隠退蔵物資等に関する特別委員会 第12号
- 発言数
- 104 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1947/08/25
会議録
○加藤委員長 これより會議を開きます。 本日は目白における水あめ摘發の問題に關しまして證言を求めるために瀧澤秀敏君、この人は東京都菓子工業組合の理事長でありました。榎本盛正君は東京都の主事であります。矢野文治君、この方はその當時の目白署の巡査部長でありました。阿部吾藤君、この人は警視廳の巡査であります。以上の四君が證人として出頭されております。證言を求めます前に、先日の本委員會から栃木縣における隱退藏物資の實地調査のために派遣された委員の方から報告を願うことにいたします。報告は鍛冶良作君からお願いいたします。
○鍛冶委員 御指名によりまして栃木縣にまいりまして調査したる結果を簡單に御報告申上げまして、後日參考書と一緒に書面の報告を詳細に出すつもりであります。われわれ社會黨の梶川君と、民主黨の矢野君の三名がまいりまして、まず調査の目標といたしましたことは、世耕情報にもとずいて檢事局が活動し、すべて押えたものを全部解除されているが、いかなる理由で解除されたか、さらに、その後の行方がいかになつているか、この點に重點をおいて調べようということで著手いたしました。すなわち、二十二日午前十一時に宇都宮に著きまして、ただちに縣廳へ參り、縣廳の各係の課長に寄つてもらつて、調査を開始したのでありますが、第一に參考資料として、栃木縣において終戰後軍から縣が引受けたる物資の明細表、さらにその中、軍から進駐軍へ報告したる物資の明細表、次いでその中、軍より返還を受けたるものの明細表、なおその當時未返還であつたが、その後において返還せられたものがあるかどうか、返還せられないもので未返還物資をいかに縣が保管をしているか。それから差押え物件が解除された後、そのものがいかなる状態にあるか、等の資料を要求したのであります。そうして、この差押えたるものについて一つ一つ當つたのでありますが、その著手は過日栃木縣の防犯課長がこちらへ參考のために持つてきました、各委員のお手もとに寫しが配られておりまする世耕氏關係の摘發状況調というものを基礎にして、一つ一つ聽いたのであります。ところがこの中で数量の違つたもの、また書き落してあるもの、また品物の性質と書いてあるところ、處理の結果と書いてあるとこを等にいろいろの疑點がありまするので、それを一つ一つについて聽き質してまいりますると、これはそういう證據物とするつもりでつきつたのではなくて、檢事局が差押えたる際に、縣警察部の者に立會を求められたので、その立會つた警官が心覺えに印しておいたものを私の方で綴つて出したものであるから、正確なものではない。殊に衆議院のこの委員會へ出す證據物としてつくつたものでないからという重ね重ねの辯明であつたのであります。しかしいくらその目的でなくても、ことさらに違つたものをつくるわけではなかろうと思つたのですが、一應それならそれでよいというので、一應の説明を聽きました。それから午後三時ごろに裁判所へ參りまして、當時差押えに關與せられたる檢察官全部、差押えられたる裁判官全部、竝びにこれに立合つた各書記の方々にお會いしていろいろ調査したのであります。その裁判所における調査の要點は、裁判所竝びに檢察當局が、これに著手するに至つた動機及び經緯、それから著手してからやつたる處分方法、さらにその押えた物を解除しておるが、いかなる法律上の根據に基いて解除したか、殊にこのうち最も大きいものは、内容が多いために一つ一つのものを調書に載せるわけにいかないので、倉庫を一棟、長持一桿、倉庫を三棟というふうに大きく總括的に差押えをして、具體的に差押えをしておらんのであります。しかるにこの縣から出たる状況調によりますると、その内容はこれこれのものであつたというので、多少具體的に現われております。このように押えた倉庫の中味を誰が調べなか、どういう手續で調べられたか、それらの點を最も重點として聞いたのであります。そこで檢察當局の言分では、最初に情報をもつてきた人が、縣へいくら言つても著手してくれないから、これは縣ではいかん、どうしても同法權の活動を求めるほかはないと言つてきたが、はたして情報の通りに物があるものかどうかを調べなければならねというので、二日間にわたつて情報提供者を連れて、非公式に物のあるという所に行つて調べてみた。ところが容易に物の所在を明かにはせなかつたけれども、たしかに何がしかの物があるに相違ないということがわかつたので、一月二十日、二十一日の兩日にわたつて、裁判所及び檢察當局總動員でこれに著手した。そのとき警察側で妨害した事實はなかつたかということに對しては、妨害したという事實はなかつた。けれども途中で警察官から咎められて取調べを受けた。檢事は非公式であつたものだから、自動車の中におつて顔を出さなかつた。なかなか警察官はきかないので、ようやく檢事が顔を出して僕らだ、實は非公式で調べておるのだからと言つたら、初めて了解をして歸つたということがある。それはその前にやはり變なことがあつたので、警察の方でそういうものがあれば案内せよ、こう言つておつたから農業會か何かから密告があつたので、途中で咎められたことはあるが、そのほかに妨害をしたという事實はなかつたという報告でありました。それから倉庫の物については、最初縣で聽いたときは、縣では直接調べたことはない。全部調べは檢事局でやつたのであるから、われわれの方では知らぬということであつたが、檢事局に行つて聽きますると、檢事局ではひとつも倉庫を開けたこともないし、中の物を調べたことがないという返答を得たのであります。これはわれわれとして大變驚いたことなので、檢事局自身は調べることはできないか知らんが、少くとも司法警察官として警察部の者くらいに調べさして、これだけの物があつたということで調べ、それで解除したものだと思つておると、中味を調べないで解除したという返答であつた。せつかく押えてその物を見なんで解除するということは輕率でないか、こう言いますと、今日となつてそう言われれば輕率のようではあつたが、そのときは差押えすると同時に縣の關係方面へ照會すると、ことごとく縣の保管物資だという答辯であつた。官公署である縣自身がおれのところの物を保管さしておるのだと言う以上は、もうそれを開けて見る必要もないというので、その言を信用して、みなその儘解除したものであるという答辯であつたのであります。 ところが先日この席にときの次席檢事であつた眞子君が見えられての證言にありまする通り、最初は縣の保管物資だと言つておつたものを、遂に進駐軍の方からそれは未返還物資だと言われて、驚いてこれを解除した。改めて進駐軍の方で差押えられた物もあるのか、そういう事實はあつたかというと、まあなかつたといつておつたが、そのうちに次席の方で、あつたようにも聞いたという話である。そうしてみればこのことも載せないで、縣の保管物資だとして解除したものだという、この一點からみてもまことに粗漏なるやり方ではないか。何ゆえに縣の保管物資なら縣の保管物資だという證據を突詰めた上で解除せられなかつたか。こういう質問をしたのでありますが、檢察當局の答えでは、今言われればなるほどそうだと思うが、官公廳からそう言われるものを、それを疑つてまでもやるわけにはいかなかつた。殊にわれわれがこれに著手したのは、押えたものが籍があるかないか。なかつたら何らかの方法でこれを正規のルートへ廻すようにしよう、その目的であつた。であるから縣で、おれの所の籍にあるのだと言われる以上は、それ以上の追窮はしなかつた。もし強いてやるというならば、縣の答辯そのものに疑いをもつてやる、縣に不正があるということの前提でなかつたらできないことであつたから、これをやらなかつたのだ。但しあなたの方からそう言われれば答えるが、それに對して縣から私の方の保管物資だと言われるから、リストに載つておるかというと載つておると言つた。しからばそのリストを出してくれと要求したが、遂に出て來なかつた。半年以上になるが今日までまだ出て來ない。そのリストをもとにして解除すればよかつたが、それが出て來なんでやつたということはまことにわれわれとしても、申譯ないとは思うが、縣の方でそれだけの協力をしてもらえない以上は、それ以上進んでやることはないと思つた。その上檢察當局の話を聽きますと、行つて見ればもつと無籍のものが明白にあると思つておるのに、何處を聞いてみてもみな縣のものであつた。その上當時の縣の輿論は、せつかく縣にあるものを檢察當局が手をつけて、他へやるようなことをしては困る。また砂糖のごときは乳幼兒用というので押えて、子供に配つてやるというのだから、縣民を困らせるようなことがあつては困るという囂々たる輿論の非難もあつたために、いやらしくなつて、さつさと放したということが實情であるとわれわれは受取つて來たのであります。但しある個々のものに當つてみますと、たとえば第一番に書いてある龜澤梅太郎という家にある皮革十八束というのは、これは相當立派なものであつたようでありますが、これらは縣の言葉でいえば現に他に移動中檢事局に押えられたと言うし、この保管しておる本人から言えば、これは移動するときに私の所にくれていかれたので、これだけ殘つたと言う、いずれがほんとうであるかわからぬが、いずれにしてもそういう疑わしきものは犯罪として檢擧はせぬけれども、でき得る限り早く正常ルートへ載せてもらうということを慫慂し、縣の係官とも協議の上なるべくそういうことにする手段をとつた。こういうお言葉があつたのであります。それで大體第一の報告は終らせていただきます。 第二日目には第一日縣で聽いた言葉と檢察當局竝びに裁判所當局から聽いた言葉との間に相違のあるものについて、ひとつひとつ調査をいたしたのであります。今言う革のごときもそう言うと縣では相變らずもともと私の方に載つておつたものだから、縣のものだとこう言う。けれどもわれわれの判斷から言えば、これは確かにおこぼれものでありまして、默つておれば出て來ないものであつたことと思います。それは押えられたために縣はおれのものだと主張し、本人は私のもらつたものであるといつて、あとで負けてこれを縣のルートに廻したという事實があるのであります。そのほかここに倉庫二棟というものがあるそうです。それらはみな解除になつておりますが、その倉庫二棟を縣のものであると主張する君らの根據はどこにあるのか、その根據を見せてくれと言いますと、これにはリストがありますと言うから、では出すようにと言うと、係の者を呼んで來ますというので何の係だ係だと言つておつたが、このひとつだけについても一時間半もかかるような有様でありまして、結局出て來たリストなるものを見ますと、栃木縣全體として革が何萬枚ある。衣類は何萬着ある。こういうリストはあるけれども龜澤梅太郎なるものの倉庫に何千足の革がある、何萬着の洋服があるということは一つもわからない。だからただ抽象的に縣のものだということの主張はできるが、具體的には主張できないものとわれわれはみるほかはなかつたのであります。しかるにもかかわらず君らがこれを主張するということはわれわれとしてもはなはだ腑に落ちないし、かくのごときものをもとにして、檢察當局がうんそうかといつて、全部解除するというに至つては、ますますわれわれは遺憾の意を表せざるを得ない。それでどうだ、檢察當局からこういう要求が來ておるが、これはほんとうかと言いましたら、來ているというので、調べてもらいますと、りつぱに檢察當局から公文書をもつてリストを出してもらいたいというのが出ております。それをなぜ出さなかつたかというと、この大きなものを出せと言われても、とても間に合わないからといつて説明したら、それでは革だけでも出せと言われたが、革だけといつてもなかなか容易でないといつているうちに、濟んでしまつたとこう言う。檢察當局は濟んだどころではない。半年以上になるのに今日なお出さぬといつて、まだ待つている。これを出す氣はないのかというと、われわれは濟んだと思つて出さなかつた。そうおつしやるなら、これから出してもよろしゆうございますという程度のものです。なおこまかく説明すればいくつもありますが、これはいずれ證據物として報告することとして、大體報告はこれで止めますが、そういうふうに一々にあたつてできるだけのリストを見ることにしましたが、完全なリストというものは認められませんでした。なお大きなものの一つで、この前もここで問題になつたのでありますが、栃木市内の中村源平という者の倉庫にありまする革類であります。これは摘發状況を調べてみますと、たつた一つになつておりますが、實際に調べてみても、檢事の調書を見ましても、二通りあるのでありまして、ここに書いてある栃木縣生活物資活用協會に拂下げたものと、それ以外の縣の所有物資と二つあつて倉庫も別々なのであります。この生活物資協會とはどういうものかということを調べてみましたが、これは軍から返還を受けたもので、そのまま民需にならないで、再生して何かに間に合わせるにあらざれば使い途のないものを、この生活物資活用協會なるものへ拂下げまして、その生活物資活用協會が民需に必要なものをつくり直して、これを公平に縣民全體に配給するという建前でできているものでありまして、莫大なものの拂下げを受けたものであります。それらの點を確めまして、現にこの調書に載つているもので、今殘つている品物がどれだけだということになりましたら、この今申した中村源平の倉庫の第二號にあつた生活物資活用協會の保管しておつたもの、第一號倉庫にありまする皮革類、靴の革類、それが一倉庫、中村辰三郎の倉庫における纖維品、それから郊外でありますが、今井幸平という酒屋の倉庫にありますこれこそ今だに未返還物資でありますが、飛行機用の物品、この四つの倉庫のものが大體殘つているというので、四つの倉庫における縣のリストなるものを要求して、不完全ではありましたが、それをもとにしてこの四つを第三日目に朝八時から實地調査にあたつたのであります。第一番に生活物資活用協會の所持しているものを見ましたが、驚くべき數量のものでありまして、主として革製品であります。革製品のうち特に多いのは馬具類でありまするが、その馬具に使つた革、車を引張る革であるとか、帶革なども何萬本とあります。そのまま活用にならぬといえばならぬが、この節は帶革のごときものはそのままで一本何百圓もする時代でありまして、靴の裏、ゴム裏等もずいぶんたくさんあります。これらの皮は物資活用協會なるもののやり方いかんによつてはいかようにでもなるものと考えましたので、殊に皮のごときものはどういうものをこしらえて、どういう方法で、どういう要求に基いて、どこへ配給しておるということを、詳しく實情にあたつて聽いてきたのでありますが、とても半日や一日ではそれらの個個のものをあたるわけにはいきません。何十萬點か、大きな倉庫に一杯あるものであります。 その次は中村源平の第一倉庫であります。これはりつぱな靴の底革が狹い倉庫ではありますが、ぎつしり一杯ある。どれだけできるかと言つたら、六千足くらいしかできないと言つておりましたが、おそらくそんなものでなかろうと思われるもので、われわれ素人ではとうていはかることのできないたくさんなものであります。 次に中村辰三郎の倉庫に行つたのですが、これは先ほど言つた軍から未返還物資だといつて、軍が押えたというが、その點は明らかではございませんでした。ただ未返還物資だと言われたので、どうか返還物資にしてもらいたいという申請を出して許可を得たというだけで、保管はその前から縣がしておるのであります。續いてあそこにあるもののリストができておるというのですが、これも縣のリストではなくて、この品物は栃木縣纖維統制組合から命ぜられて、統制組合が保管しておる。その保管人から現在これだけのものがありますといつて出てきた。それがもとでわれわれは調べに行つたのであります。それを調査課がもつておつて調べたのでありますが、行つてみますと、纖維品ですが、まず純綿の洋服は何萬あるか、たいへんなものです。山のように積んであります。それから帆布、木綿の巻いた大きなのがある。白ネルが山に積んである。蚊帳がある、麻がある、毛布がある、實に夥しいもので、そんなものは調べられないから、まずさしあたり手もとにある帆布木綿を、これはリストのどれにあたるかを調べてみますと、驚くなかれリストではゼロになつております。皆出してしまつて、もうなくなつたことになつておる。しかるにここに帆布木綿など大きく巻いたやつが何本と重なり合つておる。それが何十メートル出した殘りか、五十メートルあるのか、百メートルあるのかわからない。そこで一つだけはかつて見ても、五十メートル以上のものがある。それを五十メートルとして載つておる。それで、これはどういうわけで、あるものがないことになつておるのか。それこそ無籍物資だが、どうだと言うと、これは調査では出したことになつて、ゼロになつておりますが、實は商工課が昨年の十月拂下げをした、その商工課が纖維を統制組合に未だに保管させておるのだから、このリストの中では無籍品だ、こういう答えです。それから布團が積んである。この布團もやはりリストの中へは載つておりません。これはどこから送つて來たものか、これこそ無籍ですが、しかし縣のものに間違いないから、そのままにしてくれという答辯なので、とても調べられないので、これはそれくらいのことを調べて來た程度であります。歸りましてから責任者である調査課長と警察部の防犯課長が案内しておりましたから、この二人に對して、このようなことではリストというものも確然でないし、また一萬尺あるというので實際調べてみたら五千尺しかなかつた。五千尺を一萬尺というてもわからぬようなことでは、ものの確實性が期せられない。君らはどうやるつもりだと言うと、この二、三日前に防犯課でそのような感じを現したので、さらに縣内に統制違反が起るのもすべてこれらのものから起るということがわかつたから、先ほど言つた中村源平の皮類の倉庫、それから中村辰三郎の纖維類の倉庫を全部差押えて、今度は調査課のリスト以外に防犯課のリストを一つ一つにあたつてつくつておる。そうしてあるべきものはあるように、またないものはないように、そのあるないを追究し、また百あるというのに二百あればその百を返還させる。それからほかに行つておつて、一年も半年も放つてあるものについてはこれを適當に處分するというように、嚴重にやるつもりであるから、必ず皆さんの期待に副うようになります。こういう答辯をされた。大體の事實はそういうことでありますが、これに基きまして二日目の最後に副知事にきてもらつて、われわれが今まで調べたところによると、縣は保管物資だと言われるが、保管物資なりと主張される確たる根據はない。殊に檢事局においてこれまでやつたときに、縣が明確にし、出ないものは明確に出ないと言い、あるものはあると言うて、なおそこに餘つたものを出すということになつたら、あの當時相當のものが出たろうと思われるが、それもやらないで、リストを要求されても、今日にいたるもやらぬ。ただ抽象的に縣のものだと主張されることははなはだ遺憾に思う。少くとも檢察當局の調査に對して協力せられなかつた事實だけはわれわれは認めざるを得ないが、まことに遺憾に思うから今後注意してもらいたい。同時に今後のものに對しては、實際のものにあたつてみるのだが、よほど注意して、國民全體の注視の的になつておるということを頭において、公明正大に急速にやつてもらいたいということを言つておきました。それで現地においては當局の二人の課長にそのことを言つて、固くやりますということを言われて歸つてきたのであります。 なおついでにここで申し上げますが、新聞記者が私の談として各新聞で違つたのが載つておるということでありますが、われわれは新聞記者諸君には行つた初日にも會見し、歸ります際にも會見したが、三人一緒に話したので、私一人だけ別の話をしたことはありませんので、違つておるわけはないのであります。先ほど見せられました日本經濟に載つておる鍛冶代議士談というごときは私の申したことと全然違つたことでありまして、何かの間違いであろうと思いますから、取消を要求しておきます。
○加藤委員長 ほかに同行された方で補足的の報告はありませんか、今の班長の報告でよろしうございますか。——それでは栃木縣に出張していただいた委員諸君の報告は、正式には文書で後に提出していただくことにしまして、一應ただいまの御報告を委員會としては聽きおくことにいたしたいと思います。 進んで證人の諸君に對して證言をお求め願いたいと思います。その前に證人の方に申し上げておきますが、證言はできるだけ求められた事柄に對する範圍でお答えを願いたいと思います。御發言になりますときには委員長の許可を得て御發言くださるようにあらかじめ御了承おきを願いたいと思います。
○武藤(運)委員 まず矢野證人と阿部證人にお尋ねいたします。お二人が岩崎の工場に行かれたときに、岩崎新太郎の息子の岩崎新一郎という人が、現場に立會つたそうでありますが、こういうことをあなたに言つた事實があるかどうか、水あめは毎月本田署に百數十カン納めておるし、警視廳にも數百カン差上げております。なお私たちは毎月五十カンづつ隣組に配給し、日通の人夫たちにも相當あめをやらないと動かない。そんなわけで常に五、六十カンぐらいはあめを餘分に持つていないと困る。こういうことを言つた事實があるかどうか。
○矢野證人 私はそういうことは全然記憶にありません。
○阿部證人 私も當時調査に參りましたが、どう言うたか當日のことは覺えておりませんが、ただ現在物資不足の折に、運送その他の人夫を動かすのには、やはり何か物をやらなければならぬということだけを耳にしたことがありますが、警察云々とか、隣組云々ということは耳にしたことがありません。
○武藤(運)委員 そうしますと、あなた方はこう言つた覺えはないでしようか。それは少したくさんあるようだから、これを供出して、子供たちは甘いものに困つておるから、出してやるつもりはないか、そういうような話を……。
○矢野證人 私はまた繰返しますが記憶がありません。しかしあたつたときに、まだ海のものか山のものかはつきりしないうちに、供出しろということを言うわけはないのであります。その權限は署長なり知事にありまして、私にそれを言うことはできません。
○阿部證人 部長の今おつしやつた通り、私もやはりものを確認するために赴いたのでありまして、私どもの立場として出させる出させないというところの權限はもつておりませんから、そういうようなことを言つた覺えはありません。ただ現物を認めるために行つたに過ぎません。
○武藤(運)委員 そうすると、その翌日目白署へ供出をすることについて、岩崎の方から出てくるようにという話があつたそうですが、そういう話はどういうところから出たものであるか。
○矢野證人 あそこは現場において帳簿上のことがありまして、一應歸りまして署長に報告して、その結果また聽きただすためにそういうことを申しました。
○阿部證人 私としては警視廳の立場から言つたのでありまして、その場においてただ物資を確認するためで、結局目白署においでを願いたいと言つたのは、やはり矢野證人が申したように、署長に報告して、署長がどういうふうにこれを取扱うか、署長の權限のみによつて行うのであつて、私どもはその署長のお話を聽いた後に、署長の命によつて何とかいたそう、こういうふうな話でただおいでを願いたいと言つたのであります。
○武藤(運)委員 それでは御兩名に對する質問は打切りまして、坂本、瀧澤、兩氏に伺うのですが、昨年の十月三十一日に神田の寶亭というところで岩崎新太郎氏と會食をした事實があるかどうか、それはどういう目的であつてどういう話をしたか、どちらからそういう主催の話が出たか、金はどちらから拂つたか、行つたのはたれとたれであつたか、伺いたい。
○瀧澤證人 日時ははつきり記憶しておりませんが、十月の月末であろうと思います。主催者は當時の菓子工業統制組合の私であります。そのお集り願つた趣旨は、當時その水あめが警視廳から東京都の經濟局食料課を通じてお話がありましたが、その間に、私ども菓子の工業組合に話がある前に、生活連盟という團體がありまして、その團體がこの水あめを加工し學童に配給する目的でお話が進められておつたということを職員から聞いたのであります。そうしてさいわいに私ども團體に東京都の經濟局から加工の御下命がありましたので、そういつたいきさつを考慮しますと、また將來水あめの原料を菓子の材料としておまわし願う目的で、關係者一同にお集り願つて、そうして前のことは一切清算をし、改めて將來われわれ業者に材料をおまわし願う好意を寄せていただきたい、かような意味合いで私はお集り願つたのであります。そこでお集り願いました方々は生活連盟から大島氏、下鳥氏、なお原料の出荷者であるところの岩崎新太郎氏、警視廳でこの水あめの衝にあたられておると聞いておりましたから、生活課の物資係長——係長はたしか代理の方がお見えになつたと思います。主任の猪俣警部、當面の係官であつた戸畑警部、東京都經濟局食料課の班長であつた福島事務官、榎本事務官、それに菓子の工業統制組合から私以下生産部長と資材部長の三名が出席いたしました。費用の負擔は菓子工業組合でいたしました。そうしてその席上私から、今囘終戰後四千五百貫という大量の材料をまわしていただいたことに對し、加工業者を代表し厚くお禮申し上げるとともに、この配給を受ける都民、要するに學童の喜びはさこそと思われますので、併せてお禮を申し上げます、なお今後ともよろしく原料屋であるところの岩崎氏には加工業者に好意を寄せていただき、消費者のために特別なる御考慮を拂つていただきたいというお體を申し上げました。その次に生活連盟の大島氏が、私はかねがね都會生活の特に兒童の保護のために、今日の甘味の状態から言つてあめが一番ふさわしいと思う、こういうものを今囘配給されるということは喜びにたえない、なお今後連續してかような處置をとつていただくことを希望するというお話で、その席を終りといたしました。
○小島委員 ただいま瀧澤證人は四千五百カンのあめが組合の方にもあつたとおつしやいましたけれども、その水あめからつくりました白あめと申しますか、精製したあめはいくらくらいできたでありましようか。
○瀧澤證人 當時の水あめの受渡しは、私の組合の職員が岩崎澱粉化學工業所の倉庫において受渡しをいたしましたが、品物の性質はとにかくといたしまして、非常に容器の不良なものを使つてあつたという報告を聽いております。しかし最初に引取りましたのはまだそのうちでも大層いいものを受取つたのでありますが、順次終りに近づくに從つて非常に減量のあるカンがありまして、大體において最後までまとめたところ四千百五十カンであります。なお四千百五十カンも最後に引取りましたのは非常に減量のものであつたということの報告を聽いております。そこで四千百五十カンの加工内譯を申します。そのうち二千五百カンは引きあめといたしまして組合員數二百五十一名に對しまして、一カンの歩留り五貫四百匁で指令を出しましてその數量總計が一萬三千五百貫でありましたが、そのうち盜難にかかりましたものが十一カン、輸送中に漏洩いたしましたものが十六カン、計二十七カンの不足が生じまして、結局菓子類配給統制組合に供出いたしました總數が一萬三千三百五十貫五百四十七匁、それから容器不良のために歩留り一カン四貫匁ということで指令を出しましたのが五百カン、この總計が二千貫のところ、事實供出は千七百五十四貫四百五十三匁、それからかんてんなどの副材料の關係上乾燥ゼリーを五百貫生産いたしました。これは砂糖を二〇%都廳から頂戴いたして加工したのでありますが、歩留りは九〇%でありました。供出指示量は三千六百七十二貫のところ實際供出量は三千六百一貫九百九十匁であります。なおまた香料の副材料關係であめ玉を水あめにして六百五十カン加工いたしました。この歩留りは一カン八三%、これも砂糖を五〇%混合いたしまして、生産指示量は七千三百三十七貫五百匁、これに對しまして實際の供出量は七千四百十五貫五百匁であります。いずれも十月の半ばごろから順次材料は供出調整取引をいたしまして、生産にかかりましたのは十月の二十日以後十二月の十日ごろまでに終つたのであります。引取りにあたりましては業者それぞれ組合の指令によつて倉庫から一人、これに對しては組合の職員が立會つたのであります。
○小島委員 非常に説明が早かつたのではつきりわからなかつたのでありますが、二千五百カンというのは石油カンですね。
○瀧澤證人 そうです。
○小島委員 引あめということでありますとどういうものでございますか。
○瀧澤證人 二千五百カンと五百カンを區別して申しましたのは、容器が不良のために水あめは一カン大體六貫八百匁はいつておるものを普通といたします。最初引取つた二千五百カン、あとは多少いいものもあつたと聞いておりますが、大體この分は五貫四百匁の歩留りの指令を出してよかろうということで現物によつて五貫四百匁の指令を出したのが二千五百カン、なお五百カンを最後に引取つたのが非常に惡かつたので、業者のいろいろな聲、職員の報告等を聽きまして、一貫四百匁の歩留りにいたしましたために區別してただいま申し上げました。引あめと申しますのは副材料を使わずにあめを俗に申しまする引張りまして、パラヒンもしくはろう紙に包んでおる、とにかく市場に出ておるあめ菓子がそうであります。
○小島委員 白あめと稱するものとは違うのでありますか。
○瀧澤證人 同じものであります。
○小島委員 そういたしますとあなたの今の數字では、最初の二千五百カンは歩留り五貫四百匁でそれから得た數量が一萬三千五百貫匁になつておるのですね。
○瀧澤證人 一萬三千五百貫は歩止り五貫四百匁にいたしまして二千五百カンといたすとそういう數量になるのでございましたが、それから百五十貫切れまして、その切れました理由は先ほど附け加えて申し上げた通り材料にして水あめ十一カンが盗難にかかりました。それから水あめ十六カンが輸送中に漏洩いたした事情によつて一萬三千五百貫匁の供出を指示いたしたのでありますけれども、實際の供出量は一萬三千三百五十貫五百四十七匁となつたのであります。
○小島委員 この際榎本證人にお伺いいたします。東京都で學童に配給いたしました水あめの數量は一萬三千三百貫ぐらいだつたでしようか。いくらでしようか。
○榎本證人 お答え申し上げる前にちよつと御訂正を願いたいと思います。 ただいま瀧澤證人より實亭に東京都廳から出席したのは福島班長と申し上げましたが、現在は福島班長でありますが、その當時は奈良原班長でありましたから、その點御訂正願いたいと思います。 ただいまの御質問の學童に配給した實際の數量は一萬三千百六十七貫八百三十匁であります。
○小島委員 東京都の經濟部に食品課がございますが、それを通して岩崎氏から四千五百カンというものを全部學童に配給するためにお貰いになつたのではなかつたのですか。
○榎本證人 ただいま御質問の四千五百カンは學童に全部出すという話ではないかというお話でございましたが、當初岩崎氏が自主的供出のお話がありましたときには岩崎氏の氣持からこういう話がございましたが、四千五百カンは東京都から警視廳の食糧課にまわつたのでありますが、その當時の食糧課長から都の方に御一任いたしますというふうに聞いておりましたので、私どもとしては白あめだけをたくさんつくつても品物の性質上長く保存もできませんし、また業者の立場を考えますと、白あめだけをやる業者は原料がまわつてうるおいますが、その他の業者は仕事がないということもある。ちようど工業組合の方に他からまいつております砂糖がございましたので、今瀧澤證人からお話のありましたようにあめ玉も、乾燥ゼリーもまぜて製造したのであります。
○小島委員 そうしますと、學童に配給せられたのは白あめだけであつて、そのほかの製品は何にお使いになつたのでございましようか。
○榎本證人 あめ玉七千四百十五貫五百匁は四才から十四才までを對象といたしまして都下一圓の子供に一人當り八匁三分、金額に對しまして一圓、配給の時期は十一月十三日から十一月の三十日までの間に菓子購入券第二號券によつて配給しております。また乾燥ゼリーの方は配給對象は同じく四才から十四才までの兒童一人當り八匁三分、金額にして一圓でございます。これは十二月二十六日から一月十日までの間に菓子購入券第五號券によつて各家庭の子供に行き渡つておるのであります。
○小島委員 そういたしますと、結局菓子工業組合の方では容器が惡いとかいろいろな事情によつて、實際上引取つたのは四千百五十カンしかなかつた。さよう承つてよろしうございますか。
○瀧澤證人 組合の職員が岩崎澱粉工業所の倉庫で引渡しをいたしましたのは四千五百であります。しかし先ほど申しました通り容器の不良のために、はなはだしきものに至つては容器の中にきようぎを敷いたものも相當あつたそうでありますが、そのために業者に渡すときには四千百五十カンであつたのであります。取引は四千五百カンであります。
○小島委員 菓子工業組合から岩崎澱粉會社に行かれたときには七千八百カン、約八千カンに近い水あめがあつたのですか、それを引取るときにどうしてそんな惡い品物をお引取りになつたか。それがわかりませんでしたでしようか。その當時岩崎澱粉會社には七千八百八十カンくらいの品物があつたはずである。それは書類の上ではつきりいたしておる。その中から選りに選つて惡い品物を選んで來るということもちよつと考えられないのでありますが、どういうわけでそういうことになつたのでありましようか。引取るときにはお立會いにならなかつたのでしようか。
○瀧澤證人 當時職員か二名立會わせましたが、私はその點はわかりません。七千七、八百か八千ありましたが、全然私にはわからないのであります。そして先ほど申した通り四千五百を組合からオーダーを出しまして引取らせましたが、その期間は約一箇月半でありました。もちろんその間に業者の生産の品種の指令を受けなければならないために時日もかかつたのでありまして、運送の期間が一箇月半というのではありません。いずれにせよその當時の岩崎澱粉の倉庫のあり方についてはわかりません。
○小島委員 その四千五百カンはあなたの倉庫にまとめてお集めになつたのではなく、あなたのところから指令を出された各業者が勝手に割當數量だけを受取つて來て、その報告をあなたが受取つたというのですか。
○瀧澤證人 お尋ねの通りであります。生産計畫を都廳に出しまして、都廳においてよろしいという御決裁をいただいて、初めてそのあてはまる業種に生産の指令を出し、同時に材料引取りの指令も出すのでありまして、當時統制組合の資本金は二十九萬八千圓しかないために、資本の關係上、業者に直接材料の引取り方を言わざるを得なかつたのでありまして、さようなやり方をいたしました。
○小島委員 そうすると、カンの内容が悪かつたということは、あなた自身の方で直接引取つてごらんになつたわけではなく、各業者から來た報告をただおまとめになつたになぎないのでありますか。
○瀧澤證人 本日資料を持つてまいりませんが、先ほど品質の良惡は別として申し上げましたが、品質のいかに惡かつたかということの一例を申し上げます。業者が輸送中、たまたま不用意のためにカンをこぼした。カンは密封してありませんで、紙がはつてあつたためにこぼれたのだそうでありますが、普通十月から十一月、十二月の氣候からいつて、あめの常識からみますると、さようなことがないはずでありまするが、こぼれたときにはただちに地に吸われてしまつた、こういう報告と、それからそれがために指令通りの生産量ができ得ないという歎願書の出たものがあります。これらの例をもちましても、いかにその品物が濃度の薄いものであつたかということの想像もつくのでありまして、容器が惡ければそれだけ漏洩の率が多かろうということを判斷して、私はこれを認めた次第であります。
○本多委員 矢野證人にお伺いします。さいぜん他の委員から質問があつたのでありますが、この際岩崎工場に臨檢されたときの模樣を一通りお話をお願いいたします。そのときの同行者、會つた人、工場の模樣、そういうことについて詳しくひとつ……。
○矢野證人 申し上げます。大體この事件と申しますと、情報提供者である武永さんが清水と同行のもとに署長室にまいりまして、葛飾の管内にこういうあめがあるのだ。しかしそれは本田なり、坂本あたりにあめが行つておる。できないかもしれない。それならぜひともこれを目白署でやつてくれというようなことを署長室でも言われますし、また自分のおりました生活課の部屋に來て申しましたそのときに、私は署長の命によつて愼重に扱つたつもりであります。武永さんが申した通り、そのあめが本田なり、坂本に云々ということは、どこからその情報を得たか私は知りませんが、場合によつては情報通りでもあるのではないかというような觀念から、取調べの際にあたりまして、愼重にあたつた次第であります。行つたときのことは、どちらかというともう記憶がありませんが、行つたのは私とここにおられる阿部さん、それから今現に目白署の生活課におられます塚越さん、それから武永さん、その四人であります。行つたときは大體情報でありますから、必ず工場に物があるかどうかわかりません。大體物を確認することと、張簿と仕入れの關係、配給關係を見て、その日は歸つてまいりました。
○本多委員 もう少し詳しく話してもらいたい。行つて、向うの人とどういう話をして、工場の模樣なんか調べて、數でも點檢されたのか。帳面と對照されたのか、そういう點をもう少し詳しく……。
○矢野證人 私も再々そういうふうに言われますが、大體一年も經つておりまして、記憶にあまり出てこないのであります。これは大體前有田署長がこちらに來て申したと思います。その通りであります。
○本多委員 矢野證人は事實あつたことも忘れられて、記憶がないと言われるのではないかと思いますが、その當時同行した他の證人の話によると、確かにさいぜん質問のあつた通り、警察署等にもあめがときどきいつておる。さらにまた目白署にも三百貫匁でしたか、三百カンですか、配給をまわしてくれんかという話があつた。これに對して岩崎工場の工場主であるか、あるいは工場主以外の人であるか、あまりしばしばあめが各方面から要求があつて出している。今後はそういうふうに無軌道で出すのは困るから、一札書類を入れてもらつて、出すようにしたいというような交渉が、あなたたちにあつたという話でありますが、思い出しませんか。
○矢野證人 記憶にありません。
○梶川委員 瀧澤證人に一つお伺いしますが、四千五百カンの取引をされて、四千百五十カンしかなかつた。言いかえれば三百五十カンというものが現實になかつたわけなんです。これの代金の處理はいかにされたのでありますか。
○瀧澤證人 先ほど申しました通り、組合が最初全數量の四千五百カンの代金を立てかえますと、結局損耗になるのでありますが、現實の取引をいたした數量が四千百五十カン。しかしカンの引渡しを受けたのは四千五百でありますので、この間の交渉は今もつて未解決になつております。それともう一つは、東京都におきまして四千五百という計畫の基本が今もつて四千百五十ではまずくはないかという注意が再三あつたのでありまして、その點は岩崎氏の方にも要求いたしておるのかと思うのでありますが、今もつて言を左右と申しますか、何とかする何とかするということで、そのまま未解決になつておるのであります。それから組合におきましては、手數料と、生産業者と生産せざる業者との均等をはかるために、利潤還元という名目で、生産業者からその生産金額の六分の還元をいたしまして、一部を費用にあて、一部は組合員に分配するというような方法をとつておりますために、缺損はないのであります。詳細の點は記憶がありませんが、大體そういうことで處理いたしてあります。
○梶川委員 さらに瀧澤證人にお伺いいたしますが、水あめからさらしあめをつくる場合に、業者は一カン當りどのくらいの利ざやがあるものでありますか、これをお伺いいたします。
○瀧澤證人 あめの性質と、そのときどきの水あめの公價によつて利潤の程度も違つてまいりますが、大體物價廳の公價を決定していただく際には、生産業者の利益は二割五分範圍であります。
○梶川委員 續いてそれでは一カン當りの水あめが、當時マル公でいくらしておつたのでありますか。
○瀧澤證人 詳細記憶はいたしませんが、ときどき變更しておりますので、當時岩崎氏と業者と取引をしてもらつたのは、六貫八百匁一カン三百八十九圓と記憶しております。
○梶川委員 寶亭における會合の費用は、當時組合の方で出されたそうでありますが、それはおよそいくらぐらいになるのでありますか。さらにまたそういう取引のできた當時には、いつも業者同士でなくして、關係官廳の係官をも招ばれるのが恆例になつておるのでありますか。二點をお伺いいたします。
○瀧澤證人 寶亭の費用は確たる記憶がありません。大體一人頭四百圓くらいな豫算を組んだかと記憶いたしております。また常例的に、材料のはいるたびごとにさような處置はいたしておりません。
○梶川委員 恆例的にないのならば、その當時、先ほどの説明で、以上の係官を招ばれたということでありますが、特にそのときだけ係官を招ばれたのはどういうぐあいな根據でありますか。
○瀧澤證人 先ほども少しく申し上げましたが、東京都食糧課を通じ菓子の統制組合が四千五百の加工をいたしました水あめは岩崎新太郎君としては、これは摘發物資ではなく、自分のものであるということの主張をされたのであります。しかし檢察當局としては、これは一應取締りの對象になつた品物であるから、都の經濟局を通じ公明なる加工の材料にしてほしい、こういうお話でありました。ここに警視廳御當局に一應御列席を願つた意味があります。また生活連盟の諸君においでを願つたということは、後腐れのないために自分の方でこの加工はするのだ、これは私の當時耳にしておりましたところによりますと、岩崎新太郎君が生活連盟の常務理事になつていた關係であろうと推察しておりますが、いずれにせよ都民のうち特に第二の國民である兒童に配給する品物が明朗ならざるものではまずい。またわれわれも今後なるべく材料を圓滑に出してもらうためには、從來の行きがかりを捨てたい、こういう趣旨でお招きいたした次第でございます。他意ございません。
○梶川委員 次に阿部證人竝びに榎本證人にお伺いいたしますが、寶亭の席に出られたということはお認めになりますか。
○榎本證人 出席いたしました。
○阿部證人 私の方では出席いたしませんから、そういうことは一切存じません。どういうことになつておりますか、さつぱり知りません。
○加藤委員長 さつき阿部君の出席は言われておりません。警視廳の猪俣とか、その他の生活係長の代理とか、もう一人の警部補三名のようです。
○梶川委員 これは榎本證人にお尋ねいたしますが、當時の會合に出たということは先ほど菓子工組合の方から言つておりましたが、またほかのそういう場合にも出席されることは廳内の恆例になつているのであるか、この一點をお伺いいたします。
○榎本證人 別に廳内の恆例ということにはなつておりません。たまたま會場が當日そういうところでありましたので、出席したばかりであります。
○石田(一)委員 私はまず最初に瀧澤さんにちよつとお伺いしたい。さつきお言葉の中に盗難に遭つた水あめが十カンほどあつたということでございますが、これは先ほどの御證言では岩崎から現物の水あめをとるというのは、瀧澤さんの方でおとりになるのではなくて、さらしあめの加工業者が切符かなんかをもつて工場へとりにまいりますのか、さらしあめをおつくりになる工場が十カンあめを盜られたのか、それとも水あめをさらしあめにする工場の二、三軒の人が五カンづつ、あるいはまた三カンづつ三軒でとられたのか、この方面のことは事情がわからないのでございましようか。
○瀧澤證人 水あめを生産のために引取りまして後、淺草の壽町の齋藤今朝雄が淺草署長の證明書をもちまして六貫八百刄入り十一カンを盜難に遭つたという屆出がありましたために供出不足を認めました。一人でございます。
○石田(一)委員 先ほど御證言があまりにお言葉が早かつたのでよく聽取れなかつたのですが、要するに實質的に岩崎からさらしあめ業者が受取つたカン數は四千百四十カンということになるわけですね。
○瀧澤證人 先ほども申上げました通り、岩崎澱粉の倉庫から引取ります際には日時をきめて業者に指令をいたします。これは組合が立會う都合上、また岩崎澱粉でせつかく遠方から菓子業業が取りにまいりましたときに、今日は都合が惡くて渡されないというようなことを言われてはいけないために、岩崎澱粉の方と前もつて打合せいたしまして、何區から何區まではいつ何日の何時から何時までの間に小谷野町の岩崎澱粉工場に取りに行くようにという指令を出しまして、組合から職員を立會わせます。結局これで四千五百になるのでございますとこう言われたとき、まことに組合としてはびつくりするような流れ方をしたのだそうであります。そこで結局岩崎工場の責任者は四千五百渡しますよと言われましたが、組合で生産歩留りを嚴格に申渡したために、どうしても六貫八百刄の看貫がなければならないのであります。そのためになんとかかんとかまとめたものが數量にして四千百五十カン、こういう報告がありましたので、これでは三百五十カン不足が出るので、東京都に對して生産計畫を出すことができない。同時に業者の方にも四千五百カンは、特別なる都の御配慮、岩崎氏の義侠によつて配給を受けるのだと、かように私は申しておつた建前上、なんとか殘る三百五十カンの漏洩した分を渡してくれるよう言つたのでありますが、先ほど申した通り今もつて未解決になつておるのであります。ただいまのお話の四千百四十ではないのであります。十一カン盜難に遭つたのは、加工業者の齋藤今朝雄が受取つた後で盜難に遭つたので、岩崎工場からとりまとめて引取つてまいりましたのは四千百五十カンになるのであります。
○石田(一)委員 そうすると四千百五十カンの水あめから、さらしあめまたはあめ玉をおつくりになるのでありましようが、白あめ、さらしあめ、あめ玉等が一カンで平均どのくらい歩留りができるものか、何割さらしあめができるか、こういうことをひとつおわかりになれば聽いてみたい。せんだつて柴田證人でしたかの證言によると、上手にやれば一カンの水あめから五貫二百刄のさらしあめがとれる。ちよつと加工方法がまずかつたり質が惡いと四貫五百刄から八百刄程度で、大體五貫刄くらいとれるという證言があつたが、六貫八百刄で平均五貫刄くらいのさらしあめがとれると判斷してかまいませんでしようか。
○瀧澤證人 白あめ、俗にしきあめとも申しております。そのしきあめにいたしました數量は、合計三千カンでありますが、うち二千五百カンは最初に引取りましために大體包裝が完全に近かつたのでありまして、六貫八百刄で五貫五百刄の歩留りで生産指令を出した結果、實供出量が一萬三千三百五十貫になつております。それからあとの五百カンは最後に引取りました關係上、先ほど申し上げたような理由から非常に歩留りが惡いことを實際に承認いたしまして、一カンの歩留りが四貫目にいたしました。これは極端であります。その水あめの製造工場によりまして、また製造の時期によりまして、ただいまのような夏期でありますると、餘ほど加工には火をつめなければならない關係があります。そのために歩留りが惡いのでありますが、この四千五百カンの取引をいたしました當時は初冬でございはして、さような心配がない。よいものなら少くも五貫七百刄くらいになるのが常識であります。ところが濃度が惡いために、やむを得ず五貫五百刄が最高でありました。それからあめ玉、ゼリーにおきましては砂糖が混入しておりましたために、あめ玉の方は火を強める關係上砂糖が五〇%はいりましたが、八三%の歩留りであります。五〇%のあめ玉に對して砂糖百であります。それから乾燥ゼリー五百カンの生産は、乾燥ゼリーと申しまして乾燥いたしまするけれども、多少水分がありますために、組合員に對する指令は砂糖二〇%混入して九〇%の指令であります。從つて五百カンの水あめに對し生産指令は三千六百七十二貫、實供出は三千六百一貫九百九十刄で約七十貫の不足であります。かような歩留りになつております。しきあめにいたしましても先ほど申しました通り時期により、あめの製造工場によつては普通五貫七百刄くらいに留まるのが常識とされております。
○石田(一)委員 これは内務省警保局からの資料でありますが、ここの何ページ目かに「設問の要旨了解しがたきも統制組合を通じて東京都學童配給に供出せしめた四千五百カンに對する白あめ製品高は一萬三千三百五十貫で、これが配給状況は都下一圓の國民學校初等科兒童の全員に一萬三千百六十七貫八十三刄、詳細は別紙云々、」と出ておりますが、そういたしますと、この報告とただいまの御證言とは相當食い違つておるようでございまして、ただいまの瀧澤さんのおつしやるのを聞いておりますと、しきあめを三千カン最初受取り、その中の二千五百カンを受取つた。二千五百カンの歩留りを五貫六百刄くらいに見て一萬三千三百五十貫の白あめをおつくりになつた。ここの報告を見ますと一萬三千三百五十貫のしきあめのことだけは報告してあるようでありますが、どうもこの資料によりますと、それ以外にできたさらしあめがどこに行たかちつともわからない。この一萬三千三百五十貫のさらしあめの中の一萬三千百六十七貫八十三刄を別に添えた東京都經濟局食料課員の報告書の寫の通りに配給したというのですが、そうすると殘りのあとから貰つたという歩留りのうんと惡く計算された製品は、東京都經濟局の報告書では何だかはつきりわからないと思うのですが、私のまだ讀み方の足りないところでございますか、一つのこの點を東京都の榎本さんに御説明を願いたいと思います。
○榎本證人 ただいまの件につきましてお答え申し上げます。おそらくこの警保局から出ました報告書は警視廳を通じて來たものではないか、こう考えます。當時新聞紙上にこの問題が出ましてから、私のところには何囘となく各新聞社その他の方々がお見えになりまして、實は仕事のできないほど迷惑をしていた状態なのであります。たまたま警視廳から矢野警部さんと記憶しておりますが、やはりこの問題について聽合せにおいでになつたときに、ただ單に學童配給という、私の聽き違いかどうかはわかりませんが、そういう點から私がその學童配給した配給對象だけを報告申し上げたのでありまして、そういう點にちよつと食い違いがあり、また今日ここに私が證人として喚ばれなければならない原因を起したのではないかといもふうに今感じたわけでございます。なるほど殘りの分がどこへ行つたかわからないというお話でございますが、その當時學童配給いたしましたときの殘數量が一千八百六貫五百十八刄、これだけがしきあめとして殘つたのでございますが、これは後ほど品川、荏原、大森、蒲田、王子、荒川、板橋、豐島、瀧野川に四歳から十四歳の兒童を對象にいたしまして配給いたしております。
○石田(一)委員 せんだつて徳田代議士から資料を要求しましたのは、學童配給だけの資料を要求したのではなかつたのでございまして、まだこのほかにそういうふうな配給をなさつた事實があるとすると大變これは計算上困るのでございましたが、ここにこういうことが書いてあるのです。これは東京都の方では、また水あめ統制組合の瀧澤さんの方ではどうお考えになるでしようか。統制組合を通じ東京都學童配給に供出せしめた四千五百本に對する白あめ製品高は一萬三千三百五十貫目で、これが配給状況は云々、こういうことがここに資料として提出されておるのですが、この點について瀧澤さん竝びに榎本さんは何か御説明があるのではございませんでしようか。
○瀧澤證人 ただいまの御質問のみを承りますとごもつともに存じます。私も新聞紙上で四千五百カンの水あめを菓子工業統制組合が岩崎から引取つて、それが取りも直さず一萬三千百六十七貫、私の方は合計で一萬五千百五貫供出のしきあめとして出したのでありますが、四千五百カンが取りも直さず學童對象として配給したもので、それが一萬三千百六十七貫という數字を新聞紙上で見たときにはびつくりしたのであります。その原因はどこにあるが、私が聞いておりまするところによると、警視廳御當局が四千五百カンの水あめをお扱いになつた。この岩崎さんが四千五百カンをお出しになつたときは、學童に配給するという觀念でお出しになつたと思います。ところが私の方では材料關係と業者の生産機能が全部白あめ、しきあめにすることが不可能に近いため、東京都の御了解を得て一部あめ玉ないしは乾燥ゼリーにし、三千萬カンをしきあめにしたのでありまして、學童配給というのは、當初の檢察局御當局と岩崎氏の頭であり、學童配給にいくらしたのだ、それが四千五百カンであろうとお尋ねがあつたのではなかろうかしらと新聞記事を見て私は感じたのであります。この間違いはそこに出發しておつたのではなかろうか。四千五百カンの資料の目的はこの學童配給の水あめの材料である、こういうお考えがあつたのではなかろうかと私は解釋して讀んだのであります。
○榎本證人 警視廳の方から私にお尋ねがあつたときも、それからなお文書で報告書の提出を求められたときも、學童配給の配給要領と實配給量竝びに配給入口數だけ御報告いたしまして、四千五百カンのあめが一萬三千何がしのカン數にしかならないという報告を出した記憶はございません。
○石田(一)委員 そうすると當隱退藏物資等に關する特別委員會に提出された内務省警保局防犯課長の名前によるこの資料などというものは全然でたらめな信用のないもので、こんなもので事實を調べると大變なことになり、ただいまの證人のお話とこれとでは違います。これを讀みますと供出せしめた四千五百本に對する白あめ製品だから一萬三千三百五十カンとこうなつてもおります。ただいまおつしやるところによると、また別に何だかあめをおつくりになつているらしうございますが、これにはそんなことは一言も書いてございません。こんな杜撰ないい加減な資料をわざわざタイプに打つて、どういう根據をもつて出したのか私には合點がいきません。しかしいまさら言つてみたところで私たちはこれ以上根據をもたないことでありますが、まずこれは資料を提出した側の責任である。すなわち東京都か、それとも東京都から出されたときのタイプの打ち違いということになりましよう。それでは實際調査する資料にはならないと思います。ただ一つここで瀧澤さんにお尋ねいたしますが、水あめの製造工場からさらしあめ工場へこの水あめが差向けられて、水あめ製造工場が都のさらしあめ工場へぜひこれをやつてもらいたいということを製造工場自身が指定して、先ほどおつしやつた六分か何かの手金を收めて、あなたの方では水あめ業者から指定されたさらしあめの工場へ配給するというような方法をとつていらしやるというお話でありますが、これは事實でありますか。
○瀧澤證人 四千五百本の水あめに對しましてはさようなことはありません。御案内の通り水あめは自治的統制のものでありますために、政府から澱粉の配給を受けたものは水あめ製造業者としてそれに相當する水あめの供出の責任はありましようが、この歩留りの關係上多少おこぼれがある。そういうものは決して統制品でないという觀念が水あめの製造業者にありまして、そのために一部は組合へ供出するが、一部は私らの知つている水あめを原料として加工する業者にこうしてほしいという御注文のあつた例があります。しかし四千五百カンに對してはさような御注文はありませんでした。
○石田(一)委員 今ここに提出されている資料は全然杜撰なものであつて、これを根據として證言を得ようとすると、こちらがとんでもない恥をかくようなことになります。そこで一應この點については確かなる資料を得てからということにするよりほかしかたがございません。ただここで警察側からおいでくださいました證人お二人にちよつとお伺いいたしますが、聞くところによると、この前の委員會がここで開かれた當日、二人の方は上官かだれかにお呼ばれになつて、この委員會に出て證言をする前に何か指示をお受けになつたり、あるいはまた御相談があつたようなことをある新聞記者の方から聞いたのですが、事前に警視關あたりであなたたちの上官と御相談なさつて今日おいでになつたということはございませんでしようか。
○矢野證人 私は衆議院からこの證人の呼出しを受けましたので、上司の人に二十五日の午後一時に呼出しを受けたということは申し上げました。一年前のことであるし記憶はないけれども、自分としても知らないことは知らない、しかし自分の知つている範圍はありのまま國會のために堂々と申し上げます。それだけしか申し上げません。
○阿部證人 私は家族が郷里愛知縣に疎開中でありましたが、戰爭後早く戻したいと思いましたけれども、食糧事情や自分の住宅の關係で今日まで長引いておつたのであります。それで師範學校と中學校に行つている子供を呼んで親戚の家に間借して今日まで二年間私が男の手で學校へ通わせておつたのであります。しかし新聞で見ると最近大分食糧事情も困難でなくなるというので、家族を呼び戻そうと思つて去る十八日から郷里愛知縣に旅行中でありました。その不在中に實はこの手紙が私の自宅まで配達になつていたのであります。子供が非常に心配して、電報でも打つて呼び出そうか、しかし電報を打つても間に合わない、どうしたものかと氣をもんでおつたそうでありますが。そこへ土曜日の夜遲く私が家族連れで歸つてきたのであります。すると突然父ちやんに衆議院から呼出しがきていると長男が言つた。それで開いてみると私の住所宛に書留が配達されておつた。しかしその翌日は日曜日だから警視廳に行つてもだれもおらぬ。しかし衆議院から私にきても直接出頭するわけにいかぬ。上司に一應報告して、自分が行つていいものか惡いものかということをたしかめないうちは自分は出頭できぬ。これは私ら官吏の責任であります。住所に配達を受けた場合に直接ここに來るということはできないのです。警視廳にこの書面が配達されて、警視廳の上司の命によつてお前行つてこい、こういう命令ならばできるのであります。そこで衆議院からこういう手紙が來ておりますが、行つてよろしうございますかと伺つたところが、それでは行つてこい。いずれ當時調査したところの範圍を聽かれるのだろうから、それをつぶさに話したらよかろう。こういうわけでありまして、連絡というのはただそれだけであります。上司に行つていいか、悪いかということを伺つただけでありまして、ここに來てどういうことを話すかということは絶對指示も受けませんし、その話もいたしません。不在中に書面を受取つたために、その打合せをしただけであります。
○石田(一)委員 まことに警察官としてさこそあるべきだと私も感服いたします。ただせんだつてあたりも、このうしろで傍聽していらつしやいました矢野さんあたりは、何だか證人のせんだつてあたりの證言が、自分が實際調査したときと大變食い違つているので、ずいぶんいい加減なことを言われるなどとおこぼしになつていらつしやつた、言葉を他にも廳いた者があるというのでありますが、そのときは聽いていて食い違つておるとたいへんおこぼしになつていて、現在になつてよく記憶がないとおつしやれば、もうこれ以上お尋ねしてもしかたがないと思いますが、ただ一點だけお二人の方にお聽きしたいのは、岩崎へ摘發にいらつしやつたときに、岩崎の新一郎さんかだれかが、實は本田署にも百五十カンとか三百カンとか、またこの間は下谷の方の警察へ三百カンとか、隣組の方へも一カンぐらいずつ月々出しておるので、こうたびたび來られたのでは困る——そこでいろいろ問題が分れておるのですが、この話が出たのは、實はつい來た二人の摘發情報提供者が、目白署の方で三百カンよこせと言つたけれども、それはできん、實はこうこうこうなつておるんだと言つたと、業者の方では言つておりますし、そのときついて行つた二人の人は、そんなことはない、私は警官二人の立會いのもとで、向う樣でこうこうこういうことを言つておつた、それを私の方からあめをくれなどと、警官立會いのもとでそんなことは言えるものではない、それはそのときいらつしやつた二人の警官を喚んでもらえばどちらかはつきりわかるということであつたのですが、この本田署とか坂本署とか、あるいは自由署の管内に三百カンよこせと言つたとか言わないとか、この事件のそのときの眞相をひとつ、御記憶ならば證人のお二人からこの際警察官としてはつきり正しくこの委員會に證言くだされば、まことに結構だと思います。
○矢野證人 先ほど申した通り、私としましても隱退藏というものは人一倍摘發する。現在私の任期中に扱いましたその中には、相當の成果もありました。しかしその詳細は先ほど申したように、事件になつていない。警視廳の感じを申し上げますれば、大體係りは機能的に調べます。これが違反であるかどうか、その後に部長なり主任なりが、事件になつた場合には取調べるわけであります。それでこの事件は當時は事件じやない。私は大體おおむねという程度に書いておきました。ところが本年三月に本廳に轉職になるときに、後任の部長に引繼ぐべきものは引繼ぐ。こういうことでそのために現在ここにおいても記憶というものははつきりしないのであります。
○阿部證人 調査の方法をつぶさにお答えしろということでありますが、これは私ども慣例として、調査する場合は、大體矢野部長さんが警視廳においでになつて、上司に報告されただろうと思う。そのときにどう報告されたか、隱退藏物資について報告されただらうと思います。そのときにちようど私が物資係をしておりましたから、上司の方から、それは阿部君、目白のその方と一緒に行つて調査してもらいたい、こういう命を受けて、調査にまいりました。行つた所は岩崎澱粉工場であります。私どもの調査の方法としては、まず第一に事務所に行つて、その責任者に會いまして、大體書類を檢査しました。その書類によつて、今までどういう原料を配給になつて、その原料からどういうものをこしらへて、どういう方法によつてこれを配給、供出しておるかというようなことを調査するのでありまして、その結果今度現物に當るのでありますが、大體この書類面を初めに見て、それから工場倉庫というものを調査するのであります。調査してみたところが、その當時の數量は工場の大さから言つて、またその品物が隱退藏物資とみなされ水ものかどうかということは、その場では判斷ができませんでした。工場の大さから言つて。これくらいのものは當然もつておらなくちやならぬものじやないかとも直感したのであります。書類面から言つても、やはりあめ統制會社の方にもこれこれこれこれと、供出しておるのがちやんと載つておりました。そうしてまた倉庫に行つて現品に當ると、これはあめ統制會社に手渡しするもので、保管中のものでありますということが立派に書面に現われておる。だから隱匿物資として認定すべきものであるかどうかということは、私としては認定できませんでした。またその場で供出せいとか何とか言うことはできませんでした。現場でもつてそういうことはやるものじやない。大體私らの調査員としては、その場に臨んで品物を確認するのが私どもの責任でありまして、その現場にあたつて何ば出せ、何ぼ出せと言うことは、私たちは權限がありません。大體確認をして、署長に報告して、それからどうなるかということは、えらい人のやることであつて、私らは權限をもつておりません。だから今お話の、どういうふうになつたかということは絶對私どもは權限をもつておりませんから、ここでお答えできません。ただ物資を確認したに過ぎない。行つたときの直感は、これぐらいのでかい工場で、また書面から言つて、これくらい配給統制會社に行つておる、そうすると全部これを隱匿物資として認定してよいものであるかどうかということは判定しかねた。そこで一應物資だけ確認して、數量だけ載せて、一應目白署の方に來てもらいたいというので、目白署の方でその供述をしてどういうふうになつたか、私の方にはわかりません。
○石田(一)委員 今私が聽こうといたしましたのは、二人の方がこれを隱匿物資と思つたか思わないか、そういうことではないのであります。岩崎新一郎氏が本田署にも三百カンばかり毎月とられたとか、一遍とられたとか、また三百本ほど坂本署にも先だつてとられたとか、隣組にはちよいちよい一カンずつ配給しておるんだ、こうたびたび來られて——この情報提供者が何でも三百カンばかり目白署管内によこせと言つたという。それでそんなにたびたびやられては困るから、こういうことは二度と摘發に來ても要求しないというふうな一書を入れてくれと、岩崎さんの方ではそう言つて斷つた。またもう一人の摘發情報者が言うのは、そうではない、どこそこの警察に行くと、今までやつておるからというのは向うから言い出したことで、情報提供者本人は、私の方から三百カンを目白署の管内に供出しろなんて言つたことはない。全然それが正反對のことを言つておるのであります。どういう話がそこで行われたか。すなわち情報提供者は二人の警官が立會つておるところで、その話が出たというのですが、岩崎新一郎さんに、本田署とか、坂本署とか、隣組に配給しろということを言いましたか、それとも言わなかつたか。情報提供者が目白署内に三百カン提出しろと言つたかどうか。そのときに二人いらしつたから、ほんとうのことをお聽かせ願いたいと思うのであります。
○阿部證人 そうでございます。そのことについては先ほど申し上げたように、私としてはその場で出せとか出さないとかいう問題には觸れたわけでありません。ただ物資を確認する權限しかもつておりません。出せとか出さないとかいうことは言えませんから、向う樣としては、これはとりに來たものか、または摘發に來たものかという觀念は、おそらくもつていなかつたろうと思います。ただ民間人の何とかいう人が行つておつたが、あの方が私どもをさておいて盛んに息子さんとやつておりました。その言つておつたことを私は横から聽きましたけれども、やはりそんなようなことではないかと思います。目白管内に何カンとか、私の方に出せとか出さないとかいうことを言つておつたのじやないか。それで息子さんが、あなたは警察官でないのに、そういうような恐喝がましいことを私におつしやつても仕方がないのではありませんか。警察官ではないでしよう。私に品物を出せとか、何とかいう權限はあなたにないじやないかと言つておつたことを記憶しております。それで激論になつたものですから、私がそこでちよつと待ちなさい。そういうことをこの場でいう場合でありません。私どもはその物資を確認しに來たのであるから、あなたが出せとか出さぬとかいう問題ではありません。あとで目白署へ行つて決定することなのだから、ここで出せとか出さぬとかいう議論はよしなさいと止めたことはあります。目白署になんぼ出すとか、どこへなんぼやるとか、警視廳へなんぼやるというようなことは、岩崎さんとしては言つておらぬだろうと思います。ただ民間人があまりにも出せとか出さぬとかいうことを言うために、息子さんが非常に腹を立てておつた事實を、私ちよつと記憶しております。だからそういうようなことは言つたかどうか、私は知りません。
○石田(一)委員 この物資を出すか出さぬかということは警察署において決定する問題だというようなことを考えていらつしやる方が、その程度の頭で隱匿物資を摘發にいらしつては、今後大變大きな問題が起きます。一警察署が國民のもつておる品物を供出しろとか、出せとかいう決定權は絶對にありません。そういうことはお考えなく今後は職務をおやりください。ただ一つ問題になるのは民間側の方があめ屋さんをとつつかまえて、とにかく三百カン出せと言つて激論になつておつたところへあなたがはいつて、この場合そういうことをおつしやるものじやないとお留めになつた。まことに警官としては仲にはいられていいさばきでございますが、今それが實際大きな問題になつておるのでございます。あなたも警察でその方の係りの警官でございます。あるいはその權限ではないかもしれませんが、この民間情報者は岩崎新一郎氏を恐喝していたのですね。恐喝の現行犯ですね。あめを三百カン出せ、出さなければ摘發するぞと、あなたの前で恐喝をやつておるのだと思う。あめや屋さんと激論を闘わしておるのを、あなたがただ仲にはいつて留めた。權限が違うからあなたはただ仲にはいつて留めるだけでお濟ましになつたのだと思います。あめ屋と激論を闘わして、あめを出せと言つておつたとあなたが言われたということは、彼が恐喝していたということをあなたは證言したということになる。これは重大なポイントで實に大きな問題だと思いますが、はつきりつかみ得ないように私は考えます。もう一つこの點を矢野さんの方からでも、その時の事情を聽かしてもらえれば結構だと思います。水あめがこれまでたびたび自由供出とか、何かの形で方々へやられていたかどうか、大きな問題ですが、向うからそういうことを言つたのが、こつちから出せと言つたのか。あなたはそんなことをしてはいかぬと言つて留めたが、その次の日か目白警察署へ大島とかいう人をやつて交渉して、そのあとで岩崎が三百カンの水あめを供出するという手續をとりに行つたところ、目白署はそんなものは聽かぬと言つて斷わつた。そういうことがあるのですか。どちらですか。元目白署の巡査部長であつた矢野さんからこの點についてはつきりしたことをもう一度伺いたいと思います。
○阿部證人 その前にちよつと申し上げます。恐喝ということまでにはいかない。ただ激論していましたからして、そこでごちやごちややつていては話がまとまらぬからと言つて私は留めたのでありまして、別に恐喝をしたということは申しません。あとの本署に來てもらつてどうこうということは、私は警視廳から行つたのではなくて、調査の主體は目白署でございますから、目白署においでくださいと言つて、目白署に向けてやつたのでありまして、その後のことには私は携わらない。
○矢野證人 あの時行きましたのは先ほど申したメンバーであります。大體行く前に分擔をきめました。その時ちようど武永さんと岩崎さんとが私のそばの机に相對しておりました。私と阿部さんがおりましたが、私は帳簿が相當ありますので、それを見ておりました。その關係で阿部さんが言われたことも今確かに覺えてはおりません。私は先ほどから記憶にないと申しますのは、そのような事情でもつて今詳細なことは全然頭に浮んでまいりません。
○石田(一)委員 もうこれ以上お尋ねしても、古い言葉でひようたんなまずというのですか、つかみどころのない禪問答になつてしまいますので打切ろうと思います。ただ一言、皆さん方は帝都の治安を維持するために最前線に立つて身を挺して働いておられる方々であります。もちろん自分の上官の命令にお從いになることは職務を忠實に行う上からはほんとうに正しいことであると思います。ただ他の方に矢野さんあたりが漏らしていらつしやるお言葉と、ここで證言なさいます言葉とは何だか全然意味が違うようにも私たちは理解するのであります。これは證據にも何にもならないことで仕方がございませんが、これ以上お尋ねしても證證人からその時どつちがどうなつたのだか、どつちがくれと言つたのかやろうと言つたのかわからないような結果になりそうで、強いて言えばただいまの警視廳側の阿部證人のお言葉によると、何かそういう激論があつたという程度なのでございますから、この邊で止めたいと思います。委員長に申上げますが、まことに殘念であります。こうした大きな問題で向うから提出された資料はまるでいい加減な資料ばかり出しておる、各證人を喚んでみればそれぞれ事前に證言の打合せをし、これをこまかく追究していけばその當時のことは記憶にないと言う。どうにもこれはしようがありません。結局はこの委員會の證人は虚偽の證言をした場合にはなんとかするというような罰則でなければどうにもならぬと思います。せつかく今日まで私どももやつたのですが、これから後の問題は委員會の判斷になると思います。私の質問はこれで打切ります。
○梶川委員 阿部證人に最後に一言御伺いしたいと思いますが、警視廳でこの前水あめを一人當り二百匁だか三百匁だか配給があつたそうでありますが、何日頃か御記憶はありませんですか。
○阿部證人 私は當時から現在まで生活係をやつておりますが、私の方では受けた覺えはありません。生活課の方に來たのか、どちらに來たのか、わかりませんが、どちらの課、どちらの係で受けたのか、私は配給を受けた覺えもありませんし、さようなことは聞いた覺えもありません。
○梶川委員 これは各課にあつたのではなくして廳員の方にあつたように部内の人かち承つておる。日附がはつきりしないので伺つておるわけですが、ないと言われればそれまでですけれども、あなたはあれは生活課の方だろうという推定ですか。
○阿部證人 生活課にもいろいろ係がわかれております。物資係、食糧係、情報係、庶務、生活相談、こういうふうにわかれております。配給物資が警視廳全般の職員に來るというようなことはおそらくありません。またそういう水あめがどの係に來たのか、私は水あめの姿も見たことはありませんし、また配給されたということを聞いたこともあうません。
○梶川委員 よろしゆうございます。
○加藤委員長 それでは證人諸君に對する御質疑はこれでございませんですね。それでは證人の方々御苦勞さまでした。御引取りを願います。 この際委員外でありますが、議員古島義英君から發言を求められておりますのでこれを許可するに御異議ありませんか。
○加藤委員長 御異議なしと認めて許可いたします。古島義英君。
○古島義英君 委員會の模樣を謹聽いたしておりましたが、今日はさいわい隱退藏物資が不當に處分されたというような疑いがある、これを探究したように思つておるのであります。私はその點に向つて一應參考になる資料であると存じますので、本日は機會を得てそのことを申上げたいと思います。委員外でありますので不幸にして内務省の人たちにも深くこれを質問することはできませんが、隱退藏物資ははたしてどこに處分權があるかということの問題であります。隱退藏物資が所在しておつたその縣に處分權があるか、あるいは國に處分權があるか、このことも不當處分の問題に絡んで重大な問題になることと思うのであります。殊に内務省では先般各府縣に向つて隱退藏物資の處理についての報告を求めたはずであります。しかもその報告は大部分が來ておりまして、この委員會に八月十八日附をもつて參考資料として出ておるということに承つておつたのであります。ところが本日承りますと、まだ出ていないそうであります。委員課の方に問合せていただきますと、安本の方にまいつておつて安本の方でまたそれを審査しておるということに聞いております。かようなことで委員の方々のお手許にはまいつていないのでありますが、現に隱退藏物資を不當に處分したことについては實例があるのであります。埼玉縣の問題を申上げますが、埼玉縣では五月三十日附をもつて一切の隱退藏物資は皆無になつた。全部處置濟みであるということが内務省に報告してあるのであります。ところがその後七月十五日に隱退蔵物資の保管者に向つて指令を出しまして、特殊物件配給課というものがありますが、そこに向つて從來持つておるものを配布するということの指令を出した結果、遂に六十二萬數千點というものが不當に配布されたのであります。しかもその配布先はどこであるかというと、特殊會社、特殊團體もしくは縣廳の内部にこれが配布されたのである。いわばお手盛りで縣廳の中においてこれを取つたとも見られるのであります。隱退藏物資がせつかく殘つておりましても、一部を處理して處理濟みだとうそを言つて内務省に報告し、大部分をとつておいてこれを不當に仲間たけでわけるというようなことがあるのでありますから、この點に向つては十分な審査をする必要があろうと思うのであります。試みに私は縣廳がどのくらいなものを取つたかということを一應申上げて見ましよう。縣廳職員がとつた分は、縣職員會が一萬五千九十點、縣の厚生課が千五百七十五點、衞生課六千五百點、建築課三千八百點、渉外課七百十八點、賠償課千五百三點、砂利採取所千九百九點、農地課五百點、開拓課三千點、耕地課三千點、林務課六千六百點、土木課六千二百點、教學課一萬三千九百八十點、警務課四千五百三十點、こういうものを縣廳内部においてわけておる。この縣廳内部にわけたことについて私は知事の説明を受けたのでありますが、おこぼれだとやはり言つております。なるほどおこぼれには相違ないが、あまりにこぼれ方が多い。六十二萬數千點というものがおこぼれになつておるわけであります。しかもそれで全部が配布濟みだと申して、もし今後出たということになれば相當責任を問わねばならぬがというので聞いてみますと、實はそのほかに三十萬點ほどのものが現在出ておると言うのである。被服類と衣料であります。もう配布濟みだ、ないというにかかわらず、まだ今日でも三十萬點というものを内緒で保管しておると言うのであります。こういうことを見聞いたしますれば、いくら隱退藏物資に向つてその處分先を追究いたし、不當處分等を剔抉いたしましても、その報告がうそである。先ほど委員の方が參考資料は虚偽であるということを言われましたが、その通り。そういうものを集計いたしたものが參考資料として出てまいるのでありますから、信用するには足らないのであります。しかもそれだけではないのであります。御承知の通り、埼玉縣ではかつて百萬圓事件というのがありました。私が説明するまでもなく、ある會計課長が知事その他の判を盜用いたしまして、ある町長と結託をいたし、百萬圓以上の金を鴻池信託から出したという事件、この事件は爾來訴訟になつておりまして、鴻池銀行が三和銀行になりましたから、三和銀行から縣を相手にして訴訟進行中であります。しかしながら法律に多少心得のある方がこれを見るならば、いかように見ましても、中に詐欺漢がはいつておる。詐欺によつてこの金が騙取されたのでありまして、詐欺の被害者は鴻池信託であり、その繼續者である三和銀行であります。しからば埼玉縣が訴訟を起されましても、この訴訟にはそうたやすく負ける筋合ではない。普通の型から考えて、これは縣の方の勝訴になるであろうという見込みが立つのであります。ところが長い間訴訟をやつておりました結果、今年の二月これが和解になりました。二月和解になつた際においては、無條件をもつて和解になつたということでありましたが、いずくんぞ知らん、今日これを調査いたしてみますと、非常な多くの隱退藏物資が三和銀行に交付されておるのであります。どういうわけで、縣の訴訟の對象といたしてその隱退藏物資を引渡すことができるのであるか。これらは縣が自己の訴訟の解決のために、隱退藏物資を濫用したと申すよりほかはないのであります。どれくらいな金額が行つたのであるかと質問をいたしてみますと、その當時の公定價格において三十萬圓以上であるということであります。もしこの三十萬圓が、答辯する筋のごとく當時の公定價格であるとするならば、市場の相場にすれば優に三百萬圓以上のものである。少くとも百萬圓の事件を解決するために、隱退藏物資三百萬圓を不當に支拂うということになれば、何人がいたしましても、その訴訟は解決するはずであります。かようにして日本における隱退藏物資はやみからやみに葬られ、そうして勝手にこれを處置されるという状況になつておるのであります。私は、隱退藏物資がはたして何人に處分權があるか、この點は冒頭に申しましたが、非常な疑いをもつものであります。そうしてこれが縣内の、あるいはその所在地の戰災者であるとか、もしくは引揚者という方面に配給されるならばまだしも、縣の一訴訟事件を解決するためにこれが處置される。もし縣に處分權があり、そのようなものにこれをわけるのだということになれば、縣民の利益に反することである。すなわち縣民の不利益をはかつて、一訴訟の解決をいたす資料にしたというのでありますから、優にこれは背任罪が構成するわけであります。そうしてまた先ほど言うた大部分を縣廳の職員がわけ前にいたしたということは、私は責任を帶びて申し上げるのでありますが、事實であります。これが事實であるということになれば、そこに戰災者もあり、引揚者もあり、一般の消費者もあるのである。なぜ消費者の方面にこれを配給せずして、一部の役人と、特殊會社と、特殊團體とによつてその六十二萬何千點というような大多數のものをわけたのか。これはとりも直さず、いかような逃げ道があつたかしらぬが、横領にもなれば、背任にもなる事犯であると思うのであります。どうか、このような事實が嚴然として存在する今日でありますから、委員の方々にお願いいたすのでありますが、こういう事情に向つて強く探究をいたし、その眞相を明らかにいたしてもらいたいと思うのであります。私は委員外でありますから、これだけを申し上げまして、諸君の御參考に供したいと思います。もし質疑があり、あるいは資料を得たいという方がありますならば、後日差上げることにいたします。さよう御了承を願います。
○佐竹(新)委員 私は本委員會におきまして、先般靜岡縣の藤枝町に本月の十七日に世耕氏が參りまして、自由黨の主催で講演會をしておりますが、その席上世耕氏はこういうことを言つておられるのであります。靜岡縣下にダイヤが千カラツト、時價三千萬圓、金塊二トンが隱匿されておる。この金塊二トンは帝國産金が終戰のどさくさに隱したもので、その埋めた地點の地圖まであるから確實である。こういうことを言われておるわけであります。現在の金塊二トンと申しますならば、日本の約二箇年間の金の産量であります。この金塊が、はたして世耕氏の言われるごとく地圖まであつて、明確に帝國産金が隱匿しておるものなれば、次會の委員會に世耕氏を喚んでいただいて、世耕氏から、どこにあるという言質をはつきりとつていただきたいということを申し上げます。その席上、世耕氏はこういうことを言つておられる。片山内閣は官僚と結託して、この大事な金塊あるいはダイヤの摘發に對して協力しないということを言つておるのであります。これはあるいは政黨の立場として言われたのであるかどうかしれませんが、こういう點は重大な社會問題である。今世耕氏といえば時の人、いわゆる隱退藏物資をめぐつてうわさになつておる人であります。こういう人の發言は一言一句非常な波紋を描くと思いますので、ぜひとも次の委員會に世耕氏を喚び出していただきたい。こういうことを申し上げておきます。 さらに、ただいま隱退藏物資の關係に對しましてやみからやみに葬られておるということを申されましたけれども、事實その通りでございます。私どもの所に集まつている某縣に隱匿されて——現在これは安本にも出ておりませんし、また表面に現われておりませんまつたくの隱退藏物資約四億というものが、隱退藏されておるのであります。かようなものは、おそらく地方官僚と、あるいは中央官僚との結託によつてやみからやみに葬られるかもしれぬと私は思うのであります。次會の委員會に一切の參考資料を——隱匿されている場所、品目、隱匿しておる人間の名前、こういうものを次會の委員會に出しまして、全員の協力を得て、官僚に一切任せない。地方官僚、中央官僚に一切任せないで、ただちにこの委員會が地方に發動して、その物資を的確に押えて、正規のルートに載せていただきたいということを特にお願いいたします。まだ隱退藏物資が相當あるということを私はこの委員會において申し上げます。
○武藤(運)委員 國鹽さんにちよつとお伺いしますが、隱匿物資がまだまだ相當あることは十數囘にわたるこの會の調査によりましても、大體明らかになつておりますし、やりようによつては出てくることも明らかになつたように考えます。そこでこれは至急政府として捕捉をして活用のルートにのせることが一番重要な問題であると考えます。政府はさきに遊休物資の活用要綱というものを發表されたけれども、それに基いて緊急政令なり何なりを出されることと思う。社會黨でも一應政務調査會からその要綱を發表してあります。當委員會でもこの前私の發議によりまして大綱を決定しておるわけなのでありますが、當局としては一體これに對していつごろ緊急政令なり何なりを出すつもりであるか、どの程度まで用意が進んでおるかということを第一にお伺いしたい。 第二には、この緊急政令に盛られる——たとえば活用委員會というふうなものに官民合同ということを言つておりますが、國會議員を加えることになつておるかどうか。國會議員が兼職を禁じられておるという規定もありますので、現行法規の上ではむづかしいという説も立てられるかもしれませんが、國會議員がその摘發に參加する、あるいは忠告をし、指導をすることによつて、出ないといつた物資も出てくるという例が最近寒川にもあつたようなわけでありまして、これはぜひ國會議員が活用委員會の委員になるか、あるいはなれないとすれば別に忠告、指導、監視の機關として何らかこれに發言なり行動なりができるような方法を構ずる用意があるかどうか。この點を國鹽さんにお伺いしたいと思います。
○國鹽政府委員 ただいまの御質問の第一點、いわゆる隱退藏物資、遊休物資の摘發、活用に關する政府の改革案、現在の制度をさらに強化擴充する案の進行状況いかんという點に對してお答え申し上げます。先般の閣議によりまして隱退藏遊休物資の全面的活用をはかる根本方針をきめていただいたのであります。それに基きまして一應の案を得たのでありますが、その案は根本的な改革を企圖いたしておりまするので、法令の制定その他いろいろの點において手續上非常な時日を要するので、緊急の間に合わないという政府首腦部の御意向によりまして、とりあえず普通の政令による委員會をこしらえまして、直ちに活動を開始すると同時に、その委員會竝びに國會その他の協力のもとに活動しながら、次の根本的な案を練る。こういう方針に改められたのであります。しかしてただいま申し上げました暫定的な案と申しまするか、委員會の方は一應政令の案は内部的には決定いたしまして、ただいま連合國司令部の方の諒解を求めておる最中であります。もう近日中に諒解が來るのではないかと思いますが、來れば早速發足したいと思つております。この構成は民竝びに官、その民の中に國會議員、勞働組合代表、農民組合代表、事業主團體代表、あるいは民間有識者という方々の中から相當數、約十名内外出ていただいたらどうか。官民合わせて二十名足らずの委員會で出發したらどうか。必要に應じてはその委員を殖やしたらどうか。こういう行き方に考えておるのであります。從いまして、第二の御質問の點に關しましても、國會議員はわれわれの希望といたしましては、でき得べくんば委員會に參加していただきたいと思つております。但しただいまの御發言のような點を政府において御考慮になつて、政府自信もその御意向があるようでありまするが、いろいろの點においてまだ決定を見ないということを私は聞いておるのであります。これの發足は、連合國司令部の諒解を得次第、委員の任命をいたしまして發足をいたしたい。早ければ來月匆々には委員會を開くことができるのではないか、かように思つております。しかしてその活動の方針は、現在の法令をもととしてやる。隱退藏物資等處理に關する數次の規則を不完全ではあるが、とりあえずあの規則を活用していき、次の抜本塞源的方策はこの委員會においても研究していただき、なお政府においても國會においても研究して、竝行して急速に進めていく、こういう考え方をもつております。
○鍛冶委員 私も監理長に伺いたい。今古島君が言われたことを、私も栃木縣で深く感じているのでありますが、一應縣が持つていると言いましても、これの處分權限はどこまでも知事そのものにある。先ほど報告したように、今現に纖維及び皮革を押えている。押えておつて、縣のリストからあまつて出たものはしかるべく處置する。どう處置するかといつたら、内務省へ報告して、内務省の指令を待つ。待つていて來れば、どういうことでやられるつもりであるか、縣のリストにあまれば縣が勝手に處分していいとお考えになるのか、または何らかの方法を考えるのか、その點を法律的に御説明を願いたい。 いま一つは、隱匿物資等臨時措置令によれば、あのわくにはまるものは範圍が狹いものである。私の見たところによれば、縣のどこかのリストに載つているに違いないが、二年間倉の中に遊ばしておいて、それが順次やみ物資の本源になつていることは、もう疑いのない事實である。これらのものは隱匿物資等臨時措置令にはまらぬというので、今直ちにやれる。その處置についても見逃がされるつもりなのか、それともこういうものは遊休物資であるからこれらを何らか活用せられるのか、この二點をお伺いいたします。
○國鹽政府委員 先ほどの御發言の埼玉縣の問題竝びに栃木縣の御報告等を伺いましても、相當の物資が各府縣にまだ殘つているように私どもも想像されるのであります。しかしその問題の根源は、多く軍の放出物資、いわゆる特殊物件に關連するのであります。しかもその特殊物件の始末の不徹底ということに根本の原因があるように思うのであります。どれだけの軍の物資が當時放出されたか、そうしてどこにどういうふうに散在しているか、ということの調査が不十分である。その把握が不確實であるということが、問題の第一點であると思うのであります。また第二には、その處分が急速の間に行われたという關係で、必ずしも合理的かつ全面的に公正に行われておらない點がある。さらに第三は當時の經濟界の混亂を反映いたしましてかブロツク經濟という思想が全國各地に澎湃としてみなぎつておる。バーター制、物々交換ということがきわめて顯著なる經濟現象の一つになつておる。その一つの現われといたしまして、縣自體においても食糧なりあるいは燃料なりその他縣民の生活上必要なる物資を確保するためのいわゆる報奬物資、あるいは見返り物資と申しまするか、さような點においてある程度の物資を縣自體が貯えておく必要がある。こういうような相重なる事情が錯綜いたしまして、ある府縣におきましては特殊物件として當然中央政府に全部申告すべきものを故意に申告しなかつた。あるいは帳簿の不整理のために善意であるけれども不確實にしか申告できない。さような問題が今日まで殘つておりまして、御指摘のようなはなはだ遺憾なる事態をひき起しておるのではなかろうかと思うのであります。しかしてこれが處理に關しましては、内務省の方におきまして明確なる處理方針を指示いたしておるはずであります。私はただいまいかなる文面になつておりまするか、はつきり記憶しておらないのでありますが、全部中央に報告する。しかしてある一定基準以内のもは縣限り處分してよろしい。しかしそれ以上のものは中央の指示に從つて中央で處分する。あるいは縣に命じて中央が處分するということになつておると思うのであります。なお詳細につきまして御必要でありますれば、内務省の當該係官の方に連絡いたしまして御報告いたしたいと思います。從つてただいまの問題に關連して申し上げますれば、今後縣になお續々と隱匿物資が現われてくる、それを縣で持つておるというような場合におきましては、それは非合法であるということは申し上げるまでもないのであります。從つてそれをいかなる方法で摘發をやるかに關しましては、當該物件の責任者であり所管官廳である内務省が、みずからの監督權に基いてその府縣の行為を糾明するということが第一次最にとらるべきことであると思うのであります。第二の方法といたしましては經濟安定本部監査局が擔當しております各廳、府縣、各省の行為に對する行政監査の措置をとりまして、官廳自體の正しからざる行動に對する非違を正すというような方面からも追究していきたいと思うのであります。官の隱退藏物資に關しましては、現在の法制においては直接その方面から取締る規定はないのであります。從つてただいまのような方法でさような問題は處理しなければならぬと思うのであります。 第二に御質問の點、すなわち隱退藏物資のみならず、遊休物資まで現在の法制下において直ちに委員會なり安本において處理する意思はないかどうか、こういう御質問のように伺つたのでありますが、いわゆる調査物資と申しまして隱匿物資等處理緊急措置令の中で調査を命ぜられ報告しなければならぬものと、報告はしなくてもよろしいが、政府の方において必要があれば指定するという指定物資と二つあるのであります。調査物資について申しますと、これは全部申告しなければならぬ。申告しなければ當然隱退藏物資になる。申告したものは一應重要なものは全部政府の管理下にはいる。從つて一應合法ということになり、正規のルートに乘つたというのはそういう意味であります。しかしなから一定限度以上の多量の數量をもつておるという場合におきましては、政府が一定限度以上は某々の工場については餘計である。多過ぎると認定いたしました場合については、それの買上げを命ずることができるようになつております。すなわちこの問題を觀念的に申しますれば退藏物資ということになるのであります。そういうものは政府が逐次買上げて處分する。調査物資につきましてはさようでありまするが、隱匿物資も退藏物資も兩方が現在法制下に措置される。かようになるわけです。指定物資につきましては、政府は發見次第、重要物資といたしましてあらかじめ指定しておるのです。しかしてそれに該當する物資が發見され次第、量が多いかどうかということをやはり鑑定いたしまして、必要以上多量であればやはり主管大臣が強制買上の命令を發し得る。指定物資はかようになつておるのであります。指定物資にも調査物資にもなつておらない物資に關しましては、強制權限を用いてこれを處理するという合法的な權限は政府にないのであります。しかしてまた指定物資、調査物資というものの範圍が非常に廣くて、水あめのごときは例外でありまするけれども、大部分の重要なる物資はこのいずれかのうちに包含せられておるように思われるのであります。しかしながら今後さらに檢討を加えまして、必要であればこれを追加するということはわれわれとしても考えたいと思つておるのであります。さよう御了承願いたい。 なお官の遊休退藏物資、これはただいま申し上げましたように、これを摘發活用する上において現在の法令は不備であります。從つて將來はかような點につきましても改正を考慮しなければならぬと思うのであります。
○鍛冶委員 大體了承いたしましたが、その調査ということは大事でありますから、至急やつてもらうし、また實際足らないところがあればそれに適するようにぜひやつてもらわなければならぬと思います。 いま一つ重要なことで聽きたいのは、内務省の指令を仰いでどこかの統制會、今では公團でしよう。公團へ引取命令がでるそうです。ところがそれをなかなか取りに來ない。その間にまたそれが横流れしたりなくなつたりするので、これは非常に困ると言つておりましたから、この點も指定せられたる以上は迅速にやられることを重ねて希望しておきます。 なお先ほどの古島君の報告はまことに重要なることと思いますので、これは本委員長の名前をもつて資料を出していただくように、私の方から委員長へお願いいたします。
○武藤(運)委員 議事進行について——實は私は大體この委員會が世耕事件、水あめ事件、栃木の事件というふうに一通り派生的の事件につきましては調査が濟んだと思うのでありますが、これからなお本格的に調査に入ると思われます。しかし私は徳田君が第一囘に言われました通りに、こういう問題については特に一つ公聽會を開く方がいいと考えておりました、しかしいろいろ事務局の方へ聽いてみますと、國會法や衆議院規則によりましてこの委員會では公聽會はできないということで、まことに殘念に思つております。そこで公聽會に代る一つの代案でありますけれども、この委員會はさいわいにして十囘ばかり開かれたようでありますけれども、多くの新聞記者諸君がここへいつでも詰めかけて來ておられます。終始證人の取調べとか調査状況、會の進行状況なども見ておられます。いろいろな問題について御意見もありましようし、發言したいような衝動にかられてある人も多いだろうと思うのであります。私どもが公聽會によつて廣く一般から意見を聽くことができればいいのでありますが、それができないとすれば、一つの輿論の代表者みたいな意味におきまして、この委員會の係の新聞記者諸君と速記を抜きまして、公聽會に代るべき輿論の代表との懇談會を一つ催してみたならば非常に有益ではないか。われわれがこの問題について一應の中間的な結論を得る上においても非常に參考になるだろうと思います。どうかひとつ、次會にでも、一時間でも二時間でも適當な時間をとりまして、新聞記者の諸君の方へも事務當局から連絡をとつてもらい、資料がおありならもつて來てもらうというふうにして御意見を承り、またわれわれの方でも意見を述べる機會をつくることは非常によいことだと思います。どうかこの點は非公式でもよいから、さような取計らいをしてもらいたいと思います。
○本多委員長代理 それでは本日はこの程度でと思つておりましたが、いろいろ提案がありましたからお諮りいたします。 さいぜん佐竹君の要求によりまして、次會には世耕弘一議員の御出席を求めることにいたしたいと思いますが、お差支えありませんか。
○本多委員長代理 それではそう決定いたします。 さらに委員外でありますが、古島議員から本日發表せられましたところは他縣の調査にも非常に役立つことでもあるし、非常に重要性のあることと思いますが、その資料の提出を鍛冶委員から求められておりますから、本委員會の名をもつて資料の提出を求めることに御異議ありませんか。
○本多委員長代理 それではそれもさように決定いたします。 次に武藤委員の提案でありまするこの委員會に出席されておりました新聞記者の方々と會同して、懇談會を開いて審議の參考に供していきたい、これの實施方については理事會にお任せを願つて、理事會で相談をした上で決したいと思いますが、さようにいたすことに御異議ありませんか。
○本多委員長代理 それではさように決定いたしました。次會は二十七日水曜日午後一時より開會いたします。 本日はこれをもつて散會いたします。 午後四時三十五分散會