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産業通則令和六年法律第五十二号現行

事業性融資の推進等に関する法律

公布日
2024/06/14
最終改正公布
2024/06/14
施行日
2026/05/25
条数
280

条文

第一章 総則
第一条 (目的)

この法律は、事業性融資の推進等に関し、その基本理念、国の責務、基本方針の策定、企業価値担保権の設定、事業性融資推進支援業務を行う者の認定、事業性融資推進本部の設置等について定めることにより、不動産を目的とする担保権又は個人を保証人とする保証契約等に依存した融資慣行の是正及び会社の事業に必要な資金の調達等の円滑化を図り、これらにより会社の事業の継続及び成長発展を支え、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

第一章 総則
第二条 (定義)

この法律において「事業性融資」とは、金融機関等からの会社に対する貸付けのうち、不動産を目的とする担保権又は第十二条第四項に規定する個人保証契約等(同項に規定する停止条件が付された契約その他の主務省令で定めるものを除く。)若しくはこれに準ずるものとして主務省令で定めるものによって担保されず、又は保証されないものをいう。

この法律において「会社」とは、会社法(平成十七年法律第八十六号)第二条第一号に規定する会社をいう。

この法律において「金融機関等」とは、次に掲げる者をいう。 一銀行(銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第一項に規定する銀行をいう。第三十三条第二項及び第三十九条第一項第一号において同じ。) 二長期信用銀行(長期信用銀行法(昭和二十七年法律第百八十七号)第二条に規定する長期信用銀行をいう。第三十九条第一項第二号において同じ。) 三信用金庫 四信用金庫連合会 五信用協同組合 六中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の九第一項第二号の事業を行う協同組合連合会 七農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第十条第一項第二号の事業を行う農業協同組合 八農業協同組合法第十条第一項第二号の事業を行う農業協同組合連合会 九水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第十一条第一項第三号の事業を行う漁業協同組合 十水産業協同組合法第八十七条第一項第三号の事業を行う漁業協同組合連合会 十一水産業協同組合法第九十三条第一項第一号の事業を行う水産加工業協同組合 十二水産業協同組合法第九十七条第一項第一号の事業を行う水産加工業協同組合連合会 十三農林中央金庫 十四株式会社商工組合中央金庫 十五沖縄振興開発金融公庫 十六株式会社日本政策金融公庫 十七株式会社日本政策投資銀行 十八保険会社(保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第二項に規定する保険会社をいう。第三十九条第一項第十号及び第四十四条第五項において同じ。) 十九信託会社(信託業法(平成十六年法律第百五十四号)第二条第二項に規定する信託会社をいう。第三十九条第一項第十三号及び第四十条において同じ。)(同法第二十一条第二項に規定する承認を受けて、金銭の貸付けに係る業務を行う者に限る。) 二十貸金業法(昭和五十八年法律第三十二号)第二条第二項に規定する貸金業者 二十一前各号に掲げる者のほか、金銭の貸付けその他金融に関する業務を行う者で政令で定めるもの

第一章 総則
第三条 (基本理念)

事業性融資の推進等は、会社及び債権者の相互の緊密な連携の下に、会社の事業の継続及び成長発展に必要な資金の調達等の円滑化に資するものとなることを旨として、行われなければならない。

第一章 総則
第四条 (国の責務)

国は、前条に定める基本理念にのっとり、事業性融資の推進に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

第二章 基本方針
第五条

本部(第二百四十二条に規定する本部をいう。第三項において同じ。)は、事業性融資の推進に関する基本方針(以下この条及び第二百三十二条第一項において「基本方針」という。)を定めるものとする。

基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。 一事業性融資を推進するための施策に関する基本的な方向 二事業性融資を推進するための支援体制の整備に関する次に掲げる事項イ事業性融資推進支援業務(第二百三十二条第一項に規定する事業性融資推進支援業務をいう。ロ及びハにおいて同じ。)の内容に関する事項ロ事業性融資推進支援業務の実施体制に関する事項ハ事業性融資推進支援業務の実施に当たって配慮すべき事項 三前二号に掲げるもののほか、事業性融資を推進するために必要な施策に関する事項

本部は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

第一節 総則
第六条 (定義)

この章(第十三条第四項、第百九十五条、第二百八条及び第二百十二条第一項を除く。)及び第七章において「債務者」とは、企業価値担保権の被担保債権の債務者である会社をいう。

この章において「企業価値担保権信託会社」とは、第三十二条の内閣総理大臣の免許を受けた者(第三十三条第一項又は第二項の規定により当該免許を受けたものとみなされた者を含む。)をいう。

この章及び次章において「企業価値担保権信託契約」とは、債務者と企業価値担保権信託会社との間で締結される信託契約であって、債務者を委託者とし、企業価値担保権信託会社を受託者とするものをいう。

この章において「特定被担保債権」とは、対象債権(企業価値担保権信託契約により定められた特定の債権又は一定の範囲に属する不特定の債権(債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限る。)をいう。以下この項において同じ。)のほか、次に掲げる財産上の請求権をいう。ただし、当該財産上の請求権の範囲を限定する旨の企業価値担保権信託契約の定め(第一号及び第二号に掲げる財産上の請求権については、対象債権に不特定の債権が含まれる場合の元本の確定前におけるその範囲に関する定めに限る。)があるときは、その定めるところによる。 一対象債権が譲渡された場合の当該対象債権 二対象債権を債務者のために弁済した者が当該対象債権を有する者に代位する場合の当該対象債権 三対象債権について債権者の交替による更改があった場合の更改後の債権(更改前の当該対象債権の額を限度とする。) 四企業価値担保権信託契約により定められた一定の範囲に属する不特定の債権(債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものを除く。)であって、元本の確定前に有する特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権、手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権(電子記録債権法(平成十九年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子記録債権をいう。第二十一条第二項において同じ。)

この章において「不特定被担保債権」とは、債務者が会社法第四百七十五条各号若しくは第六百四十四条各号に掲げる場合に該当し、又は破産手続開始の決定を受けたときにおける当該債務者に対する財産上の請求権であって、同法第四百七十六条に規定する清算株式会社若しくは同法第六百四十五条に規定する清算持分会社の財産又は破産財団から弁済又は配当を受けることができるもの(企業価値担保権の実行手続終結の決定があるまでに弁済又は配当を受けるものを除く。)をいう。

この章において「特定被担保債権者」とは、特定被担保債権に係る企業価値担保権信託契約に基づく信託の受益者をいう。

この章において「不特定被担保債権者」とは、不特定被担保債権を有する企業価値担保権信託契約に基づく信託の受益者をいう。

この章において「担保目的財産」とは、企業価値担保権の目的である財産をいう。

第一節 総則
第七条 (企業価値担保権)

会社の総財産(将来において会社の財産に属するものを含む。第二十五条及び第二百六条第一項において同じ。)は、その会社に対する特定被担保債権及び不特定被担保債権を担保するため、一体として、企業価値担保権の目的とすることができる。

企業価値担保権者は、この法律の定めるところにより、担保目的財産について、他の債権者に先立って特定被担保債権及び不特定被担保債権に対する配当を受けることができる。

企業価値担保権者は、担保目的財産に対する強制執行、担保権の実行若しくは競売(担保権の実行としてのものを除く。第十九条第一項において同じ。)、企業担保権の実行又は国税滞納処分(その例による処分を含む。)のそれぞれの手続において、配当又は弁済金の交付を受けることができない。

企業価値担保権は、物権とする。

第一節 総則
第八条 (企業価値担保権信託契約)

企業価値担保権を設定しようとする場合には、企業価値担保権信託契約に従わなければならない。

企業価値担保権信託契約は、次に掲げる事項をその内容とするものでなければ、その効力を生じない。 一信託の目的が、企業価値担保権信託会社が次に掲げる行為をするものであること。イ企業価値担保権の管理及び処分をすること。ロ特定被担保債権者のために、企業価値担保権の実行手続において、配当可能額(第百六十六条第二項に規定する配当可能額をいう。ハにおいて同じ。)からハに規定する不特定被担保債権留保額を控除した額を限度として金銭の配当を受け、当該金銭の管理及び処分をすること。ハ不特定被担保債権者のために、配当可能額に応じ、債務者について行われ、又は行われるべき清算手続又は破産手続の公正な実施に要すると見込まれる額として政令で定めるところにより算定した額(第七十条第四項に規定する裁判所が当該清算手続又は破産手続の公正な実施に特に必要と認める場合にあっては、当該政令で定めるところにより算定した額に当該裁判所が定める額を加えた額)(第六十二条第一項及び第五節において「不特定被担保債権留保額」という。)の金銭の配当を受け、当該金銭の管理及び処分をすること。 二特定被担保債権及び不特定被担保債権を担保するために企業価値担保権信託会社を企業価値担保権者として企業価値担保権を設定すること。 三特定被担保債権の範囲を定めていること。 四特定被担保債権を有し、又は有すべき者を受益者として指定すること。この場合において、当該者による受益権の取得は、次のイ又はロに掲げる者の区分に応じ、当該イ又はロに定める時に、その効力を生ずること。イ特定被担保債権(第六条第四項第一号から第三号までに掲げる財産上の請求権に限る。)を有し、又は有すべき者企業価値担保権信託会社に対して当該受益権の取得について承諾をした時(当該特定被担保債権を有している場合に限る。)ロイに掲げる者以外の者企業価値担保権信託会社に対して当該受益権の取得について承諾をした時 五不特定被担保債権を有する者を受益者とすること。 六企業価値担保権が消滅する前に企業価値担保権信託契約に係る信託が終了した場合の信託法(平成十八年法律第百八号)第百八十二条第一項第二号に規定する帰属権利者を債務者とすること。 七その他内閣府令・法務省令で定める事項

第二節 企業価値担保権
第九条 (企業価値担保権の極度額)

企業価値担保権は、特定被担保債権を、次項の規定により定める極度額の限度において担保するためにも設定することができる。

債務者は、いつでも、企業価値担保権者に対する請求により、企業価値担保権の極度額をその指定する金額に定めることができる。この場合において、企業価値担保権の極度額は、その請求の時に定まるものとする。

前項の請求は、書面でしなければ、その効力を生じない。

第二項の請求がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)によってされたときは、その請求は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。

第二項の極度額は、次に掲げる額の合計額を下回ることができない。 一現に存する特定被担保債権に係る債務の額と以後二年間に生ずべき利息その他の定期金(次号に規定する手数料を除く。)及び当該債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額 二一定の期間及び金額の範囲内において、債務者の意思表示により当事者間において債務者を借主として金銭を目的とする消費貸借その他の債務者が対価を得て特定被担保債権に係る債務を負担することをその内容とする契約を成立させることができる権利を特定被担保債権者が債務者に付与し、債務者がこれに対して手数料を支払うことを約する契約が締結されている場合において、当該契約により生じさせることのできる債務の上限額と以後二年間に生ずべき当該手数料とを加えた額から当該契約により生じた現に存する債務の額を控除した額

企業価値担保権者は、第二項の請求を受けたときは、全ての特定被担保債権者に対し、遅滞なくその旨を通知しなければならない。

企業価値担保権の極度額の変更又は廃止は、利害関係を有する者の承諾を得なければ、することができない。

第二節 企業価値担保権
第十条 (企業価値担保権の設定に係る手続)

次の各号に掲げる債務者は、企業価値担保権の設定をするには、当該各号に定める決定又は決議によらなければならない。ただし、第一号又は第五号に掲げる債務者の定款に別段の定めがあるときは、その定めによる。 一株式会社(取締役会設置会社(会社法第二条第七号に規定する取締役会設置会社をいう。次号において同じ。)を除く。)取締役の決定(取締役が二人以上ある場合(企業価値担保権の設定についての決定を各取締役に委任した場合を除く。)にあっては、その過半数による決定)又は株主総会の決議 二取締役会設置会社(監査等委員会設置会社(会社法第二条第十一号の二に規定する監査等委員会設置会社をいう。次号及び第三十四条第一項第三号において同じ。)及び指名委員会等設置会社(同法第二条第十二号に規定する指名委員会等設置会社をいう。第四号及び同項第三号において同じ。)を除く。)取締役会(企業価値担保権の設定を株主総会の決議によって定めることができる旨の定款の定めがある場合にあっては、株主総会)の決議 三監査等委員会設置会社取締役会(企業価値担保権の設定を株主総会の決議によって定めることができる旨の定款の定めがある場合にあっては、株主総会)の決議又は取締役(会社法第三百九十九条の十三第五項に規定する場合又は同条第六項の規定による定款の定めがある場合において、取締役会の決議によって、企業価値担保権の設定についての決定の委任を受けた者に限る。)の決定 四指名委員会等設置会社取締役会(企業価値担保権の設定を株主総会の決議によって定めることができる旨の定款の定めがある場合にあっては、株主総会)の決議又は執行役(取締役会の決議によって、企業価値担保権の設定についての決定の委任を受けた者に限る。)の決定 五持分会社(会社法第五百七十五条第一項に規定する持分会社をいう。第三十四条第一項第三号において同じ。)社員の決定(社員が二人以上ある場合にあっては、社員(業務を執行する社員を定款で定めた場合にあっては、その社員)の過半数による決定)

第二節 企業価値担保権
第十一条 (重複担保権の実行の禁止)

特定被担保債権者(特定被担保債権者に代位する者を含む。)は、重複担保権(債務者の財産を目的として特定被担保債権を担保する質権、抵当権その他の担保権(企業価値担保権を除く。次条第一項第二号及び第三号ハにおいて同じ。)をいう。第五節及び第二百二十九条第二項において同じ。)の実行をすることができない。

第二節 企業価値担保権
第十二条 (個人保証等の制限)

特定被担保債権に係る債務(債務者以外の連帯債務者が負担する連帯債務を含む。以下この項において同じ。)について、次に掲げる契約その他これらに準ずるものとして主務省令で定める契約がある場合には、当該特定被担保債権を有する特定被担保債権者(特定被担保債権者に代位する者を含む。)は、当該契約に係る権利を行使することができない。特定被担保債権者でなくなった後においても、同様とする。 一当該特定被担保債権に係る債務を保証する保証契約であって保証人が法人でないもの 二当該特定被担保債権に係る債務を担保する質権、抵当権その他の担保権の設定に係る契約であって、当該担保権の設定者が法人でなく、かつ、当該設定者の所有に属する財産であって当該設定者が当該契約の締結時において生活の本拠として使用している不動産その他これに類する生活の用に供する資産で主務省令で定めるものを目的とするもの 三当該特定被担保債権に係る債務を保証する保証契約であって保証人が法人であるもの(次に掲げる場合におけるものに限る。)イ数人の保証人がある場合において、そのうちの一人又は数人の保証人が法人でないとき。ロ当該保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務(主たる債務者以外の連帯債務者が負担する連帯債務を含む。ハにおいて同じ。)を主たる債務とし、保証人を法人でないものとする保証契約が締結されている場合ハ当該保証契約の保証人の主たる債務者に対する求償権に係る債務を担保する質権、抵当権その他の担保権の設定に係る契約であって、当該担保権の設定者が法人でなく、かつ、当該設定者の所有に属する財産であって当該設定者が当該契約の締結時において生活の本拠として使用している不動産その他前号の主務省令で定めるものを目的とするものが締結されている場合

特定被担保債権に係る債務が連帯債務である場合において、債務者以外の連帯債務者の一人又は数人が法人でないときその他これに準ずるものとして主務省令で定めるときは、当該特定被担保債権を有する特定被担保債権者(特定被担保債権者に代位する者を含む。)は、債務者以外の連帯債務者が負担する連帯債務に係る債権を行使することができない。特定被担保債権者でなくなった後においても、同様とする。

前項に規定する場合において、債務者は、法人でない他の連帯債務者に対して求償権を行使することができない。債務者でなくなった後においても、同様とする。

第一項及び第二項の規定は、個人保証契約等(第一項各号に掲げる契約その他同項に規定する主務省令で定める契約又は第二項に規定する債務者以外の連帯債務者が負担する連帯債務に係る契約をいう。)において、債務者が特定被担保債権者に対して事業及び財産の状況を報告する義務を約したときにこれに違反して虚偽の報告をしたことが停止条件とされていることその他の主務省令で定める要件を満たす場合には、適用しない。

第二節 企業価値担保権
第十三条 (物上保証の禁止)

企業価値担保権は、他人の債務を担保するために設定することができない。

特定被担保債権に係る債務の引受けがあったときは、企業価値担保権者は、引受人の債務について、その企業価値担保権を行使することができない。

特定被担保債権に係る免責的債務引受があった場合における当該特定被担保債権を有する債権者は、民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百七十二条の四第一項の規定にかかわらず、企業価値担保権を引受人が負担する債務に移すことができない。

特定被担保債権に係る債務について債務者の交替による更改があった場合における当該特定被担保債権を有する債権者は、企業価値担保権を更改後の債務に移すことができない。

第二節 企業価値担保権
第十四条 (企業価値担保権の不可分性)

企業価値担保権者は、特定被担保債権の全部の弁済を受けるまでは、担保目的財産の全部についてその権利を行使することができる。

第二節 企業価値担保権
第十五条 (登記)

企業価値担保権の得喪及び変更は、債務者の本店の所在地において、商業登記簿にその登記をしなければ、その効力を生じない。ただし、一般承継、混同又は特定被担保債権の消滅による得喪及び変更については、この限りでない。

第二節 企業価値担保権
第十六条 (順位)

数個の企業価値担保権相互の順位は、その登記の前後による。

第二節 企業価値担保権
第十七条 (企業価値担保権の順位の変更)

企業価値担保権の順位は、各企業価値担保権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。

企業価値担保権者が前項の合意をするには、その企業価値担保権信託契約に係る全ての特定被担保債権者の同意を得なければならない。ただし、企業価値担保権信託契約に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

第一項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。

第二節 企業価値担保権
第十八条 (他の権利との関係)

債務者の財産の上に存する先取特権(民法第三百二十五条に規定する先取特権(同条第三号に係るものに限る。)に限る。)、質権又は抵当権(以下この款において「他の担保権」という。)と企業価値担保権とが競合する場合には、それらの優先権の順位は、他の担保権に係る登記、登録その他の対抗要件の具備と企業価値担保権に係る登記の前後による。

一般の先取特権又は企業担保権と企業価値担保権とが競合する場合には、企業価値担保権は、一般の先取特権又は企業担保権に優先する。

特別の先取特権(民法第三百二十五条に規定する先取特権を除く。)と企業価値担保権とが競合する場合には、企業価値担保権者は、同法第三百三十条第一項の規定による第一順位の先取特権と同一の権利を有する。

民法第三百三十七条又は第三百三十八条第一項の規定に従って登記をした同法第三百二十五条に規定する先取特権(同条第一号又は第二号に係るものに限る。)は、企業価値担保権に先立って行使することができる。

第一項の規定にかかわらず、債務者が他の担保権の目的である財産を取得した場合における当該他の担保権は、企業価値担保権に先立って行使することができる。

第二節 企業価値担保権
第十九条 (強制執行等への異議)

企業価値担保権者は、担保目的財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、担保権の実行若しくは競売又は企業担保権の実行(以下この項において「強制執行等」という。)に対しては、強制執行等が債務者の事業の継続に支障を来す場合には、異議を主張することができる。

民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第三十八条及び民事保全法(平成元年法律第九十一号)第四十五条の規定は、前項の場合について準用する。この場合において、民事執行法第三十八条第一項中「その強制執行」とあるのは「その強制執行等(事業性融資の推進等に関する法律第十九条第一項に規定する強制執行等をいう。次項において同じ。)」と、同条第二項中「強制執行」とあるのは「強制執行等」と、同条第三項中「執行裁判所」とあるのは「執行裁判所(仮差押え又は仮処分に対するものにあっては保全執行裁判所、企業担保権の実行に対するものにあっては企業担保法(昭和三十三年法律第百六号)第十条に規定する地方裁判所)」と読み替えるものとする。

第二節 企業価値担保権
第二十条 (債務者による使用、収益及び処分)

債務者は、企業価値担保権を設定した後も、担保目的財産の使用、収益及び処分をすることができる。

前項の規定にかかわらず、債務者は、次に掲げる行為その他の定款で定められた目的及び取引上の社会通念に照らして通常の事業活動の範囲を超える担保目的財産の使用、収益及び処分をするには、当該使用、収益及び処分の対象となる財産について全ての企業価値担保権者の同意を得なければならない。 一重要な財産の処分 二事業の全部又は重要な一部の譲渡 三正当な理由がないのに、商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で供給すること。

前項の規定に違反して行った債務者の行為は、無効とする。ただし、これをもって善意でかつ重大な過失がない第三者に対抗することができない。

第二節 企業価値担保権
第二十一条 (企業価値担保権の被担保債権の範囲)

企業価値担保権者は、次に掲げるものについて、その企業価値担保権を行使することができる。 一特定被担保債権に係る確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部(第九条第二項の規定により極度額が定められた場合には、その極度額を限度とする。) 二不特定被担保債権

債務者との取引によらないで取得する手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権を特定被担保債権とした場合において、次に掲げる事由があったときは、その前に取得したものについてのみ、その企業価値担保権を行使することができる。ただし、その後に取得したものであっても、その事由を知らないで取得したものについては、これを行使することを妨げない。 一債務者の支払の停止 二債務者についての破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始又は特別清算開始の申立て 三他の企業価値担保権の実行手続開始の申立て

第二節 企業価値担保権
第二十二条 (特定被担保債権の範囲の変更)

元本の確定前においては、第六十条の規定により、特定被担保債権の範囲の変更をすることができる。この場合においては、後順位の企業価値担保権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない。

第二節 企業価値担保権
第二十三条 (企業価値担保権の承継の制限)

企業価値担保権の承継は、受託者としての権利義務の承継とともにしなければならない。

第二節 企業価値担保権
第二十四条 (相続)

元本の確定前に特定被担保債権者について相続が開始したときは、企業価値担保権は、相続開始の時に存する特定被担保債権のほか、相続人と債務者との合意により定めた相続人が相続の開始後に取得する特定被担保債権を担保する。この場合において、債務者は、当該合意により定めた相続人と共同して、企業価値担保権者に対し、当該合意後遅滞なくその内容を通知しなければならない。

第二十二条後段の規定は、前項の合意をする場合について準用する。

相続の開始後六月以内に第一項の合意をしないときは、担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなす。

第二節 企業価値担保権
第二十五条 (合併)

元本の確定前に特定被担保債権者について合併があったときは、企業価値担保権は、合併の時に存する特定被担保債権のほか、合併後存続する法人又は合併によって設立された法人が合併後に取得する特定被担保債権を担保する。

元本の確定前に債務者について合併があったときは、企業価値担保権は、合併の時に存する特定被担保債権に係る債務のほか、合併後存続する会社又は合併によって設立された会社が合併後に負担する特定被担保債権に係る債務を担保する。

合併により消滅する債務者の総財産を目的とする企業価値担保権は、合併後存続する会社又は合併により設立される会社の総財産につき、効力を有する。

前項の場合において、合併の効力が生じた時に合併後存続する会社又は合併により設立される会社の財産に設定されている他の担保権は、同項に規定する企業価値担保権(合併により消滅する債務者の財産に当該他の担保権が設定されていた場合における当該債務者の総財産を目的とする企業価値担保権を除く。)に先立って行使することができる。

合併をする債務者の双方の総財産が企業価値担保権の目的となっている場合は、企業価値担保権等(これらの債務者に係る全ての企業価値担保権及び他の担保権(合併により消滅する会社又は合併後存続する会社の財産に設定されている他の担保権であって、当該合併により消滅する会社又は合併後存続する会社の総財産を目的とする全ての企業価値担保権に優先するものを除く。)をいう。)の合併後の順位に関し、当該企業価値担保権等を有する全ての者の間に協定がなければ、合併をすることができない。

債務者の合併の無効の訴えは、企業価値担保権者も、提起することができる。

第二節 企業価値担保権
第二十六条 (会社分割)

元本の確定前に特定被担保債権者を分割をする会社とする分割があったときは、企業価値担保権は、分割の時に存する特定被担保債権のほか、分割をした会社及び分割により設立された会社又は当該分割をした会社がその事業に関して有する権利義務の全部若しくは一部を当該会社から承継した会社が分割後に取得する特定被担保債権を担保する。

債務者は、企業価値担保権が担保する特定被担保債権に係る債務を分割により承継させることができない。

債務者の分割の無効の訴えは、企業価値担保権者も、提起することができる。

第二節 企業価値担保権
第二十七条 (元本確定期日等の定め)

特定被担保債権の元本については、企業価値担保権信託契約において、その確定すべき期日又は事由を定めることができる。

前項の期日又は事由は、第六十条の規定により、変更することができる。この場合においては、後順位の企業価値担保権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない。

第二節 企業価値担保権
第二十八条 (元本確定請求)

前条第一項の期日又は事由の定めにかかわらず、債務者は、いつでも、特定被担保債権の元本の確定を請求することができる。この場合において、当該元本は、その請求の時から一週間を経過することによって確定する。

前条第一項の期日又は事由の定めにかかわらず、企業価値担保権者は、全ての特定被担保債権者の指図により、いつでも、特定被担保債権の元本の確定を請求することができる。ただし、企業価値担保権信託契約に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

前項の規定による請求があった場合には、特定被担保債権の元本は、その請求の時に確定する。

第二節 企業価値担保権
第二十九条 (元本の確定事由)

次に掲げる場合には、特定被担保債権の元本は、確定する。 一企業価値担保権者が企業価値担保権の実行を申し立てたとき。ただし、実行手続開始の決定があったときに限る。 二企業価値担保権者が他の企業価値担保権の実行手続開始の決定があったことを知った時から二週間を経過したとき。 三債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。

前項第二号又は第三号の決定の効力が消滅したときは、特定被担保債権の元本は、確定しなかったものとみなす。ただし、元本が確定したものとしてその特定被担保債権を取得した者があるときは、この限りでない。

第二節 企業価値担保権
第三十条 (企業価値担保権の消滅)

元本の確定後において、特定被担保債権の全部が消滅したときは、企業価値担保権も、消滅する。

第二節 企業価値担保権
第三十一条 (企業価値担保権の消滅時効)

企業価値担保権は、債務者に対しては、その担保する特定被担保債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第三十二条 (免許)

企業価値担保権に関する信託業務は、内閣総理大臣の免許を受けた会社でなければ、営むことができない。

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第三十三条 (みなし免許等)

担保付社債信託法(明治三十八年法律第五十二号)第三条の免許を受けた者、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号。以下「兼営法」という。)第一条第一項の認可を受けた金融機関(同項に規定する金融機関をいう。第三十九条第一項第十二号及び第四十条において同じ。)(担保権に関する信託業務を営むものに限る。)又は信託業法第三条若しくは第五十三条第一項の免許を受けた者は、前条の免許を受けたものとみなす。

銀行その他の内閣府令で定める者(前項に規定する者を除く。)は、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に企業価値担保権に関する信託業務を営む旨を届け出たときは、前条の免許を受けたものとみなす。

前二項の規定により前条の免許を受けたものとみなされる者であって会社でない者については、会社とみなして、この節及び第二百六十七条の規定を適用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第三十四条 (免許の申請)

第三十二条の免許を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。 一商号 二資本金の額(当該免許を受けようとする者が合名会社又は合資会社である場合にあっては、出資の総額) 三取締役及び監査役(監査等委員会設置会社にあっては取締役、指名委員会等設置会社にあっては取締役及び執行役、持分会社にあっては業務を執行する社員)の氏名 四会社法第二条第八号に規定する会計参与設置会社にあっては、会計参与の氏名又は名称 五企業価値担保権に関する信託業務以外の業務を営むときは、その業務の種類 六本店その他の営業所の名称及び所在地

前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。 一定款 二会社の登記事項証明書 三貸借対照表 四収支の見込みを記載した書類 五その他内閣府令で定める書類

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第三十五条 (免許の基準)

内閣総理大臣は、第三十二条の免許の申請があった場合においては、当該申請を行う者が次に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。 一定款の規定が法令に適合していること。 二企業価値担保権に関する信託業務を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有していること。 三人的構成に照らして、企業価値担保権に関する信託業務を的確に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有していること。 四他に営む業務がその企業価値担保権に関する信託業務を適正かつ確実に営むことにつき支障を及ぼすおそれがないこと。

内閣総理大臣は、前項の規定による審査の基準に照らし必要があると認めるときは、その必要の限度において、第三十二条の免許に条件を付し、及びこれを変更することができる。

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第三十六条 (資本金等の額)

企業価値担保権信託会社の資本金の額(当該企業価値担保権信託会社が合名会社又は合資会社である場合にあっては、出資の総額)は、千万円を下回ってはならない。

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第三十七条 (出資の払込金額)

企業価値担保権信託会社が合名会社又は合資会社であるときは、出資の払込金額が五百万円に達するまで、企業価値担保権に関する信託業務に着手してはならない。

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第三十八条 (変更の届出)

企業価値担保権信託会社は、第三十四条第一項各号に掲げる事項に変更があったときは、その日から二週間以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第三十九条 (業務の範囲)

企業価値担保権信託会社は、他の法律の規定にかかわらず、企業価値担保権に関する信託業務のほか、次の各号に掲げる法律の規定に基づいて行う当該各号に定める業務その他政令で定める業務を営むことができる。 一銀行法同法第十条及び第十一条に規定する銀行の業務並びに同法第十二条に規定する銀行の業務(同条に規定する担保付社債信託法その他の法律により銀行の営む業務に限る。) 二長期信用銀行法同法第六条に規定する長期信用銀行の業務及び同法第六条の二に規定する長期信用銀行の業務(同条に規定する担保付社債信託法その他の法律により長期信用銀行の営む業務に限る。) 三株式会社商工組合中央金庫法(平成十九年法律第七十四号)同法第二十一条に規定する株式会社商工組合中央金庫の業務 四農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)同法第五十四条に規定する農林中央金庫の業務 五中小企業等協同組合法同法第九条の八に規定する信用協同組合の業務又は同法第九条の九に規定する協同組合連合会の業務 六信用金庫法(昭和二十六年法律第二百三十八号)同法第五十三条に規定する信用金庫の業務又は同法第五十四条に規定する信用金庫連合会の業務 七労働金庫法(昭和二十八年法律第二百二十七号)同法第五十八条の二に規定する労働金庫連合会の業務 八農業協同組合法同法第十条に規定する農業協同組合又は農業協同組合連合会の業務 九水産業協同組合法同法第十一条に規定する漁業協同組合の業務、同法第八十七条に規定する漁業協同組合連合会の業務、同法第九十三条に規定する水産加工業協同組合の業務又は同法第九十七条に規定する水産加工業協同組合連合会の業務 十保険業法同法第九十七条及び第九十八条から第百条までに規定する保険会社の業務又は同法第百九十九条において準用する同法第九十七条、第九十八条、第九十九条第一項、第二項及び第四項から第六項まで並びに第百条に規定する保険業法第二条第七項に規定する外国保険会社等の業務 十一担保付社債信託法同法第五条(各号を除く。)に規定する同法第一条に規定する信託会社の業務 十二兼営法兼営法第一条第一項に規定する信託業務を営む金融機関の業務 十三信託業法同法第二十一条第一項及び第二項(これらの規定を同法第六十三条第二項において準用する場合を含む。)に規定する信託会社又は外国信託会社(同法第二条第六項に規定する外国信託会社をいう。次条において同じ。)の業務

企業価値担保権信託会社(前項各号に定める業務又は同項に規定する政令で定める業務を営む企業価値担保権信託会社を除く。次項及び第四項において同じ。)は、前項の規定により営む業務のほか、内閣総理大臣の承認を受けて、その企業価値担保権に関する信託業務を適正かつ確実に営むことにつき支障を及ぼすおそれがない業務を営むことができる。

企業価値担保権信託会社は、前項の承認を受けようとするときは、営む業務の内容及び方法並びに当該業務を営む理由を記載した書類を添付して、申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。

企業価値担保権信託会社は、第二項の規定により営む業務の内容又は方法を変更しようとするときは、内閣総理大臣の承認を受けなければならない。

企業価値担保権信託会社は、企業価値担保権に関する信託業務、第一項各号に定める業務及び同項に規定する政令で定める業務並びに第二項の規定による承認を受けて営む業務(次項の規定により第二項の承認を受けたものとみなされる業務を含む。第四十四条第五項において同じ。)のほか、他の業務を営むことができない。

第三十二条の免許の申請書に申請者が第一項の規定により営む業務以外の業務を営む旨の記載がある場合において、当該申請者が当該免許を受けたときには、当該業務を営むことにつき第二項の承認を受けたものとみなす。

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第四十条 (信託業法の準用等)

信託業法第十五条、第二十二条から第二十四条まで、第二十五条、第二十六条、第二十八条第三項、第二十九条及び第二十九条の三の規定は、企業価値担保権信託会社(兼営法第一条第一項の認可を受けた金融機関並びに信託会社及び外国信託会社を除く。)が企業価値担保権に関する信託業務を営む場合について準用する。この場合において、信託業法第二十二条第二項中「第二十八条」とあるのは「第二十八条第三項」と、「規定並びにこれらの規定に係る第七章の規定」とあるのは「規定」と、「、これらの規定」とあるのは「、第二十八条第三項」と、「、「信託会社(当該信託会社」とあるのは「「企業価値担保権信託会社(事業性融資の推進等に関する法律第四十条第一項に規定する企業価値担保権信託会社をいい、当該企業価値担保権信託会社」と、「含む」とあるのは「含む。次条第一項及び第二項において同じ」と、「する」とあるのは「、第二十九条第一項及び第二項中「信託会社」とあるのは「企業価値担保権信託会社」とする」と、同法第二十三条の二第一項第一号中「指定紛争解決機関が」とあるのは「指定紛争解決機関(事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第一項第八号に規定する指定紛争解決機関をいう。以下この条において同じ。)が」と、「手続実施基本契約」とあるのは「手続実施基本契約(同号に規定する手続実施基本契約をいう。次項において同じ。)」と、同項第二号中「手続対象信託業務」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第四項に規定する特定信託業務」と、同条第三項第一号中「紛争解決等業務」とあるのは「紛争解決等業務(事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第一項に規定する紛争解決等業務をいう。次号において同じ。)」と、「同号」とあるのは「第一項第二号」と、同項第二号及び第三号中「第八十五条の二第一項」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第一項」と、同法第二十四条第一項中「行為(次条に規定する特定信託契約による信託の引受けにあっては、第五号に掲げる行為を除く。)」とあるのは「行為」と、同条第二項中「信託契約」とあるのは「企業価値担保権信託契約(事業性融資の推進等に関する法律第六条第三項に規定する企業価値担保権信託契約をいう。第二十五条及び第二十六条第一項において同じ。)」と、同法第二十五条中「、信託契約」とあるのは「、企業価値担保権信託契約」と、「事項(特定信託契約による信託の引受けを行うときは、同号に掲げる事項を除く。)」とあるのは「事項」と、同条ただし書中「の保護に支障を生ずることがない場合として内閣府令で定める場合」とあるのは「との間で同一の内容の企業価値担保権信託契約を締結したことがある場合において、当該事項について説明を要しない旨の当該委託者の意思の表明があったとき」と、同法第二十六条第一項中「信託契約」とあるのは「企業価値担保権信託契約」と、同項ただし書中「当該情報を委託者に提供しなくても委託者の保護に支障を生ずることがない場合として内閣府令で定める場合」とあるのは「前条ただし書に規定する場合において、当該事項に係る情報の提供を要しない旨の当該委託者の意思の表明があったとき」と、同項第六号中「事項(第二条第三項各号のいずれにも該当しない信託にあっては、信託財産の管理又は処分の方針を含む。)」とあるのは「事項」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

兼営法第一条第一項の認可を受けた金融機関並びに信託会社及び外国信託会社が企業価値担保権信託契約による信託の引受けを行おうとする場合における信託業法第二十五条(兼営法第二条第一項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、信託業法第二十五条ただし書中「の保護に支障を生ずることがない場合として内閣府令で定める場合」とあるのは、「との間で同一の内容の信託契約を締結したことがある場合において、当該事項について説明を要しない旨の当該委託者の意思の表明があったとき」とし、これらの者が企業価値担保権信託契約による信託の引受けを行った場合における同法第二十六条第一項(兼営法第二条第一項において準用する場合を含む。)の規定の適用については、信託業法第二十六条第一項ただし書中「当該情報を委託者に提供しなくても委託者の保護に支障を生ずることがない場合として内閣府令で定める場合」とあるのは、「前条ただし書に規定する場合において、当該事項に係る情報の提供を要しない旨の当該委託者の意思の表明があったとき」とする。

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第四十一条

企業価値担保権信託会社は、内閣府令で定めるところにより、企業価値担保権に関する信託業務に係る報告書を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならない。

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第四十二条 (企業価値担保権信託会社の監督)

企業価値担保権信託会社が営む企業価値担保権に関する信託業務は、内閣総理大臣の監督に属する。

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第四十三条 (権利義務の承継)

合併後存続する企業価値担保権信託会社又は合併により設立する企業価値担保権信託会社は、合併により消滅する企業価値担保権信託会社の業務に関し、当該企業価値担保権信託会社が内閣総理大臣による免許その他の処分(この法律の規定に基づく処分に限る。)に基づいて有していた権利義務を承継する。

前項の規定は、会社分割により企業価値担保権に関する信託業務の全部の承継をする企業価値担保権信託会社について準用する。

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第四十四条 (届出等)

企業価値担保権信託会社は、次の各号のいずれかに該当することとなったときは、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 一破産手続開始、再生手続開始又は更生手続開始の申立てを行ったとき。 二合併(当該企業価値担保権信託会社が合併により消滅した場合を除く。)をし、会社分割により企業価値担保権に関する信託業務の一部の承継をさせ、又は企業価値担保権に関する信託業務の一部の譲渡をしたとき。 三その他内閣府令で定める場合に該当するとき。

企業価値担保権信託会社が次の各号のいずれかに該当することとなったときは、当該各号に定める者は、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。 一企業価値担保権に関する信託業務を廃止したとき(会社分割により企業価値担保権に関する信託業務の全部の承継をさせたとき、及び企業価値担保権に関する信託業務の全部の譲渡をしたときを含む。)その会社 二合併により消滅したときその会社を代表する取締役若しくは執行役若しくは監査役又は業務を執行する社員であった者 三破産手続開始の決定により解散したときその破産管財人 四合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散したときその清算人

企業価値担保権信託会社は、企業価値担保権に関する信託業務の廃止をし、合併(当該企業価値担保権信託会社が合併により消滅するものに限る。)をし、合併及び破産手続開始の決定以外の理由による解散をし、会社分割による企業価値担保権に関する信託業務の全部若しくは一部の承継をさせ、又は企業価値担保権に関する信託業務の全部若しくは一部の譲渡をしようとするときは、その日の三十日前までに、内閣府令で定めるところにより、その旨を公告するとともに、全ての営業所の公衆の目につきやすい場所に掲示しなければならない。

企業価値担保権信託会社は、前項の公告をしたときは、直ちに、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

会社法第九百四十条第一項(第一号に係る部分に限る。)及び第三項の規定は、企業価値担保権信託会社(保険会社(保険業法第二条第五項に規定する相互会社を除く。)若しくは株式会社商工組合中央金庫である企業価値担保権信託会社又は企業価値担保権に関する信託業務(第三十九条第二項の規定による承認を受けて営む業務を含む。)を専ら営む企業価値担保権信託会社(以下この款において「企業価値担保権専業信託会社」という。)に限る。)が会社法第二条第三十四号に規定する電子公告により第三項の規定による公告をする場合について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第四十五条 (立入検査等)

内閣総理大臣は、企業価値担保権信託会社の信託業務の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該企業価値担保権信託会社に対し当該企業価値担保権信託会社の業務若しくは財産に関し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員に当該企業価値担保権信託会社の営業所その他の施設に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況に関し質問させ、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第四十六条 (業務の停止等)

内閣総理大臣は、企業価値担保権信託会社の業務又は財産の状況に照らして、当該企業価値担保権信託会社の信託業務の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該企業価値担保権信託会社に対し、その必要の限度において、期限を付して当該企業価値担保権信託会社の業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又は業務執行の方法の変更その他監督上必要な措置を命ずることができる。

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第四十七条 (免許の取消し等)

内閣総理大臣は、企業価値担保権信託会社が法令、定款若しくは法令に基づく内閣総理大臣の処分に違反したとき、又は公益を害する行為をしたときは、当該企業価値担保権信託会社に対し、その業務の全部若しくは一部の停止若しくは取締役若しくは執行役若しくは監査役若しくは業務を執行する社員の解任を命じ、又は第三十二条の免許を取り消すことができる。

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第四十八条 (免許の失効)

企業価値担保権信託会社が第四十四条第二項各号のいずれかに該当することとなったときは、当該企業価値担保権信託会社の第三十二条の免許は、その効力を失う。

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第四十九条 (監督処分の公告)

内閣総理大臣は、第四十六条若しくは第四十七条の規定により業務の全部若しくは一部の停止を命じたとき、又は同条の規定により第三十二条の免許を取り消したときは、その旨を公告しなければならない。

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第五十条 (免許の取消しによる解散)

企業価値担保権専業信託会社は、第四十七条の規定による免許の取消しによって解散する。

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第五十一条 (清算人の選任)

企業価値担保権専業信託会社が前条の規定により解散したときは、内閣総理大臣は、利害関係人の申立てにより又は職権で、清算人を選任する。

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第五十二条 (清算人の任免)

企業価値担保権専業信託会社に係る会社法第四百七十八条第二項から第四項まで、第四百七十九条第二項、第六百四十七条第二項から第四項まで又は第六百四十八条第三項に規定する清算人の選任又は解任は、内閣総理大臣が行う。

会社法第四百七十九条第二項の規定による申立ては、債務者又は受益者も行うことができる。

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第五十三条 (清算の監督)

企業価値担保権専業信託会社の清算は、内閣総理大臣の監督に属する。

内閣総理大臣は、前項の監督上必要があると認めるときは、当該職員に当該企業価値担保権専業信託会社の営業所その他の施設に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

第四十五条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第五十四条 (清算手続等における内閣総理大臣の意見等)

裁判所は、企業価値担保権信託会社の清算手続、破産手続、再生手続、更生手続又は承認援助手続において、内閣総理大臣に対し、意見を求め、又は検査若しくは調査を依頼することができる。

内閣総理大臣は、前項に規定する手続において、必要があると認めるときは、裁判所に対し、意見を述べることができる。

第四十五条の規定は、第一項の規定により内閣総理大臣が裁判所から検査又は調査の依頼を受けた場合について準用する。

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第五十五条 (紛争解決等業務を行う者の指定)

内閣総理大臣は、次に掲げる要件を備える者を、その申請により、紛争解決等業務(苦情処理手続(特定信託業務関連苦情を処理する手続をいう。)及び紛争解決手続(特定信託業務関連紛争について訴訟手続によらずに解決を図る手続をいう。第三項において同じ。)の業務並びにこれに付随する業務をいう。以下この款及び第七章において同じ。)を行う者として、指定することができる。 一法人(人格のない社団又は財団で代表者又は管理人の定めのあるものを含み、外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体を除く。第四号ニにおいて同じ。)であること。 二第五十七条において準用する信託業法第八十五条の二十四第一項の規定によりこの項の規定による指定を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者又は他の法律の規定による指定であって紛争解決等業務に相当する業務に係るものとして政令で定めるものを取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者でないこと。 三この法律若しくは弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者でないこと。 四役員のうちに、次のいずれかに該当する者がないこと。イ心身の故障のため紛争解決等業務に係る職務を適正に執行することができない者として内閣府令で定める者ロ破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者ハ拘禁刑以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者ニ第五十七条において準用する信託業法第八十五条の二十四第一項の規定によりこの項の規定による指定を取り消された場合若しくはこの法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている当該指定に類する行政処分を取り消された場合において、その取消しの日前一月以内にその法人の役員(外国の法令上これと同様に取り扱われている者を含む。ニにおいて同じ。)であった者でその取消しの日から五年を経過しない者又は他の法律の規定による指定であって紛争解決等業務に相当する業務に係るものとして政令で定めるもの若しくは当該他の法律に相当する外国の法令の規定により当該外国において受けている当該政令で定める指定に類する行政処分を取り消された場合において、その取消しの日前一月以内にその法人の役員であった者でその取消しの日から五年を経過しない者ホこの法律若しくは弁護士法又はこれらに相当する外国の法令の規定に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む。)に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者 五紛争解決等業務を的確に実施するに足りる経理的及び技術的な基礎を有すること。 六役員又は職員の構成が紛争解決等業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。 七紛争解決等業務の実施に関する規程(以下この款において「業務規程」という。)が法令に適合し、かつ、この法律の定めるところにより紛争解決等業務を公正かつ的確に実施するために十分であると認められること。 八次項の規定により意見を聴取した結果、手続実施基本契約(紛争解決等業務の実施に関し指定紛争解決機関(この項の規定により指定を受けた者をいう。以下この款及び第七章において同じ。)と企業価値担保権信託会社との間で締結される契約をいう。以下この号及び次条において同じ。)の解除に関する事項その他の手続実施基本契約の内容(第五十七条において準用する信託業法第八十五条の七第二項各号に掲げる事項を除く。)その他の業務規程の内容(同条第三項の規定によりその内容とするものでなければならないこととされる事項並びに同条第四項各号及び第五項第一号に掲げる基準に適合するために必要な事項を除く。)について異議(合理的な理由が付されたものに限る。)を述べた企業価値担保権信託会社の数の企業価値担保権信託会社の総数に占める割合が政令で定める割合以下の割合となったこと。

前項の申請をしようとする者は、あらかじめ、内閣府令で定めるところにより、企業価値担保権信託会社に対し、業務規程の内容を説明し、これについて異議がないかどうかの意見(異議がある場合には、その理由を含む。)を聴取し、及びその結果を記載した書類を作成しなければならない。

内閣総理大臣は、第一項の規定による指定をしようとするときは、同項第五号から第七号までに掲げる要件(紛争解決手続の業務に係る部分に限り、同号に掲げる要件にあっては、第五十七条において準用する信託業法第八十五条の七第四項各号及び第五項各号に掲げる基準に係るものに限る。)に該当していることについて、あらかじめ、法務大臣に協議しなければならない。

第一項に規定する「特定信託業務関連苦情」とは、特定信託業務(企業価値担保権信託会社が営む企業価値担保権に関する信託業務をいう。以下この項において同じ。)に関する苦情をいい、「特定信託業務関連紛争」とは、特定信託業務に関する紛争で当事者が和解をすることができるものをいう。

内閣総理大臣は、第一項の規定による指定をしたときは、指定紛争解決機関の商号又は名称及び主たる営業所又は事務所の所在地並びに当該指定をした日を公告しなければならない。

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第五十六条 (業務規程)

指定紛争解決機関は、次に掲げる事項に関する業務規程を定めなければならない。 一手続実施基本契約の内容に関する事項 二手続実施基本契約の締結に関する事項 三紛争解決等業務の実施に関する事項 四紛争解決等業務に要する費用について加入企業価値担保権信託会社(手続実施基本契約を締結した相手方である企業価値担保権信託会社をいう。次号において同じ。)が負担する負担金に関する事項 五当事者である加入企業価値担保権信託会社又はその顧客から紛争解決等業務の実施に関する料金を徴収する場合にあっては、当該料金に関する事項 六他の指定紛争解決機関その他相談、苦情の処理又は紛争の解決を実施する国の機関、地方公共団体、民間事業者その他の者との連携に関する事項 七紛争解決等業務に関する苦情の処理に関する事項 八前各号に掲げるもののほか、紛争解決等業務の実施に必要な事項として内閣府令で定めるもの

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第五十七条 (信託業法の準用)

信託業法第五章の二(第八十五条の二及び第八十五条の七第一項を除く。)の規定は、指定紛争解決機関について準用する。この場合において、同法第八十五条の三第一項中「前条第一項」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第一項」と、同条第二項第一号中「前条第一項第三号」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第一項第三号」と、同項第六号中「前条第二項」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第二項」と、同法第八十五条の五第一項中「この法律」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律」と、同法第八十五条の六中「他の法律」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律以外の法律」と、同法第八十五条の七第二項中「前項第一号」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十六条第一号」と、同条第三項中「第一項第二号」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十六条第二号」と、同条第四項中「第一項第三号」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十六条第三号」と、同条第五項中「第一項第四号及び」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十六条第四号及び」と、同項第一号中「第一項第四号」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十六条第四号」と、「同項第五号」とあるのは「同条第五号」と、同法第八十五条の十四第二項中「第八十五条の二第一項」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第一項」と、同法第八十五条の二十二第二項第一号中「第八十五条の二第一項第五号から第七号までに掲げる要件(」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第一項第五号から第七号までに掲げる要件(」と、「又は第八十五条の二第一項第五号」とあるのは「又は同法第五十五条第一項第五号」と、同法第八十五条の二十三第三項中「他の法律」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律以外の法律」と、同法第八十五条の二十四第一項中「、第八十五条の二第一項」とあるのは「、事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第一項」と、同項第一号中「第八十五条の二第一項第二号」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第一項第二号」と、同項第二号中「第八十五条の二第一項」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第一項」と、同条第二項第一号中「第八十五条の二第一項第五号」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第一項第五号」と、「第八十五条の二第一項の」とあるのは「同法第五十五条第一項の」と、同条第三項及び第四項中「第八十五条の二第一項」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第五十五条第一項」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第五十八条 (財務大臣への資料提出等)

財務大臣は、その所掌に係る金融破綻処理制度及び金融危機管理に関し、企業価値担保権に関する信託業務に係る制度の企画又は立案をするため必要と認めるときは、内閣総理大臣に対し、必要な資料の提出及び説明を求めることができる。

財務大臣は、その所掌に係る金融破綻処理制度及び金融危機管理に関し、企業価値担保権に関する信託業務に係る制度の企画又は立案をするため特に必要と認めるときは、その必要の限度において、企業価値担保権信託会社に対し、資料の提出、説明その他の協力を求めることができる。

第三節 企業価値担保権に関する信託業務
第五十九条 (内閣府令への委任)

この節に定めるもののほか、この節の規定による免許、承認及び指定に関する申請の手続、書類の提出の手続、記載事項及び保存期間その他この節の規定を実施するため必要な事項は、内閣府令で定める。

第四節 企業価値担保権信託契約等
第六十条 (特定被担保債権の範囲の変更等の方法)

特定被担保債権の範囲の変更又は元本の確定すべき期日若しくは事由の変更は、受託会社(企業価値担保権信託契約に基づく信託の受託者である企業価値担保権信託会社をいう。以下この節において同じ。)、債務者及び特定被担保債権者の合意による信託の変更によらなければならない。

第四節 企業価値担保権信託契約等
第六十一条 (企業価値担保権の実行等の義務)

特定被担保債権が期限が到来しても弁済されず、又は債務者が特定被担保債権の弁済を完了せずに解散(合併によるものを除く。)をしたときは、受託会社は、全ての特定被担保債権者の指図により、企業価値担保権の実行その他の必要な措置をとらなければならない。ただし、企業価値担保権信託契約に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

第四節 企業価値担保権信託契約等
第六十二条 (配当を受けた受託会社の義務等)

受託会社は、企業価値担保権の実行により、配当を受けた場合には、次に掲げる行為をする義務を負う。 一特定被担保債権者に対し、遅滞なく、その有する特定被担保債権の額又は給付可能額から不特定被担保債権留保額を控除した額のいずれか低い額を上限として企業価値担保権信託契約で定める額に相当する金銭を給付すること。 二債務者について清算手続若しくは破産手続が開始され、第四号の規定による金銭の給付をするまで又は第三項の規定により信託が終了するまでの間、不特定被担保債権者のために、当該金銭の給付をするために必要な財産を管理すること。 三債務者が特別清算開始又は破産手続開始の申立てをする場合において、債務者のために、前号に規定する財産から、民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の規定に従い当該申立ての手数料を納付し、会社法第八百八十八条第三項又は破産法(平成十六年法律第七十五号)第二十二条第一項の規定により特別清算の手続又は破産手続の費用として裁判所の定める金額を予納すること。 四債務者について清算手続又は破産手続が開始されたときは、遅滞なく(当該清算手続又は破産手続が開始された後に当該配当を受けたときは、当該配当を受けた後遅滞なく)、当該清算手続又は破産手続における、弁済又は配当の順位に従って、不特定被担保債権者に不特定被担保債権留保額に相当する金銭(前号に規定する金額を予納した場合は、不特定被担保債権留保額から当該金額を控除した額に相当する金銭)を給付するために、清算人又は破産管財人に対し、当該金銭を給付すること。

前項第四号の規定により清算人又は破産管財人が給付を受けた金銭は、会社法第四百七十六条に規定する清算株式会社若しくは同法第六百四十五条に規定する清算持分会社の財産又は破産財団に属する財産とする。

次の各号のいずれかに該当する場合には、企業価値担保権信託契約に係る信託は終了するものとする。この場合において、当該信託の受益権は消滅する。 一第百九十一条第二項の規定による公告の日から三十日を経過しても、債務者について清算手続が開始せず、かつ、破産手続開始の申立てがなされない場合 二前号の期間内に債務者について清算手続が開始せず、かつ、当該期間内に破産手続開始の申立てがなされた場合において、当該申立てのいずれもが取り下げられ、又はこれらを却下し、若しくは棄却する決定が確定し、若しくは当該申立てに係る破産手続開始の決定を取り消す決定が確定したとき。

受託会社についての信託法第百八十四条の規定の適用については、同条第一項中「受益者(」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律(令和六年法律第五十二号)第六条第六項に規定する特定被担保債権者(」と、「及び」とあるのは「、清算人(債務者(同条第一項に規定する債務者をいう。以下この項において同じ。)の特別清算が開始している場合に限る。)若しくは破産管財人(債務者の破産手続が開始している場合に限る。)又は同条第七項に規定する不特定被担保債権者(債務者の特別清算又は破産手続が開始していない場合に限る。)及び」と、「受益者等」とあるのは「特定被担保債権者等」と、同条第二項及び第三項中「受益者等」とあるのは「特定被担保債権者等」とする。

第一項第一号の「給付可能額」とは、第一号及び第二号に掲げる金額の合計額から第三号及び第四号に掲げる金額の合計額を減じて得た額をいう。 一配当を受けた金額 二信託財産に属する債権について弁済を受けた金額 三信託法第四十九条第一項(同法第五十三条第二項及び第五十四条第四項において準用する場合を含む。)の規定により受託会社が有する権利の金額 四信託法第二十一条第二項第二号に規定する信託債権に係る債務の金額

第四節 企業価値担保権信託契約等
第六十三条 (特別代理人の選任)

次に掲げる場合には、裁判所は、受益者の申立てにより、特別代理人を選任することができる。 一受託会社が第四十六条又は第四十七条の規定による業務の停止の命令を受けているとき。 二受託会社が受益者のためにすべき信託業務の処理を怠っているとき。 三受益者と受託会社との利益が相反する場合において、受託会社が受益者のために信託業務の処理に関する裁判上又は裁判外の行為をする必要があるとき。

前項の申立てを却下する裁判には、理由を付さなければならない。

第一項の規定による特別代理人の選任の裁判に対しては、不服を申し立てることができない。

第一項の申立てに係る非訟事件は、債務者の本店の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。

第一項の規定による非訟事件については、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第四十条及び第五十七条第二項(第二号に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。

第四節 企業価値担保権信託契約等
第六十四条 (受託会社等の行為の方式)

受託会社又は前条第一項の特別代理人がこの法律の規定により受益者のために裁判上又は裁判外の行為をする場合には、個別の受益者を表示することを要しない。

第四節 企業価値担保権信託契約等
第六十五条 (受託会社の辞任)

受託会社は、信託法第五十七条第一項の規定により辞任するときは、信託業務を承継する会社を定めなければならない。

第四節 企業価値担保権信託契約等
第六十六条 (受託会社の解任)

受託会社についての信託法第五十八条第四項(同法第七十条において準用する場合を含む。次条第一項において同じ。)の規定の適用については、同法第五十八条第四項中「違反して信託財産に著しい損害を与えたこと」とあるのは、「違反したとき、信託事務の処理に不適任であるとき」とする。

第四節 企業価値担保権信託契約等
第六十七条 (内閣総理大臣の権限)

内閣総理大臣は、受託会社に係る第三十二条の免許が第四十七条の規定による取消しその他の事由によりその効力を失ったときは、前条の規定により読み替えて適用される信託法第五十八条第四項若しくは信託法第六十二条第四項若しくは第六十三条第一項の規定による申立てをすること又は同法第六十二条第二項の規定による催告をすることができる。

前項に規定する場合において、裁判所が受託会社であった受託者を解任するまでの間は、当該受託会社であった受託者は、なお企業価値担保権信託会社とみなす。

第四節 企業価値担保権信託契約等
第六十八条 (信託業務の承継)

第六十五条の規定による信託業務の承継は、債務者、受託会社であった者(以下この条及び次条第二項において「前受託会社」という。)及び信託業務を承継する会社(以下この条及び同項において「新受託会社」という。)がその契約書を作成することによって、その効力を生ずる。

前項の契約書は、電磁的記録をもって作成することができる。

第一項の契約書を書面をもって作成する場合には、当該書面には、債務者、前受託会社及び新受託会社の代表者が署名し、又は記名押印しなければならない。

第一項の契約書を電磁的記録をもって作成する場合には、当該電磁的記録には、債務者、前受託会社及び新受託会社の代表者が内閣府令・法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。

第四節 企業価値担保権信託契約等
第六十九条 (承継に関する業務の監督)

信託業務の承継に関する業務は、内閣総理大臣の監督に属する。

内閣総理大臣は、前項の監督上必要があると認めるときは、当該職員に前受託会社若しくは新受託会社の営業所その他の施設に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況に関し質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

第四十五条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。

第五節 企業価値担保権の実行
第七十条 (定義)

この節において「実行手続」とは、この節の定めるところにより、企業価値担保権を実行する手続をいう。

この節において「執行事件」とは、実行手続に係る事件をいう。

この節において「執行裁判所」とは、執行事件が係属している地方裁判所をいう。

この節(第七十二条並びに第九款第二目及び第三目を除く。)において「裁判所」とは、執行事件を取り扱う一人の裁判官又は裁判官の合議体をいう。

この節において「申立債権」とは、申立人の企業価値担保権の特定被担保債権であって共益債権に該当しないものをいう。

この節において「共益債権」とは、実行手続によらないで担保目的財産から随時弁済を受けることができる債権をいう。

この節において「共益債権者」とは、共益債権を有する者をいう。

この節において「優先担保権」とは、実行手続開始当時債務者の財産につき存する担保権のうち申立人の企業価値担保権に優先するものであって、重複担保権に該当しないものをいう。

この節において「優先担保権者」とは、優先担保権を有する者をいう。

10 この節において「劣後担保権」とは、実行手続開始当時債務者の財産につき存する担保権(一般の先取特権、企業担保権及び留置権を除く。)のうち、申立人の企業価値担保権に劣後するもの又は当該企業価値担保権と同一順位のものであって、重複担保権に該当しないものをいう。

11 この節において「劣後債権」とは、劣後担保権の被担保債権(劣後担保権が企業価値担保権である場合にあっては、特定被担保債権)であって共益債権に該当しないものをいう。

12 この節において「劣後債権者」とは、劣後債権を有する者をいう。

13 この節において「配当債権」とは、申立債権、劣後債権又は租税等の請求権をいう。

14 この節において「配当債権者」とは、配当債権を有する者をいう。

15 この節において「配当債権者等」とは、配当債権者又は企業価値担保権者をいう。

16 この節において「配当外債権」とは、債務者に対する財産上の請求権であって配当債権及び共益債権に該当しないものをいう。

17 この節において「配当外債権者」とは、配当外債権を有する者をいう。

18 この節において「租税等の請求権」とは、国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)又は国税徴収の例によって徴収することのできる請求権(租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律(昭和四十四年法律第四十六号。第百五十六条第二項において「租税条約等実施特例法」という。)第十一条第一項に規定する共助対象外国租税(以下この節において「共助対象外国租税」という。)の請求権を除く。)であって、共益債権に該当しないものをいう。

第五節 企業価値担保権の実行
第七十一条 (管轄)

執行事件は、債務者の主たる営業所の所在地(外国に主たる営業所がある場合にあっては、日本における主たる営業所の所在地)を管轄する地方裁判所が管轄する。

前項の規定にかかわらず、実行手続開始の申立ては、債務者の本店の所在地を管轄する地方裁判所にもすることができる。

第一項の規定にかかわらず、法人が他の株式会社の総株主の議決権(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除き、会社法第八百七十九条第三項の規定により議決権を有するものとみなされる株式についての議決権を含む。次項において同じ。)の過半数を有する場合には、当該法人(以下この項及び次項において「親法人」という。)について執行事件が係属しているときにおける当該他の株式会社(以下この項及び次項において「子株式会社」という。)についての実行手続開始の申立ては、親法人の執行事件が係属している地方裁判所にもすることができ、子株式会社について執行事件が係属しているときにおける親法人についての実行手続開始の申立ては、子株式会社の執行事件が係属している地方裁判所にもすることができる。

子株式会社が他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する場合には、当該他の株式会社を当該子株式会社の親法人の子株式会社と、親法人及び子株式会社が他の株式会社の総株主の議決権の過半数を有する場合には、当該他の株式会社を当該親法人の子株式会社とそれぞれみなして、前項の規定を適用する。

第一項の規定にかかわらず、株式会社が最終事業年度について会社法第四百四十四条の規定により当該株式会社及び他の法人に係る連結計算書類(同条第一項に規定する連結計算書類をいう。)を作成し、かつ、当該株式会社の定時株主総会においてその内容が報告された場合には、当該株式会社について執行事件が係属しているときにおける当該他の法人についての実行手続開始の申立ては、当該株式会社の執行事件が係属している地方裁判所にもすることができ、当該他の法人について執行事件が係属しているときにおける当該株式会社についての実行手続開始の申立ては、当該他の法人の執行事件が係属している地方裁判所にもすることができる。

第一項の規定にかかわらず、実行手続開始の申立ては、東京地方裁判所又は大阪地方裁判所にもすることができる。

第五節 企業価値担保権の実行
第七十二条 (専属管轄)

この節に規定する裁判所の管轄は、専属とする。

第五節 企業価値担保権の実行
第七十三条 (執行事件の移送)

裁判所は、著しい損害又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、職権で、執行事件を次に掲げる地方裁判所のいずれかに移送することができる。 一債務者の営業所の所在地を管轄する地方裁判所 二債務者の財産の所在地(債権については、裁判上の請求をすることができる地)を管轄する地方裁判所 三第七十一条第二項から第六項までに規定する地方裁判所

第五節 企業価値担保権の実行
第七十四条 (任意的口頭弁論等)

実行手続に関する裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。

裁判所は、職権で、執行事件に関して必要な調査をすることができる。

第五節 企業価値担保権の実行
第七十五条 (公告等)

この節の規定による公告は、官報に掲載してする。

前項の規定による公告は、掲載があった日の翌日に、その効力を生ずる。

この節の規定により送達をしなければならない場合には、公告をもって、これに代えることができる。ただし、この節に特別の定めがある場合(この節の規定により公告及び送達をしなければならない場合を含む。)は、この限りでない。

この節の規定により裁判の公告がされたときは、一切の関係人に対して当該裁判の告知があったものとみなす。

第五節 企業価値担保権の実行
第七十六条 (事件に関する文書の閲覧等)

利害関係人は、裁判所書記官に対し、この法律(この法律において準用する他の法律を含む。次条第一項において同じ。)の規定に基づき、裁判所に提出され、又は裁判所が作成した文書その他の物件(以下この款及び附則第六条第六項において「文書等」という。)の閲覧を請求することができる。

利害関係人は、裁判所書記官に対し、文書等の謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付を請求することができる。

前項の規定は、文書等のうち録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)については、適用しない。この場合において、これらの物について利害関係人の請求があるときは、裁判所書記官は、その複製を許さなければならない。

第五節 企業価値担保権の実行
第七十七条 (ファイル記録事項の閲覧等)

利害関係人は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、この法律の規定に基づき裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)に備えられたファイル(次項及び第三項並びに次条を除き、以下「ファイル」という。)に記録された事項(以下この条及び第八十条第六項において「ファイル記録事項」という。)の内容を最高裁判所規則で定める方法により表示したものの閲覧を請求することができる。

利害関係人は、裁判所書記官に対し、ファイル記録事項について、最高裁判所規則で定めるところにより、最高裁判所規則で定める電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機と手続の相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。次項及び次条において同じ。)を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法による複写を請求することができる。

利害関係人は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、ファイル記録事項の全部若しくは一部を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該書面の内容がファイル記録事項と同一であることを証明したものを交付し、又はファイル記録事項の全部若しくは一部を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該電磁的記録の内容がファイル記録事項と同一であることを証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。

第五節 企業価値担保権の実行
第七十八条 (事件に関する事項の証明)

利害関係人は、裁判所書記官に対し、最高裁判所規則で定めるところにより、事件に関する事項を記載した書面であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを交付し、又は当該事項を記録した電磁的記録であって裁判所書記官が最高裁判所規則で定める方法により当該事項を証明したものを最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使用してその者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法その他の最高裁判所規則で定める方法により提供することを請求することができる。

第五節 企業価値担保権の実行
第七十九条 (閲覧等の特則)

前三条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる者は、当該各号に定める裁判があるまでの間は、これらの規定による請求をすることができない。ただし、当該者が申立人である場合は、この限りでない。 一債務者以外の利害関係人実行手続開始の申立てについての裁判 二債務者実行手続開始の申立てに関する口頭弁論若しくは債務者を呼び出す審尋の期日の指定の裁判又は前号に定める裁判

第五節 企業価値担保権の実行
第八十条 (支障部分の閲覧等の制限)

次に掲げる文書等について、利害関係人がその閲覧若しくは謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付の受領又はその複製(以下この項から第三項までにおいて「閲覧等」という。)を行うことにより、債務者の事業の継続若しくは換価に著しい支障を生ずるおそれ又は債務者の財産に著しい損害を与えるおそれがある部分(以下この項から第三項までにおいて「支障部分」という。)があることにつき疎明があった場合には、裁判所は、当該文書等を提出した管財人の申立てにより、支障部分の閲覧等の請求をすることができる者を、当該管財人に限ることができる。 一第九十二条第一項ただし書、第百十三条第二項又は第百五十七条第一項若しくは第二項の許可を得るために裁判所に提出された文書等 二第百二十六条第二項の規定による報告に係る文書等

前項の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで、利害関係人(同項の申立てをした者を除く。次項において同じ。)は、支障部分の閲覧等の請求をすることができない。

支障部分の閲覧等の請求をしようとする利害関係人は、執行裁判所に対し、第一項に規定する要件を欠くこと又はこれを欠くに至ったことを理由として、同項の規定による決定の取消しの申立てをすることができる。

第一項の申立てを却下した決定及び前項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

第一項の規定による決定を取り消す決定は、確定しなければその効力を生じない。

前各項の規定は、ファイル記録事項について準用する。この場合において、第一項中「謄写、その正本、謄本若しくは抄本の交付の受領又はその複製」とあるのは、「複写又はその内容の全部若しくは一部を証明した書面の交付若しくはその内容の全部若しくは一部を証明した電磁的記録の提供の受領」と読み替えるものとする。

第五節 企業価値担保権の実行
第八十一条 (民事訴訟法及び民事執行法の準用)

特別の定めがある場合を除き、実行手続について、その性質に反しない限り、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第一編から第四編までの規定を準用する。この場合において、同法第百三十二条の十一第一項第一号中「第五十四条第一項ただし書の許可を得て訴訟代理人となったものを除く。)」とあるのは「弁護士に限る。)又は管財人若しくは管財人代理として選任を受けた者」と、「当該委任」とあるのは「当該委任又は選任」と、同項第二号中「第二条」とあるのは「第九条において準用する同法第二条」と読み替えるものとする。

民事執行法第十条、第十五条、第十八条及び第十八条の二の規定は、実行手続について準用する。この場合において、同法第十五条第一項中「この法律」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律」と、「執行裁判所」とあるのは「同法第七十条第三項に規定する執行裁判所」と、同法第十八条第一項及び第二項中「執行裁判所又は執行官」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第七十条第三項に規定する執行裁判所又は管財人」と、同法第十八条の二中「この法律」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律」と読み替えるものとする。

第五節 企業価値担保権の実行
第八十二条 (最高裁判所規則)

この節に定めるもののほか、実行手続に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

第五節 企業価値担保権の実行
第八十三条 (実行手続開始の申立て)

企業価値担保権の実行は、第六十一条の規定に基づいてする企業価値担保権者の実行手続開始の申立てによってする。

企業価値担保権者は、その企業価値担保権に優先する他の企業価値担保権がある場合においては、前項の規定による実行手続開始の申立てをすることができない。

第五節 企業価値担保権の実行
第八十四条 (実行手続開始の申立ての方式)

実行手続開始の申立ては、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。 一申立債権の内容及び原因 二申立債権に係る企業価値担保権の内容 三申立債権に係る弁済期の到来

申立人は、申立債権及び当該申立債権に係る企業価値担保権の存在並びに当該申立債権に係る弁済期の到来を証明しなければならない。

実行手続開始の申立ては、第一項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を明らかにしてするよう努めるものとする。 一債務者の目的その他の債務者の概要 二債務者の事業の内容及び状況 三債務者の資産、負債その他の財産の状況

第五節 企業価値担保権の実行
第八十五条 (費用の予納)

実行手続開始の申立てをするときは、申立人は、実行手続の費用として裁判所の定める金額を予納しなければならない。

費用の予納に関する決定に対しては、執行抗告をすることができる。

前項の執行抗告は、執行停止の効力を有する。

第五節 企業価値担保権の実行
第八十六条 (実行手続開始の申立ての取下げの制限)

申立人が実行手続開始の決定後にその申立てを取り下げるには、裁判所の許可を得なければならない。

前項の申立ては、第百六十九条第二項、第百七十八条第一項又は第百八十二条第一項の許可があった後は、取り下げることができない。

第一項の規定により実行手続開始の申立てが取り下げられたときは、裁判所は、直ちに、その旨を公告し、かつ、第八十九条第三項各号に掲げる者(申立人を除く。)に通知しなければならない。ただし、第八十八条第二項の決定があったときは、知れている配当債権者等に対しては、当該通知をすることを要しない。

第五節 企業価値担保権の実行
第八十七条 (実行手続開始の決定)

裁判所は、第八十三条第一項の規定による実行手続開始の申立てがあった場合において、第八十四条第二項の証明があったときは、実行手続の費用の予納がないときを除き、実行手続開始の決定をする。

前項の決定は、その決定の時から、効力を生ずる。

第五節 企業価値担保権の実行
第八十八条 (実行手続開始の決定と同時に定めるべき事項)

裁判所は、実行手続開始の決定と同時に、一人又は数人の管財人を選任し、かつ、劣後債権の届出をすべき期間及び配当債権の調査をするための期間を定めなければならない。

前項の場合において、知れている配当債権者等の数が千人以上であり、かつ、相当と認めるときは、裁判所は、第八十六条第三項本文、次条第四項本文において準用する同条第三項(第一号に係る部分に限る。)、第九十条第三項本文及び第九十一条第五項本文の規定による知れている配当債権者等に対する通知をしない旨の決定をすることができる。

第五節 企業価値担保権の実行
第八十九条 (実行手続開始の公告等)

裁判所は、実行手続開始の決定をしたときは、直ちに、次に掲げる事項を公告しなければならない。 一実行手続開始の決定の主文 二管財人の氏名又は名称 三前条第一項の規定により定めた期間 四財産所持者等(担保目的財産の所持者及び債務者に対して債務を負担する者をいう。)は、債務者にその財産を交付し、又は弁済をしてはならない旨 五第百七十八条第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定による簡易配当をすることが相当と認められる場合にあっては、当該簡易配当をすることにつき異議のある配当債権者等は裁判所に対し、前条第一項に規定する配当債権の調査をするための期間の満了時までに異議を述べるべき旨

前条第二項の決定があったときは、裁判所は、前項各号に掲げる事項のほか、第八十六条第三項本文、第四項本文において準用する次項(第一号に係る部分に限る。)、次条第三項本文及び第九十一条第五項本文の規定による知れている配当債権者等に対する通知をしない旨をも公告しなければならない。

次に掲げる者には、前二項の規定により公告すべき事項を通知しなければならない。 一申立人、管財人、債務者及び知れている配当債権者等 二第一項第四号に規定する財産所持者等であって知れているもの 三労働組合等(債務者の使用人その他の従業者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、債務者の使用人その他の従業者の過半数で組織する労働組合がないときは債務者の使用人その他の従業者の過半数を代表する者をいう。第百二十二条及び第百五十七条第四項第二号において同じ。)

第一項(第二号に係る部分に限る。)及び前項(第一号及び第二号に係る部分に限る。)の規定は第一項第二号に掲げる事項に変更を生じた場合について、同項(第三号に係る部分に限る。)及び前項(第一号に係る部分に限る。)の規定は第一項第三号に掲げる事項に変更を生じた場合(劣後債権の届出をすべき期間に変更を生じた場合に限る。)について、それぞれ準用する。ただし、前条第二項の決定があったときは、知れている配当債権者等に対しては、この項において準用する前項(第一号に係る部分に限る。)の規定による通知をすることを要しない。

第五節 企業価値担保権の実行
第九十条 (抗告)

第八十三条第一項に規定する実行手続開始の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。

前項の執行抗告においては、債務者は、企業価値担保権の不存在又は消滅を理由とすることができる。

実行手続開始の決定をした裁判所は、第一項の執行抗告があった場合において、当該決定を取り消す決定が確定したときは、直ちにその主文を公告し、かつ、前条第三項各号に掲げる者にその主文を通知しなければならない。ただし、第八十八条第二項の決定があったときは、知れている配当債権者等に対しては、当該通知をすることを要しない。

第五節 企業価値担保権の実行
第九十一条 (実行手続の停止)

実行手続は、第一号の申立て又は第二号の文書(同号ハにあっては、文書又は電磁的記録)の提出があったときは、停止しなければならない。 一企業価値担保権の登記の抹消がされた債務者についての実行手続の停止の申立て 二次に掲げるいずれかの文書(ハにあっては、文書又は電磁的記録)イ企業価値担保権のないことを証する確定判決(確定判決と同一の効力を有するものを含む。ロにおいて同じ。)の謄本又は記録事項証明書(ファイルに記録されている事項を記載した書面であって裁判所書記官が当該書面の内容が当該ファイルに記録されている事項と同一であることを証明したものをいう。以下この号において同じ。)ロ企業価値担保権の登記を抹消すべき旨を命ずる確定判決の謄本又は記録事項証明書ハ企業価値担保権の実行をしない旨又は特定被担保債権者が特定被担保債権の弁済を受け、若しくは特定被担保債権の弁済の猶予をした旨を記載した裁判上の和解の調書その他の公文書の謄本(公文書が電磁的記録をもって作成されている場合にあっては、当該電磁的記録に記録されている事項の全部を記録した電磁的記録)(企業価値担保権の実行をしない旨又は特定被担保債権の弁済の猶予をした旨を記載又は記録をしたものにあっては、実行手続開始の決定前に作成されたものに限る。)ニ実行手続の停止及び執行処分の取消しを命ずる旨を記載した裁判の謄本又は記録事項証明書ホ実行手続の一時の停止を命ずる旨を記載した裁判の謄本又は記録事項証明書ヘ企業価値担保権の実行を一時禁止する裁判の謄本又は記録事項証明書

前項第一号の申立て又は同項第二号イからニまでに掲げる文書若しくは電磁的記録の提出があったときは、裁判所は、既にした執行処分をも取り消さなければならない。

裁判所は、第一項第二号ホ又はヘに掲げる文書の提出により実行手続が停止された場合において、必要があると認めるときは、当該文書に記載された停止又は禁止に係る期間が満了するまで管財人を当事者とする訴訟手続の中止を命ずることができる。

裁判所は、前項の規定による中止の命令を変更し、又は取り消すことができる。

裁判所は、第一項第二号ホ若しくはヘに掲げる文書の提出により実行手続が停止したとき、又は第二項の規定により既にした執行処分を取り消す決定が確定したときは、直ちに、その旨を公告し、かつ、第八十九条第三項各号に掲げる者に通知しなければならない。ただし、第八十八条第二項の決定があったときは、知れている配当債権者等に対しては、当該通知をすることを要しない。

第五節 企業価値担保権の実行
第九十二条 (実行手続の停止時の保全行為)

前条第一項第二号ホ又はヘに掲げる文書の提出により実行手続が停止された場合であっても、第百十三条第一項の権利は管財人に専属する。ただし、管財人が債務者の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。

前項ただし書の許可を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

第五節 企業価値担保権の実行
第九十三条 (弁済の禁止)

配当債権又は配当外債権については、実行手続開始後は、この法律に特別の定めがある場合を除き、実行手続によらなければ、弁済をし、弁済を受け、その他これを消滅させる行為(免除を除く。)をすることができない。

裁判所は、配当債権又は配当外債権について、債務者の事業の継続、債務者の取引先の保護その他の実行手続の公正な実施に必要があると認めるときは、管財人の申立てにより、その弁済をすることを許可することができる。

第一項の規定は、次に掲げる事由により、租税等の請求権が消滅する場合には、適用しない。 一国税滞納処分(共益債権を徴収するためのものを除き、国税滞納処分の例による処分(共益債権及び共助対象外国租税の請求権を徴収するためのものを除く。)を含む。第九十六条第一項を除き、以下この款において同じ。)のうち、同条第三項の規定により続行が命じられたもの 二国税滞納処分による差押えを受けた債務者の債権(差押えの効力の及ぶ債権を含む。)の第三債務者が当該国税滞納処分の失効中に徴収の権限を有する者に対して任意にした給付 三徴収の権限を有する者による還付金又は過誤納金の充当 四管財人が裁判所の許可を得てした弁済

第五節 企業価値担保権の実行
第九十四条 (相殺権)

配当債権者が実行手続開始当時債務者に対して債務を負担する場合において、債権及び債務の双方が第八十八条第一項の規定により定められた劣後債権の届出をすべき期間(以下この条及び第五款において「債権届出期間」という。)の満了前に相殺に適するようになったときは、配当債権者は、当該債権届出期間内に限り、実行手続によらないで、相殺をすることができる。債務が期限付であるときも、同様とする。

配当外債権者が実行手続開始当時債務者に対して債務を負担するときは、実行手続によらないで、相殺をすることができる。債務が期限付であるときも、同様とする。

配当債権者又は配当外債権者が実行手続開始当時債務者に対して負担する債務が賃料債務である場合には、配当債権者又は配当外債権者は、実行手続開始後にその弁済期が到来すべき賃料債務(債権届出期間の満了後にその弁済期が到来すべきものを含む。次項において同じ。)については、実行手続開始の時における賃料の六月分に相当する額を限度として、実行手続によらないで、相殺をすることができる。ただし、配当債権者にあっては、当該相殺をすることができるのは、債権届出期間内に限る。

前項に規定する場合において、配当債権者又は配当外債権者が、実行手続開始後にその弁済期が到来すべき賃料債務について、実行手続開始後その弁済期に弁済をしたときは、配当債権者又は配当外債権者が有する敷金の返還請求権は、実行手続開始の時における賃料の六月分に相当する額(同項の規定により相殺をする場合には、相殺により免れる賃料債務の額を控除した額)の範囲内におけるその弁済額を限度として、共益債権とする。

前二項の規定は、地代又は小作料の支払を目的とする債務について準用する。

第五節 企業価値担保権の実行
第九十五条 (相殺の禁止)

配当債権者又は配当外債権者は、実行手続開始後に債務者に対して債務を負担した場合には、相殺をすることができない。ただし、配当債権者が第百五十七条第一項の営業又は事業の譲受人として債務を負担した場合において、裁判所の許可を得たときは、この限りでない。

債務者に対して債務を負担する者は、実行手続開始後に他人の配当債権又は配当外債権を取得した場合には、相殺をすることができない。

第五節 企業価値担保権の実行
第九十六条 (他の手続の失効等)

実行手続開始の決定があったときは、担保目的財産に対する強制執行等(配当債権若しくは配当外債権に基づく強制執行、仮差押え、仮処分若しくは担保権の実行又は配当債権若しくは配当外債権を被担保債権とする留置権による競売をいう。次項において同じ。)、企業担保権の実行、国税滞納処分(第九十三条第三項第一号に規定する国税滞納処分をいう。)、外国租税滞納処分(共助対象外国租税の請求権に基づき国税滞納処分の例によってする処分(共益債権を徴収するためのものを除く。)をいう。次項及び第三項において同じ。)又は配当債権若しくは配当外債権に基づく財産開示手続若しくは第三者からの情報取得手続の申立てはすることができない。

前項に規定する場合には、担保目的財産に対して既にされている強制執行等の手続、企業担保権の実行の手続、国税滞納処分、外国租税滞納処分並びに配当債権又は配当外債権に基づく財産開示手続及び第三者からの情報取得手続は、実行手続の関係においては、その効力を失う。ただし、強制執行等(配当債権又は配当外債権に基づく仮差押え又は仮処分を除く。第七項及び第八項において同じ。)の手続については、管財人において執行事件のためにその手続を続行することを妨げない。

前項の規定にかかわらず、裁判所は、債務者の事業の継続及び換価に支障を来さないと認めるときは、管財人若しくは租税等の請求権につき徴収の権限を有する者の申立てにより又は職権で、同項の規定により失効した国税滞納処分又は外国租税滞納処分の続行を命ずることができる。

第二項ただし書又は前項の規定により続行された手続又は処分に関する債務者に対する費用請求権は、共益債権とする。

第一項に規定する場合には、実行手続が終了するまでの間(第三項の規定により国税滞納処分の続行が命じられたときは、当該国税滞納処分の続行が命じられるまでの間)は、国税滞納処分により徴収すべき徴収金の請求権の時効は、進行しない。

第一項に規定する場合には、実行手続が終了するまでの間は、罰金、科料及び追徴の時効は、進行しない。ただし、当該罰金、科料又は追徴に係る請求権が共益債権である場合は、この限りでない。

第二項ただし書の規定により続行された強制執行等の手続については、民事執行法第六十三条及び第百二十九条(これらの規定を同法その他強制執行の手続に関する法令において準用する場合を含む。)の規定は、適用しない。

第二項ただし書の規定により続行された強制執行等に対する第三者異議の訴えについては、管財人を被告とする。

第一項及び第二項の規定は、優先担保権を行使する場合については、適用しない。

第五節 企業価値担保権の実行
第九十七条 (続行された強制執行等における配当等に充てるべき金銭の取扱い)

前条第二項ただし書又は第三項の規定により続行された手続又は処分においては、配当又は弁済金の交付(以下この条において「配当等」という。)を実施することができない。ただし、同項の規定により続行された処分における租税等の請求権に対する配当等については、この限りでない。

前項本文に規定する手続(配当債権又は配当外債権を被担保債権とする留置権による競売手続を除く。次項において同じ。)又は処分においては、配当等に充てるべき金銭が生じたときは、管財人に対して、当該金銭に相当する額(前項ただし書の規定により配当等が実施されたときは、当該配当等の額を控除した額)の金銭を交付しなければならない。

前項の金銭の交付前に実行手続が終了したときは、第一項本文の規定にかかわらず、同項本文に規定する手続又は処分においては、その手続又は処分の性質に反しない限り、配当等に充てるべき金銭(同項ただし書の規定により配当等が実施されたものを除く。)について、配当等を実施しなければならない。

第五節 企業価値担保権の実行
第九十八条 (債務者の財産関係に関する訴えの取扱い)

実行手続開始の決定があったときは、債務者の財産関係の訴訟手続は、中断する。

管財人は、前項の規定により中断した訴訟手続のうち配当債権に関しないものを受け継ぐことができる。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。

前項の場合においては、相手方の債務者に対する訴訟費用請求権は、共益債権とする。

実行手続が終了したときは、管財人を当事者とする債務者の財産関係の訴訟手続は、中断する。

債務者は、前項の規定により中断した訴訟手続を受け継がなければならない。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。

第一項の規定により中断した訴訟手続について第二項の規定による受継があるまでに実行手続が終了したときは、債務者は、当該訴訟手続を当然受継する。

第五節 企業価値担保権の実行
第九十九条 (債権者代位訴訟の取扱い)

民法第四百二十三条第一項又は第四百二十三条の七の規定により債務者に属する権利(登記手続又は登録手続をすべきことを請求する権利を含む。)の行使をするため配当債権者又は配当外債権者が第三者に対して提起した訴訟が実行手続開始当時係属するときは、その訴訟手続は、中断する。

管財人は、前項の規定により中断した訴訟手続を受け継ぐことができる。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。

前項の場合においては、相手方の配当債権者又は配当外債権者に対する訴訟費用請求権は、共益債権とする。

第一項の規定により中断した訴訟手続について第二項の規定による受継があった後に実行手続が終了したときは、当該訴訟手続は中断する。

前項の場合には、配当債権者又は配当外債権者において同項の規定により中断した訴訟手続を受け継がなければならない。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。

第一項の規定により中断した訴訟手続について第二項の規定による受継があるまでに実行手続が終了したときは、配当債権者又は配当外債権者は、当該訴訟手続を当然受継する。

第五節 企業価値担保権の実行
第百条 (行政庁に係属する事件の取扱い)

第九十八条の規定は、債務者の財産関係の事件で行政庁に係属するものについて準用する。

第五節 企業価値担保権の実行
第百一条 (債務者のした法律行為の効力)

債務者が実行手続開始後に担保目的財産に関してした法律行為は、実行手続の関係においては、その効力を主張することができない。

債務者が実行手続開始の日にした法律行為は、実行手続開始後にしたものと推定する。

第五節 企業価値担保権の実行
第百二条 (開始後の権利取得の効力)

実行手続開始後に担保目的財産に関して管財人又は債務者の法律行為によらないで権利を取得しても、その権利の取得は、実行手続の関係においては、その効力を主張することができない。

前条第二項の規定は、実行手続開始の日における前項の権利の取得について準用する。

第五節 企業価値担保権の実行
第百三条 (開始後の登記及び登録の効力)

不動産又は船舶に関し実行手続開始前に生じた登記原因に基づき実行手続開始後にされた登記又は不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第百五条(第一号に係る部分に限る。)の規定による仮登記は、実行手続の関係においては、その効力を主張することができない。ただし、登記権利者が実行手続開始の事実を知らないでした登記又は仮登記については、この限りでない。

前項の規定は、権利の設定、移転若しくは変更に関する登録若しくは仮登録又は企業担保権若しくは企業価値担保権の設定、移転若しくは変更に関する登記について準用する。

第五節 企業価値担保権の実行
第百四条 (債務者に対する弁済の効力)

実行手続開始後に、その事実を知らないで債務者にした弁済は、実行手続の関係においても、その効力を主張することができる。

実行手続開始後に、その事実を知って債務者にした弁済は、担保目的財産が受けた利益の限度においてのみ、実行手続の関係において、その効力を主張することができる。

第五節 企業価値担保権の実行
第百五条 (善意又は悪意の推定)

前二条の規定の適用については、第八十九条第一項の規定による公告の前においてはその事実を知らなかったものと推定し、当該公告の後においてはその事実を知っていたものと推定する。

第五節 企業価値担保権の実行
第百六条 (共有関係)

債務者が他人と共同して財産権を有する場合において、実行手続が開始されたときは、管財人は、共有者の間で分割をしない旨の定めがあるときでも、分割の請求をすることができる。

前項の場合には、他の共有者は、相当の償金を支払って債務者の持分を取得することができる。

第五節 企業価値担保権の実行
第百七条 (取戻権)

実行手続の開始は、債務者に属しない財産を債務者から取り戻す権利に影響を及ぼさない。

破産法第六十三条第一項及び第三項並びに第六十四条の規定は、実行手続が開始された場合について準用する。この場合において、同法第六十三条第一項中「破産手続開始の決定」とあるのは「実行手続(事業性融資の推進等に関する法律第七十条第一項に規定する実行手続をいう。次条第一項において同じ。)開始の決定」と、同項ただし書及び同法第六十四条中「破産管財人」とあるのは「管財人」と、同条第一項中「破産者(保全管理人が選任されている場合にあっては、保全管理人)」とあるのは「事業性融資の推進等に関する法律第六条第一項に規定する債務者」と、「破産手続開始」とあるのは「実行手続開始」と読み替えるものとする。

第五節 企業価値担保権の実行
第百八条 (優先担保権の行使)

優先担保権は、実行手続によらないで、行使することができる。

優先担保権者は、優先担保権の目的である財産が管財人による任意売却その他の事由により債務者の財産に属しないこととなった場合において当該優先担保権がなお存続するときにおける当該優先担保権を、実行手続によらないで、行使することができる。

第五節 企業価値担保権の実行
第百九条 (管財人の選任)

管財人は、裁判所が選任する。この場合においては、裁判所は、申立人の意見を聴かなければならない。

法人は、管財人となることができる。

第五節 企業価値担保権の実行
第百十条 (管財人に対する監督等)

管財人は、裁判所が監督する。

裁判所は、管財人が債務者の業務及び財産の管理を適切に行っていないとき、その他重要な事由があるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、管財人を解任することができる。この場合においては、申立人の意見を聴き、かつ、その管財人を審尋しなければならない。

第五節 企業価値担保権の実行
第百十一条 (数人の管財人の職務執行)

管財人が数人あるときは、共同してその職務を行う。ただし、裁判所の許可を得て、それぞれ単独にその職務を行い、又は職務を分掌することができる。

管財人が数人あるときは、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。

第五節 企業価値担保権の実行
第百十二条 (管財人代理)

管財人は、必要があるときは、その職務を行わせるため、自己の責任で一人又は数人の管財人代理を選任することができる。

前項の管財人代理の選任については、裁判所の許可を得なければならない。

第五節 企業価値担保権の実行
第百十三条 (管財人の権限)

実行手続開始の決定があった場合には、債務者の事業の経営並びに担保目的財産の管理及び処分をする権利は、裁判所が選任した管財人に専属する。

裁判所は、実行手続開始後において、必要があると認めるときは、管財人が次に掲げる行為をするには裁判所の許可を得なければならないものとすることができる。 一財産の譲受け 二借財 三訴えの提起 四和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。) 五権利の放棄 六共益債権、第百七条第一項に規定する権利又は優先担保権の承認 七優先担保権の目的である財産の受戻し 八その他裁判所の指定する行為

前項の許可を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

第五節 企業価値担保権の実行
第百十四条 (担保目的財産の管理)

管財人は、就職の後直ちに債務者の業務及び担保目的財産の管理に着手しなければならない。

第五節 企業価値担保権の実行
第百十五条 (当事者適格)

債務者の財産関係の訴えについては、管財人を原告又は被告とする。

第五節 企業価値担保権の実行
第百十六条 (郵便物等の管理)

裁判所は、管財人の職務の遂行のため必要があると認めるときは、信書の送達の事業を行う者に対し、債務者に宛てた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第三項に規定する信書便物(次条及び第百四十条第五項において「郵便物等」という。)を管財人に配達すべき旨を嘱託することができる。

裁判所は、債務者の申立てにより又は職権で、管財人の意見を聴いて、前項に規定する嘱託を取り消し、又は変更することができる。

実行手続が終了したときは、裁判所は、第一項に規定する嘱託を取り消さなければならない。

第一項又は第二項の規定による決定及び同項の申立てを却下する裁判に対しては、債務者又は管財人は、執行抗告をすることができる。

第五節 企業価値担保権の実行
第百十七条

管財人は、債務者に宛てた郵便物等を受け取ったときは、これを開いて見ることができる。

債務者は、管財人に対し、管財人が受け取った前項の郵便物等の閲覧又は当該郵便物等で担保目的財産に関しないものの交付を求めることができる。

第五節 企業価値担保権の実行
第百十八条 (管財人による調査)

管財人は、次に掲げる者に対して債務者の業務及び財産の状況につき報告を求め、債務者の帳簿、書類その他の物件を検査することができる。 一債務者の代理人 二債務者の取締役、会計参与、監査役、執行役、会計監査人、社員及び清算人 三前号に掲げる者に準ずる者 四債務者の従業者

管財人は、次に掲げる者に対しても債務者の業務及び財産の状況につき報告を求めることができる。 一前項各号に掲げる者であった者 二債務者の発起人、設立時取締役又は設立時監査役であった者 三第二百三十二条第二項に規定する認定事業性融資推進支援機関(現に債務者と第二百三十七条に規定する契約を締結しているものに限る。)

管財人は、その職務を行うため必要があるときは、債務者の子会社(会社法第二条第三号に規定する子会社をいう。第二百五十五条第四項において同じ。)に対して、その業務及び財産の状況につき報告を求め、又はその帳簿、書類その他の物件を検査することができる。

第五節 企業価値担保権の実行
第百十九条 (管財人の自己取引)

管財人は、裁判所の許可を得なければ、債務者の財産を譲り受け、債務者に対して自己の財産を譲り渡し、その他自己又は第三者のために債務者と取引をすることができない。

前項の許可を得ないでした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

第五節 企業価値担保権の実行
第百二十条 (管財人の競業の制限)

管財人は、自己又は第三者のために債務者の事業の部類に属する取引をしようとするときは、裁判所に対し、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。

前項の取引をした管財人は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を裁判所に報告しなければならない。

管財人が第一項の規定に違反して同項の取引をしたときは、当該取引によって管財人又は第三者が得た利益の額は、債務者に生じた損害の額と推定する。

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