ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律
- 公布日
- 2019/11/22
- 最終改正公布
- 2024/06/19
- 施行日
- 2024/06/19
- 条数
- 32 条
条文
この法律は、ハンセン病元患者家族の被った精神的苦痛を慰謝するための補償金(以下単に「補償金」という。)の支給に関し必要な事項を定めるとともに、ハンセン病元患者家族等の名誉の回復等について定めるものとする。
この法律において「ハンセン病元患者」とは、次に掲げる者をいう。 一らヽいヽ予防法の廃止に関する法律(平成八年法律第二十八号。以下この条において「廃止法」という。)によりらヽいヽ予防法(昭和二十八年法律第二百十四号)が廃止されるまでの間に、国立ハンセン病療養所(廃止法第一条の規定による廃止前のらヽいヽ予防法(以下この項において「旧らヽいヽ予防法」という。)第十一条の規定により国が設置したらい療養所をいう。)その他の本邦に設置された厚生労働大臣が定めるハンセン病療養所(第十一条第四号において「国内ハンセン病療養所」という。)に入所していた者 二廃止法によりらヽいヽ予防法が廃止されるまでの間にハンセン病を発病し、その発病の時から当該廃止されるまでの間に本邦に住所を有したことがある者(前号に掲げる者を除く。) 三昭和二十年八月十五日までの間に、行政諸法台湾施行令(大正十一年勅令第五百二十一号)第一条の規定により台湾に施行された旧らヽいヽ予防法附則第二項の規定による廃止前の癩予防法(明治四十年法律第十一号)第三条第一項の国立癩療養所、朝鮮癩予防令(昭和十年制令第四号)第五条の朝鮮総督府癩療養所その他の本邦以外の地域に設置された厚生労働大臣が定めるハンセン病療養所(第十一条第四号において「国外ハンセン病療養所」という。)に入所していた者(前二号に掲げる者を除く。) 四昭和二十年八月十五日までの間にハンセン病を発病し、その発病の時から同日までの間に行政諸法台湾施行令第一条の規定により旧らヽいヽ予防法附則第二項の規定による廃止前の癩予防法が施行されていた地域、朝鮮癩予防令が施行されていた地域その他の厚生労働大臣が定める本邦以外の地域に住所を有したことがある者(前三号に掲げる者を除く。)
2 この法律において、「ハンセン病元患者家族」とは、ハンセン病元患者がハンセン病を発病した時(その発病の時に当該ハンセン病元患者が本邦(昭和二十年八月十五日までの間にあっては、前項第四号に規定する厚生労働大臣が定める本邦以外の地域を含む。以下この項において同じ。)に住所を有しなかった場合にあっては、当該ハンセン病元患者が本邦に住所を有するに至った時)から廃止法によりらヽいヽ予防法が廃止されるまでの間に、次の各号のいずれかに該当したことがある者(当該各号に該当する者であった期間に本邦に住所を有したことがある者に限る。)であって、この法律の施行の日(第九条第二項において「施行日」という。)において生存しているものをいう。 一ハンセン病元患者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。第十条第一項において同じ。) 二ハンセン病元患者の一親等の血族 三ハンセン病元患者の一親等の姻族その他これに準ずる者として厚生労働省令で定める者であって、当該ハンセン病元患者と同居しているもの 四ハンセン病元患者の二親等の血族(兄弟姉妹に限る。) 五ハンセン病元患者の二親等の血族(兄弟姉妹を除く。)であって、当該ハンセン病元患者と同居しているもの 六ハンセン病元患者の二親等の姻族その他これに準ずる者として厚生労働省令で定める者であって、当該ハンセン病元患者と同居しているもの 七ハンセン病元患者の三親等の血族であって、当該ハンセン病元患者と同居しているもの
国は、この法律の定めるところにより、ハンセン病元患者家族に対し、補償金を支給する。
補償金の額は、次の各号に掲げるハンセン病元患者家族の区分に応じ、当該各号に定める額とする。 一第二条第二項第一号から第三号までのいずれかに該当する者百八十万円 二第二条第二項第四号から第七号までのいずれかに該当する者百三十万円
補償金は、ハンセン病元患者家族が既に補償金の支給(第十条第一項の規定による補償金の支給を除く。)を受けた場合には、支給しない。ただし、前条第二号に掲げる者として既に補償金の支給を受けた者が同条第一号に掲げる者として補償金の支給を受けようとするときは、同号に定める額から同条第二号に定める額を控除した額の補償金を支給する。
補償金は、ハンセン病元患者家族が既にハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律(平成十三年法律第六十三号)第三条の規定による補償金の支給(同法第六条第一項の規定による補償金の支給を除く。)その他これに準ずるものとして厚生労働省令で定める金銭の支払を受けた場合には、支給しない。
補償金の支給を受けようとするハンセン病元患者家族が既に当該補償金に係るハンセン病元患者とは異なるハンセン病元患者の家族(ハンセン病元患者家族に限る。)として国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)による損害賠償その他の損害の塡補を受けたときは、当該補償金の額から当該損害賠償その他の損害の塡補の額を控除した額(当該額が零を下回る場合には、零とする。)の補償金を支給する。
補償金の支給を受けるべき者が同一の事由について国から国家賠償法による損害賠償その他の損害の塡補を受けたときは、国は、その価額の限度で、補償金を支給する義務を免れる。
2 国は、補償金を支給したときは、同一の事由については、その価額の限度で、国家賠償法による損害賠償の責任を免れる。
厚生労働大臣は、補償金の支給を受けようとする者の請求に基づき、当該支給を受ける権利の認定を行い、当該認定を受けた者に対し、補償金を支給する。
2 前項の補償金の支給の請求(以下この章において単に「請求」という。)は、施行日から起算して十年を経過したときは、することができない。
ハンセン病元患者家族が請求をした後に死亡した場合において、その者が支給を受けるべき補償金でその支払を受けなかったものがあるときは、これをその者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたもの(以下この条及び第二十五条において「遺族」という。)に支給し、支給すべき遺族がないときは、当該死亡した者の相続人に支給する。
2 前項の規定による補償金を受けるべき遺族の順位は、同項に規定する順序による。
3 第一項の規定による補償金を受けるべき同順位者が二人以上あるときは、その全額をその一人に支給することができるものとし、この場合において、その一人にした支給は、全員に対してしたものとみなす。
請求をしようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に、次に掲げる事項を記載した請求書を提出しなければならない。 一請求をする者の氏名及び住所又は居所 二請求に係るハンセン病元患者の氏名 三請求に係るハンセン病元患者がハンセン病を発病したことについて診断を受けた年月日(これが明らかでないときはその時期とし、いずれも明らかでないときはその旨とする。) 四請求に係るハンセン病元患者が国内ハンセン病療養所又は国外ハンセン病療養所に入所していた場合にあっては、当該入所していた国内ハンセン病療養所又は国外ハンセン病療養所の名称及びその期間 五請求に係るハンセン病元患者との関係及び当該関係にあった期間 六その他厚生労働省令で定める事項
厚生労働大臣は、第九条第一項の認定(次項及び次条第六項において単に「認定」という。)を行うため必要があると認めるときは、請求をした者(次条において「請求者」という。)その他の関係人に対して、報告をさせ、文書その他の物件を提出させ、又は出頭を命じることができる。
2 厚生労働大臣は、認定を行うため必要があると認めるときは、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
厚生労働大臣は、請求を受けたときは、当該請求に係る請求者が第二条第二項各号のいずれかに該当する者であることを証する書面その他当該請求に係る情報が記録されている文書(図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)を含む。)により当該請求者がハンセン病元患者家族であること(同項各号のいずれに該当するかの別を含む。)を確認することができる場合を除き、当該請求の内容をハンセン病元患者家族補償金認定審査会に通知し、当該請求者がハンセン病元患者家族であるかどうかについて審査を求めなければならない。
2 ハンセン病元患者家族補償金認定審査会は、前項の規定による審査を求められたときは、当該審査に係る請求者がハンセン病元患者家族であるかどうかについて審査を行い、その結果を厚生労働大臣に通知しなければならない。
3 ハンセン病元患者家族補償金認定審査会は、前項の審査を行うため必要があると認めるときは、請求者その他の関係人に対して、報告をさせ、文書その他の物件を提出させ、又は出頭を命じることができる。
4 ハンセン病元患者家族補償金認定審査会は、第二項の審査を行うため必要があると認めるときは、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
5 ハンセン病元患者家族補償金認定審査会は、第二項の審査において、請求者及び関係人の陳述、診療録の記載内容その他の請求に係る情報を総合的に勘案して、事案の実情に即した適切な判断を行うものとする。
6 厚生労働大臣は、第二項の規定による通知があったハンセン病元患者家族補償金認定審査会の審査の結果に基づき認定を行うものとする。
公務所又は公私の団体は、第十二条第二項又は前条第四項の規定による必要な事項の報告を求められたときは、これに協力するよう努めなければならない。
国は、ハンセン病元患者家族に対し補償金の支給手続等について十分かつ速やかに周知するための措置を適切に講ずるものとする。
2 国は、補償金の支給を受けようとする者に対する相談支援その他請求に関し利便を図るための措置を適切に講ずるものとする。
偽りその他不正の手段により補償金の支給を受けた者があるときは、厚生労働大臣は、国税徴収の例により、その者から、当該補償金の価額の全部又は一部を徴収することができる。
2 前項の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
補償金の支給を受ける権利は、譲渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。
租税その他の公課は、補償金を標準として課することができない。
厚生労働省に、ハンセン病元患者家族補償金認定審査会(以下この章において「審査会」という。)を置く。
2 審査会は、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。
審査会は、五人以上政令で定める人数以内の委員をもって組織する。
2 委員は、医療、法律等に関して優れた識見を有する者のうちから、厚生労働大臣が任命する。
3 委員は、非常勤とする。
審査会に、会長一人を置き、委員の互選により選任する。
2 会長は、審査会の会務を総理し、審査会を代表する。
3 審査会は、あらかじめ、委員のうちから、会長に事故がある場合にその職務を代理する者を定めておかなければならない。
委員の任期は、二年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 委員は、再任されることができる。
3 委員の任期が満了したときは、当該委員は、後任者が任命されるまで引き続きその職務を行うものとする。
この章に定めるもののほか、審査会に関し必要な事項は、政令で定める。
国は、ハンセン病元患者家族等について、名誉の回復及び福祉の増進を図るために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 前項の措置を講ずるに当たっては、ハンセン病元患者及びハンセン病元患者家族等の意見を尊重するものとする。
市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区長又は総合区長)は、厚生労働大臣又は補償金の支給を受けようとする者若しくはその遺族若しくは相続人に対して、当該市町村(特別区を含む。)の条例で定めるところにより、ハンセン病元患者家族又はその遺族若しくは相続人の戸籍に関し、無料で証明を行うことができる。
厚生労働大臣は、補償金の支払に関する事務を独立行政法人福祉医療機構(次条第一項及び第二十八条において「機構」という。)に委託することができる。
前条の規定により業務の委託を受けた機構は、補償金の支払及びこれに附帯する業務(以下この項及び次条において「補償金支払等業務」という。)に要する費用(補償金支払等業務の執行に要する費用を含む。次条において同じ。)に充てるため、ハンセン病元患者家族補償金支払基金(次項において「基金」という。)を設ける。
2 基金は、次条の規定により交付された資金をもって充てるものとする。
政府は、予算の範囲内において、第二十六条の規定により業務の委託を受けた機構に対し、補償金支払等業務に要する費用に充てるための資金を交付するものとする。
この法律に定めるもののほか、補償金の支給手続その他の必要な事項は、厚生労働省令で定める。
この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三章及び附則第四条の規定は、公布の日から起算して二月を経過した日から施行する。
第九条第二項に規定する請求の期限については、この法律の施行後における請求の状況を勘案し、必要に応じ、検討が加えられるものとする。
この法律の円滑な施行を図るため、厚生労働省令で定めるところにより、ハンセン病元患者家族等に対して国から金銭が支給される場合には、当該金銭の支給を受ける権利については第十七条の規定を、当該金銭については第十八条の規定を、それぞれ準用する。