犯罪捜査規範
- 公布日
- 1957/07/11
- 最終改正公布
- 2026/05/21
- 施行日
- 2026/05/21
- 条数
- 301 条
条文
この規則は、警察官が犯罪の捜査を行うに当つて守るべき心構え、捜査の方法、手続その他捜査に関し必要な事項を定めることを目的とする。
捜査は、事案の真相を明らかにして事件を解決するとの強固な信念をもつて迅速適確に行わなければならない。
2 捜査を行うに当つては、個人の基本的人権を尊重し、かつ、公正誠実に捜査の権限を行使しなければならない。
捜査を行うに当たつては、警察法(昭和29年法律第162号)、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号。以下「刑訴法」という。)その他の法令及び規則を厳守し、個人の自由及び権利を不当に侵害することのないように注意しなければならない。
捜査を行うに当たつては、証拠によつて事案を明らかにしなければならない。
2 捜査を行うに当たつては、先入観にとらわれず、根拠に基づかない推測を排除し、被疑者その他の関係者の供述を過信することなく、基礎的捜査を徹底し、物的証拠を始めとするあらゆる証拠の発見収集に努めるとともに、鑑識施設及び資料を十分に活用して、捜査を合理的に進めるようにしなければならない。
捜査を行うに当つては、すべての情報資料を総合して判断するとともに、広く知識技能を活用し、かつ、常に組織の力により、捜査を総合的に進めるようにしなければならない。
捜査は、安易に成果を求めることなく、犯罪の規模、方法その他諸般の状況を冷静周密に判断し、着実に行わなければならない。
捜査は、それが刑事手続の一環であることにかんがみ、公訴の実行及び公判の審理を念頭に置いて、行わなければならない。特に、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成16年法律第63号)第2条第1項に規定する事件に該当する事件の捜査を行う場合は、国民の中から選任された裁判員に分かりやすい立証が可能となるよう、配慮しなければならない。
捜査を行うに当たつては、自己の能力を過信して独断に陥ることなく、上司から命ぜられた事項を忠実に実行し、常に警察規律を正しくし、協力一致して事案に臨まなければならない。
捜査を行うに当たつては、秘密を厳守し、捜査の遂行に支障を及ぼさないように注意するとともに、被疑者、被害者(犯罪により害を被つた者をいう。以下同じ。)その他事件の関係者の名誉を害することのないように注意しなければならない。
2 捜査を行うに当たつては、前項の規定により秘密を厳守するほか、告訴、告発、犯罪に関する申告その他犯罪捜査の端緒又は犯罪捜査の資料を提供した者その他捜査の関係者(第11条(被害者等の保護等)第2項において「資料提供者等」という。)の名誉又は信用を害することのないように注意しなければならない。
捜査を行うに当つては、常に言動を慎み、関係者の利便を考慮し、必要な限度をこえて迷惑を及ぼさないように注意しなければならない。
捜査を行うに当たつては、被害者又はその親族(以下この節において「被害者等」という。)の心情を理解し、その人格を尊重しなければならない。
2 捜査を行うに当たつては、被害者等の取調べにふさわしい場所の利用その他の被害者等にできる限り不安又は迷惑を覚えさせないようにするための措置を講じなければならない。
捜査を行うに当たつては、被害者等に対し、刑事手続の概要を説明するとともに、当該事件の捜査の経過その他被害者等の救済又は不安の解消に資すると認められる事項を通知しなければならない。ただし、捜査その他の警察の事務若しくは公判に支障を及ぼし、又は関係者の名誉その他の権利を不当に侵害するおそれのある場合は、この限りでない。
警察官は、犯罪の手口、動機及び組織的背景、被疑者と被害者等との関係、被疑者の言動その他の状況から被害者等に後難が及ぶおそれがあると認められるときは、被疑者その他の関係者に、当該被害者等の氏名又はこれらを推知させるような事項を告げないようにするほか、必要に応じ、当該被害者等の保護のための措置を講じなければならない。
2 前項の規定は、資料提供者等に後難が及ぶおそれがあると認められる場合について準用する。
警察官は、捜査専従員であると否とを問わず、常に捜査関係法令の研究および捜査に関する知識技能の習得に努め、捜査方法の工夫改善に意を用いなければならない。
警察官は、捜査を行うに当り、当該事件の公判の審理に証人として出頭する場合を考慮し、および将来の捜査に資するため、その経過その他参考となるべき事項を明細に記録しておかなければならない。
警察官は、被疑者、被害者その他事件の関係者と親族その他特別の関係にあるため、その捜査について疑念をいだかれるおそれのあるときは、上司の許可を得て、その捜査を回避しなければならない。
捜査を行うに当つては、捜査に従事する者の団結と統制を図り、他の警察諸部門および関係警察と緊密に連絡し、警察の組織的機能を最高度に発揮するように努めなければならない。
警察本部長(警視総監または道府県警察本部長をいう。以下同じ。)は、捜査の合理的な運営と公正な実施を期するため、犯罪の捜査について、全般の指揮監督に当るとともに、職員の合理的配置、その指導教養の徹底、資材施設の整備等捜査態勢の確立を図り、もつてその責に任ずるものとする。
刑事部長、警備部長その他犯罪の捜査を担当する部課長は、警察本部長を補佐し、その命を受け犯罪の捜査の指揮監督に当るものとする。
警察署長は、その警察署に関し、犯罪の捜査の指揮監督に当るとともに、捜査の合理的な運営と公正な実施について、警察本部長に対しその責に任ずるものとする。
前3条に規定する犯罪の捜査の指揮については、常にその責任を明らかにしておかなければならない。
2 警察本部長または警察署長が直接指揮すべき事件および事項ならびに指揮の方法その他事件指揮簿の様式等は、警察本部長の定めるところによる。
警察本部長又は警察署長は、当該事件の捜査につき、捜査主任官を指名するものとする。
2 捜査主任官は、第16条から前条まで(警察本部長、捜査担当部課長、警察署長、捜査指揮)の規定により指揮を受け、当該事件の捜査につき、次に掲げる職務を行うものとする。 (1)捜査すべき事項及び捜査員の任務分担を定めること。 (2)押収物及びその換価代金並びに提供された電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)の出納を承認し、これらの保管の状況を常に把握すること。 (3)第3章第5節(捜査方針)の規定により捜査方針を立てること。 (4)捜査員に対し、捜査の状況に関し報告を求めること。 (5)前号の報告、取調べ状況報告書の確認、被疑者の供述及びその状況を記録した記録媒体の再生その他の方法により、被疑者の取調べの状況を把握すること。 (6)留置施設に留置されている被疑者(第136条の2(引き当たり捜査の際の注意)第1項において「留置被疑者」という。)に関し同項の計画を作成する場合において、留置主任官(被留置者の留置に関する規則(平成19年国家公安委員会規則第11号)第4条第1項に規定する留置主任官をいう。第136条の2第1項において同じ。)と協議すること。 (7)被疑者の取調べその他の捜査の適正な遂行並びに被疑者の逃亡及び自殺その他の事故の防止について捜査員に対する指導教養を行うこと。 (8)前各号に掲げるもののほか、法令の規定によりその権限に属させられ、又は警察本部長若しくは警察署長から特に命ぜられた事項
3 警察本部長又は警察署長は、第1項の規定により捜査主任官を指名する場合には、当該事件の内容並びに所属の職員の捜査能力、知識経験及び職務遂行の状況を勘案し、前項に規定する職務を的確に行うことができると認められる者を指名しなければならない。
4 捜査主任官が交代する場合には、関係書類、証拠物等の引継ぎを確実に行うとともに、捜査の状況その他必要な事項を明らかにし、事後の捜査に支障を来すことのないようにしなければならない。
警察官は、上司の命を受け、犯罪の捜査に従事する。
2 警察官以外の捜査関係職員が、警察官を助けて職務を行う場合には、この規則の規定に従わなければならない。
重要犯罪その他事件の発生に際し、特に、捜査を統一的かつ強力に推進する必要があると認められるときは、捜査本部を設置するものとする。
2 捜査本部の設置及び解散並びに捜査本部の長及び編成は、警察本部長が命ずる。
3 捜査本部長は、命を受け、捜査本部に所属する職員を指揮監督する。
4 捜査本部を設置した事件の捜査については、すべて捜査本部長の統制に従うものとし、他の警察署において当該事件に関する捜査資料を得たときは、速やかに捜査本部に連絡しなければならない。
警察官は、犯罪に関係があると認められる事項その他捜査上参考となるべき事項を知つたときは、速やかに、上司に報告しなければならない。
2 警察署長は、その管轄区域において発生した事件その他捜査上参考となるべき事項のうち重要なものについては、速やかに、警察本部長に報告しなければならない。
警察官は、検察官または他の捜査機関との捜査に関する連絡または協力については、あらかじめ順序を経て警察本部長または警察署長に報告して、その指揮を受けなければならない。
捜査に関し、新聞その他の報道機関等に発表を行うときは、警察本部長若しくは警察署長(捜査本部を設置した場合においては捜査本部長)又はその指定する者がこれに当たらなければならない。
犯罪の捜査に関する指導教養は、幹部、専従員および一般警察官の別に応じ、実務に即して行い、その実効を期さなければならない。
警察官は、別に定がある場合のほか、この節の規定するところに従い、捜査に関し、相互に協力しなければならない。
捜査のため必要があるときは、他の警察に対し、共助の依頼(被疑者の逮捕、呼出し又は取調べ、盗品等(盗品その他財産に対する罪に当たる行為によつて領得された物をいう。以下同じ。)その他の証拠物の手配、押収(電磁的記録提供命令(刑訴法第102条の2第1項に規定する電磁的記録提供命令をいう。以下同じ。)(同項第1号イに掲げる方法による提供を命ずるものに限る。)を含む。第126条第5項及び第236条において同じ。)、捜索又は検証、電磁的記録提供命令(同号ロに掲げる方法による提供を命ずるものに限る。)、参考人の呼出し又は取調べ、職員の派遣その他の措置を依頼することをいう。以下同じ。)をすることができる。
2 他の警察から、共助の依頼を受けたときは、誠実かつ速やかにこれに当たらなければならない。
3 共助の依頼をするに当たつては、依頼の趣旨、内容その他の必要な事項を明確にし、及び依頼を受けた警察の事務の遂行に支障を及ぼさないようにしなければならない。
犯罪の捜査につき、他の警察に対して緊急の措置を依頼する必要があるときは、直ちに、緊急事件手配書(別記様式第1号)により、緊急配備その他の必要な措置を求めるものとする。
容疑者および捜査資料その他参考事項について通報を求める手配を、事件手配とする。
2 事件手配は、事件の概要および通報を求める事項を明らかにして行わなければならない。
逮捕状の発せられている被疑者の逮捕を依頼し、逮捕後身柄の引渡しを要求する手配を、指名手配とする。
2 指名手配は、指名手配書(別記様式第2号)により行わなければならない。
3 急速を要し逮捕状の発付を受けるいとまのないときは、指名手配書による手配を行つた後、速やかに逮捕状の発付を得て、その有効期間を通報しなければならない。
4 第29条(緊急事件手配)の規定による緊急事件手配により、氏名等の明らかな被疑者の逮捕を依頼した場合には、当該緊急事件手配を指名手配とみなす。この場合においては、逮捕状の発付を得た後、改めて第1項の規定による手続をとるものとする。
指名手配を行うに当つては、被疑者を逮捕した場合における身柄の処置につき、次のいずれであるかを明らかにしなければならない。 (1)第1種手配(身柄の護送を求める場合の手配をいう。) (2)第2種手配(身柄を引取に行く場合の手配をいう。)
2 指名手配は、原則として第1種手配によるものとする。
指名手配をした場合においては、常に逮捕状の有効期間に注意し、有効期間経過後もなお手配継続の必要があるものについては、逮捕状の再発付を受け、その有効期間を通報しなければならない。
被疑者が発見された場合に身柄の引渡を求めず、かつ、その事件の処理を当該警察にゆだねる旨の手配を、指名通報とする。
2 指名通報は、被疑者の氏名等が明らかであり、かつ、犯罪事実が確実なものについて、指名通報書(別記様式第2号)により行わなければならない。
3 指名通報のあつた事件については、あらかじめ、通報を発した警察に、逮捕状の有無、容疑事実の内容、関係書類その他の捜査資料の有無等を照会して処理するものとする。
4 指名通報を行つた被疑者については、事件処理に必要な証拠資料、関係書類等を完全に整備しておき、被疑者を発見した警察から要求があつたときは、すみやかに、第78条(事件の移送および引継)第2項の規定による事件引継書とともに証拠資料、関係書類等を、その警察に送付しなければならない。
警察が、その捜査中の事件の盗品等につき、他の警察に対してその発見を求める手配を、盗品等手配とする。
2 盗品等手配を行うに当たつては、発見すべき盗品等の名称、銘柄、品種、特徴等を明らかにすることに努め、必要があるときは、写真を添付する等有効適切な措置を講じなければならない。
古物営業法(昭和24年法律第108号)第19条第1項又は質屋営業法(昭和25年法律第158号)第20条第1項に規定する品触れ(以下「品触れ」という。)は、これを次の3種に区分するものとする。 (1)特別重要品触れ(捜査本部に係る事件について発する品触れをいう。) (2)重要品触れ(前号の事件以外の重要な事件について発する品触れをいう。) (3)普通品触れ(その他の事件について発する品触れをいう。)
2 品触れは、前項の区分を明らかにして発しなければならない。
3 前条第2項の規定は、品触れについて準用する。
4 品触れを発したときは、品触原簿(別記様式第3号)及び品触取扱簿(別記様式第4号)により、それぞれ、その状況を明確にしておかなければならない。
第29条(緊急事件手配)、第30条(事件手配)、第31条(指名手配)、第34条(指名通報)及び第35条(盗品等手配)に規定する手配又は通報については、その実効を期するため、犯罪の種別、軽重、緊急の度合い等に応じ、手配の範囲、種別及び方法を合理的に定め、いやしくも、濫用にわたることのないように注意しなければならない。
第29条(緊急事件手配)、第30条(事件手配)、第31条(指名手配)、第34条(指名通報)及び第35条(盗品等手配)に規定する手配又は通報に係る事件について、被疑者を逮捕し、又は事件を解決したときは、速やかに、かつ、確実に、その手配又は通報の解除を行わなければならない。
2 逮捕状の有効期間が経過し、逮捕状の再発付を受けない場合も、また、前項と同様とする。
3 前2項のほか、共助の依頼をし、又は品触を発した場合において、その必要がなくなつたときは、第1項の規定に準じ、必要な手続をとらなければならない。
警察署長は、他の警察に関連する犯罪事件について、その被疑者、証拠物その他捜査上参考となるべき事項を発見したときは、直ちに、適当な措置をとるとともに、その旨を当該警察に通報しなければならない。
2 警察署長は、前項の通報のほか、重要事件、他に波及するおそれのある事件その他犯罪の捜査または予防上参考となるべき事件について、関係警察に通報するものとする。
警察署長は、第29条(緊急事件手配)、第30条(事件手配)、第31条(指名手配)、第34条(指名通報)及び第35条(盗品等手配)の規定による手配又は通報をする場合においては、原則として、あらかじめ警察本部長に報告した後、直接に、又は警察本部長を通じて行わなければならない。
指名手配のあつた被疑者を逮捕した警察(以下「逮捕警察」という。)は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、被疑者の身柄をその指名手配をした警察(以下「手配警察」という。)に引渡さなければならない。 (1)逮捕警察が、手配を受けた犯罪より法定刑が重い別の犯罪をその管轄区域において犯した被疑者を逮捕したとき。 (2)逮捕警察が、手配を受けた犯罪と法定刑が同等以上の別の犯罪で手配をしていた被疑者を逮捕したとき。 (3)逮捕警察が、手配被疑者に関連する犯罪で、既にその正犯又は共同正犯である被疑者の一部を逮捕しているとき。
2 同一被疑者について、2以上の手配警察がある場合には、次の各号に定める手配警察にその身柄を引き渡さなければならない。 (1)手配を受けた犯罪について、その法定刑に軽重があるとき(次号に規定する場合に該当する場合を除く。)は、重い犯罪を手配した警察 (2)手配を受けた犯罪で、既にその正犯又は共同正犯である被疑者の一部を逮捕している警察があるときはその警察 (3)前2号に規定する場合のほかは、先に手配をした警察
3 前2項に規定する身柄引渡しの原則により難い事情があるときは、警察本部長の決するところによる。
指名手配により逮捕した被疑者の身柄を引き渡すに当たつては、被疑者引渡書(別記様式第5号)を作成しなければならない。
被疑者の護送その他犯罪の捜査のため必要があるときは、他の警察に対し、被疑者の留置の依頼をすることができる。
警察官は、他の警察の管轄区域において犯罪の捜査を行うに当たつては、所轄警察に連絡するようにしなければならない。
警察官は、捜査に関し、検察官と互に協力しなければならない。
2 警察本部長または警察署長は、その捜査する事件について、公訴を実行するため、あらかじめ連絡しておく必要があると認めるときは、すみやかに、犯罪事実の概要その他の参考となるべき事項を検察官に連絡しなければならない。
警察官は、司法警察職員捜査書類基本書式例その他の刑訴法第193条第1項の規定に基づき検察官から示された一般的指示があるときは、これに従つて捜査を行わなければならない。
警察官は、他の司法警察職員との間において捜査の調整につき、刑訴法第193条第2項の規定による検察官の一般的指揮を必要とする特別の事情があるときは、すみやかに順を経て警察本部長に報告しなければならない。
2 警察本部長は、前項に規定する報告を受けた場合において、必要があると認められるときは、すみやかに、その旨を検察官に申し出なければならない。
刑訴法第193条第2項の規定に基き、検察官から一般的指揮が与えられたときは、警察官はこれに従つて捜査を行わなければならない。
刑訴法第193条第3項の規定により検察官が自ら捜査する犯罪について、その補助を求められたときは、警察官はすみやかに、これに従つて必要な捜査を行い、かつ、その結果を報告しなければならない。
刑訴法第190条の規定により別に法律で定められた司法警察職員またはこれに準ずる者(以下「特別司法警察職員等」という。)との共助に関しては、共助協定その他の特別の定があるときはその規定するところによるほか、この節の規定によるものとする。
警察官は、特別司法警察職員等の職務の範囲に属する犯罪を特別司法警察職員等に先んじて知つた場合において、その捜査を特別司法警察職員等にゆだねることなく、自ら捜査することを適当と認めるときは、警察本部長または警察署長に報告して、その指揮を受け、捜査するものとする。この場合においては、当該特別司法警察職員等と連絡を密にし、その専門的知識による助言等を受けたときは、充分これを尊重して捜査を行うようにしなければならない。
警察官は、特別司法警察職員等の職務の範囲に属する犯罪を特別司法警察職員等に先んじて知つた場合において、その捜査を特別司法警察職員等にゆだねることを適当と認めるときは、自ら急速を要する処置を行つた後、警察本部長または警察署長に報告して、その指揮を受け、すみやかに必要な捜査資料を添えて、これを特別司法警察職員等に移すものとする。
2 前項の規定により、捜査をゆだねた後においても、当該特別司法警察職員等から捜査のために協力を求められた場合においては、できる限り、これに応じて協力するものとする。
警察官は、特別司法警察職員等が、その職務の範囲に属する犯罪を捜査する場合において、その事件が職務の範囲に属しない犯罪事件と関連するため、またはその他の理由により、警察官にその捜査を引き継ぐべき旨の申出を受けたときは、警察本部長または警察署長に報告して、その指揮を受け、自らもその捜査を行うものとする。この場合において、必要があるときは、当該特別司法警察職員等に対し、証拠物の引渡その他捜査のための協力を求めるとともに、事後の捜査の経過および結果を連絡するものとする。
警察官は、特別司法警察職員等の職務の範囲に属する犯罪を捜査する場合において、その捜査が当該特別司法警察職員等の行う捜査と競合するときは、警察本部長または警察署長に報告して、その指揮を受け、当該特別司法警察職員等とその捜査に関し、必要な事項を協議するものとする。
捜査を行うに当つては、司法警察職員捜査書類基本書式例による調書その他必要な書類を明確に作成しなければならない。
2 書類の作成に当つては、事実をありのままに、かつ、簡潔明瞭に表現することを旨とし、推測、誇張等にわたつてはならない。
書類には、特別の定がある場合を除いては、年月日を記載して署名押印し、所属官公署を表示しなければならない。
2 押印は、原則として認印をもつてするものとする。
3 書類(裁判所又は裁判官に対する申立て、意見の陳述、通知その他これらに類する訴訟行為に関する書類を除く。)には、毎葉に契印するものとする。ただし、その謄本又は抄本を作成する場合には、契印に代えて、これに準ずる措置をとることができる。
4 書類の余白または空白には、斜線を引き押印するものとする。
書類を作成するに当たつては、文字を改変してはならない。文字を加え、又は削るときは、その範囲を明らかにして、訂正した部分に押印しなければならない。ただし、削つた部分は、これを読むことができるように字体を残さなければならない。
本人が文盲である等やむを得ない理由で書類を代書した場合には、代書事項が本人の意思と相違がないことを確かめた上、代書の理由を記載して署名押印しなければならない。
警察官は、新聞紙その他の出版物の記事、インターネットを利用して提供される情報、匿名の申告、風説その他広く社会の事象に注意するとともに、警ら、職務質問等の励行により、進んで捜査の端緒を得ることに努めなければならない。
職務質問に当り、必要があると認められるときは、直ちに、指名手配その他の手配または通報の有無、被害届の有無、鑑識資料の有無等を、電話その他適当な方法により、警視庁もしくは道府県警察本部または警察署に照会しなければならない。
警察官は、犯罪による被害の届出をする者があつたときは、その届出に係る事件が管轄区域の事件であるかどうかを問わず、これを受理しなければならない。
2 前項の届出が口頭によるものであるときは、被害届(別記様式第6号)に記入を求め又は警察官が代書するものとする。この場合において、参考人供述調書を作成したときは、被害届の作成を省略することができる。
犯罪事件を受理したときは、警察庁長官(以下「長官」という。)が定める様式の犯罪事件受理簿に登載しなければならない。
司法警察員たる警察官は、告訴、告発または自首をする者があつたときは、管轄区域内の事件であるかどうかを問わず、この節に定めるところにより、これを受理しなければならない。
2 司法巡査たる警察官は、告訴、告発または自首をする者があつたときは、直ちに、これを司法警察員たる警察官に移さなければならない。
自首を受けたときまたは口頭による告訴もしくは告発を受けたときは、自首調書または告訴調書もしくは告発調書を作成しなければならない。
2 告訴または告発の口頭による取消しを受けたときは、告訴取消調書または告発取消調書を作成しなければならない。
書面による告訴または告発を受けた場合においても、その趣旨が不明であるときまたは本人の意思に適合しないと認められるときは、本人から補充の書面を差し出させ、またはその供述を求めて参考人供述調書(補充調書)を作成しなければならない。
被害者の委任による代理人から告訴を受ける場合には、委任状を差し出させなければならない。
2 被害者以外の告訴権者から告訴を受ける場合には、その資格を証する書面を差し出させなければならない。
3 被害者以外の告訴権者の委任による代理人から告訴を受ける場合には、前2項の書面をあわせ差し出させなければならない。
4 前3項の規定は、告訴の取消を受ける場合について準用する。
告訴または告発があつた事件については、特にすみやかに捜査を行うように努めるとともに、次に掲げる事項に注意しなければならない。 (1)ぶ告、中傷を目的とする虚偽または著しい誇張によるものでないかどうか。 (2)当該事件の犯罪事実以外の犯罪がないかどうか。
自首のあつた事件について捜査を行うに当つては、次に掲げる事項に注意しなければならない。 (1)当該犯罪または犯人が既に発覚していたものでないかどうか。 (2)自首が当該事件について他に存する真犯人を隠すためのものでないかどうか。 (3)自首者が、自己が犯した他の犯罪を隠すために、ことさらに当該事件につき自首したものでないかどうか。
警察本部長または警察署長は、告訴または告発のあつた事件が、管轄区域外の犯罪であるため当該警察においてこれを処理することができないとき、またはこれを処理することが適当でないと認められるときは、関係警察に対してすみやかに移送の手続をとらなければならない。
2 前項の規定による移送をしたときは、すみやかに、告訴人または告発人にその移送先を通知しなければならない。
警察官は、親告罪に係る犯罪があることを知つた場合において、直ちにその捜査を行わなければ証拠の収集その他事後における捜査が著しく困難となるおそれがあると認めるときは、未だ告訴がない場合においても、捜査しなければならない。この場合においては、被害者またはその家族の名誉、信用等を傷つけることのないよう、特に注意しなければならない。
親告罪に係る犯罪につき捜査を行い、事件を検察官に送付した後、告訴人から告訴の取消を受けたときは、直ちに、その旨を検察官に通知し、必要な書類を追送しなければならない。
請求をまつて論ずる犯罪については、直ちにその捜査を行わなければ証拠の収集その他事後における捜査が著しく困難となると認められる場合を除いては、請求があつてから、捜査するものとする。
国税通則法(昭和37年法律第66号)、関税法(昭和29年法律第61号)、地方税法(昭和25年法律第226号)その他の法律により通告処分の認められている犯則事件のあることを知つたときは、警察本部長又は警察署長に報告してその指揮を受け、速やかに、その旨を当該事件につき調査の権限を有する職員(以下「調査職員」という。)に通知するものとする。
2 調査職員から、調査のため臨検、捜索又は差押えを行うに当たり、援助の要求を受けたときは、必要な援助をしなければならない。
犯則事件について調査職員から告発を受けたときは、その捜査を行わなければならない。この場合においても、常に調査職員と緊密に連絡をとるものとする。
犯則事件について、直ちにその捜査を行わなければ証拠の収集その他事後における捜査が著しく困難となるおそれがあると認められるときは、未だ調査職員の告発がない場合においても、捜査し、その結果を調査職員に通知しなければならない。
警察官は、犯罪があると思料するときは、捜査の着手に先だち、順を経て、警察本部長または警察署長に報告し、その指揮を受けなければならない。ただし、急速を要する場合においては、必要な処置を行つた後、すみやかに報告するものとする。
捜査の着手については、犯罪の軽重および情状、犯人の性格、事件の波及性および模倣性、捜査の緩急等諸般の事情を判断し、捜査の時期または方法を誤らないように注意しなければならない。
警察本部長又は警察署長は、管轄権のない事件又は当該警察において捜査することが適当でないと認められる事件については、速やかにこれを犯罪地又は被疑者の住居地を管轄する警察その他の適当な警察に移送又は引継ぎしなければならない。
2 前項の規定による移送又は引継ぎは、事件引継書(別記様式第5号)により行わなければならない。
捜査資料の収集は、捜査専従員のみによつて行われるのでなく、全警察職員の組織的な活動によつて行われるよう努めなければならない。
2 前項の規定により収集した捜査資料及びその写しは、適切に管理しなければならない。
3 第1項の規定により収集された捜査資料及びその写しを保管する必要がなくなつたときは、還付すべきものを除き、これらを確実に破棄しなければならない。
4 前2項の規定により、保管し、又は破棄される捜査資料が電磁的記録をもつて作成されたものである場合は、電磁的記録の特性を踏まえ、当該電磁的記録に記録された情報が漏えいしないための的確な措置を講じなければならない。
捜査に資するため、広く犯罪に関係ある社会的諸事情、犯罪を犯すおそれのある者その他捜査上注意を要すると認められる者の動向等捜査に必要な基礎資料は、常に収集整備しておかなければならない。
捜査を行うに当つては、犯罪に関する有形または無形の資料、内偵による資料その他諸般の情報等確実な資料を収集し、これに基いて捜査を進めなければならない。特に被疑者の逮捕その他の強制処分を行うに当つては、事前にできる限り多くの確実な資料を収集しておかなければならない。
指掌紋、手口、写真その他の鑑識資料は、常に収集整備することに努め、捜査を行うに当たつては、それらの多角的利用を図らなければならない。
捜査を行つたときは、そのつど捜査の過程に反省検討を加え、これによつて得たあらゆる参考資料を収集して、事後の捜査に活用するように努めなければならない。
警察官は、現場臨検を必要とする犯罪の発生を知つたときは、捜査専従員たると否とを問わず、すみやかにその現場に臨み、必要な捜査を行わなければならない。
2 前項の場合において他に捜査主任官その他の者による現場臨検が行われるときは、確実に現場を保存するよう努めなければならない。
警察官は、現場を臨検した場合において負傷者があるときは、救護の処置をとらなければならない。
2 前項の場合において、ひん死の重傷者があるときは、応急救護の処置をとるとともに、その者から犯人の氏名、犯行の原因、被害者の氏名、目撃者等を聴取しておかなければならない。
3 前項の重傷者が死亡したときは、その時刻を記録しておかなければならない。
現場の保存に当つては、できる限り現場を犯罪の行われた際の状況のまま保存するように努め、現場における捜査が適確に行われるようにしなければならない。
2 負傷者の救護、証拠物件の変質および散逸の予防等特にやむを得ない事情のある場合を除いては、警察官であつても、みだりに現場に入つてはならない。
警察官は、犯罪の行われた地点だけでなく広く現場保存の範囲を定め、捜査資料の発見に資するようにしなければならない。
警察官は、保存すべき現場の範囲を定めたときは、直ちに、これを表示する等適切な処置をとり、みだりに出入する者のないようにしなければならない。この場合において、現場またはその附近に居合わせた者があるときは、その者の氏名、住居等を明確にしておくようにしなければならない。
2 現場において発見された捜査資料で、光線、雨水等により変質、変形または消失するおそれのあるものについてはおおいをする等適当な方法により、その原状を保存するように努めなければならない。
負傷者の救護その他やむを得ない理由のため現場を変更する必要があるときまたは捜査資料を原状のまま保存することができないときは、写真、見取図、記録その他の方法により原状を明らかにする処置をとらなければならない。
現場において捜査を行うに当たつては、現場鑑識その他の科学的合理的な方法により、次に掲げる事項を明らかにするよう努め、犯行の過程を全般的に把握するようにしなければならない。 (1)時の関係イ犯行の日時及びこれを推定し得る状況ロ発覚の日時及び状況ハ犯行当時における気象の状況ニその他時に関し参考となる事項 (2)場所の関係イ現場に通ずる道路及びその状況ロ家屋その他現場附近にある物件及びその状況ハ現場の間取等の状況ニ現場における器具その他物品の状況ホ指掌紋、足跡その他のこん跡並びに遺留物件の位置及び状況ヘその他場所に関し参考となる事項 (3)被害者の関係イ犯人に対する応接その他被害前の状況ロ被害時における抵抗、姿勢等の状況ハ傷害の部位及び程度、被害金品の種別及び数量等被害の程度ニ死体の位置及び創傷、流血その他の状況ホその他被害者に関し参考となる事項 (4)被疑者の関係イ現場についての侵入及び逃走の経路ロ被疑者の数及び性別ハ犯罪の手段、方法その他犯罪実行の状況ニ被疑者の犯行の動機並びに被害者との面識及び現場についての知識の有無を推定し得る状況ホ被疑者の人相、風体、特徴、習癖その他特異な言動等ヘ凶器の種類、形状及び加害の方法その他加害の状況トその他被疑者に関し参考となる事項
現場において捜査を行うに当たつては、捜査主任官が、これに従事する捜査員の任務分担を定め、組織的に行うようにしなければならない。
遺留品、現場指掌紋等の資料を発見したときは、年月日時及び場所を記載した紙片に被害者又は第三者の署名を求め、これを添付して撮影する等証拠力の保全に努めなければならない。
警察本部長または警察署長は、管轄区域内に発生した犯罪について、犯人捕そくのため緊急の必要がある場合においては、この節に定めるところに従つて、緊急配備をしなければならない。管轄区域外に発生した犯罪について必要がある場合も、また同様とする。
警察本部長または警察署長は、緊急配備の目的を達成するため、あらかじめ綿密適正な緊急配備計画を立て、所属警察官に周知させておかなければならない。
2 前項の計画を立てる場合において必要があるときは、隣接警察その他関係機関と密接な連絡をとらなければならない。
緊急配備は、前条の規定による計画に基き、犯人の数、車両利用の状況、凶器の有無その他犯罪の規模および態様を考慮し、配備につくべき区域、警察官数、特に警戒すべき地域または地点等を定めて行うものとする。
2 緊急配備を行うに当つては、まず、交通の要所その他の重要地点に警察官を配置し、事後、逐次配備網を伸縮する等事態に即応して行わなければならない。
捜査を行うに当つては捜査方針を立て、その方針に基いて捜査を行わなければならない。
2 捜査方針は、現場における捜査等により収集した有形無形の捜査資料、平素収集しておいた基礎資料等すべての資料を総合的に検討し、合理的に判断して、立てなければならない。
捜査方針の実施に当つては、捜査に従事する者の数、技能等を考慮して、その合理的編成を行い、具体的にその任務を授けなければならない。
捜査方針を立て、またはこれに検討を加えるため必要があると認められるときは、随時捜査会議を開き、なるべく多くの者の意見を聞くように努めなければならない。
捜査は、なるべく任意捜査の方法によつて行わなければならない。
任意捜査を行うに当り相手方の承諾を求めるについては、次に掲げる事項に注意しなければならない。 (1)承諾を強制し、またはその疑を受けるおそれのある態度もしくは方法をとらないこと。 (2)任意性を疑われることのないように、必要な配意をすること。
捜査を行うに当つては、聞込、尾行、密行、張込等により、できる限り多くの捜査資料を入手するように努めなければならない。
刑訴法第197条第3項の規定による通信履歴の電磁的記録を消去しないことの求め及び当該求めの取消し並びに同条第4項の規定による期間の延長をするときは、警察本部長又は警察署長の指揮を受けて行わなければならない。
2 通信履歴の電磁的記録を消去しないことの求め及び当該求めの取消し並びに期間の延長は、司法警察員たる警察官が行わなければならない。
捜査のため、被疑者その他の関係者に対して任意出頭を求めるには、電話、呼出状(別記様式第7号)の送付その他適当な方法により、出頭すべき日時、場所、用件その他必要な事項を呼出人に確実に伝達しなければならない。この場合において、被疑者又は重要な参考人の任意出頭については、警察本部長又は警察署長に報告して、その指揮を受けなければならない。
2 被疑者その他の関係者に対して任意出頭を求める場合には、呼出簿(別記様式第8号)に所要事項を記載して、その処理の経過を明らかにしておかなければならない。
逮捕状の発付されている場合であつても、その後の事情により逮捕状による逮捕の必要がないと認められるに至つたときは、任意捜査の方法によらなければならない。この場合においては、逮捕状は、その有効期間内であつても、直ちに裁判官に返還しなければならない。
2 前項の場合において、刑訴法第201条の2第2項の規定による逮捕状に代わるものの交付があるときは、当該逮捕状に代わるものをも直ちに裁判官に返還しなければならない。
犯罪の現場その他の場所、身体又は物について事実発見のため必要があるときは、実況見分を行わなければならない。
2 実況見分は、居住者、管理者その他関係者の立会を得て行い、その結果を実況見分調書に正確に記載しておかなければならない。
3 実況見分調書には、できる限り、図面及び写真を添付しなければならない。
4 前3項の規定により、実況見分調書を作成するに当たつては、写真をはり付けた部分にその説明を付記するなど、分かりやすい実況見分調書となるよう工夫しなければならない。
実況見分調書は、客観的に記載するように努め、被疑者、被害者その他の関係者に対し説明を求めた場合においても、その指示説明の範囲をこえて記載することのないように注意しなければならない。
2 被疑者、被害者その他の関係者の指示説明の範囲をこえて、特にその供述を実況見分調書に記載する必要がある場合には、刑訴法第198条第3項から第5項までおよび同法第223条第2項の規定によらなければならない。この場合において、被疑者の供述に関しては、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げ、かつ、その点を調書に明らかにしておかなければならない。
被疑者の供述により凶器、盗品等その他の証拠資料を発見した場合において、証明力確保のため必要があるときは実況見分を行い、その発見の状況を実況見分調書に明確にしておかなければならない。
女子の任意の身体検査は、行つてはならない。ただし、裸にしないときはこの限りでない。
人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶につき捜索をする必要があるときは、住居主又は看守者の任意の承諾が得られると認められる場合においても、捜索許可状の発付を受けて捜索をしなければならない。
所有者、所持者又は保管者の任意の提出に係る物を領置するに当たつては、なるべく提出者から任意提出書を提出させた上、領置調書を作成しなければならない。この場合においては、刑訴法第120条第1項の規定による押収品等目録提供書を交付するものとする。
2 任意の提出に係る物を領置した場合(次項に規定する場合に該当する場合を除く。)において、その所有者がその物の所有権を放棄する旨の意思を表示したときは、任意提出書にその旨を記載させ、又は所有権放棄書の提出を求めなければならない。
3 任意の提出に係る物を領置した場合において、その物が電磁的記録に係る記録媒体であり、当該記録媒体の所有者でない提出者が当該電磁的記録について所有に属するものとみなされる権利(刑事事件における第三者所有物の没収手続に関する応急措置法(昭和38年法律第138号)第1条の2の規定により所有に属するものとみなされる場合における権利をいう。)を放棄する旨の意思を表示したときは、任意提出書にその旨を記載させ、又は電磁的記録に係る権利放棄書の提出を求めなければならない。
4 電気通信回線を通じて電磁的記録を警察官の管理に係る記録媒体に記録する方法により任意に提供された電磁的記録(以下「任意提供電磁的記録」という。)を保管するに当たつては、電磁的記録保管調書を作成しなければならない。この場合において、電磁的記録を提供した旨の書面を徴するときは、任意電磁的記録提供書によるものとする。
被疑者その他の者の遺留物を領置するに当つては、居住者、管理者その他関係者の立会を得て行うようにしなければならない。
2 前項の領置については、実況見分調書その他によりその物の発見された状況等を明確にした上、領置調書を作成しておかなければならない。
領置をするに当たつては、指掌紋その他の附着物を破壊しないように注意するとともに、その物をできる限り原状のまま保存するため適当な方法を講じ、滅失、毀損、変質、変形、混合、散逸等(次条第1項において「滅失等」という。)することのないように注意しなければならない。
2 任意提供電磁的記録を保管するに当たつては、その任意提供電磁的記録をできる限り原状のまま保管するため適当な方法を講じ、消去、改変、漏えい、滅失、毀損等(次条第2項において「消去等」という。)することのないように注意しなければならない。
領置物は、滅失等することのないよう適正に管理しなければならない。
2 任意提供電磁的記録は、消去等することのないよう適正に管理しなければならない。
送致又は送付すべき領置物は、検察官と協議して、速やかに送致又は送付するように努めなければならず、また、捜査上留置の必要がないと認められる領置物は、必要に応じ、検察官と協議して、可能な限り速やかに廃棄、換価、還付若しくは仮還付の処分又は刑訴法第499条第2項若しくは同法第499条の2第1項の規定による公告をしなければならない。
2 送致又は送付すべき任意提供電磁的記録は、検察官と協議して、速やかに送致又は送付するように努めなければならず、また、捜査上保管の必要がないと認められる任意提供電磁的記録は、必要に応じ、検察官と協議して、可能な限り速やかに消去の処分をしなければならない。
領置物について廃棄、換価、還付又は仮還付の処分をするときは、警察本部長又は警察署長の指揮を受けて行わなければならない。ただし、急速に廃棄処分をする必要がある場合においては、処分後速やかに警察本部長又は警察署長にその旨を報告するものとする。
2 捜査上保管の必要がないと認められる任意提供電磁的記録について消去の処分をするときは、警察本部長又は警察署長の指揮を受けて行わなければならない。
3 還付又は仮還付の処分をするに当たつては、相手方から(仮)還付請書を徴しておくとともに、先に仮還付した物について更に還付の処分をする必要があるときは、還付通知書(別記様式第9号)を交付して行うものとする。
4 運搬又は保管に不便な領置物について、看守者を置き、又は所有者その他の者に、その者の承諾を得て保管させる場合も第1項の場合と同様とする。この場合は、なるべくその者から保管請書を徴しておかなくてはならない。
5 廃棄(刑訴法第499条第4項の規定によるものに限る。)、換価、消去、還付及び仮還付の処分は、司法警察員たる警察官が行わなければならない。
領置物の還付に関して刑訴法第499条第2項の規定による公告をするときは、警察本部長又は警察署長の指揮を受けて行わなければならない。
2 前項の公告は、司法警察員たる警察官が行わなければならない。
領置物について廃棄又は換価の処分を行うに当たつては、次に掲げる事項に注意しなければならない。 (1)処分に先立ち、その物の状況を写真、見取図、模写図又は記録等の方法により明らかにすること。 (2)特に必要があると認められるときは、当該領置物の性状、価格等を鑑定に付しておくこと。この場合においては、再鑑定のためその物の一部保存について配意すること。 (3)危険を生じ、滅失又は破損するおそれがあり、保管に不便なものである等廃棄又は換価の処分を行うべき相当な理由があることを明確にしておくこと。
2 廃棄、換価又は消去の処分をしたときは、それぞれ廃棄処分書(別記様式第10号)、換価処分書(別記様式第11号)又は消去等処分書(別記様式第11号の2)を作成しておかなければならない。
通告処分の認められている犯則事件に関する領置物又は任意提供電磁的記録について廃棄、換価又は消去の処分をするに当たつては、あらかじめ、調査職員に連絡しなければならない。
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