん大藏省においてこれを地金でないと言つたのではない。最後の決定をそう輕々に附すべきものでない、こう考えたわけであります。
○中野(四)委員 特にここで貿易廳の方に伺いますが、塚田貿易廳長官の名においてこの銀が二十一トンだけ當然本人が所有してよろしいという證明を發しておられるのですが、この經緯についてひと通り御説明願いたいと思います。
○新井政府委員 ただいまお話の貿易廳の書類のことでありますが、これは實は先ほど來使用許可という言葉をしきりにおつしやいましたが、これを許可したのでも何でもございませんで、輸出品の材料としてこういう品物を現在使つている。それが適當であるかどうかというような趣旨において證明をしてくれというお話でありましたので、そういうもので輸出品をつくることは將來の輸出振興上適當なものだという意味におきまして、材料として適當であるという趣旨の證明をいたしたのでありまして、貿易廳といたしましては、決してそういうようなものについて使用の許可をするという權限はもつておらないのであります。
○中野(四)委員 この場合入手の經路等はいつこうお聽きにならなかつたのですか。ただ端的に差支えないと言つて證明を出されたのですか。經濟安定本部の方にこの間書きとつてきた貿易廳長官の證明があろうと思いますが、當時行つた者は聽きませんでしたか。
○加藤委員長 ここにありますちよつと讀んでみましよう。これは板橋警察署長から私宛に出された報告書でありますが、それによりますと、「東洋工機株式會社取締役社長宮田慶三郎、貿易廳長官塚田公太殿、輸出品見本品及びPX納品製作使用材料證明の件、今般左記弊社所有ラジオ用合金線(銀銅シリコン合金)をもつて別紙製品を製作中に有之候條製作材料使用證明相成度、記、ラジオ用銀銅合金線二一、八七五キロ、同エナメル線一〇、三五二キロ、右の通り證明す、昭和二十二年一月八日、貿易廳輸出局長、」これが報告書であります。
○中野(四)委員 新井さん、これについてあなたの方で、現物を現に見ておられるということで、現物をもつていつてあなたの方に話をし、この證明をもらつたと言つております。あなたの方ではむろん現物を見なければそういう證明をお出しになるわけはないのですが、こういう終戰後とかく論議の的になつております銀とか金とかいうものは、そんなに容易に證明が出せるのか、すなわち入手經路も調べず、しかもこの品物を合金だと言つたら、ああそうかといつて證明書が出せるものかどうか、この點について伺いたい。
○加藤委員長 なお、ただいまの證明書の附屬の類と思いますが、こういう書類がついております。「輸出向製作材料、種目、七實ブローチ、輸出見本二十種、箇數百箇、PX見本二十箇、箇數百箇、婦人用バツクル、輸出見本二十種、箇數百箇、PX見本二十箇、箇數百箇、洋服ボタン二十種、箇數百箇、PX見本二十箇、箇數百箇、腕輪、輸出見本二十箇、箇數百箇、PX見本二十箇、箇數百箇、首飾、輸出見本二十種、箇數百箇、PX見本二十箇、簡數百箇、以上のもの製作殘餘材料は今後のPX見本竝びに輸出工藝品製作に可及的使用すべきものとす、」こういう書類がついております。
○新井政府委員 ただいまお話の通り、證明書を出したわけでありますが、この證明書を出すにつきましては、製品をもつてこられて、こういうものをつくつているということを係りの者が見た事實はあるそうでありますが、その原料について見たことはないように聞いております。
○中野(四)委員 これも宮田君と對決しなければわからぬじやないかと思いますが、本人は銀線約一尺ばかり持つていつている。あるいは製品になつたもの、あるいはブザーーの半分製品になつたものを持つていつている。そうしてこういう證明をもらつてきたと言つております。私が先ほどお尋ね申し上げたのは、こういうとかく論議の的になる厖大な貴金屬を所有しているものに對して、何らの捜査もせず、疑惑ももたず、端的に證明が出せるものか、一體貿易廳というものはそんななまやさしいものかどうかということを伺つたのですが、この點の見解が明らかになつていないのです。
○新井政府委員 お言葉を返すようですが、貿易廳といたしましては、そういう事柄についていろいろやる權限はございませんで、ただこれが輸出品として適當かどうか、そしてそういう輸出品をつくるについてこういう材料を使用しているかどうかという趣旨の證明をしたのでありまして、從つてその經路等については當時別段これについて調べなかつたわけであります。
○中野(四)委員 これは係りの方の怠慢なんです。あなたの方もそうです。昨日から本日にかけて第八軍の兵隊が掘つて、それぞれのものを連合軍の方へもつていこうというような結果になつたことは、ことごとく官僚の怠慢と言わざるを得ないと思う。かような通俗的な言葉を使つては刺戟はないかもしれませんが、あまりにもひどいと思う。あなたの方の證明にいたしましても、あるいは石原次長の當時の言葉にいたしましても、ないしは外資課長、金屬課長が立ち會わなかつたならば、あるいは次官が立ち會つたというのですが、こういうような方々が、實際もつてきて、本人の言葉をそのままうのみにして、何らこれを科學的な、分析もせず、端的にこれを合金として取扱つて、そうして一片の法律の上にとかくの論議をくつつけて、これをば地金であるか、あるいは銀線であるかすらも斷定を下すことができ得ないというような段階に今日はいつておるということは、私は大いに諸君の怠慢をなじらざるを得ないと思うのであります。特に私はこの問題については、宮田慶三郎という者が相當強い意思表示をもつて各C・P・Cの許可を得、あるいは今の貿易廳の證明をもち、ないしは安定本部の次長の證言と、ないしは金屬課長と稱しておりまするが、技官の言葉を盾にとつて、この點が再々終戰後警察の問題になつて、二度も三度も板橋警察署、ないしは志村警察署において取調べをいたしましたが、そのたびたびに諸君の證言、あるいはただいま言うたような證明が相當大きく役に立つて、今日までこの貴重な物資が退藏されておつた。しかも退藏されたものが相當の努力によつて摘發された結果においては、さらにこれが地金という斷定を下さず、針金であるという斷定も下さず、この結果は國家に損害を與えたことが甚大であろうと思うのであります。端的に私はここであなた方を責めるのではありませんけれども、先刻來各同僚の委員がいろいろと、機構の問題についても、諸君の熱情の問題についても、議論を闘わされましたが、結局するところ私は官僚諸君が、現政府が、今日の隱匿物資、退藏物資を根底的に摘發して正規のルートに乘せ、敗戰後における資材の不足に充足しようという熱意がまつたくないということを指摘せざるを得ないのであります。私はさらに今日これ以上追究しなければならぬ點が二、三ありますが、かんじんの石原次長がおられないでは、中心になる話がはずれてまいりまするから、私の質問は打切りまするけれども、局長及び次長に言われて、少くとも友人というのではなく、安定本部の生産局の次長石原君が宮田慶三郎より相談を受けて、これを何らの根據なしに合金だ、一向隱匿物資にもならなければ、退藏物資にならないというような暴言を與えたことの責任はあくまで追究しなければならぬと思うのであります。端的に私はここで皆さん方を叱るものではありませんけれども、諸君の熱意を速やかに反映されんことを希望してやまないのであります。私は今日は自分の質問をこれで打切つて、次囘に石原次長の出席を求めて、さらにこの問題の追究をいたしたいと思つております。そこで國鹽局長も、今日の過程におきましては、おそらくこの銀線の問題に絡んでは調査が徹底しておらぬと思います。そこで次囘の委員會においでになるまでに、少くともこれが商工省の指定生産資材在庫調査規則によつて、載つておるかどうかというような點も調べ、あるいはこれが銀塊であるか、地銀であるか、銀線であるかという、はつきりした政府側の見解と、これをいかなる處置をするかという見解も今度はこの委員會にもつてきていただきたいということを希望いたしまして、自分の質問を終ります。
○加藤委員長 ただいまの中野君の御發言の中に少し誤解があるかと思いますから、訂正しておきたいのですが、銀塊にしろ、銀線にしろ、これはアメリカにとられたんではなくて、昨日C・P・Cからバローという大尉が來ての話に、私特にそのことを念を入れて聽いたのです。そうすると、第八軍の手によらないで、直接C・P・Cが摘發した場合には、C・P・Cが自由に日本政府に指示することができるが、第八軍の手に保管が移つた以上は、一應——これはバロー大尉じやない、C・P・Cとしての見解としては、おそらく大阪の造幣局にまわされて、造幣局にまわつたときに第八軍からC・P・Cの方に、その旨の報告がある。その報告に基いて日本政府にこれをどのように使うかという、その使途を指示することになるであろう、こういうことでありましたから、もつていかれはしないということをひとつ御了承おきを願いたいと思います。
○中野(四)委員 私はもつていかれたという言葉を使つたとすれば、訂正いたしますけれども、そういう意味でなく、八軍の手によつて今日堀られなければならぬということは、まつたく日本人として忍びないのです。われわれはこの意味を強く官僚諸君に訴えておるわけです。
○佐竹(新)委員 この機會にちよつと申し上げておきたいと思いますが、先般本委員會におきまして、昨年の五月に、復員省の囑託になりました河野彌吉という者が、當時五百名ばかりの調査員を使いまして、全國的に終戰物資のあり場所を探し、そうしてそれをもつておる者から一々保管書をとりまして、これを現在では内務省に移管されておるのでありますが、この結末が一向はつきりしておらない。本人の申しますること、竝びに當時の復員省の申しますことによりますと、當時の時價にして約八億圓あるというのであります。この明細はここに本人の保管書が二册にわたつてありますので、この一部分を書面によつて照會して、その結果を見ますると、保管された物品の處分に對してきわめてあいまいなものが多いのであります。まだ現在保管をして、そのままになつておるものもあろうと思いますので、この際本委員會におきまして、この保管者に對しまして、その物品の所在、その結果をどういうふうにしたかということを一應調査してみたいと思いますので、委員長におきまして適當に取計らいをお願いいたしたいと思う次第であります。
○加藤委員長 ただいま佐竹君の御提議は、復員局から囑託された殘在物資調査會が、昨年の五月に調査をした莫大な物資について、一々保管書をとつておる、その後この物資がどうなつておるかということを、保管者にこの委員會の名をもつて照會を發して、もし物資があればあるように報告を、處分されたならば處分されたように處分先、竝びにその金額、受授の關係等を、照會状を發して事實を知りたい。こういう御提議だと思いますが、これをそのように取計らつていががでしようか。
○加藤委員長 御異議なければただちにそのように取計らうことにいたします。
○徳田委員 先ほどから私は動議を提出しておりまして、それに對して少々論議はありましたが、まだ何ともこの動議を取上げて決定する段には至つておりませんが、これをひとつやつていただきたい。實はさつき話のあつた久留米の摘發事件でありますが、向うでは福岡縣擧縣一致だ、裁判所も、檢事局も、縣廳も、警察も、何もかもみんなこぞつて、今後はこの摘發を——安本の調査その他の摘發はすべて拒否する、徹底的にやる、むろんこれはブルジヨア側でありましようが、そういう暴擧を企てておるようである。そうすると安本はまつたくばかにされておるのでありまして、向うの官憲はこぞつてこれを排撃するということになつておる。そんなことになると、一體何のために地方のそういう官廳があるのか、わけがわからぬことになる。殊に判檢事もそろつてこういうことをするということになりますれば、これはたいへんなことであります。でありますから、どうしても委員會が新しい法律を設けなければだめだと思う。これは安本やあるいは商工省が、從來できているあの不完全なものによりまして、この新しい法律をつくることに反對するかもしれません。しかし反對してもよろしい。事實はこれを行えないのだから、だからこの委員會においてこの點を決意をもちまして、從來の隱退藏物資及び遊休物資の活用に關する一切の法令を、新しい法律に總合してこれによつて一切をやるということでいきたいと思うのであります。この動議に對しまして委員長から今日ぜひ皆さんで討議の上決定をみたいと思うのであります。
○加藤委員長 ただいま徳田君の提議になりました隱退藏物資摘發に關する權限をもつた特別の機關を設けるように新しい法律を制定することを本委員會の名において議會に提案したい、こういうことですね。
○徳田委員 その法令の案は小委員會でこしらえまして、この委員會の決議に基いて本會議に報告し、直ちにこれを採用してこの仕事を始めなければ、今のようなことになりますと、地方ではどこでも反對する。福岡縣がそれを始めますとどこの縣でもみなやると思います。そんなではどうにもなりませんから至急やつてもらいたい。大藏省がこうだ、商工省がこうだ、貿易廳がなんだ、あれがなんだとぐずぐず言つていた日にははじまらない。この銀線の問題にしても、地銀だ、製品だ、なんだかんだと言つていた日には何もできない。シルコンなんかはいつているとすれば、これは非常な貴重なものでありまして、これはおそらくレーダーにでも使つたものらしい。大したものである。こういうものを合金だ、いやなんだと、くだらんことを言つて仕事ができないようではとうていだめだ。であるますからこういうものを廣範圍に扱つて、新しい法令をもちまして一切のものを包含するようにして、この經濟危機を切り拔けるほんとうの熱意のある、實際至急にやり得るようなことにならないと、日本民族は滅びます。ゼひひとつ早くやりたいと思います。
○加藤委員長 ただいまお聽きの通りでありますが、このことにつきましては先般もすでにこの委員會として本會議に提出すべき一つの決議をやつているわけです。それはできれば強力な權限をもつた民間人を主體とする特別機關を設けて、これによつてやらしめようという決議を先般この委員會においてしているわけでありまして、これを世耕事件が一應の結末を見たならばその中間報告と同時に報告をして議會の承認を求めて、政府にこれを要請する、こういうことの一應の決議がこの前なされたのでありますが、ただいまの徳田君の御提議はそれとは別にたとえば經濟査察官に對する特殊の權限を與えるという法律案や、あるいは現在隱退藏物資緊急措置令その他の隱退藏物資と指定し得る政令などとは別に、そういうもの一切を包含した強力な權限をもつた一つの特別な機關を設けるような法律案をこの委員會の決定によつて本議會に提議しよう、こういう御意見ですね。そうしてその小委員會をつくつて案文を作成して、この委員會できめたい、こういう御意見ですね。
○徳田委員 そうです。
○田中(健)委員 ただいまの徳田君の發言に關連して申し上げたいと思いますが、私も今度の九州の摘發はたしか安本の方は二十八日ですか出發したと思う。私は二十六日に出發いたしまして、安本の摘發の状況を見てまいりましたが、現地のいろいろな人に會つて聽いてまいりました。最後に現地の警察署長に會つて聽いてみたところ久留米としてはああいう纖維製品が戰爭前にもある程度、あるいはそれ以上のものがあつたんだ、なければ久留米という市は産業がもつていけない、こういうわけで、どうしてもこれを守らなければならないというような一般的な空氣なのです。多分そんなことが反映して判事は判事なりの解釋を下し、警察部長は警察部長のような解釋を下しており、一般の地方民は地方民なりにそういう考えをもつておる。それは久留米地方が擧縣一致守る、それが九州に、あるいはそれが全般的に響いてくる。こういうことになつたのではなかろうか、大體そう判斷してまいつたわけであります。事の是非善惡は別にして、これが影響して全國的にこういうふうになつてきますと、中央で今のような状態のもとにどんなことをやつても摘發の效果はあがらないと思う。また山形縣にはガラスが三千箱あるという話を聞いておりますが、これも現地に行つてあたつてみますと、やはりある程度確實にあるようには思われるけれども、これも縣知事であろうが、商工課の役人であろうが、その他の連中がやはり擧縣一致摘發を妨害しておるというふうに見られるわけであります。こういう状態でありますから徳田君の言われるような強力な權限をもつたところの機關が私は必要じやないかと思います。そういう法律なり何なりをつくる必要があると思います。しかしいろいろな考えなり御意見をもつておる人がありますので、委員會の中においてもいろいろと意見があると思います。從いましてただいまの動議、あるいは先般の決定、そういうものをどうするかということについては、私といたしましては本委員會の理事會において加藤委員長初め各理事間においてこれを檢討いたしまして次の委員會までにお諮り願いたい、こう考えております。
○武藤(運)委員 私はただいまの徳田君の提案に贊成をするものであります。大體ただいま委員長からもお話のありました通り、徳田君の提議はまつたく新しい提議でないのでありまして、先般私が提出いたしまして皆さんの御贊成を得ました申合せ、あれをさらに發展させ、具體化する一つの提案だと考えます。たとえば隱退藏物資または遊休物資とされる對象をさらに範圍を擴げる。あるいはそれを處理する委員會を民間人を主體とする相當強力な權限をもつ委員會とするとか、いろいろな法制的措置をとるべきことというようなことも織りこまれておるのであります。從つて私はあの決議がもうとつくに具體化されなければならないと思つておるのであります。もしあれが具體化されておりますれば、本日長い間議論をしたような、これが隱退藏物資等に關する法律の別表に該當するかしないかというような議論も全然なくなると思うのです。そういうわけでありますから、私は至急今の徳田君の提議に從いまして、これを具體化して本會議に報告をすると同時に、政府にこれを實現をするようにさせる方法をとるべきだと思うのです。ところが先般できました活用委員會なんというものは、まことにつまらぬものでありまして、委員長も個人的に言われた通り、あれは單なる諮問機關に過ぎない。こういうようなことを言われておりますが、まことにその通りでありまして、この委員會ではすでにその弊害を痛感をいたしまして、ああいう決議までもして、そのことは新聞にも發表されて、政府も十分知つておるはずである。のみならずああいうつまらぬばかばかしい委員會をつくつてやつているような状態でありまして、まことに熱意がない。そういうわけでありますから、私はどうしてもこれを至急につくらなければならぬと思うのです。先般來この委員會でも相當強權をもちうるような權限を何らかの形でいたしたいという説が出ておるのでありまして、そのことはもちろん私は異議はない。調査に必要な限度においてある程度のものを點檢する權限をもつことも必要でありあすけれども、大體國會は立法機關でありますからして、國會自體がそういうふうな指導的な立場に立つよりも、この委員會でいろいろな調査をし、企畫をした上で、これをただ單に今度できた活用委員會は諮問機關に過ぎないのだというような形で放任しておくのではなくして、この委員會は調査の機關であり、政府にそれを責任をもつて強力にやらせる機關をつくらせるような方法を考えることが、この委員會の主たる仕事であると考えるのです。そういう意味におきまして、私は今の徳田君の説に贊意を表します。
○清澤委員 私も武藤君竝びに徳田君と同じようにこの問題は大至急やつた方がいいと思います。理由はもはや盡きておるのであります。元來ならば今まで審議せられた通り、政府がちよつと熱意を示して、國會に向つて權限の擴張くらいを要求してこられるのがあたりまえの話である。そういう意思を表示しない限りにおいては、これだけの重大なる問題をわれわれの手によつて立法化して、それを現實に行わしめることはあたりまえの話である。もうその段階に到達しておると考えまするから、私は議論なしに徳田さんの御提議を活かしていかなければならない。こう考えるのであります。
○加藤委員長 それでは暫時休憩をいたします。 午後四時五十三分休憩 ————◇————— 午後五時十七分開議
○加藤委員長 休憩前に引續いて開會いたします。
○武藤(運)委員 それでは、ただいま徳田君の御意見もありましたけれども、ひとつ現在あります、政府にできております政令に基く活用委員會をさらに強化擴充をしなければ、隱退藏物資の活用はとうていその目的を完遂することはできないというわれわれの考えのもとに、さらにこれを擴大強化するような法律案をここで起草をいたし、これを國會を通過させるように努力をするという趣旨のために、ひとつ小委員會をつくりたい、こういうふうに私は考えるものであります。その方法等につきましては委員長に一任したいと思います。
○加藤委員長 ただいま武藤君から發言されましたように、先ほどの徳田君の動議の提出もありましたが、そういうもの全體を包含して、あらためて、本委員會としては政府に過般設置された物資活用委員會を強力活發に活動ができるように、權限を強化擴充するような法律を制定するように、小委員會を設けて案文を作成して本會議にその承諾を求める。こういう御意見ですが、それで御異議ございませんか。
○鍛冶委員 大體はよいが、現在ある活用委員會を權威づけるというのですか、そうでなく、新しい強力なるものをつくるという意味じやないのですか。
○武藤(運)委員 それは法律によつて基礎を與えて、一つの機構をつくることになりますれば、從つてそれに基いて新しい名前は何という名前になるかわかりませんが、その委員會なり何なりの機構ができますれば、發展的な解消をされることになると思います。
○加藤委員長 お聽きの通りであります。それで御異議ございませんか。
○加藤委員長 それではそのようにいたしますが、小委員はどういう方法によつて……。
○中野(四)委員 これはその事の性質から考えて各黨より一名ずつの小委員を選ばれて、小委員會を構成するというふうにやつていただきたいと思います。
○加藤委員長 ただいま中野君から御提案になりました各黨から一名ずつの小委員を出して、その小員委會で草案の起草にあたろう。こういう御意見でありますが、いかがですか。
○田中(健)委員 それは各派交渉會の比率があるはずですから、その比率に從つて小委員をつくりたいと思います。
○加藤委員長 これは各派交渉會の比率というような性質でなくて、どうしてもこの委員會として案を全員一致でまとめたいと思いますから、一應各派を代表する方が小委員として出られて、そこで草案が全部きまるわけでも何でもないのでありまして、當然この委員會にかけられるわけでありますから、どうでしようか。
○加藤委員長 それでは社會黨、民主黨、自由黨から各二名、他の會派から各一名、十名の小委員をもつてこの案文起草の任にあたつていただくことにしたいと思いますが、御異議ございませんか。
○加藤委員長 それではそのように取計らいます。
○鍛冶委員 今きまつたことには異論はありませんが、いくらかようなことを急いでやりましても、新しい法律をつくることはそんな簡單なものではありません。また權限を強くと言われても、なかなかできるものではないのでありますから、さようなことをしていると隱退藏物資はますます隱退が深くなつて掘り出せぬことになりますので、今までの方法を徹底してやることも考えなければならぬと思います。そこで先ほど福岡の話を聽いてみますと、司法官までが協力一致して摘發のじやまをしておると言うが、さようなことは私は絶對ないと思います。またもしそういうことがあるならば、刑事局長からもよく調べて御答辯を願いたいと思います。要するに適法なるやり方をやらないことと、やる人にその人を得ないか、力がないか、そこに基因していると思います。これは人の財産を侵害し、人の住居に侵入するのですから、どこまでも法律を守つてやらなければならぬ。どこまでも適法にやり、力強い者にやつてもらえば、現在の機構においてもやれると思います。それを商工省の役人が手傳わぬとか、九州に行けば商工局の者が思うようにやつてくれぬというのは、そこに缺點がある。もしその際に必要があるならば、それこそ非公式でありますが、この委員會から特派してもらつて一緒に行つてやろうじやありませんか。私は司法警察官ならどうか知らぬが、判檢事がじやまをすることは絶對にないと確信いたします。それは不適法なことをやるからです。私はこれで十分だと言うのではない。このままではやれぬと言つて手を束ねておつてはいかぬと言うのであります。
○加藤委員長 鍛冶君の言われますのは、そういう立法についての草案の起草にあたると同時に、その法律案のできるまでの過程を、できないからと言つて手をこまぬいておつてはいかぬから、できるような方法を講じなければいかぬ、こういう意味です。そこで問題はたとえば九州の久留米の例をあげてみても、行つた人に適法ならざる行為があつたかどうかで、うまくいかなかつたのであつて、殊にまた判檢事がそういうことを妨害するはずはないと思うのです。もしあれば刑事局長において取調べて、次會に明確に報告してもらう。それでもなおかついかぬというならば、この委員會からそのこと自體を調査するために委員を派遣されてもよろしいではないか。こういう御意見なんです。
○小島委員 鍛冶君の言うのももつともだと思いますけれども、九州において判檢事が反對したのは私は當然だと思います。大體安本の査察官が實際において中にはいつて調べて權限が與えられていないのですから、そういう者が中にはいろうとしても、辯護士がついてきて中にはいることはできないのだと言う。それをむりにはいろうとすれば判檢事が反對するのは當然であつて、禍根は經濟査察官にそういう權限を與えないことにあるのですから、判檢事がこうこうだということは間違いだと思います。われわれの委員會の日時がかかることも明らかでありまして、少くともあしたでもあさつてでも經濟査察官に權限を與えることはできるのでありますから、その點において強力に司法委員の了解を求めて、法案が至急通るようにしてもらいたいと思います。
○加藤委員長 わかりました。鍛冶君の適法と言われるのは、商工省のそういう權限をもつた官吏が同行していけば適法である。ところが今度は不幸にして商工當局の同行がなかつた。それがために斷わられた。ところがこの點は先ほど國鹽政府委員からも説明された通り、そうすれば萬全であつて間違いがないけれども、いろいろな關係で商工當局との連絡がとれなかつたり、そのときの關係でうまくいかぬ場合がある。そういうときに安本だけで行つたのではできぬことがあるから、安本だけでできるようにという意味で經濟査察官に權限を與える特殊な立法を制定してもらいたいというのですから、この點鍛冶君も司法委員として、十分御了承の上御盡力を願いたいと思います。 そこで先ほどの小委員の選定はどういたしますか。
○加藤委員長 委員長一任ということでなく、各黨で申し出ていただきたい。人數はきまつてりりますから、明日にでもひとつ申し出ていただいて、急速に草案起草にかかつていただきたいと思います。 もう一つ私から御諒解を得ておきたいと思いますことは、東京都竝びに近郊、埼玉縣とか神奈川縣の日歸りのできる範圍内において相當多量の情報が來ております。その中から整理して順次物資活用委員會の方にまわして、そこから安本から調査に行つてもらつて、この中の主要なものについては、本委員會からも現地調査のため、あるいは視察のために同行したいと思います。そこで東京都もしくは日歸りのできるような範圍に属するものは、そのつど小委員會の方の諒解で行き得るようにしたいと思いますから、その點お含みおきを願います。地方の調査を要する場合には、やはり運營委員會に諮つて議長の承認を得なければなりませんから、それはまたそのつどお諮りいたします。御諒承おき願いたいと思います。 ほかに御意見ございませんか。
○中野(四)委員 石原次長はいつ出て來られますか。病氣でということですが、病氣でも程度がありますから、一つあなたの方で調べて、委員長の方に報告してもらいたい。
○加藤委員長 病氣のことだから、無理にということにはまいりませんが、出られるような状態ならば出ていただくことにします。なお次會ははつきりまだ今決定ができませんから、公報をもつてお知らせすることにいたしますが、來週は安定本部長官、内務大臣にぜひ出てもらうことにいたします。
○中野(四)委員 それから警視廳の人でこれを認定した者がいるでしよう。
○加藤委員長 警視廳の方は證人になりますから、前もつて證人出頭を請求しておかなければなりません。それは日にちがちよつとはつきりせぬと思いますが、次會は證人の出頭がなくても、ほかのことで進めていきたいと思います。お含みおきを願います。
○清澤委員 内務省の方は見えておられますか。
○加藤委員長 來ておられます。
○清澤委員 おられましたら、この次までに例の御殿場事件と言われるキャラコ問題の概要について御報告をお願いしたいと思います。
○加藤委員長 それでは今日はこれで閉會いたします。 午後五時三十四分散會